JP2018021149A - 臭気を軽減したポリビニルアセタール樹脂及び繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特有の臭気を抑制したポリビニルアセタール樹脂及びそれからなる繊維などの成形品を提供することを目的とする。【解決手段】 フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤を含むポリビニルアセタール樹脂であって、該酸化防止剤はその分子構造にリン原子を有さない酸化防止剤であり、かつ該ポリビニルアセタール樹脂中のリン原子濃度が5ppm以下である、ポリビニルアセタール樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、臭気を軽減したポリビニルアセタール樹脂及び繊維に関する。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する場合がある。)とアルデヒド化合物を用いて、酸性条件下、水中にて、アセタール化反応することにより得られる。ポリビニルアセタールからなるフィルムは強靭であること、親水性のヒドロキシ基と疎水性のアセタール基を併せ持つユニークな構造であることなどから、様々な用途に用いられており、種々のポリビニルアセタールが提案されている。中でもPVAとブチルアルデヒドから製造されるポリビニルブチラール(以下、PVBと略称することがある。)は、さまざまな材料に対する接着性や相溶性、有機溶剤への溶解性に優れており、セラミック用バインダー、接着剤、インク、塗料、合せガラス用中間膜として広く用いられている。近年では、繊維として用いることも提案されており、例えば、特許文献1には、PVBからなる不織布が記載されていて、それを接着層として用いることによって力学特性や吸音性に優れた多層構造体が得られるとされている。しかしながら、PVBなどのポリビニルアセタール樹脂は、それを取り扱う時に臭気が発生するという問題を有しており、さらにポリビニルアセタール樹脂を含む繊維成形品の場合は、繊維形状とすることで表面積が増大するため、臭気発生の問題がより大きくなる。また、ポリビニルアセタールの中でもPVBは特有の臭気を生じ、またPVB繊維に成形した場合には特に臭気が強くなり、これを取り扱う作業者によっては臭気が原因で頭痛が発生するなどの問題が生じることがあった。
ポリビニルアセタール繊維の臭気の発生を抑制する方法が検討されており、例えば特許文献2には、PVB繊維のブチラール化度およびブチルアルデヒドの含有量を特定の値とすることで、PVB繊維の臭気が抑制される旨が記載されている。
WO2006/101175号 WO2014/157080号
先行文献2のように、PVB樹脂の臭気をある程度抑制する方法が検討されているものの、臭気抑制の効果はまだ十分とは言えず、臭気のさらなる抑制が要望されている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、特有の臭気を抑制したポリビニルアセタール樹脂及びそれからなる繊維などの成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアセタールの臭気発生機構はポリビニルアセタールポリマーの側鎖部位が脱離することで生じる低分子量化合物が原因であることを見出し、このような側鎖の脱離を抑制する手段として、特定の分子構造を有するフェノール系の酸化防止剤またはヒンダードアミン系の酸化防止剤が有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤を含むポリビニルアセタール樹脂であって、該酸化防止剤はその分子構造中にリン原子を有さない酸化防止剤であり、かつ該ポリビニルアセタール樹脂のリン原子濃度が5ppm以下である、ポリビニルアセタール樹脂である。
さらに、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、その酸価が0.03mgKOH/g以下であってもよい。
さらに、本発明においては、前記酸化防止剤がその分子構造に硫黄原子を有さない酸化防止剤であってもよい。
さらに、前記酸化防止剤が、炭素原子、窒素原子、酸素原子および水素原子のみからなる群から選択される少なくとも一つの原子から構成された酸化防止剤であってもよい。
また、本発明においては前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であってもよい。
また、本発明は、前記ポリビニルアセタール樹脂からなる成形品であってもよい。
また、本発明は、前記ポリビニルブチラール樹脂からなる繊維であってもよい。
本発明者らは、ポリビニルアセタールの臭気発生の原因が、ポリビニルアセタールの側鎖が切断されて低分子量化合物が脱離し、この低分子量化合物が臭気の原因となっていると考え、ポリビニルアセタールの臭気抑制に特に効果的な酸化防止剤について種々検討した。
