JP2018022857A - 半導体装置 - Google Patents

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【課題】ゲート電極の端部と底面電極の端部との間で放電が発生する事を抑制し、誤動作することを抑制したトレンチゲート型の半導体装置を提供する。【解決手段】エミッタ領域30の上面から延伸してエミッタ領域及びベース領域20を貫通する溝の内壁に配置された内壁絶縁膜40と、ベース領域の側面に対向して溝の側面の内壁絶縁膜の上に配置されたゲート電極50と、ゲート電極と絶縁分離されて溝の底面の内壁絶縁膜の上に配置された底面電極150と、ゲート電極と底面電極との間に設けられた層間絶縁膜70を備える。溝のコーナー側のゲート電極の端はドリフト領域10とベース領域との界面が溝の側面と交わる位置よりも低い位置まで延伸し、底面電極側のゲート電極の端は、ゲート電極側の底面電極の上面の位置よりも高く、溝のコーナー側のゲート電極の端と底面電極側のゲート電極の端を繋ぐようにゲート電極の下面を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、トレンチゲート型の半導体装置に関する。
大電流のスイッチング動作を行うスイッチング素子(パワー半導体素子)として、パワーMOSFETや絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などが使用されている。これらのスイッチング素子において、半導体基体に形成された溝(トレンチ)内にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成したトレンチ型のゲート電極構造(トレンチゲート型)が採用されている。しかし、トレンチゲート型の半導体装置では、ゲート電極とドレイン領域間の容量(ゲート−ドレイン間容量)やゲート電極とコレクタ領域間の容量(ゲート−コレクタ間容量)などの帰還容量が大きい。このため、スイッチング速度が低下し、高周波動作で問題が生じる。
帰還容量を減少させるために、種々の方法が検討されている。例えば、溝の側面にゲート電極を配置し、溝の底面にエミッタ電極に接続する電極を配置した構造が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2015−201615号公報
しかしながら、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間で放電が発生し、誤動作を生じる問題があった。このため、本発明は、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間で放電が発生することを抑制し、誤動作を抑制するトレンチゲート型の半導体装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、第1導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に配置された第2導電型の第2半導体領域と、第2半導体領域の上に配置された第1導電型の第3半導体領域と、第3半導体領域の上面から延伸して第3半導体領域及び第2半導体領域を貫通する溝の内壁に配置された内壁絶縁膜と、第2半導体領域の側面に対向して溝の側面の内壁絶縁膜の上に配置された制御電極と、制御電極と絶縁分離されて溝の底面の内壁絶縁膜の上に配置された底面電極と、制御電極と底面電極との間に設けられた層間絶縁膜を備え、溝のコーナー側の制御電極の端は第1半導体領域と第2半導体領域との界面が溝の側面と交わる位置よりも低い位置まで延伸し、底面電極側の制御電極の端は、制御電極側の底面電極の上面の位置よりも高く、溝のコーナー側の制御電極の端と底面電極側の制御電極の端を繋ぐように制御電極の下面を備える半導体装置が提供される。
本発明によれば、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間で放電が発生する事を抑制し、誤動作することを抑制したトレンチゲート型の半導体装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の溝の内部の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その1)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その2)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その3)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その4)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その5)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その6)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その7)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な工程断面図である(その8)。 本発明の実施形態に係る半導体装置の溝の内部の他の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の層間絶縁膜の他の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態の変形例に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。 