JP6136110B2 - 量子干渉装置、原子発振器及び電子機器 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器及び電子機器 Download PDF

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本発明は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置及び原子発振器に関する。
図16に示すように、アルカリ金属原子は、タームシンボル21/2で表される基底準位と、タームシンボル21/223/2で表される2つの励起準位とを有することが知られている。さらに、21/221/223/2の各準位は、複数のエネルギー準位に分裂した超微細構造を有している。具体的には、21/2はI+1/2とI−1/2の2つの基底準位を持ち、21/2はI+1/2とI−1/2の2つの励起準位を持ち、23/2はI+3/2,I+1/2,I−1/2,I−3/2の4つの励起準位を持っている。ここで、Iは核スピン量子数である。
21/2のI−1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、23/2のI+1/2,I−1/2,I−3/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I+3/2の励起準位に遷移することはできない。21/2のI+1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、23/2のI+3/2,I+1/2,I−1/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I−3/2の励起準位に遷移することはできない。これらは、電気双極子遷移を仮定した場合の遷移選択則による。逆に、23/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して21/2のI+1/2又はI−1/2の基底準位(元の基底準位又は他方の基底準位のいずれか)に遷移することができる。ここで、21/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と23/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位からなる3準位(2つの基底準位と1つの励起準位からなる)は、D2線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位と呼ばれる。これに対して、23/2のI−3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず21/2のI−1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移し、同様に、23/2のI+3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず21/2のI+1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移する。すなわち、21/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と23/2のI−3/2又はI+3/2の励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・放出によるΛ型の遷移が不可能であることからΛ型3準位を形成しない。
気体状のアルカリ金属原子に、Λ型3準位を形成する第1の基底準位(21/2のI−1/2の基底準位)と励起準位(例えば、23/2のI+1/2の励起準位)とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光1とする)と、第2の基底準位(21/2のI+1/2の基底準位)と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光2とする)とを同時に照射すると、2つの基底準位の重ね合わせ状態、即ち量子コヒーレンス状態(暗状態)になり、励起準位への励起が停止する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれることもある)が起こることが知られている。このEIT現象を起こす共鳴光対(共鳴光1と共鳴光2)の周波数差はアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数と正確に一致する。例えば、セシウム原子は、2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数は9.192631770GHzであるので、セシウム原子に、周波数差が9.192631770GHzの2種類のD1線又はD2線のレーザー光を同時に照射すると、EIT現象が起こる。
従って、図17に示すように、周波数がf1の光と周波数がf2の光を気体状のアルカリ金属原子に同時に照射したとき、この2光波が共鳴光対となってアルカリ金属原子がEIT現象を起こすか否かでアルカリ金属原子を透過する光の強度が急峻に変化する。この急峻に変化する透過光の強度を示す信号はEIT信号(共鳴信号)と呼ばれ、共鳴光対の周波数差f1−f2がΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するときにEIT信号のレベルがピーク値を示す。そこで、EIT信号のピークトップを検出し、アルカリ金属原子に照射する2光波の周波数差f1−f2がΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するように制御することで、高精度な発振器を実現することができる。このような原子発振器に関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
