JP2005047942A - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】メルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂に対して、優れた耐候性および耐光性を付与し、経時的な変色も高度に防止するポリオレフィン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】A)メルトインデックスが6〜60g/10分であるポリオレフィン系樹脂 100重量部、
B)酸化チタン 0.5〜20重量部、
C)分子量が1500〜4500である下記2種のヒンダードアミン系安定剤
a)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の2個が、2価の有機基を介して、一方の上記環の窒素原子と他方の上記環の炭素原子とで結合した繰り返し単位を有するもの 0.1〜2重量部
b)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、窒素原子に炭素数1〜10のアルキル基が結合したものを有する、上記a)以外のもの 0.1〜2重量部
を含んでなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。詳しくは、フィルムやシートのラミネート層の原料や繊維、不織布の原料として有用であり、耐候性および耐光性に優れたポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フラットヤーンやワリフ、フィルム、シート等の樹脂基材にヒートシール性を付与する目的で、これらの表面に低融点の樹脂からなる外層を積層することが行われている。このような外層を設ける方法としては、通常、インラインで押出しコーティングする方法が用いられている。この押出しコーティングは、極薄膜を積層するものであるため成形性のよさが要求され、そのためこれに用いる樹脂としては、メルトインデックスが6〜60g/10分であるような低分子量のポリオレフィン系樹脂が使用されている。
【0003】
このような基材の表面に位置する外層は、紫外線や酸化物質に晒され易く、劣化し易い条件下に置かれる。劣化は、通常、分子量低下による機械的強度等の物性低下として現れることから、上記の如くにもともと低分子量のポリオレフィン系樹脂からなる外層では、該劣化は特に引き起こされ易く、これを抑制することが大きな課題であった。
【0004】
また、こうしたメルトインデックスが大きい低分子量のポリオレフィン系樹脂は不織布や繊維の素材としても利用されており、これらは農業用途や建材用途等の屋外において使用されることが多いため、これらの成形用途においても、かかる劣化の問題が顕著に発生していた。
【0005】
こうした中、耐候性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物として、紫外線吸収剤と、分子量の異なる2種類のヒンダードアミン系安定剤、具体的には分子量1000以下の低分子量ヒンダードアミン系安定剤と分子量1500以上の高分子量ヒンダードアミン系安定剤とを配合することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、特定のポリプロピレン系樹脂に、表面被覆した酸化チタン、分子量が1500〜4500のヒンダードアミン系安定剤、及びエチルエステル亜りん酸系又はビフェニレンホスホォナイト系酸化防止剤を配合する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−192360号公報
【特許文献2】
特開2002−146070号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来提案されている耐候性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物でも、該ポリオレフィン系樹脂成分が、上記メルトインデックスが大きい、低分子量のものである場合には、その耐候性の改善効果が十分に発揮できず、さらに耐候性を改良することが必要であった。加えて、耐候性の良い配合ほど、変色しやすい傾向があり、耐候性と外観とを高度にバランスさせることも切望されていた。
【0008】
以上の背景にあって、本発明は、メルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂に対して、優れた耐候性および耐光性を付与し、経時的な変色も高度に防止するポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を続けてきた。その結果、上記メルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂に対して、酸化チタン、及び特定のヒンダードアミン系安定剤の2種を併用することにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、A)メルトインデックスが6〜60g/10分であるポリオレフィン系樹脂 100重量部
B)酸化チタン 0.5〜20重量部
C)分子量が1500〜4500である、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を有する下記2種のヒンダードアミン系安定剤
a)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の2個が、2価の有機基を介して、一方の上記環の窒素原子と他方の上記環の炭素原子とで結合した繰り返し単位を有するもの0.1〜2重量部
b)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、窒素原子に炭素数1〜10のアルキル基が結合したものを有する、上記a)以外のもの0.1〜2重量部