高分子化合物に添加される酸化防止剤は、一般的に高分子化合物のポリマー主鎖が切断されることによる重合度の低下、すなわち低分子量化を防ぐ目的で使用される。酸化防止剤の低分子量化抑制の機構としては、例えばフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系酸化防止剤であればラジカルを捕集機能によって、またリン系酸化防止剤であれば過酸化物の分解機能によって、それぞれ高分子化合物のポリマー主鎖の切断を抑制する機構が知られている。これら機構の異なる酸化防止剤はしばしば併用して用いられ、酸化防止剤の分子構造中にフェノール部位とリン部位の両方を有する、ラジカルを捕集機能と過酸化物の分解機能を両方併せ持つ酸化防止剤も開発されている。
本発明者らは、ポリマー主鎖の切断抑制に効果があるとされる、分子構造中にフェノール部位とリン部位の両方を有する酸化防止剤をポリビニルアセタール樹脂に添加したところ、臭気抑制効果は不十分であり、むしろ分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系酸化防止剤の方が、臭気抑制効果が高いことを見出した。
本発明者らは、上記の事実からポリマー主鎖ではなく側鎖の脱離を防ぐ観点においては、ラジカルを捕集機能が効果的であり、リン系酸化防止剤の有する過酸化物の分解機能は、むしろ側鎖の脱離抑制効果を阻害すると考え、ポリビニルアセタールに、分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系酸化防止剤を添加し、かつポリビニルアセタール樹脂中のリン原子濃度を5ppm以下とすることで、ポリマー側鎖の脱離を効果的に抑制でき、臭気発生を低減できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、特定の臭気を抑制したポリビニルアセタール樹脂を提供することができる。また、前記ポリビニルアセタール樹脂を成形することで、臭気を抑制したポリビニルアセタール成形品を提供することできる。さらに、前記ポリビニルアセタール樹脂を紡糸することで、臭気を抑制したポリビニルアセタール繊維を提供できる。
本発明で使用されるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂をアルデヒド類によりアセタール化することにより得られる樹脂である。
ここで、原料となるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが使用され、好ましくは、炭素数1〜12のアルデヒド化合物であり、更に好ましくは炭素数1〜6の飽和アルキルアルデヒド化合物であり、特に炭素数1〜4の飽和アルキルアルデヒド化合物が好ましい。なかでも、機械的強度の点で、ブチルアルデヒドであることが特に好ましい。また、アルデヒド類は単一のものが使用されていても良いし、2種以上が併用されていても良い。更に、多官能アルデヒド類やその他の官能基を有するアルデヒド類などを全アルデヒド類の20質量%以下の範囲で少量併用されていても良い。
また、ポリビニルアセタール樹脂の原料として用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得たものを挙げることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便である。本発明の対象となるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度に、特に制限はないが、95モル%以上が好ましく、98%以上であることが更に好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の原料となるビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
以下、本発明をポリビニルアセタールの一様態であるPVBを用いて説明するが、本発明のポリビニルアセタールはPVBに限定されるものではない。
本発明のPVBは、以下の化学式(I)で表される。
Figure 2018021149
PVBのブチラール化度は、上記化学式(I)で表されるポリマー組成中における繰返し単位Xの含有比率で示される。ブチラール化度は、樹脂の流動性の観点から50〜90質量%であることが好ましく、55〜85質量%がより好ましい。
本発明で用いられるPVB樹脂の製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、ビニルエステル単量体を重合して得たポリビニルエステルをけん化することによりポリビニルアルコールを得て、これをブチラール化することによってPVB樹脂を得ることができる。
