JP6069886B2 - 量子干渉装置、原子発振器、電子機器及び量子干渉方法 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、電子機器及び量子干渉方法 Download PDF

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本発明は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置、原子発振器、電子機器及び量子干渉方法に関する。
図19に示すように、アルカリ金属原子は、タームシンボル21/2で表される基底準位と、タームシンボル21/223/2で表される2つの励起準位とを有することが知られている。さらに、21/221/223/2の各準位は、複数のエネルギー準位に分裂した超微細構造を有している。具体的には、21/2はI+1/2とI−1/2の2つの基底準位を持ち、21/2はI+1/2とI−1/2の2つの励起準位を持ち、23/2はI+3/2,I+1/2,I−1/2,I−3/2の4つの励起準位を持っている。ここで、Iは核スピン量子数である。
21/2のI−1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、23/2のI+1/2,I−1/2,I−3/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I+3/2の励起準位に遷移することはできない。21/2のI+1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、23/2のI+3/2,I+1/2,I−1/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I−3/2の励起準位に遷移することはできない。これらは、電気双極子遷移を仮定した場合の遷移選択則による。逆に、23/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して21/2のI+1/2又はI−1/2の基底準位(元の基底準位又は他方の基底準位のいずれか)に遷移することができる。ここで、21/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と23/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位からなる3準位(2つの基底準位と1つの励起準位からなる)は、D2線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位と呼ばれる。これに対して、23/2のI−3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず21/2のI−1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移し、同様に、23/2のI+3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず21/2のI+1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移する。すなわち、21/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と23/2のI−3/2又はI+3/2の励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・放出によるΛ型の遷移が不可能であることからΛ型3準位を形成しない。
気体状のアルカリ金属原子に、Λ型3準位を形成する第1の基底準位(21/2のI−1/2の基底準位)と励起準位(例えば、23/2のI+1/2の励起準位)とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光1とする)と、第2の基底準位(21/2のI+1/2の基底準位)と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光2とする)とを同時に照射すると、2つの基底準位の重ね合わせ状態、即ち量子コヒーレンス状態(暗状態)になり、励起準位への励起が停止する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれることもある)が起こることが知られている。このEIT現象を起こす共鳴光対(共鳴光1と共鳴光2)の周波数差はアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数と正確に一致する。例えば、セシウム原子は、2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数は9.192631770GHzであるので、セシウム原子に、周波数差が9.192631770GHzの2種類のD1線又はD2線のレーザー光を同時に照射すると、EIT現象が起こる。
従って、図20に示すように、周波数がf1の光と周波数がf2の光を気体状のアルカリ金属原子に同時に照射したとき、この2光波が共鳴光対となってアルカリ金属原子がEIT現象を起こすか否かでアルカリ金属原子を透過する光の強度が急峻に変化する。この急峻に変化する透過光の強度を示す信号はEIT信号(共鳴信号)と呼ばれ、共鳴光対の周波数差f1−f2がΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するときにEIT信号のレベルがピーク値を示す。そこで、EIT信号のピークトップを検出し、アルカリ金属原子に照射する2光波の光の周波数差f1−f2がΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するように制御することで、高精度な発振器を実現することができる。
ところで、気体状のアルカリ金属原子の集団を構成する個々の原子に着目すると、それぞれの運動状態に応じた一定の速度分布を持っている。図21は、容器に閉じ込められた気体状のアルカリ金属原子集団の速度分布の概略図を示したものである。図21の横軸は気体状のアルカリ金属原子の速度を、縦軸はその速度を有する気体状のアルカリ金属原子の数の割合を示している。図21に示すように、速度0を中心として気体状のアルカリ金属原子は温度に応じた一定の速度分布を持つ。ここで、速度とは、レーザー光を気体状のアルカリ金属原子集団に照射した時の、照射方向に平行な原子速度成分を表し、光源に対し相対的に静止している速度の値を0としている。このように、気体状のアルカリ金属原子の速度に分布があると、ドップラー効果(ドップラーシフト)により共鳴光の見かけ上の波長(周波数)、すなわち気体状のアルカリ金属原子から見た共鳴光の波長(周波数)に分布を生じる。これは、速度の異なる原子では励起準位が見かけ上異なることを意味するので、図22に示すように、励起準位が一定の幅の拡がり(ドップラー拡がり)を持つことになる。従って、1対の共鳴光1と共鳴光2を同時に照射しても、実際にEIT現象を起こすことができるのはレーザーの入射方向に対する特定の速度成分の値(例えば0)を持ったごく一部の原子に限られてしまい、EIT現象を起こさないアルカリ金属原子が相当数存在することになり、EIT発現に寄与する原子の割合が極めて低い。
そこで、特許文献1や特許文献2では、光源と受光部を同一平面内に設け、光源から出射された光がセルの内部で複数回反射した後に受光部に到達するように構成する手法が提案されている。これらの手法によれば、セル内の光の経路を長くすることで、EIT現象を起こす原子の数を増やすことができる。
米国特許第7064835号明細書 特開2007−173445号公報
しかしながら、いずれの手法でも、セル内の各位置では1方向の光のみが通過するので、各位置でEIT現象を起こす原子は、光の進行方向の速度成分が所定値の原子に限られ、EIT発現効率は低いままである。
