JP2018016796A - 硬化性樹脂組成物およびその硬化物、並びにこれらを用いた半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)成分:所定のポリシロキサン化合物、
(B)成分:抽出水の25℃におけるpH値が6.1以下であるシリカ、および
(C)成分:潜在性硬化促進剤
を少なくとも含み、(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である硬化性樹脂組成物を使用することにより、上記課題を達成できることを見出し、種々の形状、大きさに成形しても硬化時の発泡を抑制可能であり、保存安定性および成形時の良好な硬化速度を両立する縮合硬化型の硬化性樹脂組成物を完成させるに至った。
(A)成分:シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個含有するポリシロキサン化合物、
(B)成分:抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカ
および
(C)成分:潜在性硬化促進剤を少なくとも含み、
(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である、硬化性樹脂組成物。
R1が炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基、炭素数3〜10の環状のアルキル基、または炭素数5〜10のアリール基を表す、発明2硬化性樹脂組成物。
R1がメチル基、またはフェニル基を表す、発明2または発明3の硬化性樹脂組成物。
(A)成分におけるシラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量が1mmol/g以上15mmol/g以下である、発明1〜5の硬化性樹脂組成物。
シリカが、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカおよび沈殿法シリカからなる群より選ばれる、発明1〜6の硬化性樹脂組成物。
(B)成分として二種以上のシリカを含む、発明1〜7の硬化性樹脂組成物。
(B)成分のシリカのメジアン径の値が0.02μm以上500μm以下である、発明1〜8の硬化性樹脂組成物。
(B)成分が、粒度分布測定において複数の頻度ピークを示すシリカである、発明1〜9の硬化性樹脂組成物。
(B)成分が、粒子径3μm以下のシリカ粒子を含有する、発明1〜10の硬化性樹脂組成物。
(B)成分が、表面が化学修飾されていないシリカである、発明1〜11の硬化性樹脂組成物。
(C)成分が、熱酸発生型潜在性硬化促進剤、ルイス酸−有機化合物錯体型潜在性硬化促進剤、包摂化合物型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤およびホスフィン塩型潜在性硬化促進剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明1〜12の硬化性樹脂組成物。
(C)成分が、熱酸発生型潜在性硬化促進剤、包摂化合物型潜在性硬化促進剤およびアミン塩型潜在性硬化促進剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明1〜13の硬化性樹脂組成物。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤が、
ジアゾニウム類、ヨードニウム類、第3級アンモニウム類、第4級アンモニウム類およびスルホニウム類からなる群より選ばれるオニウム化合物と、
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である、発明13または発明14の硬化性樹脂組成物。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤が、
アリールスルホニウム、アルキルスルホニウム、アルキルアリールスルホニウムからなる群より選ばれるスルホニウム類と、
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である、発明13〜15の硬化性樹脂組成物。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤が、
ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(2−メチルベンジル)(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、(1−ナフチルメチル)(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムおよびベンジル(4−アセトキシフェニル)メチルスルホニウムからなる群より選ばれるスルホニウム類と、
トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、p−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートからなる群より選ばれる化合物との塩である、発明13〜16の硬化性樹脂組成物。
さらに、熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤として安定剤または抑制剤を含む、発明13〜17の硬化性樹脂組成物。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤が、
アリールホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルアリールホスフェートからなる群より選ばれる亜リン酸エステル類、アリールスルフィド、アルキルスルフィド、アルキルアリールスルフィドからなる群より選ばれるスルフィド類、およびアリールスルホニウム、アルキルスルホニウム、アルキルアリールスルホニウムと、アリールスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルアリールスルフェートからなるスルホニウム硫酸塩類である、発明13〜18の硬化性樹脂組成物。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤が、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスフェート、メチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、または(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルスルフェートである、発明13〜19の硬化性樹脂組成物。
包摂化合物型潜在性硬化促進剤が、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類またはトリアジン類をゲスト分子とし、
1,1,2,2−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)エタンまたは、ヒドロキシ基、ニトロ基もしくはt−ブチルを有していてもよいイソフタル酸化合物をホスト分子とする、包摂化合物である、発明13または発明14の硬化性樹脂組成物。
アミン塩型潜在性硬化促進剤が、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類およびトリアジン類からなる群より選ばれるアミン化合物と、
フェノール、オクチル酸、p−トルエンスルホン酸、オルソフタル酸、ギ酸、テトラフェニルボレート塩およびフェノールノボラック樹脂からなる群より選ばれる化合物との塩である、発明13または発明14の硬化性樹脂組成物。
ホスフィン塩型潜在性硬化促進剤が、
テトラフェニルホスホニウム、トリフェニルホスフィンおよびn−ブチルトリフェニルホスホニウムからなる群より選ばれるホスフィン類と、
テトラフェニルボレート、テトラ−p−トリルボレート、トリフェニルボラン、チオシアネートおよびジシアナミドからなる群より選ばれる化合物との塩である、発明13または発明14の硬化性樹脂組成物。
(A)成分と(B)成分と(C)成分の総量に対する(C)成分の割合が0.001質量%以上1質量%以下である、発明1〜23に記載の硬化性樹脂組成物。
さらに、無機フィラー、耐熱性樹脂、離型剤、顔料、難燃剤、およびアンチブロッキング剤からなる群から選ばれる一種以上を含む、発明1〜24に記載の硬化性樹脂組成物。
無機フィラーが、(B)成分の範疇に無いシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、粘土鉱物、ガラス、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウムおよび炭素同素体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25の硬化性樹脂組成物。