米国特許第6320472号明細書
ところで、共鳴光対は半導体レーザーなどを用いて発生させるが、レーザー光等のコヒーレント光は、その性質によりビームの中心の強度が最も高く、その強度分布をビーム断面で見ると、ビーム中心から距離が遠ざかるにつれて同心円状に強度が減衰し、理想的には、ガウス分布(正規分布)となる。
個々の原子がレーザー光との量子干渉作用でEIT現象を起こす際、レーザー光の強度に依存して原子の周辺の電界強度が変わり、その結果、原子内の電子エネルギー状態が変化する。そのため、各原子がEIT現象を起こす共鳴光対の周波数は、レーザー光の強度によって異なる(この現象は、パワーシフト(シュタルクシフト)と呼ばれる)。また、レーザー光の強度が高いと、個々の原子が発現するEIT信号の強度と線幅も大きくなる性質がある(この現象は、パワーブロードニングと呼ばれる)。多数の金属原子が一定の空間密度で同時にEIT現象を起こすと、パワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響により、EIT信号はレーザー光の強度分布に依存したプロファイル挙動を示す。結果的に、EIT信号のピークトップの位置がシフトしたり、対称性が崩れたり、あるいは線幅が広がってしまい、原子発振器の周波数安定度を劣化させる原因となる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、パワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響を低減し、良好な共鳴信号が得られる量子干渉装置、原子発振器及び電子機器を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る量子干渉装置は、金属原子と、前記金属原子が封入された原子セルと、前記金属原子にEIT現象(電磁励起透過現象)を起こさせる共鳴光対を含む光を発生させる光発生部と、を有し 前記金属原子は、入射する前記光の強度により、前記EIT現象によるEIT信号(共鳴信号)に影響を受けるものであり、前記原子セルと前記光発生部との間に配置されていて、前記光が入射する入射面を有するフィルターを有し、前記光は、前記フィルターの入射面での空間強度分布は、前記入射面の基準点と重なる中心部の強度が高く、中心部から遠いほど強度が低い特性を有しており、前記中心部が前記基準点と重なるように前記フィルターに入射し、前記フィルターは前記入射面において、前記基準点に近い位置より遠い位置の方が前記光の透過率が高い。
本適用例に係る量子干渉装置では、光発生部が発生させる光は、一般に、中心ほど強度
が高く中心から離れる程強度が低くなるので、フィルターを透過することで、強度の空間
分布がより平坦になって原子の集団に入射する。従って、本適用例に係る量子干渉装置に
よれば、各原子に入射する光の強度の差に起因するパワーシフト(シュタルクシフト)や
パワーブロードニングの影響を低減し、良好な共鳴信号を得ることができる。
更に本適用例に係る量子干渉装置によれば、光発生部が発生させた光の、強度が最も高い中心部の透過率を最も低くすることができるので、原子の集団に入射する光の強度の空間分布をより平坦にすることができる
[適用例2]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記フィルターは、前記入射面における前記透過率の分布が、前記基準点からの距離に対して逆ガウス分布になっていてもよい。
光発生部が発生させる光は、理想的には、中心からの距離に対してガウス分布(正規分布)となる。従って、本適用例に係る量子干渉装置によれば、フィルターの透過特性を逆ガウス分布とすることで、原子の集団に入射する光の強度の空間分布をより平坦にすることができる。その結果、本適用例に係る量子干渉装置によれば、より良好な共鳴信号を得ることができる。
[適用例3]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記フィルターは、前記光発生部が発生させた光の一部を吸収する吸収型のフィルターであり、前記入射面の前記基準点から遠い位置ほど吸収率が低いようにしてもよい。
一般に、吸収率が低いほど透過率が高くなるので、本適用例に係る量子干渉装置によれば、入射面の基準点から遠い位置ほど透過率が高いフィルターを実現することができる。
[適用例4]
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記フィルターは、前記光発生部が発生させた光の一部を反射する反射型のフィルターであり、前記入射面の前記基準点から遠い位置ほど反射率が低いようにしてもよい。
一般に、反射率が低いほど透過率が高くなるので、本適用例に係る量子干渉装置によれば、入射面の基準点から遠い位置ほど透過率が高いフィルターを実現することができる。
[適用例
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記光発生部が発生させた前記光の強度の半値全幅の1/2をr0、前記フィルターの前記入射面の、前記基準点から透過率が前記基準点の透過率の2倍となる位置までの距離をr1とした時、r0=r1であってもよい。
本適用例に係る量子干渉装置によれば、光発生部が発生させた光の、中心部の光と中心部の1/2の強度の光のフィルター透過後の強度を一致させることができるので、原子の集団に入射する光の強度の空間分布をさらに平坦にすることができる。
[適用例
