JP2018034495A - 転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 - Google Patents

転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被転写物の正確な位置に転写層を転写できる転写シートを提供する。【解決手段】離型シート10上に転写層20を有する転写シート100であって、前記離型シート10は、前記転写層20側の面に第1領域R1及び第2領域R2を有する基材層11を有し、前記基材層11の前記第2領域R2は、中心突出部3と、前記中心突出部3の周辺に位置する周辺領域Xとを有し、前記周辺領域X内には、部分的に配置された複数の周辺突出部4を有し、前記中心突出部3及び前記周辺突出部4上に着色層12を有する、転写シート100。【選択図】図1

Description

本発明は、転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法に関する。
家庭用電化製品、自動車内装品、及び雑貨品等の分野において、転写法により物品の表面を装飾する場合がある。
転写法は、基材上に、剥離層、図柄層、接着剤層などからなる転写層を形成した転写シートを、被転写物である物品に密着させた後、基材を剥離して、被転写物表面に転写層のみを転写して装飾を行う方法である。
転写法では、転写層の構成を調整することにより、被転写物である物品に光沢感を付与したり、あるいは、逆に、光沢感を減らしてマット感を付与したりすることができる。
例えば、特許文献1には、基体シート上に全面的にマット剤を含有する離型層と、部分的に活性エネルギー線硬化性樹脂を含有するマスク層と、転写層として剥離層と図柄層とが形成されたことを特徴とする部分マット転写シートが開示されている。
特許第5095598号公報
被転写物である物品の表面に転写層を転写する場合、特許文献1の段落0034に記載されているように、位置合わせが極めて重要となる。
従来から印刷分野等において、トンボと呼ばれる位置合わせ用のパターンを印刷し、該パターンをセンサーで読み取ることによって、位置合わせが行われている。転写法においても、このように位置合わせ用のパターンを印刷して、位置合わせすることが考えられる。
しかし、位置合わせ用のパターンを転写シートの正確な場所に印刷することが困難であり、被転写物の正確な位置に転写層を転写することが困難であるという問題があった。また、そもそも転写シートが完成した後に位置合わせ用のパターンを印刷する場合、工程が増えて煩雑であるという問題もある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、被転写物の正確な位置に転写層を転写できる転写シート、該転写シートの製造方法、及び該転写シートを用いた加飾成形品の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]離型シート上に転写層を有する転写シートであって、前記離型シートは、前記転写層側の面に第1領域及び第2領域を有する基材層を有し、前記基材層の前記第2領域は、中心突出部と、前記中心突出部の周辺に位置する周辺領域とを有し、前記周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部を有し、前記中心突出部及び前記周辺突出部上に着色層を有する、転写シート。
[2]下記(A1)〜(A3)工程により離型シートを製造した後、離型シートの少なくとも一部に転写層を形成する、上記[1]に記載の転写シートの製造方法。
(A1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層形成用インキを塗布し、未硬化の樹脂層を形成する工程。
(A2)第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、支持体上に樹脂層が形成された基材層を得る工程。
(A3)基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する工程。
[3]上記[1]に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
本発明によれば、被転写物の正確な位置に転写層を転写できる転写シート、該転写シートの製造方法、及び該転写シートを用いた加飾成形品の製造方法を提供することができる。
本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す平面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す平面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す平面図である。 本発明の転写シートが多面付けされた状態を示す平面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートを用いて得られる加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの製造に用いる版の製造工程の一実施形態を説明する斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[転写シート]
本発明の転写シートは、離型シート上に転写層を有する転写シートであって、前記離型シートは、前記転写層側の面に第1領域及び第2領域を有する基材層を有し、前記基材層の前記第2領域は、中心突出部と、前記中心突出部の周辺に位置する周辺領域とを有し、前記周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部を有し、前記中心突出部及び前記周辺突出部上に着色層を有するものである。
図1〜図3は、本発明の転写シートの実施の形態を示す断面図である。
図1〜図3において、転写シート100は、離型シート10上に転写層20を有している。
また、図1〜図3において、離型シート10は、転写層20側の面に第1領域R及び第2領域R、R2A、R2Bを有する基材層11を有し、基材層11の第2領域は、中心突出部3、3A、3Bと、中心突出部の周辺に位置する周辺領域X、X、Xとを有し、周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部4、4A、4Bを有し、中心突出部及び周辺突出部上に着色層12、12A、12Bを有している。
代表図である図1に関してより具体的に説明すると、離型シート10は、支持体1、樹脂層2、中心突出部3及び周辺突出部4を含む基材層11、着色層12及び離型層13から構成されている。また、転写層20は、保護層21、接着剤層22及び印刷層23から構成されている。
なお、図1〜図3は本発明の転写シートの実施の形態であり、本発明の転写シートは図1〜図3の構成に限定されない。
<離型シート>
離型シートは、転写層側の面に第1領域及び第2領域を有する基材層を有し、基材層の第2領域は、中心突出部と、中心突出部の周辺に位置する周辺領域とを有し、周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部を有し、中心突出部及び周辺突出部上に着色層を有するものである。離型シートは、樹脂成形体等の被転写物に転写層を転写した後に剥離される。
(基材層)
基材層11は、図1〜図3に示すように、転写層20側の面に第1領域R及び第2領域R、R2A、R2Bを有する。また、基材層は、図示しないが、転写層側の面に、さらにその他の領域を有していてもよい。
基材層11は、例えば、図1〜図3に示すように、支持体1及び樹脂層12から形成される。もちろん、基材層は、支持体もしくは樹脂層の単層でもよいし、支持体及び樹脂層以外の層を有する3層以上の構成であってもよい。
基材層を構成する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
支持体の厚みは、成形性、形状追従性、取り扱いの観点から、12〜150μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
また、支持体の表面には、樹脂層等との接着性を高めるために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理や、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
(樹脂層)
樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。なお、主成分とは、樹脂層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
上記の樹脂成分の中でも、強度に優れるとともに、瞬時に硬化するため正確かつ精密な形状を付与できる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を得やすくする観点から、樹脂層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
樹脂層は、コーティングにより形成してもよいが、正確にかつ精密な形状を形成する観点から、第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版を用いた印刷により形成することが好ましい。樹脂層がその他の領域を有する場合、該版は、さらに、その他の領域と相補的な形状を有することが好ましい。版を用いた樹脂層の形成方法の詳細は後述する。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、防眩層形成塗布液は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
