JP2018035851A - クラッチユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】 レバー操作のポンピング回数を低減させることで操作性を改善する。【解決手段】 レバー操作により入力される回転トルクの伝達および遮断を制御するレバー側クラッチ部11と、レバー側クラッチ部11からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部12とからなり、レバー側クラッチ部11とブレーキ側クラッチ部12との間に、入力側回転を増速して出力側へ伝達する遊星歯車機構32を設ける。【選択図】 図1
Description
本発明は、レバー操作により回転トルクが入力されるレバー側クラッチ部と、そのレバー側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側からの回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを備えたクラッチユニットに関する。
一般に、円筒ころやボール等の係合子を用いるクラッチユニットにおいては、入力部材と出力部材との間にクラッチ部が配設される。このクラッチ部は、入力部材と出力部材との間で円筒ころやボール等の係合子を係合および離脱させることによって、回転トルクの伝達および遮断を制御する構成になっている。
本出願人は、レバー操作により座席シートを上下調整する自動車用シートリフタ部に組み込まれるクラッチユニットを先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示されたクラッチユニットは、レバー操作により回転トルクが入力されるレバー側クラッチ部と、そのレバー側クラッチ部から入力される回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを備えている。
レバー側クラッチ部は、レバー操作により回転トルクが入力される外輪と、外輪からの回転トルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する内輪と、外輪と内輪間の楔すきまでの係合および離脱により外輪からの回転トルクの伝達および遮断を制御する円筒ころと、外輪からの回転トルクで弾性力を蓄積し、回転トルクの入力がなくなると、蓄積された弾性力で外輪を中立状態に復帰させるセンタリングばねとで主要部が構成されている。
ブレーキ側クラッチ部は、回転が拘束された外輪と、回転トルクが出力される出力軸と、外輪と出力軸間の楔すきまでの係合および離脱により出力軸からの回転トルクの遮断とレバー側クラッチ部からの回転トルクの伝達とを制御する複数の円筒ころおよび板ばねと、各円筒ころおよび板ばねを円周方向等間隔に保持する保持器とで主要部が構成されている。なお、保持器は、レバー側クラッチ部の内輪と一体的に形成されている。
レバー側クラッチ部では、レバー操作により外輪に回転トルクが入力されると、円筒ころが外輪と内輪間の楔すきまに係合する。この楔すきまでの円筒ころの係合により、内輪に回転トルクが伝達されて内輪が回転する。この時、外輪の回転に伴ってセンタリングばねに弾性力が蓄積される。
レバー操作による回転トルクの入力がなくなると、センタリングばねの弾性力により外輪が中立状態に復帰する一方で、内輪は、与えられた回転位置をそのまま維持する。従って、外輪の回転繰り返し、つまり、操作レバーのポンピング操作により、内輪は寸動回転する。
ブレーキ側クラッチ部では、座席シートへの着座により出力軸に回転トルクが逆入力されると、円筒ころが出力軸と外輪間の楔すきまに係合して出力軸が外輪に対してロックされる。この出力軸のロックにより出力軸からの回転トルクは遮断される。これにより、座席シートの座面高さは保持される。
一方、レバー側クラッチ部の内輪から回転トルクがブレーキ側クラッチ部の保持器に入力されると、保持器が回転し円筒ころと当接して板ばねの弾性力に抗して円筒ころを押圧することで、円筒ころが外輪と出力軸間の楔すきまから離脱する。この円筒ころの離脱により、出力軸のロック状態が解除され、出力軸は回転可能となる。
そして、ブレーキ側クラッチ部の保持器がさらに回転することにより、保持器からの回転トルクが出力軸に伝達され、出力軸が回転する。つまり、レバー側クラッチ部の内輪に伴って保持器が寸動回転すると、出力軸も寸動回転することになる。この出力軸の寸動回転により、座席シートの上下調整が可能となる。
ところで、特許文献1で開示された従来のクラッチユニット、つまり、自動車用シートリフタ部に組み込まれるクラッチユニットでは、レバー操作によりレバー側クラッチ部の外輪に回転トルクが入力されると、その回転トルクが内輪を介してブレーキ側クラッチ部の出力軸に1:1対応で伝達される。
そのため、座席シートの上下調整時、必要な上下ストロークを得るために、レバー側クラッチ部の外輪の回転繰り返し、つまり、レバー操作のポンピング回数が増加することがある。このように、レバー操作のポンピング回数が増加することで、レバー操作時における使用者の負担を大きくなる。
