JP2018039856A - サポートフィルム - Google Patents

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鈴木 雅弘
Masahiro Suzuki
雅弘 鈴木
勝 三好
Masaru Miyoshi
勝 三好
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Abstract

【課題】幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムと剥離可能に積層して支持するサポートフィルムについて、ロールtoロール方式での製造工程中の剥離、シワ発生の問題を解決するサポートフィルムを提供する。
【解決方法】幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムを、幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下であり、巻き取り張力による流れ方向(MD方向)の寸法変化率が0.1%以上0.7%以下になるようにリール巻きされたサポートフィルムと積層して用いることによって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、伸びやすいフィルムを支持するサポートフィルムに関する。さらに詳しくは、伸びやすいフィルムのロールtoロール方式での加工を可能にするサポートフィルムに関する。
フィルムをロールtoロールで連続的に加工を行う場合、ラインを搬送する張力が低いと、フィルムが蛇行する、しわが寄るなどの不具合が生じる。そのため、フィルム全体に一定の張力をかけて加工することが必要である。しかし、伸びやすいフィルム単体を用いる場合、ラインを搬送する張力によってフィルムが伸びたり破断するなどの問題が発生する。それを解決するために、張力に対して変形しにくいフィルムを支持フィルムとして、伸びやすいフィルムと支持フィルムとを積層して用いる方法が、特開2008‐143042号公報(特許文献1)に開示されている。
また、サポートフィルムは、加工フィルムを加工し終えた後、剥離して廃棄または再利用される。 離型性に優れ、さらに耐熱・耐薬品性などの優れた特性を有するため、サポートフィルムの材質にはフッ素樹脂が好適である。しかし、フッ素樹脂は柔らかく、伸びやすいため、フィルムにシワが入り作業性に劣ることが知られている。そこで、特開2003‐285396号公報では、フッ素樹脂フィルムに代えてポリエチレンテレフタレートフィルムなどの引張弾性率が高いフィルムの表面にフッ素樹脂をドライラミネートしたフィルムを基材フィルムとして用いることが記載されている。
このように、従来の方法では、伸びやすい加工フィルムを、ロールtoロール方式で加工する場合には、フィルムのMD方向の伸びが極めて小さいフィルムを、加工フィルムを支持するサポートフィルムとして使用している。しかし、この方法では、加工フィルムとサポートフィルムの変形しやすさが大きく異なるため、密着度が弱くなり部分的に剥離したり、加工フィルムにシワが発生したりすることがある。
特開2008‐143042号公報 特開2003‐285396号公報
したがって、本発明の目的は、幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムと剥離可能に積層して支持するサポートフィルムについて、ロールtoロール方式での加工工程中の剥離、シワ発生の問題を解決するサポートフィルムを提供することである。
本発明の課題は、幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度(以下、5%変位時の引張強度)が1.0N以下のフィルムと剥離可能に積層して支持するサポートフィルムであって、前記サポートフィルムは5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下であり、巻き張力による流れ方向(MD方向)の寸法変化率が0.1%以上0.7%以下になるようにリール巻きされたサポートフィルムによって解決される。
本発明のフィルムは、5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムとの密着度が高く、ロールtoロール方式での加工工程中の剥離、シワが発生しない。
図1は、巻き張力によるMD方向の寸法変化率を測定する測定方法を説明する図である。
以下、本発明のサポートフィルムについて詳しく説明する。以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
本発明の5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムと剥離可能に積層して支持するサポートフィルムは、5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下であり、巻き張力による流れ方向(MD方向)の寸法変化率が0.1%以上0.7%以下になるようにリール巻きされている。このような構成にすることにより、ロールtoロール方式での加工工程中で、積層した加工フィルムとサポートフィルムの剥離やシワ発生を抑制することが可能である。
本発明のサポートフィルムには、5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下であり、離型性を有するフィルムであれば、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂が好適に用いられる。中でも特にPFAが好ましい。