樹脂層の厚み(t)は特に限定されないが、1〜15μmであることが好ましく、2〜12μmであることがより好ましい。
(第1領域)
基材層の第1領域の表面形状は特に限定されない。例えば、基材層11の第1領域Rの表面形状は、図1のように略平滑であってもよいし、図2〜図3のように凹凸形状であってもよい。
図1のように、基材層11の第1領域Rの表面形状が略平滑である場合、被転写物に転写した転写層20の表面形状を略平滑にすることができ、得られる加飾成形品の光沢を高くすることができる。
また、図2〜図3のように、第1領域R内に凹凸部5を有する場合、被転写物には、該凹凸部の相補的形状を有する転写層20(凹凸部5上に離型層13を有する場合、離型層13によって緩和された凹凸形状の相補的形状を有する転写層20)が転写され、得られる加飾成形品の表面に凹凸形状を付与することができる。
第1領域内に凹凸部を有する場合、凹凸部と、後述する中心突出部及び周辺突出部とが、[凹凸部の最大高さ<中心突出部及び周辺突出部の高さ]の関係を満たすことが好ましい。該関係を満たすことにより、着色層を中心突出部及び周辺突出部の頂部に優先して形成しやすくすることができ、また、第1領域に着色層が形成されることを抑制でき、位置合わせを正確に行うことができる。
同様の観点から、[凹凸部の最大高さ/中心突出部及び周辺突出部の高さ]は、0.50以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。また、同様の観点から、[凹凸部の平均粗さ/中心突出部及び周辺突出部の高さ]は、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
中心突出部を複数有する場合、全ての中心突出部が上記関係を満たすことが好ましい。また、複数の周辺突出部の全てが上記関係を満たすことが好ましい。
なお、本明細書において、最大高さは、カットオフ値0.8mmにおけるJIS B0601:2001の最大高さ粗さRzを意味し、平均粗さは、カットオフ値0.8mmにおけるJIS B0601:2001の算術平均粗さRaを意味する。
また、本明細書において、高さ、粗さ、幅、厚みに関する数値は、特に断りのない限り、10回測定した値の平均値とする。
加飾成形品に付与する表面形状は目的に応じて異なるため、第1領域内の凹凸の程度の絶対値は特に限定されないが、最大高さ粗さRzは0.2〜4.0μm程度とすることが好ましい。同様に、算術平均粗さRaは0.05〜2.0μm程度とすることが好ましい。
また、図示しないが、第1領域を2箇所以上に分割して形成してもよい。その場合、それぞれの第1領域の表面形状を異なるものとしてもよい。第1領域を2箇所以上に分割して形成し、さらに、それぞれの第1領域の表面形状を異なるものとすることにより、加飾成形品の意匠性を高めることができる。
(第2領域)
図1〜図3に示すように、離型シート10は、基材層11の第2領域R、R2A、R2B内に、中心突出部3、3A、3Bと、中心突出部の周辺に位置する周辺領域Xとを有し、周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部4、4A、4Bを有し、中心突出部及び周辺突出部上に着色層12、12A、12Bを有している。
図1〜図7に示すように、第2領域R、R2A、R2Bと、上述した第1領域Rとは、幅方向の異なる場所に形成されていることが好ましい。第2領域と、第1領域とを前述したような配置とすることにより、第2領域の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する一方で、第1領域に着色層を形成しにくくできる。着色層を形成する際は、第1領域に相当する部分にインキを有さず、第2領域に相当する部分の全面にインキを有する印刷版を用いることが好ましい。
なお、図4〜図7は、転写層を通して、離型シートの表面が見えている状態を図示している。
本明細書において「第2領域」とは、下記(1)〜(4)の4本の直線から形成される領域を意味するものとする。
(1)転写シートを平面方向から観察した際に、周辺突出部の最も左端に位置する箇所から流れ方向に平行に引いた直線。(2)転写シートを平面方向から観察した際に、周辺突出部の最も右端に位置する箇所から流れ方向に平行に引いた直線。(3)転写シートを平面方向から観察した際に、周辺突出部の最も上端に位置する箇所から幅方向に平行に引いた直線。(4)転写シートを平面方向から観察した際に、周辺突出部の最も下端に位置する箇所から幅方向に平行に引いた直線。
また、本明細書において「第2領域中の周辺領域」とは、上記第2領域から中心突出部を除いた領域を意味するものとする。
また、本明細書において、幅方向とは、転写シートのTD方向(Transverse Direction)のことを意味し、流れ方向とは、転写シートのMD方向(Machine Direction)のことを意味する。
第2領域の中心突出部上には着色層が略全面に形成される。一方、中心突出部の周辺に位置する周辺領域は、突出部(周辺突出部)を有し、該周辺突出部に着色層が形成されるものの、該周辺突出部は周辺領域の部分的に配置されるにとどまっている。したがって、第2領域の中心突出部と、周辺領域とを比較した場合、着色層が形成されている面積割合が相違することになる。言い換えると、第2領域の中心突出部と、周辺領域とでは、光透過率ないしは光反射率が相違し、この光透過率ないしは光反射率のコントラストを利用して、任意の工程において転写シートの位置合わせが可能となる。なお、光透過率は、正透過方向の透過率、拡散透過率及び全透過率の何れを利用してもよい。同様に、光反射率は、正反射方向の透過率、拡散反射率及び全反射率の何れを利用してもよい。
周辺領域の全面積に占める周辺突出部の面積の割合は、15〜85%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜70%であることがさらに好ましい。周辺突出部の面積の割合を15%以上とすることにより、周辺領域の周辺突出部が形成されていない箇所に着色層が形成されることを抑制し、光透過率ないしは光反射率のコントラストを明りょうにしやすくできる。また、周辺突出部の面積の割合を85%以下とすることにより、光透過率ないしは光反射率のコントラストを明りょうにしやすくでき、位置合わせの精度を高めることができる。
位置合わせを行う任意の工程としては、例えば、転写シートを長尺にスリットする工程、転写シートを枚葉に型抜きする工程、転写シートを被転写物に転写する工程が挙げられる。位置合わせの具体的手法については後述する。
第2領域の隣り合う周辺突出部の端部同士の間隔Pは、2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.7mm以下であることがさらに好ましい。
間隔Pを2.0mm以下とすることにより、周辺領域の周辺突出部が形成されていない箇所に着色層が形成されることを抑制し、位置合わせの精度を高めることができる。
なお、間隔Pが狭すぎる場合、位置合わせに悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、位置合わせのために用いる光源が平行光でない場合や、該光源が平行光であったとしても、光源の出射面が水平になっていない場合において、光透過率のコントラストにより位置合わせを行おうとすると、周辺領域の周辺突出部が形成されていない箇所を光が透過しにくくなり、中心突出部と周辺領域とのコントラストが十分にできない可能性がある。
また、間隔Pが狭すぎる場合、周辺突出部の幅Wを狭くしないと中心突出部と周辺領域とのコントラストを確保しにくくなり、後述するWを狭くすることによる問題が生じる可能性がある。
このため、周辺突出部の端部同士の間隔Pは、0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましく、0.10mm以上であることがさらに好ましい。
中心突出部と、中心突出部に近接する周辺突出部との間隔Pは、該間隔に着色層が形成されることを抑制する観点から、2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましく、0.7mm以下であることがさらに好ましい。
間隔Pの下限は特に限定されないが、図4のように、中心突出部3の外縁形状を構成する直線と、周辺突出部4とが平行に配列されている場合には、中心突出部3と周辺領域Xとの境界線を均質に形成して、中心突出部3と周辺領域Xとの区別を明りょうにするために、間隔Pは、0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましく、0.10mm以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、「中心突出部の外縁形状」とは、中心突出部を平面方向から観察した際に、中心突出部の外縁から形成される形状のことを意味する。
光透過率の差で位置を検知する場合、第2領域の中心突出部と、第2領域の周辺領域との光透過率の差は30%以上とすることが好ましい。また、光反射率の差で位置を検知する場合、突出部を有する箇所と、その周辺箇所との光反射率の差は30%以上とすることが好ましい。
中心突出部及び周辺突出部は任意の構造体から形成され、該構造体の形状等は特に限定されないが、以下に例示する形状等が好ましい。
中心突出部及び周辺突出部の高さ(H)は、1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましく、3〜6μmであることがさらに好ましい。
