JPWO2020040306A1 - イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体およびそれを備える発光装置 - Google Patents

イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体およびそれを備える発光装置 Download PDF

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Abstract

赤味成分を増加可能な蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を提供する。イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、以下の式(1)によって表され、波長450nmの励起光で励起した場合、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光する。このイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、錯体重合法によって作製された。Y3−mAl5O12:Cem(0.21≦m≦0.94)・・・(1)

Description

この発明は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体およびそれを備える発光装置に関する。
白色LED(Light Emitting Diode)は、青色LEDによって励起される黄色蛍光体との組み合わせで白色を実現しているものが価格などの点で広く利用されている。黄色蛍光体として普及しているYAG:Ce(Y3−xAl12:Ce)は、青色光を効率的に吸収して高い発光効率を有し、高温高湿度下でも化学的に安定である。
そして、特許文献1に記載の発光装置においては、YAG:Ce多結晶蛍光体セラミック板が黄色系の光を発光する蛍光体として用いられている。
特開2010−024278号公報 特開2011−032416号公報
D. Haranath et al., "Enhanced luminescence of Y3Al5O12:Ce3+ nanophosphor for white light-emitting diodes", Applied Physics Letters, 89, 173118, (2006) D. Jia et al., "Synthesis and Characterization of YAG:Ce3+ LED Nanophosphors", Journal of The Electrochemical Society, 154, J1-J4, (2007) V. Bachmann et al., "Temperature Quenching of yellow Ce3+ Luminescence in YAG:Ce", Chemistry of Materials, 21, 2077-2084, (2009) B. Wan et al., "Structural, luminescent properties and chemical state analysis of YAG:Ce nanoparticle-based films", Optical Materials Express, 6, 155-165, (2016) Y. Pan et al., "Tailored photoluminescence of YAG:Ce phosphor through various methods", Journal of Physics and Chemistry of Solids, 65, 845-850, (2004) X. He et al., "Effects of local structure of Ce3+ ions on luminescent properties of Y3Al5O12:Ce nanoparticles", Scientific Reports, 6, 22238, (2016) R. D. Shannon, "Revised effective ionic radii and systematic studies of interatomic distances in halides and chalcogenides", Acta Crystallographica, A32, 751-767, (1976)
しかし、青色光と黄色光とを組み合わせて作製する白色光は、赤味成分が少なく、演色性が悪いという問題があった。
そこで、この発明の実施の形態によれば、赤味成分を増加可能な蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を提供する。
また、この発明の実施の形態によれば、赤味成分を増加可能な蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を備える発光装置を提供する。
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、以下の式(1)によって表され、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体である。
3−mAl12:Ce(0.21≦m≦0.94)・・・(1)
(構成2)
構成1において、発光ピーク波長をλ[nm]としたとき、mおよびλは、下記の式(5),(6)を満たす。
74.571m+563.55(0.21≦m<0.50)≦λ≦74.571m+566.55(0.21≦m<0.50)・・・(5)
600.0(0.50≦m≦0.94)≦λ≦108.02m−266.77m+227.98m+547.07(0.50≦m≦0.94)・・・(6)
(構成3)
構成1または構成2において、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶相からなる。
(構成4)
また、この発明の実施の形態によれば、発光装置は、構成1〜構成3のいずれかのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を少なくとも1つ備える。
上述した構成によれば、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の赤味成分を増加できる。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の製造方法を示す工程図である。 この発明の実施の形態による発光装置の概略図である。 実施例1,3,4,6,8〜11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を製造するときの前駆体のX線回折スペクトルを示す図である。 実施例3における錯体重合ゲルを200℃、350℃の温度で熱処理したときのX線回折スペクトルを示す図である。 前駆体を生成するときの熱処理温度を変えたときのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例1,9〜12および比較例1,9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−9〜10−12および10−Comp1,10−Comp9のX線回折スペクトルを示す図である。 実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルを示す図である。 比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例1,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8のTEM分析の結果を示す図である。 実施例1,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8のEDX分析を行った部位を示す図である。 実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1のEDX分析の結果を示す図である。 実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8のEDX分析の結果を示す図である。 発光ピーク波長とm値との関係を示す図である。 色度図におけるx値とy値との関係を示す図である。
この発明の実施の形態によるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、セリウムを含み、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体である。そして、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、次式によって表される。
3−mAl12:Ce(0.21≦m≦0.94)・・・(1)
式(1)において、mは、セリウム(Ce)の含有量を表す。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相以外の結晶相を含んでいても良いが、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶相からなるのが好ましい。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10において、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量Ce/Yは、7.5mol%以上46mol%以下(Ceの含有量mが0.21以上0.94以下)であり、好ましくは、9.9mol%以上46mol%以下(Ceの含有量mが0.27以上0.94以下)であり、より好ましくは、7.5mol%以上27mol%以下(Ceの含有量mが0.21以上0.63以下)であり、更に好ましくは、9.9mol%以上27mol%以下(Ceの含有量mが0.27以上0.63以下)である。
Ce/Yが7.5mol%以上46mol%以下(Ceの含有量mが0.21以上0.94以下)であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光することができる。Ce/Yが9.9mol%以上46mol%以下(Ceの含有量mが0.27以上0.94以下)であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、色度のx値が0.5100よりも大きい蛍光を発光することができる。Ce/Yが7.5mol%以上27mol%以下(Ceの含有量mが0.21以上0.63以下)であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶のみからなる。Ce/Yが9.9mol%以上27mol%以下(Ceの含有量mが0.27以上0.63以下)であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶のみからなり、かつ、色度のx値が0.5100よりも大きい蛍光を発光することができる。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、例えば、30nm〜40nmの粒径を有する。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、イットリウム(Y)に対して7.5mol%以上46mol%以下(Ceの含有量mが0.21以上0.94以下)のCeを含むので、例えば、波長450nmの励起光を吸収して579nmよりも長い発光ピーク波長を有する蛍光(橙色の蛍光)を発光する。従って、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10を用いて発光する白色光における赤味成分を増加できる。その結果、白色光の演色性を向上できる。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10の製造方法について説明する。図1は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10の製造方法を示す工程図である。図1を参照して、硝酸イットリウム、硝酸アルミニウム、硝酸セリウム、カルボン酸およびアルコールを水に加えて混合溶液を生成する(工程S1)。