耐熱性樹脂が、ナノセルロース、アラミド繊維、炭素繊維、PEEK樹脂およびポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25または発明26の硬化性樹脂組成物。
離型剤が、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、合成ワックス、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ジメチルシリコーンおよびフッ化シリコーンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25〜27の硬化性樹脂組成物。
顔料が、カーボンブラック、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄、ウルトラマリン青、プロシア青、フタロシアニン、多環顔料およびアゾ顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25〜28の硬化性樹脂組成物。
難燃剤が、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物難燃剤およびアンチモン系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25〜29の硬化性樹脂組成物。
アンチブロッキング剤が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸のLi塩、ステアリン酸のNa塩、ステアリン酸のMg塩、ステアリン酸のK塩、ステアリン酸のCa塩、ステアリン酸のBa塩、ステアリン酸のAl塩、ステアリン酸のZn塩、ステアリン酸のFe塩、ラウリン酸のCa塩、ラウリン酸のBa塩、ラウリン酸のZn塩、ベヘン酸のCa塩、ベヘン酸のBa塩、ベヘン酸のZn塩、12−ヒドロキシステアリン酸のCa塩、12−ヒドロキシステアリン酸のMg塩、12−ヒドロキシステアリン酸のZn塩、アルミニウムシリケート、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカ、沈殿法シリカ、ゼオライト、タルク、カオリン、珪藻土、ポリエチレンビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂およびシリコン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明25〜30の硬化性樹脂組成物。
さらに、カップリング剤を含む、発明1〜31の硬化性樹脂組成物。
カップリング剤が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートおよび3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明32の硬化性樹脂組成物。
スパイラルフロー長(電気機能材料工業会規格:T901に準拠、温度180℃、成形圧力6.9MPa、成形時間3分)が5cm以上180cm以下である、発明1〜33の硬化性樹脂組成物。
(A)成分:シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個以上含有するポリシロキサン化合物と、
(B)成分:抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカと、
(C)成分:潜在性硬化促進剤と
を少なくとも混合して硬化性樹脂組成物を得る工程を含み、(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である、硬化性樹脂組成物の製造方法。
シリカが、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカおよび沈殿法シリカからなる群より選ばれる、発明35の硬化性樹脂組成物の製造方法。
(B)成分として、二種以上のシリカをあらかじめ混合したものを用いる、発明35または発明36の硬化性樹脂組成物製造方法。
(B)成分のシリカのメジアン径の値が0.02μm以上500μm以下である、発明35〜37の硬化性樹脂組成物製造方法。
(B)成分が、粒度分布測定において複数の頻度ピークを示すシリカである、発明35〜38の硬化性樹脂組成物製造方法。
(B)成分が、粒子径3μm以下のシリカ粒子を含有する、発明35〜39の硬化性樹脂組成物製造方法。
(B)成分が、表面が化学修飾されていないシリカである、発明35〜40の硬化性樹脂組成物製造方法。
(C)成分が、潜在性酸触媒または潜在性塩基触媒より選ばれる潜在性硬化促進剤である、発明35〜41の硬化性樹脂組成物製造方法
(C)成分が、オニウム化合物の塩より選ばれる潜在性酸触媒である、発明42の硬化性樹脂組成物製造方法。
(C)成分が、アミン化合物、イミダゾール化合物、リン化合物および有機金属化合物からなる群より選ばれる潜在性塩基触媒である、発明42の硬化性樹脂組成物製造方法。
(A)成分と(B)成分と(C)成分との総量に対する(C)成分の割合が0.001質量%以上1質量%以下である、発明35〜44の硬化性樹脂組成物製造方法。
(A)成分と、
(B)成分と、
(C)成分と、
無機フィラー、耐熱性樹脂、離型剤、顔料、難燃剤、およびアンチブロッキング剤からなる群から選ばれる一種以上と
を混合して硬化性樹脂組成物を得る、発明35〜45に記載の硬化性樹脂組成物製造方法。
(A)成分と、
(B)成分と、
(C)成分と、
無機フィラー、耐熱性樹脂、離型剤、顔料、難燃剤、およびアンチブロッキング剤からなる群から選ばれる一種以上と、
カップリング剤と
を混合して硬化性樹脂組成物を得る、発明35〜46の硬化性樹脂組成物製造方法。
無機フィラーが、(B)成分の範疇に無いシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、粘土鉱物、ガラス、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウムおよび炭素同素体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46または発明47の硬化性樹脂組成物製造方法。
耐熱性樹脂が、ナノセルロース、アラミド繊維、炭素繊維、PEEK樹脂およびポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46〜48の硬化性樹脂組成物製造方法。
離型剤が、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、合成ワックス、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ジメチルシリコーンおよびフッ化シリコーンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46〜49の硬化性樹脂組成物製造方法。
顔料が、カーボンブラック、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄、ウルトラマリン青、プロシア青、フタロシアニン、多環顔料およびアゾ顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46〜50の硬化性樹脂組成物製造方法。
難燃剤が、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物難燃剤およびアンチモン系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46〜51の硬化性樹脂組成物製造方法。
アンチブロッキング剤が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸のLi塩、ステアリン酸のNa塩、ステアリン酸のMg塩、ステアリン酸のK塩、ステアリン酸のCa塩、ステアリン酸のBa塩、ステアリン酸のAl塩、ステアリン酸のZn塩、ステアリン酸のFe塩、ラウリン酸のCa塩、ラウリン酸のBa塩、ラウリン酸のZn塩、ベヘン酸のCa塩、ベヘン酸のBa塩、ベヘン酸のZn塩、12−ヒドロキシステアリン酸のCa塩、12−ヒドロキシステアリン酸のMg塩、12−ヒドロキシステアリン酸のZn塩、アルミニウムシリケート、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカ、沈殿法シリカ、ゼオライト、タルク、カオリン、珪藻土、ポリエチレンビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂およびシリコン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明46〜52の硬化性樹脂組成物製造方法。