中心突出部及び周辺突出部の高さを1μm以上とすることにより、印刷の位置が僅かにずれたとしても、中心突出部及び周辺突出部上に着色層が形成される一方で、その周辺箇所には着色層が形成されにくくすることができる。つまり、中心突出部及び周辺突出部の高さを1μm以上とすることにより、位置合わせ用のパターンを正確な場所に印刷しやすくでき、位置合わせの精度を高めることができる。また、中心突出部3及び周辺突出部4の高さを1μm以上とすることにより、図1〜図3に示すように、転写シート100の転写層20側の表面に微細な出っ張りが形成されやすくなり、長尺の転写シートを巻き取ったり、枚葉の転写シートを重ねたりする際に、第1領域のブロッキングを抑制しやすくできる。
また、中心突出部及び周辺突出部の高さを10μm以下とすることにより、荷重により突出部が変形しにくく、位置合わせの精度を維持しやすくできる。
中心突出部及び周辺突出部の高さは、全て同一としなくてもよい。例えば、中心突出部の高さと周辺突出部の高さとを変えてもよいし、個々の周辺突出部の高さを変えてもよい。しかしながら、着色層を均質に形成しやすくする観点から、中心突出部及び周辺突出部の高さを全て同一とすることが好ましい。
なお、本明細書において、中心突出部及び周辺突出部の高さ(H)とは、中心突出部及び周辺突出部を形成する構造体を、構造体の延伸方向(例えば、図4〜図6の周辺突出部の場合は「d」の方向)に直交する方向で切断した断面の中央部の高さのことをいう。図5及び図6の中心突出部3Bのように、幅方向及び流れ方向の長さが同一であることなどにより、何れかの方向に延伸しているとは判断できない場合、中心突出部及び周辺突出部の高さ(H)とは、幅方向で切断した断面の中央部の高さのことをいう。
中心突出部の幅(W)と、周辺突出部の幅(W)とは、W<Wの関係を満たすことが好ましい。W<Wの関係を満たすことにより、中心突出部と周辺領域とのコントラストを生じさせる際に、周辺領域の面積が大きくなりすぎることを抑制できる。同様の観点から、W/Wは、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
また、中心突出部の幅(W)に対して周辺突出部の幅(W)が小さくなり過ぎると、周辺突出部を均質に形成しにくくなったり、周辺突出部の強度が低下したりする場合がある。このため、W/Wは、0.005以上であることが好ましく、0.010以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、中心突出部の幅(W)及び周辺突出部の幅(W)とは、中心突出部及び周辺突出部を形成する構造体を、構造体の延伸方向(例えば、図4〜図6の周辺突出部の場合は「d」の方向)に直交する方向で切断した断面の底部の幅のことをいう。図5及び図6の中心突出部3Bのように、幅方向及び流れ方向の長さが同一であることなどにより、何れかの方向に延伸しているとは判断できない場合、中心突出部の幅(W)及び周辺突出部の幅(W)とは、幅方向で切断した断面の底部の幅のことをいう。
中心突出部の幅(W)は、1.0〜10.0mmであることが好ましく、1.0〜7.0mmであることがより好ましく、3.0〜6.0mmであることがさらに好ましい。
中心突出部の幅を1.0mm以上とすることにより、周辺領域との区別が明りょうとなり、位置合わせしやすくできる。また、中心突出部の幅を1.0mm以上とすることにより、第1領域のブロッキングを抑制しやすくできる。
また、中心突出部の幅を10.0mm以下とすることにより、第2領域の面積が必要以上に広くなることを抑制できる。
中心突出部は、上述した高さ(H)及び幅(W)の効果のバランスの観点から、高さ(H)と幅(W)との比が1:10,000〜1:10であることが好ましく、1:3,000〜1:140であることがより好ましく、1:1,350〜1:500であることがさらに好ましい。
中心突出部3、3A、3Bは、図4〜図7の第2領域R2Aに示すように、転写シート100の任意の1辺に平行な方向に延伸した列状の構造体から形成されてなることが好ましい。中心突出部3、3A、3Bを該構成とすることにより、位置合わせをしやすくできる。また、着色層を均質に形成しやすくする観点から、該任意の1辺は流れ方向であることが好ましい。
図4及び図7の第2領域R2Aでは、列状の構造体3、3Aは途切れることなく連続的に延伸しているが、図5及び図6の第2領域R2Aのように列状の構造体3Aを断続的に延伸させ、各構造体の間に周辺領域を形成してもよい。列状の構造体を断続的に延伸させた場合、2方向での位置合わせが可能となり、位置合わせの精度を向上できる。
列状の構造体を断続的に延伸させる場合、各構造体の端部同士の間隔(P)は、1.0〜10.0mmであることが好ましく、1.0〜7.0mmであることがより好ましく、3.0〜6.0mmであることがさらに好ましい。
また、中心突出部は、図5〜図7の第2領域R2Bに示すように、その外縁形状が、転写シートの幅方向に平行な直線、及び/又は、転写シートの流れ方向に平行な直線を有する略四角形状であることが好ましい。中心突出部を該構成とすることにより、位置合わせをしやすくできる。
また、中心突出部は、その外縁形状が、転写シートの幅方向及び流れ方向に平行な直線を有する略四角形状であることがより好ましい。中心突出部を該構成とすることにより、幅方向及び流れ方向の両方向において位置合わせをしやすくできる。
中心突出部が略四角形状である場合、1辺の長さは、2〜20mmであることが好ましく、3〜15mmであることがより好ましく、5〜10mmであることがさらに好ましい。
また、図示しないが、中心突出部は、その外縁形状として、三角形状、四角形状、五角形状等の多角形状、円形状及び楕円形状から選ばれる何れか1以上の形状を有していてもよい。
また、中心突出部の外縁形状を、多角形状、円形状及び楕円形状から選ばれる何れかの形状とした場合、周辺突出部の外縁形状をこれらと異なる形状(例えば、直線形状)とすることが好ましい。中心突出部と周辺突出部との形状を前述したような組み合わせとすることにより、画像処理による形状マッチングによる位置合わせも可能となる。
周辺突出部は、任意の方向に延伸した列状の構造体から形成されてなることが好ましい。該任意の方向は特に限定されず、斜め方向(例えば転写シートの幅方向に対して45度)であってもよいが、図4〜図7に示すように、転写シート100の任意の1辺に平行な方向であることが好ましく、転写シート100の流れ方向であることがより好ましい。周辺突出部4を該構成とすることにより、位置合わせをしやすくできる。
また、複数の周辺突出部は、それぞれの向きが平行であることが好ましい。
また、周辺突出部4、4A、4Bは、図4の第2領域R、図7の第2領域R2Aのように、第2領域内で任意の方向に途切れることなく連続して形成されていてもよいが、図5及び図6の第2領域R2A、R2B、図7の第2領域R2Bのように、中心突出部3A、3Bと重なる箇所で分断されていてもよい。
また、図6の第2領域R2Bのように、周辺突出部4Bは、中心突出部3A、3Bと重ならない箇所においても、任意の方向への延伸が部分的に途切れるものであってもよい。
周辺突出部の幅(W)は、0.05〜3.0mmであることが好ましく、0.1〜2.0mmであることがより好ましく、0.2〜1.0mmであることがさらに好ましい。
周辺突出部の幅を0.05mm以上とすることにより、周辺突出部の強度を維持することができるとともに、周辺突出部を均質に形成しやすくできる。
また、周辺突出部の幅を3.0mm以下とすることにより、第2領域の面積が必要以上に広くなることを抑制できるとともに、中心突出部と周辺領域とのコントラストを良好にしやすくできる。
周辺突出部は、上述した高さ(H)及び幅(W)の効果のバランスの観点から、高さ(H)と幅(W)との比が1:1,000〜1:5であることが好ましく、1:500〜1:10であることがより好ましく、1:300〜1:15であることがさらに好ましい。
第2領域の隣り合う周辺突出部の端部同士の間隔Pと、周辺突出部の高さとの比[P/周辺突出部の高さ]は、400以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、140以下であることがさらに好ましい。該比を400以下とすることにより、印圧等を原因とする地汚れによって、周辺突出部以外の周辺領域に着色層が付着することを抑制しやすくできる。また、該比が小さすぎると、周辺突出部を均質に形成しにくくなる。このため、該比は、2以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
中心突出部と中心突出部に近接する周辺突出部との間隔Pと、中心突出部及び周辺突出部の高さとの比[P/中心突出部及び周辺突出部の高さ]の好適な実施態様は、上述した[P/周辺突出部の高さ]の好適な実施態様と同様である。
中心突出部及び周辺突出部を形成する構造体を、構造体の延伸方向に直交する方向で切断した断面は、略四角形状であることが好ましい。
また、本実施形態の転写シートは、中心突出部が、その外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線及び/又は転写シートの幅方向に平行な2本の直線を有し、周辺領域及び周辺突出部は、中心突出部との関係で、下記条件1〜3の何れかを満たすことが好ましい。
<条件1>
中心突出部の外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線を有する場合、中心突出部の幅方向の両側に周辺領域を配置する。
<条件2>
中心突出部の外縁形状として、転写シートの幅方向に平行な2本の直線を有する場合、中心突出部の流れ方向の両側に周辺領域を配置する。