上記適用例に係る量子干渉装置において、前記フィルターは、前記原子の集団を収容す
る原子セルの入射面と一体で配置されていてもよい。


本適用例に係る量子干渉装置によれば、フィルターを原子セルの入射面に配置するので、量子干渉装置の小型化が容易になる。
[適用例8]
本適用例に係る原子発振器は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる原子発振器であって、前記共鳴光対を含む光を発生させる光発生部と、前記光発生部が発生させた光が入射するフィルターと、前記フィルターを透過した光が入射する前記原子の集団と、前記原子の集団を透過した光を検出する光検出部と、を含み、前記フィルターは、前記光発生部が発生させた光が入射する入射面の基準点から遠い位置ほど透過率が高い。
本適用例に係る原子発振器では、光発生部が発生させる光は、一般に、中心ほど強度が高く中心から離れる程強度が低くなるので、フィルターを透過することで、強度の空間分布がより平坦になって原子の集団に入射する。従って、本適用例に係る原子発振器によれば、各原子に入射する光の強度の差に起因するパワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響を低減し、良好な共鳴信号を得ることができる。その結果、光検出部の検出信号のピークが急峻になるので、この検出信号をプローブとすることで、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる原子発振器を実現することができる。
[適用例9]
本適用例に係る電子機器は、上記の原子発振器を備える。
原子発振器の構成例を示す図。 EIT発現部の構造例を示す図。 減光フィルターとガスセルの斜視図。 半導体レーザーの出射光の周波数スペクトラムの一例を示す概略図。 半導体レーザーの出射光の強度の空間分布を示す概略図。 減光フィルターの透過特性の一例を示す概略図。 ガスセルの入射光の強度の空間分布を示す概略図。 シミュレーションにおける入射光の強度の空間分布を示す概略図。 シミュレーションにより得られたEIT信号のプロファイルを示す図。 シミュレーションにより得られたEIT信号のピークトップの位置の時間 第2実施形態におけるEIT発現部の構造例を示す図。 第2実施形態におけるガスセルの斜視図。 本実施形態の電子機器の模式図。 変形例における減光フィルターの透過特性の一例を示す概略図。 変形例における半導体レーザーの出射光の周波数スペクトルを示す概略図。 アルカリ金属原子のエネルギー準位を模式的に示す図。 EIT信号の一例を示す概略図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、量子干渉装置の一例である原子発振器を例に挙げて説明する。
1.第1実施形態
1−1.機能構成
図1は、本実施形態の原子発振器の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の原子発振器1は、半導体レーザー110、減光フィルター(NDフィルター)102、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、変調回路150、低周波発振器160、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、低周波発振器200、周波数変換回路210、駆動回路220を含んで構成されている。なお、本実施形態の原子発振器は、適宜、図1の構成要素(各部)の一部を省略又は変更したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
半導体レーザー110(光発光部の一例)は、複数の2光波を含む光を発生させる。半導体レーザーとしては、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)や、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の面発光レーザーなどを用いることができる。特に、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)は、チップの上面に発光部を形成するので小型化に特に有利である。
減光フィルター102は、半導体レーザー110の出射光の一部のみを透過させ、減光フィルター102を透過した光はガスセル120に入射する。
ガスセル120(原子セルの一例)は、容器中に気体状のアルカリ金属原子(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)が封入されたものであり、ガスセル120を透過した光は、光検出器130に入射する。
光検出器130(光検出部の一例)は、入射した光を検出し、光の強度に応じた検出信号を出力する。光検出器130として、フォトダイオード(PD:Photodiode)等が用いられる。
この半導体レーザー110、減光フィルター102、ガスセル120、光検出器130により、EIT発現部100(EIT発現装置)が構成されている。
図2は、本実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。また、図3は減光フィルター102とガスセル120の斜視図である。
図2の例では、EIT発現部100は、半導体レーザー110(垂直共振器面発光レーザー(VCSEL))の発光面側にコリメートレンズ101、減光フィルター102、ガスセル120、光検出器130が、この順にそれぞれ所定の間隔を設けて配置されている。
半導体レーザー110の発光面と反対側の面にはペルチェ素子103が設けられており、半導体レーザー110の温度が一定に保持されている。
