JP2012089692A - 太陽電池用バスバー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る太陽電池用バスバーは、太陽電池セルを直線状に複数個配置して、そのセル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーであり、Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
屈曲性に関する具体的な評価はされておらず、より耐屈曲性にすぐれる軟質銅線について
の検討は何等なされていない。また、添加元素の量が多いため、導電性が低下してしまう。軟質銅線に関しては、まだ十分に検討がなされたとはいえない。
加せずに使用した場合には、銅荒引線の加工度をあげて伸線することにより無酸素銅線内
部の結晶組織を細かくすることによって耐屈曲性を向上させるとする考え方も有効かもし
れないが、この場合には、伸線加工による加工硬化により硬質線材としての用途には適し
ているが、軟質線材への適用ができないという問題がある。
得ない場合があり、折り曲げや屈曲箇所のストレス、ダメージに起因する電気的悪影響を
及ぼすという問題がある。
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法を提供する。
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法を提供する。
み、この硫黄とチタンとでTiS等の硫化物が十分形成されないために、軟化温度が下が
らないものと推測される。
策を検討し、2つの効果を合わせることで目標を達成した。
(880〜550℃)することで、銅中に転位を導入し、Sが析出し易いようにする。これによって、転位上へのSの析出又はチタンの酸化物(TiO2)を核としてSを析出させ、その一例として溶銅と同様Ti−O−S粒子等を形成させる(図6のSEM像と、図7の分析結果参照)。図2〜7は、表1の実施例1の上から三段目に示す酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度をもつφ8mmの銅線(ワイヤロッド)の横断面をSEM観察及びEDX分析にて評価したものである。観察条件は、加速電圧15keV、エミッション電流10μAとした。
導電率を満足する銅ワイヤロッドができる。
した。
導電率が102%IACS以上の軟質銅材を得る場合、不可避的不純物を含む純銅に硫黄3〜12mass ppmと、酸素2を超えて30mass ppm以下と、Ti4〜25mass ppmを含む軟質希薄銅合金材料でワイヤロッドとするのがよい。2mass ppmを超え30mass ppm以下の酸素を含有していることから、この実施の形態では、いわゆる低酸素銅(LOC)を対象としている。
硫黄及びチタンは、TiO、TiO2、TiS、Ti−O−Sの形で化合物または、凝集物を形成し、残りのTiとSが固溶体の形で存在している。TiOのサイズが200n
m以下、TiO2は1000nm以下、TiSは200nm以下、Ti−O−Sは300
nm以下で結晶粒内に分布している軟質希薄銅合金材料とする。結晶粒とは銅の結晶組織のことを意味する。
鋳造条件の設定も必要である。
SCR連続鋳造圧延により、鋳塊ロッドの加工度が90%(30mm)〜99.8%(5mm)でワイヤロッドを造る、一例として、加工度99.3%でφ8mmワイヤロッドを造る方法を用
いる。
高いとブローホールが多くなり、傷が発生するとともに粒子サイズが大きくなる傾向にあ
るので、1320℃以下とする。1100℃以上としたのは、銅が固まりやすく製造が安定しないためであるが、溶銅温度は、出来るだけ低い温度が望ましい。
の温度が550℃以上とする。
明の課題であるので、その駆動力である固溶限をより小さくするためには、溶銅温度と熱
間圧延温度を(a)、(b)とするのがよい。
の温度が600℃以上であるが、固溶限をより小さくするためには、本発明では、最初の
圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上に設定する
。
8%IACS以上必要であり、軟化温度はその工業的価値から見て148℃以下である。
Tiを添加しない場合は、160〜165℃である。高純度銅(6N)の軟化温度は127〜130℃であったので、得られたデータから限界値を130℃とする。このわずかな違いは、高純度銅(6N)にない不可避的不純物にある。
(4)鋳造条件の制限
ベース材の銅はシャフト炉で溶解の後、還元状態の樋になるように制御した、すなわち還元ガス(CO)雰囲気下で、希薄合金の構成元素の硫黄濃度、Ti濃度、酸素濃度を制御して鋳造し、圧延するワイヤロッドを安定して製造する方法がよい。銅酸化物の混入や粒子サイズが大きいので品質を低下させる。
は、例えば、錫、ニッケル、銀を主成分とするものを適用可能であり、いわゆるPbフリ
ーめっきを用いてもよい。
(ワイヤロッド):加工度99.3%をそれぞれ作製した。φ8mmの銅線は、SCR連続鋳造圧延により、熱間圧延加工を施したものである。Tiは、シャフト炉で溶解された銅溶湯を還元ガス雰囲気で桶に流し、桶に流した銅溶湯を同じ還元ガス雰囲気の鋳造ポットに導き、この鋳造ポットにて、Tiを添加した後、これをノズルを通して鋳造輪と無端ベルトとの間に形成される鋳型にて鋳塊ロッドを作成した。この鋳塊ロッドを熱間圧延加工してφ8mmの銅線を作成したものである。その実験材を冷間伸線して、φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度と導電率を測定し、またφ8mmの銅線における分散粒子サイズを評価した。