本発明のその他の実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。 本発明のその他の実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。 本発明のその他の実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の溝の内部の他の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る半導体装置の溝の内部の他の構造を示す模式図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部の長さの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、第1導電型の第1半導体領域(ドリフト領域10)と、第1半導体領域の上に配置された第2導電型の第2半導体領域(ベース領域20)と、第2半導体領域の上に配置された第1導電型の第3半導体領域(エミッタ領域30)とを備える。第3半導体領域の上面から延伸して第3半導体領域及び第2半導体領域を貫通して第1半導体領域まで達する溝が形成され、溝の内壁に内壁絶縁膜40が配置されている。
溝は上記の半導体領域の積層体の主面に沿って延伸し、延伸する方向の溝の長さは溝の幅Wよりも長い。図1は、溝の延伸する方向に対して垂直な断面を示す。
図1に示した半導体装置は、ベース領域20の側面に対向して溝の側面の内壁絶縁膜40の上に配置された制御電極(ゲート電極50)を備えた、トレンチゲート型のIGBTである。図1に示すように、ゲート電極50の下面の底面電極150側は、溝の底面の内壁絶縁膜40と接していない。更に、半導体装置は、ゲート電極50と絶縁分離されて溝の底面の内壁絶縁膜40の上に配置された底面電極150を備える。底面電極150は、エミッタ領域30と電気的に接続される。
第1導電型と第2導電型とは互いに反対導電型である。即ち、第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型である。以下では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合を例示的に説明する。
図1に示すように、ゲート電極50と底面電極150との間、及び、ゲート電極50の下面と内壁絶縁膜40との間、底面電極150上に設けられ、溝の内部の隙間に層間絶縁膜70が埋め込まれている。層間絶縁膜70によって、ゲート電極50と底面電極150とが絶縁分離されている。半導体装置では、ゲート電極50の下面から溝の底面までの距離(以下において、「第1の距離d1」という。)が、底面電極150の下面から溝の底面までの距離(以下において、「第2の距離d2」という。)よりも長い又は第1の距離d1と第2の距離d2が等しい。即ち、ゲート電極50の下方におけるゲート電極50とドリフト領域10との間の絶縁膜の厚み(図1において内壁絶縁膜40と層間絶縁膜70の厚みの和)が、底面電極150の下方における底面電極150とドリフト領域10との間の絶縁膜の厚み(図1において内壁絶縁膜40の厚み)よりも厚い又は等しい。
ドリフト領域10は、p型のコレクタ領域60の一方の主面上に配置されている。なお、ドリフト領域10とコレクタ領域60間に、ドリフト領域10よりも不純物濃度の高いn型のフィールドストップ領域65が配置されている。フィールドストップ領域65によって、半導体装置のオン状態でコレクタ領域60からドリフト領域10に達する正孔の量を制限される。また、半導体装置のオフ状態でドリフト領域10の上面から延伸する空乏層がコレクタ領域60に達することが抑制される。コレクタ領域60の他方の主面上には、コレクタ領域60と電気的に接続するコレクタ電極80が配置されている。
ベース領域20と対向する内壁絶縁膜40を挟んでゲート電極50が配置されている。ベース領域20の上部には選択的にエミッタ領域30が配置されている。エミッタ電極90は層間絶縁膜70上に配置され、エミッタ電極90がベース領域20とエミッタ領域30に接続する。層間絶縁膜70によって、ゲート電極50とエミッタ電極90とは電気的に絶縁されている。
図1に示した半導体装置では、内壁絶縁膜40を介してゲート電極50と対向するベース領域20の表面が、チャネルの形成されるチャネル領域である。つまり、内壁絶縁膜40のゲート電極50とベース領域20間の領域が、ゲート絶縁膜として機能する。エミッタ領域30からドリフト領域10まで溝に沿ってベース領域20にチャネルが形成されるように、ゲート電極50は少なくともベース領域20に対向して配置される。さらに、ゲート電極50の溝のコーナー側の端(溝の側面側の端)はベース領域20とドリフト領域10との界面が溝の側面と交わる位置よりも低い位置、つまりドリフト領域10上まで延伸している事が望ましい。これにより、エミッタ領域30からドリフト領域10まで溝に沿って、ベース領域20にチャネルが確実に形成され、半導体装置を確実にオンさせることができる。
図1に示すように、溝の内壁の対向する側面のそれぞれに、ゲート電極50が配置されている。そして、溝の延伸方向に垂直な断面において、ゲート電極50は溝の内壁に沿って連続的には配置されておらず、溝の底面にはゲート電極50が配置されていない。
