JP5672939B2 - 可動部用ケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)合金組成について
中心導体及び外部導体の少なくとも一方が、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Ti及びCrからなる群から選択された添加元素を含み、残部が不可避的不純物及び銅である希薄銅合金からなる。
(2)分散粒子について
分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求される。
(3)連続鋳造圧延条件について
SCR連続鋳造圧延システム(South Continuous Rod System)は、SCR連続鋳造圧延装置の溶解炉内で、べ一ス素材を溶解して溶湯とし、その溶湯に所望の金属を添加して溶解し、この溶湯を用いて荒引き線(例えばφ8mm)を作製し、その荒引き線を、熱間圧延により例えばφ2.6mmに伸線加工するものである。またφ2.6mm以下のサイズ或いは板材、異形材にも同様に加工することができる。更に、丸型線材を角状に或いは異形条に圧延しても有効であるし、鋳造材をコンフォーム押出成形し、異形材を製作することもできる。
(a)溶解炉内での溶銅造温度は、1100℃以上1320℃以下とする。溶銅の温度が高いとブローホールが多くなり、傷が発生するとともに粒子サイズが大きくなる傾向にあるので1320℃以下とする。1100℃以上としたのは、銅が固まりやすく製造が安定しないためであるが、溶銅温度は、出来るだけ低い温度が望ましい。
(b)熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールで
の温度が550℃以上とするのがよい。
(c)直径φ8mmサイズのワイヤロッドの導電率が102%IACS以上であり、冷間伸線加工後の線材(例えばφ2.6mm)の軟化温度が130℃〜148℃である軟質希薄銅合金線又は板状材料を得ることができる。
(a)Tiは溶融銅の中で硫黄と結合し化合物を造りやすい。
(b)Zrなど他の添加金属に比べて加工でき扱いやすい。
(c)Nbなどに比べて安価である。
(d)酸化物を核として析出しやすい。
表1は、本実施形態における酸素濃度、S濃度及びTi濃度と、半軟化温度、導電率、分散粒子径及びこれらの総合評価との関係についての結果を示すものである。
先ず、実験材として、表1に示した酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度で、直径φ8mmの銅線(ワイヤロッド):加工度99.3%をそれぞれ作製した。φ8mmの銅線は、SCR連続鋳造圧延により、熱間圧延加工を施したものである。Tiは、シャフト炉で溶解された銅溶湯を還元ガス雰囲気で樋に流し、樋に流した銅溶湯を同じ還元ガス雰囲気の鋳造ポットに導き、この鋳造ポットにて、Tiを添加した後、これをノズルを通して鋳造輪と無端ベルトとの問に形成される鋳型にて鋳塊ロッドを作成した。この鋳塊ロッドを熱間圧延加工してφ8mmの銅線を作成したものである。その実験材を冷間伸線して、直径φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度と導電率を測定し、またφ8mmの銅線における分散粒子サイズを評価した。
[分散粒子について]
(a)素材の酸素濃度を2mass ppmを越える量に増やしてチタンを添加する。これに
より、先ず溶銅中ではTiSとチタン酸化物(TiO2)やTi−O−S粒子が形成されると考えられる(図1、図3のSEM像と図2、図4の分析結果参照)。なお、図2、図4、図6において、PtおよびPdは観察のための蒸着元素である。
(b)次に熱間圧延温度を、通常の銅の製造条件(950〜600℃)よりも低く設定(880〜550℃)することで、銅中に転位を導入し、Sが析出し易いようにする。これによって転位上へのSの析出又はチタンの酸化物(TiO2)を核としてSを析出させ、その一例として溶銅と同様Ti−O−S粒子等を形成させる(図5のSEM像と、図6の分析結果参照)。図1〜6は、表1の参考材1の上から三段目に示す酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度をもつφ8mmの銅線(ワイヤロッド)の横断面をSEM観察及びEDX分析にて評価したである。観察条件は、加速電圧15keV、エミッション電流100μAとした。
[軟質希薄銅合金線の軟質特性について]
表3は、無酸素銅線を用いた比較材12と低酸素銅に13mass ppmのTiを含有した軟質希薄銅合金線を用いた参考材5とを試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍を施したもののビッカース硬さ(Hv)を検証した表である。
[軟質希薄銅合金線の耐力及び屈曲寿命について]