<条件3>
中心突出部の外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線及び幅方向に平行な2本の直線を有する場合、中心突出部の流れ方向の両側及び/又は中心突出部の幅方向の両側に周辺領域を配置する。
上記条件1を満たすことにより、幅方向の位置合わせをより正確に行うことができる。
上記条件2を満たすことにより、流れ方向の位置合わせをより正確に行うことができる。
上記条件3を満たすことにより、幅方向及び/又は流れ方向の位置合わせをより正確に行うことができる。
また、本実施形態の転写シートは、上記条件1〜3が、さらに、下記の追加条件を含むことが好ましい。
<条件1の追加条件>
前記中心突出部の幅方向の両側に配置された周辺領域の幅Lと、前記中心突出部の外縁形状である前記流れ方向に平行な2本の直線の間隔Lとの比[L/L]が1.0以上となるように構成する。
<条件2の追加条件>
前記中心突出部の流れ方向の両側に配置された周辺領域の長さLと、前記中心突出部の外縁形状である前記幅方向に平行な2本の直線の間隔Lとの比[L/L]が1.0以上となるように構成する。
<条件3の追加条件>
前記[L/L]が1.0以上となるような構成、及び/又は、前記[L/L]が1.0以上となるような構成、とする。
条件1〜3が上記の追加条件を含むことにより、中心突出部と周辺領域とのコントラストを判定するための十分な領域が確保され、位置合わせの精度を高めることができる。
また、着色層を形成する際に、印圧等を原因とする地汚れによって、第2領域外に着色層が形成されたとしても、条件1〜3が上記の追加条件を含むことにより、中心突出部と周辺領域とのコントラストを判定するための十分な領域が確保されているため、位置合わせへの悪影響を抑制することができる。
なお、上記の追加条件の比は1.0であれば上述した効果を有する。したがって、上記の追加条件の比の上限は、第1領域と第2領域との配置の関係、歩留まり、製造効率等を考慮して、適宜決定すればよい。
中心突出部及び周辺突出部と、後述する転写層とは、[突出部の高さ/転写層の厚み]が0.1〜5.0の関係を満たすことが好ましく、0.2〜3.5の関係を満たすことがより好ましく、0.3〜1.0の関係を満たすことがさらに好ましい。
上記比を0.1以上とすることにより、長尺の転写シートを巻き取ったり、枚葉の転写シートを重ねたりする際の第1領域のブロッキングを抑制しやすくできる。また、上記比を5.0以下とすることにより、荷重により中心突出部及び周辺突出部が変形しにくく、位置合わせの精度を維持しやすくできる。
本実施形態の転写シートは、第2領域を2以上有していてもよい。例えば、本実施形態の転写シートは、第2領域として、第2領域A及び第2領域Bを有していてもよい。
また、第2領域を2以上有する場合、各領域の役割を変えることが好ましい。例えば、第2領域A及び第2領域B第2領域を有する場合、何れか一方で幅方向の位置合わせを行い、他方で流れ方向の位置合わせを行うように構成することが好ましい。具体的には、第2領域Aが上記条件1を満たすように構成し、第2領域Bが上記条件2を満たすように構成することが好ましい。その際、条件1及び条件2が、さらに、上記の追加条件を含むことがより好ましい。
第2領域を上述のように構成することにより、幅方向及び流れ方向の両方向の位置合わせが可能となり、位置合わせの精度を高めることができる。
上記のように、第2領域として、第2領域A及び第2領域Bを有する場合、第2領域A及び第2領域Bを一方の側に集めてもよいが、図3、図5〜図7に示すように、第2領域A及び第2領域Bを分割して配置すること、言い換えると、第2領域A(R2A)と第2領域B(R2B)との間に第1領域Rを配置することが好ましい。
第2領域A及び第2領域Bを上記のように分割して配置することにより、中心突出部及び周辺突出部の影響によって転写シートの表面に形成される微細な出っ張りのバランスが取れ、長尺の転写シートを巻き取ったり、枚葉の転写シートを重ねたりする際に、転写シートの品質を維持しやすくできる。
また、第2領域A(R2A)及び第2領域B(R2B)は、図3、図5〜図7に示すように、幅方向に分割して配置されていることが好ましい。
本実施形態の転写シートは、第1領域に着色層が形成されることを抑制しやすくするために、第1領域と、第2領域との間に、若干の間隔Pを設けることが好ましい。一方、間隔Pが広すぎると歩留まりが低下する。このため、間隔Pは、20〜200mmであることが好ましく、30〜180mmであることがより好ましい。
第2領域は、被転写物に転写し、加飾成形品を得た段階では除去することが好ましい。第2領域を除去するタイミングとしては、例えば、(1)転写シートを長尺にスリットする工程時、(2)転写シートを枚葉に型抜きする工程時、(3)転写シートを被転写物に転写した後のトリミング工程時等が挙げられる。転写層を被転写物の正確な位置に転写する観点からは、(3)のタイミングで第2領域を除去することが好ましい。
(着色層)
着色層は、中心突出部及び周辺突出部の上に形成され、第2領域内において、中心突出部と周辺領域との光透過率ないしは光反射率のコントラストを生じさせる役割を有する。なお、本明細書の「着色層」には、光の拡散により白っぽく見える層(例えば、擦りガラスのように見える層)も含むものとする。
着色層は、主として、バインダー樹脂と、顔料及び/又はマット剤とから構成することが好ましい。
着色層の顔料としては、隠蔽性の高い顔料、あるいは反射率の高い顔料を含むことが好ましい。隠蔽性の高い顔料としては、カーボンブラック等の黒色顔料が好ましい。反射率の高い顔料としては、硫酸バリウム、酸化チタン及びパール顔料等が挙げられる。
着色層のマット剤としては、着色層の表面に凹凸を付与し、外部ヘイズを生じさせるものであれば特に制限されることなく使用できる。具体的には、該マット剤としては、シリカ、アルミナ等の無機粒子、アクリル粒子、スチレン粒子等の有機粒子が挙げられる。
着色層のバインダー樹脂は特に限定されず、汎用の、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いることができる。
着色層の厚みは、位置合わせのためのコントラストが得られる範囲で調整すればよく、通常、0.3〜5.0μm程度である。
(離型層)
転写シートの離型シートと、転写層との界面は、被転写物に密着した際に剥離可能に形成されている。
離型性を向上させるため、離型シートは、転写層と接する側の面の少なくとも一部に離型層を有することが好ましい。また、転写シート10の面内の離型性の均一化の観点からは、図1〜図3に示すように、離型シート10は、転写層20と接する側の面の全面に離型層13を有することが好ましい。
また、第1領域内に凹凸部を有する場合、該凹凸部上に離型層が形成されることで、凹凸が緩和され、加飾成形品の表面に高周波成分の少ない凹凸形状を形成することができ、加飾成形品の白化及びギラツキを抑制できる。
ここで、「ギラツキ」とは、表面の凹凸構造に起因して、映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象のことをいう。つまり、凹凸部上に離型層を形成することで、加飾成形品を液晶表示素子等の表示素子の前面に用いる場合に、ギラツキを抑制できる。
離型層は主として樹脂から構成することが好ましい。
離型層の樹脂は、所定の被膜強度を有し、転写層との接着力が低い材料であれば特に限定されず、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、アクリルポリオール及びイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。
離型層は、離型性を向上させるために離型剤をさらに含んでもよい。離型剤としては、合成ワックスや天然ワッス等のワックス類が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプピレンワックス等のポリオレフィンワックスが好ましい。
離型層の厚みは、0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.3〜1.0μmであることがより好ましい。
また、第1領域が凹凸形状を有する場合、凹凸の緩和と凹凸の維持のバランスの観点から、離型層の厚み及び第1領域の凹凸形状の平均粗さが、0.05≦[離型層の厚み/第1領域の凹凸形状の平均粗さ]≦100の関係を満たすことが好ましく、0.3≦[離型層の厚み/第1領域の凹凸形状の平均粗さ]≦10の関係を満たすことがより好ましく、0.5≦[離型層の厚み/第1領域の凹凸形状の平均粗さ]≦3.0の関係を満たすことがさらに好ましい。
(その他の層)
離型シートは、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、帯電防止層が挙げられる。帯電防止層を有することにより、離型シートを剥離する際の剥離帯電を抑制でき、転写の作業性を向上できる。
帯電防止層は、電子伝導型帯電防止剤、イオン伝導型帯電防止剤等の帯電防止剤、及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。
帯電防止層は、離型シートの転写層と接する側の面とは反対側の表面に形成されていることが好ましい。
帯電防止層は、表面抵抗率を1.0×10−9Ω/□〜1.0×10−12Ω/□の範囲に調整することが好ましい。
なお、帯電防止剤を樹脂層等の他の層に含有させて帯電防止性を発揮させてもよい。
〔その他の実施の形態〕
図8は、本発明の転写シート100のその他の実施の形態を示す断面図である。