そして、混合溶液を加熱濃縮して錯体重合ゲルを作製する(工程S2)。この工程においては、混合溶液を加熱することにより、カルボン酸とアルコールとの脱水反応によってエステル反応が進行し、濃縮された錯体重合ゲルが形成される。
工程S2の後、錯体重合ゲルを熱分解して前駆体を生成する(工程S3)。この熱分解によって、イットリウム、アルミニウムおよびセリウムが均一に分散された前駆体が形成される。そして、工程S3の後、前駆体を還元雰囲気下で焼成することによってイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10を製造する(工程S4)。
このように、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、錯体重合法によって製造される。この発明の実施の形態における製造方法は、錯体重合ゲルを熱分解して非晶質相を有する前駆体を生成し、その生成した前駆体を還元雰囲気下で焼成することを特徴とする。この場合、前駆体を生成するときの温度は、450℃以上1080℃以下であり、好ましくは、450℃以上850℃未満である。
なお、工程S3においては、好ましくは、非晶質相を維持して錯体重合ゲルを熱分解して前駆体を生成する。即ち、工程S3においては、結晶相が生成されないように非晶質相が維持される温度範囲で前駆体を熱分解することが好ましい。非晶質相を維持して錯体重合ゲルを熱分解することによって、イットリウムアルミニウムガーネット結晶におけるセリウム(Ce)の含有量を増加させることができる。
また、工程S3においては、温度を複数段に上昇させながら錯体重合ゲルを熱分解して前駆体を生成してもよく、非晶質相を維持して、温度を複数段に上昇させながら錯体重合ゲルを熱分解して前駆体を生成してもよい。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10の製造に用いるカルボン酸は、例えば、クエン酸、酢酸およびリンゴ酸のいずれかである。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10の製造に用いるアルコールは、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールのいずれかである。
イットリウムの原料としては、例えば、硝酸イットリウム、酸化イットリウム、塩化イットリウムおよび酢酸イットリウムのいずれかである。また、アルミニウムの原料としては、例えば、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウムおよび酢酸アルミニウムのいずれかである。更に、セリウムの原料としては、例えば、硝酸セリウム、酸化セリウム、塩化セリウムおよび酢酸セリウムのいずれかである。
図2は、この発明の実施の形態による発光装置の概略図である。図2を参照して、この発明の実施の形態による発光装置20は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10と、フレーム21と、電極22,23と、半導体発光素子24と、ボンディングワイヤ25と、樹脂26とを備える。フレーム21は、凹部21Aを有する。
電極22,23は、上面がフレーム21の凹部21Aの底面21Bに一致するように配置される。半導体発光素子24は、電極22に接して配置され、電極22に電気的に接続される。そして、半導体発光素子24は、ボンディングワイヤ25によって電極23に電気的に接続される。
樹脂26は、透明性を有し、フレーム21の凹部21A内に充填される。イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、樹脂26中に分散されている。
半導体発光素子24は、青色LEDからなり、400nm〜500nmの波長を有する青色光を発光する。イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、半導体発光素子24からの光を励起光として吸収し、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光する。その結果、発光装置20は、半導体発光素子24から発光された青色光と、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10から発光された橙色の蛍光とが重畳されることによって白色光を発光する。なお、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10は、発光ピーク波長が異なる複数のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体からなっていてもよく、一般的には、少なくとも1つの発光ピーク波長を有する少なくとも1つの蛍光を発光する少なくとも1つのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体からなっていればよい。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10が橙色の蛍光を発光するので、発光装置20は、従来の黄色の蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を備える場合よりも演色性が高い白色光を発光できる。
以下、実施例を用いて、この発明の実施の形態によるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を具体的に説明する。
なお、実施例1〜11におけるイットリウムに対するセリウムの含有量(Ce/Y)(mol%)およびmは、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11に実際に含まれるCe/Yおよびmを表し、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析によって求められた蛍光体中のCe量およびY量から算出されたものである。ICP分析は、島津製作所製のICPS-8100を用いて行われた。
また、実施例12〜14および比較例1〜13におけるCe/Y(mol%)およびmは、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14およびイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13を製造するときの原料に含まれるCe/Yおよびmを表す。
(実施例1)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g秤量し、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.05g秤量し、富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.196g秤量し、キシダ化学のcat NO.000−17275のクエン酸・1水和物(C(OH)(COOH)・HO)を1.5g秤量した。
そして、秤量した2.30gの硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)と、4.05gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)と、0.196gの硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)と、1.5gのクエン酸・1水和物(C(OH)(COOH)・HO)とを15mlの水および5mlのエチレングリコールに加え、超音波によって溶解させた。
そして、得られた混合溶液を90℃のオイルバス内に20時間静置して加熱濃縮を行った。この加熱濃縮によって錯体重合ゲルが得られる。
その後、加熱濃縮によって得られた錯体重合ゲルを熱分解して前駆体を生成した。より具体的には、錯体重合ゲルを大気中で650℃の温度で3時間熱処理し、続けて、大気中で750℃の温度で3時間熱処理して前駆体を生成した。
引き続いて、前駆体を乳鉢で粉砕して粉体を得た後、3.0%の水素(H)ガスを含むアルゴン(Ar)ガス雰囲気下で粉体を1080℃で6時間焼成して実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1を製造した。この場合の昇温速度は、20℃/minであり、ガスの流速は、4cc/minであった。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1は、Y2.79Al12:Ce0.21の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、7.5mol%である。
(実施例2)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.13g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.257g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−2を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−2は、Y2.73Al12:Ce0.27の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、9.9mol%である。
(実施例3)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.20g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.322g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−3を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−3は、Y2.67Al12:Ce0.33の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、12mol%である。
(実施例4)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.31g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.39g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−4を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−4は、Y2.60Al12:Ce0.40の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、15mol%である。