iの各濃度はICP発光分光分析器で分析した結果である。
持後、水中急冷し、引張試験を実施しその結果から求めた。室温での引張試験の結果と4
00℃で1時間のオイルバス熱処理した軟質銅線の引張試験の結果を用いて求め、この
2つの引張試験の引張強さを足して2で割った値を示す強度に対応する温度を半軟化温度
と定義し求めた。
た結果であり、銅溶湯にTiを、0〜18mass ppm添加したものである。
mは160℃まで低下して最小となり、15,18mass ppmの添加で高くなって
おり、要望の軟化温度148℃以下にはならなかった。また、導電率101.5%以上を満足しないものであり、総合評価は×であった。
てφ8mm銅線(ワイヤロッド)の試作を行った。
ss ppm)であり、導電率は102%IACS以上であるが、半軟化温度が164,
157℃であり、要求の148℃以下を満足しないので、総合評価で、×となった。
ss ppm)、Ti濃度の異なる(4〜55mass ppm)試作材の結果である。
電率も98%IACS以上、102%IACS以上であり、分散粒子サイズも500nm
以下の粒子が90%以上であり良好である。そしてワイヤロッドの表面もきれいであり、
いずれも製品性能として満足している(総合評価○)。
s ppmのときである。Ti濃度が13mass ppmのとき導電率が最大値である
102.4%IACSを示し、この濃度の周辺では、導電率は、僅かに低い値であった。
これは、Tiが13mass ppmのときに、銅中の硫黄分を化合物として捕捉することで、高純度銅(6N)に近い導電率を示したためである。
させることができる。
は、導電率は要望を満足しているが、半軟化温度は148℃以上であり、製品性能を満足
していない。さらにワイヤロッドの表面傷も多い結果であり、製品にすることは難しい。よって、Tiの添加量は60mass ppm未満がよい。
mass ppmとし、酸素濃度を変えて、酸素濃度の影響を検討した試作材である。
表面の傷が多く、製品にならない状況であった。
を4〜20mass ppmと変えた試作材の例である。この実施材3においては、硫黄
が2mass ppmより少ない試作材は、その原料面から実現できなかったが、Tiと
硫黄の濃度を制御することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。
合には、半軟化温度が162℃で高く、必要特性を満足できなかった。また、特にワイヤ
ロッドの表面品質が悪いので、製品化は難しかった。
2%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足しており、ワイヤロッドの表面も
きれいですべての製品性能を満足することがわかった。
30℃であり、導電率も102.8%IACSであり、分散粒子サイズも、500nm以
下の粒子はまったく認められなかった。
℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。
℃でφ8mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この実施材4について
は、ワイヤ表面品質、分散粒子サイズも良好で、総合評価は○であった。
ため、ワイヤロッドの表面傷が多く製品には適さなかった。これは、溶銅温度が低いため、圧延時に傷が発生しやすいためである。
mmのワイヤロッドを試作した結果を示したものである。この比較材11は、溶銅温度が
高いため、分散粒子サイズが大きなものがあり、総合評価は×となった。
表3は、無酸素銅線を用いた比較材12と低酸素銅に13mass ppmのTiを含有した軟質希薄銅合金線を用いた実施材5とを試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍
を施したもののビッカース硬さ(Hv)を検証した表である。
に比較材12と実施材5とのビッカース硬さ(Hv)は同等レベルとなり、焼鈍温度が6
00℃でも同等のビッカース硬さ(Hv)を示している。このことから、本発明の軟質希
薄銅合金線は十分な軟質特性を有するとともに、無酸素銅線と比較しても、特に焼鈍温度
が400℃を超える領域においては優れた軟質特性を備えていることがわかる。
表4は、無酸素銅線を用いた比較材13と低酸素銅に13mass ppmのTiを含
有した軟質希薄銅合金線を用いた実施材6を試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍を
施したものの0.2%耐力値の推移を検証した表である。なお、試料としては、2.6m
m径の試料を用いた。
線を用いた比較材14と低酸素銅にTiを添加した軟質希薄銅合金線を用いた実施材7に
おける屈曲寿命を測定した結果を図9に表す。ここでは試料としては、0.26mm径の
線材に対して焼鈍温度400℃で1時間の焼鈍を施したものを用い、比較材14は比較材
12と同様の成分組成であり、実施材7も実施材1と同様の成分組成のものを使用した。
図9の実験データによると、本発明に係る実施材7は比較材13に比して高い屈曲寿命
を示した。
用いた実施材8における屈曲寿命を測定した結果を図10に表す。ここでは試料としては、0.26mm径の線材に対して焼鈍温度600℃で1時間の焼鈍を施したものを用い、比較材15は比較材12と同様の成分組成であり、実施材8も実施材1と同様の成分組成のものを使用した。屈曲寿命の測定方法は、図8の測定方法と同様の条件により、行った。この場合も、本発明に係る実施材8は比較材15に比して高い屈曲寿命を示した。この結果は、いずれの焼鈍条件下においても実施材7、8の方が比較材14、15に比して0.2%耐力値が大きい値を示していたことに起因するものであると理解される。
