JP6686442B2 - 量子干渉装置、原子発振器、および電子機器 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。
かかる原子発振器として、例えば、量子干渉効果の一つであるCPT(Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
CPTを利用した原子発振器は、例えば、特許文献1に開示されているように、アルカリ金属が封入されたアルカリ金属セル(原子セル)と、アルカリ金属セルにレーザー光を照射する光源と、アルカリ金属セルを透過した光を検出する光検出器と、を備えている。このような原子発振器は、光源からアルカリ金属原子に異なる2種類の波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光がアルカリ金属に吸収されずに透過する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象を利用している。そして、かかる発振器では、EIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を光検出器で検出し、そのEIT信号を基準信号として用いる。
また、特許文献1に記載の原子発振器では、光源から出射されるレーザー光をAOM(Acousto-Optic Modulator:音響光学素子)によりパルス化し、時間間隔を空けてレーザー光をアルカリ金属原子に照射することにより、ラムゼー共鳴を生じさせている。このようにラムゼー共鳴を生じさせることで、共鳴線幅を狭帯域化させることができ、よって、EIT信号を高い精度で検出できる。
特開2014−49886公報
しかし、特許文献1に記載の原子発振器では、AOM等の光学素子を用いてレーザー光をパルス化しているため、かかる光学素子を光源とアルカリ金属セルとの間に配置しなければならず、その結果、原子発振器が大型になるという問題がある。
本発明の目的は、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を有する量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の量子干渉装置は、アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
互いに周波数が異なる第1光および第2光を前記アルカリ金属原子に対して照射する光源部と、
前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、
前記第1光および前記第2光が前記アルカリ金属原子との相互作用による電磁誘起透過現象をラムゼー共鳴させるように、前記第1光および前記第2光の少なくとも一方の周波数を、前記電磁誘起透過現象を生じさせる周波数と生じさせない周波数とに交互に切り換えて変更する周波数変更部と、
前記光検出部の検出結果に基づいて前記ラムゼー共鳴を検出するラムゼー共鳴検出部と、を備えることを特徴とする量子干渉装置。
このような量子干渉装置によれば、光をパルス化する光学素子等を原子セルと光源部との間に配置しなくても、第1光および第2光の少なくとも一方の周波数を変更することで、電磁誘起透過現象のラムゼー共鳴を生じさせることができる。そのため、大型化を低減しつつ、EIT信号を用いた高精度な発振特性を有する量子干渉装置を実現することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記光源部は、バイアス電流に変調電流を重畳した電流が入力されることにより、前記バイアス電流に応じた中心周波数の光と、前記中心周波数から前記変調電流の周波数に応じてずれた周波数の前記第1光および前記第2光と、を出射することが好ましい。
これにより、光源部を1つの発光素子で構成することができる。そのため、光源部の小型化、ひいては、量子干渉装置の小型化を図ることができる。
本発明の量子干渉装置では、前記周波数変更部は、前記バイアス電流の電流値を変更することにより、前記中心周波数の変更に伴って前記第1光および前記第2光の各周波数を変更することが好ましい。
これにより、バイアス電流の電流値を変更する機能を追加するという比較的簡単な構成で周波数変更部を実現することができる。また、このような機能は、量子干渉装置の大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。
本発明の量子干渉装置では、前記光源部の温度を調節する温度調節部を備え、
前記周波数変更部は、前記温度調節部を制御することにより、前記中心周波数の変更に伴って前記第1光および前記第2光の各周波数を変更することが好ましい。
これにより、既存の温度調整部の設定温度を調整する機能を追加するという比較的簡単な構成で周波数変更部を実現することができる。また、このような機能は、量子干渉装置の大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。
本発明の量子干渉装置では、前記周波数変更部は、前記変調電流の周波数を変更することにより、前記第1光および前記第2光の各周波数を変更することが好ましい。
これにより、変調電流の電流値を変更する機能を追加するという比較的簡単な構成で周波数変更部を実現することができる。また、このような機能は、量子干渉装置の大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。
