JP2018032596A - 絶縁電線およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスペクト比が高く幅広でありながらも、エッジワイズ加工を施したときに割れにくい絶縁電線を提供する。【解決手段】銅材料からなる断面が矩形状の平角導体と、平角導体の外周上に設けられ熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆と、を備え、平角導体は、厚さに対する幅の比率が10以上であり、銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2massppm以上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、酸素濃度に対するチタン濃度の比率が2.0以上4.0以下である、絶縁電線が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線およびその製造方法に関する。
回転電機(モータ)や変圧器などの電気機器にはコイルが組み込まれている。コイルは、導体の外周上に絶縁被覆が形成された絶縁電線を巻回されて形成されている。絶縁電線は、樹脂成分を有機溶媒に溶解させた絶縁塗料を導体の外周上に塗布・焼付する方法や、溶融させた樹脂を導体の外周上に押し出す方法、またはこれらの方法を併用することにより、導体の外周上に絶縁被覆を形成して作製される。
近年、自動車などに使用されるモータには高容量化や小型化が求められており、そのモータに組み込まれるコイルには占積率(コイルの断面積に占める導体の断面積の比率)や放熱性の向上が求められている。
そこで、コイルを形成する絶縁電線としては断面が矩形状の平角導体を用いた平角線が用いられるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。平角線を用いてコイルを作製する場合、平角線を幅方向に曲げてエッジワイズ加工を施し、巻回することによりコイルを作製することになる。
特開2002−203438号公報
平角線においては、コイルの占積率および放熱性をさらに向上させるため、厚さに対して幅がより大きな高アスペクト比の平角導体を用いることが検討されている。
しかしながら、エッジワイズ加工は平角線を曲げにくい幅方向に曲げ加工を行うため、平角導体のアスペクト比が大きくなり幅が広くなるほど、小さい曲げ半径で巻回してコイルを作製することが困難となる。またコイルを作製したとしても、コイルの外周側で曲げ歪が大きくなるため、平角導体や絶縁被覆の表面に割れが生じたりして所望の絶縁性を確保することが困難となる。そのため、これらがモータの高容量化や小型化を実現するうえでの制約事項になるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、アスペクト比が大きく幅広でありながらも、エッジワイズ加工を施したときに割れにくい絶縁電線を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
銅材料からなる断面が矩形状の平角導体と、前記平角導体の外周上に設けられ熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆と、を備え、
前記平角導体は、厚さに対する幅の比率が10以上であり、
前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下である、絶縁電線が提供される。
本発明の他の態様によれば、
銅材料からなる銅合金線を圧延し、断面が矩形状の平角導体を形成する圧延工程と、
前記平角導体を加熱する加熱工程と、
加熱した前記平角導体の外周上を熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆で被覆する被覆工程と、を有し、
前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下であり、
前記圧延工程では、前記平角導体の厚さに対する幅の比率が10以上となるように前記銅合金線を圧延する、絶縁電線の製造方法が提供される。