(実施例5)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.43g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.46g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−5を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−5は、Y2.55Al12:Ce0.45の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、18mol%である。
(実施例6)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.50g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.534g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−6を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−6は、Y2.48Al12:Ce0.52の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、21mol%である。
(実施例7)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.61g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.610g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−7を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−7は、Y2.42Al12:Ce0.58の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、24mol%である。
(実施例8)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.76g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.690g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8は、Y2.37Al12:Ce0.63の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、27mol%である。
(実施例9)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を4.99g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.868g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9は、Y2.25Al12:Ce0.75の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、33mol%である。
(実施例10)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を5.29g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を1.064g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例10におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−10を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−10は、Y2.12Al12:Ce0.88の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、42mol%である。
(実施例11)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を5.44g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を1.172g用いた以外は、実施例1と同様にして実施例10におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−11を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−11は、Y2.06Al12:Ce0.94の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、46mol%である。
(実施例12)
実施例3において、前駆体を生成する条件を650℃、3時間および750℃、3時間から1080℃、3時間に変えた以外は、実施例3と同様にして実施例12におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12は、Y2.67Al12:Ce0.33の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、12mol%である。
(実施例13)
実施例4において、前駆体を生成する条件を650℃、3時間および750℃、3時間から1080℃、3時間に変えた以外は、実施例4と同様にして実施例13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−13を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−13は、Y2.61Al12:Ce0.39の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、15mol%である。
(実施例14)
実施例5において、前駆体を生成する条件を650℃、3時間および750℃、3時間から1080℃、3時間に変えた以外は、実施例5と同様にして実施例14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−14を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−14は、Y2.55Al12:Ce0.45の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、18mol%である。
(比較例1)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を3.77g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.0157g用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1は、Y2.982Al12:Ce0.018の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、0.60mol%である。
(比較例2)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を3.79g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.0263g用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp2を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp2は、Y2.97Al12:Ce0.03の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、1.0mol%である。
(比較例3)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を3.83g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.0530g用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp3を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp3は、Y2.94Al12:Ce0.06の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、2.0mol%である。
(比較例4)
キシダ化学のcat NO.630−87125の硝酸イットリウム・6水和物(Y(NO・6HO)を2.30g、富士フィルム和光純薬のcat NO.018−01945の硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO・9HO)を3.90g、および富士フィルム和光純薬のcat NO.035−09735の硝酸セリウム・6水和物(Ce(NO・6HO)を0.109g用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4は、Y2.88Al12:Ce0.12の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、4.2mol%である。
(比較例5)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、比較例1と同様にして比較例5におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5は、Y2.982Al12:Ce0.018の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、0.60mol%である。
(比較例6)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、比較例2と同様にして比較例6におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp6を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp6は、Y2.97Al12:Ce0.03の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、1.0mol%である。
(比較例7)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、比較例3と同様にして比較例7におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp7を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp7は、Y2.94Al12:Ce0.06の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、2.0mol%である。
