JP2020101258A - クラッチユニット - Google Patents

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JP2020101258A JP2018241062A JP2018241062A JP2020101258A JP 2020101258 A JP2020101258 A JP 2020101258A JP 2018241062 A JP2018241062 A JP 2018241062A JP 2018241062 A JP2018241062 A JP 2018241062A JP 2020101258 A JP2020101258 A JP 2020101258A
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卓俊 中村
Takatoshi Nakamura
卓俊 中村
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Abstract

【課題】 クリープ現象の発生を抑制し、出力軸に適正な回転抵抗を付与する状態を維持し、レバー操作における安定性および操作フィーリングの向上を図る。【解決手段】 入力される回転トルクの伝達および遮断を制御する入力側クラッチ部11と、その入力側クラッチ部11からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断する出力側クラッチ部12とからなり、出力側クラッチ部12は、回転が出力される出力軸22と、出力軸22への圧入により出力軸22との間に生じる摩擦力で出力軸22に回転抵抗を付与する摩擦リング29とを備え、摩擦リング29は、出力軸22との接触面以外の部位である内周面29cに芯材32が装着された構造を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、回転トルクが入力される入力側クラッチ部と、入力側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側からの回転トルクを遮断する出力側クラッチ部とを備えたクラッチユニットに関する。
円筒ころ等の係合子を用いるクラッチユニットでは、入力部材と出力部材間にクラッチ部が配設される。クラッチ部は、入力部材と出力部材間で係合子を係合および離脱させることにより、回転トルクの伝達および遮断を制御する構成になっている。
本出願人は、レバー操作により座席シートを上下調整する自動車用シートリフタ部に組み込まれるクラッチユニットを先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたクラッチユニットは、レバー操作により回転トルクが入力されるレバー側クラッチ部と、レバー側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側からの回転トルクを遮断するブレーキ側クラッチ部とを備えている。
レバー側クラッチ部の主要部は、レバー操作により回転トルクが入力される外輪と、外輪からの回転トルクをブレーキ側クラッチ部に伝達する内輪と、外輪と内輪間の楔すきまでの係合および離脱により外輪からの回転トルクの伝達および遮断を制御する円筒ころとで構成されている。
ブレーキ側クラッチ部の主要部は、レバー側クラッチ部からの回転トルクが入力される内輪と、内輪からの回転トルクが出力される出力軸と、回転が拘束された側板および外輪と、出力軸と外輪間の楔すきまでの係合および離脱により出力軸からの回転トルクの遮断と内輪からの回転トルクの伝達とを制御する円筒ころと、出力軸に回転抵抗を付与する摩擦リングとで構成されている。
レバー側クラッチ部では、レバー操作により外輪に回転トルクが入力されると、円筒ころが外輪と内輪間の楔すきまに係合する。楔すきまでの円筒ころの係合により、内輪に回転トルクが伝達されて内輪が回転する。
ブレーキ側クラッチ部では、座席シートへの着座により出力軸に回転トルクが逆入力されると、円筒ころが出力軸と外輪間の楔すきまと係合して出力軸が外輪に対してロックされる。出力軸のロックで出力軸から逆入力される回転トルクは遮断される。これにより、座席シートの座面高さが保持される。
一方、レバー側クラッチ部から回転トルクがブレーキ側クラッチ部に入力されると、内輪が円筒ころを押圧することにより、円筒ころが出力軸と外輪間の楔すきまから離脱する。楔すきまからの円筒ころの離脱により、出力軸のロック状態が解除され、出力軸は回転可能となる。ロック解除時、摩擦リングにより出力軸に回転抵抗が付与される。