本発明によれば、アスペクト比が大きく幅広でありながらも、エッジワイズ加工を施したときに割れにくい絶縁電線が得られる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の長さ方向に垂直な断面図である。 本発明の一実施形態に係る絶縁電線を用いて作製されたコイルの斜視図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る絶縁電線について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の長さ方向に垂直な断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線を用いて作製されたコイルの斜視図である。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本実施形態の絶縁電線1は、図1に示すように、平角導体11と絶縁被覆12とを備えて構成され、図2に示すように幅方向に曲げてエッジワイズ加工されることでコイル2に形成されるものである。
平角導体11は、銅材料からなる銅合金線、例えば断面が円形状の円形導体を、断面が矩形状となるように圧延し、厚さに対して幅が大きくなるように形成した導体である。本実施形態では、厚さに対する幅の比率(以下、アスペクト比ともいう)が10以上となるように形成されている。
従来の絶縁電線では、コイルにおける占積率や放熱性をさらに向上させるため平角導体をアスペクト比が10以上となるように幅広に構成する場合、円形導体を矩形状に圧延するときの応力を高くする必要があり、高い応力の圧延によって平角導体の表面に傷が生じることがある。平角導体の表面に傷があると、絶縁被覆の形成時に絶縁被覆にボイド等の欠陥が生じやすくなり、絶縁電線をコイルに加工した際に絶縁被覆が割れることがある。また、従来の絶縁電線をエッジワイズ加工してコイルを形成する場合、コイルの外周側で曲げ歪が大きくなり、平角導体や絶縁被覆の表面に割れが生じるおそれがある。この課題を解決する方法について本発明者らが検討したところ、平角導体11を構成する銅材料、つまり平角導体11を形成するために用いる円形導体を構成する銅材料について、不純物である硫黄(S)や酸素(O)の濃度を小さくするとともに、チタン(Ti)を微量配合して酸素濃度に対するチタン濃度の比率を所定範囲とするとよいことが見出された。具体
的には、銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm
以上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、酸素濃度に対するチ
タン濃度の比率が2.0以上4.0以下である。
このような銅材料は、銅の純度が無酸素銅(OFC)と同程度の純度(4N:99.99%以上)であるが、Tiを所定量含むことで、より純度の高い高純度銅(6N:99.9999%以上)と同程度の半軟化温度を有する。具体的には、この銅材料は、半軟化温度が150℃以下(例えば130℃程度)であり、OFCの半軟化温度(220℃程度)よりも低い半軟化温度を有し、高純度銅の半軟化温度(130℃程度)と同程度の半軟化温度を有する。この銅材料によれば、再結晶化のために焼鈍するときの加熱温度を低くすることができるので、再結晶化のときの加熱による銅結晶粒の粗大化を抑制することが可能となり、OFC等と比べて同じ加熱温度であればより柔らかくすることが可能になる。なお、半軟化温度とは、鋳造圧延材を冷問加工した2.6mm硬銅線を100〜500℃のソルトバス中に浸漬させて1時間の加熱を行なった後、常温で引張強さを測定し、加熱前の引張強さの値と1時間後の引張強さの値との中間の値まで引張強さが低下する加熱温度である。
また、この銅材料は、加工性を向上させるために半軟化温度以上の高温度(例えば500℃)で加熱(焼鈍)した場合であっても、OFCや高純度銅と比べて、伸び率を高く、かつ0.2%耐力を低くすることができる。OFCなどでは、高温度での焼鈍により銅の結晶粒が粗大化し粗大な結晶組織が形成されてしまい、これによって伸び率や0.2%耐力が損なわれてしまう。これに対して、本実施形態の銅材料は、Tiを含むことによって、高温度で焼鈍したとしても銅の結晶粒の粗大化が抑制され、微細結晶組織を維持できるので、伸び率を高く、かつ0.2%耐力を低く維持することが可能となる。したがって、本実施形態の銅材料から形成される円形導体は伸び率が高く、かつ0.2%耐力が低いため、圧延する時の応力を軽減でき、平角導体11表面の傷を抑制することができる。しかも、圧延されて形成された平角導体11は、伸び率が高く、かつ0.2%耐力が低い銅材料から形成されているため、絶縁電線1をエッジワイズ加工したときに曲げ歪によって割れにくくなる。
平角導体11を形成するための円形導体を構成する銅材料は、圧延したときに平角導体11表面での傷を抑制する観点からは、伸び率が25%以上であることが好ましく、また0.2%耐力が80MPa以下であることが好ましく、70MPa以下であることがより好ましい。このような銅材料を円形導体に用いることで、平角導体11を構成する銅材料の伸び率および0.2%耐力を上記範囲に調整することができ、絶縁電線1をエッジワイズ加工によりコイルに形成したときの割れを抑制することができる。なお、伸び率は、引張り試験片の初期の標点距離をL0、破断後の同距離をLとするとき、次の式で表せるものである。伸び率={(L−L0)/L0}×100[%])である。0.2%耐力は、応力−ひずみ曲線において、荷重を除荷したとき0.2%の塑性ひずみを生じさせる応力のことである。