(比較例8)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、比較例4と同様にして比較例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp8を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp8は、Y2.88Al12:Ce0.12の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、4.2mol%である。
(比較例9)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、実施例1と同様にして比較例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp9を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp9は、Y2.79Al12:Ce0.21の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、7.5mol%である。
(比較例10)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、実施例2と同様にして比較例10におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp10を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp10は、Y2.73Al12:Ce0.27の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、9.9mol%である。
(比較例11)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、実施例3と同様にして比較例11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp11を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp11は、Y2.67Al12:Ce0.33の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、12mol%である。
(比較例12)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、実施例4と同様にして比較例12におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp12を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp12は、Y2.61Al12:Ce0.39の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、15mol%である。
(比較例13)
前駆体を生成する工程を用いずに製造した以外は、実施例5と同様にして比較例13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp13を製造した。
イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp13は、Y2.55Al12:Ce0.45の組成式によって表され、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yは、18mol%である。
[評価]
実施例1,3,4,6,8〜11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体について、製造工程S2の650℃、3時間および750℃、3時間の熱分解工程によって生成された前駆体のX線回折(X-ray diffraction)を測定した。
また、実施例1〜11および比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体についてX線回折を測定した。
X線回折の測定は、Cu管球(特性X線:Kα1=1.5406Å、Kα2=1.5444Å)を装備したリガク社製のX-ray Diffractometer Ultima IV、及び同管球を装備し、受光側にグラファイトモノクロメータを有するパナリティカル社製のX-ray Diffractometer X’Pert Pro MPDを用いて行った。
図3は、実施例1,3,4,6,8〜11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を製造するときの前駆体のX線回折スペクトルを示す図である。図3において、スペクトルSP1〜SP8は、それぞれ、実施例1,3,4,6,8〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−4,10−6,10−8〜10−11を製造するときの前駆体のX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP9は、比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4を製造するときの前駆体のX線回折スペクトルを示す。
図3を参照して、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−4,10−6,10−8〜10−11およびイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4を製造するときの前駆体は、非晶質相あるいは大部分が非晶質相からなっていることが分かった。従って、錯体重合ゲルを熱分解しても、非晶質状態あるいは大部分が非晶質状態を維持していることが明らかになった。このように、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)のモル比Ce/Yを7.5mol%〜46mol%の範囲で増加させても、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−4,10−6,10−8〜10−11を製造するときの前駆体が非晶質相あるいは大部分が非晶質相から成っていることが確認された。
なお、実施例3におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を製造するときの前駆体の熱分解温度を変えて実験を行った結果、熱処理温度が450℃以上850℃未満であるとき、前駆体は、非晶質相あるいは大部分が非晶質相から成ることがX線回折スペクトルから分かった。
前駆体を生成するための熱分解温度の下限値を調べるために、実施例3における錯体重合ゲルを大気中で200℃、350℃の温度で3時間熱処理して前駆体を生成した。
図4は、実施例3における錯体重合ゲルを200℃、350℃の温度で熱処理したときのX線回折スペクトルを示す図である。図4において、スペクトルSP10は、実施例3における錯体重合ゲルを350℃の温度で熱処理したときのX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP11は、実施例3における錯体重合ゲルを200℃の温度で熱処理したときのX線回折スペクトルを示す。
図4を参照して、実施例3における錯体重合ゲルを200℃、350℃の温度で熱処理して生成された前駆体は、非晶質状態を維持していることが分かった(スペクトルSP10,S11参照)。しかし、実施例3における錯体重合ゲルを200℃の温度で熱処理した場合、生成された前駆体は、黒っぽい色を有し、炭素を含んでいる可能性があった。
図5は、前駆体を生成するときの熱処理温度を変えたときのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルを示す図である。図5において、スペクトルSP12〜SP16は、それぞれ、前駆体を生成するときの熱処理温度が900℃、850℃、800℃、450℃および350℃であるときのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルを示す。なお、前駆体を生成するときの熱処理温度が200℃である場合については、前駆体が炭素を含んでいる可能性があったため、前駆体を焼成しなかった。そのため、図5においては、前駆体を生成するときの熱処理温度が200℃であるときのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルは、示されていない。また、蛍光スペクトルSP12〜SP16を測定するときの励起波長は、450nmである。
図5を参照して、前駆体を生成するときの熱処理温度が350℃であるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルSP16は、前駆体を生成するときの熱処理温度が900℃、850℃、800℃および450℃であるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルSP12〜SP15よりも強度が非常に低い。
従って、前駆体を生成するときの熱処理温度が900℃、850℃、800℃および450℃であるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の蛍光スペクトルSP12〜SP15と同等程度の強度を有する蛍光スペクトルが得られるための前駆体を生成するときの熱処理温度の下限値を決定する観点からは、前駆体を生成するときの熱処理温度の下限値は、350℃と450℃との間に存在する可能性があることが分かった。そして、前駆体を生成するときの実験的に得られている熱処理温度の下限値は、450℃である。よって、図1の工程S3において、錯体重合ゲルを熱分解するときの熱処理温度として、450℃以上850℃未満の温度が好ましい。
図6は、実施例1,9〜12および比較例1,9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−9〜10−12および10−Comp1,10−Comp9のX線回折スペクトルを示す図である。
図6において、スペクトルSP17は、実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP18〜SP20は、それぞれ、実施例9〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP21は、実施例12におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP22は、比較例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルを示し、スペクトルSP23は、比較例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルを示す。
なお、実施例2〜8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルSP17と同様のX線回折スペクトルを示した。また、実施例13,14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、実施例12におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルSP21と同様のX線回折スペクトルを示した。更に、比較例2〜8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、比較例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルSP22と同様のX線回折スペクトルを示した。更に、比較例10〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、比較例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体のX線回折スペクトルSP23と同様のX線回折スペクトルを示した。