そこで、本発明は前述の改善点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、レバー操作のポンピング回数を低減させることで操作性を改善し得るクラッチユニットを提供することにある。
本発明に係るクラッチユニットは、入力側に設けられ、レバー操作により入力される回転トルクの伝達および遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなる基本構成を具備する。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明に係るクラッチユニットは、レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部との間に、入力側回転を増速して出力側へ伝達する増速部を設けたことを特徴とする。
本発明では、レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部との間に増速部を設けたことにより、入力側回転を増速して出力側へ伝達することができる。このクラッチユニットを自動車用シートリフタ部に組み込んだ場合、レバー側クラッチ部の外輪の回転繰り返し、つまり、レバー操作のポンピング回数を低減でき、レバー操作時における使用者の負担を軽減できる。
本発明における増速部は、遊星歯車機構あるいは遊星ローラ機構で構成された構造が望ましい。このような構造を採用すれば、入力側回転を増速して出力側へ伝達することが容易となる。
本発明に係るクラッチユニットは、レバー側クラッチ部およびブレーキ側クラッチ部を自動車用シートリフタ部に組み込むことで自動車用途として適している。
本発明によれば、レバー側クラッチ部とブレーキ側クラッチ部との間に増速部を設けたことにより、入力側回転を増速して出力側へ伝達することができる。従って、このクラッチユニットを自動車用シートリフタ部に組み込んだ場合、レバー操作のポンピング回数を低減でき、レバー操作時における搭乗者の負担を軽減できる。
その結果、座席シートの上下調整時、少ないレバー操作で必要な上下ストロークを得ることができるので操作性の改善が図れ、使用者にとって快適なレバー操作を実現したクラッチユニットを提供することができる。
本発明に係るクラッチユニットの実施形態を図面に基づいて詳述する。図1はクラッチユニットの全体構成を示す断面図、図2は図1のP−P線に沿う断面図、図3は図1のQ−Q線に沿う断面図、図4は図1のR−R線に沿う断面図である。この実施形態の特徴的な構成を説明する前にクラッチユニットの全体構成を説明する。
クラッチユニット10は、図1に示すように、入力側に設けられたレバー側クラッチ部11と、出力側に設けられたブレーキ側クラッチ部12とをユニット化した構造を具備する。レバー側クラッチ部11は、レバー操作により入力される回転トルクの伝達および遮断を制御する。ブレーキ側クラッチ部12は、レバー側クラッチ部11からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断する逆入力遮断機能を有する。
レバー側クラッチ部11は、図1および図2に示すように、レバー操作により回転トルクが入力される側板13および外輪14と、外輪14から入力される回転トルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する内輪15と、外輪14と内輪15との間での係合および離脱により外輪14からの回転トルクの伝達および遮断を制御する複数の円筒ころ16と、各円筒ころ16を円周方向等間隔に保持する保持器17と、保持器17を中立状態に復帰させるための内側センタリングばね18と、外輪14を中立状態に復帰させるための外側センタリングばね19とで主要部が構成されている。
レバー側クラッチ部11において、側板13の外周縁部に形成された爪部13aを、外輪14の外周縁部に形成された切欠き凹部14aに挿入して加締めることにより、側板13が外輪14に固定される。これにより、側板13および外輪14は、レバー側クラッチ部11の入力部材として一体化されている。外輪14の内周には、複数のカム面14bが円周方向等間隔に形成されている。外輪14への回転トルクの入力は、側板13にねじ止め等により取り付けた上下方向揺動可能な操作レバー53(図5参照)により行われる。
内輪15は、ブレーキ側クラッチ部12の出力軸22が挿通される筒状部15aと、その筒状部15aのブレーキ側端部を径方向外側に延在させた拡径部15bとからなる。内輪15の筒状部15aの円筒状外周面15cと、外輪14の内周に形成されたカム面14bとの間に楔すきま20が形成され、その楔すきま20に円筒ころ16が保持器17により円周方向等間隔で配設されている。