カップリング剤が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートおよび3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種である、発明47〜53の硬化性樹脂組成物製造方法。
スパイラルフロー長(電気機能材料工業会規格:T901に準拠、温度180℃、成形圧力6.9MPa、成形時間3分)が5cm以上180cm以下である、発明35〜54の硬化性樹脂組成物の製造方法。
発明1〜34の硬化性樹脂組成物からなるタブレット。
発明1〜34の硬化性樹脂組成物の硬化物。
前記硬化性樹脂組成物を成形して得られる、発明57の硬化物。
前記硬化性樹脂組成物を注型成形法、圧縮成形法またはトランスファー成形法で成形して得られる、発明57または発明58の硬化物。
前記硬化性樹脂組成物がタブレットとして用いられ、前記硬化性樹脂組成物をトランスファー成形法で成形して得られる発明57〜59の硬化物。
厚みが1mm以上である発明57〜60の硬化物。
厚みが2mm以上である発明57〜61の硬化物。
厚みが4mm以上である発明57〜62の硬化物。
発明57〜63の硬化物を少なくとも含有する、半導体用封止材。
半導体素子を少なくとも備える半導体装置であって、
発明57〜63の硬化物により半導体素子が封止された、半導体装置。
半導体素子がパワー半導体素子である、発明65の半導体装置。
発明1〜34の硬化性樹脂組成物を硬化させて、半導体を封止する方法。
発明1〜34の硬化性樹脂組成物を硬化させて、封止材として使用する方法。
硬化性樹脂組成物が半導体封止用硬化性樹脂組成物である、発明1〜34の硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物は、
(A)成分:シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個含有するポリシロキサン化合物、
(B)成分:抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカ、
および
(C)成分:潜在性硬化促進剤
を少なくとも含み、(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である、硬化性樹脂組成物である。
(A)成分として、シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個含有するポリシロキサン化合物を含むことで、硬化性樹脂組成物の硬化が可能となる。
(B)成分として、抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカを含むことで、硬化性樹脂組成物を硬化させた際の発泡が抑えられる(国際公開2016/120953の実施例に記載)。
(C)成分として、潜在性硬化促進剤を含むことで、保存安定性および成形時の硬化速度が高い硬化性樹脂組成物が得られる。
(国際公開2016/120953の実施例に記載)。
(第一の実施形態)
本発明に係る(A)成分は、シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個以上含有するポリシロキサン化合物である。
このポリシロキサン化合物は、シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個以上含有するポリシロキサン化合物であれば、特に限定されず、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このようなポリシロキサン化合物は、アルコキシシラン化合物およびクロロシラン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を加水分解重縮合して得られる。このとき、アルコキシシラン化合物およびクロロシラン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種に加えて、環状シロキサン化合物やポリジメチルシロキサン化合物を併用して加水分解重縮合してもよい。
(A)成分の合成方法または入手方法は特に限定されない。(A)成分の製造方法として、ポリシロキサン化合物[1]の製造方法の一例を挙げると、
ポリシロキサン化合物[1]は、下記式[3]で表されるアルコキシシラン化合物(以下、「アルコキシシラン化合物[3]」と称することがある。)の少なくとも1種を加水分解し重縮合反応させて得られる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン。
特に好ましい化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランを例示することができる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ビス(トリフルオロメチル)ジメトキシシラン、ビス(トリフルオロメチル)ジエトキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジエトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジエトキシシラン。
特に好ましい化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランを例示することができる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルプロポキシシラン、トリフェニルイソプロポキシシラン、トリス(トリフルオロメチル)メトキシシラン、トリス(トリフルオロメチル)エトキシシラン。
(B)成分であるシリカは、硬化物とした際の充填物とするために、本発明の硬化性樹脂組成物に含有させる。
(B)成分は、抽出水の25℃におけるpH値が6.1以下のシリカである。本発明の硬化性樹脂組成物において、(B)成分が含有されることにより、(A)成分が縮合系のポリシロキサン化合物であるにもかかわらず、加熱硬化時に発生するガスが円滑に系外へと放出され、硬化物の発泡を抑制することができる。(本明細書の比較例8〜10に記載)
なお、表面がカップリング剤等によって化学修飾されていないシリカでは、抽出水の25℃におけるpH値が小さいほど、単位体積あたりの表面のシラノール基の量は増えることが知られている。また、pH値が6.1以下のシリカでは、単位体積あたりの表面のシラノール基の量が十分に多く存在しており、加熱硬化時に発生する水またはアルコール等の気体が、シラノール基と良好な親和性を示すため、本発明の硬化性樹脂組成物は加熱硬化時に発生する気体がシリカの表面を伝わって円滑に系外へと放出され、硬化物の発泡が抑制されていると推測される。
前記天然溶融シリカは、天然ケイ石を高温にて溶融させて作製された球状シリカの総称であり、市販の天然溶融シリカを用いることができる。具体的には電気化学工業株式会社製FBシリーズ、株式会社龍森製ヒューズレックスシリーズ、MSVシリーズ、MSRシリーズ、新日鉄住金マテリアルズ株式会社製HSシリーズ等が挙げられる。電気化学工業株式会社製FBシリーズとしては、具体的には以下の商品名の天然溶融シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
FB−5D、FB−12D、FB−20D、FB−105、FB−940、FB−9454、FB−950、FB−105FC、FB−870FC、FB−875FC、FB−9454FC、FB−950FC、FB−300FC、FB−105FD、FB−970FD、FB−975FD、FB−950FD、FB−300FD、FB−400FD、FB−7SDC、FB−5SDC、FB−3SDC、FB−40S、FB−570、FB−820。
株式会社龍森製MSRシリーズとしては、具体的には以下の商品名の天然溶融シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
MSR−LV24、MSR−5100。
前記合成溶融シリカは、四塩化ケイ素の溶融反応等により作製された球状シリカの総称であり、市販の合成溶融シリカを用いることができる。具体的には株式会社トクヤマ製エクセリカシリーズ、株式会社龍森製EMIXシリーズ等が挙げられる。株式会社トクヤマ製エクセリカシリーズとしては、具体的には以下の商品名の合成溶融シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SE−8、SE−15、SE−30、SE−40、SE−15K、SE−30K、UF−305、UF−310、UF−320、UF−345、UF−725、ML−902SK。
