JP2012089692A - 太陽電池用バスバー及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池用バスバー及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012089692A
JP2012089692A JP2010235447A JP2010235447A JP2012089692A JP 2012089692 A JP2012089692 A JP 2012089692A JP 2010235447 A JP2010235447 A JP 2010235447A JP 2010235447 A JP2010235447 A JP 2010235447A JP 2012089692 A JP2012089692 A JP 2012089692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bus bar
copper
solar cell
rolling
copper alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010235447A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5499330B2 (ja
Inventor
Toru Washimi
亨 鷲見
Hiromitsu Kuroda
洋光 黒田
Masahide Otomo
政秀 大友
Katsunori Sawahata
勝憲 沢畠
Shinji Nemoto
慎二 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP2010235447A priority Critical patent/JP5499330B2/ja
Publication of JP2012089692A publication Critical patent/JP2012089692A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5499330B2 publication Critical patent/JP5499330B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】従来の無酸素銅(OFC)、タフピッチ銅(TPC)に比して高い導電性を備え、かつ従来のOFCに比して高い屈曲寿命を有する太陽電池用平角導体(バスバー)を提供する。
【解決手段】本発明に係る太陽電池用バスバーは、太陽電池セルを直線状に複数個配置して、そのセル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーであり、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、従来のOFC素材、TPC素材に比して高い導電性を備え、かつ従来のOFC素材に比して高い屈曲寿命を有する太陽電池用平角導体(バスバー)に関するものである。
結晶系又は薄膜系の太陽電池モジュールには、電流を取り出すための太陽電池用平角導体(バスバー)が用いられている(特許文献1、特許文献2参照)。
例えば、ガラス基板上において薄膜を成長させた太陽電池(いわゆる薄膜系太陽電池)においては、薄膜太陽電池セルの上に絶縁物を敷き、その上に正負の電力を集めるバス領域にバスバーとして銅箔が設けられる。バスバーは予め絶縁物を有しているものもあるが、これらバスバーの間に外部に電力を引き出すための接続手段としての端子ボックスへの取り出し部が配置される位置に対応してバスバーを垂直に折り曲げて配置し、その上に充填材のフィルムとを介して裏面保護材とを重ね合わせる。裏面保護材はシート状あるいはガラス板などが用いられるが、開口部を有しており、バスバーはこの開口部から外部に露出する構成をとる。
太陽電池用平角導体(バスバー)の素材には、導電性が良好(高導電率)で、かつ、屈曲特性が良好であるという相反する特性が求められている。今日までに、高導電性および耐屈曲性を維持する銅材料の開発が進められている(特許文献3、特許文献4参照)。
例えば、特許文献3に係る発明は、引張強さ、伸び及び導電率が良好な耐屈曲ケーブル用導体に関する発明であり、特に純度99.99wt%以上の無酸素銅に、純度99.99wt%以上のインジウムを0.05〜0.70mass%、純度99.9wt%以上のPを0.0001〜0.003mass%の濃度範囲で含有させてなる銅合金を線材に形成した耐屈曲ケーブル用導体について記載されている。
また、特許文献4に係る発明には、インジウムが0.1〜1.0wt%、硼素が0.01〜0.1wt%、残部が銅である耐屈曲性銅合金線について記載されている。
特許第3121811号公報 特開2003−86820号公報 特開2002−363668号公報 特開平9−256084号公報
しかしながら、特許文献3に係る発明は、あくまでも硬質銅線に関する発明であり、耐
屈曲性に関する具体的な評価はされておらず、より耐屈曲性にすぐれる軟質銅線について
の検討は何等なされていない。また、添加元素の量が多いため、導電性が低下してしまう。軟質銅線に関しては、まだ十分に検討がなされたとはいえない。
また、特許文献4に係る発明は、軟質銅線に関する発明であるが、特許文献3に係る発明と同様に、添加元素の添加量が多いため、導電性が低下してしまう。
一方で、原料となる銅材料として無酸素銅(OFC)などの高導電性銅材を選択することで、高い導電性を確保することが考えられる。
しかしながら、この無酸素銅(OFC)を原料とし、導電性を維持すべく他の元素を添
加せずに使用した場合には、銅荒引線の加工度をあげて伸線することにより無酸素銅線内
部の結晶組織を細かくすることによって耐屈曲性を向上させるとする考え方も有効かもし
れないが、この場合には、伸線加工による加工硬化により硬質線材としての用途には適し
ているが、軟質線材への適用ができないという問題がある。
バスバーの素材としては、一般的にタフピッチ銅(TPC)、前述の無酸素銅(OFC)が使用されているが、近年、環境保全の機運の高まりもあり、太陽光エネルギーの有効活用の観点から、更なる太陽電池の発電効率化が望まれており、これらタフチッピ銅又は無酸素銅に代わる更なる高導電性材料の開発が急がれている。
また、バスバーは、端子ボックスの中の狭い箇所に小さな曲げ半径での敷設せざるを