そして、内輪がさらに回転すると、内輪からの回転トルクが出力軸に伝達され、出力軸が回転する。出力軸の回転により、座席シートの座面高さが調整可能となる。
特開2011−169402号公報
ところで、従来のクラッチユニットでは、摩擦リングを側板に固定すると共に、出力軸の環状凹部の内周面に対して摩擦リングの外周面が締め代を持った状態で、摩擦リングを出力軸の環状凹部に圧入した構造を採用している。
このような構造を採用することにより、レバー操作で出力軸のロック状態を解除する際、摩擦リングの外周面に対して出力軸の環状凹部の内周面が摺動することで、出力軸に適正な回転抵抗(摺動トルク)を付与するようにしている。
回転抵抗の付与により、レバー操作時、ブレーキ側クラッチ部が解除された瞬間に、座席シートの自重や搭乗者の体重によって座席シートの座面が急激に下がらないようにしている。このように、出力軸のロック状態をスムーズに解除することで、搭乗者にとって違和感なく、座席シートの座面高さを調整できるようにしている。
以上のように、樹脂製の摩擦リングを出力軸の環状凹部に圧入した構造であると、出力軸の環状凹部に対して締め代を持った状態で圧入されている摩擦リングが時間経過と共に変形するクリープ現象が生じる。
このようなクリープ現象が生じると、出力軸に適正な回転抵抗を付与することが困難となる。その結果、レバー操作における操作フィーリングの悪化を招くことになる。
例えば、レバー操作時、出力軸のロック状態をスムーズに解除することができず、座席シートの座面が急激に下がって搭乗者に違和感を与えるおそれがある。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、クリープ現象の発生を抑制し、出力軸に適正な回転抵抗を付与する状態を維持し得るクラッチユニットを提供することにある。
本発明に係るクラッチユニットは、入力される回転トルクの伝達および遮断を制御する入力側クラッチ部と、入力側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断する出力側クラッチ部とを具備する。
本発明における出力側クラッチ部は、回転が出力される出力部材と、出力部材への圧入により出力部材との間に生じる摩擦力で出力部材に回転抵抗を付与する制動部材とを備えている。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明における制動部材は、出力部材との接触面以外の部位に芯材が装着された構造を有することを特徴とする。
本発明では、制動部材が、出力部材との接触面以外の部位に装着された芯材により補強されている。芯材による制動部材の補強により、制動部材が樹脂製であっても、出力部材に対して締め代を持った状態で圧入された制動部材が時間経過と共に変形するクリープ現象を抑制できる。
本発明における制動部材は、その外周面が出力部材との接触面となるリング状をなし、少なくとも内周面または内部に芯材が装着された構造が望ましい。
このような構造を採用すれば、リング状の制動部材の外周面が出力部材との接触面となることから、出力部材との接触面以外の部位、例えば内周面または内部に芯材を装着すればよい。芯材の装着は、内周面または内部以外に、端面であってもよい。
本発明における芯材は、環状であることが望ましい。
このような構造を採用すれば、芯材による制動部材の補強が、より一層確実に行える点で有効である。
本発明における制動部材は樹脂製であり、芯材は金属製であることが望ましい。
このような構造を採用すれば、制動部材が、出力部材に対して締め代を持った状態で圧入される場合であっても、制動部材が時間経過と共に変形するクリープ現象を抑制できる点で有効である。
本発明における入力側クラッチ部および出力側クラッチ部は、自動車用シートリフタ部に組み込まれた構造が望ましい。
このような構造を採用すれば、入力側クラッチ部をレバー側クラッチ部とし、出力側クラッチ部をブレーキ側クラッチ部とすることで、自動車用シートリフタ部において、クリープ現象の発生を抑制し、出力部材に適正な回転抵抗を付与する状態を維持することができ、レバー操作における安定性および操作フィーリングの向上が図れる。
本発明によれば、制動部材が、出力部材との接触面以外の部位に装着された芯材により補強されているため、制動部材が樹脂製であっても、出力部材に対して締め代を持った状態で圧入された制動部材が時間経過と共に変形するクリープ現象を抑制し、出力部材に適正な回転抵抗を付与する状態を維持できる。
