JP2018024870A - 蛍光体、及びその製造方法、並びにその蛍光体を用いた発光装置 - Google Patents

蛍光体、及びその製造方法、並びにその蛍光体を用いた発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体の発光強度を低下させることなく、発光強度維持率が改善された蛍光体、並びにかかる蛍光体を用いた発光装置の提供。【解決手段】ケイフッ化物蛍光体であって、赤外吸収スペクトルにおける、1200〜1240cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度I1、3570〜3610cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI2、635〜655cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI3、前記蛍光体に含まれるMnの重量百分率をCMnとするとき、 0≦I2/I1≦0.01、及び6.7≦(I3/I1)/CMnを満たす蛍光体。【選択図】図4

Description

本発明は、蛍光体、及びその製造方法、並びにその蛍光体を用いた発光装置に関するものである。
発光ダイオード(Light−emitting Diode:LED)発光装置は、主に励起光源としてのLEDチップと蛍光体との組み合わせから構成され、その組み合わせによって様々な色の発光色を実現することができる。
白色光を放出する白色LED発光装置には、青色領域の光を放出するLEDチップと蛍光体との組み合わせが用いられている。例えば、青色光を放つLEDチップと、蛍光体混合物との組み合わせが挙げられる。蛍光体としては主に青色の補色である黄色光を放射する黄色発光蛍光体が使用され、擬似白色光LED発光装置として使用されている。その他にも青色光を放つLEDチップと、緑色ないし黄色発光蛍光体、及び赤色発光蛍光体が用いられている3波長型白色LEDが開発されている。このような発光装置に用いられる赤色発光蛍光体の一つとしてKSiF:Mn蛍光体が知られている。
従来知られているフッ化物蛍光体は、連続的に励起して発光をさせた場合、初期の発光強度に対して経時後の発光強度が低下する傾向にある。蛍光体を発光装置に使用した際、時間経過に伴う発光強度の変化が小さいこと、すなわち発光強度維持率が高いことが望ましい。このため、蛍光体の発光強度維持率の改善が望まれている。このようなニーズに応えるために、蛍光体の表面を、有機アミン、アンモニウム塩等の表面処理剤を含有する処理液にて処理し、高温高湿試験で耐久性を向上させる報告がある。しかしながら、そのような方法では、一度合成された蛍光体にさらに処理を施す工程を必要があり、蛍光体の製造コストを抑えるには別の方法が望まれている。さらに、従来知られているフッ化物蛍光体は、一般に水分に接触すると発光強度が低下する傾向があるため、合成後に前記のような水分を含む処理剤を用いた表面処理を行うことは好ましくない。
特表2009−528429号公報 特開2014−141684号公報
本発明の実施形態は、蛍光体の発光強度を低下させることなく、発光強度維持率が改善された蛍光体、並びにかかる蛍光体を用いた発光装置を提供することを目的とするものである。
実施形態にかかる蛍光体は、組成が下記一般式(1):
(K1−p/k,Mp/k(Si1−x−y,Ti,Mn)F (1)
(ここで、
Mは、Na及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、
kは、Mの価数を示す数で、1又は2であり、
1.5≦a≦2.5、
5.0≦b≦6.5、
0≦p/k≦0.1、
0≦x≦0.3、及び
0<y≦0.2
である)
で表される蛍光体であって、
赤外吸収スペクトルにおける、1200〜1240cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、3570〜3610cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、635〜655cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、前記蛍光体に含まれるMnの重量百分率をCMnとするとき、
0≦I/I≦0.01、及び
6.7≦(I/I)/CMn
を満たすものである。
また、実施形態にかかる発光装置は、440nm以上470nm以下の波長領域にピークを有する光を放射する発光素子と、前記蛍光体を含有する蛍光体層とを具備する。
さらに、実施形態にかかる蛍光体の製造方法は、前記の蛍光体の製造方法であって、以下の工程:
(A)一般式(1)で表される基本蛍光体を合成する工程、及び
(B)前記工程(A)で合成された基本蛍光体を400℃以上800℃以下の温度で脱水処理をする工程
を含んでなるものである。