を含んでなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂としては、公知のものが特に制限なく使用される。好適には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体やこれらα−オレフィンの2種類以上の共重合体を挙げることができる。また、これらのα−オレフィンとジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類、ビニルアルコール、ビニルアルコール脂肪酸エステル、ビニル基含有脂肪酸アルキルエステル等のα−オレフィンと共重合可能な他の単量体との共重合体であっても良い。この場合、α−オレフィンと共重合可能な他の単量体に基づく単量体単位の含有量は、10モル%以下であるのが好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂の代表的なものを例示すると、後述するポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂の他、ポリブテン系樹脂、ポリ3−メチル−1−ブテン系樹脂、ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂などを挙げることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、2種以上を併用しても良い。本発明において、好適に使用されるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂、最も好適にはポリエチレン系樹脂である。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体の他、プロピレンに基づく単量単位の含有量が50モル%以上、好適には80モル%以上の共重合体をいう。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、好ましいものはランダム共重合体である。ポリプロピレン系樹脂を具体的に例示すると、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等が挙げられる。
【0014】
ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体の他、エチレンに基づく単量単位の含有量が50モル%を超える量、好適には80モル%以上の共重合体をいう。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、好ましいものはランダム共重合体である。ポリエチレン系樹脂を具体的に例示すると、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、エチレンとビニルアルコール脂肪酸エステルとの共重合体、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、エチレンとビニル基含有脂肪酸アルキルエステルとの共重合体等を挙げることができる。なお、上記線状低密度ポリエチレンとしては、例えば、エチレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0015】
本発明において、これらポリオレフィン系樹脂は、メルトインデックスは、6〜60g/10分のものが使用される。このようにメルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂は、一般には低分子量、例えばポリエチレン系樹脂であれば、重量平均分子量が6万〜12万程度であり、ポリプロピレン系樹脂であれば、重量平均分子量が11万〜35万程度である。前記した通りこのような低分子量のポリオレフィン系樹脂は、耐候性が格別に悪く、紫外線や酸化物質に晒される過酷な環境下におかれると、引張強度、引張伸度、耐衝撃強度等の機械的強度が急激に低下し、変色等も生じ易くなるが、本発明の組成物に配合すれば、かかる物性低下が良好に抑制できる。このような本発明の効果を最も顕著に発揮できるメルトインデックスの範囲は、7〜30g/10分である。
【0016】
ここで、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスが、6g/10分未満であると、耐候性の低さの問題がそれほど大きく生じないため、本発明ほどに同性状の改善効果が顕著に発揮されなくなる。また、ヒートシール性が低下し、樹脂基材に同性状を付与する目的で、その表面に積層する用途に不向きになり、また、溶融粘度が高すぎるために高速成形性にも劣るものになる。一方、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスが、60g/10分を超えると、溶融粘度が低すぎるために、フィルムをダイスから均一に押出すことが困難になったり、繊維の均斉度が劣るものになる等、成形性が悪化する。
【0017】
なお、熱可塑性樹脂のメルトインデックスの測定は、測定対象の樹脂の種類に応じて測定温度及び圧力が異なっているが、これらの詳しい測定方法はJIS K 7210に規定されている。本発明においてポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスの測定は、測定対象のポリオレフィン系樹脂の種類に応じて、該JIS K 7210に規定される方法に準拠して測定された値をいう。例えば、ポリエチレン系樹脂であれば、測定温度は190℃であり、測定圧力は2160gになり、ポリプロピレン系樹脂であれば、測定温度は230℃であり、測定圧力は2160gになる。
【0018】
その他、本発明において、ポリオレフィン系樹脂は、分子量分布を示す指標である重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.5〜4.0であるのが好ましい。
【0019】
本発明の最大の特徴は、上記メルトインデックスの大きいポリオレフィン系樹脂に顕著に生じる耐候性および耐光性の低下の問題を、酸化チタン、及び分子量が1500〜4500である、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を有するヒンダードアミン系安定剤の特有の2種を併用して配合することで、著しく改善した点にある。かかる組合わせの中で、一つでも添加剤が未添加または所定量以下の場合、十分な耐候性および耐光性は得られない。
【0020】
一般に知られているように酸化チタンはラジカル反応を誘発する光を反射して軽減する。同じ耐光剤の有機系の光吸収剤のように変質して失活したり、樹脂内を移動することが無いため、繊維や薄いフィルムの耐光剤としては最適である。