得ない場合があり、折り曲げや屈曲箇所のストレス、ダメージに起因する電気的悪影響を
及ぼすという問題がある。
更に、結晶系の太陽電池用平角導体(バスバー)は、例えば、2本の半田めっき平角銅線を略L字形状にはんだ付けをして一体型としたバスバーを使用するのが一般的であるが、接続部の界面付近に金属間化合物が成長するため、接合部分の不具合による電気的不良の原因になる。
そこで、本発明は、従来のOFC素材、TPC素材に比して高い導電性を備え、かつ従来のOFC素材に比して高い屈曲寿命を有する太陽電池用平角導体(バスバー)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーにおいて、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバーを提供する。
また、薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーにおいて、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバーを提供する。
さらに、前記太陽電池用バスバーにおいて、Ti4〜55mass ppm、硫黄2〜12mass ppm及び酸素2〜30mass ppmを含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とすることができる。
また、太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法を提供する。
さらに、薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法を提供する。
また、前記熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上とすることを特徴とすることができる。
本発明によれば、従来のOFC素材、TPC素材に比して高い導電性を備え、かつ従来のOFC素材に比して高い屈曲寿命を有する太陽電池用平角導体(バスバー)を得ることができるという優れた効果を発揮するものである。
本発明の太陽電池用バスバーをセル上に施設した状態を示す図である。 TiS粒子のSEM像を示す図である。 図2の分析結果を示す図である。 TiO粒子のSEM像を示す図である。 図4の分析結果を示す図である。 Ti−O−S粒子のSEM像を示す図である。 図6の分析結果を示す図である。 屈曲疲労試験の概略を示す図である。 比較材13と実施材7における屈曲寿命を測定したグラフである。 比較材14と実施材8における屈曲寿命を測定したグラフである。 比較材14の幅方向における断面組織の写真である。 実施材8の幅方向における断面組織の写真である。 試料の表層における平均結晶粒サイズの測定方法について説明するための図である。 垂直方向に90°曲げを施したバスバーをセル上に施設した状態を示す図である。 垂直方向に180°曲げを施したバスバーを示す図である。 水平方向に90°曲げを施したバスバーを示す図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を詳述する。
本発明の太陽電池用バスバー(平角導体)は、図1に示す様に、太陽電池セルを直線状に複数個配置して、電気的に接続するバスバーである。このバスバーの素材には、高い導電性と高い屈曲寿命が望まれている。そこで、先ず、本発明の目的は、バスバーの素材として、導電率101.5%IACS(万国標準軟銅(International Anneld Copper Standard)抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%とした導電率)を満足する軟質型銅材としての軟質希薄銅合金材料を得ることにある。また、副次的な目的は、SCR連続鋳造設備を用い、表面傷が少なく、製造範囲が広く、安定生産が可能であり、ワイヤロッドに対する加工度90%(例えばφ8mm→φ2.6mm)での軟化温度が148℃以下の材料の開発にある。
本実施の形態に係る太陽電池用バスバーは、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、Ni、Mn及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの平均結晶粒サイズが20μm以下である表層を有するものを用いる。
添加元素として、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、Ni、Mn及びCrからなる群から選択されたものを選んだ理由は、これらの元素は他の元素と結合しやすい活性元素であり、Sと結合しやすいためSをトラップすることができ、銅母材(マトリクス)を高純度化することができるためである。添加元素は1種以上含まれていてもよい。また、合金の性質に悪影響を及ぼすことのないその他の元素および不純物を合金に含有させることもできる。
また、以下に説明する好適な実施の形態においては、酸素含有量が2を超え30mass ppm以下が良好であることを説明しているが、添加元素の添加量およびSの含有量によっては、合金の性質を備える範囲において、2を超え400mass ppmを含むことができる。
高純度銅(6N、純度99.9999%)に関しては、加工度90%での軟化温度は130℃である。したがって安定生産が可能な130℃以上で148℃以下の軟化温度で軟質材の導電率が101.5%IACS以上である軟質銅を安定して製造できる軟質希薄銅合金材料としての素材とその製造条件を求めることを検討した。
ここで、酸素濃度1〜2mass ppmの高純度銅(4N)を用い、実験室にて小型連続鋳造機(小型連鋳機)を用いて、溶湯にチタン(Ti)を数mass ppm添加した溶湯から製造したφ8mmのワイヤロッドをφ2.6mm(加工度90%)にして軟化温度を測ると160〜168℃であり、これ以上低い軟化温度にはならない。また、導電率は、101.7%IACS程度である。よって、酸素濃度を低くして、Tiを添加しても、軟化温度を下げることができず、また高純度銅(6N)の導電率102.8%IACSよりも悪くなることがわかった。
この原因は、溶湯の製造中に不可避的不純物として、硫黄を数mass ppm以上含
み、この硫黄とチタンとでTiS等の硫化物が十分形成されないために、軟化温度が下が
らないものと推測される。
そこで、本発明では、軟化温度を下げることと、導電率を向上させるために、2つの方
