本発明に係る用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されており、この画像形成装置内で用紙を搬送する用紙搬送路に沿ってユニット化して設置されている。
上記した用紙搬送装置は、画像形成装置内で用紙を用紙搬送路に沿って搬送するときに、用紙搬送路に沿って設置した隣り合う用紙搬送装置間に跨って用紙ジャムが生じた場合、ジャム用紙の紙片を装置内に残すことなく、このジャム用紙を装置の外側に容易に取り出すことができるように構成されている。
ここで、本発明の実施例1,2に係る用紙搬送装置を説明する前に、この実施例1,2の用紙搬送装置を適用した画像形成装置の一例としてインクジェット印刷装置について、図1を用いて説明する。
図1は実施例1の用紙搬送装置70又は実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’もしくは実施例2の用紙搬送装置70’’を適用したインクジェット印刷装置1を示している。
図1に示す如く、インクジェット印刷装置1は、用紙P上にインクジェット方式により片面印刷又は両面印刷可能になっており、この装置全体を操作する操作パネル部10と、用紙Pを1枚ずつ給紙する給紙部20と、給紙部20よりも用紙搬送方向の下流側に回転可能に設置されたベルトプラテン部30と、ベルトプラテン部30と対向して複数色のインクIKを吐出する複数のライン型インクジェットヘッド41が設置された印刷部40と、印刷部40で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙する排紙部50と、装置全体を制御する制御部60とで構成されている。
また、インクジェット印刷装置1内で用紙Pを一定の速度で搬送する用紙搬送路は、給紙部20からベルトプラテン部30及び印刷部40に向かう給紙用搬送路KRと、ベルトプラテン部30及び印刷部40に沿った印刷用搬送路IRと、ベルトプラテン部30及び印刷部40から排紙部50に向かう排紙用搬送路HRと、給紙部20と排紙部50との間に設置され且つ用紙Pへの両面印刷を可能に搬送するために片面印刷済みの用紙Pをベルトプラテン部30の下方に沿わせて搬送した後に再び印刷用搬送路IRに向けて循環させる循環用搬送路JRとからなっている。
この際、上記した循環用搬送路JRは、片面印刷済みの用紙Pをベルトプラテン部30側の下方に向かって搬送させる第1縦搬送路JR1と、片面印刷済みの用紙Pをベルトプラテン部30の下方から用紙搬送方向の上流側に向かって略水平に搬送させる水平搬送路JR2と、片面印刷済みの用紙Pをスイッチバックしてこの用紙Pの先頭を先端部から後端部に変更するように搬送するスイッチバック搬送路JR3と、スイッチバックした片面印刷済みの用紙Pの表裏を反転させて上方に向けながら再びベルトプラテン部30及び印刷部40に搬送する第2縦搬送路JR4とがこの順に連接されている。
そして、実施例1の用紙搬送装置70又は実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’もしくは実施例2の用紙搬送装置70’’が、例えば、水平搬送路JR2に沿ってユニット化して設置されているが、各用紙搬送装置70,70’,70’’については後で詳述する。
また、用紙搬送路には、用紙Pを一定の速度で搬送する用紙搬送ローラ対Rが、用紙サイズが異なる複数種の用紙Pのうちで最小サイズの用紙を搬送できるように間隔を隔てて複数設置されている。この際、各用紙搬送ローラ対Rは、駆動源となるギアードモータMと連結されて回転する駆動ローラR1と、この駆動ローラR1に圧接して従動する従動ローラR2とで対をなしている。
また、用紙搬送路には、用紙Pの通過を検出する複数の用紙センサSが適宜な位置に設置されており、複数の用紙センサSは光反射型センサ又は光透過センサを用いて一定の速度で搬送される用紙Pがそれぞれのセンサ位置で予め設定した時間に到達しない場合に用紙ジャムが生じたことを制御部60を介して検出できるようになっている。
更に、排紙用搬送路HRと循環用搬送路JR中の第1縦搬送路JR1と間、及び、循環用搬送路JR中のスイッチバック搬送路JR3と第2縦搬送路JR4との間には、用紙Pの搬送方向を切り替えるためのフリッパFがそれぞれ回動自在に設置されている。
まず、上記した操作パネル部10は、筐体2の上面2aに設置されており、ここでの詳細な図示を省略するが、片面/両面印刷選択キー、スタートキー、ストップキー、テンキー、印刷枚数設定キー、アラーム表示部、液晶パネルなどが設けられている。
また、給紙台21上には、最小サイズ(例えば、葉書サイズ)から最大サイズ(例えば、A3サイズ)までの複数種の用紙Pのうちで1種類の用紙Pが積載されており、1種類の用紙Pの用紙サイズは給紙台21内で不図示の用紙サイズ検出手段により自動的に検出されている。
そして、給紙台21が上動して、給紙台21上に積載した未印刷の用紙Pのうちで最上層の用紙Pが給紙位置に至ったときに、この最上層の用紙Pに給紙ローラ23が回転しながら圧接してこの用紙Pを給紙している。
更に、給紙された用紙Pの搬送方向の先端部は、回転停止中のレジストローラ対27に突き当たって点線で示したループLが形成されて、このループLにより用紙Pの先端位置がレジストローラ対27に対して揃うようになる。
その後、レジストローラ対27が回転を開始することにより、このレジストローラ対27で用紙Pの斜行が補正され且つ用紙Pの搬送タイミングが調整されながらこの用紙Pがベルトプラテン部30及び印刷部40に向けて搬送されるようになっている。
そして、上記した給紙ローラ23と、捌きローラ24と、捌き板25とが給紙台21上に積層された用紙Pを1枚ずつ給紙する1次給紙手段となり、一方、上記したレジストローラ対27が1次給紙手段で給紙した用紙Pに対して斜行を補正し且つ搬送タイミングを調整してこの用紙Pを下流に向けて搬送する2次給紙手段となっている。
次に、上記したベルトプラテン部30は、複数のエアー吸引孔(図示せず)を有して帯状に形成されたベルトプラテン31が第3ギアードモータ32により一定の搬送速度で回転駆動される駆動プーリ33と従動プーリ34との間に中間プーリ35を介してエンドレスに掛け渡されており、ベルトプラテン31上に搬送された用紙Pをエアー吸引部36で吸引搭載しながら矢印方向に搬送している。
次に、上記した印刷部40は、ベルトプラテン部30の上方でこのベルトプラテン部30と僅かに間隔を離して対向して設けられており、筐体2内の略中央部位に位置している。
この印刷部40では、複数色のインクIKと対応して複数のライン型インクジェットヘッド41が用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向かってC(シアン)用,K(ブラック)用,M(マゼンタ)用,Y(イエロー)用の順に固定設置されている。