本発明の量子干渉装置では、前記光検出部の検出結果に基づく変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を分周して出力する分周器と、
前記分周器の出力を逓倍して前記変調電流を生成する位相同期回路と、を備え、
前記周波数変更部は、前記分周器の分周比を変更することにより、前記第1光および前記第2光の各周波数を変更することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、第1光および前記第2光の各周波数を変更することができる。
本発明の量子干渉装置では、前記光検出部の検出結果に基づく変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を逓倍して前記変調電流を生成する位相同期回路と、を備え、
前記周波数変更部は、前記位相同期回路の逓倍比を変更することにより、前記第1光および前記第2光の各周波数を変更することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、第1光および前記第2光の各周波数を変更することができる。
本発明の量子干渉装置では、アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
互いに周波数が異なる第1光および第2光を前記アルカリ金属原子に対して照射する光源部と、
前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、を備え、
前記第1光および前記第2光の少なくとも一方の周波数を変更することにより、前記アルカリ金属原子と前記第1光および前記第2光との相互作用による電磁誘起透過現象をラムゼー共鳴させることを特徴とする。
このような量子干渉装置によれば、光をパルス化する光学素子等を原子セルと光源部との間に配置しなくても、第1光および第2光の少なくとも一方の周波数を変更することで、電磁誘起透過現象のラムゼー共鳴を生じさせることができる。そのため、大型化を低減しつつ、EIT信号を用いた高精度な発振特性を有する量子干渉装置を実現することができる。
本発明の原子発振器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を有する原子発振器を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を有する量子干渉装置を備える電子機器を提供することができる。
本発明の移動体は、本発明の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を有する量子干渉装置を備える移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。 アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 光源部から出射される第1光および第2光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器の一部の回路図である。 光源部から出射される光の周波数スペクトラムを概略的に示すグラフである。 ラムゼーフリンジの一例を示すグラフである。 アルカリ金属の透過スペクトルと光の中心波長の変化量との関係を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。 EIT信号と光のサイドバンドの変化量との関係を説明する図である。 本発明の第4実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。 本発明の電子機器の実施形態を示す図である。 本発明の移動体の実施形態を示す図である。
以下、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。図2は、アルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。図3は、光源部から出射される第1光および第2光の周波数差と、光検出部で検出される光の強度との関係を示すグラフである。図4は、図1に示す原子発振器の一部の回路図である。図5は、光源部から出射される光の周波数スペクトラムを概略的に示すグラフである。図6は、ラムゼーフリンジの一例を示すグラフである。図7は、アルカリ金属の透過スペクトルと光の中心波長の変化量との関係を説明する図である。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果の一つであるCPT(Coherent Population Trapping)を利用した発振器であり、周波数精度の高いクロック信号を出力することができる。
図1に示すように、原子発振器1は、量子干渉ユニット2と、量子干渉ユニット2に電気的に接続されている回路部10とを有する。量子干渉ユニット2は、光を出射する光源22(光源部)と、例えばルビジウム原子やセシウム原子等のアルカリ金属原子が封入された原子セル21(ガスセル)と、光検出器23(光検出部)とを有する。回路部10は、検波回路31と、変調回路32と、低周波発振器33と、バイアス調整部34(周波数変更部)と、駆動回路35と、ラムゼー共鳴検出部41と、検波回路42と、電圧制御型水晶発振器43(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillators)と、変調回路44、低周波発振器45、位相同期回路46(PLL:phase locked loop)と、を有する。