策を検討し、2つの効果を合わせることで目標を達成した。
(a)素材の酸素濃度を2mass ppmを超える量に増やしてチタンを添加する。これにより、先ず溶銅中ではTiSとチタン酸化物(TiO)やTi−O−S粒子が形成されると考えられる(図2、図4のSEM像と図3、図5の分析結果参照)。なお、図3、図5、図7において、PtおよびPdは観察のための蒸着元素である。
(b)次に熱間圧延温度を、通常の銅の製造条件(950〜600℃)よりも低く設定
(880〜550℃)することで、銅中に転位を導入し、Sが析出し易いようにする。これによって、転位上へのSの析出又はチタンの酸化物(TiO)を核としてSを析出させ、その一例として溶銅と同様Ti−O−S粒子等を形成させる(図6のSEM像と、図7の分析結果参照)。図2〜7は、表1の実施例1の上から三段目に示す酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度をもつφ8mmの銅線(ワイヤロッド)の横断面をSEM観察及びEDX分析にて評価したものである。観察条件は、加速電圧15keV、エミッション電流10μAとした。
(a)と(b)により、銅中の硫黄が晶出と析出を行い、冷間伸線加工後に軟化温度と
導電率を満足する銅ワイヤロッドができる。
次に、本発明では、SCR連続鋳造設備で製造条件の制限として(1)〜(4)を制限
した。
(1)組成について
導電率が102%IACS以上の軟質銅材を得る場合、不可避的不純物を含む純銅に硫黄3〜12mass ppmと、酸素2を超えて30mass ppm以下と、Ti4〜25mass ppmを含む軟質希薄銅合金材料でワイヤロッドとするのがよい。2mass ppmを超え30mass ppm以下の酸素を含有していることから、この実施の形態では、いわゆる低酸素銅(LOC)を対象としている。
通常、純銅の工業的製造において、電気銅を製造する際に、硫黄が銅中に取り込まれてしまうため、硫黄を3mass ppm以下とするのは難しい。汎用電解銅の硫黄濃度上限は12mass ppmである。
制御する酸素は、上述したように、少ないと軟化温度が下がり難いので2mass ppm以上とする。また酸素が多すぎると、熱間圧延工程で、表面傷が出やすくなるので30mass ppm以下とする。
(2)分散している物質について
硫黄及びチタンは、TiO、TiO、TiS、Ti−O−Sの形で化合物または、凝集物を形成し、残りのTiとSが固溶体の形で存在している。TiOのサイズが200n
m以下、TiOは1000nm以下、TiSは200nm以下、Ti−O−Sは300
nm以下で結晶粒内に分布している軟質希薄銅合金材料とする。結晶粒とは銅の結晶組織のことを意味する。
但し、鋳造時の溶銅の保持時間や冷却状況により、形成される粒子サイズが変わるので
鋳造条件の設定も必要である。
(3)鋳造条件について
SCR連続鋳造圧延により、鋳塊ロッドの加工度が90%(30mm)〜99.8%(5mm)でワイヤロッドを造る、一例として、加工度99.3%でφ8mmワイヤロッドを造る方法を用
いる。
(a)溶解炉内での溶銅温度は、1100℃以上1320℃以下とする。溶銅の温度が
高いとブローホールが多くなり、傷が発生するとともに粒子サイズが大きくなる傾向にあ
るので、1320℃以下とする。1100℃以上としたのは、銅が固まりやすく製造が安定しないためであるが、溶銅温度は、出来るだけ低い温度が望ましい。
(b)熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールで
の温度が550℃以上とする。
通常の純銅製造条件と異なり、溶銅中での硫黄の晶出と熱間圧延中の硫黄の析出が本発
明の課題であるので、その駆動力である固溶限をより小さくするためには、溶銅温度と熱
間圧延温度を(a)、(b)とするのがよい。
通常の熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が950℃以下、最終圧延ロールで
の温度が600℃以上であるが、固溶限をより小さくするためには、本発明では、最初の
圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上に設定する
550℃以上にする理由は、この温度以下では得られるワイヤロッドの傷が多いので製品にならないためである。熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上で、できるだけ低い方が望ましい。こうすることで、軟化温度(φ8〜φ2.6に加工後)が限りなくCu(6N、軟化温度130℃)に近くなる。
直径φ8mmサイズのワイヤロッドの導電率が101.5%IACS以上であり、冷間伸線加工後の線材(例えば、φ2.6mm)の軟化温度が130℃〜148℃である軟質希薄銅合金線または板状材料を得ることができる。
工業的に使うためには、電解銅から製造した工業的に利用される純度の軟質銅線にて9
8%IACS以上必要であり、軟化温度はその工業的価値から見て148℃以下である。
Tiを添加しない場合は、160〜165℃である。高純度銅(6N)の軟化温度は127〜130℃であったので、得られたデータから限界値を130℃とする。このわずかな違いは、高純度銅(6N)にない不可避的不純物にある。
導電率は、無酸素銅のレベルで101.7%IACS程度であり、高純度銅(6N)で102.8%IACSであるため、出来るだけ高純度銅(6N)に近い導電率であることが望ましい。
(4)鋳造条件の制限
ベース材の銅はシャフト炉で溶解の後、還元状態の樋になるように制御した、すなわち還元ガス(CO)雰囲気下で、希薄合金の構成元素の硫黄濃度、Ti濃度、酸素濃度を制御して鋳造し、圧延するワイヤロッドを安定して製造する方法がよい。銅酸化物の混入や粒子サイズが大きいので品質を低下させる。
ここで、添加元素としてTiを選択した理由は次の通りである。
(a)Tiは溶融銅の中で硫黄と結合し化合物を造りやすいためである。
(b)Zrなど他の添加金属に比べて加工でき扱いやすい。
(c)Nbなどに比べて安価である。
(d)酸化物を核として析出しやすいからである。
本発明の好適な実施の形態では添加元素として、Tiを選択したが、これに限定されるものではなく、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、Crのいずれか1種又は2種以上からなるものを添加元素としてもよい。