減光フィルター102は、円盤状の半透明な部材であり、円形状の底面102aがコリメートレンズ101と対向するように配置されている。
ガスセル120は、円柱型の透明な容器(例えばガラス容器)の中に気体状のアルカリ金属原子が封入されたものであり、円形状の底面121が減光フィルター102の底面102bと対向するように配置されている。また、ガスセル120の円形状の底面123と対向する位置に光検出器130が設けられている。
半導体レーザー110が発生させた光は、コリメートレンズ102で平行光にされて減光フィルター102に入射する。減光フィルター102に入射した光の一部は、減光フィルター102を透過してガスセル120に底面121から入射し、底面123から出射する。すなわち、底面121と底面123は、それぞれ入射面と出射面に相当する。ガスセル120から出射した光は、光検出器130に入射する。
なお、図1では、コリメートレンズ101とペルチェ素子103は図示を省略している。また、図1及び図2では、ガスセル120の内部に存在するアルカリ金属原子を気化させるためのヒーターも図示を省略している。
図1に示すように、光検出器130の出力信号は検波回路140と検波回路170に入力される。検波回路140は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器160の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。変調回路150は、検波回路140による同期検波を可能とするために、低周波発振器160の発振信号(検波回路140に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として検波回路140の出力信号を変調して駆動回路220に出力する。変調回路150は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路等により実現することができる。
検波回路170は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器200の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。そして、検波回路170の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数が微調整される。電圧制御水晶発振器(VCXO)180は、例えば、数MHz〜数10MHz程度で発振する。
変調回路190は、検波回路170による同期検波を可能とするために、低周波発振器200の発振信号(検波回路170に供給される発振信号と同じ信号)を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)180の出力信号を変調する。変調回路190は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM)回路、振幅変調(AM)回路等により実現することができる。
周波数変換回路210は、一定の周波数変換率で変調回路190の出力信号を周波数変換して駆動回路220に出力する。周波数変換回路210は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路により実現することができる。
駆動回路220は、半導体レーザー110のバイアス電流を設定するとともに、変調回路150の出力信号に応じて当該バイアス電流を微調整して半導体レーザー110に供給する。すなわち、半導体レーザー110、減光フィルター102、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、変調回路150、駆動回路220を通るフィードバックループ(第1のフィードバックループ)により、半導体レーザー110が発生させる光の中心波長λ0(中心周波数f0)が微調整される。
具体的には、アルカリ金属原子の23/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)、アルカリ金属原子の23/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)に対して、中心波長λ0が(λ1+λ2)/2とほぼ一致する(中心周波数f0が(f1+f2)/2とほぼ一致する)ように制御される。あるいは、アルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)、アルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)に対して、中心波長λ0が(λ1+λ2)/2とほぼ一致する(中心周波数f0が(f1+f2)/2とほぼ一致する)ように制御されるようにしてもよい。
駆動回路220は、さらに、バイアス電流に、周波数変換回路210の出力周波数成分(変調周波数fm)の電流(変調電流)を重畳して半導体レーザー110に供給する。この変調電流により、半導体レーザー110に周波数変調がかかり、中心周波数f0の光とともに、その両側にそれぞれ周波数がfmだけずれた周波数f0±fm、f0±2fm、・・・の光を発生させる。図4に、半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトラムを示す。図4において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