内側センタリングばね18は、保持器17とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設された断面円形のC字状弾性部材で、その両端部を保持器17およびカバー24の一部に係止させている。内側センタリングばね18は、レバー操作により外輪14から入力される回転トルクの作用時、静止状態にあるカバー24に対して、外輪14に追従する保持器17の回転に伴って押し拡げられて弾性力が蓄積され、外輪14から入力される回転トルクの開放時、その弾性力により保持器17を中立状態に復帰させる。
内側センタリングばね18の径方向外側に位置する外側センタリングばね19は、外輪14とカバー24との間に配設されたC字状帯板弾性部材で、その両端部を外輪14およびカバー24の一部に係止させている。外側センタリングばね19は、レバー操作により外輪14から入力される回転トルクの作用時、静止状態にあるカバー24に対して、外輪14の回転に伴って押し拡げられて弾性力が蓄積され、外輪14から入力される回転トルクの開放時、その弾性力により外輪14を中立状態に復帰させる。
保持器17は、円筒ころ16を収容する複数のポケット17aが円周方向等間隔に形成された樹脂製の円筒状部材である。保持器17の一方の軸方向端部、つまり、ブレーキ側クラッチ部12のカバー24側の軸方向端部には、内側センタリングばね18の両端部を係止させている。保持器17は、外輪14と内輪15との間に配されている。
ロック型と称されるタイプのブレーキ側クラッチ部12は、図1および図3に示すように、レバー側クラッチ部11からの回転トルクが入力される内輪15と、レバー側クラッチ部11からの回転トルクが出力される出力軸22と、回転が拘束された外輪23、カバー24および側板25と、外輪23と出力軸22との間での係合および離脱により、出力軸22から逆入力される回転トルクの遮断と内輪15から入力される回転トルクの伝達とを制御する複数対の円筒ころ27、および各対の円筒ころ27同士に円周方向への離反力を付勢する断面N字形の板ばね28とで主要部が構成されている。
出力軸22は、一対の軸部22a,22bを案内ピン29により同軸的に連結した構造を有する。軸部22aは、そのブレーキ側端部を径方向外側に延在させた拡径部22cと、その拡径部22cの外周端部を軸方向に延在させた複数の柱部22dとを有する。軸部22bは、そのレバー側端部を径方向外側に延在させた拡径部22eを有する。軸部22bには、シートリフタ部51(図5参照)と連結するためのピニオンギヤ22fが同軸的に形成されている。軸部22aにウェーブワッシャ30を介してワッシャ31を圧入することにより、レバー側クラッチ部11の構成部品を抜け止めしている。
軸部22bの拡径部22eの外周には、複数の平坦なカム面22gが円周方向等間隔に形成されている。拡径部22eのカム面22gと外輪23の円筒状内周面23aとの間で設けられた楔すきま26に、二つの円筒ころ27と二つの円筒ころ27間に介挿された一つの板ばね28とがそれぞれ配されている。軸部22aの柱部22dは、円筒ころ27および板ばね28をポケット22hに収容して円周方向等間隔に保持することにより保持器として機能する。
軸部22bの拡径部22eの円周方向複数箇所(図4参照)には、軸部22aからの回転トルクを軸部22bに伝達するための突起22iが設けられている。突起22iは、軸部22aの拡径部22cの円周方向複数箇所に形成された孔22jに挿入されている(図1参照)。このようにして、軸部22aと軸部22bとは、突起22iおよび孔22jを介してトルク伝達可能に連結されている。
ブレーキ側クラッチ部12において、外輪23の外周縁部に形成された切欠き凹部23bと、カバー24の外周縁部に形成された切欠き凹部24aとに、側板25の外周縁部に形成された爪部25aを挿入して加締めることにより、外輪23およびカバー24に側板25が固定されている。これにより、外輪23、カバー24および側板25は、ブレーキ側クラッチ部12の静止部材として一体化されている。
以上の構成からなるレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の動作例を以下に説明する。
レバー側クラッチ部11では、レバー操作により外輪14に回転トルクが入力されると、円筒ころ16が外輪14のカム面14bと内輪15の円筒状外周面15cとの間の楔すきま20に係合する。この楔すきま20での円筒ころ16の係合により、内輪15に回転トルクが伝達されて内輪15が回転する。この時、外輪14および保持器17の回転に伴って両センタリングばね18,19に弾性力が蓄積される。
レバー操作による回転トルクの入力がなくなると、両センタリングばね18,19の弾性力により保持器17および外輪14が中立状態に復帰する。一方で、内輪15は、与えられた回転位置をそのまま維持する。従って、外輪14の回転繰り返し、つまり、操作レバー43(図5参照)のポンピング操作により、内輪15は寸動回転する。
ブレーキ側クラッチ部12では、座席シート50(図5参照)への着座により出力軸22に回転トルクが逆入力されても、円筒ころ27が出力軸22のカム面22gと外輪23の円筒状内周面23aとの間の楔すきま26に係合して出力軸22が外輪23に対してロックされる。このようにして、出力軸22から逆入力された回転トルクは、ブレーキ側クラッチ部12によってロックされてレバー側クラッチ部11への還流が遮断される。これにより、座席シート50の座面高さが保持される。