また、図6におけるスペクトルSP_STD_YAGは、無機結晶構造データベース(ICSD)に登録されているセリウムを含まないイットリウムアルミニウムガーネット結晶の標準品STDのX線回折スペクトルを示し(ICSD67103)、スペクトルSP_STD_CeOは、ICSDに登録されているCeOの標準品STDのX線スペクトルを示し(ICSD88759)、スペクトルSP_STD_CeAlOは、ICSDに登録されているCeAlOの標準品STDのX線スペクトルを示す(ICSD245563)。
図6を参照して、実施例1〜8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−8は、標準品STDのイットリウムアルミニウムガーネット結晶と同様なスペクトルを有し、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相に起因するピークのみを有する(SP17,SP_STD参照)。
一方、実施例9〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9〜10−11は、標準品STDのイットリウムアルミニウムガーネット結晶と同様なスペクトルを有するとともに、CeAlOの結晶相に起因するピーク(矢印参照)を有する(SP18〜SP20,SP_STD参照)。
また、実施例12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14は、標準品STDのイットリウムアルミニウムガーネット結晶と同様なスペクトルを有するとともに、CeAlOの結晶相に起因するピーク(矢印参照)を有する(SP21,SP_STD参照)。
更に、比較例1〜8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1,10−Comp8は、標準品STDのイットリウムアルミニウムガーネット結晶と同様なスペクトルを有し、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相に起因するピークのみを有する(SP22,SP_STD参照)。
更に、比較例9〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp9〜10−Comp13は、標準品STDのイットリウムアルミニウムガーネット結晶と同様なスペクトルを有するとともに、CeOの結晶相に起因するピーク(矢印参照)を有する(SP23,SP_STD参照)。
従って、実施例1〜8および比較例1〜8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−8,10−Comp1〜10−Comp8は、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相と同様な結晶構造を有する単相であることが分かった。一方、実施例9〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9〜10−14は、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相とCeAlO結晶相との混合物であることが分かった。更に、比較例9〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Copm9〜10−Comp13は、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相とCeO結晶相との混合物であることが分かった。
実施例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9は、熱分解工程における温度が650℃および750℃であり、1080℃よりも低く、イットリウム(Y)に対して33mol%のセリウム(Ce)を含む。このことから、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が33mol%未満であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相のみからなるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体が得られ、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が33mol%以上になると、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相とCeAlO結晶相との混合物からなるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体が得られることが分かった。
比較例9におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp9は、イットリウム(Y)に対して7.5mol%のセリウム(Ce)を含み、前駆体を生成する工程を用いずに製造している。このことから、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が7.5mol%未満であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相のみからなるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体が得られ、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が7.5mol%以上になると、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相とCeO2結晶相との混合物であるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体が得られることが分かった。
また、実施例12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14は、熱分解工程における温度が1080℃であり、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が33mol%未満(Ce/Y=12mol%、15mol%および18mol%)であっても、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相とCeAlO結晶相との混合物であることが分かった。
従って、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相のみからなるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を製造するには、熱分解工程における温度を1080℃よりも低くすることが重要であることが分かった。
実施例1〜14および比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体について、発光蛍光スペクトルおよび発光蛍光スペクトルにおける発光ピーク波長を測定した。蛍光スペクトルの測定は、日立ハイテクサイエンス社製のFluorescence spectrophotometer F-7100を用いて行われた。また、発光ピーク波長の測定は、波長450nmの光を励起光として用いたときのイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体から発光された蛍光スペクトルを測定し、その測定した蛍光スペクトルにおける発光ピーク波長を検出することによって行った。
実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11のX線回折スペクトルを詳細に調べた結果、次のことが分かった。
実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11のX線回折スペクトルにおいては、イットリウムアルミニウムガーネット結晶の標準品STDに対応するピークは、イットリウム(Y)に対するセリウム(Ce)の含有量が増加するに従って低角側へシフトする。
回折角(2θ)がイットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yの増加に対して低角側へシフトするのは、Ce3+のイオン半径(=1.143Å)がY3+のイオン半径(=1.019Å)よりも大きく、Ce3+のY3+サイト(空間群Ia−3d(No.230),24cサイト)への置換固溶が起こっているためであると考えられる(非特許文献7)。
図7は、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルを示す図である。
図7において、横軸は、波長を表し、縦軸は、強度を表す。また、蛍光スペクトルFL1〜FL11は、それぞれ、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルを示し、スペクトルSP_EX1〜SP_EX11は、それぞれ、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルを測定するときの励起光のスペクトルを示す。なお、励起光のスペクトルにおけるピーク波長λexは、450nmである。
図7を参照して、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルは、イットリウムに対するセリウムの含有量Ce/Yの増加に伴って、ピーク波長が長波長側へシフトし、ピーク強度が減少することが分かった(FL1〜FL11参照)。
そして、図7に示す蛍光スペクトルFL1〜FL11に基づいてイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の蛍光スペクトルのピーク波長を測定した結果、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長は、それぞれ、580.2(nm),585.8(nm),588.2(nm),594.6(nm),598.6(nm),603.2(nm),603.4(nm),606.2(nm),605.8(nm),609.8(nm),610.4(nm)であった。
同様に、実施例12〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14の蛍光スペクトルのピーク波長を測定した結果、実施例12〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14の蛍光スペクトルのピーク波長は、それぞれ、580.2(nm)、580.6(nm)、580.2(nm)であった。
また、同様に、比較例1〜13のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13の蛍光スペクトルのピーク波長を測定した結果、比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13の発光ピーク波長は、それぞれ、538.4(nm),541.6(nm),554.0(nm),564.8(nm),538.4(nm),538.2(nm),541.4(nm),544.6(nm),549.4(nm),549.2(nm),547.8(nm),544.6(nm),544.4(nm)であった。