【0021】
本発明で使用される酸化チタンは、ルチル型あるいはアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンが制限なく使用できる。これらの中で、得られるフィルムの光隠蔽性、紫外線吸収性等の理由から、ルチル型結晶構造を有する平均粒子径0.01〜0.5μmのものが好適である。粒子径がこの範囲にあるとき、遮光性もよく、得られる繊維やコート層の強度も十分で、分散性も良好である。
【0022】
また、本発明で使用される酸化チタンは、シリカおよび/またはアルミナで表面処理されたものを使用するのが好適である。シリカおよび/またはアルミナで表面処理された酸化チタンは、接触するポリオレフィン系樹脂を光励起により劣化させることが無く、本発明のポリオレフィン系樹脂の耐候性をより向上させることができ、特に好ましい。
【0023】
表面処理された酸化チタンとしては、ポリオレフィン系樹脂中への分散性、酸化チタンの安定性等の理由から、酸化チタン100重量部に対して2〜20重量部、好ましくは4〜20重量部のシリカおよび/またはアルミナで被覆したものが好適である。特に、シリカとアルミナの複合体により4〜10重量部被覆したルチル型酸化チタンを用いた場合が、最も耐候性および耐光性の向上効果が得られる。かかる表面処理酸化チタンは、例えばタイオキサイド社などからすでに市販されている。
【0024】
さらに、本発明において、酸化チタンのポリオレフィン系樹脂への分散性を高める目的で、高級脂肪酸および/または高級脂肪酸金属塩を添加することが好ましい。添加量は、酸化チタン100重量部に対して2〜20重量部、好ましくは4〜20重量部被覆したものが好適であり、添加量が以上の範囲である時、良好な分散性を示す。
【0025】
本発明において、酸化チタンは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.5〜20重量部、好適には1〜10重量部が配合される。この配合割合が0.5重量部未満では、得られる繊維やコート層の光隠蔽性、紫外線吸収性が十分発現せず、耐候性および耐光性の改善効果が満足できないものになる。また、配合割合が20重量部より多い場合は、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の耐候性の改善効果が平衡状態となってコストパフォーマンスが低下する上、成形品の生産性や強度が低下するため好ましくない。
【0026】
次に、本発明において、上記酸化チタンに組合わせて使用するヒンダードアミン系安定剤は、該酸化チタンの作用により軽減された光によるラジカル反応および酸素による酸化反応を高度にクエンチする。本発明で使用するヒンダードアミン系安定剤は、分子量が1500〜4500の高分子量のものであるため、本発明の組成物により形成される成形品において、後述する低分子量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環−N−オキシド体に開裂するa)成分のタイプのものにあっても、それまでは移行性が小さく、分子量が上記範囲より小さいヒンダードアミン系安定剤に比べて表面へブリードアウトし難い。よって、優れた耐候性および耐光性を成形品に対して均一に付与する。
【0027】
また、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、安定性に優れる第3級アミンのものを有しており、配合されるその他の添加剤に由来する共存物、例えばリン系安定剤の分解物や無機充填剤の表面処理用の脂肪酸等による失活が少ない。従って、上記耐候性および耐光性の改善効果は、さらに高められ、経時的な変色等も抑制される。
【0028】
ここで、使用されるヒンダードアミン系光安定剤の分子量が1500未満では、成形後の成形品表面への移行が激しくなるため、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の長期間の耐候性および耐光性が十分でなくなる。一方、ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が4500を超えるものは入手が困難である。
【0029】
さらに、本発明では、上記要件を満足するヒンダードアミン系安定剤の中から、下記の2種類のものを選定し併用する。
【0030】
a)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の2個が、2価の有機基を介して、一方の上記環の窒素原子と他方の上記環の炭素原子とで結合した繰り返し単位を有するもの
b)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、窒素原子に炭素数1〜10のアルキル基が結合したものを有する、上記a)以外のもの
このような2種類を併用することにより、前記メルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂に耐候性および耐光性を付与する効果は、その相乗作用により一段と良好なものに改善される。
【0031】
ここで、a)成分のヒンダードアミン系安定剤は、要するに下記
【0032】
【化2】
Figure 2005047942
【0033】
(但し、Aは2価の有機基である。)
の繰り返し単位を有するものである。ここで、Aの2価の有機基は、特に制限されるものではないが、分子量が14〜300、より好適には40〜200のものが好ましく、一般には、アルキレン基、アルキリデン基等の炭素数が1〜20、より好適には5〜10である飽和炭化水素基;アルキニレン基、アルカジエニレン基等の炭素数が1〜20、より好適には5〜10である不飽和炭化水素基が挙げられ、飽和炭化水素基であるのが好ましい。また、これらの炭化水素基は、基の内部にエーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよく、同様に、基の末端に、オキシ基やカルボキシレート基が結合した2価の基を形成していても良い。
【0034】
なお、上記繰り返し部分以外の構造部分に、さらに、他の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環が結合していても良い。
【0035】
上記繰り返し単位の繰り返し数は、5以上、より好適には10〜20であるのが好ましい。