一方、レバー操作によりレバー側クラッチ部11の内輪15からの回転トルクが後述する遊星歯車機構32を介して軸部22aの柱部22dに入力されると、柱部22dが円筒ころ27と当接して板ばね28の弾性力に抗して円筒ころ27を押圧する。これにより、円筒ころ27が楔すきま26から離脱する。この楔すきま26からの円筒ころ27の離脱により、出力軸22のロック状態が解除され、出力軸22は回転可能となる。
軸部22aの柱部22dがさらに回転すると、軸部22aの拡径部22cの孔22jと軸部22bの拡径部22eの突起22iとが回転方向で接触する。これにより、レバー側クラッチ部11からの回転トルクは、軸部22aの孔22jと軸部22bの突起22iを介して軸部22aから軸部22bへ伝達される。つまり、軸部22aの柱部22dが寸動回転すると、出力軸22も寸動回転することになる。これにより、座席シート50の上下調整が可能となる。
以上のような構造を具備するクラッチユニット10は、レバー操作により座席シート50の高さ調整を行う自動車用シートリフタ部51に組み込まれて使用される。図5は自動車の乗員室に装備される座席シート50を示す。
座席シート50は、図5に示すように、着座シート58と背もたれシート52とで構成され、シートリフタ部51により着座シート58の座面を高さ調整する。着座シート58の高さ調整は、クラッチユニット10におけるレバー側クラッチ部11(図1参照)の側板13に取り付けられた操作レバー53によって行う。
シートリフタ部51は、以下の構造を具備する。スライド可動部材54にリンク部材55,56の一端がそれぞれ回動自在に枢着されている。リンク部材55,56の他端はそれぞれ着座シート58に回動自在に枢着されている。リンク部材55の他端にはセクターギヤ57が一体的に設けられている。セクターギヤ57はクラッチユニット10の出力軸22のピニオンギヤ22fに噛合している。
例えば、着座シート58の座面を低くする場合、レバー側クラッチ部11でのレバー操作、つまり、操作レバー53を下側へ揺動させることにより、ブレーキ側クラッチ部12(図1参照)のロック状態を解除する。
ブレーキ側クラッチ部12でのロック解除により、レバー側クラッチ部11からブレーキ側クラッチ部12に伝達された回転トルクでもって、ブレーキ側クラッチ部12の出力軸22のピニオンギヤ22fが時計方向(図5の矢印方向)に回動する。そして、ピニオンギヤ22fと噛合するセクターギヤ57が反時計方向(図5の矢印方向)に揺動し、リンク部材55とリンク部材56が共に傾倒して着座シート58の座面が低くなる。
このようにして、着座シート58の座面を高さ調整した後、操作レバー53を開放すると、操作レバー53が両センタリングばね18,19の弾性力によって上側へ揺動して元の位置(中立状態)に戻る。なお、操作レバー53を上側へ揺動させた場合は、前述とは逆の動作で着座シート58の座面が高くなる。着座シート58の高さ調整後に操作レバー53を開放すると、操作レバー53が下側へ揺動して元の位置(中立状態)に戻る。
この実施形態におけるクラッチユニット10の全体構成、およびこのクラッチユニット10が組み込まれるシートリフタ部51は、前述のとおりであるが、クラッチユニット10の特徴的な構成について、以下に詳述する。
この実施形態のクラッチユニット10は、図1および図4に示すように、レバー側クラッチ部11とブレーキ側クラッチ部12との間に、入力側回転を増速して出力側へ伝達する増速部として遊星歯車機構32を設けた構造を具備する。
この遊星歯車機構32は、サンギヤ33と、そのサンギヤ33と軸心を一致させて配置されたリングギヤ34と、そのサンギヤ33とリングギヤ34との間に形成される空間に配置されてサンギヤ33およびリングギヤ34と噛合する複数個の遊星ギヤ35と、各遊星ギヤ35を円周方向に等間隔かつ回転自在に保持する複数個のキャリア36とを備えている。なお、この実施形態では、3個の遊星ギヤ35を使用しているが、その数は任意である。
サンギヤ33は、出力軸22の軸部22aの拡径部22cの外周面に外歯を形成することにより構成されている。リングギヤ34は、静止部材として外輪23とカバー24との間に挟み込まれ,内周面に内歯を形成することにより構成されている。キャリア36は、内輪15の拡径部15bの外周端部の円周方向複数箇所から軸方向一方側(ブレーキ側クラッチ部12の外輪23側)に突出させることにより構成されている。
リングギヤ34の外周縁部に形成された切欠き凹部34aと、外輪23の切欠き凹部23bと、カバー24の切欠き凹部24aに、側板25の爪部25aを挿入して加締めることにより、リングギヤ34は、外輪23およびカバー24と共に静止部材として一体化されている。
この実施形態のクラッチユニット10では、レバー側クラッチ部11とブレーキ側クラッチ部12との間に遊星歯車機構32を設けたことにより、入力側回転を増速して出力側へ伝達することができる。例えば、入力側回転の1回転に対して出力側回転を2回転以上とすることができる。