ポリビニルアルコールは、例えば、ビニルエステル単量体を重合して得たポリビニルエステルをけん化することにより得られる。ビニルエステル単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、公知の方法を適用することができる。その際、重合開始剤として、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などを、重合方法に応じて適宜選択すればよい。
ビニルエステル単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを用いればよく、なかでも酢酸ビニルを用いることが好ましい。上記ビニルエステル単量体を重合する際に、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合させてもよい。
けん化の方法としては、公知の方法である、アルカリ触媒又は酸触媒を用いた加アルコール分解による方法、加水分解による方法などを採用することができ、なかでも、溶剤としてメタノールを用い、触媒として苛性ソーダ(NaOH)を用いる方法が簡便であるため、好ましい。ビニルエステル単量体を重合して得たポリビニルエステルをけん化して得たポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位とビニルエステル単位とを含んでいる。例えば、ビニルエステル単量体として酢酸ビニルを用いた場合、上記製造方法により得られたポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位と酢酸ビニル単位とを含む。
ポリビニルアルコールのブチラール化は、公知の方法に基づいて行えばよく、例えば、酸触媒の存在下にポリビニルアルコールとn−ブチルアルデヒド(以下、単にブチルアルデヒドということがある。)とを混合すればよい。酸触媒は特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれを使用してもよく、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸などを用いればよい。なかでも、塩酸、硫酸、硝酸を用いる方法が一般的であり、特に塩酸を用いることが好ましい。
PVB樹脂の具体的な製造方法としては、以下の方法が代表的な方法として例示される。まず、80〜100℃のポリビニルアルコールの水溶液(濃度3〜15質量%)を調製し、当該水溶液の温度を、−10〜30℃まで、10〜60分かけて徐々に低下させる。次いで、当該水溶液に、ブチルアルデヒド及び酸触媒を加えて、−10〜30℃に保ちながら30〜300分ブチラール化反応を進行させた後、さらに30〜200分かけて、30〜80℃まで昇温させ、この温度範囲において1〜8時間保持する。引き続き、アルカリによる中和処理及び水洗を行った後に、乾燥することにより、ポリビニルブチラールの粉末を得ることができる。
本発明においては、分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤をPVB樹脂に添加することが重要であり、このような酸化防止剤を添加することで、PVBの臭気を低減することができる。
分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤が臭気低減に有効に働く機構については定かではないが、分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤は、ポリマー鎖切断を抑制する機構としてラジカル捕集機構が主として働き、このラジカル捕集機能がPVBの臭気発生原因となるポリマー側鎖、すなわち、化学式(I)で示されるところの繰り返し単位Xの側鎖の脱離抑制に顕著に働き、臭気原因であるブタン酸の発生防止に寄与していることが推測される。
また、臭気抑制機構を阻害しない観点から、前記フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤は、さらにその分子構造に硫黄原子を有さない酸化防止剤であってもよく、特に前記酸化防止剤が、炭素原子、窒素原子、酸素原子および水素原子のみからなる群から選択される少なくとも一つの原子から構成された酸化防止剤であってもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば2 − t − ブチル− 6 − ( 3 − t − ブチル− 2− ヒドロキシ− 5 − メチルベンジル) − 4 − メチルフェニルアクリレート、2 , 4 − ジt− アミル− 6 − ( 1 − ( 3 , 5 − ジt − アミル− 2 − ヒドロキシフェニル) エチル) フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物; 2 , 6 − ジt − ブチル− 4 − メチルフェノール、2 , 6 − ジt − ブチル− 4 − エチルフェノール、オクタデシル− 