また、図11は、実施材8の試料の幅方向における断面組織の写真を表したものであり、図12は、比較材15の幅方向における断面組織の写真を表したものである。図11は、比較材15の結晶構造を示し、図12は実施材8の結晶構造を示す。これをみると、比較材15の結晶構造は、表面部から中央部にかけて全体的に大きさの等しい結晶粒が均一に並んでいることがわかる。これに対し、実施材8の結晶構造は、全体的に結晶粒の大きさがまばらであり、特筆すべきは、試料の断面方向の表面付近に薄く形成されている層における結晶粒サイズが内部の結晶粒サイズに比べて極めて小さくなっていることである。
の屈曲特性の向上に寄与しているものと考えている。
5のように再結晶により均一に粗大化した結晶粒が形成されるものであると理解されるが、本発明の場合には、焼鈍温度600℃で1時間の焼鈍処理を行ってもなお、その表層に
は微細結晶粒層が残存していることから、軟質銅材でありながら、屈曲特性の良好な軟質
希薄銅合金材料が得られたものであると考えられる。
材15の試料の表層における平均結晶粒サイズを測定した。
し、実施材8の表層における平均結晶粒サイズは、10μmである点で大きく異なっていた。表層の平均結晶粒サイズが細かいことによって、屈曲疲労試験による亀裂の進展が抑
制され、屈曲疲労寿命が延びたと考えられる(結晶粒サイズが大きいと結晶粒界に沿って
亀裂が進展してしまうが、結晶粒サイズが小さいと亀裂の進展の方向が変わるため、進展
が抑制される)。このことが、上述のとおり、比較材と実施材との屈曲特性の面で大きな
相違を生じたものと考えられる。
2.6mm径の幅方向断面の表面から深さ方向に50μmの深さにおける長さ10mmの範囲での結晶粒サイズを測定した。
対し、実施材6の表層における平均結晶粒サイズは、20μmであった。
SCR連続鋳造圧延法で試作した前記実施材1(表1参照)のうち、上から3番目の素材を、溶銅温度1320℃で鋳造し、且つ圧延温度が880℃〜550℃でφ8mmのワイヤロッド(荒引線)を作成し、さらにこれを伸線加工してφ2.6mmの素線を得た後に通電アニーラ(焼鈍)の処理を行った。さらにこの丸線を平角に成形するための圧延加工工程を通して6mm幅および厚さ0.23mmおよび5mm幅で厚さ0.1mmの平角銅線を得、これをはんだめっき槽に連続的に浸漬させてはんだめっき線を作成した。これらを図1、図14に示すように略L字形状にセル2上にはんだ付けで成形して一体型とした銅線成形体をPETフィルムで挟み込むことでバスバー1を得た。尚、図1及び図14ではバスバーを被覆する絶縁フィルムを省略している。
前記実施材1のうち、上から3番目の素材を、溶銅温度1320℃で鋳造し、且つ圧延温度が880℃〜550℃でφ8mmのワイヤロッド(荒引線)を作成し、さらにこれを伸線加工してφ2.6mmの素線を得た後に通電アニーラ(焼鈍)の処理を行った。さらにこの丸線を平角に成形するための圧延加工工程を通して厚さ0.1mmおよび幅5mm、厚さ0.05mm、幅5mmを有する平角導体を得、これをはんだめっき槽に連続的に浸漬させてはんだめっき線を作成した。これらはんだめっき平角導体の上下の面をPETフィルムで挟み込むことでバスバーを得た。
Claims (6)
- 太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーにおいて、
Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。 - 薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーにおいて、
Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。 - 請求項1又は2に記載の太陽電池用バスバーにおいて、Ti4〜55mass ppm、硫黄2〜12mass ppm及び酸素2〜30mass ppmを含み、残部が不可避的不純物及び銅からなる軟質希薄銅合金材料であり、該材料の表面から50μm深さまでの表層における平均結晶粒サイズが20μm以下であることを特徴とする太陽電池用バスバー。
- 太陽電池セルを直線状に複数個配置して、前記セル同士を電気的に接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、
Ti、Mg、Zr、B、Nb、Ca、V、N、Mn、及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、
該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法。 - 薄膜太陽電池上に形成された正負の電力を集めるバス領域を接続する太陽電池用バスバーの製造方法において、
添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である軟質希薄銅合金材料からなり、該軟質希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1100℃以上1320℃以下で鋳造し、熱間圧延で荒引線を作製する工程と、さらに伸線加工して素線を得る工程と、
該素線を圧延加工してバスバーを作製する工程とを備える
ことを特徴とする太陽電池用バスバーの製造方法。 - 前記熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池用バスバーの製造方法。
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