そして、用紙Pをエアー吸引によりベルトプラテン31上に固定した状態でベルトプラテン31の回転より用紙Pを矢印方向に搬送しながら複数のライン型インクジェットヘッド41により用紙P上にカラー画像を印刷している。
この際、用紙P上にカラー画像を片面印刷する場合には、用紙Pに対して印刷用搬送路IRを1回通して下記する排紙部50に排紙している。一方、用紙P上にカラー画像を両面印刷する場合には、片面印刷済みの用紙Pに対して循環用搬送路JRを介して印刷用搬送路IRを計2回通して下記する排紙部50に排紙している。
次に、上記した排紙部50は、ベルトプラテン部30及び印刷部40よりも下流で筐体2の右側板2c側に設けられている。この排紙部50では片面印刷済み又は両面印刷済みの用紙Pを排紙ローラ対51を介して排紙台52上に排紙している。
次に、装置全体を制御する制御部60は、筐体2内の適宜な位置に設置されている。この制御部60は、演算処理や判断処理するCPU60aと、インクジェット印刷装置1の動作プログラムなどを格納したROM60bと、インクジェット印刷装置1内で変更可能な各種の情報などを一時的に記憶するRAM60cと、用紙Pが各用紙センサSを通過する時間を計測するタイマ60dとを内部に有している。
ここで、本発明の実施例1に係る用紙搬送装置の構成について、先に示した図1と、新たな図2〜図5とを用いて説明する。
図2は本発明の実施例1に係る用紙搬送装置70を斜視的に示している。また、図3は図2に示した駆動ローラ側用紙搬送ガイド板71を斜視的に示している。また、図4は図2に示した従動ローラ側用紙搬送ガイド板81(82,83)を斜視的に示している。また、図5は図3及び図4に示したロック機構90を示している。
図1に示す如く、本発明の実施例1に係る用紙搬送装置70は、インクジェット印刷装置1内の用紙搬送路に沿って設置されており、例えば、用紙搬送路の一部を形成する循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿ってユニット化して設置されている。
そして、循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2には、前述したように、駆動源となるギアードモータMに連結されて回転駆動する駆動ローラR1と、この駆動ローラR1に圧接して従動する従動ローラR2とを対にした用紙搬送ローラ対Rが複数設置されており、各用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1と従動ローラR2とが用紙Pを両ローラR1,R2間でニップしながら搬送する用紙搬送手段となっている。
そして、実施例1の用紙搬送装置70を循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿って設置することで、例えば、循環用搬送路JR中の第1縦搬送路JR1と水平搬送路JR2との間に跨って用紙ジャムが生じた場合、ジャム用紙(図示せず)の紙片を両搬送路JR1,JR2内に残すことなく、このジャム用紙を装置70の外側に容易に取り出すことができるように構成されている。
この際、実施例1の用紙搬送装置70の上方にはベルトプラテン部30が設置されており、ベルトプラテン部30と用紙搬送装置70との間でこの装置70のフロント側(前面側)に人手を差し込むことができる程度の空間KUが形成されているので、後述するように前記空間KU内に人手を差し込んでジャム用紙を回収できるようになっている。
ここで、図1及び図2を併用して説明すると、実施例1の用紙搬送装置70では、駆動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、駆動側用紙ガイド板と呼称する)71が循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1側に固定設置されている。そして、駆動側用紙ガイド板71は、複数の用紙搬送ローラ対Rにより用紙搬送方向に向けて搬送される用紙Pの一方の面(下面)Paをガイドするようになっている。
一方、従動ローラ側用紙搬送ガイド板(以下、簡略化して、従動側用紙ガイド板と呼称する)81は、駆動側用紙ガイド板71の上面71aに対して僅かな間隔を離して対向して、循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿いながら用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2側に設置されている。そして、従動側用紙ガイド板81は、複数の用紙搬送ローラ対Rにより用紙搬送方向に向けて搬送される用紙Pの他方の面(上面)Pbをガイドするようになっている。
この際、上記した従動側用紙ガイド板81は、装置70の一方の面側となるフロント側(前面側)に向かって引き出し自在に設けた第1分割用紙ガイド板82と、装置70の一方の面側とは反対の他方の面側となるリア側(後面側)にその位置を保持したまま設けた第2分割用紙ガイド板83とに2分割されている。
尚、装置70のフロント側(前面側)は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向の一方側に設定されており、且つ、装置70のリア側(後面側)は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向の他方側に設定されている。
そして、第1,第2分割用紙ガイド板82,83の分割線BLが用紙Pの搬送方向に略沿いながら用紙搬送方向と直交する用紙幅方向の中心線近傍に設定されている。
この際、従動側用紙ガイド板81の分割位置を、複数の異なる用紙サイズのうち、用紙搬送路に沿って搬送される最小サイズの用紙Pにおける装置70のフロント側の端部Pcと用紙Pの幅方向の中心線との間、又は、用紙Pの幅方向の中心線上に設定すれば、あらゆるサイズの用紙Pであっても、確実に取り出すことができる。
即ち、従動側用紙ガイド板81の一部を構成する第1分割用紙ガイド板82は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向の一方側で、用紙Pの幅方向の左側端部Pc側と対応して用紙Pの幅方向に向かって引き出し自在に設置されている。
この際、第1分割用紙ガイド板82は、駆動側用紙ガイド板71上に用紙搬送方向の上流側と下流側とに設けた一対の引き出し用ガイド板75,76に案内されて装置70のフロント側(前面側)に向かう引き出し方向に引き出し自在に取り付けられている。
一方、従動側用紙ガイド板81の一部を構成する第2分割用紙ガイド板83は、用紙幅方向の一方と反対の他方側で、用紙Pの幅方向の右側端部Pd側と対応してその位置を保持したまま設置されており、且つ、装置70内のリア側(後面側)に回動可能に支持されている。
