JP6880834B2 - 磁気センサ、生体磁気測定装置 - Google Patents

磁気センサ、生体磁気測定装置 Download PDF

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本発明は、磁気センサ、生体磁気測定装置に関する。
アルカリ金属原子の気体を封入したセルに、アルカリ金属原子の2つの基底準位から一つの励起準位に励起した時に起こる量子干渉効果(CPT共鳴:Coherent Population Trapping Resonance)を応用した磁気測定方法が知られている。又、CPT共鳴スペクトルのゼーマンシフト量は共鳴の磁気量子数に比例することが知られている。
量子干渉効果を応用した磁気測定方法の一例としては、CPT共鳴スペクトルを分裂させるために大きな磁場(10μT以上)を印加し、磁気量子数の絶対値が大きい準位のCPT共鳴スペクトルのゼーマンシフトを検知して磁場を測定する方法(第1の方法とする)が挙げられる(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1参照)。
又、量子干渉効果を応用した磁気測定方法の他の例としては、縮退状態のCPT共鳴による偏光の回転信号のシフト量を測定する方法(第2の方法とする)が挙げられる(例えば、非特許文献3参照)。
しかしながら、上記の第1の方法では、大きな磁場を発生させるためコイルの電源の精度不足によるノイズが磁気感度を制限するため、高感度に磁気測定することは難しい。又、上記の第2の方法では、偏光の回転信号のシフト量は微小であるため、高感度に磁気測定することは難しい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、高感度の磁気測定が可能な、量子干渉効果を応用した磁気センサを提供することを課題とする。
本磁気センサは、アルカリ金属原子を封入したセルと、前記セルに入射する2つの異なる周波数を有する光を出射する光源と、前記セルと前記光源との間に設置され、前記光を円偏光にする偏光変換器と、前記セルを透過した前記光を検出する光検出器と、を有し、CPT共鳴スペクトルのピークが1つの状態であることを要件とする。
開示の技術によれば、高感度の磁気測定が可能な、量子干渉効果を応用した磁気センサを提供できる。
第1の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。 3準位系におけるCPT共鳴の原理の説明図である。 超微細構造における磁気副準位とゼーマン効果の説明図である。 各磁気副準位がσ+励起でCPT共鳴が起こる組み合わせの説明図である。 縮退状態のCPT共鳴スペクトルの説明図である。 光ポンピングされていない分裂状態のCPT共鳴スペクトルの説明図である。 分裂状態のCPT共鳴スペクトルの磁場応答の説明図である。 光ポンピングされていない縮退状態のCPT共鳴スペクトルの磁場応答の説明図である。 光ポンピングされた分裂状態のCPT共鳴スペクトルの説明図である。 光ポンピングされた縮退状態のCPT共鳴スペクトルの説明図である。 第2の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。 第3の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。 第4の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。 第5実施形態に係る生体磁気測定装置の構成を例示する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。図1に示すように、磁気センサ1は、セル10と、光源20と、1/4波長板30と、光検出器40とを有しており、縮退状態のCPT共鳴スペクトルのシフト量に基づいて、磁場の強度を計測する磁気センサである。
セル10は、アルカリ金属原子を封入した容器である。セル10の内部には、アルカリ金属原子の他に、原子の緩和時間を伸ばすヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス(バッファガス)が封入されてもよい。又、セル10の内壁に原子の緩和時間を伸ばすパラフィン等の緩和防止コーティングがされていても良い。