このクラッチユニットを自動車用シートリフタ部に組み込んだ場合、クリープ現象を抑制し、出力部材に適正な回転抵抗を付与する状態を維持できるので、レバー操作における安定性および操作フィーリングの向上が図れ、高性能で信頼性の高いクラッチユニットを実現することができる。
本発明の実施形態で、クラッチユニットの全体構成を示す断面図である。 図1のP−P線に沿う断面図である。 図1のQ−Q線に沿う断面図である。 図1の側板、摩擦リングおよび出力軸を示す組立分解斜視図である。 自動車の座席シートおよびシートリフタ部を示す構成図である。 図1の摩擦リングを示す正面図である。 図6のA−A線に沿う拡大部分断面図である。 本発明の他の実施形態で、摩擦リングを示す拡大部分断面図である。 本発明の他の実施形態で、摩擦リングを示す拡大部分断面図である。 本発明の他の実施形態で、摩擦リングを示す拡大部分断面図である。 本発明の他の実施形態で、摩擦リングを示す拡大部分断面図である。
本発明に係るクラッチユニットの実施形態を図面に基づいて詳述する。以下の実施形態では、自動車用シートリフタ部に組み込まれたクラッチユニットを例示するが、自動車用シートリフタ部以外にも適用可能である。
図1はクラッチユニットの全体構成を示す断面図、図2は図1のP−P線に沿う断面図、図3は図1のQ−Q線に沿う断面図である。この実施形態の特徴的な構成を説明する前にクラッチユニットの全体構成を説明する。
この実施形態のクラッチユニット10は、図1に示すように、入力側クラッチ部としてのレバー側クラッチ部11と、出力側クラッチ部としてのブレーキ側クラッチ部12とをユニット化した構造である。
レバー側クラッチ部11は、レバー操作により入力される回転トルクの伝達および遮断を制御する。ブレーキ側クラッチ部12は、レバー側クラッチ部11からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断する逆入力遮断機能を有する。
レバー側クラッチ部11の主要部は、図1および図2に示すように、側板13と、外輪14と、内輪15と、複数の円筒ころ16と、保持器17と、内側センタリングばね18と、外側センタリングばね19とで構成されている。
側板13の外周縁部に軸方向へ延びる爪部13aを形成すると共に、外輪14の外周縁部に切欠き凹部14aを形成する。爪部13aを切り欠き凹部14aに嵌合させて加締める。これにより、側板13と外輪14とが一体化されている。外輪14への回転トルクの入力は、側板13に取り付けた操作レバー43(図5参照)により行われる。
内輪15は、出力軸22が挿通される筒状部15aと、筒状部15aのブレーキ側端部を径方向外側に延在させた拡径部15bと、拡径部15bの外周端部をブレーキ側に屈曲させることにより突出した複数の柱部15c(図3参照)とからなる。内輪15は、外輪14から入力される回転トルクをブレーキ側クラッチ部12に伝達する。
外輪14の内周には、複数のカム面14bが円周方向等間隔に形成されている。カム面14bと、内輪15の筒状部15aの円筒状外周面15dとの間には、楔すきま20が形成されている。
円筒ころ16は、外輪14と内輪15との間に配置される。円筒ころ16は、外輪14のカム面14bと内輪15の外周面15dとの間に形成された楔すきま20での係合および離脱により外輪14からの回転トルクの伝達および遮断を制御する。
保持器17は、円筒ころ16を収容するポケット17aが円周方向複数箇所に等間隔で形成されている。ポケット17aにより、円筒ころ16が、外輪14のカム面14bと内輪15の外周面15dとの間の楔すきま20で保持されている。
内側センタリングばね18は、保持器17とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設された断面円形のC字状弾性部材であり、その両端部を保持器17およびカバー24の一部に係止させている。
内側センタリングばね18は、レバー操作により外輪14から回転トルクが入力されると、静止状態にあるカバー24に対して、外輪14に追従する保持器17の回転に伴って拡径して弾性力が蓄積される。外輪14からの回転トルクの入力がなくなると、内側センタリングばね18の弾性力により保持器17が中立状態に復帰する。
内側センタリングばね18の径方向外側に位置する外側センタリングばね19は、外輪14とブレーキ側クラッチ部12のカバー24との間に配設されたC字状帯板弾性部材であり、その両端部を外輪14およびカバー24の一部に係止させている。