このように、EIT発現効率が低い状態において、EIT信号の強度を大きくするためには、セルの厚みか或いは高さの何れかを大きくしなければならず、小型化することが困難であるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、セルの容積を増加させずにEIT発現効率を向上させることができる量子干渉装置、原子発振器、電子機器及び量子干渉方法を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る量子干渉装置は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置であって、 前記共鳴光対を発生させるための光発生部と、前記原子の集団を収容し、前記共鳴光対が入射する原子セルと、前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、を含み、複数の前記共鳴光対が、互いに異なる方向に沿って進み、前記原子セル内で重なる
本適用例に係る量子干渉装置では、原子の集団が収容されている原子セルに、複数の共鳴光対が互いに異なる方向から入射して、前記原子セル内で重なるので、当該原子は、当該複数の共鳴光対の進行方向のいずれかと同じ方向の速度成分が当該共鳴光対の周波数に応じた速度と一致すれば、EIT現象を起こす。従って、本適用例に係る量子干渉装置によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が高くなり、原子セルの容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。
[適用例2]
上記適用例に係る量子干渉装置は、前記共鳴光対を反射する光反射部を含み、前記光反射部で反射する前の前記共鳴光対と、前記光反射部で反射した後の他の前記共鳴光対とが、前記原子セル内で重なるようにしてもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、共鳴光対を反射させることで、簡単な構成で、進行方向の異なる共鳴光対原子セル内で重ねることができる。
[適用例3]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記光反射部は、前記原子セルの入射面及び出射面のいずれとも異なる面に形成されていてもよい。
例えば、光反射部は、原子セルの入射面及び出射面のいずれとも異なる面に貼付された光を反射する部材であってもよいし、当該面に蒸着して形成された金属膜であってもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、光反射部を原子セルの面に形成するので、量子干渉装置の小型化が容易になる。
[適用例4]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記光反射部は、前記ガスセルの入射面及び出射面のいずれとも異なる面に付着した前記原子の集団の蒸気源となる固体原子の膜であってもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、原子セルに収容されている原子を利用して光反射部を形成するので、光反射部を別途設ける必要がなく、量子干渉装置の小型化が容易になる。
[適用例5]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記原子セルは、2つの三角形状の底面と3つの矩形状の側面を有する三角柱型であり、前記共鳴光対は、前記原子セルに第1の前記側面から入射し、第2の前記側面に形成され、又は当該第2の側面に対向して配置された前記光反射部で反射し、第3の前記側面から出射するようにしてもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、簡単な構成で、原子に、光反射部で反射する前
共鳴光対と光反射部で反射した後の他の共鳴光対を入射させることができる。
特に、前記原子セルは、前記2つの底面の形状がともに直角三角形であり、前記第1の側面と前記第3の側面が直交しているようにしてもよい。
このようにすれば、第1の側面(入射面)と直交する方向から原子セルに入射した光は
、第2の側面に45度の角度で入射して90度反射し、第3の側面(出射面)と直交する
方向に原子セルを出射する。従って、原子セルの任意の位置にある原子に、第1の側面と
直交する方向に進行する共鳴光対と第3の側面と直交する方向に進行する共鳴光対が入射するので、EIT発現効率を全体として向上させることができる。
[適用例6]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記共鳴光対は、強度の空間分布が、中心部の強度が高く、前記中心部からの距離が遠くなるほど強度が低くなり、前記中心部が前記原子セルの入射面の重心と一致するように前記原子セルに入射するようにしてもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、原子に強度が比較的高い複数の共鳴光対が入射するので、EIT発現効率を高めることができる。
[適用例7]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記共鳴光対の強度の半値全幅の1/2をr0、前記原子セルの入射面の裏側の内壁面の重心と他の内壁面との最小距離をrminとした時、r0≧rminであってもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、多くの原子にピーク値の半分以上の強度の複数
共鳴光対が入射するので、EIT発現効率を高めることができる。
[適用例8]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記共鳴光対の強度の半値全幅の1/2をr0、前記原子セルの入射面の裏側の内壁面の重心と他の内壁面との最小距離及び最大距離をそれぞれrmin及びrmaxとした時、rmin≦r0≦rmaxであってもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、EIT発現効率を高めるとともに光発生部のパワー効率も比較的高く維持することができる。
[適用例9]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記光発生部は、周波数が異なる複数種類の
前記共鳴光対を発生させて前記原子セルに照射するようにしてもよい。
本適用例に係る量子干渉装置では、複数種類の共鳴光対は、互いに周波数が異なるため、それぞれ速度の異なる原子に対する共鳴光対となる。そして、各原子には各共鳴光対が複数の異なる方向から入射するので、EIT現象を起こす原子の数を大幅に増やすことができる。従って、本適用例に係る量子干渉装置によれば、原子セルの容積を増やさずにEIT発現効率を大幅に向上させることができる。
[適用例10]
本適用例に係る原子発振器は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる原子発振器であって、前記共鳴光対を発生させるための光発生部と、前記原子の集団を収容し、前記共鳴光対が入射する原子セルと、前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、を含み、複数の共鳴光対が、互いに異なる方向に沿って進み、前記原子セル内で重なる。
本適用例に係る原子発振器では、原子の集団が収容されている原子セルに、複数の共鳴光対が互いに異なる方向から入射して、前記原子セル内で重なるので、当該原子は、当該複数の共鳴光対の進行方向のいずれかと同じ方向の速度成分が当該共鳴光対の周波数に応じた速度と一致すれば、EIT現象を起こす。従って、本適用例に係る原子発振器によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が高くなり、原子セルの容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。その結果、光検出部の検出信号のピークが高くかつ急峻になるので、この検出信号をプローブとすることで、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