ここで、図3に示す如く、上記した駆動側用紙ガイド板71は、板金材を用いて上面71aが用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向かって用紙搬送方向の長さが長く形成された第1平坦面71a1と、この第1平坦面71a1の下流側に連接して僅かな高さだけ上方に向かって凹状に湾曲した凹状湾曲面71a2と、この凹状湾曲面71a2の下流側に第1平坦面71a1よりも僅かに高い高さで用紙搬送方向の長さが短く形成された第2平坦面71a3とからなっていると共に、フロント側,リア側と対応した前後の側面71c,71dが下方に向かって折り曲げ形成されている。
この実施例1では、駆動側用紙ガイド板71の上面71aの下流側を周辺部品の配置関係などの理由から凹状湾曲面71a2により僅かな高さだけ上方に向けて凹状に湾曲させたが、上面71a全体を平坦面に形成できればより望ましい。
そして、駆動側用紙ガイド板71は、用紙搬送方向の寸法がユニット化に応じて適宜な値に設定され、且つ、用紙幅方向の寸法は最大サイズ(例えば、A3サイズ)の用紙の幅寸法よりも大きな値に設定されて、略矩形状に形成されている。
また、駆動側用紙ガイド板71の第1平坦面71a1内の中間部位の前後左右には複数の矩形孔71eが貫通して形成されており、これら複数の矩形孔71e内に用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1がそれぞれ下面71b側から上面71a側に僅かに突出するように臨んでいる。
この際、各駆動ローラR1は、駆動側用紙ガイド板71の前後の側面71c,71d間に回転自在に支持されて用紙幅方向に沿いながら用紙搬送方向に所定の間隔を離して設けた2本の長尺な第1ローラ軸72に固着されており、且つ、各第1ローラ軸72に駆動ローラR1が用紙Pを搬送する際の仮想搬送中心線を中心にして用紙幅方向に対して略対称に固着されている。
尚、駆動側用紙ガイド板71上において、用紙サイズが異なる複数種の用紙Pは、左右の側端部Pc,Pd(図2)が位置規制されることなく、駆動ローラR1と従動ローラR2(図1)とでニップされながら用紙Pを搬送する際の仮想搬送中心線を中心にして搬送されているものとする。
また、駆動側用紙ガイド板71の第1平坦面71a1内のフロント側には複数の指孔71fが用紙サイズの異なる複数種の用紙Pの左側端部Pc(図2)の各位置に対応して貫通して形成されており、これらの複数の指孔71fは後述するように駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙(図示せず)の引き出し側の端部をユーザの指で掴むときの逃げ孔として機能している。
また、駆動側用紙ガイド板71の第1平坦面71a1上で後側面71dの近傍には、一対のL字状ブラケット73,74が上流側と下流側とに分かれて用紙Pの搬送に影響しない位置に対称に取り付けられており、これらの一対のL字状ブラケット73,74は従動側用紙ガイド板81(図2,図4)のうちでリア側に位置する第2分割用紙ガイド板83のリア端側を回動可能に支持する機能を有している。
また、駆動側用紙ガイド板71の上面71aのうちで上流側と下流側とで高さを違えて形成された第1,第2平坦面71a1,71a3上には、一対の引き出し用ガイド板75,76が用紙幅方向に沿いながら用紙搬送方向の上流側と下流側とに間隔を離して互いに対向して対称に取り付けられている。
そして、一対の引き出し用ガイド板75,76は、従動側用紙ガイド板81(図2,図4)の第1分割用紙ガイド板82のみをフロント側に引き出す機能を備えている。
上記した一対の引き出し用ガイド板75,76は、駆動側用紙ガイド板71の上面71aと対向する下方部位に用紙P(図1,図2)が通過するための用紙通過口75a,76aが用紙幅方向に沿って凹状に形成されている。また、一対の引き出し用ガイド板75,76は、一対の傾斜ガイド溝75b,76bが第1分割用紙ガイド板82をリア側からフロント側に向かって徐々に斜め上方に引き出し自在にガイドするように傾斜して形成されている。
そして、上記した一対の傾斜ガイド溝75b,76b内に後述する第1分割用紙ガイド板82(図2,図4)の上流側及び下流側の各側面82c,82d(図4)にそれぞれ取り付けた小径ピン84(図4)及び大径ピン85(図4)が嵌合するようになっている。
また、一対の引き出し用ガイド板75,76の傾斜ガイド溝75b,76b内でフロント側の先端には第1位置決め用凹部75b1,76b1が下方に向かって凹状に連接して形成され、且つ、傾斜ガイド溝75b,76b内でリア側には第2位置決め用凹部75b2,76b2が下方に向かって凹状に連接して形成されている。
この際、第1位置決め用凹部75b1,76b1内に第1分割用紙ガイド板82(図4)の各側面82c,82dに取り付けた引き出し方向先方側の小径ピン84が落ち込むことで第1分割用紙ガイド板82の最大引き出し位置を位置決めし、一方、第2位置決め用凹部75b2,76b2内に上記した引き出し方向先方側の小径ピン84が落ち込むことで第1分割用紙ガイド板82の収納位置を位置決めするようになっている。
更に、駆動側用紙ガイド板71の前側面71c側の上面71aで用紙搬送方向の略中央部位には、ロック機構部90の被係止部材91が固着されており、このロック機構部90
は第1分割用紙ガイド板82(図2,図4)を装置70内に収納したときに駆動側用紙ガイド板71にロックするためのものであるが、これについては後述する。
次に、図4に示す如く、従動側用紙ガイド板81を構成する第1,第2分割用紙ガイド板82,83は、共に樹脂材又はダイキャス材を用いて各上面82a,83a側の内部が複数の補強リブにより枠組みされて剛性を有する枠体にそれぞれ形成されている。
また、第1,第2分割用紙ガイド板82,83の各下面82b,(83b…図示せず)は、駆動側用紙ガイド板71(図3)の上面71aと対向してこの上面71aの形状に合わせて用紙搬送方向の上流側から下流側に向かって平坦に形成され、更に下流端側の近傍が上方に向かって湾曲している。
ここで、用紙搬送装置70のフロント側に引き出し自在な第1分割用紙ガイド板82は、上流側及び下流側の各側面82c,82dが分割線BLよりもリア側に向かって延出されているので、各側面82c,82dは用紙幅方向に沿って長尺に形成されている。
そして、第1分割用紙ガイド板82の各側面82c,82dのリア側には、引き出し方向先方側の小径ピン84と、引き出し方向後方側の大径ピン85とがそれぞれ外側に向かって固着されている。
そして、第1分割用紙ガイド板82の各側面82c,82dに固着した各2本の小径ピン84及び大径ピン85は、先に図3を用いて説明した駆動側用紙ガイド板71上に取り付けた一対の引き出し用ガイド板75,76に形成した一対の傾斜ガイド溝75b,76b内に引き出し自在に嵌合している。
また、第1分割用紙ガイド板82の各側面82c,82d側の内側は、分割線BLよりもリア側に矩形状凹部82eが大面積を有して形成されており、第1分割用紙ガイド板82が装置70内に収納されているときに上記した矩形状凹部82e内にリア側の第2分割用紙ガイド板83が位置するようになっている。