本実施形態における基材層11は、中心突出部3及び周辺突出部4が設けられた樹脂層2と、樹脂層2上に設けられた離型層13とを有している。また、本実施形態における転写層20は、保護層21を有している。そして、本実施形態における着色層12は、中心突出部3及び周辺突出部4上に設けられた離型層13上に接して設けられ、かつ、保護層21と接して設けられている。
本実施形態における離型層13の樹脂は、アクリルポリオール及びイソシアネートを含有する樹脂組成物の硬化物を含んでいることが好ましい。本実施形態における保護層21の樹脂は、水酸基を有するウレタンアクリレートを含有する樹脂組成物の硬化物を含んでいることが好ましい。本実施形態における着色層12の樹脂は、アクリルポリオール及びイソシアネートを含有する樹脂組成物の硬化物を含んでいることが好ましい。
着色層12は、離型層13の樹脂と同じ材料であることで、一体化して離型層13と接着する。また、着色層12は、保護層21の水酸基とイソシアネート基が反応してウレタン結合をすることで、保護層21と接着する。つまり、着色層12は、上記構成及び上記材料であることにより、離型層13及び保護層21の両方共に接着することになる。例えば、転写シート100を長尺にスリットする工程、転写シート100を枚葉に型抜きする工程、転写シート100を被転写物に転写した後に型抜きする工程で転写シート100を切断した際に、着色層12が離型層13及び保護層21の両方と接着しているので、着色層12が設けられた箇所では剥離することがないために箔チリを発生することがなく、最終製品の外観良好な物品を作製することができる。
(離型シートの製造方法)
離型シートは、例えば、以下の(A1)〜(A3)工程により製造できる。
(A1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層形成用インキを塗布し、未硬化の樹脂層を形成する工程。
(A2)第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、支持体上に樹脂層が形成された基材層を得る工程。
(A3)基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する工程。
電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、(A1)工程で溶剤を乾燥させることが好ましい。
離型シートが離型層を有する場合、(A3)工程の後に、(A4)樹脂層及び/又は着色層上の少なくとも一部に離型層を形成する工程、を行えばよい。
また、離型シートが離型層を有する場合であって、離型層上に接して着色層を有する場合、(A3)工程の前に、(A5)樹脂層上に離型層を形成する工程、を行えばよい。
離型シートがその他の領域を有する場合、(A2)工程の版として、第1領域、第2領域及びその他の領域と相補的な形状を有する版を用いればよい。
(A2)工程で使用する版は、例えば、エッチング、サンドブラスト、切削及びレーザー加工、あるいはこれらの組み合わせなどによって、シリンダーの表面を所望の形状に彫刻することにより得ることができる。あるいは、レーザー彫刻、光造形等によって長尺の雄型の版(第1領域及び第2領域と同一の形状を有する版)を作製し、これを反転したものをシリンダーの表面に巻き付けることによって得ることができる。これら版の表面は、クロム等で硬質メッキ処理することが好ましい。
また、離型シートは、例えば、以下の(a1)〜(a3)工程によっても製造できる。
(a1)第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版に、樹脂層形成用インキを充填する工程。
(a2)版に充填した樹脂層形成用インキを支持体上に転写し、必要に応じて乾燥及び硬化して、樹脂層を形成し、支持体上に樹脂層が形成された基材層を得る工程。
(a3)基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する工程。
離型シートが離型層を有する場合、(a3)工程の後に、(a4)樹脂層及び/又は着色層上の少なくとも一部に離型層を形成する工程、を行えばよい。
また、離型シートが離型層を有する場合であって、離型層上に接して着色層を有する場合、(a3)工程の前に、(a5)樹脂層上に離型層を形成する工程、を行えばよい。
離型シートがその他の領域を有する場合、(a2)工程の版として、第1領域、第2領域及びその他の領域と相補的な形状を有する版を用いればよい。
正確かつ精密な形状を形成する観点からは、上述した(A1)〜(A3)工程が好適である。
転写シートは、製造効率の観点から、図7のように多面付けで製造することが好ましい。同様に、離型シートも多面付けで製造することが好ましい。このため、上記(A2)工程や(a1)工程で使用する版は、多面付けに対応した版とすることが好ましい。
上述した版は、第1領域及び第2領域を正確な位置に配置することが好ましい。特に、第1領域が凹凸部を有する場合、第1領域と第2領域との配置が重要となる。
第1領域が凹凸部を有する場合、例えば、以下の(y1)〜(y4)の工程により、第1領域及び第2領域が正確な位置に配置された版を作製することができる。
(y1)シリンダー30の表面に、第2領域の中心突出部及び周辺突出部と相補的な形状を有する溝部40を形成する(図10の(a))。
(y2)上記溝部を位置合わせの基準として、シリンダー30の表面を、第1領域の溝部を形成する箇所60が抜き加工されたマスク50で覆う(図10の(b))。
(y3)マスク50で覆われていない箇所に、第1領域の凹凸部と相補的な形状を有する凹凸を形成する。
(y4)マスク50を外し(図10の(c))、シリンダーの表面を硬質メッキ処理する。
(y1)工程は、例えば、エッチングにより行うことができる。このため、シリンダーは、表面が厚膜でメッキされたものが好ましい。
その他の領域を形成する場合、(y1)工程において、上記溝部40を形成するとともに、その他の領域の表面形状と相補的な形状を有する溝部を形成したり、(y2)工程において、その他の領域に対応する箇所が抜き加工されたマスクを用いたりしてもよい。
(y3)工程は、例えば、エッチングやブラスト加工により行うことができる。第2領域の中心突出部及び周辺突出部よりも高さを低くする観点、及びマット感の調整のしやすさの観点から、ブラスト加工が好適である。また、ブラスト加工に用いる粒子の形状(球形、不定形)、粒子の粒子径、粒子の材質(ガラスビーズ、有機粒子、無機粒子、鉄、砂等)を選定した上で、粒子を射出する距離、速度、時間、角度等を調整することにより、ブラスト加工により付与する形状を調整できる。
(y4)工程の硬質メッキは、例えば、クロムメッキが挙げられる。
<転写層>
離型シート上の少なくとも一部には、転写層が形成される。
転写層20は、被転写物に転写される層であり、例えば、図1〜図3に示すように、離型シートに近い側から順に、保護層21及び接着剤層22を有する。
転写層20は、基材層11の第1領域Rに対応する箇所の全部に形成することが好ましく、図1〜図3に示すように、離型シート10の全面に形成することがより好ましい。
(保護層)
保護層は、転写層が転写シートから被転写物へと転写された後は、摩耗や光、薬品等から加飾成形品を保護する役割を有する。
離型シートの第1領域内に凹凸部を有する場合、該凹凸形状と相補的な形状を有する保護層が加飾成形品の表面に付与される。また、離型シートの第1領域が略平滑な場合、表面が略平滑な保護層が加飾成形品の表面に付与され、加飾成形品の光沢を高くすることができる。
保護層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。なお、主成分とは、保護層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、上記樹脂成分の中でも、強度に優れる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を良好にする観点から、保護層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物等の樹脂成分の実施の形態は、上述した樹脂層の樹脂成分の実施の形態と同様である。
なお、保護層を形成する材料として、熱硬化性樹脂組成物及び/又は電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合、成形性の観点から、保護層を形成する時点では、熱硬化性樹脂組成物及び/又は電離放射線硬化性樹脂組成物を半硬化の状態にしておき、被転写物に転写した後に熱硬化性樹脂組成物及び/又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させることが好ましい。
保護層中には、有機粒子及び無機粒子等の粒子を含有してもよい。保護層中に粒子を含有することにより、樹脂成分との屈折率差による内部ヘイズの発現により、ギラツキや欠陥を目立ちにくくすることができる。これらの粒子は、同様の目的で、後述する接着剤層、アンカー層等に含有させてもよい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
粒子の平均粒子径は、0.05〜5.0μmが好ましく、0.5〜3.0μmがより好ましい。
本明細書において、平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
粒子の含有量は、保護層の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
保護層の厚みは、表面硬度及び成形性のバランスの観点から、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