[適用例11]
本適用例に係る電子機器は、上記の原子発振器を備える。
[適用例12]
本適用例に係る量子干渉方法は、共鳴光対によって、原子セルに収容された原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉方法であって、前記共鳴光対を発生させ、複数の前記共鳴光対を、互いに異なる方向に沿って進ませ、前記原子セル内で重ねさせ、前記原子セルを透過した光を検出する。
本適用例に係る量子干渉方法では、原子の集団が収容されている原子セルに、複数の共鳴光対を互いに異なる方向から入射させ互いに異なる方向に沿って進ませ、前記原子セル内で重ねさせることができるので、当該原子は、当該複数の共鳴光対と同じ方向の速度成分が当該共鳴光対の周波数に応じた速度と一致すれば、EIT現象を起こす。従って、本適用例に係る量子干渉方法によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が高くなり、原子セルの容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。

原子発振器の構成例を示す図。 EIT発現部の構造例を示す図。 ガスセルを示す図。 半導体レーザーの出射光の周波数スペクトラムの一例を示す概略図。 EIT現象を起こす原子についての説明図。 半導体レーザーの出射光の強度の空間分布を示す概略図。 半導体レーザーの出射光のビーム径と原子セルの入射面との関係を示す図。 第2実施形態におけるEIT発現部の構造例を示す図。 第2実施形態におけるヒーターの配置の一例を示す図。 第3実施形態におけるEIT発現部の構造例を示す図。 第3実施形態においてEIT現象を起こす原子についての説明図。 第4実施形態におけるEIT発現部の構造例を示す図。 第4実施形態におけるガスセルを示す図。 第4実施形態においてEIT現象を起こす原子についての説明図。 第5実施形態の原子発振器の構成例を示す図。 第5実施形態における半導体レーザーの出射光の周波数スペクトラムの一例を示す概略図。 本実施形態の電子機器の模式図。 変形例における半導体レーザーの出射光の周波数スペクトルを示す概略図。 アルカリ金属原子のエネルギー準位を模式的に示す図。 EIT信号の一例を示す概略図。 気体状のアルカリ金属原子集団の速度分布の概略図。 アルカリ金属原子の運動によるドップラー効果を考慮したエネルギー準位を模式的に示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、量子干渉装置の一例である原子発振器を例に挙げて説明する。
1.第1実施形態
1−1.機能構成
図1は、本実施形態の原子発振器の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の原子発振器1は、半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、変調回路150、低周波発振器160、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、低周波発振器200、周波数変換回路210、駆動回路220を含んで構成されている。なお、本実施形態の原子発振器は、適宜、図1の構成要素(各部)の一部を省略又は変更したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
半導体レーザー110(光発光部の一例)は、複数の2光波を含む光を発生させ、ガスセル120に照射する。半導体レーザーとしては、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)や、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の面発光レーザーなどを用いることができる。特に、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)は、チップの上面に発光部を形成するので小型化に特に有利である。
ガスセル120(原子セルの一例)は、容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)が封入されたものであり、ガスセル120を透過した光は、光検出器130に入射する。
光検出器130(光検出部の一例)は、入射した光を検出し、光の強度に応じた検出信号を出力する。光検出器130として、フォトダイオード(PD:Photodiode)等が用いられる。
この半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130により、EIT発現部100(EIT発現装置)が構成されている。図2は、本実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。また、図3(A)はガスセル120の斜視図であり、図3(B)は、図3(A)のガスセル120をA−A’で切断した断面図である。
図2の例では、EIT発現部100は、半導体レーザー110(垂直共振器面発光レーザー(VCSEL))の発光面側にコリメートレンズ101とガスセル120が所定の間隔を設けて配置されている。
半導体レーザー110の発光面と反対側の面にはペルチェ素子103が設けられており、半導体レーザー110の温度が一定に保持されている。
ガスセル120は、底面(上面124と下面125)が直角三角形(望ましくは二等辺直角三角形)の三角柱型の透明な容器(例えばガラス容器)の中に気体状のアルカリ金属原子が封入されたものであり、矩形状の側面121(第1の側面)がコリメートレンズ101と対向するように配置されている。また、ガスセル120の矩形状の側面122(第2の側面)にはミラー102(光反射部の一例)が貼付されている。また、ガスセル120の矩形状の側面123(第3の側面)と対向する位置に光検出器130が設けられている。
半導体レーザー110が発生させた光は、コリメートレンズ102で平行光にされてガスセル120に側面121から入射する。すなわち、本実施形態では、側面121が入射面に相当する。ガスセル120に入射した光は、ミラー102で反射し、側面123から出射する。すなわち、本実施形態では、側面123が出射面に相当する。ガスセル120から出射した光は、光検出器130に入射する。
なお、図1では、コリメートレンズ101、ミラー102、ペルチェ素子103は図示を省略している。また、図1及び図2では、ガスセル120の内部に存在するアルカリ金属原子を気化させるためのヒーターも図示を省略している。
図1に示すように、光検出器130の出力信号は検波回路140と検波回路170に入力される。検波回路140は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器160の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。変調回路150は、検波回路140による同期検波を可能とするために、低周波発振器160の発振信号(検波回路140に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として検波回路140の出力信号を変調して駆動回路220に出力する。変調回路150は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路等により実現することができる。
検波回路170は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器200の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。そして、検波回路170の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数が微調整される。電圧制御水晶発振器(VCXO)180は、例えば、数MHz〜数10MHz程度で発振する。