外側センタリングばね19は、レバー操作により外輪14から回転トルクが入力されると、静止状態にあるカバー24に対して、外輪14の回転に伴って拡径して弾性力が蓄積される。外輪14からの回転トルクの入力がなくなると、外側センタリングばね19の弾性力により外輪14が中立状態に復帰する。
ブレーキ側クラッチ部12の主要部は、図1および図3に示すように、レバー側クラッチ部11から延びる内輪15の柱部15cと、出力軸22と、静止系としての外輪23、カバー24および側板25と、複数対の円筒ころ27および断面N字形の板ばね28と、摩擦リング29とで構成されている。
出力軸22は、内輪15の筒状部15aが外挿された軸部22aと、軸部22aの略中央部位に一体的に形成された大径部22bと、軸部22aの出力側端部に同軸的に形成されたピニオンギヤ部22dとからなる。出力軸22には、レバー側クラッチ部11からの回転トルクが出力される。
出力軸22のピニオンギヤ部22dは、シートリフタ部39(図5参照)と連結される。軸部22aの入力側端部にウェーブワッシャ30を介してワッシャ31を圧入することにより、レバー側クラッチ部11の構成部品を抜け止めしている。
出力軸22の大径部22bの外周には、複数(図では6つ)の平坦なカム面22eが円周方向等間隔に形成されている。大径部22bのカム面22eと外輪23の円筒状内周面23aとの間には、楔すきま26が形成されている。
この楔すきま26に、二つの円筒ころ27とその間に介挿された一つの板ばね28とが配されている。円筒ころ27は、楔すきま26での係合および離脱により、出力軸22から逆入力される回転トルクの遮断と内輪15の柱部15cから入力される回転トルクの伝達とを制御する。板ばね28は、円筒ころ27同士に円周方向への離反力を付勢する。
複数対(図では6対)の円筒ころ27および板ばね28は、内輪15の柱部15cにより円周方向等間隔に配設されている。内輪15の柱部15cは、外輪14から入力される回転トルクを出力軸22に伝達する機能と、円筒ころ27および板ばね28をポケット15fに収容して円周方向等間隔に保持する機能とを有する。
出力軸22の大径部22bには、内輪15からの回転トルクを出力軸22に伝達するための突起22fが設けられている。突起22fは、内輪15の拡径部15bに形成された孔15eに円周方向のクリアランスをもって挿入配置されている。
外輪23およびカバー24の外周縁部に切欠き凹部23b,24aを形成すると共に、側板25の外周縁部に軸方向へ延びる爪部25aを形成する。切欠き凹部23b,24aに爪部25aを嵌合させて加締める。これにより、外輪23、カバー24および側板25が一体化されている。
摩擦リング29は、例えば樹脂製の部材である。図4に示すように、複数(図では8個)の突起29bを側板25の孔25bに嵌入する。これにより、摩擦リング29を側板25に固着している。摩擦リング29は、出力軸22の大径部22bに形成された環状凹部22cの内周面22gに締め代をもって圧入されている。
出力軸22への摩擦リング29の圧入により、摩擦リング29の外周面29aと出力軸22の環状凹部22cの内周面22gとの間に生じる摩擦力によって、レバー操作時、静止状態の側板25に固着された摩擦リング29に対して摺動する出力軸22に回転抵抗(摺動トルク)が付与される。
以上のような構造を具備するレバー側クラッチ部11およびブレーキ側クラッチ部12の動作例を以下に説明する。
レバー側クラッチ部11では、レバー操作により外輪14に回転トルクが入力されると、円筒ころ16が外輪14と内輪15間の楔すきま20に係合する。楔すきま20での円筒ころ16の係合により、内輪15に回転トルクが伝達されて内輪15が回転する。この時、外輪14および保持器17の回転に伴って両センタリングばね18,19に弾性力が蓄積される。
レバー操作による回転トルクの入力がなくなると、両センタリングばね18,19の弾性力により保持器17および外輪14が中立状態に復帰する。内輪15は、与えられた回転位置をそのまま維持する。操作レバー43(図5参照)のポンピング操作による外輪14の回転繰り返しで、内輪15は寸動回転する。
ブレーキ側クラッチ部12では、座席シート40(図5参照)への着座により出力軸22に回転トルクが逆入力されても、円筒ころ27が出力軸22と外輪23間の楔すきま26と係合して出力軸22が外輪23に対してロックされる。