この原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して波長の異なる2つの共鳴光を同時に照射すると、2つの共鳴光がアルカリ金属に吸収されずに透過する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象を利用している。かかる原子発振器1は、このEIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を用いて、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号を所定の周波数で安定させる。そして、原子発振器1は、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号を所望の周波数のクロック信号として出力する。
特に、原子発振器1では、光源22から出射する光の周波数を互いに異なる2つの周波数間で切り換えて変更して、当該光をアルカリ金属原子に照射することにより、ラムゼー共鳴を生じさせる。これにより、原子発振器1では、EIT信号を高い精度で検出でき、よって、高精度な発振特性を発揮することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次説明する。
〈量子干渉ユニット〉
図1に示す量子干渉ユニット2は、前述したように、光源22(光源部)と、原子セル21(ガスセル)と、光検出器23(受光部)とを有する。
(光源)
光源22は、原子セル21内のアルカリ金属原子を励起させる第1共鳴光および第2共鳴光を含む光を出射する機能を有する。光源22から出射した光は原子セル21に入射する。
光源22としては、前述した光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の半導体レーザー等を用いることができる。
(原子セル)
原子セル21内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(アルカリ金属原子)が封入されている。また、原子セル21内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてガス状のアルカリ金属とともに封入されていてもよい。
図2に示すように、アルカリ金属原子は、異なる2つの基底準位(第1基底準位および第2基底準位)と、励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。第1基底準位は、第2基底準位よりも低いエネルギー準位である。
ここで、第1基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数ωを有する共鳴光(第1共鳴光)、および、第2の基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数ωを有する共鳴光(第1共鳴光)を、それぞれ単独でアルカリ金属原子に照射すると光吸収が起きる。これに対し、第1共鳴光および第2共鳴光(共鳴光対)を同時に照射すると、第1共鳴光および第2共鳴光の双方がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する電磁誘起透過(EIT)現象が生じる。すなわち、このEIT現象は、第1共鳴光および第2共鳴光をアルカリ金属原子に同時に照射し、第1共鳴光の周波数ωと第2共鳴光の周波数ωとの周波数差(ω−ω)が、第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差ΔEに相当する周波数ωに一致したときに起きる。したがって、図3に示すように、周波数差(ω−ω)に応じて第1共鳴光および第2共鳴光のアルカリ金属原子における光吸収率(光透過率)は変化し、周波数差(ω−ω)が周波数ωに一致したときにEIT現象が起き、アルカリ金属原子を透過した第1共鳴光および第2共鳴光の強度が急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号と呼ぶ。このEIT信号は、アルカリ金属原子の種類によって決まった固有値をもっている。それゆえ、このようなEIT信号を基準として用いることにより、高精度な発振器を構成することができる。
例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子である場合、エネルギー差ΔEに相当する周波数ωは9.1926GHzであるので、セシウム原子に、周波数差(ω−ω)が9.1926GHzである2種類の光を同時に照射すると、EIT信号が検出される。
以上、原子セル21について説明したが、原子セル21は、原子セル21の温度を検出する温度センサー(図示せず)の検出結果に基づいて駆動されるヒーター(図示せず)により加熱されている。これにより、原子セル21中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。また、原子セル21の近傍には、例えば、通電によりアルカリ金属に磁場を印加するコイル等を有する磁場発生部(図示せず)が設けられている。この磁場発生部からの磁場によって、アルカリ金属原子の縮退している異なる複数のエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
また、上述した光源22と原子セル21との間には、波長板、減光フィルター、レンズ、偏光板等の光学部品が配置されていてもよい。
(光検出部)