3 − ( 3 , 5 −ジt − ブチル− 4 − ヒドロキシフェニル) プロピオネート、2 , 2 ’ − メチレン− ビス(4 − メチル− 6 − t − ブチルフェノール) 、4 , 4 ’ − ブチリデン− ビス( 4 − メチル−6 − t − ブチルフェノール) 、4 , 4 ’ − ブチリデン− ビス( 6 − t − ブチル− m − クレゾール) 、4 , 4 ’ − チオビス( 3 − メチル− 6 − t − ブチルフェノール) 、ビス( 3 −シクロヘキシル− 2 − ヒドロキシ− 5 − メチルフェニル) メタン、3 , 9 − ビス( 2 − (3 − ( 3 − t − ブチル− 4 − ヒドロキシ− 5 − メチルフェニル) プロピオニルオキシ) −1 , 1 − ジメチルエチル) − 2 , 4 , 8 , 1 0 − テトラオキサスピロ[ 5 . 5 ] ウンデカン、1 , 1 , 3 − トリス( 2 − メチル− 4 − ヒドロキシ− 5 − t − ブチルフェニル) ブタン、1 , 3 , 5 − トリメチル− 2 , 4 , 6 − トリス( 3 , 5 − ジt − ブチル− 4 − ヒドロキシベンジル) ベンゼン、テトラキス( メチレン− 3 − ( 3 ’ , 5 ’ − ジt − ブチル− 4’ − ヒドロキシフェニル) プロピオネート) メタン、トリエチレングリコールビス( 3 −( 3 − t − ブチル− 4 − ヒドロキシ− 5 − メチルフェニル) プロピオネート) などのアルキル置換フェノール系化合物; 6 − ( 4 − ヒドロキシ− 3 , 5 − ジt − ブチルアニリノ)− 2 , 4 − ビス− オクチルチオ− 1 , 3 , 5 − トリアジン、6 − ( 4 − ヒドロキシ− 3 ,5 − ジメチルアニリノ) − 2 , 4 − ビス− オクチルチオ− 1 , 3 , 5 − トリアジン、6 −( 4 − ヒドロキシ− 3 − メチル− 5 − t − ブチルアニリノ) − 2 , 4 − ビス− オクチルチオ− 1 , 3 , 5 − トリアジン、2 − オクチルチオ− 4 , 6 − ビス− ( 3 , 5 − ジt − ブチル− 4 − オキシアニリノ) − 1 , 3 , 5 − トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物などがある。
具体的には、SUMILIZER BBM−S(住化ケムテックス社製)、IRGANOX 245FF(BASF社製)などが市販されている。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2 , 2 , 6 , 6 − テトラメチル− 4− ピペリジル)セバケート、ビス(1 , 2 , 2 , 6 , 6 − ペンタメチル− 4 − ピペリジル)セバケート、1 − [2 − [3 − (3 , 5 − ジ− t− ブチル− 4 − ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]− 4 − [3 − (3 , 5 − ジ− t− ブチル− 4 − ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]− 2 , 2 , 6 , 6 − テトラメチルピペリジン、8 − ベンジル− 7 , 7, 9 , 9 − テトラメチル− 3 − オクチル− 1 , 3 , 8 − トリアザスピロ[4 , 5 ]ウンデカン− 2 , 4 − ジオン、4 − ベンゾイルオキシ− 2 , 2 , 6 , 6 − テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル− 1 − (2 − ヒドロキシエチル)− 4 − ヒドロキシ− 2 , 2 , 6 , 6 −テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6 − (1 , 1 , 3 , 3 − テトラメチルブチル)イミノ− 1 , 3 , 5 − トリアジン− 2 , 4 − ジイミル][(2 , 2 , 6 , 6 − テトラメチル−4 − ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2 , 3 , 6 , 6 − テトラメチル− 4 − ピペリジル)イミノ]]、2 − (3 , 5 − ジ− t− ブチル− 4 − ヒドロキシベンジル)− 2 − n− ブチルマロン酸ビス(1 , 2 , 2 , 6 , 6 − ペンタメチル− 4 − ピペリジル)、N, N'− ビス(3 −アミノプロピル)エチレンジアミン− 2 , 4 − ビス[N− ブチル− N− (1 , 2 , 2 , 6 , 6, − ペンタメチル− 4 ピペリジル)アミノ]− 6 − クロロ− 1 , 3 , 5 − トリアジン縮合物などが挙げられる。