表4は、無酸素銅線を用いた比較材13と低酸素銅に13mass ppmのTiを含有した軟質希薄銅合金線を用いた参考材6を試料とし、異なる焼鈍温度で1時間の焼鈍を施したものの0.2%耐力値の推移を検証した表である。なお、試料としては、2.6mm径の試料を用いた。
図7は、屈曲疲労試験機の正面図であり、屈曲寿命の測定方法は、屈曲疲労試験機を用いて行った。屈曲疲労試験装置は、屈曲ヘッド10、対向して配置されたリング11、試料12を屈曲ヘッド10に固定するクランプ13、試料12に荷重を加える錘14を有、試料表面に引張と圧縮の繰返し曲げひずみを与える試験である。
[R:素線曲げ半径(30mm)、r=素線半径]
図8は、無酸素銅線を用いた比較材14と参考材1のTi13massppmを添加した軟質希薄銅合金線を用いた参考材7における屈曲寿命を測定した結果を表すグラフである。ここでは試料としては、0.26mm径の線材に対して焼鈍温度400℃で1時間の焼鈍を施したものを用い、比較材14、比較材12と同様の成分組成であり、参考材7も参考材5と同様の成分組成のものを使用した。尚、本発明に係る軟質希薄銅合金線は、屈曲寿命の高さが要求される。図8の実験データによると、本発明に係る参考材7は比較材14に比して高い屈曲寿命を示した。
[軟質希薄銅合金線の結晶構造について]
図10は、参考材8の試料の幅方向の断面組織の写真を表したものであり、図11は、比較材15の幅方向の断面組織の写真を表したものである。図10は、比較材15の結晶構造を示し、図11は参考材8の結晶構造を示す。これをみると、比較材15の結晶構造は、表面部から中央部にかけて全体的に大きさの等しい結晶粒が均一に並んでいることがわかる。これに対し、参考材8の結晶構造は、全体的に結晶粒の大きさがまばらであり、特筆すべきは、試料の断面方向の表面付近に薄く形成されている層における結晶粒サイズが内部の結晶粒サイズに比べて極めて小さくなっていることである。
[実施形態2]
[比較例1]
中心導体に直径64μmのTPC(タフピッチ銅)素線を7本撚った撚り線を使用し、その外周に絶縁体として厚さ130μmの発泡PFAを被覆し、外部導体に直径32μmのTPC素線を46本右方向に巻付け、さらにその外周に厚さ50μmでPFAを被覆し、可動部用ケーブルを作製した。
[比較例2]
中心導体に直径64μmのCu−0.19%Sn−0.19%In合金素線を7本撚った撚り線を使用し、その外周に絶縁体として厚さ130μmの発泡PFAを被覆し、外部導体に直径32μmの同じ銅合金素線を46本右方向に巻付け、さらにその外周に厚さ50μmでPFAを被覆し、可動部用ケーブルを作製した。
[比較例3]
比較例3は、中心導体及び外部導体の素材としてOFC(無酸素銅)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により可動部用ケーブルを作製した。
Claims (4)
- 中心導体と、その外周に被覆された絶縁層と、前記絶縁層の外周に外部導体を有し、前記外部導体の外周に被覆されたジャケット層を有する可動部用ケーブルにおいて、
前記中心導体及び前記外部導体の少なくとも一方が、酸素15〜16mass ppm、Ti13〜14mass ppm、硫黄5〜6mass ppmを含み、残部が不可避的不純物及び銅である希薄銅合金からなり、前記中心導体及び前記外部導体の少なくとも一方の表面から50μm深さまでに形成されている表層の平均結晶粒径が20μm以下であり、前記表層の結晶粒サイズは、前記表層よりも断面方向の内部の結晶粒サイズよりも小さいことを特徴とする可動部用ケーブル。
- 請求項1において、前記希薄銅合金の導電率が101.5%IACS以上であることを特徴とする可動部用ケーブル。
- 酸素15〜16mass ppm、Ti13〜14mass ppm、硫黄5〜6mass ppmを含み、残部が不可避不純物及び銅である希薄銅合金材料を、SCR連続鋳造圧延により、1200℃以上1320℃以下の溶銅温度で鋳造材を形成し、該鋳造材からワイヤロッドを作製し、そのワイヤロッドを最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上の条件で熱間圧延して、これを伸線して導体を形成し、前記導体を複数本用意する工程と、
前記複数の導体のうちの一方を中心導体とし、その外周に絶縁体を施す工程と、
前記複数の導体のうちの他方の複数本を前記絶縁体上において編組することにより外部導
体を形成する工程と、
該外部導体の外周に樹脂でジャケット層を施す工程とを備えることを特徴とする可動部用ケーブルの製造方法。 - 請求項3において、前記中心導体及び前記外部導体の少なくとも一方は、その導電率が101.5%IACS以上であることを特徴とする可動部用ケーブルの製造方法。
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