従って、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14は、比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13の発光ピーク波長(538.2nm〜564.8nm)よりも長く、579nmよりも長い発光ピーク波長を有することが分かった。
図8は、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルを示す図である。
図8において、横軸は、波長を表し、縦軸は、強度を表す。また、蛍光スペクトルFL_C1〜FL_C4は、それぞれ、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルを示し、スペクトルSP_EX_C1〜SP_EX_C4は、それぞれ、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルを測定するときの励起光のスペクトルを示す。なお、励起光のスペクトルにおけるピーク波長λexは、450nmである。
図8を参照して、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルは、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14の蛍光スペクトルと同じような形状を有する(FL_C1〜FL_C4参照)。
そして、図8に示す蛍光スペクトルFL_C1〜FL_C4に基づいてイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルのピーク波長を測定した結果、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Compの発光ピーク波長は、それぞれ、538.4(nm),541.6(nm),554.0(nm),564.8(nm)であった。
なお、比較例5〜13のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13の蛍光スペクトルは、図8に示す比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の蛍光スペクトルFL_C1〜FL_C4と同じ形状であった。
実施例1および実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8のTEM分析(Transmission Electron Microscope)およびEDX分析(Energy dispersive X-ray spectrometry)を行った。
TEM分析およびEDX分析は、FEI社製のTecnai G2 F20を用いて行われた。
図9は、実施例1,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8のTEM分析の結果を示す図である。図9の(a),(b)は、実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1のTEM分析の結果を示し、図9の(c),(d)は、実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8のTEM分析の結果を示す。図9においては、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8における同一領域について倍率を変えてTEM分析を行った結果を示す。なお、図9の(a),(c)において、スケールバーは、20nmを示し、図9の(b),(d)において、スケールバーは、5nmを示す。
図9を参照して、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8の粒子径は、30〜40nmであり、粒子径の均一性が良いことが分かった。また、図9の(b)および図9の(d)に示すように、格子縞が観測されており、非晶質相が極めて少ないので、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8は、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶からなることが分かった。このことから、TEM分析の結果は、上述したX線回折の分析結果と良い一致を示すものである。
図10は、実施例1,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8のEDX分析を行った部位を示す図である。図10の(a)は、実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1のEDX分析を行った部位を示し、図10の(b)は、実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8のEDX分析を行った部位を示す。図10に示すポイント1およびポイント2についてEDX分析を行った。
図11は、実施例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1のEDX分析の結果を示す図である。図11の(a)は、図10の(a)に示すポイント1におけるEDX分析の結果を示し、図11の(b)は、図10の(a)に示すポイント2におけるEDX分析の結果を示す。
図11を参照して、ポイント1,2におけるEDX分析の結果においては、同じ元素が検出されており、各元素のピーク強度もほぼ同じである。
図12は、実施例8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−8のEDX分析の結果を示す図である。図12の(a)は、図10の(b)に示すポイント1におけるEDX分析の結果を示し、図12の(b)は、図10の(b)に示すポイント2におけるEDX分析の結果を示す。
図12を参照して、ポイント1,2におけるEDX分析の結果においては、同じ元素が検出されており、各元素のピーク強度もほぼ同じである。
このように、実施例1,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−8は、ナノレベルでも組成ムラが極めて少ないことが分かった。
図13は、発光ピーク波長とm値との関係を示す図である。図13において、縦軸は、発光ピーク波長を表し、横軸は、Ceの含有量を示すm値を表す。なお、実施例1〜11におけるm値は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11に含まれるCeの含有量を表し、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析によって求められた蛍光体中のCe量およびY量から算出されたものである。ICP分析は、島津製作所製のICPS-8100を用いて行われた。また、実施例12〜14および比較例1〜13におけるm値は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14およびイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13を製造するときの原料におけるm値を表す。
また、●、◇および□は、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長とm値との関係を示し、〇は、実施例12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14の発光ピーク波長とm値との関係を示し、▲は、比較例1〜4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の発光ピーク波長とm値との関係を示し、△は、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13の発光ピーク波長とm値との関係を示す。なお、●、◇および□は、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11を同じ条件で3回作製したときの発光ピーク波長とm値との関係を示す。●は、1回目に作製したイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長とm値との関係を示し、◇は、2回目に作製したイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長とm値との関係を示し、□は、3回目に作製したイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長とm値との関係を示す。
図13を参照して、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長は、セリウムの含有量が増加するに伴って長くなる(●、◇および□参照)。
そして、発光ピーク波長をλ[nm]とした場合、●で示されるデータにおけるλのm値に対する回帰曲線RC1は、次式によって表される。
λ=68.72m−196.2m+185.99m+548.15(0.21≦m≦0.94)・・・(2)
また、◇で示されるデータにおけるλのm値に対する回帰曲線RC2は、次式によって表される。
λ=−5.3812m−60.992m+116.85m+558.46(0.21≦m≦0.94)・・・(3)
更に、□で示されるデータにおけるλのm値に対する回帰曲線RC3は、次式によって表される。
λ=−35.645m−5.7752m+89.055m+562.5(0.21≦m≦0.94)・・・(4)
式(2)におけるλとmとの相関係数は、0.982であり、式(3)におけるλとmとの相関係数は、0.997であり、式(4)におけるλとmとの相関係数は、0.994である。
実施例12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14の発光ピーク波長は、セリウムの含有量が増加するに伴って、殆ど変化しない(〇参照)。
実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14においては、m=0.21〜0.94のセリウムをイットリウムアルミニウムガーネット結晶に含めることができるので、発光ピーク波長は、579[nm]よりも長くなる。
また、熱分解工程の温度を1080℃よりも低く設定した実施例3〜5におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−3〜10−5の発光ピーク波長は、熱分解工程の温度を1080℃に設定した実施例12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14の発光ピーク波長よりも長波長側へシフトする。そして、発光ピーク波長が長波長側へシフトするシフト量は、セリウムの含有量mの増加に伴って大きくなる。従って、熱分解工程の温度を1080℃よりも低く設定することによって、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の発光ピーク波長を、より長波長側へシフトできることが分かった。