具体的には、TINUVIN 770DF(BASF社製)、TINUVIN 765(BASF社製)、TINUVIN 123(BASF社製)などが市販されている。
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、特に制限はないが、酸化防止剤の効果発現及び紡糸性の観点から樹脂の質量に対して100ppm〜10000ppmであることが好ましく、より好ましくは500〜5000ppmの範囲である。
また、本発明ではPVB中のリン原子濃度が5ppm以下であることが重要であり、1ppm以下がより好ましく、実質的にリン原子を含まないことがさらに好ましい。リン原子濃度を5ppm以下とすることで、PVBに添加された、分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤またはヒンダートアミン系酸化防止剤の臭気低減効果を顕著に発揮させることができる。
PVBに添加する酸化防止剤の分子構造中にリン原子が含まれる場合や、ポリビニルアセタール中のリン原子濃度が5ppmを超える場合には、臭気抑制効果が十分に得られない。これは、酸化防止剤やPVB中に含まれるリン原子の過酸化物捕集機能が、ポリマー側鎖の脱離抑制のためのラジカル捕集機構を阻害するためと推測される。
また、本発明のPVB樹脂は酸価が0.03mgKOH/g以下であることが好ましく、0.02mgKOH/g以下であることがより好ましい。PVB樹脂の酸価が上記の範囲内であれば、溶融紡糸時にPVBから生じるブタン酸量が少なく、臭気が低減される。
本発明の酸化防止剤をPVBに添加する工程において、150℃、2.16kgfにおけるメルト・フロー・レート(以下、MFRと略称することがある。)が0.2g/10分〜45g/10分であるPVBと、酸化防止剤とを溶融混練してもよい。この方法により溶融樹脂を調製することで、所定濃度の酸化防止剤が均一に分散された状態とすることができ、本発明の酸化防止剤の機能を効果的に発揮させたPVB樹脂を製造することができる。
上記の溶融混練の方法においては、PVBと酸化防止剤とを押出機に投入し、少なくとも一つのベントを用いて減圧して、臭気物質を脱気しながら溶融混練することが好ましい。押出機としては、単軸押出機や二軸押出機を用いることができ、ベントを複数有する押出機が好適である。溶融混練時の樹脂温度はPVBの溶融温度以上220℃以下であることが好ましい。220℃以下の比較的低い温度で溶融混練することにより、得られるPVBから発生するブタン酸量を少なくすることができる。
本発明において、PVBに酸化防止剤を添加する工程については特に限定されないが、例えばPVB樹脂の製造のための溶融混練時に本発明の酸化防止剤を添加しても良い。PVB樹脂の製造時の熱によって、PVBが分解し、ブタン酸を初めとした様々な臭気物質が生成するため、PVB樹脂の製造工程における溶融混練時に本発明の酸化防止剤を押出機に投入することで、溶融混練中のPVBの分解が抑えられ、臭気を抑制することができる。
PVB樹脂の製造に用いられるPVBの含水率は、5質量%以下であることが好ましい。水分含有量を5質量%以下であれば、過剰な水分の脱気によってブタン酸の脱気が妨げられる事がないため、得られるPVB樹脂のブタン酸含有量を少なくすることができる。また、粉体状のPVBの飛散を抑制する観点から、水分含有量は、0.1質量%以上であることが好ましい。PVBの含水率を上記範囲に調整する方法としては、例えば、中和処理及び水洗を行った後の乾燥条件を調節する方法などが挙げられる。
以上のようにして押出機で溶融混練した後、押出してから切断され、PVB樹脂が得られる。押出し方法としては、溶融樹脂をストランド状に押出す方法が好適である。切断方法としては、回転カッターなどのカッターで切断する方法が好適である。
本発明のPVB成形品は、前記PVB樹脂を成形することで得ることができる。
本発明のPVB樹脂の成形方法としては、公知の成形技術を用いることができる。具体的には、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、流延成形法などの任意の成形法を採用できる。また、フィルム、シートの成形に、一般的な、Tダイ法、カレンダー法、インフレーション法、ベルト法なども採用できる。
本発明のPVB樹脂成形品は、繊維であってもよい。通常、繊維形状においては、数mmの大きさを有するペレット形状の樹脂よりも表面積が大きくなることに起因し樹脂から発生する臭気原因物質の空気中への拡散量が大きくなるため、繊維形状に成形することで臭気はより強くなる傾向にあるが、本発明の樹脂は繊維形状とした場合であっても臭気抑制効果は顕著である。