実施形態による蛍光体の赤外吸収スペクトルを示す図(非希釈)。 実施形態による蛍光体の赤外吸収スペクトルを示す図(希釈)。 実施形態による蛍光体の赤外吸収スペクトル(1000〜4000cm−1)の拡大図(非希釈)。 実施形態による蛍光体の赤外吸収スペクトル(400〜1400cm−1)の拡大図(希釈)。 実施形態による発光装置の断面図。 他の実施形態による発光装置の断面図。 実施例1による蛍光体の赤外吸収スペクトルを示す図(非希釈)。 実施例1による蛍光体の赤外吸収スペクトルを示す図(希釈)。 実施例1による蛍光体の赤外吸収スペクトル(1000〜4000cm−1)の拡大図(非希釈)。 実施例1による蛍光体の赤外吸収スペクトル(400〜1400cm−1)の拡大図(希釈)。 実施例2Aによる蛍光体のXRDプロファイルを示す図。
以下、実施形態について、詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための蛍光体及び発光装置を示すものであり、本発明は以下の例示に限定されない。
本発明者らは、主としてケイフッ化カリウムからなり、マンガンで付活された蛍光体について鋭意検討及び研究を重ねた結果、蛍光体の赤外吸収スペクトル(以下、IRスペクトルということがある)における特定のピークの強度比と、特定のイオンの配位構造とが、蛍光体の発光効率及び蛍光体の発光強度維持率とに相関があることを見出した。
実施形態において、好ましい蛍光体は、組成が下記一般式(1)で表されるものである。
(K1−p/k,Mp/k(Si1−x−y,Ti,Mn)F (1)
(式中、
Mは、Na及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、
kは、Mの価数を示す数で、1又は2であり、
1.5≦a≦2.5、
5.0≦b≦6.5、
0≦p/k≦0.1、
0≦x≦0.3、及び
0<y≦0.2
である)
実施形態にかかる蛍光体は、付活剤としてマンガンを含有するものである。この蛍光体を赤色発光蛍光体とするためにはマンガンの価数は+4価であることが好ましい。他の価数のマンガンが含まれていてもよいが、その割合は少ないことが好ましく、すべてのマンガンが+4価であることが最も好ましい。
マンガンが含有されていない場合(y=0)には紫外から青色領域に発光ピークを有する光で励起しても発光を確認することはできない。したがって、前記一般式(1)におけるxは0より大きいことが必要である。また、マンガンの含有量が多くなると発光効率が改良される傾向にあり、yは0.005以上であることが好ましい。
しかし、マンガンの含有量が多すぎる場合には、濃度消光現象が生じて、蛍光体の発光強度が弱くなる傾向にある。こうした不都合を避けるために、マンガンの含有比率(y)は0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることが好ましい。
また、上述したように、実施形態による蛍光体は、主構成元素であるK、Si、F、及びMn以外の元素を含んでいてもよい。含有される元素として、例えばNa、Ca、Tiなどを少量含有してもよい。これらの元素が少量含有される場合であっても蛍光体は、赤色領域に類似の発光スペクトルを示し、所望の効果を達成することができる。ただし、蛍光体の安定性、蛍光体合成時の反応性蛍光体合成コストなどの観点から、これらの元素の含有量は少ないことが好ましい。また、ここに例示された以外の元素を不可避成分として含有している場合もある。このような場合でも、一般に実施形態の効果が十分に発揮される。
なお、実施形態による蛍光体は、主相のほかに異相や不純物を含んでいてもよい。このとき、蛍光体全体の組成だけでなく、主相の組成が上記一般式(1)を満たすことが好ましい。このときの異相としては、組成が同じで結晶構造が異なる蛍光体のほか、K、Si、またはF以外の元素を含む蛍光体や物質であってもよい。特に異相にB(ホウ素)が含まれる場合は、内部量子効率および発光強度維持率の改善効果が顕著であり、好ましい。このようなB含有化合物としては、具体的にはKBFが挙げられる。このような異相は、主相を構成する基本蛍光体の表面に存在することが一般的であり、蛍光体表面に均一に層を形成していても、また表面の一部に局在した相を形成していてもよい。もっとも典型的には、式(1)で表される蛍光体主相の表面に、KBF層が形成されているものが挙げられる。
蛍光体全体に対する各元素の含有量を分析するには、例えば以下のような方法が挙げられる。K、Na、Ca、Si、Ti、及びMnなどの金属元素は、合成された蛍光体をアルカリ融解し、例えばIRIS Advantage型ICP発光分光分析装置(商品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)によりICP発光分光法にて分析することができる。また、非金属元素Fは合成された蛍光体を熱加水分解により分離し、例えばDX−120型イオンクロマトグラフ分析装置(商品名、日本ダイオネクス株式会社製)により分析することができる。また、Fの分析は上述した金属元素と同様にアルカリ融解した後に、イオンクロマトグラフ法にて分析を行うことも可能である。
なお、実施形態による蛍光体は、化学量論的には酸素を含まないものである。しかしながら、蛍光体の合成プロセス中、又は合成後の蛍光体表面の分解等により、酸素が不可避的に蛍光体中に混入してしまうことがある。蛍光体中の酸素の含有量はゼロであることが望ましいが、[酸素含有量]/[(フッ素含有量)+(酸素含有量)]の比が0.05より小さい範囲であれば、発光効率が大きく損なわれることがないので好ましい。