ここで、図1に示した半導体装置の動作について説明する。エミッタ電極90とコレクタ電極80間に所定のコレクタ電圧を印加し、エミッタ電極90とゲート電極50間に所定のゲート電圧を印加する。例えば、コレクタ電圧は300V〜1600V程度、ゲート電圧は10V〜20V程度である。このようにして半導体装置をオン状態にすると、チャネル領域がp型からn型に反転してチャネルが形成される。形成されたチャネルを通過して、エミッタ電極90から電子がドリフト領域10に注入される。コレクタ領域60とドリフト領域10との間が順バイアスされ、コレクタ電極80からコレクタ領域60を経由して正孔(ホール)がドリフト領域10、ベース領域20の順に移動する。更に電流を増やしていくと、コレクタ領域60からの正孔が増加し、ベース領域20の下方に正孔が蓄積される。その結果、伝導度変調によってオン電圧が低下する。
半導体装置をオン状態からオフ状態にする場合には、ゲート電圧をしきい値電圧よりも低く制御する。例えば、ゲート電圧を、エミッタ電圧と同じ電位又は負電位となるようにする。これにより、ベース領域20のチャネルが消滅して、エミッタ電極90からドリフト領域10への電子の注入が停止する。コレクタ電極80の電位がエミッタ電極90よりも高いので、ベース領域20とドリフト領域10との界面から空乏層が広がっていくと共に、ドリフト領域10に蓄積された正孔はエミッタ電極90に抜けていく。このとき、正孔は、溝と溝の間の半導体領域を通過して移動する。つまり、溝間の領域が正孔の吸出し口である。
従来、トレンチゲート型の半導体装置では、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間で放電が発生し、誤動作する問題があった。しかし、図1に示した半導体装置では、溝の深さよりも溝の幅が大きく、溝の底面が全体に亘って比較的平坦である。そして、ゲート電極50の下面の少なくとも底面電極150と対向する側の位置が底面電極150のゲート電極50側の上面の位置よりも上側にある。そして、ゲート電極50の下面の少なくとも底面電極150と対向する側から溝の底面までの距離が、ゲート電極50と対向する側面側の底面電極150の下面から溝の底面までの距離よりも長い。その結果、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間での放電の発生し、誤動作することを低減することができる。
更に、図1に示した半導体装置では、ゲート電極50が溝の底面に配置されておらず、ゲート電極50の下面と溝との間の距離がゲート電極50の側面と溝との間の距離よりも大きいことが望ましい。このため、ゲート電極50とコレクタ領域60間の帰還容量(ゲート−コレクタ間容量)を低減することができる。
更に、溝の底面上にエミッタ領域30と同電位の底面電極150が配置されることによって、半導体装置がオフ状態においてフィールドプレートとして機能し、溝の底部からドリフト領域10へ良好に空乏層を広げることができる。更に、溝の底面上に底面電極150が配置されることによって、溝内全体にゲート電極50を設ける場合に比べて、ゲート−コレクタ間の帰還容量がより低減される。なお、底面電極150をエミッタ領域30と電気的に接続するために、例えば、溝に埋め込まれた層間絶縁膜70に貫通孔を設け、この貫通孔を導電体膜で埋め込んで底面電極150とエミッタ電極90とを電気的に接続する。貫通孔は活性領域の少なくとも一部に設けても良いし、底面電極150の端部(半導体装置の外周側)に設けても良い。
更に、図1に示した半導体装置では、ゲート電極50の下方における第1の距離d1が、底面電極150の下方における第2の距離d2よりも長いことが望ましい。つまり、ゲート電極50とコレクタ領域60との間隔が広く、これにより、ゲート−コレクタ間の帰還容量を更に低減することができる。
上記のように、図1に示した半導体装置では、溝の底面で生じる帰還容量が低減される。その結果、半導体装置のスイッチング時間を短縮することができる。
また、第1の距離d1を第2の距離d2よりも長くすることにより、図2に示すように、ゲート電極50の端部51と底面電極150の端部151との距離や、ゲート電極50の端部51と溝のコーナー部101(溝の底面と側面との境界部)との距離が広がる。その結果、ゲート電極50の端部51と底面電極150の端部151との間での放電の発生、及び、ゲート電極50の端部51と溝のコーナー部101との間での放電の発生を抑制できる。したがって、図1に示した半導体装置において、電気的特性を安定にすることができる。
なお、ゲート電極50と底面電極150が離間して配置されているため、これらの電極から離れた位置であることにより、溝のコーナー部101の耐圧が低下する。この耐圧の低下を抑制するためには、ゲート電極50が溝のコーナー部101の近くに配置されていることが好ましい。したがって、図2に示すように、ゲート電極50の下面の位置が、底面電極150の上面の位置よりも下方であることが好ましい。
また、図2に示したように、溝の底面に配置された領域の膜厚が、溝の側面に配置されてベース領域20に対向する領域の膜厚よりも厚くなるように、内壁絶縁膜40を形成することが好ましい。ゲート電極50の幅を広くすると、溝の底面におけるゲート電極50と半導体領域との間に生じる寄生容量は増加する傾向にある。しかし、溝の底面において内壁絶縁膜40の膜厚を厚くすることにより、この寄生容量を低減することができる。
ただし、内壁絶縁膜40の溝の側面に配置された領域はゲート絶縁膜として機能するため、溝の側面で内壁絶縁膜40の膜厚を厚くするのには限界がある。このため、内壁絶縁膜40の溝の側面に配置された領域の膜厚に比べて、内壁絶縁膜40の溝の底面に配置された領域の膜厚を厚くする。例えば、内壁絶縁膜40の溝の底面での膜厚を300nm程度とし、溝の側面での膜厚を150nm程度とする。
ところで、内部にゲート電極50が配置される溝の幅Wが、一定程度までは広いほど、以下に説明するように、半導体装置のオン電圧が低下し、且つ耐圧が向上する。この場合の溝の幅Wは、例えば3μm〜20μm程度である。