以上により、本発明の軟質希薄銅合金材料は、溶融半田めっき材(線、板、箔)、軟質純銅、高導電率銅、やわらかい銅線として使用でき、生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた実用的な軟質希薄銅合金材料を得ることが可能となる。
また、本発明の軟質希薄銅合金線の表面にめっき層を形成してもよい。めっき層として
は、例えば、錫、ニッケル、銀を主成分とするものを適用可能であり、いわゆるPbフリ
ーめっきを用いてもよい。
また、形状は平角導体に限定されず、断面丸形状の導体であっても、棒状のものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、SCR連続鋳造圧延法によりワイヤロッドを作製し、熱間圧延にて軟質材を作製する例で説明したが、本発明は、双ロール式連続鋳造圧延法またはプロペルチ式連続鋳造圧延法により製造するようにしても良い。
表1は実験条件と結果に関するものである。
Figure 2012089692
先ず、実験材として、表1に示した酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度で、φ8mmの銅線
(ワイヤロッド):加工度99.3%をそれぞれ作製した。φ8mmの銅線は、SCR連続鋳造圧延により、熱間圧延加工を施したものである。Tiは、シャフト炉で溶解された銅溶湯を還元ガス雰囲気で桶に流し、桶に流した銅溶湯を同じ還元ガス雰囲気の鋳造ポットに導き、この鋳造ポットにて、Tiを添加した後、これをノズルを通して鋳造輪と無端ベルトとの間に形成される鋳型にて鋳塊ロッドを作成した。この鋳塊ロッドを熱間圧延加工してφ8mmの銅線を作成したものである。その実験材を冷間伸線して、φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度と導電率を測定し、またφ8mmの銅線における分散粒子サイズを評価した。
酸素濃度は、酸素分析器(レコ(Leco;商標)酸素分析器)で測定した。硫黄、T
iの各濃度はICP発光分光分析器で分析した結果である。
φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度の測定は、400℃以下で各温度1時間の保
持後、水中急冷し、引張試験を実施しその結果から求めた。室温での引張試験の結果と4
00℃で1時間のオイルバス熱処理した軟質銅線の引張試験の結果を用いて求め、この
2つの引張試験の引張強さを足して2で割った値を示す強度に対応する温度を半軟化温度
と定義し求めた。
分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求される。すなわち直径500μm以下の分散粒子が90%以上である場合を合格とした。ここに「サイズ」とは化合物のサイズであり、化合物の形状の長径と短径のうちの長径のサイズを意味する。また、「粒子」とは前記TiO、TiO、TiS、Ti−O―Sのことを示す。また、「90%」とは、全体の粒子数に対しての該当粒子数の割合を示すものである。
表1において、比較材1は、実験室でAr雰囲気において直径φ8mmの銅線を試作し
た結果であり、銅溶湯にTiを、0〜18mass ppm添加したものである。
このTi添加で、Ti添加量ゼロの半軟化温度215℃に対して、13mass pp
mは160℃まで低下して最小となり、15,18mass ppmの添加で高くなって
おり、要望の軟化温度148℃以下にはならなかった。また、導電率101.5%以上を満足しないものであり、総合評価は×であった。
そこで、次にSCR連続鋳造圧延法にて、酸素濃度を7〜8mass ppmに調整し
てφ8mm銅線(ワイヤロッド)の試作を行った。
比較材2は、SCR連続鋳造圧延法で試作した中でTi濃度の少ないもの(0,2ma
ss ppm)であり、導電率は102%IACS以上であるが、半軟化温度が164,
157℃であり、要求の148℃以下を満足しないので、総合評価で、×となった。
実施材1については、酸素濃度と硫黄が、ほぼ一定(7〜8mass ppm、5ma
ss ppm)、Ti濃度の異なる(4〜55mass ppm)試作材の結果である。
このTi濃度4〜55mass ppmの範囲では、軟化温度148℃以下であり、導
電率も98%IACS以上、102%IACS以上であり、分散粒子サイズも500nm
以下の粒子が90%以上であり良好である。そしてワイヤロッドの表面もきれいであり、
いずれも製品性能として満足している(総合評価○)。
ここで、導電率101.5%IACS以上を満たすものは、Ti濃度が4〜25mas
s ppmのときである。Ti濃度が13mass ppmのとき導電率が最大値である
102.4%IACSを示し、この濃度の周辺では、導電率は、僅かに低い値であった。
これは、Tiが13mass ppmのときに、銅中の硫黄分を化合物として捕捉することで、高純度銅(6N)に近い導電率を示したためである。
よって、酸素濃度を高くし、Tiを添加することで、半軟化温度と導電率の双方を満足
させることができる。
比較材3はTi濃度が25mass ppmを超える試作材である。この比較材3は、半軟化温度は要望を満足しているが、導電率が101.5%IACSを下回っているため、総合評価は×であった。
比較材4は、Ti濃度を60mass ppmと高くした試作材である。この比較材3
は、導電率は要望を満足しているが、半軟化温度は148℃以上であり、製品性能を満足
していない。さらにワイヤロッドの表面傷も多い結果であり、製品にすることは難しい。よって、Tiの添加量は60mass ppm未満がよい。
次に実施材2については、硫黄濃度を5mass ppmとし、Ti濃度を13〜10
mass ppmとし、酸素濃度を変えて、酸素濃度の影響を検討した試作材である。
酸素濃度に関しては、2を超え30mass ppm以下まで、大きく濃度が異なる試作材とした。但し、酸素が2mass ppm未満は、生産が難しく安定した製造できないため、総合評価は△とした。また酸素濃度を30mass ppmと高くしても半軟化温度と導電率の双方を満足することがわかった。
また比較材5に示すように、酸素が40mass ppm の場合には、ワイヤロッド
表面の傷が多く、製品にならない状況であった。
よって、酸素濃度が2を超え30mass ppm以下の範囲とすることで、半軟化温度、導電率102%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足させることができ、またワイヤロッドの表面もきれいであり、いずれも製品性能を満足させることができる。