【0036】
本発明において、かかるa)成分のヒンダードアミン系安定剤として特に好適に使用できるものとしては、
下記一般式(1)〜(3)
【0037】
【化3】
Figure 2005047942
【0038】
(但し、Rは、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよいアルキレン基であり、R及びRは、夫々水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0039】
【化4】
Figure 2005047942
【0040】
(但し、R’は、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよいアルキレン基であり、R’及びR’は、夫々水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
【0041】
【化5】
Figure 2005047942
【0042】
(但し、R”は、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよいアルキレン基であり、R”及びR”は、夫々水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
から選ばれる化合物が挙げられる。
【0043】
ここで、R、R’および R”のエーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよいアルキレン基は、炭素数1〜10のものが好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、メチルエチレン基、ヘキサメチレン基、さらには、これらのアルキレン基がエーテル結合またはエステル結合を介して繋がった基等が挙げられ、特に、メチレン基、エチレン基が好ましい。また、R、R、R’、R’、R”及びR”のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。さらに、n、n’及びn” は、5以上、より好適には10〜20であるのが好ましい。
【0044】
上記一般式(1)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を具体的に示せば、ポリ(4−メチレニル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−イル)、ポリ(4−エチレニル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン)、ポリ(4−ヘキセニル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン)等が挙げられる。
【0045】
また、一般式(2)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を具体的に示せば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンヘキサノールの縮合物等が挙げられる。
【0046】
さらに、一般式(3)で示されるヒンダードアミン系光安定剤を具体的に示せば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンメタノールとの重合物、スクシン酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、等が挙げられる。
【0047】
このうち、一般式(1)で示される化合物が、耐候性の改善効果に優れている上、高分子量化も容易であることから好ましく、特に、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物が最適である。
【0048】
b)成分のヒンダードアミン系安定剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、窒素原子に炭素数1〜10のアルキル基が結合したものを有するものであって、前記a)の繰り返し単位を有しないものである。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を構成する窒素原子に結合するアルキル基は、炭素数1〜10のものであり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基、特にメチル基が好ましい。
【0049】
このb)成分のヒンダードアミン系安定剤において、上記2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環は、環を構成するいずれかの炭素原子、好適にはパラ位の炭素原子により、有機分子鎖の主骨格部分にグラフト結合しているのが一般的である。このグラフト結合している2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の数は、複数であるのが好ましく、通常は、1分子中に該環が5〜20個結合しているのが好ましい。
【0050】
本発明において、かかるb)成分のヒンダードアミン系安定剤として特に好適に使用できるものとしては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環が、パラ位の炭素原子により、ポリオレフィン鎖、ポリアルキレンジアミン鎖、アルキレンジアミンとメラミンとが縮合して形成された有機鎖、または多価アルコール同士が縮合して形成された有機鎖からなる主骨格部分にグラフト結合した化合物が挙げられる。特に、上記主骨格部分は、アルキレンジアミンとメラミンとが縮合した単位により構成されてなる有機鎖であるのが好適である。こうした化合物は、ベースのポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れるだけでなく、ブリードアウトも少ない安定剤となる。
【0051】
また、これらの有機分子鎖からなる主骨格部分に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環を、パラ位の炭素原子によりグラフト結合する方法は、該主骨格部分に、必要によりアミノ基を置換基として導入し、これらアミノ基のN原子に結合させるのが、製造が容易である。