セル10の材料は、光の入出射部に関しては光を透過できる材料であればよく、例えば、ガラス材料を用いることができる。光の入出射部以外に関しては、特に限定されないが、ガラス材料、金属材料、樹脂材料等を用いることができる。但し、セル10の全体を硼珪酸ガラス等の光を透過できる材料により作製してもよい。
光源20は、セル10内のアルカリ金属原子の吸収波長(例えば、133CsのD1線に相当する895nm)の光を出射する機能を有する。より具体的にはω1、ω2の周波数を持った光を出射する機能を有する。光源20として、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER 垂直共振面発光レーザ)を用いることができる。但し、ω1、ω2の周波数を持った光を出力する機能を有していれば、光源20はVCSELには特に限定されない。
1/4波長板30は、セル10と光源20との間に設置され、光源20の出射光が入射する。1/4波長板30は、直線偏光の光を略円偏光の光に変換する機能を有する偏光変換器である。磁気センサ1は、略円偏光の光でアルカリ金属原子を励起することにより、ポンピング率を高くすることが可能である。
光検出器40は、セル10を透過した光を検出し、受光した光を電気信号に変換する機能を有する。光検出器40としては、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。
磁気センサ1は、光源20から出射される2つの異なる周波数(ω1、ω2)の光とセル10に封入されたアルカリ金属原子との相互作用による量子干渉効果による光吸収特性を計測するものであり、CPT共鳴スペクトルは縮退している。
磁気センサ1において、光源20から出射された直線偏光の光は、1/4波長板30を透過することで略円偏光に変換され、セル10に入射する。そして、セル10を透過し、光検出器40に受光される。
以降、磁気センサ1について詳説する。セル10の内部には、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属原子が封入されている。図2に示すように、アルカリ金属原子は3つのエネルギー準位を有しており、|g1>、|g2>は基底準位、|e>は励起準位である。
又、ω1は|g1>と|e>とのエネルギー差に相当する周波数、ω2は|g2>と|e>とのエネルギー差に相当する周波数、fhfsは|g1>と|g2>とのエネルギー差に相当する周波数である。
セル10に、ω1、ω2の周波数を持つ光を入射すると、ω1、ω2の周波数差がfhfsからずれていると光は原子に吸収されるが、ω1、ω2の周波数差がfhfsと一致したとき、光の吸収率が急激に低下し、セル10の透過光が大きくなる。この現象をCPT共鳴又はEIT(Electromagnetically Induced Transparency:電磁波誘起透明化)という。
133Cs原子の全角運動量F=4の超微細構造の場合、その内部に図3のように9個の磁気副準位を持つ。各準位はm=−4〜4の磁気量子数を持っている。各準位の磁気量子数m=0からの周波数差Δfは、磁場の大きさが十分小さい場合(0.1mT以下)、磁場に対して線形に変化する。これをゼーマン効果という。ここで、磁気量子数mの磁気副準位の磁気量子数0の磁気副準位からのゼーマンシフトΔfは、式(1)で示される。
Figure 0006880834
式(1)において、μはボーア磁子、gは基底準位F=4のg因子、hはプランク定数、Bは磁束密度である。
ここで、アルカリ金属原子の超微細構造とは、微細構造のアルカリ金属原子が、更に電子の軌道運動とスピンによる電子の磁気双極子モーメントと、核磁気モーメントの相互作用によって分裂した構造である。
原子がσ+励起されている場合、原子は磁気量子数が1大きい準位に励起される。励起準位がF=4を持つ準位(F'=4)であるときのCPT共鳴が起こる3準位系の組み合わせは、図4のように7通りある。
磁場の大きさが小さい(1μT以下)場合、同じ超微細構造内の磁気副準位が重なり合って、図2に示すような単純な3準位系になる。そのため、観測できるCPT共鳴スペクトルは、図5のように1つに重なり合い、CPT共鳴スペクトルのピークが1つになる。これが、縮退の定義である。