変調回路190は、検波回路170による同期検波を可能とするために、低周波発振器200の発振信号(検波回路170に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)180の出力信号を変調する。変調回路190は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM)回路、振幅変調(AM)回路等により実現することができる。
周波数変換回路210は、一定の周波数変換率で変調回路190の出力信号を周波数変換して駆動回路220に出力する。周波数変換回路210は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路により実現することができる。
駆動回路220は、半導体レーザー110のバイアス電流を設定するとともに、変調回路150の出力信号に応じて当該バイアス電流を微調整して半導体レーザー110に供給する。すなわち、半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、変調回路150、駆動回路220を通るフィードバックループ(第1のフィードバックループ)により、半導体レーザー110が発生させる光の中心波長λ0(中心周波数f0)が微調整される。
具体的には、アルカリ金属原子の23/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)、アルカリ金属原子の23/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)に対して、中心波長λ0が(λ1+λ2)/2とほぼ一致する(中心周波数f0が(f1+f2)/2とほぼ一致する)ように制御される。あるいは、アルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)、アルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)に対して、中心波長λ0が(λ1+λ2)/2とほぼ一致する(中心周波数f0が(f1+f2)/2とほぼ一致する)ように制御されるようにしてもよい。
駆動回路220は、さらに、バイアス電流に、周波数変換回路210の出力周波数成分(変調周波数fm)の電流(変調電流)を重畳して半導体レーザー110に供給する。この変調電流により、半導体レーザー110に周波数変調がかかり、中心周波数f0の光とともに、その両側にそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f0±fm、f0±2fm、・・・の光を発生させる。図4に、半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトラムを示す。図4において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
本実施形態では、半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、周波数変換回路210、駆動回路220を通るフィードバックループ(第2のフィードバックループ)により、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光がガスセル120に封入されているアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となるように、すなわち、この2光波の周波数差2fmがΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するように微調整される。言い換えると、第2のフィードバックループにより、周波数変換回路210の出力周波数fmがf12/2と正確に一致するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、ΔE12に相当する周波数が9.192631770GHzなので、周波数変換回路280の出力信号の周波数が4.596315885GHzと一致した状態で安定する。
周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光からなる2光波は、ガスセル120に封入された原子のうち、当該2光波の進行方向(光の波数ベクトルの方向)の速度成分が所定値v0の原子にEIT現象を生じさせる共鳴光対となる。このv0は、静止しているアルカリ金属原子の励起準位と2つの基底準位とのエネルギー差にそれぞれ相当する周波数をf1(0)及びf2(0)とした時、半導体レーザー110が発生させる光の中心周波数f0と(f1(0)+f2(0))/2との差に応じて決まる。f0=(f1(0)+f2(0))/2であればv0=0、f0>(f1(0)+f2(0))/2であればv0>0、f0<(f1(0)+f2(0))/2であればv0<0である。
図5は、2光波と共鳴してEIT現象を起こす原子についての説明図であり、図4(B)と同じガスセル120の断面図である。
図5に示すように、ガスセル120の入射面(側面121)に入射する2光波の進行方向をx軸、当該2光波がミラー102で反射した後の進行方向をy軸、x軸とy軸にともに直交する軸をz軸とすると、原子2aには、x軸方向に進行する2光波Qとy軸方向に進行する2光波Pが入射する。同様に、原子2bには、x軸方向に進行する2光波Rとy軸方向に進行する2光波Pが入射し、原子2cには、x軸方向に進行する2光波Rとy軸方向に進行する2光波Qが入射する。従って、原子2a,2b,2cは、x軸方向の速度成分vxが所定の速度v0に一致するか、y軸方向の速度成分vyがv0に一致すれば、EIT現象を起こす。例えば、v0=0であれば、原子2a,2b,2cは、静止しているか、あるいは、x軸又はy軸と直交する方向に動いていればEIT現象を起こす。
図5では、3つの2光波P,Q,Rのみを図示しているが、実際には、半導体レーザー110の出射光には無数の2光波が含まれるから、ガスセル120のあらゆる位置にある原子に対して2方向から2光波が入射する。
従来のガスセルでは、各原子は1方向(x軸方向)の2光波しか入射しないので、例えば、f0=(f1(0)+f2(0))/2であれば、静止しているか、あるいは、x軸と直交する方向に移動する原子しかEIT現象を起こさない。これに対して、本実施形態では、各原子に2方向(x軸方向とy軸方向)の2光波が入射するため、静止しているか、x軸又はy軸と直交する方向に移動する原子がEIT現象を起こす。つまり、従来と比較してEIT発現効率が2倍近くになる。従って、ピークが高く、かつ、線幅が狭い、極めて急峻なEIT信号(共鳴信号)が得られる。
上述した第2のフィードバックループにより、光検出器130の出力信号が、この極めて急峻なEIT信号のピーク付近になるようにロックがかかる。これにより、原子発振器1は、安定発振を維持し、極めて高い周波数安定度を実現することができる。
なお、ガスセル120に入射する光の強度によってもEIT発現効率が変わり、一般に、強度が高いほどEIT発現効率が高くなる。
図6は、半導体レーザー110の出射光の強度の空間分布を示す概略図である。図6において、横軸は、出射光の進行方向と直交する任意の軸上の位置(出射光の中心を原点とする)であり、縦軸は強度(パワー)である。図6に示すように、半導体レーザー110の出射光の強度の空間分布は、理想的には、中心の強度が最も高く、中心からの距離が遠くなるほど強度が低くなるガウス分布(正規分布)となる。本実施形態では、強度がピーク値Pmaxの半分となる中心からの距離の2倍として定義される半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)の1/2を出射光のビーム径(半径)r0と定義する。