【0052】
上記のヒンダードアミン系安定剤を具体的に示せば、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミンとモルフォリンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールと3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピナールとペンタエリスリトールの縮合物等が挙げられる。このうち、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンは、低分子量不純物が少なく、加工性に優れるため、最適である。
【0053】
本発明において、上記2種のヒンダードアミン系光安定剤を併用することにより、耐候性および耐光性が大きく向上する理由は、次のように推測される。すなわち、一般に、ヒンダードアミン系安定剤の耐候性および耐光性の発現機構は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の窒素原子と該原子に結合した水素または置換基との間の結合が開裂して、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環−N−オキシドが発生し、これがポリオレフィン系樹脂の劣化の原因になるラジカルを補足することによるものであることが知られている。
【0054】
こうした中、まず、b)成分として使用するヒンダードアミン系安定剤は、上記2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環−N−オキシド体が生成しても、このものは炭素数1〜10のアルキル基が外れただけなので、依然として高分子量体であり、均一に分散されたポリオレフィン系樹脂組成物の成形品中において、ほとんど移行することなく一様に安定化効果を発揮する。
【0055】
一方で、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、前記した通り酸化チタンが配合されているため、成形品の内部については、相当な遮光性が付与されており、劣化の原因になるラジカルは成形品の表面付近での発生量が多い。したがって、上記b)成分のヒンダードアミン系安定剤が配合されていても、この部分については、その劣化を十分に抑えることが困難になる。
【0056】
これに対して、a)成分のヒンダードアミン系安定剤は、生成する2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環−N−オキシド体は、上記繰り返し単位において、個々の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環が環の炭素原子の一つにAの基が付与された状態で離脱した形態になるため、その分子量は、前記b)成分から生じる該オキシド体よりも著しく小さくなる。よって、前記した通りそのままの状態では、高分子量のため成形品内を移行し難かったa)成分のヒンダードアミン系安定剤も、この2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環−N−オキシド体に開裂すると、成形品内を表面に向かって比較的移行し易くなり、その結果、この成分の安定化効果は、かかる表面付近で上記開裂に応じて徐々に重点的に発揮されるようになる。
【0057】
このように、a)成分とb)成分のヒンダードアミン系安定剤のそれぞれから生じる前記オキシド体の分子量の差を利用することにより、本発明では、成形品の深層部から、劣化が生じ安い表面付近まで、極めて良好に耐候性および耐光性の効果を発揮させることができる。
【0058】
上記効果が最も良好に発揮されるa)成分とb)成分のヒンダードアミン系安定剤の組合わせは、a)コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物とb)N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの組合わせである。
【0059】
本発明において、上記2種類のヒンダードアミン系安定剤の配合割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、それぞれ0.1〜2重量部、好適には0.3〜1.5重量部である。それぞれの配合割合が0.1重量部未満では、得られる繊維やコート層の耐候性および耐光性の改善効果が十分に得られない。また、配合割合が20重量部より多い場合は、得られるポリオレフィン系樹脂組成物の耐候性の改善効果が平衡状態となってコストパフォーマンスが低下する上、成形品の生産性が低下したり、変色しやすくなるため好ましくない。上記a)成分とb)成分のヒンダードアミン系安定剤の併用割合は、重量比(A/B)で2/8〜8/2程度が好ましい。
【0060】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、さらに、フェノール系安定剤を配合するのが好ましい。フェノール系安定剤は、前記ヒンダードアミン系安定剤と同様に酸化反応をクエンチするとともに、後述するリン系安定剤を併用した場合には、これと相乗的に働いて、特に、熱溶融時の酸化反応をクエンチする効果を発揮する。これにより、ポリオレフィン系樹脂中に、不飽和二重結合やヒドロキシ基、アルデヒド基、ケトン基が生成することを抑制し、成形後に酸化反応を受け難くする。
【0061】
本発明において、フェノール系安定剤は、ポリオレフィン系樹脂用として既知のものが何ら制限されることなく使用できる。例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、3,3’3”,5,5’5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、トリス(3,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0062】
これらフェノール系安定剤は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部、好適には0.1〜5重量部を配合させるのが、耐候性および耐光性の改善効果を十分に発揮させる観点から好ましい。
【0063】