更に、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11の発光ピーク波長は、m値が0.21≦m<0.50の範囲において、直線k1と直線k2との間で分布し、m値が0.50≦m≦0.94の範囲において、曲線k3と曲線k4との間で分布する。直線k1は、λ=74.571m+563.55によって表され、直線k2は、λ=74.571m+566.55によって表され、直線k3は、λ==600.0によって表され、曲線k4は、108.02m−266.77m+227.98m+547.07によって表される。従って、0.21≦m<0.50の範囲において、ピーク波長λは、次式を満たす。
74.571m+563.55(0.21≦m<0.50)≦λ≦74.571m+566.55(0.21≦m<0.50)・・・(5)
また、0.50≦m≦0.94の範囲において、ピーク波長λは、次式を満たす。
600.0(0.50≦m≦0.94)≦λ≦108.02m−266.77m+227.98m+547.07(0.50≦m≦0.94)・・・(6)
比較例1〜4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4の発光ピーク波長は、セリウムの含有量の増加に伴って長くなるが(▲参照)、セリウムの含有量mが最大でも0.12と少ないので、発光ピーク波長は、564.8[nm]に留まる。
また、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13の発光ピーク波長は、m値の増加に伴って長くなり、m値が0.21のとき、最長の549.4[nm]になる。そして、発光ピーク波長は、m値が0.21から0.45へ増加するに伴って549.4[nm]よりも短くなる(△参照)。
これは、上述したように、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13が、熱分解によって前駆体を生成する工程を用いずに製造されたためであると考えられる。
実施例1〜11および比較例1〜4について、Ce/Y[mol%]と、m値と、発光ピーク波長と、5d1と4fとの準位間におけるストークシフトとを表1に示す。
Figure 2020040306
表1に示すように、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11におけるストークスシフトは、127〜163[nm]の範囲であり、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4におけるストークスシフトは、84〜111[nm]の範囲である。
このように、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11におけるストークスシフトは、比較例1〜4のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4におけるストークスシフトに比べ、10nmよりも大きい。
従って、実施例1〜11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11は、ストークスシフトが大きいために、579[nm]よりも長波長の発光ピーク波長を有することが分かった。よって、127〜163[nm]の範囲のストークスシフトを有するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、この発明の実施の形態によるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体である。
非特許文献1には、Ce/Y[mol%]が1.0〜9.9[mol%]([Y3-mAl5O12:Cem]のm=0.03〜0.27)のとき、532〜560[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。また、非特許文献2には、Ce/Y[mol%]が0.070〜5.3[mol%](m=0.0021〜0.15)のとき、527〜551[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。更に、非特許文献3には、Ce/Y[mol%]が0.033〜3.4[mol%](m=0.00099〜0.099)のとき、536〜558[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。更に、非特許文献4には、Ce/Y[mol%]が0.32[mol%](m=0.0096)のとき、575[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。更に、非特許文献5には、Ce/Y[mol%]が1.0〜18[mol%](m=0.03〜0.45)のとき、523〜568[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。更に、非特許文献6には、Ce/Y[mol%]が0.55〜5.8[mol%](m=0.017〜0.17)のとき、525[nm]の発光ピーク波長が得られることが記載されている。
このように、従来、公知のセリウム(Ce)を含むイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の発光ピーク波長は、579nm未満である。そして、非特許文献5においては、原料におけるCe/Yが12[mol%](m=0.36)および18[mol%](m=0.45)であっても、発光ピーク波長は、568[nm]である。
このように、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11は、従来のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体よりも多くのセリウムを含むことができ、従来のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の発光ピーク波長よりも長く、579[nm]よりも長い発光ピーク波長を有する。
そして、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11が579[nm]よりも長い発光ピーク波長を有するのは、非晶質相を維持して錯体重合ゲルを熱分解する工程を用いてイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11を製造したことにより、従来のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体よりも多くのセリウム(Ce)をイットリウムアルミニウムガーネット結晶に含めることが可能になったためであると考えられる。
特許文献2は、アルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素Aと、ガリウム、珪素、酸素、硫黄と、ルミネセンス特性を付与することができる希土類金属とを基材とする化合物においてAGa型結晶相とSiO結晶相とからなる複合粒子で構成される蛍光体を開示している。そして、特許文献2は、ルミネッセンス特性を付与する希土類金属としてユーロピウム(Eu)を開示している。
特許文献2は、このような蛍光体を製造する製造方法として、(1)金属錯体溶液の作製、(2)金属錯体重合ゲルの作製、(3)ゲルの熱処理工程、および(4)前駆体を硫化ならびに複合粒子化する工程を開示している。
特許文献2において、ゲルの熱処理工程は、金属錯体重合ゲルを250〜900℃で熱処理してゲルを熱分解して前駆体を合成する工程である。この熱処理工程によって、Euが均一に分散した前駆体が形成される。
しかし、特許文献2は、ゲルの熱処理工程において、非晶質状態を維持したままで金属錯体重合ゲルを熱処理することを開示も示唆もしていない。また、特許文献2においては、均一に分散されるのは、ルミネッセンス特性を付与するユーロピウム(Eu)のみである。
一方、本願においては、上述した工程S3によって生成された前駆体は、非晶質相を有することを明示している(図3参照)。また、本願においては、工程S3によって、アルミニウム、イットリウムおよびCeが均一に分散される。
そして、図13に示すように、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14の発光ピーク波長は、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13の発光ピーク波長よりも30.8[nm]以上、長くなっている。即ち、図3に示す熱分解工程(工程S3)を用いることによって、発光ピーク波長が30.8[nm]以上長くなるという当業者が予測できない顕著な効果を有する。
従って、特許文献2に記載のゲルの熱処理工程をイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の錯体重合法に適用して本願のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体の製造方法に想到することは困難である。
実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14および比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13の発光ピーク波長のCIExyz色空間におけるx値およびy値を測定した。色度は、大塚電子社製のQE-1100を用いて測定された。
その結果、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14のx値は、0.4974≦x≦0.5753であり、y値は、0.4220≦y≦0.4929であり、(x+y)値は、0.9893≦(x+y)≦0.9981であった。また、実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11のx値は、0.4974≦x≦0.5753であり、y値は、0.4220≦y≦0.4929であり、(x+y)値は、0.9903≦(x+y)≦0.9981であった。
一方、比較例1〜4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4のx値は、0.4158≦x≦0.4651であり、y値は、0.5158≦y≦0.5490であり、(x+y)値は、0.9648≦(x+y)≦0.9809であり、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13のx値は、0.4179≦x≦0.4320であり、y値は、0.5425≦y≦0.5519であり、(x+y)値は、0.9698≦(x+y)≦0.9745である。
このように、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14は、比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13よりも大きいx値を有する。
また、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14は、比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4よりも大きい(x+y)値を有する。そして、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14の(x+y)値は、0.9893≦(x+y)≦0.9981であるので、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14のz値(=1−(x+y))は、0.0019≦z≦0.0107と非常に小さい。