光検出器23は、原子セル21内を透過した光(特に、第1共鳴光および第2共鳴光で構成された共鳴光対)を検出し、検出した光の強度に応じた検出信号を出力する。
光検出器23としては、前述した光の強度を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
〈回路部〉
図1に示す回路部10は、前述したように、検波回路31と、変調回路32と、低周波発振器33と、バイアス調整部34(周波数変更部)と、駆動回路35と、ラムゼー共鳴検出部41と、検波回路42と、電圧制御型水晶発振器43(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillators)と、変調回路44、低周波発振器45、位相同期回路46(PLL:phase locked loop)と、を有する。
検波回路31は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器33の出力信号(発振信号)を用いてその周波数で光検出器23の出力信号を同期検波する。変調回路32は、検波回路31による検波を可能とするために、低周波発振器33の出力信号(発振信号)を変調信号として検波回路31の出力信号を変調する。そして、変調回路32の出力信号は、駆動回路35に出力される。
駆動回路35は、変調回路32の出力信号に応じてバイアス電流を微調整して、光源22に供給するバイアス電流を設定する(光源22から出射する光の中心波長を設定する)。すなわち、光源22、原子セル21、光検出器23、検波回路31、変調回路32および駆動回路35を通るフィードバックループにより光源22が出射する光の中心波長λ0が制御(微調整)されることで、中心波長λ0が安定する。
また、駆動回路35は、バイアス電流に、後述する位相同期回路46(PLL)から出力された変調周波数fmの電流(変調電流)を重畳して光源22に供給する。例えば、図4に示すように、駆動回路35は、バイアス電流に変調電流を重畳して光源22に出力するバイアスティー351(高周波部品)等を有する。
図5に示すように、変調電流により、光源22から出射される光に周波数変調がかかると、バイアス電流に応じた中心周波数f0(中心波長λ0)の光とともに、その両側にサイドバンド光としてそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f1(=f0+fm)の第1光と周波数f2(=f0−fm)の光とが発生する。このように、光源22が、バイアス電流に変調電流を重畳した電流が入力されることにより、バイアス電流に応じた中心周波数f0の光と、中心周波数f0から変調電流の変調周波数fmに応じてずれた周波数の第1光および第2光と、を出射することにより、光源22を1つの発光素子で構成することができる。そのため、光源22の小型化、ひいては、原子発振器1の小型化を図ることができる。
図1に示すバイアス調整部34(周波数変更部)は、前述した駆動回路35で設定するバイアス電流の値(電流値)を所定の時間間隔で互いに異なる2つの電流値に交互に切り換えて変更する。例えば、バイアス電流が2mAであるときにEIT現象を生じ、バイアス電流が1mAであるときにEIT現象を実質的に生じない場合、バイアス電流の値を1mAと2mAとの2種類の値に交互に切り換えて変更する。このように、バイアス電流の値を変更することにより、光源22から出射される光の中心周波数f0が変化し、それに伴って、光源22から出射される第1光および第2光の各周波数も変化する。特に、バイアス調整部34は、EIT現象をラムゼー共鳴させる時間間隔でバイアス電流の値を切り換えるように構成されている。すなわち、バイアス調整部34は、第1光および第2光が原子セル21中のアルカリ金属原子との相互作用によるEIT現象をラムゼー共鳴させるように、第1光および第2光の周波数を、EIT現象を生じさせる周波数(第1周波数)と生じさせない周波数(第2周波数)とに交互に切り換えて変更する「周波数変更部」を構成している。なお、ラムゼー共鳴に関する事項は、後に詳述する。
ラムゼー共鳴検出部41は、光検出器23の出力信号を基に電磁誘起透過現象のラムゼー共鳴を検出する。このラムゼー共鳴検出部41は、前述したバイアス調整部34と同期しており、例えば、バイアス調整部34における一方の電流値から他方の電流値の切り換えタイミングをトリガーとして、所定の間隔における光検出器23からの出力信号を取得する。このラムゼー共鳴検出部41は、例えば、サンプルホールド回路等で構成される。
検波回路42は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器45の発振信号を用いてその周波数で光検出器23の出力信号を同期検波する。そして、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)は、検波回路42の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器43(VCXO)の発振周波数が微調整される。電圧制御水晶発振器43(VCXO)は、例えば、数十Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する。
変調回路44は、検波回路42による検波を可能とするために、低周波発振器45の発振信号を変調信号として電圧制御水晶発振器43(VCXO)の出力信号を変調する。これにより、変調回路44は、光検出器23の検出結果に基づく変調信号を出力する。