株式会社龍森製EMIXシリーズとしては、具体的には以下の商品名の合成溶融シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
EMIX−CER。
前記爆燃法シリカは、シリコン粉末の酸化反応により作製された球状シリカの総称であり、市販の爆燃法シリカを用いることができる。具体的には株式会社アドマテックス製アドマファインSOシリーズ、株式会社龍森製XRシリーズ等が挙げられる。株式会社アドマテックス製アドマファインSOシリーズとしては、具体的には以下の商品名の爆燃法シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
SO−C1、SO−C2、SO−C4、SO−C5、SO−C6。
株式会社龍森製XRシリーズとしては、具体的には以下の商品名の爆燃法シリカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
XR−08P、XR−15P。
本発明における(B)成分の形状は、特に限定されない。通常、破砕状、球状、板状、数珠状等が挙げられる。中でも、硬化性樹脂組成物の成形性が優れることから、球状が好ましい。また、球状のシリカに対し、任意の割合でその他の形状のシリカを添加した(B)成分を用いることもできる。
本発明における(B)成分の粒子径分布は、通常、レーザー回折式粒度分布測定法によるメジアン径の値が0.02μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上100μm以下である。(B)成分に含まれる最大の粒子径の値は、750μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。(B)成分に含まれる最小の粒子径の値は、特に限定されない。
本発明に係る(C)成分である潜在性硬化促進剤は、ある一定以上の温度をかけることで溶融、相溶または活性化して、少なくとも本発明に係る(A)成分の硬化剤として機能する化合物である。本発明の硬化性樹脂組成物において、(C)成分が含有されることにより、保存安定性および成形時の硬化速度に優れた硬化性樹脂組成物が得られる。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤は、加熱することにより、カチオン種を発生し、硬化触媒として作用するものである。
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である熱酸発生型潜在性硬化促進剤が挙げられる。
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である熱酸発生型潜在性硬化促進剤である。
トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、p−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートからなる群より選ばれる化合物との塩である熱酸発生型潜在性硬化促進剤を例示することができる。
商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上、株式会社ADEKA製)、商品名「FC−509」(米国スリーエム社製)、商品名「UVE1014」(米国ゼネラル・エレクトリック社製)、商品名「サンエイド SI−45L」、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、「サンエイド SI−150L」、「サンエイド SI−45」、「サンエイド SI−60」、「サンエイド SI−80」、「サンエイド SI−100」、「サンエイド SI−110」、「サンエイド SI−150」、「サンエイド SI−300」、「サンエイド SI−360」、「サンエイド SI−B2A」、「サンエイド SI−B3」、「サンエイド SI−B3A」、「サンエイド SI−B4」、「サンエイド SI−B5」(以上、株式会社三新化学工業製)、商品名「CG−24−61」(BASF製)、商品名「TA−60」、「TA−100」、「TA−120」、「TA−160」(以上、株式会社サンアプロ製)、商品名「CXC−1612」、「CXC−1733」、「CXC−1738」、「CXC−1615」、「CXC−1614」、「CXC−1821」、「TAG−2700」、「TAG−2713」、「TAG−2689」、「CXC−2689」、「CXC−1742」、「TAG−2690」、「TAG−2678」、「CXC−1820」、「TAG−1820」、「TAG−2172」、「TAG−2179」、「TAG−2507」、「CXC−1889」、「CXC−1890」、「CXC−1880」(以上、米国KING社製)等の市販品。
熱酸発生型潜在性硬化促進剤を含む、本発明の硬化性樹脂組成物の保存安定性を上げることを目的に補助剤として、安定剤や抑制剤をさらに含有させてもよい。これらの補助剤は、1種を単独で含有させてもよいし、2種以上を任意の割合で含有させてもよい。これらの補助剤を含有させる場合の量は、熱酸発生型潜在性硬化促進剤の硬化促進特性等の特徴を損なわない範囲で、かつ種々の補助剤としての有効量であれば特に限定されない。熱酸発生型潜在性硬化促進剤の総量に対して、例えば0.1質量%以上30質量%以下、好ましくは0.3質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
亜リン酸エステル類としては、アリールホスフェート、アルキルホスフェートまたはアルキルアリールホスフェート、スルフィド類としては、アリールスルフィド、アルキルスルフィドまたはアルキルアリールスルフィド、スルホニウム硫酸塩類としては、アリールスルホニウム、アルキルスルホニウム、アルキルアリールスルホニウムと、アリールスルフェート、アルキルスルフェートまたはアルキルアリールスルフェートを挙げることができる。
グアニジン類としては、具体的には、N,N′−ジメチルグアニジン、N,N′−ジフェニルグアニジンを例示することができる。
<チアゾール類>
チアゾール類としては、具体的には、2−メルカプトチアゾール、2−アミノチアゾールを例示することができる。
チオウレア類としては、チオウレア、エチレンチオウレア、N,N−ジメチルチオウレア、N,N′−ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、ジシクロヘキシルチオウレア、テトラメチルチオウレア、またはテトラエチルチオウレアを例示することができる。
亜リン酸エステル類としては、具体的には、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリスフェニルホスフェート、またはトリス(モノノニルフェニル)ホスフェートを例示することができる。
スルフィド類としては、具体的には、メチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、エチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、エチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド 、またはメチル(4−メトキシフェニル)スルフィドを例示することができる。
スルホニウム塩化物類としては、具体的には、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルエチルスルホニウムクロライド、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、o−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、m−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、ベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライド、またはα−ナフチルメチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムクロライドを例示することができる。
スルホニウム硫酸塩類としては、具体的には、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルスルフェート、(4−ヒドロキシフェニル)ジエチルスルホニウムメチルサルフェート、4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルジメチルスルホニウムメチルスルフェート、またはベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムメチルスルフェートを例示することができる。