従来、カリウム、ケイ素、及びフッ素を含有する基本構造を有し、マンガンで付活されたフッ化物蛍光体は、発光装置として使用された場合、発光装置を連続運転した場合に、蛍光体の発光強度が経時により低下して、発光の色ずれが生じてしまうのが一般的であった。このような問題を解決する方法は種々検討されていたが、いずれも改良の余地があった。これに対して本発明者らは、このような蛍光体のうち特定のIRスペクトルを示すものが、優れた特性を示すことを見出した。具体的には、IRスペクトルにおける、1200〜1240cm−1に存在する最大ピークの強度(以下Iということがある)に対する3570〜3610cm−1に存在する最大ピークの強度(以下Iということがある)の比である相対強度IOH(I/I)が0.01以下である蛍光体が優れた発光強度維持率を示す。
なお、前記相対強度IOHは、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.002以下である。最も好ましくは、3570〜3610cm−1の範囲にピークが存在しないこと、すなわちI=IOH=0、である。
このようなIRスペクトルの強度比は、蛍光体中に存在する種々のOH基の含有量に対応するものと考えられる。すなわち、後述するように3570〜3610cm−1に存在するピークは孤立OH基のOH結合の固有振動に対応しており、3200cm−1付近は蛍光体周辺に含まれる水分子に含まれるOH結合の固有振動に対応するものと推測される。そして、蛍光体のIRスペクトルにおける前記強度比が特定の範囲に有する場合、すなわち、蛍光体に含まれるOH結合が少ない場合に優れた特性を示すものと考えられる。
一方、蛍光体には優れた発光特性、すなわち高い内部量子効率が要求される。本発明者らの検討によれば、IRスペクトルにおける、635〜655cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度(以下、Iということがある)と内部量子効率とが相関関係を有することがわかった。このIは、蛍光体中に存在する(MnF2−構造に対応するものと考えられる。蛍光体中に含まれるMn原子のすべてが(MnF2−構造を有するのが理想的であるが、実際にはF原子が他の原子に置換されたり、F原子が欠損していたりする場合がある。このような場合、内部量子効率が下がってしまう。従って、内部量子効率が高い場合にはIも高くなる傾向にある。しかし、Iは蛍光体中に含まれるMn原子含有率にも依存することは明らかであり、単にIが高いことは内部量子効率が高いことを意味するわけでは無い。従って、蛍光体中に含まれるMnの量で規格化した強度を基準に考えるべきである。このような観点から、実施形態では蛍光体に含まれるMnの重量百分率をCMnとし、Iに対するIの比率をCMnで除して規格化した比である相対強度IMn[(I/I)/CMn]について検討し、IMnが6.7以上であるときに、高い発光強度維持率と高い内部量子効率を両立できることを見出した。前記相対強度IMnは、好ましくは6.8以上、より好ましくは7以上である。
IRスペクトルの測定方法は特に限定されないが、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−6100(商品名、日本電子株式会社製)等の赤外分光装置によって測定することができる。測定条件は、例えば、以下のものとすることができる。
波数分解能: 4cm−1
サンプルスキャン回数: 100回
測定波数範囲: 400〜4000cm−1
測定雰囲気: 大気
なお、幅広い波数域で測定を行うために、応答直線性が高いTGS(DTGS)検出器を用いて行うことが好ましい。
IRスペクトルの測定方法には、透過法、反射法、ATR法などが存在するが、本実施形態にかかる蛍光体は、一般に粒子径が数μm〜60μmの粉末であり、試料調製が容易で、測定が可能な拡散反射法により実施するのが好ましい。また、前記拡散反射法は赤外領域で光透過性のKBrやKClなどの希釈剤で適当な濃度(1〜10%程度)に希釈して測定するのが一般的である。しかし、本実施形態における蛍光体のIRスペクトルにおいて、3590cm−1付近、及び3220cm−1付近のピーク強度の測定においては、これらのピーク強度は低く、かつ上記希釈剤中に含まれる水分が蛍光体の3590cm−1付近、及び3220cm−1付近のピーク強度に影響を及ぼす可能性が高いことから、上記希釈剤を用いずに測定を行うことが好ましい。一方、645cm−1付近のピーク強度の測定においては、このピーク強度は比較的高いため、赤外領域で光透過性のKBrやKClなどの希釈剤で適当な濃度(1〜10%程度)に希釈して測定するのが、正確な測定のために好ましい。上記希釈剤で希釈する濃度は400〜4000cm−1における最大スペクトル強度が1.0を超えないようにする。いずれの測定においても、バックグラウンド測定では上記希釈剤を用いて測定を行うことが好ましい。
またいずれの測定においても、強度比を定量的に扱うためには得られたスペクトルの強度をKubelka−Munk変換(以下、KM変換ということがある)する。
本実施形態による蛍光体のIRスペクトル(KM変換後)の一例を、図1〜4に示す。