先述のように、5%変位時の引張強度が1.0N以下であるような伸びやすい加工フィルムを、ロールtoロール方式で加工するには、加工フィルム単体ではラインを搬送する張力に耐えられず、加工フィルムが伸びたり破断したりするという問題がある。従来は、この加工フィルムを支持するために、一般的なフィルム搬送張力(3〜10kg/フィルム幅)をかけたときのフィルムのMD方向の伸びが極めて小さいフィルムを、サポートフィルムとして使用している。引張に対して変形しないサポートフィルムを加工フィルムに積層することによって、張力の負荷をサポートフィルムが負担して加工フィルムに負荷がかからないように考えられた方法である。しかし、この方法では、張力に対して伸びが極めて小さいサポートフィルムは硬く、加工フィルム側だけが変形し、密着している。搬送ロールを通過するときの曲げに対しても、加工フィルムとサポートフィルムの変形量が大きく異なるため、密着度が弱くなり部分的に剥離したり、加工フィルムにシワが発生したりすることがある。
そこで、本発明では、サポートフィルムだけに張力の負荷を負担させるのではなく、加工フィルムとサポートフィルムにかかる張力を両方が負担することで加工フィルムにかかる負荷を低減させることを考えてこの課題を解決した。サポートフィルムが張力に対して伸びることで密着度を上げ、ラインを搬送するときの加工フィルムの剥離を抑えられる。具体的には、5%変位時の引張強度が1.0N以下であるような伸びやすい加工フィルムを支持するのに、5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下のサポートフィルムを用いる。これにより、張力に対して、加工フィルムとサポートフィルムの両者が一体となって張力の負荷を分担し、搬送ロールを通過するときの曲げに対しても、両者が互いに変形するため、密着度が保持される。フィルム搬送中の加工フィルムにも無理がない程度に変形させることでサポートフィルムとの密着度を維持し、結果として加工フィルムの負荷を小さくすることができる。 従来の方法ではサポートフィルムには、5%変位時の引張強度が60〜100N以上になるフィルムを用いている。
本件発明では、フィルムにシワが入るのを抑えるために、巻き張力によるMD方向の寸法変化率を0.1%以上0.7%以下にしている。サポートフィルムの積層前の変形量とは、サポートフィルムを成形しリールに巻き取った状態から、加工フィルムと積層するためにリールから巻き出したときの、サポートフィルムのMD方向の寸法変形率のことである。
以下、本発明の実施形態のサポートフィルムの構成について、PFAを用いた場合を例として詳しく説明する。
溶融押出成形で成形されるフィルムは、押出機とTダイ金型を用いて押出成形で成形することができる。その押出、冷却などの条件でフィルムの特性が変わる。本発明のサポートフィルムは柔軟であることが好ましく、5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下になるように、フィルム厚さや製造条件で調整するとよい。例えば、製造条件を調整する場合には、押出ダイ温度を高くする、押出したフィルムはできるだけ急冷するなどの方法がある。
サポートフィルムの幅は、加工フィルムの幅に合わせて決め、加工フィルムより大きめにすることが好ましい。サポートフィルムの厚さは、加工フィルムと積層した後の、ライン搬送張力に対する積層フィルムの伸びが、加工フィルムが塑性変形しない範囲で抑えられるように設定する。通常は、10μm〜100μm程度である。
サポートフィルムをリールに巻き取る張力は特に限定されないが、巻きシワ、巻き崩れなどを発生させないためには、巻き取りの張力を強くすること効果的であることが知られている。一方、本発明のサポートフィルムは、加工フィルムと密着させるために、加工フィルムと加工特性を近づけて、張力に対して伸びやすいフィルムとなるように調整している。しかし、本件発明のサポートフィルムの巻き張力によるMD方向の寸法変化率は、0.1%以上0.7%以下になるように巻き取る必要がある。巻きシワを抑えるためには、巻き取り時に押えロールなどで圧力をかけながら巻くのも効果がある。
サポートフィルムがPFA単体で構成されることで、加工フィルムとの密着度を上げることが可能であることに加えて、サポートフィルムと積層したまま加工フィルムを加熱、薬品処理などを行う場合に、加工フィルムを汚染することなく加工することが可能である。
以下、本発明のサポートフィルムの製造方法について説明する。
[サポートフィルムの成形]
PFA(PFAグレード340、三井・デュポンケミカル社製)を1軸押出機(NOKIA社製)を用いて、Tダイ温度360℃で幅300mmのフィルムに成形し、リールに巻き取った。
発明を、下記の実施例でより詳細に説明する。下記の実施例は、発明を例示するものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
<5%変位時引張強度の測定>
フィルムの引張試験を、ASTM D-882に準拠して測定を行った。測定サンプルは、幅10mm、長さ150mmの短冊状のサンプルを作成し、室温にて試験速度 200mm/分、チャック間距離は100mmで測定を行った。測定結果から、測定サンプルの幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張荷重を算出して、5%変位時引張強度とした。