本実施形態では、半導体レーザー110、減光フィルター102、ガスセル120、光検出器130、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、周波数変換回路210、駆動回路220を通るフィードバックループ(第2のフィードバックループ)により、周波数f0+fmの光と周波数f0−fmの光がガスセル120に封入されているアルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対となるように、すなわち、この2光波の周波数差2fmがΔE12に相当する周波数f12と正確に一致するように微調整される。言い換えると、第2のフィードバックループにより、周波数変換回路210の出力周波数fmがf12/2と正確に一致するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、ΔE12に相当する周波数が9.192631770GHzなので、周波数変換回路280の出力信号の周波数が4.596315885GHzと一致した状態で安定する。
ところで、半導体レーザー110が出射するレーザー光の強度は、空間の位置によって異なっている。図5は、半導体レーザー110の出射光の強度の空間分布を示す概略図である。図5において、横軸は、出射光の進行方向と直交する任意の軸上の位置(出射光の中心を原点とする)であり、縦軸は強度(パワー)である。図5に示すように、半導体レーザー110の出射光の強度の空間分布は、理想的には、中心の強度が最も高く、中心からの距離が遠くなるほど強度が低くなるガウス分布(正規分布)となっている。図5の例では、中心からの距離がr0である−r0と+r0の位置の強度が、中心の強度(ピーク値Pmax)の半分となっている。本実施形態では、強度がピーク値Pmaxの半分となる中心からの距離の2倍として定義される半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)の1/2を出射光のビーム径(半径)r0と定義する。
半導体レーザー110の出射光を、コリメートレンズ101を介して直接ガスセル120に照射した場合、ガスセル120に収容されている各原子は、その位置により入射する共鳴光対の強度が異なるため、パワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響により、良好なEIT信号(共鳴信号)が得られない。
そこで、本実施形態では、ガスセル120に入射するレーザー光の強度の空間分布を平坦に近づけるために、コリメートレンズ101とガスセル120の間に減光フィルター102が配置されており、レーザー光を、その中心が入射面102aの中心点に一致するように、減光フィルター102に入射させる。この減光フィルター102は、入射面102aの中心点(基準点の一例)から遠い位置ほど透過率が高い透過特性を有する。
図6(A)及び図6(B)に、減光フィルター102の透過特性の一例を示す。図6(A)及び図6(B)において、横軸は、入射面102a内の中心点を通る任意の軸上の位置(中心点を原点とする)であり、縦軸は光の透過率である。r0は入射面102aに入射するレーザー光のビーム径、r1は入射面102aの半径である。図6(A)及び図6(B)の例では、ともに、減光フィルター102は、入射面102aの中心点の透過率が最も低く、中心点からの距離が離れるほど透過率が高くなる、逆ガウス分布の透過特性を有している。図6(A)の例では、入射面102aの中心点の透過率が10%であり、中心点からの距離がr0の位置の透過率が55%であり、入射面102aの周辺部(中心点からの距離がr1の位置)の透過率が100%になっている。また、図6(B)の例では、入射面102aに入射するレーザー光のビーム径r0が入射面102aの半径r1と一致しており、入射面102aの中心点の透過率が50%であり、入射面102aの周辺部(中心点からの距離がr1の位置)の透過率が100%になっている。
図6(A)や図6(B)に示したような逆ガウス分布の透過特性の減光フィルターは、吸収型、反射型のいずれのフィルターでも実現することができる。
例えば、ガラス等の透明部材の中に、その中心部から色素等の光吸収物質を適当な時間だけ自然拡散させることで、入射面の中心からの距離に対してガウス分布の吸収特性(言い換えると逆ガウス分布の透過特性)を有する吸収型の減光フィルターを実現することができる。吸収率は、光吸収物質の濃度により調整することができる。
また、例えば、ガラス基板等の透明基板の片面に、クロム等の光反射物質の膜を、中心部から周辺部まで徐々に膜厚が小さくなるように形成することで、入射面の中心からの距離に対してガウス分布の反射特性(言い換えると逆ガウス分布の透過特性)を有する反射型の減光フィルターを実現することができる。反射率は、光反射物質の膜厚(塗布する量)により調整することができる。
図7(A)及び図7(B)は、図5の強度分布を有するレーザー光が、それぞれ図6(A)及び図6(B)の透過特性を有する減光フィルター102を透過してガスセル120に入射する時の強度分布の一例を示す図である。図7(A)及び図7(B)において、横軸は、レーザー光の進行方向と直交する任意の軸上の位置(レーザー光の中心を原点とする)であり、縦軸は強度(パワー)である。図7(A)の例では、減光フィルター102を透過した後のレーザー光の中心の強度が、減光フィルター102を透過する前の1/10になっており、強度分布がより平坦に近づいている。また、図7(B)の例では、減光フィルター102を透過した後のレーザー光の強度分布が平坦になっており、すべての位置の強度が等しくなっている。
このように、本実施形態では、ガスセル120の入射面121と対向する位置に減光フィルター102を配置することで、ガスセル120の入射するレーザー光の空間分布を平坦に近づけることができる。これにより、パワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響を低減させ、EIT信号のプロファイルを改善することができる。