また、第1分割用紙ガイド板82の上面82a側には、分割線BLの近傍に上流側と下流側に分かれて箱部82fが上方を閉蓋して2箇突出形成されており、各箱部82f内に従動ローラR2(図1)が駆動ローラR1(図1,図3)と対向するように収納されている。
尚、箱部82f内に収納した従動ローラR2を用紙Pを介して駆動ローラR1に圧接させる機構については後述する。
また、第1分割用紙ガイド板82の上面82a上で2個の箱部82f間には、駆動側用紙ガイド板71(図2,図3)上にジャム用紙(図示せず)が搭載されているか否かを確認するための覗き孔82gが貫通して形成されている。
また、第1分割用紙ガイド板82の前側面82hの用紙搬送方向の略中央部位には、取っ手82iがフロント側に向かって突出形成されており、この取っ手82iをユーザがフロント側に引くことにより第1分割用紙ガイド板82がフロント側に引き出し可能になっている。
更に、第1分割用紙ガイド板82の前側面82h側に設けた取っ手82iの後方部位には、ロック機構部90のロック解除レバー94が前述した駆動側用紙ガイド板71(図3)に設けたロック機構90の被係止部材91と対応して取り付けられており、このロック機構部90については後述する。
次に、用紙搬送装置70内のリア側に設置される第2分割用紙ガイド板83は、前述したように、第1分割用紙ガイド板82の矩形状凹部82e内に収納されるので第1分割用紙ガイド板82よりも小型であるが、この第2分割用紙ガイド板83の上面83a側にも、分割線BLの近傍に上流側と下流側に分かれて箱部83cが上方を閉蓋して2箇突出形成されており、各箱部83c内に従動ローラR2(図1)が駆動ローラR1(図1,図3)と対向するように収納されている。
また、第2分割用紙ガイド板83の上面83a上で2個の箱部83c間にも、駆動側用紙ガイド板71(図2,図3)上にジャム用紙(図示せず)が有るか否かを確認するための覗き孔83dが貫通して形成されている。
ここで、第1分割用紙ガイド板82を装置70内に収納したときに、第1分割用紙ガイド板82を駆動側用紙ガイド板71にロックするロック機構90について図5(a),(b)を用いて説明するが、ロック機構90は、第1分割用紙ガイド板82を駆動側用紙ガイド板71にロックできる構造であればいかなる構造形態でも良いものである。
即ち、図5(a),(b)に示す如く、従動側用紙ガイド板81の第1分割用紙ガイド板82は、装置70内に固定された駆動側用紙ガイド板71の上流側と下流側とに高さを違えて取り付けた一対の引き出し用ガイド板75,76間でフロント側に引き出し自在になっている。
また、上記したロック機構90は、前述したように、駆動側用紙ガイド板71と、第1分割用紙ガイド板82とに取り付けられている。
そして、駆動側用紙ガイド板71上に被係止部材91が取り付けられている。
また、第1分割用紙ガイド板82の取っ手82iの後方の内部には、一対の軸支持用板バネ部材92A,92Bが互いに対向して取り付けられており、この一対の軸支持用板バネ部材92A,92B間にフック部材93の軸部93aが引き出し方向と直交して回動自在に軸支され、且つ、軸部93aとは反対側のフック部93bで駆動側用紙ガイド板71上の被係止部材91をロックするようになっている。
また、一対の軸支持用板バネ部材92A,92Bのうちの一方の軸支持用板バネ部材92Aの上端にロック解除レバー94が連結されており、このロック解除レバー94は取っ手82iの後方部位から上方に向かって突出されている。
更に、ロック解除レバー94の内部に引張バネ95が収納されて、この引張バネ95がロック解除レバー94と一方の軸支持用板バネ部材92Aとに掛止されており、図5(a)に示したように、第1分割用紙ガイド板82をロックする時には引張バネ95の付勢力を介してフック部材93が駆動側用紙ガイド板71上に取り付けた被係止部材91をロックして、装置70の安全性を図っている。
一方、図5(b)に示したように、第1分割用紙ガイド板82をロック解除する時には、ユーザがロック解除レバー94を引張バネ95の付勢力に抗して引き出し方向とは反対方向に押し込んで、ロック解除レバー94に連結した一方の軸支持用板バネ部材92Aを介してフック部材93を軸部93aを中心にして時計方向に回動させることにより、フック部材93のフック部93bが駆動側用紙ガイド板71上に取り付けた被係止部材91から離間してロック解除されるので、第1分割用紙ガイド板82の引き出し動作が可能となる。
次に、上記のように構成した本発明の実施例1に係る用紙搬送装置70の動作について、図6を用いて説明する。
図6(a)〜(c)は本発明の実施例1に係る用紙搬送装置70の動作を示しており、(a)は用紙搬送方向の上流側から下流側に向って一対の引き出し用ガイド板75,76を見た側面図であり、(b),(c)は上流側の引き出し用ガイド板75を取り除いて、この上流側の引き出し用ガイド板75の傾斜ガイド溝75bを二点鎖線で示した側断面図である。
尚、以下に実施例1の用紙搬送装置70の動作を説明する際に、第1分割用紙ガイド板82の上流側の側面82c側についてのみ説明し、上流側の側面82c側に対して高さを違えて対称に形成された下流側の側面82d(図4)側についての説明を省略する。
まず、図6(a)に示す如く、実施例1の用紙搬送装置70内では、駆動側用紙ガイド板71と対向して従動側用紙ガイド板81の第1分割用紙ガイド板82がフロント側に収納され、且つ、従動側用紙ガイド板81の第2分割用紙ガイド板83が引き出し前の第1分割用紙ガイド板82と同じ高さ位置でリア側に収納されている。この際、第1,第2分割用紙ガイド板82,83は、駆動側用紙ガイド板71と対向して同じ高さ位置でこの駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢を保っている。
この際、第1分割用紙ガイド板82の側面82cに固着させた小径ピン84及び大径ピン85のうちで引き出し方向先方側の小径ピン84は上流側の引き出し用ガイド板75の傾斜ガイド溝75b内に形成したリア側の第2位置決め用凹部75b2に係合し、且つ、引き出し方向後方側の大径ピン85は傾斜ガイド溝75b内でリア端側に至っているので、第1分割用紙ガイド板82が収納位置に位置決めされている。
そして、第1分割用紙ガイド板82の取っ手82iの後方部位に設置したロック機構90により、第1分割用紙ガイド板82が駆動側用紙ガイド板71にロックされている。
従って、第1分割用紙ガイド板82がロックされている時には、実施例1の用紙搬送装置70内で用紙Pが用紙搬送ローラ対R(図1,図7)により搬送可能(通紙可能)な状態に至っている。