本発明のPVB繊維は、前記PVB樹脂を溶融紡糸することで得ることができる。溶融紡糸時の樹脂乾燥工程において、PVB樹脂の水分含有率が2000ppm以下になるまで乾燥してもよい。また、水分含有率は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下であればより好ましい。PVB樹脂の水分含有率がこの範囲であれば、溶融紡糸時にPVBからのブタン酸の発生を抑えることができ、また、繊維化工程においても支障がない。
本発明のPVB樹脂を溶融紡糸する工程において、PVB樹脂を低温で溶融紡糸することが好ましい。これによって、紡糸工程における加熱処理でのブタン酸の発生量を抑えることができる。紡糸温度は、170℃以上250℃以下が好ましく、170℃以上240℃以下がより好ましい。紡糸温度が170℃未満であると樹脂粘度が高くなりすぎて、繊維化するのが困難になり、250℃以上になるとPVB樹脂から生じるブタン酸量の増加が著しく、悪臭がひどくなる。
本発明のPVB繊維は、PVBのみからなる単独繊維、PVBを成分の一つとして含む複合繊維、又はPVBを成分の一つとして含む混合繊維のいずれであってもよく、PVBを成分の一つとして含んだ繊維であればよい。ここで、複合繊維としては、他のポリマーを芯成分に用い鞘成分にPVBを用いた芯鞘型複合繊維や、他のポリマーとPVBを貼りあわせた構造の分割型複合繊維が例示される。本発明のPVB繊維は、長繊維であってもよく、また短繊維であってもよい。
本発明のPVB繊維を得るためには、前記PVB樹脂のMFRは、紡糸性と繊維強度の観点から0.5g/10分〜45g/10分であることが好ましく、より好ましくは1g/10分〜40g/10分である。
本発明のPVB繊維を製造する際の紡糸工程においては、通常の溶融紡糸装置を用いて口金より溶融PVB樹脂を紡出する。口金の形状や大きさによって、得られる繊維の断面形状や径を任意に設定することが可能である。
溶融紡出したPVB繊維は、一旦PVB繊維のガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出したPVB繊維をPVB繊維のガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であれば特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設け、紡出されてきたPVB繊維に前記の冷却風を吹き付けてPVB繊維のガラス転移温度以下に冷却するのが好ましい。冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出糸条に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件は、特に制限はなく、口金から紡出されてきたPVB繊維を繊維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均一にPVB繊維のガラス転移温度以下にまで冷却できる条件であることが好ましく、冷却風の温度を20℃〜30℃、冷却風の湿度を20%〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4〜1.0m/秒として、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出したPVB繊維の冷却を行うのが、高品質のPVB繊維を円滑に得ることができるのでより好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔を空けてまたは間隔を空けないで、長さが80〜120cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好ましい。
紡出後に一旦PVB繊維のガラス転移温度以下に糸条を冷却した後、引き続いてそのまま直接加熱帯域、具体的にはチューブ型加熱筒などの装置内を走行させて延伸熱処理し、油剤を付与した後に、2000〜5000m/分の速度で捲取ることで、生産性良く安定した品位の延伸糸を得ることができる。PVB繊維の捲取り速度は、2500〜4000m/分であることがより好ましい。PVB繊維の捲取り速度が2000m/分未満の場合は生産性が低下し、また加熱帯域において繊維の延伸が十分に行われなくなり、得られるPVB繊維の機械的物性が低下する。捲取り速度が5000m/分を超えた場合は安定な高速紡糸性が得られにくく、また加熱帯域において繊維の延伸が十分に行われなくなり、得られるPVB繊維の機械的物性が低下する。