まず、オン電圧が低下する理由を説明する。半導体装置がオン状態になると、チャネル領域に形成されたチャネルを通過して、エミッタ電極90から溝の側面に沿って主に移動してきた電子がドリフト領域10に注入される。溝の底面の下方でのドリフト領域10の厚みは例えば30μm〜180μmであり、溝の幅Wよりも十分に広い。このため、溝の幅Wが広くなったとしても、溝に沿って移動した電子は、溝よりも深い領域においてドリフト領域10で拡散する。これにより、溝間の領域の直下のコレクタ領域60とドリフト領域10の界面だけでなく、それよりも広い範囲でコレクタ領域60とドリフト領域10の界面が順バイアスとなり、正孔がコレクタ領域60からドリフト領域10に移動する。
コレクタ領域60から移動してきた正孔は溝の底面によってその移動が妨げられ、溝の底面近傍のドリフト領域10内に正孔が蓄積され、伝導度変調が生じる。溝の幅Wが広いほど溝の底面近傍のドリフト領域10内で正孔が蓄積されやすい。このため、エミッタ電極90へ移動する正孔が少なくなり、オン電圧が低下する。
なお、溝と溝の間隔Sが広いとベース領域20の下方に蓄積されずにベース領域20へと移動する正孔の量が増加するか、またはチップ面積が増大してしまう。したがって、オン電圧を低下させるためには、溝の幅Wが間隔Sよりも広いことが好ましい。
次に、溝の幅Wを広くすることにより、半導体装置の耐圧が向上する理由を説明する。半導体装置をオン状態からオフ状態にすると、ベース領域20とのPN接合からだけでなく、溝の底面周辺からもドリフト領域10内に空乏層が広がっていく。このとき、空乏層の広がり方が一様で、より広範囲に広がっていることが好ましい。空乏層の広がりが不均一であったり狭かったりする場合には、耐圧が低下する。溝の幅Wが狭い場合には、電界集中点である溝のコーナー部101同士が近いために、溝の底面の直下において空乏層が良好に一様且つ広範囲に広がらない。しかし、溝の幅Wが広い場合には、溝のコーナー部101が離れているために、コーナー部101間の溝の底面の直下における空乏層はより一様に又はより広範囲に広がる。このため、溝の幅Wが広い半導体装置では、耐圧が向上する。
また、溝と溝の間隔Sを相対的に狭くすることにより、半導体装置の耐圧は向上する。これは、以下の理由による。即ち、溝間の領域における空乏層の深さは、溝の直下の空乏層の深さよりも浅い。間隔Sが広いと、溝間の領域におけるベース領域20とのPN接合から広がる空乏層がより平坦化する。このため、溝の底面の空乏層が溝の側面から広がる空乏層へと連続する部分がより歪んだ形状となる。このために空乏層の歪んだ部分である溝のコーナー部101付近に電界が集中して、耐圧が低下する。したがって、間隔Sはある程度狭いことが好ましく、例えば、間隔Sを溝の幅Wよりも狭くする。
上記のように、図1に示した半導体装置において、溝の幅Wは広く、間隔Sは狭いことが好ましい。例えば、平面視において溝の延伸する長手方向の長さが溝の幅Wよりも長く、且つ、隣接する溝と溝の間隔Sよりも溝の幅Wが広いように、溝を形成する。
溝の幅Wが広い場合には、ゲート−コレクタ間の帰還容量は増加する傾向にある。しかし、図1に示した半導体装置では、溝の底面に底面電極150を用いた容量部が配置されることにより、ゲート−コレクタ間の帰還容量を低減することができる。
ここで、底面電極150の幅は底面電極150の厚みより大きいことが望ましい。これにより、ゲート電極50が底面電極150と対向する部分を抑制しながら、ゲート電極50を溝のコーナー部101に近づけることができる。その結果、ゲート−エミッタ間の容量を抑制しつつ、耐圧を確保することができる。
ところで、チップ面積には限界があるため、チップサイズを一定とした場合に溝の幅Wを広げると、チャネル本数が減少する。このとき、半導体装置のチップサイズに占めるチャネル領域の割合が一定程度まで減少すると、コレクタ−エミッタ間の飽和電圧が増大する。このため、溝の幅Wを広げることで正孔が蓄積されてオン電圧が低下する効果よりも、チャネル本数の減少によるオン電圧の上昇の効果が大きくなると、半導体装置のオン電圧は上昇する。
上記観点から本発明者らが検討した結果、溝の幅Wは3μm〜20μm程度であることが好ましい。更に、溝の幅Wが5μm〜13μm程度であることがより好ましい。本発明者らの検討によれば、溝の幅Wが7μm程度の場合に、最も効果的にオン電圧が低減される。溝の深さは一般的に5μm程度であるため、溝の幅Wを広くした結果、溝の幅Wが溝の深さよりも大きい場合が生じる。
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る半導体装置では、ゲート電極50の下面から溝の底面までの第1の距離d1が、底面電極150の下面から溝の底面までの第2の距離d2よりも長い。これにより、ゲート−コレクタ間の帰還容量をより低減できる。その結果、半導体装置のスイッチング速度が向上する。また、半導体装置の内部での放電の発生を抑制できる。これにより、電気的特性が安定する。更に、溝の幅Wを広げることにより、高耐圧で低オン電圧の半導体装置を実現できる。
図3〜図10を参照して、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図3〜図10は、1つの溝を含む領域について図示している。なお、以下に述べる製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
図3に示すように、p+型のコレクタ領域60とn+型のフィールドストップ領域65の積層体の上に形成されたn-型のドリフト領域10上に、不純物拡散法又はエピタキシャル成長法によってp-型のベース領域20を形成する。例えば不純物拡散法によれば、ドリフト領域10の上面からp型不純物をドリフト領域10に注入した後、アニール処理による拡散を行って、ベース領域20が実質的に一様の厚みで形成される。ベース領域20中のp型不純物は、例えばボロン(B)である。次いで、図4に示すように、ベース領域20の上面の一部に、例えばイオン注入と拡散を用いて、n+型のエミッタ領域30を選択的に形成する。