図7は、半導体レーザー110の出射光のビーム径と原子セル120の入射面(側面121)との関係を示した図である。本実施形態では、半導体レーザー110の出射光を、その中心部がガスセル120の入射面(側面121)の重心と一致するように、ガスセル120に入射させる。半導体レーザー110の出射光のビーム径r0(=1/2×FWHM)を、ガスセル120の入射面(側面121)の裏側の内壁面の重心と他の内壁面(側面122、側面123、上面124、下面125の内壁面)との最小距離rmin以上(r0≧rmin)に設定すると、多くの原子にピーク値の半分以上の強度の2光波が2方向から入射するので、EIT発現効率を比較的高くすることができる。
一方、半導体レーザー110の出射光のビーム径r0(=1/2×FWHM)を、ガスセル120の入射面(側面121)の裏側の内壁面の重心と他の内壁面(側面122、側面123、上面124、下面125の内壁面)との最大距離rmax以上(r0≧rmax)に設定すると、すべての原子にピーク値の半分以上の強度の2光波が2方向から入射するので、EIT発現効率をさらに高くすることができる。しかし、ピーク値の半分以上の強度の2光波の一部は、ガスセル120の外部に照射されることになるので、半導体レーザー110のパワー効率が低下する。また、半導体レーザー110の強度が高すぎると、パワーブロードニング効果により、EIT信号の線幅が広くなってしまう。
そこで、rmin≦r0≦rmaxに設定することで、EIT発現効率を比較的高くするとともに半導体レーザー110のパワー効率も比較的高く維持することができる。
以上に説明した第1実施形態の原子発振器では、ガスセル120を三角柱の形状とし、側面121から入射した各2光波がミラー102で反射して側面123から出射するので、各原子に2方向から異なる2光波が入射することになる。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が約2倍になり、ガスセル120の容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
また、本実施形態の原子発振器によれば、ミラー102をガスセル120の側面122に貼付することで、ミラー102を配置するためのスペースがほとんど必要なく、小型化に有利である。
2.第2実施形態
第2実施形態の原子発振器は、EIT発現部100の構造が他の実施形態と異なる。第2実施形態の原子発振器の構成例は、図1と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
図8は、第2実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。図8において、図2と同じ構成要素には同じ符号を付している。
図8に示すように、本実施形態では、半導体レーザー110、コリメートレンズ101、ガスセル120、光検出器130の配置は、第1実施形態(図2)と同じであるが、ミラー102は設けられていない。その代わりに、ガスセル120の側面122の内壁面に全体的にアルカリ金属膜2x(光反射部の一例)が形成されている。このアルカリ金属膜2xは、気体状のアルカリ金属原子の元となる蒸気源であり、ガスセル120の側面122の温度を、アルカリ金属原子が気化しない程度の温度にすることで形成することができる。
本実施形態では、ガスセル120に入射した光は、アルカリ金属膜2xで反射してガスセル120から出射し、光検出器130に入射する。
図9(A)及び図9(B)は、ガスセル120の側面122にアルカリ金属膜2xを形成するためのヒーターの配置の一例を示す図である。図9(A)はガスセル120とヒーターの斜視図であり、図9(B)は、図9(A)のガスセル120とヒーターをA−A’で切断した断面図である。
図9(A)及び図9(B)の例では、ガスセル120の入射面(側面121)と出射面(側面123)にそれぞれ透明導電膜(ITO:Indium Tin Oxide)が貼付されている。透明導電膜(ITO)は、電流を流すことで発熱し、ヒーターとして機能する。透明導電膜(ITO)が発熱すると、ガスセル120の内部に温度勾配が生じ、入射面(側面121)と出射面(側面123)の近くの温度が最も高くなり、側面122の近くの温度が最も低くなる。従って、透明導電膜(ITO)に流す電流を調整し、その発熱量を制御することで、側面122の近くのみアルカリ金属原子が気化しない程度の温度にすることができる。これにより、ガスセル120の側面122の内壁面にのみ全体的にアルカリ金属膜2xを形成することができる。
なお、第2実施形態の原子発振器の動作は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、第2実施形態の原子発振器では、ガスセル120を三角柱の形状とし、側面121から入射した各2光波がガスセル120の側面122に形成されたアルカリ金属膜2xで反射して側面123から出射するので、各原子に2方向から異なる2光波が入射することになる。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が約2倍になり、ガスセル120の容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
また、本実施形態の原子発振器によれば、ガスセル120の内部に必ず存在する蒸気源を光反射部として兼用させるので、ミラー等の光反射部を別途設ける必要がなく、コストダウンや小型化に有利である。
3.第3実施形態
第3実施形態の原子発振器は、EIT発現部100の構造が他の実施形態と異なる。第3実施形態の原子発振器の構成例は、図1と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
図10は、第3実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。図10において、図2と同じ構成要素には同じ符号を付している。
図10に示すように、本実施形態では、コリメートレンズ101とガスセル120間に偏光ビームスプリッター(PBS:Polarization Beam Splitter)107が設けられている。また、ガスセル120の側面123と対向する位置にミラー105が設けられており、側面123とミラー105の間に1/4波長板106が設けられている。さらに、光検出器130は、その検出面が、偏光ビームスプリッター(PBS)107の反射面と45度の角度を成し、かつ、ガスセル120の側面121と直交するように、偏光ビームスプリッター(PBS)107に対向して配置されている。その他の構造は、第1実施形態(図2)と同様である。
半導体レーザー110が発生させた光は、コリメートレンズ102で平行光にされて偏光ビームスプリッター(PBS)107に入射する。
偏光ビームスプリッター(PBS)107は、入射光に含まれる2つの偏光成分(X偏光、Y偏光)を分離する。偏光ビームスプリッター(PBS)107は、例えば、2つの三角プリズムを貼り合わせて構成され、反射面(2つの三角プリズムを貼り合わせた面)の法線と光の進行方向を含む面内に含まれる直線偏光(P偏光)を透過させ、P偏光と垂直な直線偏光(S偏光)を反射させる。そのため、本実施形態では、半導体レーザー110の出射光に含まれるX偏光とY偏光がそれぞれP偏光とS偏光となるように、偏光ビームスプリッター(PBS)107の反射面の角度が調整されている。すなわち、X偏光のみが偏光ビームスプリッター(PBS)107を透過してガスセル120に側面121から入射する。
ガスセル120に入射した光(X偏光)は、ミラー102で反射して側面123から出射し、1/4波長板106を透過して円偏光となり、ミラー105で進行方向と逆方向に反射する。
ミラー105で反射した光(円偏光)は、1/4波長板106を透過して直線偏光となり、偏光ビームスプリッター(PBS)107を透過してガスセル120に側面123から再び入射する。この直線偏光は、1/4波長板106を2回透過しているので、ガスセル120の側面123から出射したX偏光に対して、180度位相がずれたY偏光になっている。