図1は蛍光体単独のIRスペクトル(非希釈)であり、図2は希釈剤による希釈を行った場合のIRスペクトル(希釈)である。図1及び図2中に矢印で示す800〜1600cm−1付近のピークは、母体であるKSiF結晶に固有の振動モードに対応すると考えられる。図3は、蛍光体そのもののIRスペクトル(非希釈)の1000〜4000cm−1の拡大図である。3570〜3610cm−1に存在するピークは、Mnとそれに配位したOH基との結合に対応するものと考えられる。さらに、2500〜3500cm−1にブロードな振動ピークが確認される。このブロードな振動ピークは、蛍光体結晶に吸着したり、水素結合や配位結合したりしている水分子に含まれるOH結合に帰属されるピークであると考えられる。このスペクトルは、これらピークの存在を示すために、そのピークが比較的高いものであるが、実施形態による蛍光体では、このピークが相対的に低くなっている(詳細後述)。
図4は、図2のIRスペクトルの400〜1400cm−1の拡大図である。図4中左側の矢印で示す800〜1600cm−1付近のピークは、母体であるKSiF結晶に固有の振動モードに対応し、図中右側の矢印で示す635〜655cm−1に存在するピークは、Mnに6つのフッ素が配位した(MnF2−イオンに対応するものと考えられる、実施形態による蛍光体では、このピークが相対的に高くなっている(詳細後述)。本実施形態は、上記3570〜3610cm−1に存在するシャープな最大ピーク強度(I)及び635〜655cm−1の範囲に存在する最大ピーク強度(I)と蛍光体の特性と相関があるとの知見に基づき、完成されたものである。
しかしながら、IR測定は一般的に定性的な評価に用いられるものであるため、特定のピーク強度を定量的に評価することが困難である。したがって、I又はIと蛍光体の特性との相関関係を明示することが困難である。そこで、実施形態においては、得られたIRスペクトルにおける、KSiF結晶の固有の振動モードに帰属されると考えられる1200〜1240cm−1に存在する最大ピークを基準とし、それに対する3570〜3610cm−1及び635〜655cm−1に存在する最大ピークの相対的な強度(IOH及びIMn)を指標とした。
なお、IRスペクトルにおける前述の最大ピーク位置(波数)は、蛍光体の組成や蛍光体の合成条件により変化することもある。本実施形態では、1220cm−1付近のピーク位置が重要な要素であるが、このピーク位置は、好ましい条件下で±15cm−1、より好ましい条件下で±5cm−1程度、変動し得ることがある。
また、IMnを算出するために必要なCMnは、蛍光体中に含まれるMnの重量百分率である。このMnの重量百分率は任意の方法で測定することができるが、原子吸光光度計により測定するのが簡便である。実施形態において、原子吸光光度計としては、株式会社島津製作所製のAA7000シリーズ,及び株式会社日立ハイテクノロジーズ製の偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA3000シリーズなどを用いることができる。
本実施形態による蛍光体を発光装置に使用した際、発光強度維持率及び内部量子効率が高いことが見出された。本実施形態による蛍光体が優れた特性を示す理由については、以下のように推定されている。一般的なフッ化物を母体にした蛍光体を発光装置に組み込んで運転した場合、運転により蛍光体が高温となり、その結果、蛍光体の加水分解が起こるため、発光強度の低下が起こるものと推定される。この推定に基づけば、孤立OH基が少ない、IOHが低い蛍光体が望ましいが、単に孤立OH基を減少させる脱水処理を行うと蛍光体結晶の構造に欠陥などが発生し、IMnが低くなり、内部量子効率の低下が起こるものと推定される。このため、脱水処理のされていない蛍光体や、単純な脱水処理が為された蛍光体は、IOHとIMnの両立ができなかったのである。一方、実施形態による蛍光体では低いIOHと高いIMnとを両立しており、この結果、発光強度維持率及び内部量子効率がいずれも優れていると推定される。
実施形態による蛍光体は、任意の方法で製造することができるが、例えば
(A)一般式(1)で表される基本蛍光体を合成する工程、及び
(B)前記工程(A)で合成された基本蛍光体を400℃以上800℃以下の温度で脱水処理をする工程
を含んでなる方法により製造することができる。
工程(A)においては、ケイフッ化カリウムの製造において用いられる、一般的な方法を採用できる。具体的には、一般式(1)で表される組成を有する、基本蛍光体を、
(i)Si含有原料、Ti含有原料を過マンガン酸カリウム及び又は過マンガン酸ナトリウムと組み合わせ、フッ酸水溶液中で反応させる方法、
(ii)ヘキサフルオロケイ酸(HSiF)と、ヘキサフルオロマンガン酸カリウム(KMnF)又はヘキサフルオロマンガン酸ナトリウムとの混合物を溶解させたフッ酸水溶液中に、カリウム含有原料及び/又はナトリウム含有原料を添加し、反応させる共沈方法又は貧溶媒析出法
により製造することが可能である。その他にもヘキサフルオロケイ酸とヘキサフルオロマンガン酸カリウム(KMnF)などを溶解させた溶液中にカリウム含有原料を添加し、反応させる方法や貧溶媒析出法などの方法により合成することが可能である。何れの製造方法においても、基本蛍光体は、フッ酸を使用した水溶液中で合成したのちに、吸引ろ過等の乾燥処理を経て得ることができる。