この効果を確認するため、ガスセル120に収容されるアルカリ金属原子のエネルギー遷移をモデル化し、当該原子の集団に3パターンの異なる強度分布の光をそれぞれ入射してシミュレーションを行い、EIT信号のプロファイルを得た。
図8(A)〜図8(C)は、当該シミュレーションに用いた3パターンの入射光の強度の空間分布を示し、図9(A)〜図9(C)は、それぞれ図8(A)〜図8(C)のパターンの入射光を用いたシミュレーションにより得られたEIT信号のプロファイルを示す図である。図8(A)〜図8(C)において、横軸は、入射光の進行方向と直交する任意の軸上の位置(入射光の中心を原点とする)であり、縦軸は強度(パワー)である。また、図9(A)〜図9(C)において、横軸は共鳴光対の周波数、縦軸は原子を透過した光の強度(パワー)である。
図8(A)のパターンの入射光は、従来のように、減光フィルター102が無い場合にガスセル120に入射されるレーザー光に対応し、この入射光を用いたシミュレーションでは、図9(A)に示すように、非対称かつ線幅の広いEIT信号が得られた。
図8(B)のパターンの入射光は、減光フィルター102により強度の空間分布がより平坦に近づいたレーザー光に対応し、この入射光を用いたシミュレーションでは、図9(B)に示すように、図9(A)よりも非対称性が改善され、かつ、線幅が狭いEIT信号が得られた。
図8(B)のパターンの入射光は、減光フィルター102により強度の空間分布が完全に平坦になったレーザー光に対応し、この入射光を用いたシミュレーションでは、図9(C)に示すように、対象かつ線幅の狭い良好なEIT信号が得られた。
なお、通常、レーザー光の強度分布は時間変動する。一方、EIT信号を光透過光量として検出する光検出器130の検出感度には面内の分布がある。典型的には光検出器130の中心部は周囲よりも光検出感度が高く、同じ光強度に対して大きな出力(電圧)を発生する。このような場合、EIT信号のピークトップの位置(極大値を示す周波数)も時間変動する。そこで、図8(A)〜図8(C)の3パターンの入射光を用いて、EIT信号のピークトップの位置の時間変動のシミュレーションを行った。図10(A)〜図10(C)は、図8(A)〜図8(C)の3パターンの入射光用いたシミュレーションにより得られた結果を示す図である。図10(A)〜図10(C)において、横軸は時間、縦軸はEIT信号のピークトップの位置(極大値を示す周波数)である。
図8(A)のパターンの入射光を用いたシミュレーションでは、図10(A)に示すように、EIT信号のピークトップの位置の時間変動幅が大きい。
図8(B)のパターンの入射光を用いたシミュレーションでは、図10(B)に示すように、図10(A)よりもEIT信号のピークトップの位置の時間変動幅が小さくなっている。
図8(C)のパターンの入射光を用いたシミュレーションでは、図10(C)に示すように、EIT信号のピークトップの位置の時間変動はほとんどなくなっている。
図9(A)〜図9(C)及び図10(A)〜図10(C)のシミュレーション結果から、ガスセル120の入射光の光強度分布がより平坦であるほど、EIT信号の対称性や線幅が良くなり、かつ、EIT信号ピークトップの位置の時間変動幅がより小さいという効果が得られることがわかる。
以上に説明したように、第1実施形態の原子発振器では、半導体レーザー110から出射したレーザー光は、その中心部が減光フィルター102の入射面102aの中心点に入射する。減光フィルター102は、入射面102aの中心点から遠い位置ほど光の透過率が高いので、減光フィルター102を透過したレーザー光は、強度の空間分布がより平坦になってガスセル120に入射する。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子に入射するレーザー光の強度の差に起因するパワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響を低減させ、対称性がよく線幅が狭いEIT信号を得ることができる。その結果、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる原子発振器を実現することができる。
なお、減光フィルター102は、半導体レーザー110とガスセル120の間にあればよく、例えば、半導体レーザー110とコリメートレンズ101の間に配置されていてもよい。
2.第2実施形態
第2実施形態の原子発振器は、EIT発現部100の構造が他の実施形態と異なる。第2実施形態の原子発振器の構成例は、図1と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
図11は、第2実施形態におけるEIT発現部100の構造例を示す図であり、EIT発現部100を垂直方向に切断した断面図である。また、図12はガスセル120の斜視図である。図11及び図12において、図2及び図3と同じ構成要素には同じ符号を付している。
図11に示すように、本実施形態では、半導体レーザー110、コリメートレンズ101、ガスセル120、光検出器130の配置は、第1実施形態(図2)と同様であるが、ガスセル120と減光フィルター102が一体となっている。具体的には、ガスセル120の底面121(入射面)に減光フィルター102が形成されており、減光フィルター102の入射面102aがガスセル120の底面121(入射面)にもなっている。減光フィルター102は、第1実施形態(図6(A)や図6(B)等)と同様の透過特性を有するフィルターであり、吸収型のフィルターでも反射型のフィルターでもよい。