その後、図5に示すように、エミッタ領域30の上面から延伸してエミッタ領域30とベース領域20を貫通し、ドリフト領域10に先端が到達する溝100を形成する。溝100は、例えばフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて形成される。
次いで、図6に示すように、溝100の内壁面上に内壁絶縁膜40を形成する。例えば、内壁絶縁膜40として、酸化シリコン(SiO2)膜を熱酸化法で形成する。内壁絶縁膜40の膜厚は、例えば100nm〜300nm程度である。
内壁絶縁膜40を形成後、不純物を添加したポリシリコン膜500を全面に形成する。これにより、図7に示すように、溝100の内部で内壁絶縁膜40上にポリシリコン膜500が配置される。このとき、図7に示すように、溝100の内部はポリシリコン膜500によって埋め込まれず、ポリシリコン膜500は溝100の壁面に沿って形成される。
次いで、図8に示すように、ゲート電極50が形成される溝側面と底面電極150が形成される溝底面のポリシリコン膜500の表面に、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術などを用いてマスク510を形成する。図8に示すように、溝側面に配置されたマスク510aと溝底面に形成されたマスク510bの間には隙間が設けられている。例えば、マスク510a及びマスク510bに酸化膜などが使用される。
図8に示したマスク510をエッチング用マスクに用いて、等方性エッチングによってポリシリコン膜500をエッチングする。このとき、マスク510aとマスク510bとの隙間から進入するエッチング種によって、溝100のコーナー部に配置されたポリシリコン膜500がエッチングされる。これにより、図9に示すように、ポリシリコン膜500の下面と内壁絶縁膜40との間に隙間が形成される。以上により、ポリシリコン膜からなるゲート電極50が形成される。このとき、ゲート電極50の下面と内壁絶縁膜40との間に完全な隙間が形成されず、ゲート電極50の下面と内壁絶縁膜40とが一部接している場合、第1の距離d1と第2の距離d2が等しくなる。また、ゲート電極50の下面と内壁絶縁膜40との間に完全な隙間が形成された場合、後の図10の工程によって隙間が層間絶縁膜70で埋められるので、第1の距離d1が第2の距離d2より長くなる。
また、ポリシリコン膜500のマスク510bによってマスクされた領域が、底面電極150として溝100の底面に残存する。この製造方法では、ゲート電極50と底面電極150とは同一工程で形成され、ゲート電極50の材料と底面電極150の材料が同じである。
マスク510を除去した後、図10に示すように、溝100を埋め込むようにして全面に層間絶縁膜70を形成する。その後、エミッタ領域30とベース領域20に接続するエミッタ電極90を層間絶縁膜70上に形成する。例えば、層間絶縁膜70の一部に開口部を設けてエミッタ領域30とベース領域20の表面を露出させ、この開口部を埋め込むようにエミッタ電極90を形成する。更に、コレクタ領域60の裏面上にコレクタ電極80
を形成して、図1に示した半導体装置が完成する。
以上に説明した本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極50の下面から溝100の底面までの第1の距離d1を、底面電極150の下面から溝100の底面までの第2の距離d2よりも長く又は同じとすることができる。できる。その結果、ゲート−コレクタ間容量が低減される。更に、ゲート電極50の端部51と底面電極150の端部151との間での放電や、ゲート電極50の端部51と溝のコーナー部101との間での放電を抑制できる。
なお、溝の底面での膜厚が溝の側面での膜厚よりも厚くなるように内壁絶縁膜40を形成するためには、以下の方法などを採用可能である。即ち、溝100の内壁の全体に酸化膜を形成した後に、側面上の酸化膜をエッチング除去する。その後、溝の側面上及び底面上に、酸化膜を再び形成する。
また、上記ではゲート電極50と底面電極150とが同一工程で形成され、ゲート電極50の材料と底面電極150の材料が同じである場合を例示的に説明した。しかし、ゲート電極50と底面電極150を異なる工程で形成してもよい。この場合に、ゲート電極50の材料と底面電極150の材料が異なっていてもよい。
図10を参照して説明した層間絶縁膜70の形成では、ゲート電極50の下方に隙間なく層間絶縁膜70を配置する必要がある。ゲート電極50と底面電極150に囲まれたコーナー部に層間絶縁膜70を隙間なく埋め込むためには、層間絶縁膜70にリフロー性の高い形成時に柔軟な材料を使用することが好ましい。
例えば、層間絶縁膜70に、リン(P)を高濃度に含むBPSG膜などが好適に使用される。ただし、ゲート電極50にポリシリコン膜を採用した場合に、BPSG膜とゲート電極50とが接触すると、ゲート電極50にリンが拡散する。その結果、ゲート電極50の導電性が変化し、半導体装置の特性が劣化する。
このため、ゲート電極50の導電性を変化させないように、図11に示すように、ゲート電極50とBPSG膜からなる第1の層間絶縁膜71との間に、リンの拡散を防止する保護膜として第2の層間絶縁膜72を配置することが好ましい。第2の層間絶縁膜72には、ゲート電極50の導電性に影響しない材料を使用する。例えば、TEOSによるNSG膜などが、第2の層間絶縁膜72に好適である。なお、第2の層間絶縁膜72は第1の層間絶縁膜71よりも薄く形成しても良い。層間絶縁膜71を厚く形成する事で、溝内に層間絶縁膜70を隙間なく埋め込む事ができる。