このように、本実施形態の平角導体11は、上記銅材料から形成されることで、高温度で焼鈍したときに伸び率を高く、かつ0.2%耐力を低くできる一方で、微細結晶組織を維持することができる。微細結晶組織では、加工歪(曲げ歪など)が分散されやすく、割れが生じにくくなる。すなわち、平角導体11は、焼鈍により、柔軟で伸びやすく、加工歪で割れにくくなる。そのため、絶縁電線1をエッジワイズ加工してコイル2を作製したときに、平角導体11での曲げ歪による割れを抑制することができる。一方、OFCなどからなる導体は、高温度の焼鈍により結晶粒が粗大化して結晶組織が粗大となるので、伸びが低下するとともに脆くなる。しかも、銅の結晶粒が粗大となり結晶組織が粗大となる
ことでエッジワイズ加工したときの伸びが不均一となる。そのため、OFCなどからなる導体では曲げ歪による割れが生じやすい。
平角導体11のアスペクト比は、コイル2の占積率や放熱性の観点からは大きいほど好ましい。本実施形態では、平角導体11を上記銅材料で形成しているので、アスペクト比を10以上、好ましくは20以上としても、絶縁電線1をエッジワイズ加工したときの割れを抑制することができる。なお、上限値は特に限定されないが、絶縁電線1をエッジワイズ加工するときの加工性の観点から30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。
平角導体11の厚さおよび幅は、アスペクト比が所定の範囲内であれば特に限定されないが、厚さは、例えば0.5mm〜1.0mmとするとよく、幅は、例えば5mm〜25mmとするとよい。
絶縁被覆12は平角導体11の外周上に設けられている。絶縁被覆12は熱硬化性樹脂から形成され、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドの少なくとも1つから形成されることが好ましい。例えば、絶縁被覆12は、樹脂成分を有機溶媒に溶解させた樹脂塗料を平角導体11の外周上に塗布し焼付けることによって形成することができる。
絶縁被覆12の厚さは、特に限定されず、絶縁電線1に求められる電気特性に応じて適宜変更するとよい。
次に、上述した絶縁電線1を製造する方法について説明する。本実施形態の製造方法は、準備工程、圧延工程、加熱工程および被覆工程を有する。
まず、準備工程では、銅合金線として、チタン濃度が5mass ppm以上55ma
ss ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃
度が2mass ppm以上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、酸素濃度に対するチタン濃度の比率が2.0以上4.0以下である銅材料からなる円形導体を準備する。円形導体としては、例えば、上記銅材料からなる荒引線を伸線により細径化したものを用いることができる。この円形導体は、後述の圧延工程での圧延の応力を軽減する観点からは、所定の組成を有するとともに、伸び率が25%以上、0.2%耐力が80MPa以下である銅材料から形成されることが好ましい。
続いて、圧延工程では、円形導体を断面が矩形状となるように圧延する。このとき、矩形状の長辺の長さが短辺の長さに対して10倍以上となるように圧延する。これにより、断面が矩形状でアスペクト比が10以上である平角導体11を得る。
続いて、加熱工程では、平角導体11を加熱する。これにより平角導体11を焼鈍し圧延工程で平角導体11に生じた加工歪を除去して再結晶化することで、伸び率を高くし、かつ0.2%耐力を低くする。平角導体11を構成する銅材料は、上述した通り、S濃度およびO濃度が低く、かつTi濃度がO濃度に対して所定の比率となっている。そのため、平角導体11を加熱したときに、平角導体11を構成する銅材料における結晶粒の粗大化を抑制することができる。これにより、平角導体11の伸び率および0.2%耐力を損なうことなく、加工歪を除去して再結晶化することができる。
加熱工程での加熱条件は、平角導体11を構成する銅材料の伸び率が25%以上、かつ0.2%耐力が80MPa以下となるように適宜変更することが好ましい。例えば、加熱温度を400℃〜600℃、加熱時間を30秒〜120秒とするとよい。