原子に大きな磁場が印加され、磁気副準位が重なり合わない場合、図6のようにCPT共鳴スペクトルは7つに分裂する。それぞれの共鳴の時計遷移からのシフト量Δfは、式(2)で示される。
Figure 0006880834
式(2)において、μはボーア磁子、gは基底準位F=3、4のg因子の大きさ、mg1は基底準位g1の磁気量子数、mg2は基底準位g2の磁気量子数、hはプランク定数、Bは磁束密度である。ここで、基底準位g1は基底準位g2よりも高い準位である。
又、光ポンピングされていない場合、図6のように磁気副準位が重なり合っていない2つの基底準位(mg1,mg2)=(0,0)(時計遷移)を中心に左右対象的な共鳴振幅となっている。CPT共鳴スペクトルが分裂している場合、CPT共鳴は2つの基底準位の磁気量子数が同じ磁気副準位間の周波数差を検出している。そのため、時計遷移以外のCPT共鳴スペクトルは、図7に示すように、CPT共鳴スペクトルの形状が歪むことなくシフトする。なお、図7では、磁束密度Bが−300nT、0nT、300nTの3つの場合を示している。
次に、光ポンピングされていない場合の縮退状態のCPT共鳴スペクトルの磁場応答を示す。光ポンピングされていない場合、複数のCPT共鳴スペクトルが重なり合っており、磁場に対する周波数シフト量がそれぞれ違うため、図8のように、磁場を印加するとCPT共鳴スペクトルの形状が歪む。原子の偏りが少ないため、磁場を印加してもCPT共鳴スペクトルのピークの周波数シフト量は小さい。なお、図8では、磁束密度Bが−200nT、0nT、200nTの3つの場合を示している。
光強度を十分大きくして(この例では1.5mW/cm)光ポンピングさせた場合、分裂したCPT共鳴スペクトルは、図9のようになる。光ポンピングされている場合、磁各磁気副準位の存在確率が磁気量子数の絶対値の大きい+か−のどちらか一方の磁気副準位に偏る。又、各磁気副準位の存在確率が低い準位の共鳴振幅よりも存在確率が高い準位の共鳴振幅の方が高くなる。
図10に、光ポンピングされている場合の縮退状態のCPT共鳴スペクトルの磁場応答を示す。縮退状態のCPT共鳴スペクトルは各磁気副準位の共鳴の重ね合わせであるため、磁気量子数の絶対値が大きい準位のゼーマンシフトの寄与が支配的となる。これにより、磁場により縮退状態のCPT共鳴スペクトルのピークのシフト量が大きくなるため、セル10内の磁場を大きくすることなく(1μT以下として)、高感度に磁気を測定することができる。なお、図10では、磁束密度Bが−200nT、0nT、200nTの3つの場合を示している。
すなわち、地磁気等の環境磁場と測定対象となる磁場との合計が1μT以下であれば、縮退状態を維持しながら光ポンピングされている状態を維持できるため、磁気センサ1により高感度に磁気を測定することができる。
ここで、CPT共鳴スペクトルが縮退する磁場が1μT以下であることについて説明する。
例えば、133Csでの典型的な条件の場合、(mg1,mg2)=(3,3)の共鳴振幅が(mg1,mg2)=(0,0)の共鳴振幅の0.185倍、(mg1,mg2)=(3,3)の共鳴スペクトルの線幅が20kHz、CPT共鳴スペクトルが理想的なローレンツ分布であるとする。
(mg1,mg2)=(3,3)の共鳴振幅の0.185倍の値を取るのは、CPT共鳴スペクトルのピークから21kHz離れた周波数である。一方、上式から(mg1,mg2)=(3,3)のCPT共鳴スペクトルが21kHzシフトするのは、光と平行な成分の磁場の大きさが約1μTのときである。
従って、(mg1,mg2)=(0,0)のCPT共鳴スペクトルと(mg1,mg2)=(3,3)のCPT共鳴スペクトルの縮退が解けない条件は、光と平行な成分の磁場の大きさが1μT以下のときである。ここで、gg1=1/4、gg2=−1/4、μ=927×10−26、h=6.63×10−34である。
このように、磁気センサ1では、セル10内の光の光路上の磁場の大きさを1μT以下とすることにより、CPT共鳴スペクトルが縮退状態を維持している。これにより、測定する磁場による縮退状態のCPT共鳴スペクトルのピークのシフト量が大きくなるため、セル10内の磁場を大きくすることなく、高感度に磁気を測定することができる。