繊維に対して、油剤を付与することが好ましい。油剤は加熱装置による延伸処理工程通過後に付与する。これにより油剤による延伸断糸が少なくなる。油剤付与方法としてはギヤポンプ方式によるオイリングノズルによる付与方法またはオイリングローラーによる付与方法のいずれでもよい。ただし、紡糸速度が高速化するにつれて前者の方式の方が、糸条への斑の無い安定した油剤付与が可能である。油剤の付着量については特に制限はなく、断糸や原糸毛羽の抑制効果が得られ、繊維集合体の製造工程に適した範囲であればよく、適宜調節される。油剤の付着量は、PVB繊維に対して0.3〜2.0質量%とすることが高品質のPVB繊維を円滑に得ることができるので好ましく、0.3〜1.0質量%とすることがより好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の樹脂および成形品に種々の添加剤を添加しても良く、例えば顔料、染料等の着色剤や、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐候性改良剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加してもよい。
本発明の繊維は低臭気性であり、繊維から製造された布帛の賦形成型性は優れていることから、本発明の繊維から製造される布帛から例えばフィルムでは実現出来なかった低臭気性が必要な複雑な形状の成形物を製造することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。
[PVB樹脂のリン原子濃度]
PVB樹脂に添加した酸化防止剤の添加量と、酸化防止剤中のリン原子濃度とから、PVB樹脂のリン原子濃度を計算した。
[PVB樹脂の酸価]
PVB樹脂の酸価の定量は、JIS K6728:1977の規定に基づき測定した。
[PVB樹脂のブタン酸定量値]
ブタン酸定量値は、PVB樹脂の酸価から算出した。PVB樹脂1gに含まれるブタン酸はPVB樹脂の酸価を用いて、下記の計算式にて算出した。

PVB試料1gに含まれるブタン酸量=PVB樹脂の酸価×(ブタン酸のモル質量/KOHのモル質量)

ただし、ブタン酸のモル質量を88.11g/mol、KOHのモル質量を56.11g/molとして、計算した。
[PVB樹脂の水分含有率]
PVB樹脂の水分含有率は、微量水分測定装置(株式会社三菱化学アナリテック社製)を使用して窒素雰囲気下で170℃としたときの水分の発生量を測定することで求めた。
[メルト・フロー・レート(MFR)]
MFRの測量は、JIS K7210試験法に準拠して測定され、150℃で溶融したポリマーをキャピラリーから荷重2.16kgfで押出した時の10分間の吐出量で示される。
[繊維の臭気官能評価]
紡糸温度240℃でPVB樹脂の紡糸を実施する際に、紡糸ノズルから2m離れた場所の臭気を官能試験により確認し、下記の基準により評価した。
A:臭気がほとんど感じられなかった。
B:臭気が少し感じられた。
C:臭気が感じられた。
D:強烈な臭気が感じられた。
[実施例1]
分子構造にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤として、SUMILIZER BBM−S(住化ケムテックス社製、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール))をPVB樹脂に対し添加量が500ppmとなるように添加し、210℃で溶融混練して作製したPVB樹脂ペレットを使用し、それぞれ孔数24個の口金を用いて紡糸温度240℃、単孔吐出量1.57g/分で溶融紡出した。紡出直後の糸条に、温度20℃、湿度60%の冷却風を0.5m/秒の速度で吹付け、当該糸条を50℃以下にした後、紡糸口金下方1.2mの位置に設置した長さ1.0m、入口ガイド径8mm、出口ガイド径10mm、内径30mmΦのチューブヒーター(内温130℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた糸条にオイリングノズルで疎水性の紡糸油剤を繊維に対して1質量%となるように給油し、2個の引き取りローラーを介して3500m/分の速度で捲取り84T/24fのPVB繊維(以下、PVBフィラメントと称することがある)を得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[実施例2]
分子構造中にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤として、IRGANOX 245 FF(BASF社製、エチレンビス(オキシエチレン)ビス−(3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート))を用いた以外は実施例1と同様の条件でPVBフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[実施例3]
分子構造中にリン原子を有さないヒンダードアミン系酸化防止剤である、TINUVIN 770 DF (BASF社製、デカンニ酸1,10−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル)を用いた以外は実施例1と同様の条件でフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[比較例1]