次に実施材3は、それぞれ酸素濃度とTi濃度とを比較的同じ近い濃度とし、Ti濃度
を4〜20mass ppmと変えた試作材の例である。この実施材3においては、硫黄
が2mass ppmより少ない試作材は、その原料面から実現できなかったが、Tiと
硫黄の濃度を制御することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。
比較材6の硫黄濃度が18mass ppmで、Ti濃度が13mass ppmの場
合には、半軟化温度が162℃で高く、必要特性を満足できなかった。また、特にワイヤ
ロッドの表面品質が悪いので、製品化は難しかった。
以上より、硫黄濃度が2〜12mass ppmの場合には、半軟化温度、導電率10
2%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足しており、ワイヤロッドの表面も
きれいですべての製品性能を満足することがわかった。
また比較材7としてCu(6N)を用いた検討結果を示したが、半軟化温度127〜1
30℃であり、導電率も102.8%IACSであり、分散粒子サイズも、500nm以
下の粒子はまったく認められなかった。
Figure 2012089692
表2は、製造条件としての、溶融銅の温度と圧延温度を示したものである。
比較材8は、溶銅温度が高めの1330〜1350℃で且つ圧延温度が950〜600
℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。
この比較材8は、半軟化温度と導電率は満足するものの、分散粒子のサイズに関しては、1000nm程度のものもあり500nm以上の粒子も10%を超えていた。よって、これは不適とした。
実施材4は、溶銅温度が1200〜1320℃で且つ圧延温度が低めの880〜550
℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この実施材4について
は、ワイヤ表面品質、分散粒子サイズも良好で、総合評価は○であった。
比較材9は、溶銅温度が1100℃で且つ圧延温度が低めの880〜550℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材9は、溶銅温度が低い
ため、ワイヤロッドの表面傷が多く製品には適さなかった。これは、溶銅温度が低いため、圧延時に傷が発生しやすいためである。
比較材10は、溶銅温度が1300℃で且つ圧延温度が高めの950〜600℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材10は、熱間圧延温度が高いため、ワイヤロッドの表面品質が良いが、分散粒子サイズも大きなものがあり、総合評価は×となった。
比較材11は、溶銅温度が1350℃で且つ圧延温度が低めの880〜550℃でφ8
mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材11は、溶銅温度が
高いため、分散粒子サイズが大きなものがあり、総合評価は×となった。
(軟質希薄銅合金線の軟質特性)
表3は、無酸素銅線を用いた比較材12と低酸素銅に13mass ppmのTiを含有した軟質希薄銅合金線を用いた実施材5とを試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍
を施したもののビッカース硬さ(Hv)を検証した表である。
実施材5は、表1の実施材1に記載した合金組成と同じものを使用した。なお、試料としては、2.6mm径の試料を用いた。この表によると、焼鈍温度が400℃のとき
に比較材12と実施材5とのビッカース硬さ(Hv)は同等レベルとなり、焼鈍温度が6
00℃でも同等のビッカース硬さ(Hv)を示している。このことから、本発明の軟質希
薄銅合金線は十分な軟質特性を有するとともに、無酸素銅線と比較しても、特に焼鈍温度
が400℃を超える領域においては優れた軟質特性を備えていることがわかる。
Figure 2012089692
(軟質希薄銅合金線の耐力及び屈曲寿命についての検討)
表4は、無酸素銅線を用いた比較材13と低酸素銅に13mass ppmのTiを含
有した軟質希薄銅合金線を用いた実施材6を試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍を
施したものの0.2%耐力値の推移を検証した表である。なお、試料としては、2.6m
m径の試料を用いた。
この表によると、焼鈍温度が400℃のときに比較材13と実施材6の0.2%耐力値が同等レベルであり、焼鈍温度600℃では実施材6も比較材12もほぼ同等の0.2%耐力値となっていることがわかる。
Figure 2012089692
つぎに、本発明に係る軟質希薄銅合金線は、屈曲寿命の高さが要求されるが、無酸素銅
線を用いた比較材14と低酸素銅にTiを添加した軟質希薄銅合金線を用いた実施材7に
おける屈曲寿命を測定した結果を図9に表す。ここでは試料としては、0.26mm径の
線材に対して焼鈍温度400℃で1時間の焼鈍を施したものを用い、比較材14は比較材
12と同様の成分組成であり、実施材7も実施材1と同様の成分組成のものを使用した。
ここに、屈曲寿命の測定方法は、屈曲疲労試験により、行った。屈曲疲労試験は、荷重を負荷し、試料表面に引張と圧縮の繰返し曲げひずみを与える試験である。屈曲疲労試験は図8に示す様に、屈曲ヘッド4を用いて行う。試料5は、(A)のように曲げ治具6(リング)の間にセットし、クランプ7で把持し、荷重を負荷したまま、(B)のように治具が90度回転し曲げを与える。この操作で、曲げ治具に接している線材表面には、圧縮ひずみが、これに対応して反対側の表面には、引張ひずみが負荷される。その後、再び(A)の状態に戻る。次に(B)に示した向きと反対方向に90度回転し曲げを与える。この場合も、曲げ治具に接している線材表面には、圧縮ひずみが、これに対応して反対側の表面には、引張ひずみが負荷され(C)の状態になる。そして(C)から最初の状態(A)に戻る。この屈曲疲労1サイクル(A)(B)(A)(C)(A)に要する時間は4秒である。表面曲げ歪は以下の式により求めることができる。
表面曲げ歪(%)=r/(R+r)×100(%)、R:素線曲げ半径(30mm)、r=素線半径
図9の実験データによると、本発明に係る実施材7は比較材13に比して高い屈曲寿命