ガスセル120に入射した光(Y偏光)は、ミラー102で反射して側面121から出射し、偏光ビームスプリッター(PBS)107に入射する。このY偏光は、偏光ビームスプリッター(PBS)107で反射され、検出器130に入射する。
なお、本実施形態では、ガスセル120の側面121が入射面と出射面に相当する。
図11は、本実施形態において、2光波と共鳴してEIT現象を起こす原子についての説明図であり、図4(B)と同じガスセル120の断面図である。
図11に示すように、ガスセル120の入射面(側面121)に入射する2光波の進行方向をx軸、当該2光波がミラー102で反射した後の進行方向をy軸、x軸とy軸にともに直交する軸をz軸とすると、原子2aには、x軸のプラス方向に進行する2光波Q、y軸のプラス方向に進行する2光波P、x軸のマイナス方向に進行する2光波Q、y軸のマイナス方向に進行する2光波Pが入射する。同様に、原子2bには、x軸のプラス方向に進行する2光波R、y軸のプラス方向に進行する2光波P、x軸のマイナス方向に進行する2光波R、y軸のマイナス方向に進行する2光波Pが入射する。同様に、原子2cには、x軸のプラス方向に進行する2光波R、y軸のプラス方向に進行する2光波Q、x軸のマイナス方向に進行する2光波R、y軸のマイナス方向に進行する2光波Qが入射する。従って、原子2a,2b,2cは、x軸方向の速度成分vxが所定の速度v0又は−v0に一致するか、y軸方向の速度成分vyがv0又は−v0に一致すれば、EIT現象を起こす。
図11では、3つの2光波P,Q,Rのみを図示しているが、実際には、半導体レーザー110の出射光には無数の2光波が含まれるから、ガスセル120のあらゆる位置にある原子に対して4方向から2光波が入射する。従って、本実施形態では、従来と比較してEIT発現効率が4倍近くになり、ピークが高く、かつ、線幅が狭い、極めて急峻なEIT信号が得られる。
このように、第3実施形態の原子発振器では、ガスセル120を三角柱の形状とし、側面121から入射した各2光波がミラー102で反射して側面123から出射し、ミラー105で反射してガスセル120に側面123から再び入射する。そして、ガスセル120に再び入射した光はミラー102で反射して側面121から出射するので、各原子に4方向から異なる2光波が入射することになる。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が約4倍になり、ガスセル120の容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
なお、v0≠0の場合は、vx=v0の原子、vx=−v0の原子、vy=v0の原子、vy=−v0の原子の4種類の原子がEIT現象を起こすのに対し、v0=0の場合は、vx=0の原子とvy=0の原子の2種類の原子のみがEIT現象を起こす。後者の場合は、前者の場合に対して、EIT現象を起こす原子が半分に減るが、各原子がEIT現象を起こす回数は2倍になるため、全体としてのEIT発現効率は変わらない。ただし、後者の場合は、前者の場合に対して、EIT現象を起こす各原子から見た入射光の強度が2倍になるため、パワーブロードニング効果により、EIT信号の線幅が広がってしまうと考えられる。そのため、v0≠0にした方が、より急峻なEIT信号が得られる可能性がある。v0≠0にするためには、半導体レーザー110が発生させる光の中心周波数f0がf0≠(f1(0)+f2(0))/2になるように、バイアス電流の設定値を調整すればよい。
4.第4実施形態
第4実施形態の原子発振器は、EIT発現部100の構造が他の実施形態と異なる。第4実施形態の原子発振器の構成例は、図1と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
図12は、第4実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。図12において、図10と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図13(A)はガスセル120の斜視図であり、図13(B)は、図13(A)のガスセル120をA−A’で切断した断面図である。
図13(A)及び図13(B)に示すように、ガスセル120は、面121と面123を底面とする円柱型の透明な容器(例えばガラス容器)の中に気体状のアルカリ金属原子が封入されたものである。
図12に示すように、ガスセル120は、円形状の底面121がコリメートレンズ101と対向するように配置されている。また、ガスセル120の円形状の底面123と対向する位置にミラー105が設けられており、底面123とミラー105の間に1/4波長板106が設けられている。その他の構造は、第3実施形態(図10)と同様である。
半導体レーザー110が発生させた光は、コリメートレンズ102で平行光にされて偏光ビームスプリッター(PBS)107に入射し、X偏光のみが偏光ビームスプリッター(PBS)107を透過してガスセル120に底面121から入射する。
ガスセル120に入射した光(X偏光)は、底面123から出射し、1/4波長板106を透過して円偏光となり、ミラー105で進行方向と逆方向に反射する。
ミラー105で反射した光(円偏光)は、1/4波長板106を透過して直線偏光となり、偏光ビームスプリッター(PBS)107を透過してガスセル120に底面123から再び入射する。この直線偏光は、1/4波長板106を2回透過しているので、ガスセル120の底面123から出射したX偏光に対して、180度位相がずれたY偏光になっている。
ガスセル120に入射した光(Y偏光)は、底面121から出射し、偏光ビームスプリッター(PBS)107に入射する。このY偏光は、偏光ビームスプリッター(PBS)107で反射され、検出器130に入射する。
なお、本実施形態では、ガスセル120の底面121が入射面と出射面に相当する。
図14は、本実施形態において、2光波と共鳴してEIT現象を起こす原子についての説明図であり、図13(B)と同じガスセル120の断面図である。
図14に示すように、ガスセル120の入射面(底面121)に入射する2光波の進行方向をx軸、x軸と直交する任意の軸をy軸、x軸とy軸にともに直交する軸をz軸とすると、原子2aには、x軸のプラス方向に進行する2光波Pとx軸のマイナス方向に進行する2光波Pが入射する。同様に、原子2bには、x軸のプラス方向に進行する2光波Q、とx軸のマイナス方向に進行する2光波Qが入射する。同様に、原子2cには、x軸のプラス方向に進行する2光波Rとx軸のマイナス方向に進行する2光波Rが入射する。従って、原子2a,2b,2cは、x軸方向の速度成分vxが所定の速度v0又は−v0に一致すれば、EIT現象を起こす。
図14では、3つの2光波P,Q,Rのみを図示しているが、実際には、半導体レーザー110の出射光には無数の2光波が含まれるから、ガスセル120のあらゆる位置にある原子に対して2方向から2光波が入射する。従って、本実施形態では、従来と比較してEIT発現効率が2倍近くになり、ピークが高い急峻なEIT信号が得られる。
このように、第4実施形態の原子発振器では、ガスセル120を円柱の形状とし、底面121から入射して底面123から出射した各2光波がミラー105で反射してガスセル120に底面123から再び入射する。そして、ガスセル120に再び入射した光は底面121から出射するので、各原子に2方向から異なる2光波が入射することになる。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子がEIT現象を起こす確率が約2倍になり、ガスセル120の容積を増やさずにEIT発現効率を向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