このようにして、出力軸22から逆入力された回転トルクは、ブレーキ側クラッチ部12によってロックされ、レバー側クラッチ部11へ逆入力される回転トルクの還流が遮断される。これにより、座席シート40の座面高さは保持される。
一方、レバー操作によりレバー側クラッチ部11からの回転トルクが内輪15に入力されると、内輪15の柱部15cが円筒ころ27と当接して板ばね28の弾性力に抗して円筒ころ27を押圧する。
これにより、円筒ころ27が楔すきま26から離脱する。楔すきま26からの円筒ころ27の離脱により、出力軸22のロック状態が解除されて出力軸22は回転可能となる。このロック解除時、摩擦リング29により出力軸22に回転抵抗が付与される。
そして、内輪15がさらに回転すると、内輪15の拡径部15bの孔15eと出力軸22の大径部22bの突起22fとのクリアランスが詰まって内輪15の拡径部15bが出力軸22の突起22fに回転方向で当接する。
これにより、レバー側クラッチ部11からの回転トルクは、突起22fを介して出力軸22に伝達されて出力軸22が回転する。つまり、内輪15が寸動回転すると、出力軸22も寸動回転する。これにより、座席シート40の座面高さが調整可能となる。
以上で説明したクラッチユニット10は、レバー操作により座席シート40の座面高さを調整する自動車用シートリフタ部39に組み込まれて使用される。図5は自動車の乗員室に装備される座席シート40を示す。
図5に示すように、シートリフタ部39における座席シート40の座面高さは、レバー側クラッチ部11の側板13(図1参照)に取り付けられた操作レバー43によって調整される。シートリフタ部39は、以下の構造を具備する。
スライド可動部材44にリンク部材45,46の一端が回動自在に枢着されている。リンク部材45,46の他端は座席シート40に回動自在に枢着されている。リンク部材45の他端にはセクターギヤ47が一体的に設けられている。セクターギヤ47は出力軸22のピニオンギヤ部22dに噛合している。
例えば、座席シート40の座面を低くする場合、レバー側クラッチ部11でのレバー操作、つまり、シートリフタ部39の操作レバー43を下側へ揺動させることにより、ブレーキ側クラッチ部12(図1参照)のロック状態を解除する。
ブレーキ側クラッチ部12でのロック解除時、摩擦リング29(図1参照)により出力軸22に適正な回転抵抗(摺動トルク)を付与することで、座席シート40の座面をスムーズに低くすることができる。
ブレーキ側クラッチ部12でのロック解除により、レバー側クラッチ部11からブレーキ側クラッチ部12に伝達された回転トルクでもって、出力軸22のピニオンギヤ部22dが時計方向(図5の矢印方向)に回動する。
そして、ピニオンギヤ部22dと噛合するセクターギヤ47が反時計方向(図5の矢印方向)に揺動し、リンク部材45とリンク部材46が共に傾倒して座席シート40の座面が低くなる。
このようにして、座席シート40の座面高さを調整した後、操作レバー43を開放すると、操作レバー43が両センタリングばね18,19の弾性力によって上側へ揺動して元の位置(中立状態)に戻る。
なお、操作レバー43を上側へ揺動させた場合は、前述とは逆の動作で座席シート40の座面が高くなる。座席シート40の座面高さを調整した後に操作レバー43を開放すると、操作レバー43が下側へ揺動して元の位置(中立状態)に戻る。
この実施形態におけるクラッチユニット10の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成である摩擦リング29について、以下に詳述する。
この実施形態の摩擦リング29は樹脂製であり、ブレーキ側クラッチ部12は、摩擦リング29を出力軸22の環状凹部22cに圧入した構造を具備する。この構造では、出力軸22の環状凹部22cに対して締め代を持った状態で圧入されている摩擦リング29が時間経過と共に変形するクリープ現象が生じるおそれがある。
そこで、前述のクリープ現象を抑制するため、この実施形態のクラッチユニット10において、樹脂製の摩擦リング29は、図1および図3に示すように、出力軸22との接触面以外の部位に金属製の芯材32が装着された構造を有する。
つまり、摩擦リング29の外周面29aが、出力軸22の環状凹部22cの内周面22gとの接触面となることから、図6および図7に示す実施形態では、出力軸22との接触面以外の部位として、例えば、摩擦リング29の内周面29cに環状の芯材32を装着している。この実施形態の芯材32は、断面I字状をなす。