さらに、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、リン系安定剤を配合するのが好ましい。特に、上記、フェノール系安定剤と併用するのが、熱溶融時の酸化反応を抑制する観点から好ましい。
【0064】
こうしたリン系安定剤は、ポリオレフィン系樹脂用として既知のものが何ら制限されることなく使用できる。例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルホスファイト等のホスファイト系、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスホナイト等のホスホナイト系が挙げられる。
【0065】
これらリン系安定剤は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.05〜2重量部、好適には0.1〜1重量部が配合されるのが、耐候性および耐光性の改善効果を十分に発揮させる観点から好ましい。
【0066】
その他、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、石油樹脂など他の熱可塑性樹脂、艶消し剤、顔料、結晶核剤、界面活性剤、可塑剤、オイルなどの各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0067】
さらに、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、防水(はっ水)加工が施されてもよく、防水加工する際に使用できる防水剤(はっ水剤)としては、不溶性アルミニウム石鹸、パラフィン、蝋、メチル水素ポリシロキサン、末端水酸基含有ジメチルポリシロキサンなどの他、高分子鎖に対してペンダント鎖の末端にトリフルオロメチルを有する高分子化合物や、フルオロメチルを疎水基とする界面活性剤などが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上の混合物であってもよい。
【0068】
以上説明した、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を製造する一般的な方法について説明する。
【0069】
各成分及び必要により配合する他の添加剤の混合及び造粒方法は特に限定されず、公知の方法が採用できる。例えば、通常のヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等で混合した後、一般に高混練タイプの2軸押出機、タンデム型混練機等で混練し、ストランドカット、ホットカット、アンダーウォーターカットなどの方法でペレット化すればよい。
【0070】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0071】
実施例及び比較例で用いた、ポリエチレン系樹脂、酸化チタン、ヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤を表1及び表2に示した。
【0072】
【表1】
Figure 2005047942
【0073】
【表2】
Figure 2005047942
【0074】
尚、実施例及び比較例に記載した物性値は以下に示す方法によって測定したものである。
1)厚さ
JIS K 6734法に準じてダイヤルゲージにて測定した。
2)メルトインデックス
JIS K 7210に準じて、以下の条件で測定した。
【0075】
ポリエチレン: 190℃,2160g
ポリプロピレン:230℃,2160g
3)引張伸度
JIS K 7127に準じて、試験片幅25mm、引張速度200mm/minの条件で測定した。
4)耐侯促進試験後の引張伸度(耐候性および耐光性)
耐候性および耐光性の評価は、屋外1年間曝露に相当する紫外線量を照射する耐候促進試験を行った後のフィルムのMD方向における引張伸度の値により評価した。
【0076】
まず、JIS A 1415に準拠して耐候促性進試験を行った。耐候促進装置としてサンシャインカーボンアーク灯を使用したサンシャインウェザーメーター(機種名 S80 スガ試験機(株)製放射照度255W/m<300〜700nm>)を用いた。耐候促進試験は、上記耐候促進装置により、ブラックパネル温度63℃、18/120分間水噴霧の条件下で紫外線部(300〜400nm)の全照射強度が264MJ/mとなるように紫外線を照射して行った。
【0077】
上記耐候性促進試験を行った後、JIS K 7127に準じて、試験片幅25mm、引張速度200mm/minの条件で、耐侯促進試験後フィルムのMD方向における引張伸度を測定した。引張伸度の測定はn=5で行い、その平均値が200%以上であれば、耐候性および耐光性が良好であると評価した。
5)フィルムの変色度合
JIS Z 8729に準拠し、色彩色差計(MINOLTA製、装置名:CR−300)を使用してL表色系で示されるb値を測定した。測定は、成膜直後のフィルムと2ヶ月経過後のフィルムについてn=10で行い、その平均値から変化量Δb値(2ヶ月経過後のb値−成膜直後のb値)を算出し、フィルムの変色度合の指標とした。
実施例1
表3に示した、線状低密度ポリエチレン(出光石油化学製、商品名:LLDPE 0234CL)100重量部に対して、酸化チタン(タイオキサイド製、商品名:R−TC30)2.0重量部、a)成分のヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:Tinuvin622LD)0.8重量部、b)成分のヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:Tinuvin119FL)0.8重量部、ヒンダードフェノール系熱安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:IRGANOX3114)0.2重量部、及びリン系熱安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:IRGAFOS168)0.3重量部を添加した配合で、造粒、フィルム成形を行った。フィルムへの成形性は良好であった。
【0078】