なお、v0≠0の場合は、vx=v0の原子とvx=−v0の原子の2種類の原子がEIT現象を起こすのに対し、v0=0の場合は、vx=0の原子の1種類の原子のみがEIT現象を起こす。後者の場合は、前者の場合に対して、EIT現象を起こす原子が半分に減るが、各原子がEIT現象を起こす回数は2倍になるため、全体としてのEIT発現効率は変わらない。ただし、後者の場合は、前者の場合に対して、EIT現象を起こす各原子から見た入射光の強度が2倍になるため、パワーブロードニング効果により、EIT信号の線幅が広がってしまうと考えられる。そのため、v0≠0にした方が、より急峻なEIT信号が得られる可能性がある。v0≠0にするためには、半導体レーザー110が発生させる光の中心周波数f0がf0≠(f1(0)+f2(0))/2になるように、バイアス電流の設定値を調整すればよい。
5.第5実施形態
第5実施形態の原子発振器は、半導体レーザー110が発生させる光が他の実施形態と異なる。図15は、第5実施形態の原子発振器の構成例を示す図である。図15において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。図15に示すように、第5実施形態の原子発振器1は、第1実施形態と同様の構成要素に加えて、周波数変換回路230と変調回路240が追加されている。なお、本実施形態の原子発振器は、適宜、図15の構成要素(各部)の一部を省略又は変更したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
周波数変換回路230は、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振信号を周波数Δωの信号に変換する。Δωは、例えば、1MHz程度の周波数であり、周波数変換回路230は、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振信号(例えば、数MHz〜数MHz〜数10MH程度の発振信号)を分周する分周回路として実現してもよい。
変調回路240は、周波数変換回路230の出力信号によって周波数変換回路210の出力信号を変調する(周波数変換回路210出力信号によって周波数変換回路230の出力信号を変調させてもよい)。変調回路240は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM)回路、振幅変調(AM)回路等により実現することができる。
駆動回路220は、第1のフィードバックループにより調整されるバイアス電流に、周変調回路240の出力周波数成分(fmとΔω)の電流(変調電流)を重畳して半導体レーザー110に供給する。この変調電流により、半導体レーザー110に周波数変調がかかり、中心周波数f0の光とともに、その両側にそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f0±fm、f0±2fm、・・・の光を発生させる。さらに、周波数f0、f0±fm、f0±2fm、・・・の光の両側にΔωずつ異なる周波数の光が発生する。図16に、半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトラムを示す。図16において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
本実施形態では、半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、周波数変換回路210周波数変換回路230、変調回路240、駆動回路220を通るフィードバックループ(第2のフィードバックループ)により、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光の周波数差2fmがΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するように微調整される。言い換えると、第2のフィードバックループにより、周波数変換回路210の出力周波数fmがf12/2と正確に一致するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、ΔE12に相当する周波数が9.192631770GHzなので、周波数変換回路280の出力信号の周波数が4.596315885GHzと一致した状態で安定する。
これにより、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光は、アルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となる。また、周波数f0+fm+n×Δωの光と周波数f0−fm+n×Δωの光(n=1,2,・・・)も共鳴光対となり、周波数f0+fm−n×Δωの光と周波数f0−fm−n×Δωの光(n=1,2,・・・)も共鳴光対となる。
第5実施形態の原子発振器の他の構成は、図1と同様であるため、その説明を省略する。なお、EIT発現部100は、他の実施形態のいずれの構造であってもよい。
このように、本実施形態の原子発振器では、半導体レーザー110が発生させる複数種類の2光波は、互いに周波数が異なるため、それぞれ速度の異なるアルカリ金属原子に対する共鳴光対となる。そして、各原子には各2光波が複数の異なる方向から入射するので、EIT現象を起こす原子の数を大幅に増やすことができる。従って、本実施形態の原子発振器によれば、ガスセル120の容積を増やさずにEIT発現効率を大幅に向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる小型の原子発振器を実現することができる。
6.電子機器
図17に、本実施形態の原子発振器を搭載した電子機器(携帯端末)の模式図を示す。図17において、携帯端末500(PHSを含む)は、複数の操作ボタン502、受話口504及び送話口506を備え、操作ボタン502と受話口504との間には表示部508が配置されている。最近では、このような携帯端末500においてもGPS機能を備えている。そこで、携帯端末500には、GPS回路のクロック源として本実施形態の原子発振器が内蔵されている。
7.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
[変形例1]
本実施形態の原子発振器では、三角柱型又は円柱型のガスセル120を用いているが、ガスセル120は、任意の立体形状であってもよい。例えば、ガスセル120をより複雑な立体形状にし、ガスセル120の周辺に複数のミラーを配置して、各原子により多くの方向から異なる2光波が入射するようにしてもよい。
[変形例2]
第1実施形態又は第3実施形態の原子発振器において、EIT発現部100に含まれるミラー102はガスセル120の側面122の内壁面に形成されていてもよい。あるいは、ミラー102はガスセル120の側面122と対向させてガスセル120の外部に別途配置してもよい。
[変形例3]
本実施形態の原子発振器において、半導体レーザー110の中心波長λ0(中心周波数f0)が、ガスセル120に封入されたアルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)にほぼ一致するようにバイアス電流を設定するとともに、周波数変換回路210が変調回路190の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。あるいは、本実施形態の原子発振器1において、半導体レーザー110の中心波長λ0(中心周波数f0)が、ガスセル120に封入されたアルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)にほぼ一致するようにバイアス電流を設定するとともに、周波数変換回路210が変調回路190の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。