位相同期回路46は、一定の周波数変換率(逓倍比)で変調回路44の出力信号を変換して出力する。これにより、位相同期回路46は、変調回路44の出力を逓倍して変調電流を生成する。例えば、位相同期回路46は、原子セル21に封入された磁気量子数m=0のアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差の1/2(セシウム原子の場合は9.1926GHz/2=4.5963GHz)に等しい周波数の信号に変換する。なお、位相同期回路46は、変調回路44の出力信号を、原子セル21に封入された磁気量子数m=0のアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差(セシウム原子の場合は9.1926GHz)に等しい周波数の信号に変換するようにしてもよい。
そして、位相同期回路46の出力信号は、変調周波数fmの電流(変調電流)として駆動回路35に入力される。
光源22、原子セル21、光検出器23、ラムゼー共鳴検出部41、検波回路42、電圧制御水晶発振器43(VCXO)、変調回路44、位相同期回路46および駆動回路35を通るフィードバックループにより光源22が出射する周波数f0+fmの第1光と周波数f0−fmの光とが、アルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対になるように制御(微調整)される。
上述したように、EIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を光検出器で検出し、そのEIT信号を基準信号として利用して、位相同期回路46の出力信号および電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号をそれぞれ所定の周波数で安定させる。そして、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号は、外部に出力される。その際、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号は、必要に応じて、例えばDDS(Direct Digital Synthesizer)等の周波数変換回路(図示せず)によって所定の周波数変換率で所望の周波数に周波数変換してもよい。
以上説明したように構成された原子発振器1では、前述したように、EIT現象のラムゼー共鳴を生じさせることで、EIT信号を高い精度で検出することができる。以下、ラムゼー共鳴に関する事項について説明する。
(ラムゼー共鳴)
前述したように、バイアス調整部34(周波数変更部)は、前述した駆動回路35で設定するバイアス電流の値(電流値)を所定の時間間隔で互いに異なる2つの電流値に交互に切り換えて変更する。ここで、当該2つの電流値のうち、一方の電流値(以下、「第1電流値」ともいう)を用いたとき、EIT現象を生じ、他方の電流値(以下、「第2電流値」ともいう)を用いたとき、EIT現象を実質的に生じない。すなわち、第1電流値を用いたとき、第1光および第2光がEIT現象を生じさせる共鳴光対となり、第2電流値を用いたとき、第1光および第2光がEIT現象を生じさせる共鳴光対とはならない。以下、第1光および第2光がEIT現象を生じさせる状態を「EIT状態」、EIT現象を生じさせない状態を「非EIT状態」ともいう。
そして、第2電流値となる時間長さ(すなわち先行して第1電流値となるタイミングとこれに後続して第1電流値となるタイミングとの時間間隔)および第2電流値の大きさを適宜設定することで、非EIT状態を挟む2つのEIT状態を相互作用させて、EIT現象をラムゼー共鳴させて、図6に示すようなフリンジ状の波形を得ることができる。
第2電流値となる時間長さ、すなわち、EIT現象を実質的に生じない時間長さは、EIT現象をラムゼー共鳴させることができれば特に限定されないが、0.00002秒以上0.1秒以下であることが好ましく、0.0001秒以上0.02秒以下であることがより好ましい。すなわち、第1電流値および第2電流値を周期的に切り換える場合、その切り換え周波数(変調周波数)は、10Hz以上50kHz以下であることが好ましく、50Hz以上10kHz以下であることがより好ましい。これにより、EIT現象を効率的にラムゼー共鳴させることができる。これに対し、かかる周波数が小さすぎると、原子セル21内のアルカリ金属のEIT現象を保持することが難しく、一方、かかる周波数が大きすぎると、ラムゼー共鳴を生じさせることが難しい。
また、第2電流値の大きさは、第1光および第2光がEIT現象を実質的に生じさせない中心波長λ1を設定することができるものであればよい。
ここで、アルカリ金属原子は、図7に示すような透過スペクトル(吸収帯域)を有する。アルカリ金属原子がEIT現象を実質的に生じるのは、中心波長λ0(第1光および第2光がEIT現象を実質的に生じさせる波長)を中心とする約600MHzの範囲内である。したがって、第2電流値を用いたときの第1光および第2光の中心波長λ1は、この600MHzの範囲外にあることが好ましい。また、透過スペクトルの線幅(半値幅)は、約1GHzである。したがって、第2電流値を用いたときの第1光および第2光の中心波長λ1は、この1GHzの範囲外であることがより好ましい。一方、中心波長λ0に対する中心波長λ1のずれ量Δλは、大きすぎると、EIT状態と非EIT状態とを前述した時間長さで切り換えることが難しくなるばかりでなく、サイドバンド光の波長がアルカリ金属の吸収帯域に入ってしまう。