図7に示す実施形態では、環状の芯材32が断面I字状をなす場合を例示したが、本発明はこれに限定されることなく、他の断面形状のものであってもよい。なお、芯材32の環状は、リング状以外に、スリットを有するC字状を含む。
例えば、図8に示す実施形態の芯材33は、断面L字状をなす。芯材33は、摩擦リング29の内周面29cに接着された部分の一端から径方向外側へ一体的に延びた延在部33aを有する。延在部33aは、摩擦リング29の端面に接着される。
図9に示す実施形態の芯材34は、断面コ字状をなす。芯材34は、摩擦リング29の内周面29cに接着された部分の両端から径方向外側へ一体的に延びた二つの延在部34a,34bを有する。一方の延在部34aは、摩擦リング29の端面に接着され、他方の延在部34bは、摩擦リング29の内部に埋設される。
図10および図11に示す実施形態の芯材35,36は、断面T字状をなす。芯材35は、摩擦リング29の内周面29cに接着された部分の中央から径方向外側へ一体的に延びた延在部35aを有する。延在部35aは、摩擦リング29の内部に埋設される。芯材36は、摩擦リング29の端面29dに接着された部分の中央から軸方向へ一体的に延びた延在部36aを有する。延在部36aは、摩擦リング29の内部に埋設される。
図7および図8に示す芯材32,33は、摩擦リング29の製作後、接着剤などの接合により摩擦リング29に装着する。図9〜図11に示す芯材34〜36は、摩擦リング29の樹脂成形と同時に一体的に製作することにより摩擦リング29に装着する。
なお、図7および図8に示す芯材32,33は、図9〜図11に示す芯材34〜36と同様、摩擦リング29の樹脂成形と同時に一体的に製作することにより摩擦リング29に装着してもよい。
図7〜図11に示すいずれの実施形態も、摩擦リング29が、出力軸22の環状凹部22cの内周面22gとの接触面である外周面29a以外の部位、つまり、少なくとも内周面29cまたは内部を含む部位に装着された芯材32〜36により補強されている。
この芯材32〜36による摩擦リング29の補強によって、摩擦リング29が樹脂製であっても、出力軸22に対して締め代を持った状態で圧入された摩擦リング29が時間経過と共に変形するクリープ現象を抑制し、出力軸22に適正な回転抵抗を付与する状態を維持できる。
このように、クリープ現象を抑制し、出力軸22に適正な回転抵抗を付与する状態を維持できるので、レバー操作における安定性および操作フィーリングの向上が図れ、高性能で信頼性の高いクラッチユニット10を実現することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
10 クラッチユニット
11 入力側クラッチ部(レバー側クラッチ部)
12 出力側クラッチ部(ブレーキ側クラッチ部)
22 出力部材(出力軸)
29 制動部材(摩擦リング)
29a 接触面(外周面)
29c 接触面以外の部位(内周面)
32〜36 芯材
39 シートリフタ部

Claims (5)

  1. 入力される回転トルクの伝達および遮断を制御する入力側クラッチ部と、前記入力側クラッチ部からの回転トルクを出力側へ伝達すると共に、出力側から逆入力される回転トルクを遮断する出力側クラッチ部とからなり、
    前記出力側クラッチ部は、回転が出力される出力部材と、前記出力部材への圧入により出力部材との間に生じる摩擦力で出力部材に回転抵抗を付与する制動部材とを備え、
    前記制動部材は、前記出力部材との接触面以外の部位に芯材が装着された構造を有することを特徴とするクラッチユニット。
  2. 前記制動部材は、その外周面が前記出力部材との接触面となるリング状をなし、少なくとも内周面または内部に前記芯材が装着された構造を有する請求項1に記載のクラッチユニット。
  3. 前記芯材は、環状である請求項1又は2に記載のクラッチユニット。
  4. 前記制動部材は樹脂製であり、前記芯材は金属製である請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
  5. 前記入力側クラッチ部と前記出力側クラッチ部が自動車用シートリフタ部に組み込まれている請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチユニット。
JP2018241062A 2018-12-25 2018-12-25 クラッチユニット Pending JP2020101258A (ja)

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