図18(A)は、前者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図であり、図18(B)は、後者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図である。図18(A)及び図18(B)において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。図18(A)の場合は、周波数f0+fmの光と周波数f0の光の周波数差fmがΔE12に相当する周波数に等しく、かつ、f0+fmがf1にほぼ等しく、かつ、f0がf2にほぼ等しいので、周波数f0+fmの光と周波数f0の光がガスセル120に封入されたアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。一方、図18(B)の場合は、周波数f0の光と周波数f0−fmの光の周波数差fmがΔE12に相当する周波数にほぼ等しく、かつ、f0がf1にほぼ等しく、かつ、f0−fmがf2にほぼ等しいので、周波数f0の光と周波数f0−fmの光がガスセル120に封入されたアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。
[変形例4]
本実施形態の原子発振器を電気光学変調器(EOM:Electro-Optic Modulator)を用いた構成に変形してもよい。すなわち、半導体レーザー110は、周波数変換回路210の出力信号(変調信号)による変調がかけられず、設定されたバイアス電流に応じた単一周波数f0の光を発生させる。この周波数f0の光は、電気光学変調器(EOM)に入射し、周波数変換回路210の出力信号(変調信号)によって変調がかけられる。その結果、図4と同様の周波数スペクトルを有する光を発生させることができる。そして、この電気光学変調器(EOM)が発生させる光がガスセル120に照射される。この原子発振器では、半導体レーザー110と電気光学変調器(EOM)による構成が光発生部に相当する。
なお、電気光学変調器(EOM)の代わりに、音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)を用いてもよい。
8.応用例
本実施形態又は変形例の原子発振器の構成は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる様々な量子干渉装置に応用することができる。量子干渉装置とは、原子の量子干渉状態を利用するすべての装置であり、本実施形態で説明したEIT発現部(EIT発現装置)も量子干渉装置に含まれる。
[応用例1]
例えば、本実施形態又は変形例の原子発振器と同様の構成により、ガスセル120の周辺の磁場の変化に追従して電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数が変化するため、ガスセル120の近傍に磁気測定対象物を配置することで磁気センサー(量子干渉装置の一例)を実現することができる。
[応用例2]
また、例えば、本実施形態又は変形例の原子発振器と同様の構成により、極めて安定した金属原子の量子干渉状態(量子コヒーレンス状態)を作り出すことができるので、ガスセル120に入射する共鳴光対を取り出すことで、量子コンピュータ、量子メモリー、量子暗号システム等の量子情報機器に用いる光源(量子干渉装置の一例)を実現することもできる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 原子発振器、2a,2b,2c アルカリ金属原子、2x アルカリ金属膜、100 EIT発現部(EIT発現装置)、101 コリメートレンズ、102 ミラー、103 ペルチェ素子、104 透明導電膜(ITO)、105 ミラー、106 1/4波長板、107 偏光ビームスプリッター(PBS)、110 半導体レーザー、120 ガスセル、121,122,123,124,125 面、130 光検出器、140 検波回路、150 変調回路、160 低周波発振器、170 検波回路、180 電圧制御水晶発振器(VCXO)、190 変調回路、200 低周波発振器、210 周波数変換回路、220 駆動回路、230 周波数変換回路、240 変調回路、500 携帯端末、502 操作ボタン、504 受話口、506 送話口、508 表示部

Claims (12)

  1. 共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置であって、
    前記共鳴光対を発生させるための光発生部と、
    前記原子の集団を収容し、前記共鳴光対が入射する原子セルと、
    前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、を含み、
    複数の前記共鳴光対が、互いに異なる方向に沿って進み、前記原子セル内で重なる、前記量子干渉装置。
  2. 請求項1において、
    前記共鳴光対を反射する光反射部を含み、
    前記光反射部で反射する前の前記共鳴光対と、前記光反射部で反射した後の他の前記共鳴光対とが、前記原子セル内で重なる、量子干渉装置。
  3. 請求項2において、
    前記光反射部は、前記原子セルの入射面及び出射面のいずれとも異なる面に形成されている、量子干渉装置。
  4. 請求項2において、
    前記光反射部は、前記原子セルの入射面及び出射面のいずれとも異なる面に付着した前記原子の集団の蒸気源となる固体原子の膜である、量子干渉装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれか一項において、
    前記原子セルは、2つの三角形状の底面と3つの矩形状の側面を有する三角柱型であり、
    前記共鳴光対は、
    前記原子セルに第1の前記側面から入射し、第2の前記側面に形成され、又は当該第2の側面に対向して配置された前記光反射部で反射し、第3の前記側面から出射する、量子干渉装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記共鳴光対は、強度の空間分布が、中心部の強度が高く、前記中心部からの距離が遠くなるほど強度が低くなり、前記中心部が前記原子セルの入射面の重心と一致するように前記原子セルに入射する、量子干渉装置。
  7. 請求項6において、
    前記共鳴光対の強度の半値全幅の1/2をr0、前記原子セルの入射面の裏側の内壁面の重心と他の内壁面との最小距離をrminとした時、r0≧rminである、量子干渉装置。
  8. 請求項6において、
    前記共鳴光対の強度の半値全幅の1/2をr0、前記原子セルの入射面の裏側の内壁面の重心と他の内壁面との最小距離及び最大距離をそれぞれrmin及びrmaxとした時、rmin≦r0≦rmaxである、量子干渉装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項において、
    前記光発生部は、周波数が異なる複数種類の前記共鳴光対を発生させて前記原子セルに照射する、量子干渉装置。
  10. 共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる原子発振器であって、
    前記共鳴光対を発生させるための光発生部と、
    前記原子の集団を収容し、前記共鳴光対が入射する原子セルと、
    前記原子セルを透過した光を検出する光検出部と、を含み、
    複数の共鳴光対が、互いに異なる方向に沿って進み、前記原子セル内で重なる、原子発振器。
  11. 請求項10に記載の原子発振器を備えた、電子機器。
  12. 共鳴光対によって、原子セルに収容された原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉方法であって、
    前記共鳴光対を発生させ、
    複数の前記共鳴光対を、互いに異なる方向に沿って進ませ、前記原子セル内で重ねさせ、前記原子セルを透過した光を検出する、量子干渉方法。
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