このような観点から、ずれ量Δλに相当する周波数のずれ量、すなわち、中心波長λ0に相当する周波数と中心波長λ1に相当する周波数の差は、300MHz以上、アルカリ金属の遷移周波数の1/2(例えばセシウムの場合4.6GHz)以下であることが好ましく、500MHz以上、アルカリ金属の遷移周波数の1/2以下であることがより好ましい。
以上説明したような原子発振器1によれば、光をパルス化する光学素子等を原子セル21と光源22との間に配置しなくても、第1光および第2光の周波数を変更することで、EIT現象のラムゼー共鳴を生じさせることができる。そのため、大型化を低減しつつ、EIT信号を用いた高精度な発振特性を発揮させることができる。
本実施形態では、前述したように、バイアス調整部34がバイアス電流の電流値を変更することにより中心周波数f0の変更に伴って第1光および第2光の各周波数を変更する。これにより、バイアス電流の電流値を変更する機能を追加するという比較的簡単な構成で「周波数変更部」を実現することができる。また、このような機能は、原子発振器1の大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。
本実施形態は、周波数変更部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図8に示す原子発振器1Aは、量子干渉ユニット2Aと、回路部10Aとを有している。
〈量子干渉ユニット〉
図8に示すように、量子干渉ユニット2Aは、原子セル21、光源22および光検出器23に加え、温度調節素子24および温度センサー25を有している。また、光源22、温度調節素子24および温度センサー25は、光源用パッケージ26に一括して収納されている。
[温度調節素子]
温度調節素子24は、光源22の温度を調節する「温度調節部」として機能する。本実施形態では、温度調節素子24は、ペルチェ素子である。ペルチェ素子は、一方が発熱側の面(発熱面)、他方が吸熱側の面(吸熱面)となる1対の面を有している。そして、ペルチェ素子は、供給される電流の向きを制御することにより、発熱面と吸熱面とを切り換えることができる。そのため、環境温度の範囲が広くても、光源22を所望の温度に温度調節することができる。
なお、温度調節素子24は、ペルチェ素子に限定されず、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)であってもよい。
[温度センサー]
温度センサー25は、光源22または温度調節素子24の温度を検出する機能を有する。この温度センサー25としては、特に限定されないが、例えば、サーミスタ、熱電対等を用いることができる。
[光源用パッケージ]
光源用パッケージ26は、光源22、温度調節素子24および温度センサー25を収納する収納空間として機能する。この収納空間は、減圧(真空)状態、減圧状態または窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入され状態であり、これにより、光源用パッケージ26の外部の温度変化が光源22や温度センサー25に与える影響を低減することができ、光源22や温度センサー25の温度変動を低減することができる。特に、光源用パッケージ26内は、減圧状態であることが好ましい。これにより、温度調節素子24による光源22の温度を俊敏に変化させることができる。
〈回路部〉
図8に示すように、回路部10Aは、第1実施形態のバイアス調整部34に代えて、温度制御部47を有する以外は、第1実施形態の回路部10と同様である。すなわち、回路部10Aは、検波回路31と、変調回路32と、低周波発振器33と、駆動回路35と、ラムゼー共鳴検出部41と、検波回路42と、電圧制御型水晶発振器43(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillators)と、変調回路44、低周波発振器45、位相同期回路46(PLL:phase locked loop)と、温度制御部47と、を有する。
[温度制御部]
温度制御部47は、温度センサー25の検出結果に基づいて、光源22からの光の中心波長が前述したλ0とλ1とに交互に切り換わるように、温度調節素子24の駆動を制御する機能を有する。より具体的には、温度制御部47は、EIT現象のラムゼー共鳴が生じるように、光源22の温度を、EIT現象を生じさせる温度(第1温度)と生じさせない温度(第2温度)とを交互に切り換えて変更する。すなわち、温度制御部47は、第1光および第2光が原子セル21中のアルカリ金属原子との相互作用によるEIT現象をラムゼー共鳴させるように、第1光および第2光の周波数を、EIT現象を生じさせる周波数(第1周波数)と生じさせない周波数(第2周波数)とに交互に切り換えて変更する「周波数変更部」を構成している。
このように、温度制御部47が温度調節素子24を制御することにより、中心周波数の変更に伴って第1光および第2光の各周波数を変更するため、既存の温度調節素子24の設定温度を調整する機能を追加するという比較的簡単な構成で「周波数変更部」を実現することができる。また、このような機能は、原子発振器1Aの大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。なお、温度制御部47による光源22の温度の切り換えのタイミングは、前述した第1実施形態の電流値の切り換えタイミングと同様である。
また、本実施形態では、ラムゼー共鳴検出部41は、前述した温度制御部47と同期しており、例えば、温度制御部47における温度の切り換えタイミングをトリガーとして、所定の間隔における光検出器23からの出力信号を取得する。