上記のように、リフロー性は高いがゲート電極50の導電性を変化させる材質の第1の層間絶縁膜71と、ゲート電極50の導電性に影響しない第2の層間絶縁膜72とを積層した層間絶縁膜70を用いることが好ましい。これにより、層間絶縁膜70によってコーナー部まで隙間なく溝の内部を埋め込み、且つ、半導体装置の特性の劣化を防止できる。
また、ゲート電極50の表面を熱酸化することにより、図12に示すように、ゲート電極50と第2の層間絶縁膜72との間に、熱酸化膜73を配置してもよい。緻密で均一な膜厚の熱酸化膜73によって、BPSG膜からなる第1の層間絶縁膜71からゲート電極50へのリンの拡散をより確実に防止できる。
なお、コーナー部に層間絶縁膜70を進入させやすくするために、図11に示すように、溝のコーナー側のゲート電極50の端と底面電極150側のゲート電極50の端を繋ぐようにゲート電極50の下面が形成されており、ゲート電極50の下面の少なくとも一部が欠けていても良い。また、溝のコーナー側のゲート電極50の端と底面電極150側のゲート電極50の端を繋ぐように、ゲート電極50の下面にテーパーをつけてもよい。即ち、ゲート電極50の下面と溝100の底面との距離が、溝100の側面に近づくにつれて短くなるようにすることにより、層間絶縁膜70がコーナー部に進入しやすくなる。
ここで、図11の半導体装置において、溝のコーナー部側のゲート電極50の下面の端部(溝のコーナー側のゲート電極50の端)から溝の底面までの距離(d3)が、ゲート電極50側の底面電極150の下面から溝の下面までの距離(d5)よりも長い。そして、底面電極150側のゲート電極50の下面の端部(底面電極150側のゲート電極50の端)がゲート電極50側の底面電極150の上面よりも高い位置にあり、底面電極150側のゲート電極50の下面の端部がゲート電極50側の底面電極150の上面よりも上方に位置している。また、底面電極150側のゲート電極50の端部から溝の底面までの距離(d4)が、ゲート電極50側の底面電極150の上面から溝の底面までの距離(d6)よりも長い。そして、溝のコーナー部側のゲート電極50の下面の端部と底面電極150側のゲート電極50の端部とを繫ぐように、ゲート電極50の下面が形成されている。ゲート電極50の下面において、少なくとも一部が欠けており、例えばゲート電極50の下面にテーパーが設けられている。図11の半導体装置において、底面電極150側のゲート電極50の端部と底面電極150との間の放電を抑制し、半導体装置が誤動作することを低減することができる。
ここで、図17の半導体装置に示すように、溝のコーナー部側のゲート電極50の下面の端部から溝の底面までの距離(d3)が、ゲート電極50と対向する側の底面電極150の下面から溝の上面までの距離(d5)と同じとしても良い。ちなみに、図17の半導体装置においても、底面電極150側のゲート電極50の下面の端部がゲート電極50側の底面電極150の上面よりも上方に位置しており、底面電極150側のゲート電極50の下面から溝の底面までの距離(d4)が、底面電極150の上面までの距離(d6)よりも長くなるように、ゲート電極50の下面にテーパーが設けられている。よって、図17の半導体装置においても、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間での放電の発生し、誤動作することを低減することができる。また図11の半導体装置と比較して帰還容量は増加するが、図17の半導体装置は、ゲート電極50が溝のコーナー部101の近くに配置されることによって、溝のコーナー部101の近くの耐圧が改善されるので、好ましい。
また、図18に示すように、溝のコーナー部側のゲート電極50の端から溝の底面までの距離(d3)が、ゲート電極50と対向する側の底面電極150の下面から溝の底面までの距離(d5)よりも小さくしても良い。ちなみに、図18の半導体装置においても、底面電極150側のゲート電極50の端部が底面電極150の上面よりも上方に位置しており、底面電極150側のゲート電極50の端から溝の底面までの距離(d4)が、底面電極150の上面から溝の底面までの距離(d6)よりも長くなるように、ゲート電極50の下面にテーパーが設けられている。図18の半導体装置においても、ゲート電極の端部と底面電極の端部との間での放電の発生することを抑制し、誤動作することを低減することができる。また図11の半導体装置と比較して帰還容量は増加するが、図18の半導体装置は、ゲート電極50が溝のコーナー部101の近くに配置されることによって、溝のコーナー部101の近くの耐圧が更に改善されるので、更に好ましい。
また、図11に示すように、底面電極150の上面よりも底面電極150の下面が広く、溝100の側面に近づくにつれて底面電極150の膜厚が薄くなるように、底面電極150を台形状にしてもよい。これによっても、層間絶縁膜70がコーナー部に進入しやすくなる。
また、図11に示すように、底面電極150の下面と溝のコーナー部側のゲート電極50の端との間の距離が、底面電極150の上面と底面電極150側のゲート電極50の端との間の距離より長い。これにより、ゲート電極50と底面電極150との隙間で生じる電界の歪みをなだらかにする事ができる。
ところで、溝100の幅Wを広くした場合は、溝100の上方で層間絶縁膜70の上面に凹みが生じて、エミッタ電極90とゲート電極50の上部との間隔が狭くなって耐圧が低下するおそれがある。このため、図11に示すように、ゲート電極50の上面にテーパーをつけてもよい。溝100の中央部に近づくほどゲート電極50の上面を低くすることにより、ゲート電極50とエミッタ電極90が近接することに起因する半導体装置の耐圧の減少を抑制できる。