次に、図6(b)に示す如く、実施例1の用紙搬送装置70内で用紙ジャムが生じたとき、ユーザがロック機構90によるロックを解除して、第1分割用紙ガイド板82の取っ手82iを上方に持ち上げると、二点鎖線で示した傾斜ガイド溝75b内で第1分割用紙ガイド板82がこの側面82cに固着させた大径ピン85を支点にして時計方向に回動する。
これにより、上記側面82cに固着させた小径ピン84がリア側の第2位置決め用凹部75b2から離脱して傾斜ガイド溝75b内に進入するので、この後、ユーザは取っ手82iを掴みながら第1分割用紙ガイド板82を引き出し方向となるフロント側に向かって引き出しを開始する。
そして、第1分割用紙ガイド板82のフロント側への引き出し動作に伴って、後述するように、第1分割用紙ガイド板82側の従動ローラR2(図1,図7)が駆動側用紙ガイド板71側の駆動ローラR1(図1,図7)から離間して用紙P(図1,図2)へのニップが解除される。
一方、駆動側用紙ガイド板71上でリア端側に取り付けたL字状ブラケット73に回動可能に支持された第2分割用紙ガイド板83は、その位置を保持したまま駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢を保っている。
次に、図6(c)に示す如く、ユーザが第1分割用紙ガイド板82を更にフロント側に引き出すと、第1分割用紙ガイド板82の側面82cに固着させた小径ピン84及び大径ピン85が二点鎖線で示した傾斜ガイド溝75bに沿って斜め上方に向かってガイドされる。
この後、小径ピン84が傾斜ガイド溝75b内に形成したフロント側の第1位置決め用凹部75b1に係合すると、第1分割用紙ガイド板82がフロント側の最大引き出し位置に位置決めされる。
また、上記した小径ピン84が第1位置決め用凹部75b1に係合したときに、第1分割用紙ガイド板82のフロント端側が僅かに下降して、この第1分割用紙ガイド板82が第2分割用紙ガイド板83よりも高い位置で駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢に保たれるので、第1分割用紙ガイド板82の引き出しが完了する。
一方、第2分割用紙ガイド板83は、第1分割用紙ガイド板82から離れてリア側の位置まま駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢を保っている。
そして、第1分割用紙ガイド板82がフロント側の最大引き出し位置に位置決めされたときに、後述するように、隣り合う用紙搬送装置(図示せず)にジャム用紙(図示せず)が跨っている場合でも、ユーザは駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙(図示せず)の紙片を装置70内に残すことなく、この装置70の外側に容易に取り出すことができる。
ここで、実施例1の用紙搬送装置70内で用紙Pを搬送する際に、図1に示した用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1及び従動ローラR2のニップ状態について、図7を用いて説明する。
図7は用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1と従動ローラR2のニップ状態を図2に示したイーイ線に沿って断面して示しており、(a)は第1分割用紙ガイド板82のロック時の状態を示し、(b)は第1分割用紙ガイド板82の引き出し時の状態を示している。
図7(a)に示す如く、用紙搬送ローラ対Rの駆動ローラR1は、駆動側用紙ガイド板71の下方で用紙幅方向に沿って形成した長尺な第1ローラ軸72に固着されて矩形孔71e内に臨んでいる。
一方、用紙搬送ローラ対Rの従動ローラR2は、従動側用紙ガイド板81の第1,第2分割用紙ガイド板82,83にそれぞれ形成した箱部82f,83c内で用紙幅方向に沿って形成した短尺な第2ローラ軸SAに固着され、且つ、第2ローラ軸SAの両端側に軸受BEが嵌め込まれている。
また、第1,第2分割用紙ガイド板82,83にそれぞれ形成した箱部82f,83c内で用紙幅方向の両側には、軸受支持用有底孔82f1,83c1がそれぞれ形成されており、これらの軸受支持用有底孔82f1,83c1内に第2ローラ軸SAの両端側に嵌
め込んだ各軸受BEが上方部位側で回り止めを図って上下方向に遊嵌されている。そして、箱部82f,83cの天面内部82f3,83c3と、各軸受BEとの間に各圧縮バネCSが掛止されている。
また、第1分割用紙ガイド板82の箱部82fの外側上方部位に連接して鍔部82f2がリア側に向かって突出形成されており、一方、第2分割用紙ガイド板83の箱部83cの外側下方部位に連接してリブ部83c2がフロント側に向かって突出形成されている。
そして、第1分割用紙ガイド板82が駆動側用紙ガイド板71にロックされている時には、第1分割用紙ガイド板82に形成した上記鍔部82f2が第2分割用紙ガイド板83に形成した上記リブ部83c2上に被さっているので、第2分割用紙ガイド板83のフロント側の先端部位は駆動側用紙ガイド板71側に向かって押さえ込まれている。
これにより、第1,第2分割用紙ガイド板82,83にそれぞれ形成した箱部82f,83c内に収納した各従動ローラR2は、ロック時に各圧縮バネCSの付勢力により用紙Pを介して各駆動ローラR1に圧接可能になっているので、用紙Pを搬送できる。
一方、図7(b)に示す如く、第1分割用紙ガイド板82の駆動側用紙ガイド板71へのロックを解除した後に第1分割用紙ガイド板82をフロント側に引き出す時には、第1分割用紙ガイド板82の引き出し動作に伴って、第1分割用紙ガイド板82の箱部82fに連接形成した鍔部82f2が第2分割用紙ガイド板83の箱部83cに連接形成したリブ部83c2から離間するので、第2分割用紙ガイド板83は第1分割用紙ガイド板82による押さえがなくなる。
これにより、第2分割用紙ガイド板83の箱部83c内に収納した従動ローラR2の駆動ローラR1への圧接力は、従動ローラR2の自重が加わっているものの圧縮バネCSの付勢力が弱まり、第2分割用紙ガイド板83側で用紙搬送ローラ対Rにニップされているジャム用紙(図示せず)を取り出し易くなる。
更に、第1分割用紙ガイド板82がフロント側に引き出されるときには、第1分割用紙ガイド板82が一対の引き出し用ガイド板75,76(図3)の傾斜ガイド溝75b,76bに沿って斜め上方に向かうために、第1分割用紙ガイド板82の箱部82f内に収納した従動ローラR2は駆動ローラR1から徐々に離間して両ローラR1,R2間でニップが解除されるので、駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙JPへのニップも解除される。
次に、実施例1の用紙搬送装置70内からジャム用紙を取り出す方法について図8を用いて説明する。
図8は実施例1の用紙搬送装置70内からジャム用紙JPを取り出す状態を斜視的に示しており、(a)は最小サイズのジャム用紙JP−Sの取り出しを示し、(b)は最大サイズのジャム用紙JP−Lの取り出しを示している。