造粒はベント付φ30mm二軸押出機を用いて、シリンダー温度180℃でストランド状に押出し、水槽で冷却後に5mm程度にカット・乾燥してペレットとした。次に、上記ペレットをφ30mmTダイ成膜機にてフィルム成形した。この時の、リップクリアランス=1.0mm、ダイ温度=190℃、エアギャップ=120mm、引取速度=30m/min、キャストロール温度=20℃であった。
【0079】
得られたフィルムのフィルム厚み、耐侯促進試験後の引張伸度、フィルム変色度合の評価を行った。結果を表3に示した。得られたフィルムは、耐候促進試験後のMD方向における引張伸度は50%以上の高い伸度を保持しており、2ヶ月経過後のフィルムの変色もほとんどなかった。
実施例2〜6
組成物の配合を表3に示した配合に変えた以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを製造した。結果を表3に示した。
【0080】
いずれのフィルムも成形性は良好であった。また、耐侯促進試験後のMD方向におけるフィルム引張伸度は200%以上の高い伸度を保持しており、2ヶ月経過後のフィルムの変色もほとんどなかった。
【0081】
また、実施例1〜3の組み合わせの中で、実施例1の酸化チタンとヒンダードアミン系安定剤の組合せが、最も耐候性と耐変色性のバランスに優れていた。
実施例7〜8
組成物の配合を表3に示した配合に変更し、造粒の温度を230℃、成膜のダイ温度を240℃、キャストロール温度を60℃とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを製造した。
【0082】
いずれのフィルムも、加工性、耐候性、耐変色性とも優れていた。
【0083】
【表3】
Figure 2005047942
【0084】
比較例1〜6
組成物の配合を表4に示した配合に変えた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを製造した。
【0085】
各配合の評価の結果、分子量1500以下のヒンダードアミン系安定剤を添加した系(比較例4)、酸化チタンを添加していない系(比較例5)では、耐候促進試験後のMD方向の引張伸度が著しく低下し、ヒンダードアミン系安定剤として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環が第2級アミンのもののみからなる化合物を用いた系(比較例3)は、耐侯促進試験後のMD方向の引張伸度は200%維持しているものの、2ヶ月経過後のフィルムの変色が著しく、商品価値が大きく低下するものであった。
【0086】
さらに、実施例1に使用したa)成分のヒンダードアミンとb)成分のヒンダードアミンとを単独で使用した場合(比較例1、2)は、実施例1の合計添加量と同添加量であるにもかかわらず、耐候促進後のMD方向の引張伸度は200%を下回るまで低下していた。
【0087】
また、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスが6より小さい場合には、成膜時のドローレゾナンスが発生し、耐候性テストや物性評価に好適なフィルムを得ることが出来なかった。(比較例6)
【0088】
【表4】
Figure 2005047942
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、メルトインデックスが大きいポリオレフィン系樹脂を樹脂成分としているにも関わらず、極めて優れた耐候性および耐光性を有し、経時的な変色も生じ難いポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
【0090】
従って、このような性質を有する本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記メルトインデックスの大きさを生かした各種用途、例えば、フラットヤーン、ワリフ、フィルム、シート等を製造するに際し、その押出コート層としてや、不織布や繊維等の素材樹脂として有用に使用できる。

Claims (4)

  1. A)メルトインデックスが6〜60g/10分であるポリオレフィン系樹脂 100重量部
    B)酸化チタン 0.5〜20重量部
    C)分子量が1500〜4500である下記2種のヒンダードアミン系安定剤
    a)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環の2個が、2価の有機基を介して、一方の上記環の窒素原子と他方の上記環の炭素原子とで結合した繰り返し単位を有するもの0.1〜2重量部
    b)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環として、窒素原子に炭素数1〜10のアルキル基が結合したものを有する、上記a)以外のもの0.1〜2重量部
    を含んでなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. B)酸化チタンが、シリカおよび/またはアルミナで表面処理されたものである請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. C)ヒンダードアミン系安定剤のうち、a)成分が、下記一般式(1)
    Figure 2005047942
    (但し、Rは、エーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよいアルキレン基であり、R及びRは、夫々水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)
    で示される化合物である請求項1または請求項2記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. C)ヒンダードアミン系安定剤のうち、b)成分が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン環が、パラ位の炭素原子により、ポリオレフィン鎖、ポリアルキレンジアミン鎖、アルキレンジアミンとメラミンとが縮合して形成された有機鎖、または多価アルコール同士が縮合して形成された有機鎖からなる主骨格部分にグラフト結合した化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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