<変形例>
図13に、本発明の実施形態に係る半導体装置の変形例を示す。図13に示した半導体装置では、内壁絶縁膜40の膜厚が、溝の側面に近い周辺領域よりも、溝の側面から離れた中央領域で厚い。即ち、底面電極150の下面から溝の底面までの距離が、底面電極150の周辺領域よりも中央領域で長い。これにより、半導体装置のエミッタ−コレクタ間の容量を低減することができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上記では、半導体装置がIGBTである例を示した。しかし、半導体装置がトレンチゲート型を採用した他の構造のスイッチング素子であってもよい。図14に、半導体装置がトレンチゲート型のMOSFETである一例を示した。図14に示した半導体装置は、ドリフト領域10の下面にn型のドレイン領域160が配置された構造のMOSFETである。ドレイン領域160の下面に、ドレイン領域160と電気的に接続するドレイン電極180が配置されている。
図14に示したMOSFETの半導体装置の場合にも、ゲート電極50の下面から溝の底面までの第1の距離d1を、底面電極150の下面から溝の底面までの第2の距離d2よりも長くすることにより、ゲート−ドレイン間の帰還容量を低減できる。その結果、半導体装置のスイッチング速度が向上する。更に、トレンチゲート型のMOSFETにおいても、層間絶縁膜70を図11に示した第1の層間絶縁膜71と第2の層間絶縁膜72とを積層した構造にしてもよい。これにより、コーナー部まで隙間なく溝の内部を層間絶縁膜70で埋め込み、且つ、半導体装置の特性の劣化を防止できる。
また、図1の半導体装置では、ゲート電極50の下面の全面において、ゲート電極50の下面から溝の底面までの距離が、底面電極150の下面から溝の底面までの距離よりも長い場合を示した。しかし、ゲート電極50の下面の一部において、底面電極150側のゲート電極50の下面から溝の底面までの距離を、ゲート電極50と対向する側面側の底面電極150の下面から溝の底面までの距離よりも長くする。さらに、ゲート電極50の溝の側面側の位置を底面電極150の側面側の上面の位置よりも下側まで延ばし、底面電極150の側面側の下面の位置とほぼ同じとする。この場合にも、ゲート−ドレイン間の帰還容量を低減できる。図16から図18の半導体装置のようにゲート電極50とBPSG膜からなる第1の層間絶縁膜71との間に、リンの拡散を防止する保護膜として第2の層間絶縁膜72/及び熱酸化膜73を設けなくてもよい。
例えば、図15に示した半導体装置では、第2の層間絶縁膜72/及び熱酸化膜73を設けておらず、層間絶縁膜70は第1の層間絶縁膜71で形成されている。ここで、ゲート電極50の底面電極側の端がゲート電極50側の底面電極150の上面よりも上方にあり、ゲート電極50の下面の一部(底面電極150側のゲート電極50の端)から溝の底面までの距離(d4)が、底面電極150の上面から溝の底面までの距離(d6)よりも長い。そして、ゲート電極50の下面の他の一部(溝のコーナー側のゲート電極50の端)から溝の底面までの距離(d3)は、底面電極150の下面から溝の底面までの距離(d5)と同じである。図15に示した半導体装置においても、ゲート−ドレイン間の帰還容量を低減できる。また、溝のコーナー部での耐圧を改善することができる。また、ゲート電極50の端部と底面電極150の端部との間での放電の発生し、誤動作することを低減することができる。
なお、図15に示した半導体装置において、ゲート電極50の下面の他の一部(溝のコーナー側のゲート電極50の端)から溝の底面までの距離(d3)は、底面電極150の下面から溝の底面までの距離(d5)より長くしても良い。この半導体装置においても、ゲート−ドレイン間の帰還容量を低減できる。また、ゲート電極50の端部と底面電極150の端部との間での放電の発生し、誤動作することを低減することができる。
なお、図15に示した半導体装置において、ゲート電極50の下面の他の一部(溝のコーナー側のゲート電極50の端)から溝の底面までの距離(d3)は、底面電極150の下面から溝の底面(d5)までの距離より短くしても良い。この半導体装置においても、ゲート電極50の端部と底面電極150の端部との間での放電の発生し、誤動作することを低減することができる。また、溝のコーナー部での耐圧をより改善することができる。また、溝のコーナー部近くまでゲート電極50があることによって、溝のコーナー部近くの電界をより緩和することが出来る。
また、図16から図18の半導体装置において、ゲート電極50の下面にテーパーを設けたが、ゲート電極50の下面にテーパーを設けず、底面電極150側のゲート電極50の下面の高さは溝のコーナー部側のゲート電極50の底面の高さと同じとしても良い。また、図16から図18の半導体装置において、底面電極150側のゲート電極50の端の高さは底面電極150の上面の高さより低くしても良い。上記の半導体装置においても、BPSG膜からなる第1の層間絶縁膜71からゲート電極50へのリンの拡散をより確実に防止できる。
また、図16から図18の半導体装置において、底面電極150を設けず、周知のトレンチゲート型を採用した他の構造のスイッチング素子に適応しても良い。上記の半導体装置において、BPSG膜からなる第1の層間絶縁膜71からゲート電極50へのリンの拡散をより確実に防止できる。
また、図11では溝100の側面に近づくにつれて底面電極150の膜厚が薄くなるように、つまり底面電極150の上面の幅が底面電極150の下面の幅よりも小さくなるように、底面電極150を台形状にした。しかし、図16に示すように、溝100の側面に近づくにつれて底面電極150の膜厚が厚くなるように、底面電極150を台形状にしても良い。これにより、底面電極150とゲート電極50と内壁絶縁膜40との間に挟まれた層間絶縁膜70の部分における底面電極150及びゲート電極50との密着性が良好になり、層間絶縁膜70上のエミッタ電極90にボンディングされた際に層間絶縁膜70にずれが生じることを抑制することができる。