実施例1の用紙搬送装置70内で用紙ジャムが発生したか否かは先に説明したように用紙搬送路に沿って適宜な位置に設けた各用紙センサS(図1)で検出している。
そして、用紙ジャムが発生したことを制御部60(図1)が認識したときに、制御部60は操作パネル部10(図1)にアラームを表示するので、図8(a),(b)に示す如く、ユーザは従動側用紙ガイド板81を構成する第1,第2分割用紙ガイド板82,83のうちで第1分割用紙ガイド板82のみを一対の引き出し用ガイド板75,76に沿って最大引き出し位置まで手動により引き出す。
この際、用紙搬送装置70内では、駆動側用紙ガイド板71と、第2分割用紙ガイド板83は、当初の位置をそのまま保持している。
また、第1分割用紙ガイド板82の最大引き出し位置は、図8(b)に示す如く、駆動側用紙ガイド板71上に搭載された最大サイズ(例えば、A3サイズ)のジャム用紙JP−Lのうちで引き出し側の端部となる左側端部Pcを人手で掴むことができる位置に設定されている。
更に、装置70のフロント側に引き出した第1分割用紙ガイド板82の上方には、前述したように人手を差し込むことができる程度の空間KUが形成されているので、この空間KU内に人手を差し込む。
そして、図8(a)又は図8(b)に示したように、駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙JPとして最小サイズ(例えば、葉書サイズ)のジャム用紙JP−S又は最大サイズ(例えば、A3サイズ)のジャム用紙JP−Lの幅方向の左側端部Pcを、駆動側用紙ガイド板71上で用紙サイズに応じて形成された指孔71fの部位でユーザの指で掴んで装置70の外側に取り出している。
このときに、駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙JPは、隣り合う用紙搬送装置(図示せず)間に跨っていても、第1分割用紙ガイド板82の引き出し最中には駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙JPが引き出されないので、ジャム用紙JPは第1分割用紙ガイド板82の引き出し動作中に破損することはない。
また、第1分割用紙ガイド板82の引き出し動作に伴って、第2分割用紙ガイド板83は第1分割用紙ガイド板82による押えがはずされるので、第2分割用紙ガイド板83側の駆動ローラR1と従動ローラR2との間では用紙Pへのニップ圧が小さくなり、これにより、第2分割用紙ガイド板83側で用紙搬送ローラ対Rにニップされているジャム用紙JPを外し易くなる。
また、第1分割用紙ガイド板82を装置70のフロント側の一方の面側に引き出した時に、ユーザの人手によりジャム用紙JPの紙片を装置70内に残すことなく、この装置70の外側に容易に取り出すことができる。
更に、従動側用紙ガイド板81は第1分割用紙ガイド板82と第2分割用紙ガイド板83とに2分割されているために、第1分割用紙ガイド板82の引き出し時の占有面積を従来装置よりも小さく設定でき、且つ、第1分割用紙ガイド板82の重量が従来装置よりも軽くなるので、第1分割用紙ガイド板82の引き出し負荷を軽減することができる。
次に、実施例の用紙搬送装置70を一部変形させた変形例について図9を用いて説明する。
図9(a)〜(c)は実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’の構成及び動作を示しており、(a)は用紙搬送方向の上流側から下流側に向って一対の引き出し用ガイド板75,76を見た側面図であり、(b),(c)は上流側の引き出し用ガイド板75を取り除いて、この上流側の引き出し用ガイド板75の傾斜ガイド溝75bを二点鎖線で示した側断面図である。
図9に示した実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’は、先に説明した実施例1の用紙搬送装置70の構成に対して、駆動側用紙ガイド板(駆動ローラ側用紙搬送ガイド板)71と対向する従動側用紙ガイド板(従動ローラ側用紙搬送ガイド板)81’の第1,第2分割用紙ガイド板82’,83’のみが異なっており、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、実施例1に対して異なる構成部材に新たな符号を付して説明する。
尚、以下に実施例1の変形例の用紙搬送装置70’の構成及び動作を説明する際に、第1分割用紙ガイド板82’の上流側の側面82c’側についてのみ説明し、上流側の側面82c’側に対して高さを違えて対称に形成された下流側の側面82d’(図示せず)側についての説明を省略する。
図9(a)に示した実施例1の変形例の用紙搬送装置70’も、インクジェット印刷装置1(図1)内の用紙搬送路に沿って設置されており、例えば、用紙搬送路の一部を形成する循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿ってユニット化して設置されている。
また、図9(b),(c)に示す如く、実施例1の変形例の用紙搬送装置70’の構成について説明すると、従動側用紙ガイド板81’の第1分割用紙ガイド板82’は、実施例1と異なって、用紙搬送方向の上流側の側面82c’の上方部位がフロント側からリア側に向かって低い高さで平坦面82k1に形成され、且つ、この平坦面82k1に連接して上方に向かって徐々に傾斜した略三角形状の傾斜カム面82k2がリア端側に形成されている。
一方、従動側用紙ガイド板81’の第2分割用紙ガイド板83’は、実施例1と異なって、上流側の側面83eにピン86が外側に向かって横設されている。
ここで、上記のように構成した実施例1の変形例の用紙搬送装置70’の動作について説明する。
まず、図9(a)に示す如く、実施例1の変形例の用紙搬送装置70’内でも、実施例1と同様に、駆動側用紙ガイド板71と対向して従動側用紙ガイド板81’の第1分割用紙ガイド板82’がフロント側に収納され、且つ、従動側用紙ガイド板81’の第2分割用紙ガイド板83’が引き出し前の第1分割用紙ガイド板82’と同じ高さ位置でリア側に収納されている。
この際、第1分割用紙ガイド板82’の側面82c’に固着させた小径ピン84及び大径ピン85のうちで引き出し方向先方側の小径ピン84は上流側の引き出し用ガイド板75の傾斜ガイド溝75b内に形成したリア側の第2位置決め用凹部75b2に係合し、且つ、引き出し方向後方側の大径ピン85は傾斜ガイド溝75b内でリア端側に至っているので、第1分割用紙ガイド板82’が収納位置に位置決めされている。
そして、第1分割用紙ガイド板82’の取っ手82iの後方部位に設置したロック機構90により、第1分割用紙ガイド板82’が駆動側用紙ガイド板71にロックされている。
従って、第1分割用紙ガイド板82’がロックされている時には、実施例1の変形例の用紙搬送装置70’内で用紙Pが用紙搬送ローラ対R(図1,図7)により搬送可能(通紙可能)な状態に至っている。