本発明者らの検討によれば、吸引ろ過等の乾燥処理を行った後の蛍光体であっても、この蛍光体には孤立OH基や蛍光体表面などに吸着している水分子が不可避的に含まれてしまうことがわかった。合成方法の選択や合成パラメータの最適化により、孤立OH基や蛍光体に含まれる水の含有量をある程度減少させることは可能であるが、合成方法の検討だけでは孤立OH基や水分子を十分に除去することは容易ではない。そのため、前述の基本蛍光体の合成後、必要に応じて、乾燥処理を行った後に、脱水処理(工程(B))を行うことで、孤立OH基や水分子を除去することができる。脱水処理は、一般に200℃以上800℃以下、好ましくは400℃以上800℃以下、より好ましくは500℃以上750℃以下、の温度範囲、好ましくは0.0003気圧以上8気圧以下、より好ましくは0.01気圧以上6気圧以下、の圧力範囲、好ましくは1分以上24時間以下、より好ましくは5分以上10時間以下、の処理時間で実施することが好ましい。このような条件で脱水処理を行うことで、蛍光体の表面だけではなく、粒子内部の孤立OH基又は水分子の除去が可能となる。また、脱水処理を行う雰囲気は、蛍光体の構造を損なわない雰囲気であることが好ましい。具体的には、実施形態による蛍光体(主相)の組成は、一般式(1)で表されるものであるが、この組成を変動させるような成分が脱水処理の雰囲気中に含まれないことが好ましい。このような雰囲気としては、一般的には不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどの雰囲気が挙げられる。また、蛍光体の組成変動を防いだり、蛍光体の構造欠陥を補うために、脱水処理をフッ素含有不活性ガス雰囲気などで実施することができる。脱水処理によって、蛍光体結晶中にあった、OH基などが除去されることが有り、その部位にフッ素を補うためにフッ素含有不活性ガス雰囲気で行うことが特に望ましい。なお、ここで、フッ素とはフッ素原子又はフッ素イオンを意味しており、フッ素含有不活性ガスとは、フッ素化合物を含む不活性ガスを意味している。ここで、フッ素化合物は、例えばフッ化アンモニウムなど、大気圧における沸点もしくは昇華点が50℃以上800℃以下であるものが好ましい。また、必要に応じて蛍光体に異相を導入することもできる。前記した通り、異相としてB(ホウ素)の導入によって、蛍光体特性が改良されることがある。Bを異相として蛍光体に導入する方法は特に限定されないが、例えば脱水処理の雰囲気にBを含ませることによって、蛍光体粒子の表面にB含有層を形成させることもできる。雰囲気にBを含ませるためには、脱水処理を行う装置内にホウ素を含有する化合物、例えばNHBFなどを配置したり、フッ素化合物とホウ素化合物とを配置することができる。なお、それ自体にホウ素を含む装置、例えば窒化ホウ素るつぼ(BNるつぼ)などを用いることで、ホウ素化合物の代替とすることもできる。このような異相は、X線回折(XRD)によって確認することが可能である。
孤立OH基や水分子を除去するために脱水処理を過激な条件下で行うと、蛍光体の一部が変性、又は酸化することが考えられる。変性、又は酸化を避ける理由から、従来は水性媒体中で形成された蛍光体を常温で乾燥することはあったが、積極的に加熱、又は減圧などの処理を行わないことが一般的であった。実施形態においては、合成後の蛍光体脱水工程において温度、圧力、雰囲気を調整することにより、このような蛍光体の変性、又は酸化を避けることが可能である。
また、蛍光体の吸収率、内部量子効率η’は以下の式で算出される。
Figure 2018024870
Figure 2018024870
式中
E(λ):蛍光体へ照射した励起光源の全スペクトル(フォトン数換算)
R(λ):蛍光体の励起光源反射光スペクトル(フォトン数換算)
P(λ):蛍光体の発光スペクトル(フォトン数換算)
である。
蛍光体の吸収率、内部量子効率は、例えば、C9920−02G型絶対PL量子収率測定装置(商品名、浜松ホトニクス株式会社製)により測定することができる。上記母体着色を測定する際の励起光としてはピーク波長が650nm付近、半値幅5〜10nmを使用することができる。また、内部量子効率を測定する際の励起光としてはピーク波長が440〜470nm付近、半値幅5〜15nmの青色光を使用することができる。
また、実施形態による蛍光体を発光デバイス等に使用するには、内部量子効率は80%以上であることが好ましい。図5からIMnが大きくなると、内部量子効率が上昇することがわかる。そして内部量子効率80%以上を達成するためには、IMnが6.7以上であることが好ましく、より好ましくは6.8以上である。また、図5から、一般式(1)で表される蛍光体のIMnが高いほど内部量子効率が高いことがわかる。したがって、IMnが高いことが好ましい。このような高いIMnを達成するためには、種々の方法をとることができる。高いIMnを達成するための方法の1つとして、脱水条件を最適化することが好ましい。