酸化防止剤として、リン系酸化防止剤及びヒンダードアミン系酸化防止剤の混合物である、IRGASTAB FS301 FF(BASF製、N,N−ジオクタデシルヒドキシアミンと亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)の混合物)を使用した以外は実施例1と同様の条件でフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[比較例2]
酸化防止剤として、フェノールリン系酸化防止剤である、SUMILIZER GP(住友化学社製、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)を使用した以外は実施例1と同様の条件でフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[比較例3]
酸化防止剤を添加せず、240℃で溶融混錬した以外は実施例1と同様の条件でフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
[比較例4]
酸化防止剤を添加しないこと以外は実施例1と同様の条件でフィラメントを得た。臭気官能評価結果を表1に示す。
Figure 2018021149
[実施例4]
実施例1で得たフィラメントを用いて、丸編地を作製した。丸編地から10cm離れた位置で官能試験を実施したが、臭気がほとんど感じられなかった。
以上から、分子構造にリン原子を有さないフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系酸化防止剤を用いた実施例1〜3ではPVB樹脂の酸価及びブタン酸定量値が低く、臭気官能評価は良好であった。一方、リン系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤とを両方含む酸化防止剤を用いた比較例1では、PVB樹脂のリン原子濃度が5ppmを超えており、ヒンダードアミン系酸化防止剤の臭気低減効果が不十分であるため、PVB樹脂の酸価及びブタン酸定量値が高く、臭気官能評価において臭気が少し感じられた。また、分子構造にリン原子を有するフェノールリン系酸化防止剤を添加した比較例2でも、臭気低減効果が不十分であり、PVB樹脂の酸価及びブタン酸定量値が高く、臭気官能評価において臭気が少し感じられた。また、酸化防止剤を添加せず、溶融混錬温度が高い比較例3ではPVB樹脂の酸価及びブタン酸定量値が非常に高く、官能試験においても強烈な臭気が感じられた。酸化防止剤を添加しなかった比較例4ではPVB樹脂の酸価及びブタン酸定量値を軽減することができたが、官能基評価では臭気が感じられ、臭気抑制効果は十分ではなかった。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は低臭気性であり、樹脂の成形時に発生する臭気を抑えることで、作業環境の改善できることに加え、樹脂から発生する臭気を抑えた種々の樹脂成形品を得ることができる。特に、本発明は繊維に対して有用であり、従来、臭気の問題によりポリビニルアセタール樹脂の利用が乏しかったアパレル分野、医療・衛生分野等への応用が期待される。

Claims (7)

  1. フェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダートアミン系酸化防止剤を含むポリビニルアセタール樹脂であって、該酸化防止剤はその分子構造にリン原子を有さない酸化防止剤であり、かつ該ポリビニルアセタール樹脂中のリン原子濃度が5ppm以下である、ポリビニルアセタール樹脂。
  2. 酸価が0.03mgKOH/g以下である、請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂。
  3. 前記酸化防止剤が、さらにその分子構造に硫黄原子を有さない酸化防止剤である、請求項1または請求項2に記載のポリビニルアセタール樹脂。
  4. 前記酸化防止剤が、炭素原子、窒素原子、酸素原子および水素原子のみからなる群から選択される少なくとも一つの原子から構成された酸化防止剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリビニルアセタール樹脂。
  5. 前記ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂である、請求項1から4いずれか一項記載のポリビニルアセタール樹脂。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂を含む、成形品。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂を含む、繊維。
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