続いて、被覆工程では、加熱工程後の平角導体11の外周に、樹脂成分を有機溶媒に溶解させた樹脂塗料を塗布し焼付けることにより、絶縁被覆12を形成する。樹脂塗料としてはポリイミド塗料、ポリアミドイミド塗料およびポリエステルイミド塗料を用いるとよく、絶縁被覆12をポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドの少なくとも1つで形成することが好ましい。
以上により、本実施形態の絶縁電線1を製造する。
本実施形態の絶縁電線1では、平角導体11を、S濃度およびO濃度が低く、かつO濃度に対するTi濃度の比率が2.0〜4.0である銅材料で形成するとともに、そのアスペクト比を10以上としている。銅材料を所定の組成とすることで半軟化温度を低くすることができ、平角導体11を低温度で焼鈍させることが可能となる。平角導体11では、低温度で焼鈍することにより、伸び率を高くするとともに0.2%耐力を低くする一方で、銅の結晶粒が粗大化することを抑制して微細結晶組織を維持することができる。すなわち、平角導体11を柔軟で伸びやすく、加工歪(曲げ歪など)で割れにくくすることができる。これにより、アスペクト比が10以上と幅広な平角導体11を備える絶縁電線1をエッジワイズ加工した場合であっても、平角導体11や絶縁被覆12での割れを抑制することができる。したがって、絶縁電線1をエッジワイズ加工して作製されるコイル2は、占積率および放熱性が高く、また平角導体11や絶縁被覆12に割れがなく絶縁性を確保することができる。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<絶縁電線の作製>
(実施例1)
まず、平角導体を形成するための銅合金線として、下記表1に示す組成を有する断面が円形状の円形導体を準備した。この円形導体を圧延機を用いて断面が矩形状となるように圧延し、幅が6mm、厚さが0.6mmであって厚さに対する幅の比率(アスペクト比)が10である平角導体を作製した。その後、作製した平角導体を温度550℃で加熱して焼鈍した。そして、焼鈍した平角導体の外周にポリイミド塗料を塗布し焼付けることにより、厚さ50μmの絶縁被覆を形成した。これにより、実施例1の絶縁電線を得た。
Figure 2018032596
(実施例2〜4、比較例1〜4)
実施例2〜4および比較例1〜4では、平角導体におけるTi濃度/O濃度の比率や平角導体の幅、厚さおよびアスペクト比を表1に示すようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。
<評価方法>
作製した各絶縁電線を以下の方法により評価した。
(エッジワイズ曲げ)
所定の外径を有する丸棒を準備し、この丸棒の外周に直交するように絶縁電線をエッジ面で接触させ、一平面内に保ちながら丸棒に接触させた絶縁電線の中央部をエッジワイズに180°曲げた。このとき、180°に曲げた絶縁電線の絶縁被覆に平角導体が露出して亀裂が生じているかを目視で観察した。本実施例では、平角導体の幅をdとしたときに、丸棒の径を4dとして絶縁電線をエッジワイズに曲げ、平角導体や絶縁被覆に亀裂などの欠陥が生じなければ加工性に優れるものと判断して○、丸棒の径を3dとしてエッジワイズに曲げ、亀裂などの欠陥が生じなければ加工性により優れるものと判断して◎、それ以外の場合は加工性に劣るものと判断して×とした。
(伸び率)
試験片として圧延する前の円形導体を別途準備し、標点距離(L0)を250mm、引っ張り速度を100mm/min以下として引っ張り試験を行い、破断後の試験片を突合せして標点距離(L)を求め、次の式で伸び率を算出した。伸び率={(L−L0)/L0}×100[%])である。
(0.2%耐力)
試験片として圧延する前の円形導体を別途準備し、伸び率と同様の引っ張り試験を行い、応力−ひずみ曲線において、ひずみ軸の0.2%、応力0(ゼロ)の点から、弾性係数に平行に線を引いて応力―ひずみ曲線との交点の応力を0.2%耐力として求めた。
<評価結果>
評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4では、占積率および放熱性を高めるために平角導体のアスペクト比を10以上としているが、平角導体におけるS濃度およびO濃度を低くし、かつTi濃度/O濃度の比率を2.0〜4.0の範囲内とすることによって、エッジワイズ加工で割れが生じないようにできることが確認された。特に、実施例2〜4では、アスペクト比を20以上と高くしているが、平角導体を所定の組成とすることによってエッジワイズ加工で割れが生じないようにできることが確認された。エッジワイズ加工による割れを抑制できた理由は、平角導体の銅材料に微量のTiを含有させたことで、焼鈍したときに結晶粒が粗大化することを抑制し、銅の微細結晶組織を維持できたためと考えられる。