すなわち、磁気センサ1では、CPT共鳴スペクトルを分裂させるために大きな磁場を印加する必要がないため、CPT共鳴スペクトルを分裂させるために大きな磁場を印加する従来の磁気センサに比べて、高感度に磁気測定できる。又、磁気センサ1は、略円偏光で励起するためポンピング率を高くすることが可能であり、縮退状態のCPT共鳴による偏光の回転信号のシフト量を測定する従来の磁気センサに比べて、高感度に磁気測定できる。
又、光源20から出射される2つの異なる周波数の光とアルカリ金属原子との相互作用による量子干渉効果による光吸収特性により光の周波数が調整されていてもよい。これにより磁気センサのダイナミックレンジを広げることができる。
又、光源20から出射される2つの異なる周波数の光とアルカリ金属原子との相互作用による量子干渉効果による光吸収特性によりセル10内の光の光路上の磁場が調整されていてもよい。これにより磁気センサのダイナミックレンジを広げることができる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、磁場発生装置を備えた磁気センサの例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図11は、第2の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。図11に示すように、磁気センサ2は、磁場発生装置50が追加された点が磁気センサ1(図1参照)と相違し、その他の構成は磁気センサ1(図1参照)と同様である。
磁場発生装置50は、セル10に光の伝搬方向と平行に、CPT共鳴スペクトルの縮退が解けない磁場を印加する装置であり、セル10の周辺に位置している。磁場発生装置50で印加するセル10内の光の光路上の磁場の大きさは、1μT以下である。
磁場発生装置50としては、例えば、ソレノイドやヘルムホルツコイル等を用いることができるが、光の伝搬方向と略平行か略反平行な磁場を印加できる装置であれば、特に限定はされない。磁気センサ2によれば、測定対象の磁場方向によらず高感度に磁気測定することが可能となる。
ここで、光の伝搬方向と磁場の向きについて説明する。原子のスピンの向きが円偏光の光の伝搬方向と平行か反平行のとき最もよく光ポンピングされる。そのため、磁気センサ2では、測定対象の磁場と光の伝搬方向と平行か反平行のとき、最も磁気感度が高くなる。逆に、測定対象の磁場方向が光の伝搬方向と平行か反平行でない場合、磁気感度が低くなる。
そこで、磁場発生装置50により光の伝搬方向と略平行か略反平行で、測定対象よりも大きく、縮退が解けない程度の小さいバイアス磁場をセル10に印加する。ここでは、100nTの磁場を光の伝搬方向と平行に印加するが、前述の条件を満たす大きさ、方向の磁場であれば、特に限定はされない。これにより、任意の方向の測定対象磁場が印加されたとしても、光に垂直な成分の磁場よりも平行な成分の磁場が大きくなるため、原子の向きによる光のポンピング率の低下が抑制され、磁場を高感度に測定可能となる。
仮に、光の伝搬方向から45°傾いた100pTの大きさの磁場(測定対象の磁場)が印加されたとすると、上記のバイアス磁場を印加した時の合成された磁場の方向は、光の伝搬方向から0.04°程度しか傾かない。これは、十分無視できる値である。そのため、原子の向きによる光のポンピング率の低下を抑制でき、磁場を高感度に測定可能となる。
このように、磁気センサ2では、光の伝搬方向と略平行に磁場を印加する磁場発生装置50を有し、アルカリ金属原子の超微細構造の縮退が解けない程度の磁場を印加する。これにより、測定磁場の方向を制限できるため、任意の方向の測定磁場に対して磁場を高感度に測定可能となる。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、磁場発生装置及びミラーを備えた磁気センサの例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図12は、第3の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。図12に示すように、磁気センサ3は、ミラー60が追加され、一部の構成要素の位置関係が変更された点が磁気センサ2(図11参照)と相違し、その他の構成は磁気センサ2(図11参照)と同様である。
ミラー60は、セル10を挟んで光源20の反対側の光路上に配置されており、光検出器40は、セル10を挟んでミラー60の反対側の光路上に配置されている。ミラー60は、セル10を透過した光をセル10の方向に反射する機能を有する。