また、実施形態による蛍光体は使用する発光装置への塗布方法に応じて分級することもできる。青色領域に発光ピークを有する励起光を使用した通常の白色LEDなどでは、一般的に1〜50μmに分級された蛍光体粒子を用いることが好ましい。分級後の蛍光体の粒径が過度に小さいと、発光強度が低下してしまうことがある。また、粒径が過度に大きいとLEDに塗布する際、蛍光体層塗布装置に蛍光体が目詰まりし作業効率や歩留りの低下、出来上がった発光装置の色ムラの原因となることがある。
実施形態に係る蛍光体は紫外から青色領域に発光ピークを有する励起光源にて励起可能である。この蛍光体を発光装置に用いる場合には、蛍光体の励起スペクトルから、440nm以上470nm以下の波長領域に発光ピークを有する発光素子を励起光源として利用することが望ましい。上述の波長範囲外に発光ピークを有する発光素子を用いることは、発光効率の観点からは好ましくない。発光素子としては、LEDチップやレーザーダイオードなどの固体光源素子を使用できる。
実施形態にかかる蛍光体は、赤色の発光をする蛍光体である。したがって、励起光源に青色光を用いた場合には緑色発光蛍光体及び黄色発光蛍光体と組み合わせて用いることにより、白色発光装置を得ることができる。また、励起光源に紫外光を用いた場合には青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体及び黄色発光蛍光体と組み合わせて用いることにより、白色発光装置を得ることができる。使用する蛍光体の種類は発光装置の目的に合わせて任意に選択することができる。例えば、色温度が低い照明用途の白色発光装置を提供する際には、実施形態による蛍光体と黄色発光蛍光体と組み合わせることにより、効率と演色性を両立した発光装置を提供することができる。
緑色発光蛍光体及び黄色発光蛍光体は、520nm以上570nm以下の波長領域に主発光ピークを有する蛍光体ということができる。このような蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce等のケイ酸塩蛍光体、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce等のアルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Ga:Eu等の硫化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、Euを付活した(Ca,Sr)−αSiAlON、βSiAlON等のアルカリ土類酸窒化物蛍光体などが挙げられる。なお、主発光ピークとは、発光スペクトルのピーク強度が最も大きくなる波長のことであり、例示された蛍光体の発光ピークは、これまで文献などで報告されている。なお、蛍光体作製時の少量の元素添加やわずかな組成変動により、10nm程度の発光ピークの変化が認められることがあるが、そのような蛍光体も前記の例示された蛍光体に包含されるものとする。
青色発光蛍光体は、440nm以上500nm以下の波長領域に主発光ピークを有する蛍光体ということができる。例えば、(Sr,Ca,Ba,Mg)(PO(Cl,Br):Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)(POCl:Eu等のハロリン酸塩蛍光体、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のリン酸塩蛍光体、及びBaMgAl1017:Eu等のアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体などが挙げられる。
また、実施形態による蛍光体を用いた発光装置には、上記以外の、橙色発光蛍光体、赤色発光蛍光体も用途に応じて使用することができる。
橙色発光蛍光体、赤色発光蛍光体としては(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu等のケイ酸塩蛍光体、Li(Eu,Sm)W等のタングステン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Eu等の酸硫化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba)S:Eu等の硫化物蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Si:Eu、(Sr,Ca)AlSiN:Eu等の窒化物蛍光体などが挙げられる。実施形態による蛍光体に更にこれらの蛍光体を組み合わせて使用することにより、効率だけでなく、照明用途での演色性や、バックライト用途での色域を更に改善することができる。ただし、使用する蛍光体の数が多すぎると、蛍光体同士が吸収、発光する再吸収・発光現象や散乱現象が生じて、発光装置の発光効率が低下する。
図5には、実施形態にかかる発光装置の断面を示す。図示する発光装置は、発光装置はリード100及びリード101とステム102、半導体発光素子103、反射面104、蛍光体層105を有する。底面中央部には、半導体発光素子103がAgペースト等によりマウントされている。半導体発光素子103としては、紫外発光を行なうもの、あるいは可視領域の発光を行なうものを用いることができる。例えば、GaAs系、GaN系等の半導体発光ダイオード等を用いることが可能である。なお、リード100及びリード101の配置は、適宜変更することができる。発光装置の凹部内には、蛍光体層105が配置される。この蛍光体層105は、実施形態にかかる蛍光体を、例えばシリコーン樹脂からなる樹脂層中に5wt%以上80wt%以下の割合で分散することによって形成することができる。