半導体レーザー110が発生させたレーザー光は、コリメートレンズ102で平行光にされて、その中心が底面121の中心点に一致するようにガスセル120に入射する。ガスセル120に入射した光は、その一部のみが減光フィルター102を透過してアルカリ金属原子に入射し、ガスセル120の底面123から出射する。ガスセル120から出射した光は、光検出器130に入射する。
なお、第2実施形態の原子発振器の動作は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
以上に説明したように、第2実施形態の原子発振器では、半導体レーザー110から出射したレーザー光は、その中心部がガスセル120の底面121(減光フィルター102の入射面102a)の中心点に入射する。ガスセル120の底面121に形成された減光フィルター102は、底面121(入射面102a)の中心点から遠い位置ほど光の透過率が高いので、減光フィルター102を透過したレーザー光は、強度の空間分布がより平坦になってガスセル120内のアルカリ金属原子に入射する。従って、本実施形態の原子発振器によれば、各原子に入射するレーザー光の強度の差に起因するパワーシフト(シュタルクシフト)やパワーブロードニングの影響を低減させ、対称性がよく線幅が狭いEIT信号を得ることができる。その結果、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる原子発振器を実現することができる。
また、本実施形態の原子発振器によれば、減光フィルター102をガスセル120の底面121(入射面)に形成することで、減光フィルター102とガスセル120の間の空間を無くすことができるので、コストダウンや小型化に有利である。
3.電子機器
図13に、本実施形態の原子発振器を搭載した電子機器(携帯端末)の模式図を示す。図13において、携帯端末500(PHSを含む)は、複数の操作ボタン502、受話口504及び送話口506を備え、操作ボタン502と受話口504との間には表示部508が配置されている。最近では、このような携帯端末500においてもGPS機能を備えている。そこで、携帯端末500には、GPS回路のクロック源として本実施形態の原子発振器が内蔵されている。
4.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
[変形例1]
本実施形態の原子発振器では、円柱型のガスセル120を用いているが、ガスセル120は、任意の立体形状であってもよい。また、減光フィルター102も円盤状でなくてもよく、例えば、ガスセル120の入射面の形状とフィルター102の入射面(出射面)の形状を一致させてもよい。
[変形例2]
本実施形態の原子発振器では、減光フィルター102の透過特性(入射面102aにおける透過率の分布)はガウス分布であるが、これに限らず、入射面102aの基準点(例えば中心点)から遠い位置ほど透過率が高ければよい。減光フィルター102を吸収型のフィルターで実現する場合、吸収特性(入射面102aにおける吸収率の分布)はガウス分布に限らず、入射面102aの基準点(例えば中心点)から遠い位置ほど吸収率が低ければよい。また、減光フィルター102を反射型のフィルターで実現する場合、反射特性(入射面102aにおける反射率の分布)はガウス分布に限らず、入射面102aの基準点(例えば中心点)から遠い位置ほど反射率が低ければよい。
例えば、図14(A)や図14(B)に示すように、減光フィルター102は、入射面102aの中心点から周辺部まで、透過率が一定の割合で線形に増加するような透過特性(吸収率が一定の割合で線形に減少するような吸収特性、あるいは反射率が一定の割合で線形に減少するような反射特性)を有していてもよい。
[変形例3]
本実施形態の原子発振器において、半導体レーザー110の中心波長λ0(中心周波数f0)が、ガスセル120に封入されたアルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ2(周波数f2)にほぼ一致するようにバイアス電流を設定するとともに、周波数変換回路210が変調回路190の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。あるいは、本実施形態の原子発振器1において、半導体レーザー110の中心波長λ0(中心周波数f0)が、ガスセル120に封入されたアルカリ金属原子の21/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と21/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ1(周波数f1)にほぼ一致するようにバイアス電流を設定するとともに、周波数変換回路210が変調回路190の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。
図15(A)は、前者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図であり、図15(B)は、後者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図である。図15(A)及び図15(B)において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。図15(A)の場合は、周波数f0+fmの光と周波数f0の光の周波数差fmがΔE12に相当する周波数に等しく、かつ、f0+fmがf1にほぼ等しく、かつ、f0がf2にほぼ等しいので、周波数f0+fmの光と周波数f0の光がガスセル120に封入されたアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。一方、図15(B)の場合は、周波数f0の光と周波数f0−fmの光の周波数差fmがΔE12に相当する周波数にほぼ等しく、かつ、f0がf1にほぼ等しく、かつ、f0−fmがf2にほぼ等しいので、周波数f0の光と周波数f0−fmの光がガスセル120に封入されたアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。