を示した。
また、無酸素銅線を用いた比較材15と低酸素銅にTiを添加した軟質希薄銅合金線を
用いた実施材8における屈曲寿命を測定した結果を図10に表す。ここでは試料としては、0.26mm径の線材に対して焼鈍温度600℃で1時間の焼鈍を施したものを用い、比較材15は比較材12と同様の成分組成であり、実施材8も実施材1と同様の成分組成のものを使用した。屈曲寿命の測定方法は、図8の測定方法と同様の条件により、行った。この場合も、本発明に係る実施材8は比較材15に比して高い屈曲寿命を示した。この結果は、いずれの焼鈍条件下においても実施材7、8の方が比較材14、15に比して0.2%耐力値が大きい値を示していたことに起因するものであると理解される。
(軟質希薄銅合金線の結晶構造についての検討)
また、図11は、実施材8の試料の幅方向における断面組織の写真を表したものであり、図12は、比較材15の幅方向における断面組織の写真を表したものである。図11は、比較材15の結晶構造を示し、図12は実施材8の結晶構造を示す。これをみると、比較材15の結晶構造は、表面部から中央部にかけて全体的に大きさの等しい結晶粒が均一に並んでいることがわかる。これに対し、実施材8の結晶構造は、全体的に結晶粒の大きさがまばらであり、特筆すべきは、試料の断面方向の表面付近に薄く形成されている層における結晶粒サイズが内部の結晶粒サイズに比べて極めて小さくなっていることである。
発明者らは、比較材15には形成されていない、表層に現れた微細結晶粒層が実施材8
の屈曲特性の向上に寄与しているものと考えている。
このことは、通常であれば、焼鈍温度600℃で1時間の焼鈍処理を行えば、比較材1
5のように再結晶により均一に粗大化した結晶粒が形成されるものであると理解されるが、本発明の場合には、焼鈍温度600℃で1時間の焼鈍処理を行ってもなお、その表層に
は微細結晶粒層が残存していることから、軟質銅材でありながら、屈曲特性の良好な軟質
希薄銅合金材料が得られたものであると考えられる。
そして、図11および図12に示す結晶構造の断面写真をもとに、実施材8および比較
材15の試料の表層における平均結晶粒サイズを測定した。
ここに、表層における平均結晶粒サイズの測定方法は、図13に示すように、0.26mm径の幅方向断面の表面から深さ方向に10μm間隔で50μmの深さまでの長さ1mmの線上の範囲での結晶粒サイズを測定した夫々の実測値を平均した値を表層における平均結晶粒サイズとした。
測定の結果、比較材15の表層における平均結晶粒サイズは、50μmであったのに対
し、実施材8の表層における平均結晶粒サイズは、10μmである点で大きく異なっていた。表層の平均結晶粒サイズが細かいことによって、屈曲疲労試験による亀裂の進展が抑
制され、屈曲疲労寿命が延びたと考えられる(結晶粒サイズが大きいと結晶粒界に沿って
亀裂が進展してしまうが、結晶粒サイズが小さいと亀裂の進展の方向が変わるため、進展
が抑制される)。このことが、上述のとおり、比較材と実施材との屈曲特性の面で大きな
相違を生じたものと考えられる。
また、2.6mm径である実施材6、比較材13の表層における平均結晶粒サイズは、
2.6mm径の幅方向断面の表面から深さ方向に50μmの深さにおける長さ10mmの範囲での結晶粒サイズを測定した。
測定の結果、比較材13の表層における平均結晶粒サイズは、100μmであったのに
対し、実施材6の表層における平均結晶粒サイズは、20μmであった。
本発明の効果を奏するものとして、表層の平均結晶粒サイズの上限値としては、20μm以下のものが好ましく、製造上の限界値から5μm以上のものが想定される。
(結晶系太陽電池の太陽電池用平角導体(バスバー)の実施形態について)
SCR連続鋳造圧延法で試作した前記実施材1(表1参照)のうち、上から3番目の素材を、溶銅温度1320℃で鋳造し、且つ圧延温度が880℃〜550℃でφ8mmのワイヤロッド(荒引線)を作成し、さらにこれを伸線加工してφ2.6mmの素線を得た後に通電アニーラ(焼鈍)の処理を行った。さらにこの丸線を平角に成形するための圧延加工工程を通して6mm幅および厚さ0.23mmおよび5mm幅で厚さ0.1mmの平角銅線を得、これをはんだめっき槽に連続的に浸漬させてはんだめっき線を作成した。これらを図1、図14に示すように略L字形状にセル2上にはんだ付けで成形して一体型とした銅線成形体をPETフィルムで挟み込むことでバスバー1を得た。尚、図1及び図14ではバスバーを被覆する絶縁フィルムを省略している。
(薄膜系太陽電池の太陽電池用平角導体(バスバー)の実施形態について)
前記実施材1のうち、上から3番目の素材を、溶銅温度1320℃で鋳造し、且つ圧延温度が880℃〜550℃でφ8mmのワイヤロッド(荒引線)を作成し、さらにこれを伸線加工してφ2.6mmの素線を得た後に通電アニーラ(焼鈍)の処理を行った。さらにこの丸線を平角に成形するための圧延加工工程を通して厚さ0.1mmおよび幅5mm、厚さ0.05mm、幅5mmを有する平角導体を得、これをはんだめっき槽に連続的に浸漬させてはんだめっき線を作成した。これらはんだめっき平角導体の上下の面をPETフィルムで挟み込むことでバスバーを得た。
上記2つの実施形態において、銅素線として、上前記実施材1のうち、上から3番目の素材と同じものを使用することから、以下のような効果が認められる。
導体1がTiを含み残部が不可避的不純物からなり、表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下である軟質希薄銅合金線にすることで、従来のOFC素材およびTPC素材に比して、6N相当の高い導電性を備え、6Nよりコストを掛けずにバスバーを供給することができる。
また、本発明のバスバーは、従来のOFC素材に比して、OFCより優れた屈曲性をもつため、小さな曲げ半径での折り曲げに適しているといえる。
よって、本発明のバスバーは、従来のOFC素材、TPC素材に比して高い導電性を備え、かつ従来のOFC素材に比して高い屈曲寿命を有するものである。
狭い場所などへは、狭角度の折り曲げや、小さな曲げ半径での敷設が可能である。図15は、垂直方向に180°曲げを施したバスバー1であり、図16は、水平方向に90°曲げを施したバスバー1である。この様に本発明のバスバーは、1本の導線を任意の方向に任意の角度で曲げてフォーミングする事が可能であり、従来のように複数本の導体をはんだ付けした一体型のバスバーを使用する必要がなく、また、バスバーやタブ線などの配線材は、敷設の際の折り曲げや繰り返し屈曲箇所のストレス、ダメージに起因する電気的悪影響を緩和できる。