なお、図16の半導体装置は図11の半導体装置と比較して底面電極150を変更した場合であるが、逆に、図17又は図18の半導体装置において、図11の半導体装置の底面電極150のように、底面電極150の上面の幅が底面電極150の下面の幅より短い台形状の底面電極150に置き換えしても良い。この場合、ゲート電極50の下面と底面電極150との距離を厚み方向に十分確保することができるので、ゲート電極50と底面電極150との間の放電を良好に抑制することができる。
なお、半導体装置がnチャネル型である場合を例示的に説明したが、半導体装置がpチャネル型であっても本発明の効果を得られることは明らかである。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
10…ドリフト領域
20…ベース領域
30…エミッタ領域
40…内壁絶縁膜
50…ゲート電極
60…コレクタ領域
65…フィールドストップ領域
70…層間絶縁膜
71…第1の層間絶縁膜
72…第2の層間絶縁膜
73…熱酸化膜
80…コレクタ電極
90…エミッタ電極
100…溝
150…底面電極

Claims (11)

  1. 第1導電型の第1半導体領域と、
    前記第1半導体領域の上に配置された第2導電型の第2半導体領域と、
    前記第2半導体領域の上に配置された第1導電型の第3半導体領域と、
    前記第3半導体領域の上面から延伸して前記第3半導体領域及び前記第2半導体領域を
    貫通する溝の内壁に配置された内壁絶縁膜と、
    前記第2半導体領域の側面に対向して前記溝の側面の前記内壁絶縁膜の上に配置された
    制御電極と、
    前記制御電極と絶縁分離されて前記溝の底面の前記内壁絶縁膜の上に配置された底面電
    極と、
    前記制御電極と前記底面電極との間を絶縁する層間絶縁膜と
    を備え、
    前記溝のコーナー側の前記制御電極の端は前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との界面が前記溝の側面と交わる位置よりも低い位置まで延伸し、
    前記底面電極側の前記制御電極の端は、前記制御電極側の前記底面電極の上面の位置よりも高く、
    前記溝のコーナー側の前記制御電極の端と前記底面電極側の前記制御電極の端を繋ぐように前記制御電極の下面を備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記底面電極側の前記制御電極の前記下面の少なくとも一部が欠けていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記制御電極の前記下面と前記溝の前記底面との距離が前記溝の前記側面に近づくにつれて短くなるように、前記制御電極の前記下面にテーパーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の半導体装置。
  4. 前記溝のコーナー側の前記制御電極の前記端の高さは、前記制御電極側の前記底面電極の下面の高さ以上であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の半導体装置。
  5. 前記底面電極側の前記制御電極の前記端から前記溝の前記底面までの距離が、前記底面電極の前記下面から前記溝の前記底面までの距離よりも長く、
    前記溝のコーナー側の前記制御電極の前記端から前記溝の前記底面までの距離が、前記底面電極の前記下面から前記溝の前記底面までの距離以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 前記底面電極の下面と前記溝のコーナー側の前記制御電極の前記端との距離が、前記制御電極側の前記底面電極の上面と前記底面電極側の前記制御電極の前記端との距離よりも長い事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記溝の前記側面に近づくにつれて前記底面電極の膜厚が薄くなるように、前記底面電極が台形状であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記底面電極の前記下面から前記溝の前記底面までの距離が、前記底面電極の前記下面において周辺領域よりも中央領域で長いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
  9. 平面視において前記溝の延伸する方向の長さは前記溝の幅よりも長く、且つ、隣接する
    前記溝の間隔よりも前記溝の幅が広いことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項
    に記載の半導体装置。
  10. 前記内壁絶縁膜の膜厚が、前記溝の前記底面に配置された領域において、前記溝の前記側面に配置された領域よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記
    載の半導体装置。
  11. 前記制御電極の前記下面の全面において、前記制御電極の前記下面から前記溝の前記底面までの距離が、前記底面電極の前記下面から前記溝の前記底面までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
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