(接着剤層)
接着剤層は、樹脂成形体等の被転写物と、転写層との接着性を良好にして、転写作業を良好にする役割を有する。
なお、保護層と被転写物との接着性が良好な場合は、接着剤層を設けなくてもよい。
接着剤層は、被転写物の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を使用することが好ましい。例えば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
(アンカー層)
アンカー層は、インモールド成形等の高温環境に置かれる場合において、耐熱性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。アンカー層は、保護層と接着剤層との間に形成することが好ましい。
アンカー層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカー層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、樹脂層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカー層の厚みは、0.1〜6μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
(印刷層)
転写層20は、図1〜図3に示すように、さらに印刷層23を有していてもよい。印刷層23は、加飾成形品に所望の意匠性を付与する役割を有する。
印刷層23は、転写シート100を平面方向から観察した際に、基材層11の第1領域内の少なくとも一部に位置するように配置することが好ましい。
また、印刷層23の厚み方向の位置は、図1〜図3のように接着剤層22上に配置してもよいし、接着剤層22と保護層21との間に配置してもよいし、保護層21と離型シート10との間に配置してもよい。印刷層23の保護と、被転写物への接着性の観点からは、接着剤層22と保護層21との間に印刷層23を配置することが好ましい。また、小ロット品への対応の観点からは、接着剤層22上に印刷層23を配置することが好ましい。なお、接着剤層22上に印刷層23を配置する場合、被転写物との接着性の均一化の観点から、印刷層23の樹脂成分は、接着剤層の樹脂成分と同系統の樹脂とすることが好ましく、同一の樹脂とすることがより好ましい。
印刷層のパターンは任意であり、例えば、木目、石目、布目、砂目、円、四角形、多角形、幾何学模様、文字、ベタ印刷等が挙げられる。
印刷層は、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂と、顔料及び/又は染料とを含むことが好ましい。
印刷層の厚みは、意匠性の観点から0.5〜40μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
なお、印刷層を形成する際、位置合わせが重要となるが、第2領域により位置合わせを行うことによって、印刷層を正確な位置に形成することができる。
転写層を構成する保護層、接着剤層、アンカー層、印刷層等の各層は、例えば、各層の構成成分を含むインキを調整し、離型シート上に、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により塗布、乾燥し、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
[転写シートの製造方法]
本発明の転写シートの製造方法は、下記(A1)〜(A3)工程により離型シートを製造した後、離型シートの少なくとも一部に転写層を形成するものである。
(A1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層形成用インキを塗布し、未硬化の樹脂層を形成する工程。
(A2)第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、支持体上に樹脂層が形成された基材層を得る工程。
(A3)基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する工程。
電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、(A1)工程で溶剤を乾燥させることが好ましい。
転写シートは、製造効率の観点から、図7のように多面付けで製造することが好ましい。このように多面付けで製造された転写シートは、長尺の転写シート、あるいは枚葉の転写シートとして転写工程が行われる。
上記工程により製造された転写シートは、位置合わせ用のパターン印刷である着色層を中心突出部及び周辺突出部上に形成しやすくすることができ、中心突出部と周辺領域との光透過率ないしは光反射率のコントラストが明りょうとなり、位置合わせをしやすくできる。
位置合わせを行う任意の工程としては、例えば、転写シートを長尺にスリットする工程、転写シートを枚葉に型抜きする工程、転写シートを被転写物に転写する工程が挙げられる。
例えば、図4〜図7のように、第2領域R、R2Aの中心突出部3、3Aが、中心突出部の外縁形状として転写シートの流れ方向に平行な2本の直線を有する場合(上記条件1を満たす場合)、第2領域R、R2A内の中心突出部3、3Aと、周辺領域X、Xとの間に生じているコントラスト(光透過率差又は光反射率差)を利用して、転写シートの流れ方向に直交する方向(幅方向)の位置を合わせ、転写シートを正確に長尺にスリットすることができる。
また、図5〜図7のように、第2領域R2Bの中心突出部3Bが、中心突出部の外縁形状として、転写シートの幅方向に平行な2本の直線を有する場合(上記条件2を満たす場合)、第2領域R2B内の中心突出部3Bと、周辺領域Xとの間に生じているコントラスト(光透過率差又は光反射率差)を利用して、転写シートの幅方向に直交する方向(流れ方向)の位置を合わせ、転写シートを枚葉に型抜きする際に、流れ方向の位置を正確に合わせることができる。また、図5〜図7では、上述したように、第2領域R、R2Aによって、幅方向の位置合わせが可能であるため、図5〜図7の転写シートでは、転写シートを枚葉に型抜きする際に、幅方向及び流れ方向の位置を正確に合わせることができる。
また、上述したスリット工程や型抜き工程において、第2領域R、R2A、R2Bを残しておけば、転写シートを被転写物に転写する際に、転写シートの幅方向及び/又は流れ方向の位置合わせを行うことができ、正確な位置に転写することができる。
光透過率差のコントラストは、例えば、転写シートの下方に設置した光源と、転写シートの上方の前記光源に正対する位置に設置した光検知手段とにより、検知することができる。光反射率差のコントラストは、例えば、転写シートの上方に任意の角度で設置した光源及び光検知手段により、検知することができる。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、上述した本発明の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有する。
被転写物としては、樹脂成形体等が挙げられる。
加飾成形品の製造方法には、公知の転写法を用いることができる。例えば、(i)予め成形された被転写物に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離する方法、(ii)平板状の被転写物に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離し、その後、転写層が積層された被転写物を成形する方法、(iii)被転写物を射出成形する際に転写シートと一体化させ、その後、転写シートの離型シートを剥離する方法〔インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)〕等が挙げられる。中でも、インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)によれば、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体に加飾成形することができる。
インモールド成形による本発明の転写シートを用いる加飾成形品の製造方法の一実施態様としては、
(z1)上記の転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程と、
(z2)上記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程と、
(z3)上記転写シートと、上記樹脂とを一体化させて、樹脂成形体(被転写物)の表面上に上記転写シートの転写層を転写する工程と、
(z4)樹脂成形体(被転写物)を金型から取り出した後、上記転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有するものが挙げられる。
(z1)工程の配置の際に、第2領域が残存していれば、第2領域の中心突出部と周辺突出部とのコントラストを利用して、金型の正確な位置に転写シートを配置することができる。
なお、(z4)工程の後は、必要に応じて、不要部をトリミング(除去)することが好ましい。(z4)工程の後に第2領域が残存している場合、該領域をトリミング(除去)することが好ましい。
(樹脂成形体)
樹脂成形体としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、公知の様々な樹脂を用いることができる。
本発明による加飾成形品をインモールド成形により製造する場合には、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