<巻き張力によるMD方向の寸法変化率の測定>
・リール巻き長さ実測値
リール巻き長さ実測値の測定方法を、図1を使って説明する。リール1に巻かれた状態のフィルム2を1周分巻き出し(図1-A)、張力によるひずみを除去して再びフィルム2の外周に巻きつけた。巻いたフィルム2の側面から、フィルム先端2aの位置に合わせてカミソリで切り込み2bを入れて印とした(図1-B)。フィルム2をリール1から巻き出し、切り込みと切り込みの間の長さ2cを、リール1周分の長さとして測定した(図1-C)。リールの表面から5周目〜15周目について、1周分の長さの平均を算出し、リールに巻いた状態の巻き長さ実測値とした。
・リール巻き長さ理論値
先述のひずみを除去してリールに巻きつけたフィルムの、1周目のリール1周分の長さが、リール1周目のフィルム巻き長さ理論値となる。リール1周目のフィルム巻き長さ理論値から、リール1周目の巻き直径を算出する。リールからフィルムを1周巻き出すごとに、巻き直径は、フィルム厚さの2倍の長さ分小さくなる。フィルムのリール5周目から15周目のそれぞれについて、巻き直径の理論値を求め、巻き直径の理論値から、リール5周目から15周目のそれぞれについてのフィルム巻き長さの理論値を算出した。
・ 巻き張力による流れ方向(MD方向)の寸法変化率
寸法変化率(%)は、リール巻き長さ実測値とリール巻き長さ理論値の長さから、{(リール巻き長さ実測値)−(リール巻き長さ理論値)}/(リール巻き長さ実測値)×100 で算出される。
実施例1
サポートフィルムとして、厚さ70μmのフィルムを成形し、リール巻き張力50Nで巻き取り、長さ100m準備した。サポートフィルムのリール巻き外観に、シワや巻きズレが無いか確認し、サポートフィルムの5%変位時引張強度と、巻き張力によるMD方向の寸法変化率を測定した。加工フィルムとして、5%変位時引張強度1.0Nのフィルムを同じく100m準備した。両方のフィルムを送り出し機にセットして巻き出し、ニップロールで積層密着させて、搬送ロールを経由し、リールに巻き取った。フィルム100mを搬送する間で、搬送ロールを搬送中、またはリール上でのシワの発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
実施例2
フィルムの冷却条件を急冷になるように冷却ロールの温度を調整してサポートフィルムを作成した。他の条件、測定結果、確認結果は表1に示した通りである。
実施例3
フィルムの厚さを30μmにした以外は、実施例1と同様にサポートフィルムを準備した。他の条件、測定結果、確認結果は表1に示した通りである。
比較例1
フィルムの厚さを20μmにし、巻き張力によるMD方向の寸法変化率を小さくした以外は、実施例1と同様にサポートフィルムを準備した。他の条件、測定結果、確認結果は表1に示した通りである。
比較例2
フィルムの厚さを20μmにし、巻き張力によるMD方向の寸法変化率を大きくした以外は、実施例1と同様にサポートフィルムを準備した。他の条件、測定結果、確認結果は表1に示した通りである。
比較例3〜5
従来のサポートフィルムとして、市販されているポリエチレンテレフタレートフィルムをサポートフィルムとした以外は、実施例1と同様に評価を行った。各測定結果、確認結果は表1に示した通りである。
各実施例、比較例の結果を表1に示す。
Figure 2018039856
実施例 1〜3 は、本発明の範囲内であり、サポートフィルムのリール巻き外観にシワなどの不良は見られず、積層フィルムにもシワの発生が見られなかった。比較例1は、サポートフィルムの巻き張力によるMD方向の寸法変化率が小さすぎて、サポートフィルムのリールに巻きズレが発生し、積層フィルムのシワの原因となった。比較例2は、サポートフィルムの巻き張力によるMD方向の寸法変化率が大きく、サポートフィルムのリールと積層フィルムの両方でシワが発生した。比較例3、4、5は従来のサポートフィルムであり、変形しにくいフィルムのため、積層フィルムにシワが発生した。 比較例3と5では、サポートフィルムの巻き張力によるMD方向の寸法変化率が小さすぎて、サポートフィルムのリールに巻きズレが発生した。
本件発明は、変形しやすく連続加工のための張力が問題となるフィルムを支持するフィルムであり、ロールto ロール方式の連続加工を可能にするものである。表面加工、各種コーティングなどの連続加工の他、電解質膜などの製造時にも、シワなどの不良を発生させず、離型性、耐熱性、耐薬品性に優れるので積層したフィルムを汚染することもなく、利用範囲が広い。

Claims (2)

  1. 幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.0N以下のフィルムと剥離可能に積層して支持するサポートフィルムであって、前記サポートフィルムは幅10mm、チャック間距離100mmで測定したときの5%変位時の引張強度が1.5N以上10N以下であり、巻き張力による流れ方向(MD方向)の寸法変化率が0.1%以上0.7%以下になるようにリール巻きされたサポートフィルム。
  2. テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で構成される請求項1に記載のサポートフィルム。

JP2016171750A 2016-08-31 2016-09-02 サポートフィルム Pending JP2018039856A (ja)

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