[変形例4]
本実施形態の原子発振器を電気光学変調器(EOM:Electro-Optic Modulator)を用いた構成に変形してもよい。すなわち、半導体レーザー110は、周波数変換回路210の出力信号(変調信号)による変調がかけられず、設定されたバイアス電流に応じた単一周波数f0の光を発生させる。この周波数f0の光は、電気光学変調器(EOM)に入射し、周波数変換回路210の出力信号(変調信号)によって変調がかけられる。その結果、図4と同様の周波数スペクトルを有する光を発生させることができる。そして、この電気光学変調器(EOM)が発生させる光がガスセル120に照射される。この原子発振器では、半導体レーザー110と電気光学変調器(EOM)による構成が光発生部に相当する。
なお、電気光学変調器(EOM)の代わりに、音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)を用いてもよい。
5.応用例
本実施形態又は変形例の原子発振器の構成は、共鳴光対によって原子に電磁誘起透過現象を発生させる様々な量子干渉装置に応用することができる。量子干渉装置とは、原子の量子干渉状態を利用するすべての装置であり、本実施形態で説明したEIT発現部(EIT発現装置)も量子干渉装置に含まれる。
[応用例1]
例えば、本実施形態又は変形例の原子発振器と同様の構成により、ガスセル120の周辺の磁場の変化に追従して電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数が変化するため、ガスセル120の近傍に磁気測定対象物を配置することで磁気センサー(量子干渉装置の一例)を実現することができる。
[応用例2]
また、例えば、本実施形態又は変形例の原子発振器と同様の構成により、極めて安定した金属原子の量子干渉状態(量子コヒーレンス状態)を作り出すことができるので、ガスセル120に入射する共鳴光対を取り出すことで、量子コンピュータ、量子メモリー、量子暗号システム等の量子情報機器に用いる光源(量子干渉装置の一例)を実現することもできる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 原子発振器、100 EIT発現部(EIT発現装置)、101 コリメートレンズ、102 減光フィルター、102a 減光フィルターの入射面、103 ペルチェ素子、110 半導体レーザー、120 ガスセル、121,123 ガスセルの底面、130 光検出器、140 検波回路、150 変調回路、160 低周波発振器、170 検波回路、180 電圧制御水晶発振器(VCXO)、190 変調回路、200 低周波発振器、210 周波数変換回路、220 駆動回路、230 周波数変換回路、240 変調回路、500 携帯端末、502 操作ボタン、504 受話口、506 送話口、508 表示部

Claims (8)

  1. 金属原子と、前記金属原子が封入された原子セルと、
    前記金属原子にEIT現象(電磁励起透過現象)を起こさせる共鳴光対を含む光を発生させる光発生部と、を有し
    前記金属原子は、入射する前記光の強度により、前記EIT現象によるEIT信号(共鳴信号)に影響を受けるものであり、
    前記原子セルと前記光発生部との間に配置されていて、前記光が入射する入射面を有するフィルターを有し、
    前記光は、前記フィルターの入射面での空間強度分布は、前記入射面の基準点と重なる中心部の強度が高く、中心部から遠いほど強度が低い特性を有しており、前記中心部が前記基準点と重なるように前記フィルターに入射し、
    前記フィルターは前記入射面において、前記基準点に近い位置より遠い位置の方が前記光の透過率が高い、ことを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記フィルターは、
    前記入射面における前記透過率の分布が、前記基準点からの距離に対して逆ガウス分布を含む請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記フィルターは、
    光の一部を吸収する吸収型のフィルターであり、前記入射面において前記基準点に近い位置より遠い位置の方が吸収率が低い請求項1又は2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記フィルターは、
    光の一部を反射する反射型のフィルターであり、前記入射面において前記基準点に近い位置より遠い位置の方が反射率が低い請求項1又は2に記載の量子干渉装置。
  5. 前記光発生部が発生させた前記光の強度の半値全幅の1/2をr0、前記フィルターの前記入射面の、前記基準点から透過率が前記基準点の透過率の2倍となる位置までの距離をr1とした時、r0=r1である請求項4に記載の量子干渉装置。
  6. 前記フィルターは、
    前記原子セルの入射面と一体で配置されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の量子干渉装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の量子干渉装置を備えている原子発振器。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の量子干渉装置を備えている電子機器。
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