以上説明したような第2実施形態によっても、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。図10は、EIT信号と光のサイドバンドの変化量との関係を説明する図である。
本実施形態は、周波数変更部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図9に示す原子発振器1Bは、量子干渉ユニット2と、回路部10Bとを有している。回路部10Bは、第1実施形態のバイアス調整部34に代えて、分周器48および分周器制御部49を有する以外は、第1実施形態の回路部10と同様である。
分周器48は、変調回路44と位相同期回路46との間に設けられ、変調回路44の出力信号を分周して出力する。特に、この分周器48は、分周比が可変である。分周器48の出力は、位相同期回路46に入力される。
分周器制御部49は、分周器48の分周比を制御する機能を有する。これにより、光源22に入力される変調電流の周波数を、EIT現象を生じさせる制御とは独立して変更することができる。特に、分周器制御部49は、EIT現象のラムゼー共鳴が生じるように、分周器48の分周比を、EIT現象を生じさせる分周比(第1分周比)と生じさせない分周比(第2分周比)とを交互に切り換えて変更する。すなわち、分周器制御部49は、第1光および第2光が原子セル21中のアルカリ金属原子との相互作用によるEIT現象をラムゼー共鳴させるように、第1光および第2光の周波数を、EIT現象を生じさせる周波数(第1周波数)と生じさせない周波数(第2周波数)とに交互に切り換えて変更する「周波数変更部」を構成している。
ここで、分周器制御部49が切り換える分周器48の2つの分周比のうち、一方の分周比である第1分周比を用いたとき、EIT現象を生じ、他方の分周比である第2分周比を用いたとき、EIT現象を実質的に生じない。
第2分周比となる時間長さ、すなわち、EIT現象を実質的に生じない時間長さは、前述した第1実施形態の第2電流値となる時間長さと同様である。
また、第2分周比の大きさは、第1光および第2光がEIT現象を実質的に生じさせないサイドバンドの波長を設定することができるものであればよい。
ここで、アルカリ金属原子のEIT信号は、図10に示すように、1kHz以下の線幅(半値幅)を有するが、EIT現象を生じさせないためには、第2分周比を用いたときの変調電流の周波数ω1は、第1分周比を用いたときの変調電流の周波数ω1に対して、この線幅の2倍以上のずれ量Δωでずれていることが好ましい。一方、ずれ量Δωは、大きすぎると、EIT状態と非EIT状態とを前述した時間長さで切り換えることが難しい。
このような観点から、ずれ量Δωは、2kHz以上1GHz以下であることが好ましく、3kHz以上500MHz以下であることがより好ましい。
このように、分周器制御部49が変調電流の周波数を変更することにより第1光および第2光の各周波数を変更する。そのため、変調電流の電流値を変更する機能を追加するという比較的簡単な構成で「周波数変更部」を実現することができる。また、このような機能は、原子発振器1Bの大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。特に、分周器制御部49が分周器48の分周比を変更することにより第1光および第2光の各周波数を変更するため、比較的簡単な構成で、第1光および第2光の各周波数を変更することができる。
また、本実施形態では、ラムゼー共鳴検出部41は、前述した分周器制御部49と同期しており、例えば、分周器制御部49における変調電流の周波数の切り換えタイミングをトリガーとして、所定の間隔における光検出器23からの出力信号を取得する。
以上説明したような第3実施形態によっても、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の概略構成を示す模式図である。
本実施形態は、周波数変更部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図11に示す原子発振器1Cは、量子干渉ユニット2と、回路部10Cとを有している。回路部10Cは、第1実施形態のバイアス調整部34および位相同期回路46に代えて、位相同期回路46Cおよび位相同期回路制御部50を有する以外は、第1実施形態の回路部10と同様である。
位相同期回路46Cは、変調回路44と駆動回路35との間に設けられ、変調回路44の出力信号を逓倍して出力する。特に、この位相同期回路46Cは、フラクショナル位相同期回路(F−PLL)であり、逓倍比が可変である。位相同期回路46Cの出力は、変調電流として駆動回路35に入力される。
位相同期回路制御部50は、位相同期回路46Cの逓倍比を制御する機能を有する。これにより、光源22に入力される変調電流の周波数を、EIT現象を生じさせる制御とは独立して変更することができる。特に、位相同期回路制御部50は、EIT現象のラムゼー共鳴が生じるように、位相同期回路46Cの逓倍比を、EIT現象を生じさせる逓倍比(第1逓倍比)と生じさせない逓倍比(第2逓倍比)とを交互に切り換えて変更する。すなわち、位相同期回路制御部50は、第1光および第2光が原子セル21中のアルカリ金属原子との相互作用によるEIT現象をラムゼー共鳴させるように、第1光および第2光の周波数を、EIT現象を生じさせる周波数(第1周波数)と生じさせない周波数(第2周波数)とに交互に切り換えて変更する「周波数変更部」を構成している。
ここで、位相同期回路制御部50が切り換える位相同期回路46Cの2つの逓倍比のうち、一方の逓倍比である第1逓倍比を用いたとき、EIT現象を生じ、他方の逓倍比である第2逓倍比を用いたとき、EIT現象を実質的に生じない。