これに対して、比較例1〜4では、平角導体におけるTi濃度/O濃度の比率を2.0〜4.0の範囲から外れるようにしたため、平角導体の半軟化温度が高く、焼鈍温度を高くする必要があった。そのため、比較例1〜4では、高温度での焼鈍により結晶粒が粗大化してしまい、エッジワイズ加工による割れが生じやすくなることが確認された。
以上のように、本発明では、平角導体を形成する銅材料にTi濃度/O濃度の比率が2.0〜4.0となるように微量のTiを含有させることで、平角導体のアスペクト比を大きくした場合であってもエッジワイズ加工による曲げ歪を抑制できることが確認された。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
銅材料からなる断面が矩形状の平角導体と、前記平角導体の外周上に設けられ熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆と、を備え、
前記平角導体は、厚さに対する幅の比率が10以上であり、
前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下である、絶縁電線が提供される。
[付記2]
付記1の絶縁電線において、好ましくは、
前記銅材料は半軟化温度が150℃以下である。
[付記3]
付記1又は2の絶縁電線において、好ましくは、
前記熱硬化性樹脂がポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドの少なくとも1つである。
[付記4]
本発明の他の態様によれば、
銅材料からなる銅合金線を圧延し、断面が矩形状の平角導体を形成する圧延工程と、
前記平角導体を加熱する加熱工程と、
加熱した前記平角導体の外周上を熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆で被覆する被覆工程と、を有し、
前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下であり、
前記圧延工程では、前記平角導体の厚さに対する幅の比率が10以上となるように前記銅合金線を圧延する、絶縁電線の製造方法が提供される。
[付記5]
付記4の絶縁電線の製造方法において、好ましくは、
前記銅材料は、伸び率が25%以上であり、かつ0.2%耐力が55MPa以下である。
1 絶縁電線
2 コイル
11 平角導体
12 絶縁被覆

Claims (5)

  1. 銅材料からなる断面が矩形状の平角導体と、前記平角導体の外周上に設けられ熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆と、を備え、
    前記平角導体は、厚さに対する幅の比率が10以上であり、
    前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
    上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
    前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下である、絶縁電線。
  2. 前記銅材料は半軟化温度が150℃以下である、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記熱硬化性樹脂がポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドの少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 銅材料からなる銅合金線を圧延し、断面が矩形状の平角導体を形成する圧延工程と、
    前記平角導体を加熱する加熱工程と、
    加熱した前記平角導体の外周上を熱硬化性樹脂から形成される絶縁被覆で被覆する被覆工程と、を有し、
    前記銅材料は、チタン濃度が5mass ppm以上55mass ppm以下、硫黄濃度が3mass ppm以上12mass ppm以下、酸素濃度が2mass ppm以
    上30mass ppm以下、残部が銅と不可避不純物からなり、前記酸素濃度に対する
    前記チタン濃度の比率が2.0以上4.0以下であり、
    前記圧延工程では、前記平角導体の厚さに対する幅の比率が10以上となるように前記銅合金線を圧延する、絶縁電線の製造方法。
  5. 前記銅材料は、伸び率が25%以上であり、かつ0.2%耐力が80MPa以下である、請求項4に記載の絶縁電線の製造方法。
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