レバー側クラッチ部11では、レバー操作により外輪14に回転トルクが入力されると、前述したように、内輪15が回転する。遊星歯車機構32では、内輪15によるキャリア36の回転が、遊星ギヤ35のサンギヤ軸芯周りの回転となって、そのサンギヤ33を構成する軸部22aが入力側回転よりも増速して回転することになる。
ブレーキ側クラッチ部12では、軸部22aの回転により出力軸22のロック状態を解除すると共に、軸部22aの孔22jと軸部22bの突起22iを介して軸部22aから軸部22bへ回転トルクが伝達される。この軸部22bの回転により、座席シート50の上下調整が可能となる。
この時、前述の遊星歯車機構32による増速機能でもって、レバー側クラッチ部11の外輪14の回転繰り返し、つまり、レバー操作のポンピング回数を低減でき、レバー操作時における使用者の負担を軽減できる。その結果、座席シート50の上下調整時、少ないレバー操作で必要な上下ストロークを得ることができる。
以上の実施形態では、増速部として遊星歯車機構32を採用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図6および図7に示すように、遊星ローラ機構42を採用することも可能である。図6および図7において、図1および図4と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
この遊星ローラ機構42は、サンローラ43と、そのサンローラ43と軸心を一致させて配置されたアウタリング44と、そのサンローラ43とアウタリング44との間に形成される空間に配置されてサンローラ43およびアウタリング44と圧接する複数個の遊星ローラ45と、各遊星ローラ45を円周方向に等間隔かつ回転自在に保持する複数個のキャリア46とを備えている。
サンローラ43は、軸部22aの拡径部22cに相当し、サンローラ43の外周面に遊星ローラ45が圧接している。アウタリング44は、静止部材として外輪23とカバー24との間に挟み込まれた円環状の部材であり、アウタリング44の内周面に遊星ローラ45が圧接している。キャリア46は、内輪15の拡径部15bの外周端部の円周方向複数箇所から軸方向一方側(ブレーキ側クラッチ部12の外輪23側)に突出させることにより構成されている。
アウタリング44の外周縁部に形成された切欠き凹部44aと、外輪23の切欠き凹部23bと、カバー24の切欠き凹部24aに、側板25の爪部25aを挿入して加締めることにより、アウタリング44は、外輪23およびカバー24と共に静止部材として一体化されている。
この実施形態のクラッチユニット10では、レバー側クラッチ部11とブレーキ側クラッチ部12との間に遊星ローラ機構42を設けたことにより、入力側回転を増速して出力側へ伝達することができる。
つまり、遊星ローラ機構42では、レバー側クラッチ部11の内輪15によるキャリア46の回転が、遊星ローラ45のサンローラ軸芯周りの回転となって、そのサンローラ44を構成する軸部22aが入力側回転よりも増速して回転することになる。
この遊星ローラ機構42による増速機能でもって、レバー側クラッチ部11の外輪14の回転繰り返し、つまり、レバー操作のポンピング回数を低減でき、レバー操作時における使用者の負担を軽減できる。その結果、座席シート50の上下調整時、少ないレバー操作で必要な上下ストロークを得ることができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
10 クラッチユニット
11 レバー側クラッチ部
12 ブレーキ側クラッチ部
32 増速部(遊星歯車機構)
42 増速部(遊星ローラ機構)
51 シートリフタ部
11 レバー側クラッチ部
12 ブレーキ側クラッチ部
32 増速部(遊星歯車機構)
42 増速部(遊星ローラ機構)
51 シートリフタ部
Claims (4)
- 入力側に設けられ、レバー操作により入力される回転トルクの伝達および遮断を制御するレバー側クラッチ部と、出力側に設けられ、レバー側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とからなり、
前記レバー側クラッチ部と前記ブレーキ側クラッチ部との間に、入力側回転を増速して出力側へ伝達する増速部を設けたことを特徴とするクラッチユニット。 - 前記増速部は、遊星歯車機構で構成されている請求項1に記載のクラッチユニット。
- 前記増速部は、遊星ローラ機構で構成されている請求項1に記載のクラッチユニット。
- 前記レバー側クラッチ部と前記ブレーキ側クラッチ部が自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
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Cited By (1)
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