次に、図9(b)に示す如く、実施例1の変形例の用紙搬送装置70’内で用紙ジャムが生じたとき、ユーザがロック機構90によるロックを解除して、第1分割用紙ガイド板82’の取っ手82iを上方に持ち上げると、二点鎖線で示した傾斜ガイド溝75b内で第1分割用紙ガイド板82’がこの側面82c’に固着させた大径ピン85を支点にして時計方向に回動する。
これにより、上記側面82c’に固着させた小径ピン84がリア側の第2位置決め用凹部75b2から離脱するので、この後、ユーザは取っ手82iを掴みながら第1分割用紙ガイド板82’を引き出し方向となるフロント側に向かって引き出しを開始する。
そして、第1分割用紙ガイド板82’のフロント側への引き出し動作に伴って、第1分割用紙ガイド板82’側の従動ローラR2(図1,図7)が駆動側用紙ガイド板71側の駆動ローラR1(図1,図7)から離間して用紙P(図1,図2)へのニップが解除される。
このとき、第2分割用紙ガイド板83’の上流側の側面83eに固着させたピン86は、第1分割用紙ガイド板82’の上流側の側面82c’上に形成した平坦面82k1に沿っているので、駆動側用紙ガイド板71上でリア端側に取り付けたL字状ブラケット73に回動可能に支持された第2分割用紙ガイド板83’は、その位置を保持したまま駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢を保っている。
次に、図9(c)に示す如く、ユーザが第1分割用紙ガイド板82’を更にフロント側に引き出すと、第1分割用紙ガイド板82’の更なる引き出し動作に伴って、第2分割用紙ガイド板83’の上流側の側面83eに固着させたピン86は、第1分割用紙ガイド板82’の上流側の側面82c’上に形成した平坦面82k1から傾斜カム面82k2に沿うので、第2分割用紙ガイド板83’はL字状ブラケット73に軸支した軸73Jを中心にして時計方向に回動する。
これにより、第2分割用紙ガイド板83’の箱部83c(図4)内に収納された従動ローラR2は駆動ローラR1から離間して用紙P(図1,図2)へのニップ状態が解除される。
この際、第1分割用紙ガイド板82’の上流側の側面82c’上のリア端側に形成した傾斜カム面82k2は、第1分割用紙ガイド板82’の引き出し方向に対して移動距離が短く形成されて、第1分割用紙ガイド板82’が最大引き出し位置に至るまで形成されていないので、上記したピン86が傾斜カム面82k2の終端に至ったときに第2分割用紙ガイド板83’を最大回動位置で不図示のラッチ手段により一時的にラッチさせれば良い。
この後、第1分割用紙ガイド板82’がフロント側の最大引き出し位置に位置決めされたときに、実施例1と同様に、隣り合う用紙搬送装置(図示せず)にジャム用紙(図示せず)が跨っている場合でも、ユーザは駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙(図示せず)の紙片を装置70’内に残すことなく、この装置70’の外側に容易に取り出すことができる。
尚、第1分割用紙ガイド板82’を収納位置に戻すときには、第1分割用紙ガイド板82’の収納動作に伴って不図示のラッチ手段のラッチを解除すれば良いものである。
従って、実施例1の変形例の用紙搬送装置70’によれば、第1分割用紙ガイド板82’の引き出し動作に伴って第2分割用紙ガイド板83’の箱部83c(図4)内に収納された従動ローラR2の駆動ローラR1へのニップを解除しているので、第1,第2分割用紙ガイド板82’,83’側でニップを共に解除されたジャム用紙をより一層容易に取り出すことができる。
図10は本発明の実施例2に係る用紙搬送装置70’’の構成及び動作を示しており、(a)は第1分割用紙ガイド板82’’のロック時を示し、(b)は第1分割用紙ガイド板82’’の押し込み途中時を示し、(c)は第1分割用紙ガイド板82’’の押し込み完了時を示している。尚、図10(a)〜(c)中では実施例2の用紙搬送装置70’’の右側面側のみを図示している。
図10に示した本発明の実施例2に係る用紙搬送装置70’’も、先に説明した実施例1の用紙搬送装置70(図2)又は実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’(図9)と同様に、駆動ローラR1を支持した駆動側用紙ガイド板(駆動ローラ側用紙搬送ガイド板)71と対向して従動ローラR2を支持した従動側用紙ガイド板(従動ローラ側用紙搬送ガイド板)81’’が第1,第2分割用紙ガイド板82’’,83’’に2分割されている点は同じである。
しかし、ジャム用紙JP(図8)を取り除くときに、実施例1及び実施例1を一部変形させた変形例では、従動側用紙ガイド板81,81’の第1分割用紙ガイド板82,82’がフロント側に引き出し可能に構成されているのに対して、実施例2の用紙搬送装置70’’では従動側用紙ガイド板81’’の第1分割用紙ガイド板82’’がこの用紙搬送装置70’’のリア側上方に押し込み可能に構成されている点が異なっている。
ここでは、説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、実施例1及び実施例1の変形例に対して異なる構成部材に新たな符号を付して説明する。
図10(a)に示した実施例2の用紙搬送装置70’’も、インクジェット印刷装置1(図1)内の用紙搬送路に沿って設置されており、例えば、用紙搬送路の一部を形成する循環用搬送路JR中の水平搬送路JR2に沿ってユニット化して設置されている。
まず、上記した実施例2の用紙搬送装置70’’の構成について説明する。
駆動側用紙ガイド板71には、一対の押し込み用ガイド板77,(78…図示せず)が紙面に垂直な方向である用紙P(図1)の搬送方向の上流側(右側)及び下流側(左側)に取り付けられており、以下、上流側(右側)と対称な下流側(左側)については図示を省略する。
また、二点鎖線で示した上流側(右側)の押し込み用ガイド板77には、第1,第2傾斜ガイド溝77a,77bが、フロント側からリア側上方に向かって傾斜して形成されている。そして、第1,第2傾斜ガイド溝77a,77bに沿って従動側用紙ガイド板81’’の第1分割用紙ガイド板82’’がフロント側からリア側上方に向かって押し込み可能にガイドされるようになっている。
この際、フロント側に形成された第1傾斜ガイド溝77aは、傾斜が急峻に形成されている。一方、第1傾斜ガイド溝77aに連接してリア側に形成された第2傾斜ガイド溝77bは、傾斜が第1傾斜ガイド溝77aよりも緩やかに形成されている。
更に、第1傾斜ガイド溝77a中には第1分割用紙ガイド板82’’をフロント側に位置決めする第1位置決め用凹部77a1が下方に向かって凹状に形成されている。一方、第2傾斜ガイド溝77b中には第1分割用紙ガイド板82’’をリア側に位置決めする第2位置決め用凹部77b1が下方に向かって凹状に形成されている。