半導体発光素子103としては、n型電極とp型電極とを同一面上に有するフリップチップ型のものを用いることも可能である。この場合には、ワイヤの断線や剥離、ワイヤによる光吸収等のワイヤに起因した問題を解消して、発光強度維持率の高く色ずれの小さい高輝度な半導体発光装置が得られる。また、半導体発光素子103にn型基板を用いて、次のような構成とすることもできる。具体的には、n型基板の裏面にn型電極を形成し、基板上の半導体層上面にはp型電極を形成して、n型電極又はp型電極をリードにマウントする。p型電極又はn型電極は、ワイヤにより他方のリードに接続することができる。
半導体発光素子103のサイズ、凹部の寸法及び形状は、適宜変更することができる。
図6には、砲弾型の発光装置の例を示す。半導体発光素子201は、リード200’にマウント材202を介して実装され、プレディップ材204で覆われる。ボンディングワイヤ203により、リード200が半導体発光素子201に接続され、キャスティング材205で封入されている。プレディップ材204中には、実施形態にかかる蛍光体が含有される。
上述したように、実施形態にかかる発光装置、例えば白色LEDは一般照明等だけでなく、カラーフィルターなどと組み合わせて使用される発光デバイス、例えば液晶用バックライト用の光源等としても最適である。具体的には、液晶のバックライト光源や青色発光層を使用した無機エレクトロルミネッセンス装置の赤色発光材料としても使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1及び2]
KMnO粉末とKF粉末とをHF水溶液に溶解させた後に、H水溶液を徐々に滴下し、HF水溶液中で十分反応させることによりKMnFを合成した。合成したKMnFを吸引ろ過し、KMnF粉末とした。また、HF水溶液中にSiO粉末を溶解させ、HSiF溶液を調製した。さらに、HF水溶液にKF粉末を溶解させ、KF水溶液を調製した。調製したHSiF溶液に合成したKMnF粉末を溶解させ反応溶液を調製した。調製した反応溶液に事前に調整したKF水溶液を滴下し、反応溶液中で十分反応させることによりKSiF:Mnを合成した。合成したKSiF:Mnを吸引ろ過して、蛍光体粉末とした(比較例1)。合成した前記蛍光体の組成分析を行ったところ、K2.03(Si0.98,Mn0.02)Fであった。また、合成した蛍光体に脱水処理を、フッ素を含まない雰囲気、又はフッ素含有雰囲気中で保持温度550℃,保持時間1時間の条件で施して蛍光体を得た(比較例2、実施例1)。
実施例1、比較例1及び2による蛍光体のIRスペクトル測定を行った。それぞれの相対強度IOH、相対強度IMn、発光強度維持率、及び内部量子効率は、表1に示す通りであった。また、実施例1のIRスペクトルは図7〜10に示すとおりであった。図7及び9は、実施例1による蛍光体単独のIRスペクトル(非希釈)であり、図8及び10は希釈剤による希釈を行った場合のIRスペクトル(希釈)である。
なお、IRスペクトル測定には、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−6100(商品名、日本電子株式会社製)を用いた。この装置によるIOHの検出限界は0.001であり、検出限界以下の場合には、表1には0.001と記載した。
実施例1、比較例1及び2の蛍光体を樹脂と共に混合し、GaN系のLED発光素子上に封止し、発光装置とした。それぞれの発光装置について、それぞれLEDに電流を注入し、発光装置を連続点灯させ、発光強度の挙動を観測した。500時間後及び1000時間後の発光強度維持率は、表1に示す通りであった。この結果より、実施形態にかかる蛍光体では発光装置使用時の発光強度低下が抑制されていることが理解できる。
Figure 2018024870
これらの結果より、IOHが高い場合には、内部量子効率は高いものの、発光強度維持率が著しく劣り、実用性が無いのに対して、IOHが0.01以下であり、かつIMnが6.7以上である場合には、内部量子効率が実用上十分に高く、同時に発光強度維持率も高いことがわかる。
[実施例2]
比較例1による蛍光体をBNるつぼに入れ、フッ化アンモニウムからなるフタ材で封をし、保持温度550℃、保持時間1時間の条件で脱水処理を施して蛍光体複合体を得た。この蛍光体を実施例1と同様にして評価すると、内部量子効率および発光強度維持率は同等以上となる。この改良効果は、蛍光体表面にKBF層が形成されたことによると考えられる。
蛍光体表面にKBF層が形成されていることを確認するために、フッ化アンモニウムの量を増やし、さらに脱水処理の時間を延長して蛍光体(実施例2A)を製造した。得られた蛍光体をX線回折により評価したところ、図11のXRDプロファイルに示すように、黒丸で表されるKBFにアサインされる代表的なピーク(PDF#01−071−1185−KBF4)が確認された。KBFにアサインされるピークは比較例1の蛍光体には確認されなかった。