図9は、本発明による加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。加飾成形品300は、樹脂成形体(被転写物)200の一方の面上に、印刷層23、接着剤層22、及び保護層21を有している。なお、図9では、転写シートのうち、第1領域に相当する箇所のみを樹脂成形体に転写している。
1.版の作製
1−1.版A(実施例用の版)の作製
厚み200μmの銅メッキ層を有するシリンダーを準備した。該シリンダーの表面をエッチング処理して、以下の第2領域R2Aと相補的な形状、及び第2領域R2Bと相補的な形状を形成した(図10(a))。
<第2領域R2Aと相補的な形状>
・中心突出部3Aと相補的形状を有する溝部41(幅3.0mm。深さ5.0μm。シリンダーの流れ方向に連続して延伸。)
・周辺突出部4Aと相補的形状を有する溝部42(幅0.25mm。深さ5.0μm。溝部41の幅方向の左右に配置。シリンダーの流れ方向に連続して延伸。)
・溝部41の端部と溝部42の端部との間隔P:0.5mm
・溝部42の数:溝部41の左右にそれぞれ4本
・溝部42の端部同士の間隔P:0.5mm
・周辺領域X中に占める周辺突出部の面積割合:33%
・条件1のL/L:1.0
<第2領域R2Bと相補的な形状>
・中心突出部3Bと相補的形状を有する溝部43(1辺6.0mmの正方形。深さ5.0μm。)
・周辺突出部4Bと相補的形状を有する溝部44(幅0.25mm。深さ5.0μm。溝部43の幅方向の左右、及び溝部43の流れ方向の上下に配置。シリンダーの流れ方向に連続して延伸。)
・溝部43の端部と、溝部43に対して幅方向側に位置する溝部44の端部との間隔P:0.5mm
・溝部43の端部と、溝部43に対して流れ方向側に位置する溝部44の端部との間隔P:0mm
・溝部44の数:溝部43の左右にそれぞれ4本、溝部43の上下にそれぞれ8本
・溝部44の端部同士の間隔P:0.5mm
・周辺領域X中に占める周辺突出部の面積割合:33%
・条件2のL/L:1.0以上
上記溝部41を位置合わせの基準として、シリンダーの全面を、第1領域の凹凸部を形成する箇所(60)が抜き加工されたマスク50で覆った(図10(b))。第1領域の凹凸部は、図10(b)のように略長方形の形状60とした。
次いで、ガラスビーズを用いたブラスト加工により、マスク50で覆われていない箇所に凹凸を形成した。該凹凸を反転して得られた凹凸の最大高さ粗さRzは1.5μm、算術平均粗さRaは0.5μmであった。
次いで、マスク50を外し(図10(c))、シリンダーの表面を硬質メッキ処理(クロムメッキ)して、2面付けの版Aを得た。
1−2.版B(比較例用の版)の作製
厚み200μmの銅メッキ層を有するシリンダーを準備した。該シリンダーの表面をエッチング処理して、1本の溝部(幅3.0mm。深さ5.0μm。シリンダーの流れ方向に連続して延伸。)を形成した。次いで、該溝部を位置合わせの基準として、シリンダーの全面を、第1領域の凹凸部を形成する箇所が抜き加工されたマスクで覆い、版Aと同様の条件でブラスト加工した。次いで、マスクを外し、シリンダーの表面を硬質メッキ処理(クロムメッキ)して、2面付けの版Bを得た。
2.離型シートの作製
2−1.離型シートA(実施例1用の離型シート)の作製
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記処方の樹脂層形成用インキを塗布、乾燥し、厚み8.0μmの未硬化の樹脂層を形成した。
<樹脂層形成用インキ>
・電離放射線硬化性樹脂組成物 60質量部
(共栄化学社製、ES105M)
・メチルエチルケトン 40質量部
・シリコーン系レベリング剤 0.5質量部
次いで、上記「1−1」で作製した版Aを用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に樹脂層が形成された基材層を得た。
次いで、基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に、乾燥後の付着量が1g/m(約1μm)となるように、黒色インキ(昭和インク社製、商品名:EIS(NT)黒)を溶剤で希釈した着色層形成用インキを塗布、乾燥して、着色層を形成した。
次いで、下記処方の離型層形成用インキを全面に塗布、乾燥し、厚み0.5μmの離型層を形成し、離型シートAを得た。第1領域Rと、第2領域R2A、R2Bとの間隔Pは120mmであった。
<離型層形成用インキ>
・アクリルポリオール 70質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 25質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
2−2.離型シートB(比較例用の離型シート)の作製
上記2−1において、版Aを上記「1−2」で作製した版Bに変更し、1本の突出部上に着色層を形成した以外は、上記2−1と同様にして、離型シートBを得た。なお、離型シートBにおいて、1本の突出部の周辺には、部分的に着色層の地汚れが生じていた。
2−3.離型シートC(実施例2用の離型シート)の作製
上記2−1において、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記処方の樹脂層形成用インキを塗布、乾燥し、厚み8.0μmの未硬化の樹脂層を形成した。
<樹脂層形成用インキ>
・電離放射線硬化性樹脂組成物 40質量部
(共栄化学社製、アクリル系樹脂)
・光重合開始剤 3質量部
・メチルエチルケトン 60質量部
・シリコーン系レベリング剤 0.5質量部
次いで、上記「1−1」で作製した版Aを用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に樹脂層が形成された基材層を得た。
次いで、下記処方の離型層形成用インキを樹脂層全面に塗布、乾燥し、厚み0.5μmの離型層を形成した。
<離型層形成用インキ>
・アクリルポリオール 70質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 25質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
次いで、離型層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に、乾燥後の付着量が1g/m(約1μm)となるように、下記処方の着色層形成用インキを塗布、乾燥して、着色層を形成し、離型シートCを得た。第1領域Rと、第2領域R2A、R2Bとの間隔Pは118mmであった。
<着色層形成用インキ>
・黒顔料(カーボンブラック) 8.4質量部
・アクリルポリオール 19.4質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 5.1質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・溶媒 67.1質量部
(酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶媒)
(混合比率2/1)
2−4.離型シートD(比較例2用の離型シート)の作製
上記「2−3」において、下記処方の着色層形成用インキに変更して着色層を形成した以外は、上記2−3と同様にして、離型シートDを得た。第1領域Rと、第2領域R2A、R2Bとの間隔Pは118mmであった。
<着色層形成用インキ>
・黒顔料(カ―ボンブラック) 4.3質量部
・塩化ビニル樹脂と酢酸ビニル樹脂の共重合体 1.3質量部
・アクリル系樹脂 5.4質量部
・ポリメタクリル酸メチル樹脂 7.0質量部
・溶媒 82質量部
(メチルエチルケトン/酢酸エチル/メチルイソブチルケトン混合溶媒)
(混合比率4/4/2)
3.転写層の形成(転写シートの作製)
3−1.実施例1
上記「2−1」で得られた離型シートA上に、下記処方の保護層形成用インキを乾燥後の付着量が6.5g/m(6.0μm)となるように塗布し、塗膜を形成した後、フュージョンUVランプシステムを用いて光源をHバルブ、搬送速度20m/min、出力40%の条件で照射し、保護層を半硬化させた。このときの積算光量を、アイグラフィックス社製の照度計(商品名:UVPF−A1)により測定したところ、15mJ/mであった。
<保護層形成用インキ>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 70質量部
(大日精化工業社製、商品名:セイカビームHT−X)
(固形分35%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 30質量部
(大日精化工業社製、商品名:セイカビームEXF−HT−1)
(固形分40%、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤)
次いで、保護層上に下記処方のアンカー層形成用インキを乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した後、40℃で72時間乾燥し、硬化させ、厚さ2μmのアンカー層を形成した。
<アンカー層用インキ>
・アクリルポリオール 100質量部
(大日精化工業社製、商品名:TM−VMAC、固形分25%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・キサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(大日精化工業社製、商品名:PTC−RC3)