次に、従動側用紙ガイド板81’’の第1,第2分割用紙ガイド板82’’,83’’のうちで、第1分割用紙ガイド板82’’ には取っ手82iがフロント側の前方に向かって突出形成されている。
また、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに小径ピン84及び大径ピン85が前後に間隔を離して取り付けられており、これらの小径ピン84及び大径ピン85が、右側の押し込み用ガイド板77に形成された第1,第2傾斜ガイド溝77a,77b内に嵌合するようになっている。
また、従動側用紙ガイド板81’’の第1分割用紙ガイド板82’’は、リア側の後端部位に第1傾斜カム82kがフロント側からリア側に向かって高さが徐々に高くなるように傾斜して形成されている。
一方、従動側用紙ガイド板81’’の第2分割用紙ガイド板83’’には、フロント側の先端部位に第2傾斜カム83fがリア側からフロント側に向かって高さが徐々に低くなるように傾斜して形成されている。
そして、第1,第2分割用紙ガイド板82’’,83’’側の各従動ローラR2が駆動側用紙ガイド板71側の各駆動ローラR1を押圧しているときに、第1分割用紙ガイド板82’’の第1傾斜カム82kと、第2分割用紙ガイド板82’’の第2傾斜カム83kとが互いに対向して接触している。これらの第1傾斜カム82k及び第2傾斜カム83fにより、後述するように、第1分割用紙ガイド板82’’をリア側に向かって押し込むときに、第1分割用紙ガイド板82’’が第2分割用紙ガイド板83’’に衝突して押し込み不能になるのを防止している。
尚、図10中において、符号番号90は実施例1と同様に構成したロック機構部である。
ここで、上記のように構成した実施例2の用紙搬送装置70’’の動作について説明する。
まず、図10(a)に示す如く、実施例2の用紙搬送装置70’’内でも、実施例1及び実施例1の変形例と同様に、駆動側用紙ガイド板71と対向して従動側用紙ガイド板81’’の第1分割用紙ガイド板82’’がフロント側に収納され、且つ、従動側用紙ガイド板81’’の第2分割用紙ガイド板83’’が押し込み前の第1分割用紙ガイド板82’’と同じ高さ位置でリア側に収納されている。
この際、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに固着させた小径ピン84及び大径ピン85のうちでフロント側の小径ピン84は押し込み用ガイド板77の第1傾斜ガイド溝77a内に形成した第1位置決め用凹部77a1に係合しているので、第1分割用紙ガイド板82’’が収納位置に位置決めされている。
そして、第1分割用紙ガイド板82’’の取っ手82iの後方部位に設置したロック機構90により、第1分割用紙ガイド板82’’が駆動側用紙ガイド板71にロックされている。
従って、第1分割用紙ガイド板82’’がロックされている時には、実施例2の用紙搬送装置70’’内で用紙Pが駆動ローラR1と従動ローラR2とを対にした用紙搬送ローラ対Rにより搬送可能(通紙可能)な状態に至っている。
次に、図10(b)に示す如く、実施例2の用紙搬送装置70’’内で用紙ジャムが生じたとき、ユーザがロック機構90によるロックを解除して、第1分割用紙ガイド板82’’の取っ手82iをリア側に向かって押すと、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに固着させた小径ピン84は押し込み用ガイド板77の第1傾斜ガイド溝77a内に形成した第1位置決め用凹部77a1から離脱する。この後、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに固着させた小径ピン84及び大径ピン85が押し込み用ガイド板77の第1傾斜ガイド溝77aに沿って上方に移動する。
これと同時に、第1分割用紙ガイド板82’’の第1傾斜カム82kが第2分割用紙ガイド板83’’の第2傾斜カム83fに沿いながら上方に移動して、第1傾斜カム82kが第2傾斜カム83fから離れる。このときに、第1分割用紙ガイド板82’’は第2分割用紙ガイド板83’’に衝突することなく、リア側に向かいながら上方に移動する。
そして、第1分割用紙ガイド板82’’のリア側への押し込み動作に伴って、第1分割用紙ガイド板82’’側の従動ローラR2が駆動側用紙ガイド板71側の駆動ローラR1から離間して用紙P(図1)へのニップが解除される。
一方、第2分割用紙ガイド板83’’は、その位置を保持したまま駆動側用紙ガイド板71と略平行な姿勢を保っている。
次に、図10(c)に示す如く、ユーザが第1分割用紙ガイド板82’’を更にリア側に押し込むと、第1分割用紙ガイド板82’’の更なる押し込み動作に伴って、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに固着させた小径ピン84及び大径ピン85が、押し込み用ガイド板77の第1傾斜ガイド溝77a内から第2傾斜ガイド溝77b内に移動する。
この後、第1分割用紙ガイド板82’’の側面82jに固着させた小径ピン84が押し込み用ガイド板77の第2傾斜ガイド溝77b内に形成した第2位置決め用凹部77b1に係合するので、第1分割用紙ガイド板82’’が第2分割用紙ガイド板83’’の上方に位置決めされて押し込み動作が完了する。
そして、第1分割用紙ガイド板82’’が押し込められてリア側上方に位置決めされたときに、隣り合う用紙搬送装置(図示せず)にジャム用紙(図示せず)が跨っている場合でも、ユーザは駆動側用紙ガイド板71上に搭載されたジャム用紙(図示せず)の紙片を装置70’’内に残すことなく、この装置70’’の外側に容易に取り出すことができる。
従って、実施例2の用紙搬送装置70’’によれば、ジャム用紙(図示せず)を取り除くときに、第1分割用紙ガイド板82’’を装置70’’内のリア側上方に押し込んでいるので、装置70’’のフロント側に突出する部材がないために装置70’’のフロント側を有効に利用できる。しかし、実施例2では、第1分割用紙ガイド板82’’をリア側上方に押し込んだときに、第1分割用紙ガイド板82’’が第2分割用紙ガイド板83’’の上方に位置する分だけ装置70’’の高さを高くする必要がある。
尚、ここでの図示を省略するが、実施例2においても、第1分割用紙ガイド板を押し込む動作に伴って、第2分割用紙ガイド板側と対応する用紙搬送ローラ対による用紙へのニップも解除するように構成することも可能である。
以上詳述した実施例1の用紙搬送装置70又は実施例1を一部変形させた変形例の用紙搬送装置70’もしくは実施例2の用紙搬送装置70’’では、従動側用紙ガイド板81,81’,81’’側を2分割した例について説明したが、これに限ることなく、駆動側用紙ガイド板71側を2分割することも可能であり、用紙搬送路に沿って互いに対向して設置された一対の用紙搬送ガイドのうち一方の用紙搬送ガイドを2分割すれば良いものである。