「アデカスタブPEP−36」(株式会社ADEKA製)、メチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド)(東京化成工業株式会社製「4−メチルチオフェノール」)、「サンエイドSI助剤」(株式会社三新化学工業製)。
前記ルイス酸−有機化合物錯体型潜在性硬化促進剤は加熱することで触媒能を発揮するルイス酸と配位性有機化合物との錯体である。
ルイス酸としては、具体的には、硼素化合物としては、三フッ化硼素、三塩化硼素を例示することができる。アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムを例示することができる。錫化合物としては、四フッ化錫、四塩化錫を例示することができる。燐化合物としては、五フッ化燐を例示することができる。亜鉛化合物としては、塩化亜鉛を例示することができる。チタン化合物としては四塩化チタンを例示することができる。ジルコニウム化合物としては、塩化ジルコニウムを例示することができる。ベリリウム化合物としては、塩化ベリリウムを例示することができる。有機硼素化合物としては、トリフェニル硼素、トリ(t−ブチル)硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチル硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化硼素、ジ(t−ブチル)フッ化硼素、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化硼素を例示することができる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム、(t−ブチル)2フッ化アルミニウムを例示することができる。有機亜鉛化合物としては、ジエチル亜鉛を例示することができる。
また配位性有機化合物としては、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、エーテル錯体、カルボン酸錯体、アルコール錯体、モノエチルアミン錯体、ピペリジン錯体、トリエチルアミン錯体、アニリン錯体等のアミン錯体、またはフェノール錯体を挙げることができる。さらに、エーテル錯体としてはTHF(テトラヒドロフラン)錯体、カルボン酸錯体としては酢酸錯体を挙げることができる。
商品名「三フッ化硼素−モノエチルアミン」(東京化成工業株式会社製)。
前記包摂化合物型潜在性硬化促進剤は、アミン化合物をゲストとし、共結晶形成補助剤をホストとした包摂化合物(包摂錯体)である。このアミン化合物としては、例えば、第三級アミン、複素環アミンを挙げることができる。具体的には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類が例示でき、共結晶形成補助剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)エタンや、イソフタル酸化合物(このイソフタル酸化合物は、ヒドロキシ基、ニトロ基、t−ブチル基等の官能基を有していてもよい)が例示できるが、この限りではない。
商品名「KM−188」、「KM−110」、「HIPA−2P4MHZ」、「HIPA−2E4MZ」、「NIPA−2P4MHZ」、「NIPA−2E4MZ」(以上、株式会社日本曹達製)。
前記マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤とは、塩基性硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したものである。この塩基性硬化促進剤としては、イミダゾール系、ジシアンジアミド系、アミン系、リン系、ホスフィン系等が例示でき、ポリマーとしては、尿素化合物やイソシアネート化合物等が例示できるが、この限りではない。前記マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤の中でも、イミダゾール化合物をエポキシアダクトの水酸基に付加反応させたものはマイクロカプセル化イミダゾールとも呼ばれ、特に慣用されている。
商品名「PN−H」、「PN−31」、「PN40」、「PN−50」、「PN−F」、「PN−40J」、「MY−24」、「MY−25」(以上、株式会社味の素ファインテクノ製)、商品名「ノバキュアHX−3088」、「ノバキュアHX−3613」、「ノバキュアHX−3721」、「ノバキュアHX−3722」、「ノバキュアHX−3741」、「ノバキュアHX−3742」、「ノバキュアHX−3748」、「ノバキュアHX−3941」、「ノバキュアHXA−3042HP」、「ノバキュアHXA−3792」、「ノバキュアHXA−3922HP」、(以上、株式会社旭化成イーマテリアルズ製)。
前記アミン塩型潜在性硬化促進剤は、アミン化合物の塩である。このアミン化合物としては、例えば、第三級アミン、複素環アミンが挙げられ、より具体的には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類等が挙げられる。アミン化合物の塩としては、例えば、これらのアミン化合物の、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、オルソフタル酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩、フェノールノボラック樹脂塩等が挙げられる。
商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 1」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT SA 603」、「U−CAT SA 810」、「U−CAT SA 831」、「U−CAT SA 841」、「U−CAT SA 851」、「U−CAT SA 881」、「U−CAT 5002」(以上、株式会社サンアプロ製)。
前記ホスフィン塩型潜在性硬化促進剤は、テトラフェニルホスホニウム、トリフェニルホスフィン、n−ブチルトリフェニルホスホニウム等のホスフィン類と、テトラフェニルボレート、テトラ−p−トリルボレート、トリフェニルボラン、チオシアネート、ジシアナミド、クロライド、ブロマイドまたはヨージド等との塩が挙げられる。
商品名「TPP−K」、「TPP−S」、「TPP−SCN」、「TPP−DCA」、「TPPB−DCA」、「TPP−MK」(以上、株式会社北興化学工業製)、商品名「U−CAT 5003」(株式会社サンアプロ製)、商品名「PX−4ET」(株式会社日本化学工業製)等の市販品。
本発明の硬化性樹脂組成物における(C)成分の含有量(配合量)は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分と(C)成分の総量に対する(C)成分の割合が0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下である。(C)成分の割合が0.001質量%を下回ると、十分な硬化速度が得られないことがあり、1質量%を上回ると、保存安定性が悪くなる場合がある。従って0.001質量%以上1質量%以下の範囲内であれば、得られる硬化物中の発泡を抑制することができ、かつ保存安定性および成形時の硬化速度に優れた硬化性樹脂組成物を得ることができる。
硬化物の物性を調整することを目的として、本発明の硬化性樹脂組成物には、(A)成分、(B)成分および(C)成分のほかに、無機フィラー、耐熱性樹脂、離型剤、顔料、難燃剤、アンチブロッキング剤等の添加物をさらに含有させてもよい。これらの添加物は、1種を単独で含有させてもよいし、2種以上を任意の割合で含有させてもよい。これらの添加物を含有させる場合の量は、本発明の硬化物の発泡抑制特性等の特徴を損なわない範囲で、かつ種々の添加物としての有効量であれば特に限定されない。(A)成分と(B)成分と(C)成分との総量に対して、これらの全添加物での割合が5質量%以下であることが好ましい。
無機フィラーとしては、具体的には、(B)成分の範疇に無いシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、タルクやカオリン等の粘土鉱物、ガラス、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、ダイヤモンドやカーボンナノチューブ等の炭素同素体等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無機フィラーの形状は特に限定されず、破砕状、球状、板状、数珠状、棒状、繊維状、針状、中空状等が挙げられる。