(固形分75%、溶剤:酢酸エチル)
次いで、アンカー層上に下記処方の接着剤層形成用インキを乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmの接着剤層を形成し、2面付けの転写シートを得た。
<接着剤層用塗工液>
・アクリル系樹脂 100質量部
(大日精化工業社製、商品名:TM−R600、固形分20%)
(酢酸エチル/酢酸−n−プロピル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・メチルエチルケトン 40質量部
3−2.比較例1
離型シートを上記「2−2」で得られた離型シートBに変更した以外は、上記3−1(実施例1)と同様にして、2面付けの転写シートを得た。
3−3.実施例2
離型シートを上記「2−3」で得られた離型シートCに変更した以外は、上記3−1(実施例1)と同様にして、2面付けの転写シートを得た。
3−4.比較例2
離型シートを上記「2−4」で得られた離型シートDに変更した以外は、上記3−1(実施例1)と同様にして、2面付けの転写シートを得た。
4.転写シートのスリット加工、枚葉への抜き加工
上記「3−1」、「3−3」及び「3−4」で得られた2面付けの転写シート(実施例1、2及び比較例2の転写シート)を、第2領域R2Aの光透過率差のコントラストを利用してスリット加工した。その結果、正確な位置でスリット加工することができた。一方、上記「3−2」で得られた2面付けの転写シート(比較例1の転写シート)は、1本の突出部の周辺に生じた地汚れの影響により、スリット加工の際の位置合わせがずれることがあった。
また、上記「3−1」、「3−3」及び「3−4」で得られた2面付けの転写シート(実施例1、2及び比較例2の転写シート)を、第2領域R2A、R2Bの光透過率差のコントラストを利用して枚葉に抜き加工した。その結果、正確な位置で抜き加工することができた。一方、上記「3−2」で得られた2面付けの転写シート(比較例1の転写シート)は、流れ方向の位置合わせ手段がなく、また、1本の突出部の周辺に地汚れが生じていることから、正確な位置で枚葉に抜き加工することが困難であった。
上記「3−3」で得られた2面付けの転写シート(実施例2の転写シート)は、スリット加工及び枚葉に抜き加工で着色層を切断しても箔チリは発生しなかった。一方、上記「3−4」で得られた2面付けの転写シート(比較例2の転写シート)は、スリット加工及び枚葉に抜き加工で着色層を切断した際に箔チリが発生してしまった。
5.加飾成形品の作製
上記「4」の実施例1、2の転写シートを用いたスリット加工及び枚葉に抜き加工において、第2領域を残存させるように加工した。スリット加工及び枚葉に抜き加工した転写シートを用いて、以下の(z1)〜(z5)の工程により加飾成形品を作製した。
(z1)転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程
(z2)インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程、
(z3)転写シートと、樹脂とを一体化させて、樹脂成形体(被転写物)の表面上に上記転写シートの転写層を転写する工程、
(z4)樹脂成形体(被転写物)を金型から取り出した後、転写シートの離型シートを剥離する工程
(z5)第2領域をトリミング(除去)する工程
上記工程では、(z1)工程で転写シートを配置する際に、第2領域R2A、R2Bの光透過率差のコントラストを利用して、金型の正確な位置に転写シートを配置することができた。このため、被転写物(樹脂成形品)の正確な位置に転写層を転写することができた。
なお、第2領域R2A、R2Bが残存した転写シートは、転写シートの転写層側の表面に微細な出っ張りが形成されていた。このため、第2領域R2A、R2Bが残存したスリット加工した転写シートを巻き取ったり、第2領域R2A、R2Bが残存した枚葉の転写シートを多数重ねたりしても、第1領域のブロッキングを抑制できるものであった。
本発明の転写シートは、携帯電話などの通信機器、自動車内部の情報機器、家電製品などの加飾成形品の製造に好適に用いることができる。
1:支持体
2:樹脂層
3、3A、3B:中心突出部
4、4A、4B:周辺突出部
5:凹凸部
11:基材層
12、12A、12B:着色層
13:離型層
10:離型シート
21:保護層
22:接着剤層
20:転写層
23:印刷層
100:転写シート
200:被転写物
300:加飾成形品

Claims (18)

  1. 離型シート上に転写層を有する転写シートであって、前記離型シートは、前記転写層側の面に第1領域及び第2領域を有する基材層を有し、前記基材層の前記第2領域は、中心突出部と、前記中心突出部の周辺に位置する周辺領域とを有し、前記周辺領域内には、部分的に配置された複数の周辺突出部を有し、前記中心突出部及び前記周辺突出部上に着色層を有する、転写シート。
  2. 前記周辺領域の全面積に占める前記周辺突出部の面積の割合が、15〜85%である請求項1に記載の転写シート。
  3. 隣り合う周辺突出部の端部同士の間隔が2.0mm以下である請求項1又は2に記載の転写シート。
  4. 前記中心突出部は、その外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線及び/又は転写シートの幅方向に平行な2本の直線を有し、前記周辺領域及び前記周辺突出部は、前記中心突出部との関係で、下記条件1〜3の何れかを満たす、請求項1〜3の何れか1項に記載の転写シート。
    <条件1>
    前記中心突出部の外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線を有する場合、前記中心突出部の幅方向の両側に前記周辺領域を配置する。
    <条件2>
    前記中心突出部の外縁形状として、転写シートの幅方向に平行な2本の直線を有する場合、前記中心突出部の流れ方向の両側に周辺領域を配置する。
    <条件3>
    前記中心突出部の外縁形状として、転写シートの流れ方向に平行な2本の直線及び幅方向に平行な2本の直線を有する場合、前記中心突出部の流れ方向の両側及び/又は前記中心突出部の幅方向の両側に前記周辺領域を配置する。
  5. 前記中心突出部が、その外縁形状として、多角形状、円形状及び楕円形状から選ばれる何れか1以上の形状を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の転写シート。
  6. 前記第2領域として、第2領域A及び第2領域Bを有し、前記第2領域Aと前記第2領域Bとの間に前記第1領域を配置してなる請求項1〜5の何れか1項に記載の転写シート。
  7. 前記中心突出部及び前記周辺突出部が、高さ1〜10μmの構造体から形成されてなる請求項1〜6の何れか1項に記載の転写シート。
  8. [前記中心突出部及び前記周辺突出部の高さ/前記転写層の厚み]が0.1〜5.0である請求項1〜7の何れか1項に記載の転写シート。
  9. 前記基材層の第1領域内に凹凸部を有する請求項1〜8の何れか1項に記載の転写シート。
  10. [前記凹凸部の最大高さ<前記中心突出部及び前記周辺突出部の高さ]の関係を満たす請求項9に記載の転写シート。
  11. 前記離型シートは、前記転写層と接する側の面の少なくとも一部に離型層を有する請求項1〜10の何れか1項に記載の転写シート。
  12. 前記転写層は、前記離型シートに近い側から順に、保護層及び接着剤層を有する請求項1〜11の何れか1項に記載の転写シート。
  13. 前記保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む請求項12に記載の転写シート。
  14. 前記基材層は、前記中心突出部及び前記周辺突出部が設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを有する請求項1〜13の何れか1項に記載の転写シート。
  15. 前記転写層は、保護層を有し、
    前記着色層は、前記中心突出部及び前記周辺突出部上に設けられた前記離型層上に接して設けられ、かつ、前記保護層と接して設けられている請求項14に記載の転写シート。
  16. 前記離型層は、アクリルポリオール及びイソシアネートを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
    前記保護層は、水酸基を有するウレタンアクリレートを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
    前記着色層は、アクリルポリオール及びイソシアネートを含有する樹脂組成物の硬化物を含む請求項14又は15に記載の転写シート。
  17. 下記(A1)〜(A3)工程により離型シートを製造した後、離型シートの少なくとも一部に転写層を形成する、請求項1に記載の転写シートの製造方法。
    (A1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む樹脂層形成用インキを塗布し、未硬化の樹脂層を形成する工程。
    (A2)第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、支持体上に樹脂層が形成された基材層を得る工程。
    (A3)基材層の第2領域内の中心突出部及び周辺突出部上に着色層を形成する工程。
  18. 請求項1〜16の何れか1項に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
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