なお、このときのX線回折の測定は、例えばSmartLab(商品名、Rigaku社製)等により行うことができる。測定条件は、測定対象とする蛍光体の種類や粒子形状などによって変動し得るが、例えば以下の条件で測定することができる。
・X線源 CuKα
・測定電圧・電流 45kV、200mA
・ステップ幅0.01°
・測定スピード20°/min.
得られた粉末X線回折強度データベースによって、XRDプロファイルにおけるピークが、どのような組成にアサインされるかを判断できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100及び101…リード、102…ステム、103…半導体発光素子、104…反射面、105…蛍光体層、200及び200’…リード、201…半導体発光素子、202…マウント材、203…ボンディングワイヤ、204…プレディップ材、205…キャスティング材

Claims (13)

  1. 下記一般式(1):
    (K1−p/k,Mp/k(Si1−x−y,Ti,Mn)F (1)
    (ここで、
    Mは、Na及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、
    kは、Mの価数を示す数で、1又は2であり、
    1.5≦a≦2.5、
    5.0≦b≦6.5、
    0≦p/k≦0.1、
    0≦x≦0.3、及び
    0<y≦0.2
    である)
    で表される蛍光体であって、
    赤外吸収スペクトルにおける、1200〜1240cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、3570〜3610cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、635〜655cm−1の範囲に存在する最大ピークの強度をI、前記蛍光体に含まれるMnの重量百分率をCMnとするとき、
    0≦I/I≦0.01、及び
    6.7≦(I/I)/CMn
    を満たす蛍光体。
  2. 前記I/Iが0≦I/I≦0.005を満たす、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記一般式(1)において、p/k=0かつx=0である、請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 前記蛍光体の内部量子効率η’が80%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体。
  5. 前記蛍光体の粒子表面にKBF層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体。
  6. 440nm以上470nm以下の波長領域にピークを有する光を放射する発光素子と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光体を含む蛍光体層とを具備する発光装置。
  7. 前記蛍光体層が、520nm以上570nm以下の波長領域に発光ピークを有する蛍光体をさらに含む、請求項6に記載の装置。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法であって、以下の工程:
    (A)一般式(1)で表される基本蛍光体を合成する工程、及び
    (B)前記工程(A)で合成された基本蛍光体を200℃以上800℃以下の温度で脱水処理をする工程
    を含んでなる方法。
  9. 前記工程(A)が、
    (i)Si含有原料、Ti含有原料を過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムと組み合わせ、フッ酸水溶液中で反応させて基本蛍光体を合成する工程、又は
    (ii)ヘキサフルオロケイ酸と、ヘキサフルオロマンガン酸カリウム又はヘキサフルオロマンガン酸ナトリウムとの混合物を溶解させたフッ酸水溶液中に、カリウム含有原料、ナトリウム含有原料を添加し、反応させる共沈方法又は貧溶媒析出法により、基本蛍光体を合成する工程
    のいずれかである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記工程(B)が0.0003気圧以上8気圧以下で行われる、請求項8又は9に記載の蛍光体の製造方法。
  11. 前記工程(B)が、フッ素含有不活性ガス雰囲気中で行われる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
  12. 前記工程(B)において、フッ素含有不活性ガス雰囲気が、大気圧における沸点もしくは昇華点が50℃以上800℃以下であるようなフッ素化合物を含む雰囲気である、請求項11に記載の蛍光体の製造方法。
  13. 前記フッ素含有不活性ガス雰囲気が、さらにホウ素を含有する、請求項11又は12に記載の蛍光体の製造方法。
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