実施例1〜11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11は、0.4974≦x≦0.5753のx値および0.9903≦(x+y)値≦0.9981の(x+y)値を有するので、この発明の実施の形態によるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、好ましくは、0.4974≦x≦0.5753のx値および0.9903≦(x+y)値≦0.9981の(x+y)値を有する。
実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14および比較例1〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp13のCe/Y、m値、結晶構造、発光ピーク波長および色度値を表2に示す。
Figure 2020040306
なお、表2におけるx値およびy値は、大塚電子社製のQE-1100を用いて測定された。
表2に示すように、Ce/Yが7.5[mol%]〜27[mol%]である実施例1〜実施例8のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−8は、単相の結晶構造からなり、Ce/Yが33[mol%]〜46[mol%]である実施例9〜実施例11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−9〜10−11は、混合物であり、Ce/Yが12[mol%]〜18[mol%]である実施例12〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−12〜10−14は、混合物である。
そして、実施例1〜実施例14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14は、Ce/Yの増加に伴って発光ピーク波長が580.2nmから610.4nmまで長くなり、色度値のx値および(x+y)値が大きくなる。
x値は、色の赤味成分を示すものであり、x値が大きいことは、赤味成分が多いことを示す。実施例1〜実施例11のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−11は、0.4974≦x≦0.5753のx値を有するので、赤味成分が多い579nmよりも長い発光ピーク波長を有する。
そして、580nmの発光ピーク波長は、蛍光の色が橙色になる下限値であるので、7.5[mol%]のCe/Y(即ち、式(1)におけるm=0.21)は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14が橙色の蛍光を発光するための臨界的意義を有する。
一方、比較例1〜4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1〜10−Comp4は、0.4158≦x≦0.4651のx値を有し、比較例5〜13におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13は、0.4179≦x≦0.4320のx値を有するので、黄色の蛍光を発光する。
図14は、色度図におけるx値とy値との関係を示す図である。図14において、横軸は、x値を表し、縦軸は、y値を表す。また、白丸は、実施例1〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14におけるx値とy値との関係を示し、黒三角は、比較例5〜13イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13におけるx値とy値との関係を示す。
実施例1〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14におけるx値は、比較例5〜13のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13におけるx値に比べて飛躍的に大きくなることは、図14からも明らかである。
実施例1〜14のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14は、図1に示す熱分解工程(工程S3)を用いて製造されたものであり、比較例5〜13のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp5〜10−Comp13は、図1に示す熱分解工程(工程S3)を用いずに製造されたものである。従って、図1に示す熱分解工程(工程S3)を用いることによってx値が大きいイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14を製造することができる。
表2に示すように、Ce/Yが7.5[mol%]以上33[mol%]未満であるとき、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶からなるので、式(1)〜(4)におけるmは、好ましくは、0.21≦m<0.75である。
図13に示す直線k1は、λ=74.571m+563.55(0.21≦m<0.50)によって表されるので、m=0.21であるとき、λ=579.2[nm]である。従って、この発明の実施の形態におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体は、発光ピーク波長が579[nm]よりも長い蛍光を発光する。
上述した実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14を用いた発光装置20が発光する白色光の演色性を評価するために、国際照明委員会(CIE:Commission Internationale de l’Eclairage)で定められた14種類の演色評価数R〜R14のうちの特殊演色評価数Rを実施例1,5,8,11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−5,10−8,10−11,10−Comp4について算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2020040306
表3においては、市販品(Phosphor Technology社製、QMK58/N-C1)のYAG:Ce蛍光体P46について算出した特殊演色評価数Rを参考として示す。
市販品のYAG:Ce蛍光体P46が発光する蛍光(黄色)と、青色LEDが発光する蛍光とを混色させたときに白色(約6500K)になるようにYAG:Ce蛍光体P46の蛍光スペクトルと青色LEDの蛍光スペクトルとのスペクトル比を算出し、その算出したスペクトル比を用いて実施例1,5,8,11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−5,10−8,10−11,10−Comp4について特殊演色評価数Rを算出した。
表3に示すように、YAG:Ce蛍光体P46の特殊演色評価数Rは、マイナスの値であるが、実施例1,5,8,11および比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−5,10−8,10−11,10−Comp4の特殊演色評価数Rは、プラスの値である。そして、実施例1,5,8,11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−5,10−8,10−11は、比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4よりも特殊演色評価数Rが大きい。
実施例1,5,8,11におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−5,10−8,10−11のCe量(m)は、それぞれ、0.21,0.45,0.63,0.94であり、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14のCe量(m)の範囲をカバーしているので、実施例2〜4,6,7,9,10,12〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−2〜10−4,10−6,10−7,10−9,10−10,10−12〜10−14の特殊演色評価数Rも比較例4におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp4の特殊演色評価数Rよりも大きいと考えられる。従って、実施例1〜14におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1〜10−14を発光装置20に用いた場合、演色性の良い白色光を発光できることが分かった。
実施例1,3,6,8および比較例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−6,10−8,10−Comp1の格子定数をパナリティカル製X線回折装置で得られた回折データのリートベル解析によって求めた。リートベル解析には、RIETAN−FPを用いた。その結果を表4に示す。括弧内の数値は、標準偏差を表す。
Figure 2020040306
表4に示すように、実施例1,3,6,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−6,10−8は、比較例1におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−Comp1よりも大きい格子定数を有する。そして、実施例1,3,6,8におけるイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体10−1,10−3,10−6,10−8の格子定数は、Ce量(m)の増加に伴って大きくなることが分かった。
この発明は、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体およびそれを備える発光装置に適用される。

Claims (4)

  1. 以下の式(1)によって表され、発光ピーク波長が579nmよりも長い蛍光を発光するイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体。
    3−mAl12:Ce(0.21≦m≦0.94)・・・(1)
  2. 前記発光ピーク波長をλ[nm]としたとき、mおよびλは、下記の式(5),(6)を満たす、請求項1に記載のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体。
    74.571m+563.55(0.21≦m<0.50)≦λ≦74.571m+566.55(0.21≦m<0.50)・・・(5)
    600.0(0.50≦m≦0.94)≦λ≦108.02m−266.77m+227.98m+547.07(0.50≦m≦0.94)・・・(6)
  3. 単相のイットリウムアルミニウムガーネット結晶相からなる、請求項1または請求項2に記載のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を少なくとも1つ備える発光装置。

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