1…バスバー(平角導体)、2…セル、3…インターコネクタ、4…屈曲ヘッド、5…試料、6…リング、7…クランプ。

Claims (6)

  1. 太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーにおいて、
    Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。
  2. 薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーにおいて、
    Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。
  3. 請求項1又は2に記載の太陽電池用バスバーにおいて、Ti4〜55mass ppm、硫黄2〜12mass ppm及び酸素2〜30mass ppmを含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。
  4. 太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、
    Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、
    該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
    ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法。
  5. 薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、
    添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、
    該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
    ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法。
  6. 前記熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池用バスバーの製造方法。
JP2010235447A 2010-10-20 2010-10-20 太陽電池用バスバー Active JP5499330B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010235447A JP5499330B2 (ja) 2010-10-20 2010-10-20 太陽電池用バスバー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010235447A JP5499330B2 (ja) 2010-10-20 2010-10-20 太陽電池用バスバー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012089692A true JP2012089692A (ja) 2012-05-10
JP5499330B2 JP5499330B2 (ja) 2014-05-21

Family

ID=46260989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010235447A Active JP5499330B2 (ja) 2010-10-20 2010-10-20 太陽電池用バスバー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5499330B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016021467A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 達昭 浦谷 太陽電池モジュール用配線構造、および太陽電池モジュール用配線構造の製造方法
JP2018022784A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 日立金属株式会社 熱電変換モジュールおよびその製造方法
JP2018032596A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 日立金属株式会社 絶縁電線およびその製造方法
CN109638098A (zh) * 2018-12-03 2019-04-16 珠海格力电器股份有限公司 一种电池组结构、光伏组件及生产方法
CN110241326A (zh) * 2019-06-05 2019-09-17 中南大学 合金化无氧铜及其制备方法
CN113001111A (zh) * 2021-02-25 2021-06-22 陈柳烨 一种铜排加工系统及铜排加工方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59159954A (ja) * 1983-03-03 1984-09-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 軟化温度の低い高導電用銅合金
JPH01319640A (ja) * 1988-06-20 1989-12-25 Hitachi Cable Ltd 無酸素銅ベース合金およびフレキシブルプリント基板用圧延銅箔
JPH09263851A (ja) * 1996-03-27 1997-10-07 Nikko Kinzoku Kk 硫黄含有量の低い銅又は銅合金の溶製方法
JP2002294369A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Kobe Steel Ltd 高強度銅合金及びその製造方法
JP2008001933A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Hitachi Cable Ltd 銅合金材、銅合金導体及びその製造方法並びに電車線用トロリ線及びケーブル
JP2008182170A (ja) * 2006-12-28 2008-08-07 Hitachi Cable Ltd 太陽電池用はんだめっき線及びその製造方法並びに太陽電池