光源20から出射された直線偏光の光は、1/4波長板30を透過することで略円偏光に変換され、セル10に入射する。そして、セル10を透過してミラー60でセル10の方向に反射される。ミラー60で反射された光は、再びセル10を透過し、光検出器40に受光される。
セル10を透過した光がミラー60で再びセル10の方向に反射されると、進行方向が逆向きになるため、右円偏光の光は左円偏光の光に、左円偏光の光は右円偏光の光に変わる。更に、光の伝搬方向を基準とすると、セル10に印加されている磁場は、ミラー60による反射の前後で逆向きになる。そのため、ミラー60で反射する前後での原子の励起方向は同じになるので、磁気センサ1及び磁気センサ2と同様に原子が光ポンピングされ、高感度に磁気測定することができる。
なお、図12では、セル10とミラー60とが独立している例を示したが、セル10の一部がミラーになっていてもよい。
このように、磁気センサ3では、セル10を透過した光をセル10の方向に反射させるミラー60を有し、光検出器40がセル10を挟んでミラー60と反対方向に配置されている。これにより、測定対象とセル10とが近づくため、ミラー60で光を反射させない構成と比べて大きな磁場を検出することができる。
すなわち、測定対象の法線方向成分の磁場を測定する場合、間に光検出器40等の構成要素が無いため、セル10と測定対象間の距離をより短くすることができる。そのため、第2実施形態に係る磁気センサ2よりも大きな磁場を検出することができる。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、磁場発生装置、ミラー、1/2波長板、及び偏光分離器を備えた磁気センサの例を示す。磁場発生装置を備えた磁気センサの例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図13は、第4の実施形態に係る磁気センサの構成を例示するブロック図である。図13に示すように、磁気センサ4は、1/2波長板70及び偏光分離器80が追加され、一部の構成要素の位置関係が変更された点が磁気センサ3(図12参照)と相違し、その他の構成は磁気センサ3(図12参照)と同様である。
1/2波長板70は、光源20と偏光分離器80との間の光路上に位置しており、光の偏光方向を任意に調整する機能を有する。偏光分離器80は、1/2波長板70と1/4波長板30との間の往路と復路の光路上に位置しており、直線偏光の光と円偏光の光を分離する機能を有する。又、光検出器40は、復路の光が1/4波長板30を通過して偏光分離器80で分離された光路上に位置している。偏光分離器80としては、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarizing Beam Splitter)等を用いることができるが、偏光を分離できるものであれば、特に限定されない。
このように、磁気センサ4では、光源20と1/4波長板30との間に偏光分離器80を有し、1/4波長板30と偏光分離器80が光源20から出射される光と光がミラー60に反射される反射光の光路上に配置されている。これにより、ミラー60での反射の前後の光を略平行にすることができるため、偏光分離器80を有しない構成と比べて高感度に磁気測定できる。
すなわち、磁気センサ4は、第3実施形態に係る磁気センサ3と比べて、印加磁場に対して光を略平行に入射することができるため、原子のポンピング率を上げることが可能となる。そのため、第3実施形態に係る磁気センサ3よりも、高感度に磁気測定することができる。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、磁気センサを備えた生体磁気測定装置の例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図14は、第5実施形態に係る生体磁気測定装置の構成を例示する図である。図14に示すように、生体磁気測定装置5は、磁気センサ1と、駆動回路1Dと、磁気遮蔽装置100と、信号解析装置110と、表示装置120とを有している。磁気センサ1は、1つではなく複数個有していてもよい。