耐熱性樹脂としては、具体的には、ナノセルロース、アラミド繊維、炭素繊維、PEEK樹脂、ポリイミド等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。耐熱性樹脂の形状は特に限定されず、破砕状、球状、板状、数珠状、棒状、繊維状、針状、中空状等が挙げられる。
離型剤としては、具体的には、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、合成ワックス、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ジメチルシリコーン、フッ化シリコーン等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料としては、具体的には、カーボンブラック、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄、ウルトラマリン青、プロシア青、フタロシアニン、多環顔料、アゾ顔料等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、具体的には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物難燃剤、アンチモン系難燃剤等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
タブレット同士の互着や一体化を防ぐこと、タブレットを一定した形状に保持することを目的として、本発明の硬化性樹脂組成物には、アンチブロッキング剤をさらに含有させてもよい。アンチブロッキング剤としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸のLi塩、ステアリン酸のNa塩、ステアリン酸のMg塩、ステアリン酸のK塩、ステアリン酸のCa塩、ステアリン酸のBa塩、ステアリン酸のAl塩、ステアリン酸のZn塩、ステアリン酸のFe塩、ラウリン酸のCa塩、ラウリン酸のBa塩、ラウリン酸のZn塩、ベヘン酸のCa塩、ベヘン酸のBa塩、ベヘン酸のZn塩、12−ヒドロキシステアリン酸のCa塩、12−ヒドロキシステアリン酸のMg塩、12−ヒドロキシステアリン酸のZn塩、アルミニウムシリケート、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカ、沈殿法シリカ、ゼオライト、タルクやカオリン等の粘土鉱物、珪藻土、ポリエチレンビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル樹脂、シリコン樹脂等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述の無機フィラー、耐熱性樹脂、離型剤、顔料、難燃剤、アンチブロッキング剤等の添加物の分散性を調整することを目的として、本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにカップリング剤を含有させてもよい。このようなカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートまたは3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。このようなカップリング剤を含有させる場合の量は、本発明の硬化物の発泡抑制特性等の特徴を損なわない範囲で、かつカップリング剤としての有効量であれば特に限定されない。(A)成分と(B)成分との総量に対して、カップリング剤の割合が2質量%以下であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れる。本発明の硬化性樹脂組成物の一態様において、本発明の硬化性樹脂組成物は、長期間(例えば5℃、1ヶ月)放置しても、そのまま、あるいは、必要に応じて加熱(例えば180℃)することで溶融し、各種成形が可能である。
2−1.硬化性樹脂組成物の調製
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分、必要に応じてその他の添加物を配合することで調製することができる。各成分の配合量は前述の通りである。各成分は均一に分散していることが好ましく、少なくとも、(B)成分と(C)成分が(A)成分中で凝集せずに分散していることが好ましい。(B)成分と(C)成分の(A)成分中への分散性が良好な状態であれば、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物は良好な保存安定性、硬化速度、密着性、および機械強度を示す。
本発明の硬化性樹脂組成物は、各種成形のためにタブレットとして使用することもできる。成形方法は、特に限定されず、硬化性樹脂組成物の成形に一般的に採用されている方法を用いることができる。具体的には、注型成形法、浸漬成形法、滴下成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法等を例示することができる。圧縮成形法、トランスファー成形法および射出成形法を用いる場合、原料である硬化性樹脂組成物がペースト状や粘土状であると、一定した形状を保持できず、互着や一体化、変形したりするため、計量や搬送、成形機への供給が困難となることがある。一方、タブレット形状であると、計量や搬送、成形機への供給が容易となり、自動化も可能となって生産性が大幅に向上する。特に本発明の硬化性樹脂組成物をトランスファー成形法にて成形する場合、硬化性樹脂組成物はタブレット化されていることが好ましい。ここで言うタブレットとは、室温において一定した形状を保持し、経時的な形状の変化が実質的にない固体のことを意味する。
本発明の硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物の硬化物である。本発明の硬化性樹脂組成物が(A)成分として縮合系のポリシロキサン化合物を含有しているにもかかわらず、本発明の硬化物は、種々の形状、大きさに成形しても硬化時に発泡が生じない。また、本発明の硬化物は架橋構造が化学的に安定なシロキサン結合のみによって構成されるため、極めて高い耐熱性を示す。そのため、本発明の硬化物を250℃程度の高温度下で一定期間曝しても、重量減少および機械的強度の低下を実質的に生じない。さらに、本発明の硬化物中にはシラノール基もしくはアルコキシシリル基またはその両方が部分的に残存しているため、各種部材との良好な密着性を示す。
注型成形法による本発明の硬化物を得るための成形の一態様としては、本発明の硬化性樹脂組成物を室温以上150℃未満の温度下で任意の形状および任意の材質の型へと移送し、それを型ごと加熱処理して硬化させる方法が挙げられる。硬化性樹脂組成物を移送する方法は特に限定されない。例えば、スパチュラ等の器具で掬い取って移送することもできるし、ディスペンサー等の移送装置を使用して移送することもできる。
圧縮成形法による本発明の硬化物を得るための成形の一態様としては、任意の形状および材質の型であって、内容物を挟んで加圧することが可能な型を用いて、本発明の硬化性樹脂組成物を室温にて挟んだ後、それを熱プレス機で加熱しながら圧縮する方法が挙げられる。圧縮成形の温度は150℃以上250℃以下が好ましく、成形圧力は10MPa以上が好ましく、保持時間は1分間以上30分間以下が好ましい。硬化物は、圧縮成形物を型から取り出した後、必要に応じてポストキュアを実施することで得られる。
トランスファー成形法による本発明の硬化物を得るための成形の一態様としては、任意の大きさのタブレット状に予備成形した本発明の硬化性樹脂組成物を、あらかじめ加熱したトランスファー成形機へと投入し、取り付けた任意の形状および材質の型へプランジャーによる加圧によって移送する方法が挙げられる。トランスファー成形の温度は150℃以上250℃以下が好ましく、圧力は1MPa以上50MPa以下が好ましく、保持時間は30秒間以上20分間以下が好ましい。金型内を減圧しながらトランスファー成形を行ってもよい。硬化物は、トランスファー成形物を型から取り出した後、必要に応じてポストキュアを実施することで得られる。
本発明の硬化物のポストキュアによる製造方法としては、特に限定されないが、成形物を150℃以上250℃以下に設定したオーブン中で静置することにより行うことが好ましい。成形物の加熱処理時間は、好ましくは250℃で1時間以上、200℃で2.5時間以上または175℃で3.5時間以上である。