JP2010100890A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Hitachi Cable Ltd コネクタ用銅合金条
JP2011179110A (ja) * 2010-02-08 2011-09-15 Hitachi Cable Ltd 軟質希薄銅合金材料、軟質希薄銅合金線、軟質希薄銅合金板、軟質希薄銅合金撚線およびこれらを用いたケーブル、同軸ケーブルおよび複合ケーブル

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59159954A (ja) * 1983-03-03 1984-09-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 軟化温度の低い高導電用銅合金
JPH01319640A (ja) * 1988-06-20 1989-12-25 Hitachi Cable Ltd 無酸素銅ベース合金およびフレキシブルプリント基板用圧延銅箔
JPH09263851A (ja) * 1996-03-27 1997-10-07 Nikko Kinzoku Kk 硫黄含有量の低い銅又は銅合金の溶製方法
JP2002294369A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Kobe Steel Ltd 高強度銅合金及びその製造方法
JP2008001933A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Hitachi Cable Ltd 銅合金材、銅合金導体及びその製造方法並びに電車線用トロリ線及びケーブル
JP2008182170A (ja) * 2006-12-28 2008-08-07 Hitachi Cable Ltd 太陽電池用はんだめっき線及びその製造方法並びに太陽電池
JP2010100890A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Hitachi Cable Ltd コネクタ用銅合金条
JP2011179110A (ja) * 2010-02-08 2011-09-15 Hitachi Cable Ltd 軟質希薄銅合金材料、軟質希薄銅合金線、軟質希薄銅合金板、軟質希薄銅合金撚線およびこれらを用いたケーブル、同軸ケーブルおよび複合ケーブル

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016021467A (ja) * 2014-07-14 2016-02-04 達昭 浦谷 太陽電池モジュール用配線構造、および太陽電池モジュール用配線構造の製造方法
JP2018022784A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 日立金属株式会社 熱電変換モジュールおよびその製造方法
JP2018032596A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 日立金属株式会社 絶縁電線およびその製造方法
CN109638098A (zh) * 2018-12-03 2019-04-16 珠海格力电器股份有限公司 一种电池组结构、光伏组件及生产方法
CN110241326A (zh) * 2019-06-05 2019-09-17 中南大学 合金化无氧铜及其制备方法
CN113001111A (zh) * 2021-02-25 2021-06-22 陈柳烨 一种铜排加工系统及铜排加工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5499330B2 (ja) 2014-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5077416B2 (ja) 軟質希薄銅合金材料、軟質希薄銅合金線、軟質希薄銅合金板、軟質希薄銅合金撚線およびこれらを用いたケーブル、同軸ケーブルおよび複合ケーブル
JP5760544B2 (ja) 軟質希薄銅合金線、軟質希薄銅合金撚線およびこれらを用いた絶縁電線、同軸ケーブルおよび複合ケーブル
JP5589756B2 (ja) フレキシブルフラットケーブル及びその製造方法
JP4709296B2 (ja) 希薄銅合金材料の製造方法
JP5589753B2 (ja) 溶接部材、及びその製造方法
JP5499330B2 (ja) 太陽電池用バスバー
JP5732809B2 (ja) 押出成形品及びその製造方法
JP5589754B2 (ja) 希薄銅合金材料、及び耐水素脆化特性に優れた希薄銅合金材料の製造方法
JP5652369B2 (ja) 太陽電池用導体
JP2012089685A (ja) 銅ボンディングワイヤ及び銅ボンディングワイヤの製造方法
JP5617521B2 (ja) 希薄銅合金材料を用いたエナメル線の製造方法
JP5609564B2 (ja) 溶融はんだめっき線の製造方法
JP2012087376A (ja) 銅スクラップ材のリサイクル方法
JP5088449B2 (ja) 軟質希薄銅合金材料、軟質希薄銅合金線、軟質希薄銅合金板、軟質希薄銅合金撚線およびこれらを用いたケーブル
JP5672939B2 (ja) 可動部用ケーブル及びその製造方法
JP5589755B2 (ja) 太陽光発電システム用ケーブル及びその製造方法
JP2013040384A (ja) 軟質希薄銅合金を用いた配線材及び板材
JP2012087366A (ja) 圧延銅箔、及び圧延銅箔の製造方法
JP5621502B2 (ja) 電極板及び電極板の製造方法
JP2014102996A (ja) 軟質希薄銅合金線と接続端子との接合方法
JP5601147B2 (ja) マイクロスピーカーボイスコイル用巻線及びその製造方法
JP2012089384A (ja) 同軸ケーブル及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131101

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20131101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5499330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350