磁気センサ1は、磁気遮蔽装置100内に配置されている。又、駆動回路1Dは、磁気センサ1を駆動する回路であり、磁気遮蔽装置100の外部に配置されている。但し、磁気センサ1において、セル10が磁気遮蔽装置100内に配置されていれば、光源20や光検出器40は駆動回路1Dと共に磁気遮蔽装置100の外部に配置されてもよい。
磁気遮蔽装置100は、所定の大きさの内部空間を有し、装置器具の搬送や、被検者Sの出入りが可能な構成とされている。磁気遮蔽装置100としては、パーマロイやミューメタル等の高透磁率材料等で形成されたパッシブ磁気シールドや、複数のコイルを組み合わせたアクテイブ磁気シールド等を用いることができるが、磁気を遮断できる装置であれば、特に限定されない。磁気遮蔽装置100を設けることで、被検者Sの神経や筋肉の活動に伴って発生する微小な生体磁気を精度よく測定することができる。
信号解析装置110としては、コンピュータ等を用いることができる。又、複数の装置を組み合わせて信号解析装置110としてもよく、例えば、ADコンバータとコンピュータとを組み合わせることができるが、信号を解析できる装置であれば、特に限定されない。
表示装置120としては、液晶ディスプレイ等を使用することができるが、信号解析結果を表示できるものであれば、特に限定されない。
生体磁気測定装置5は、磁気センサ1を用いているため、CPT共鳴スペクトルを分裂させるために大きな磁場を印加する従来の磁気センサを使用した生体磁気測定装置に比べて、高感度に磁気測定できる。又、生体磁気測定装置5は、磁気センサ1を用いているため、縮退状態のCPT共鳴による偏光の回転信号のシフト量を測定する従来の磁気センサを使用した生体磁気測定装置に比べて、高感度に磁気測定できる。なお、磁気センサ1に代えて、磁気センサ2、3、又は4を用いることで、より高感度な磁気測定が可能となる。
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、各実施の形態で説明した構成要素の一部は省略してもよい。例えば、磁気センサ4において1/2波長板70は省略してもよい。又、各実施の形態で説明した構成要素に、別の構成要素を加えてもよい。例えば、偏光板、1/2波長板、レンズ、光ファイバ、発振器、位相検波器、フィルタ、ヒータ、温度センサ、断熱材、信号解析装置、記録装置、磁気シールド、表示装置、コンピュータ等を適宜加えることができる。
1、2、3、4 磁気センサ
5 生体磁気測定装置
10 セル
20 光源
30 1/4波長板
40 光検出器
50 磁場発生装置
60 ミラー
70 1/2波長板
80 偏光分離器
100 磁気遮蔽装置
110 信号解析装置
120 表示装置
特開2014−179972号公報

Claims (8)

  1. アルカリ金属原子を封入したセルと、
    前記セルに入射する2つの異なる周波数を有する光を出射する光源と、
    前記セルと前記光源との間に設置され、前記光を円偏光にする偏光変換器と、
    前記セルを透過した前記光を検出する光検出器と、を有し、
    CPT共鳴スペクトルのピークが1つの状態である磁気センサ。
  2. 前記セル内の前記光の光路上の磁場の大きさが1μT以下である請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記光の伝搬方向と平行に磁場を印加する磁場発生装置を有する請求項1又は2に記載の磁気センサ。
  4. 前記磁場発生装置で印加する前記セル内の前記光の光路上の磁場の大きさが1μT以下である請求項3に記載の磁気センサ。
  5. 前記セルを透過した前記光を前記セルの方向に反射するミラーを有し、前記光検出器が前記セルを挟んで前記ミラーと反対方向に配置されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の磁気センサ。
  6. 前記ミラーが前記セルの一部である請求項5に記載の磁気センサ。
  7. 前記光源と前記偏光変換器との間に偏光分離器を有し、
    前記偏光変換器と前記偏光分離器が前記光源から出射される前記光と前記光が前記ミラーに反射される反射光の光路上に配置されている請求項5又は6に記載の磁気センサ。
  8. 請求項1乃至の何れか一項に記載の磁気センサを有する生体磁気測定装置。
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