本発明の硬化物をトランスファー成形法にて作製する場合、硬化物表面の平滑性を評価することで、硬化性樹脂組成物の硬化速度を評価することができる。硬化物表面の平滑性は出来栄えを表すのみならず、離型性と相関し、さらに離型性は硬化速度と相関する傾向が一般的に知られているためである。すなわち、硬化性樹脂組成物の硬化が遅いほど成形後のトランスファー成形品は柔らかく、離型時に硬化物の一部が金型へと付着することで、硬化物表面の平滑性が損なわれる。
本発明の半導体装置は、半導体素子を少なくとも備える半導体装置であって、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物によって該半導体素子が少なくとも封止されてなる。本発明の半導体装置におけるその他の構成は特に限定されず、半導体素子のほかに従来公知の半導体装置部材を備えていてもよい。そのような半導体装置部材の一例としては、例えば、ベース基板、引き出し配線、ワイヤー配線、制御素子、絶縁基板、ヒートシンク、導電部材、ダイボンド材、ボンディングパッド等が挙げられる。また、半導体素子に加えて、半導体装置部材の一部または全部が、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物で封止されていてもよい。
本発明の半導体装置は、本発明の硬化性樹脂組成物を注型成形法、圧縮成形法またはトランスファー成形法で成形して得られる硬化物により半導体素子を封止することにより製造することができる。
以下の合成例で合成したポリシロキサン化合物の物性評価は、以下に示す方法で行った。
[質量平均分子量(Mw)の測定方法]
合成した各種ポリシロキサン化合物の質量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲル透過クロマトグラフィ(略称:GPC)法により、ポリスチレンを基準物質として検量線を作成して値を算出した。
装置:東ソー株式会社製、商品名:HLC−8320GPC
カラム:東ソー株式会社製、商品名:TSK gel Super HZ 2000x4、3000x2
溶離液:テトラヒドロフラン
ポリシロキサン化合物200mgに、0.5mLの重クロロホルムを加えて溶解させ、緩和剤としてクロム(III)アセチルアセトナート錯体を10mg加えた。これにより調製した溶液を29Si−NMRで測定した。検出したシグナルを、表1に示すように、ピーク(a)〜(h)に分類し、それぞれのピークの積分値を全積分値の和から百分率(積分比)として算出した。なお、ポリシロキサン化合物の29Si−NMR測定には、共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、型番:JNM−AL400)を使用した。ここで、表1に示す各ピークは、ポリシロキサン化合物に含まれ得るアルコキシシリル基のピークと重なることがある。29Si−NMRではシラノール基とアルコキシシリル基の判断は困難であるため、このアルコキシシリル基を全てシラノール基とみなして定量した。
[A]= ピーク(a)積分比+2×ピーク(c)積分比+ピーク(d)積分比+2×ピーク(f)積分比+ピーク(g)積分比+2×ピーク(i)積分比+ピーク(j)積分比、
[B]=ピーク(a)積分比×83.16+ピーク(b)積分比×74.15+ピーク(c)積分比×147.2+ピーク(d)積分比×138.2+ピーク(e)積分比×129.2+ピーク(f)積分比×85.13+ピーク(g)積分比×76.13+ピーク(h)積分比×67.12+ピーク(i)積分比×78.10+ピーク(j)積分比×69.09+ピーク(k)積分比×60.08、
HO−Si基の含有量(mmol/g)=([A]/[B])×1000。
合成した各種ポリシロキサン化合物が含有する、原料化合物であるアルコキシシラン化合物に由来する構造単位について、その組成比を1H−NMRおよび29Si−NMRにより定量した。1H−NMRおよび29Si−NMRは、共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、型番:JNM−AL400)を使用して測定した。
[合成例1]ポリシロキサン化合物(A−a)の合成
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積2Lの4つ口フラスコに、フェニルトリエトキシシランを240.40g(1.000mol)、ジメチルジエトキシシランを148.30g(1.000mol)仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを239.64g、水を185.02g、酢酸を0.12gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。18時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを400ml、水を400ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水400mlで2回洗浄した。次いで、ジイソプロピルエーテル中に溶解した微量の水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後、無水硫酸マグネシウムを濾別した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−a)が無色の粘性液体として得られた。収量は182.57g、前記方法により定量または測定した質量平均分子量(Mw)は828、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は5.76mmol/gであった。組成比は[PhSiO3/2]1.00[Me2SiO2/2]0.82であった。
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積1Lの4つ口フラスコに、フェニルトリメトキシシランを198.30g(1.000mol)仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを144.00g、水を108.00g、酢酸を0.072gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。6時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを200ml、飽和食塩水を200ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水200mlで2回洗浄した。次いで、ジイソプロピルエーテル中に溶解した微量の水分を無水硫酸マグネシウムで除去した後、無水硫酸マグネシウムを濾別した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−b)が無色の固体として得られた。収量は135.10g、質量平均分子量(Mw)は943、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は7.13mmol/gであった。組成比は[PhSiO3/2]であった。
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積1Lの4つ口フラスコに、メチルトリメトキシシランを136.20g(1.000mol)仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを144.00g、水を108.00g、酢酸を0.072gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。6時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを200ml、水を200ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水200mlで2回洗浄した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−c)が無色の粘性液体として得られた。収量は19.66g、Mwは932、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は12.5mmol/gであった。組成比は[MeSiO3/2]であった。