第2逓倍比となる時間長さ、すなわち、EIT現象を実質的に生じない時間長さは、前述した第1実施形態の第2電流値となる時間長さと同様である。
また、第2逓倍比の大きさは、前述した第3実施形態の第2分周比による変調周波数と同様の変調周波数を設定することができるものであればよい。
このように、位相同期回路制御部50が変調電流の周波数を変更することにより第1光および第2光の各周波数を変更するため、変調電流の電流値を変更する機能を追加するという比較的簡単な構成で「周波数変更部」を実現することができる。また、このような機能は、原子発振器1Cの大型化を招くことなく既存の回路部に追加可能である。特に、位相同期回路制御部50が位相同期回路46Cの逓倍比を変更することにより第1光および第2光の各周波数を変更するため、比較的簡単な構成で、第1光および第2光の各周波数を変更することができる。
また、本実施形態では、ラムゼー共鳴検出部41は、前述した位相同期回路制御部50と同期しており、例えば、位相同期回路制御部50における変調電流の周波数の切り換えタイミングをトリガーとして、所定の間隔における光検出器23からの出力信号を取得する。
以上説明したような第4実施形態によっても、大型化を低減しつつ、高精度な発振特性を発揮することができる。
2.電子機器
以下、本発明の電子機器について説明する。
図12は、本発明の電子機器の実施形態を示す図である。
図12に示す測位システム100(電子機器)は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
3.移動体
図13は、本発明の移動体の実施形態を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
このような移動体によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の原子発振器(量子干渉装置)を備える電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体は、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
1…原子発振器、1A…原子発振器、1B…原子発振器、1C…原子発振器、2…量子干渉ユニット、2A…量子干渉ユニット、10…回路部、10A…回路部、10B…回路部、10C…回路部、21…原子セル、22…光源、23…光検出器、24…温度調節素子、25…温度センサー、26…光源用パッケージ、31…検波回路、32…変調回路、33…低周波発振器、34…バイアス調整部、35…駆動回路、41…ラムゼー共鳴検出部、42…検波回路、43…電圧制御型水晶発振器、44…変調回路、45…低周波発振器、46…位相同期回路、46C…位相同期回路、47…温度制御部、48…分周器、49…分周器制御部、50…位相同期回路制御部、100…測位システム、200…GPS衛星、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、351…バイアスティー、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、f0…中心周波数、f1…周波数、f2…周波数、fm…変調周波数、ΔE…エネルギー差、Δλ…ずれ量、Δω…ずれ量、λ0…中心波長、λ1…中心波長、ω…周波数、ω…周波数、ω…周波数

Claims (5)

  1. アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
    バイアス電流に変調電流を重畳した電流が入力されることにより、前記バイアス電流に応じた中心周波数の光と、前記変調電流の周波数に応じて前記中心周波数からずれた周波数で、互いに周波数が異なる第1光および第2光を前記アルカリ金属原子に対して照射する光源部と、
    前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、
    前記変調電流の周波数を変更することによって、前記第1光および前記第2光と前記アルカリ金属原子との相互作用による電磁誘起透過現象をラムゼー共鳴させるように、前記第1光の周波数および前記第2光の周波数を、前記電磁誘起透過現象を生じさせる周波数と前記電磁誘起透過現象を生じさせない周波数とに交互に切り換える周波数変更部と、
    前記光検出部の検出結果に基づいて前記ラムゼー共鳴を検出するラムゼー共鳴検出部と、を備えることを特徴とする、量子干渉装置。
  2. 前記光検出部の検出結果に基づく変調信号を出力する変調回路と、
    前記変調信号を分周して出力する分周器と、
    前記分周器の出力を逓倍して前記変調電流を生成する位相同期回路と、を備え、
    前記周波数変更部は、前記分周器の分周比を変更することにより、前記変調電流の周波数を変更する、請求項に記載の量子干渉装置。
  3. 前記光検出部の検出結果に基づく変調信号を出力する変調回路と、
    前記変調信号を逓倍して前記変調電流を生成する位相同期回路と、を備え、
    前記周波数変更部は、前記位相同期回路の逓倍比を変更することにより、前記変調電流の周波数を変更する、請求項に記載の量子干渉装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする電子機器。
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