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積2Lの3つ口フラスコに、ジメチルジメトキシシランを96.2g(0.80mol)、フェニルトリメトキシシランを158.6g(0.80mol)、テトラエトキシシランを52.1g(0.25mol)仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを239.6g、水を185.0g、酢酸を0.12gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。6時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを400ml、水を400ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水400mlで2回洗浄した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−d)が無色の粘性液体として得られた。収量は143.4g、Mwは1,100、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は7.7mmol/gであった。組成比は[PhSiO3/2]1.00[Me2SiO2/2]0.82[SiO4/2]0.29であった。
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積2Lの3つ口フラスコに、ジメチルジメトキシシランを60.11g(0.50mol)、メチルトリメトキシシランを68.11g(0.50mol)を仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを120.0g、水を90.0g、酢酸を0.060gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。6時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを200ml、水を200ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水200mlで2回洗浄した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−e)が無色の粘性液体として得られた。収量は55.0g、Mwは618、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は10.1mmol/gであった。組成比は[MeSiO3/2]1.00[Me2SiO2/2]1.22であった。
フッ素樹脂製の撹拌羽、ジムロート型還流器を具備した容積2Lの3つ口フラスコに、ジメチルジメトキシシランを30.1g(0.25mol)、メチルトリメトキシシランを102.17g(0.75mol)を仕込んだ。次いでイソプロピルアルコールを132.0g、水を99.0g、酢酸を0.066gフラスコ内に仕込んだ後、フラスコを100℃に加温しながら攪拌し、加水分解および縮合反応を行った。24時間後、反応液を室温に戻し、フラスコ内にジイソプロピルエーテルを200ml、水を200ml入れて撹拌した。その後、2層分離した反応液の上層側を回収し、水200mlで2回洗浄した。エバポレーターにてジイソプロピルエーテルを減圧留去したところ、目的とするポリシロキサン化合物(A−f)が無色の粘性液体として得られた。収量は64.8g、Mwは945、シラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量は8.8mmol/gであった。組成比は[MeSiO3/2]1.00[Me2SiO2/2]0.31であった。
シリカの物性評価は、以下に示す方法で行った。
シリカ抽出水の25℃におけるpH値は、JIS K 1150:1994に規定する試験方法にて測定した。空気中170℃にて2時間乾燥したシリカを10.00g取り、下記の300mLビーカーに入れ、下記の精製水200mLを加えた。ビーカーを時計皿で覆い、80℃で1時間攪拌した後、室温に冷却して上澄み液を取った。得られた上澄み液の液温を25℃とした後、下記のpH計を用いて測定を行い、pH値を小数点以下1桁まで読み取った。
ビーカー:JIS R 3505に規定する硬質のビーカー
精製水:電気伝導率1×10−3S/m以下の精製水
pH計:株式会社堀場製作所製、商品名:D−54および9681−10D、JIS Z8802に規定する形式IIのpH計
後述の実施例1〜32、比較例1〜10で得られた硬化物の発泡は、以下に示す方法で評価した。
得られた硬化物を目視により評価し、表2〜6では、発泡が見られなかったものを「なし」、発泡が見られたものを「あり」、硬化物が得られなかったものを「−」と記載した。
後述の実施例1〜32、比較例1〜5で調製した硬化性樹脂組成物について、保存安定性の評価を行った。具体的には、内径30mm、高さ50mmのガラス製バイアル瓶に入れた硬化性樹脂組成物を、冷蔵庫内で約5℃で1ヶ月間保管した。保管後の硬化性樹脂組成物を冷蔵庫から取り出し、180℃に加熱して当該硬化性樹脂組成物の状態を確認した。表2〜5では180℃に加熱して溶融するものを「可」、固化しており溶融しないものを「不可」と記載した。
後述の実施例1〜32、比較例1〜5で調製した硬化性樹脂組成物について、硬化性樹脂組成物を内径21mmのガラス製のモールドに高さ15mmとなるように室温にて流し込み、180℃のオーブンで5分間加熱し、オーブンから出した後室温の状態に冷却して硬化速度の評価を行った。表2〜5ではタイプAデュロメータ(株式会社テクロック製、GS−719N)でのショア硬度(A)が5以上の値を示したものを「可」、さらに硬化速度が高くタイプDデュロメータ(株式会社テクロック製、GS−720N)でのショア硬度(D)についても5以上の値を示したものを「良」と記載した。なお、タイプAデュロメータでのショア硬度(A)が5以上の値を示したものと比べ、タイプDデュロメータでのショア硬度(D)についても5以上の値を示したものは、前者よりも硬い硬化物であることを指す。
5−1.実施例1〜27
[実施例1〜27の硬化性樹脂組成物の調整]
合成例1で合成したポリシロキサン化合物(A−a)を12質量部、混合シリカB−a(合成溶融シリカ/爆燃法シリカ=95/5(質量部)、シリカ抽出水のpH値:5.4)を88質量部、さらに表2〜3に示す所定の潜在性硬化促進剤を表2〜表3に記載の量(質量部)採取し、実施例1〜27に記載の本発明の硬化性樹脂組成物、を調製した。合成溶融シリカには、株式会社トクヤマ製、商品名、ML−902SKを、爆燃法シリカには、株式会社アドマテックス製、アドマファインSOシリーズから商品名、SO−C2を用いた。
そして、これらの硬化性樹脂組成物についての保存安定性、硬化物を作製する際の硬化速度、作製した硬化物の発泡のありなしをそれぞれ前述の方法に従って評価した。
<熱酸発生型潜在性硬化促進剤を用いた硬化性樹脂組成物の評価>
表2に、市販の熱酸発生型潜在性硬化促進剤を用いた場合の、硬化性樹脂組成物の保存安定性、硬化物を作製する際の硬化速度、作製した硬化物の発泡のありなしを示す。
TA−100:ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、株式会社サンアプロ製
TA−120:アリールスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、株式会社サンアプロ製
TA−160:(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、株式会社サンアプロ製
サンエイド SI−110:ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、株式会社三新化学工業製
サンエイド SI−B3:ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、株式会社三新化学工業製
サンエイド SI−B4:(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、株式会社三新化学工業製
サンエイド SI−B5:(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、株式会社三新化学工業製TAG−2713:第3級アンモニウム p−トルエンスルホネート、KING社製
CXC−1614:第4級アンモニウム トリフルオロメタンスルホネート、KING社製
CXC−1889:第4級アンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、KING社製
CXC−1890:第4級アンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、KING社製
サンエイド SI−150:(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、株式会社三新化学工業製
アデカスタブPEP−36:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスフェート、株式会社ADEKA製
サンエイドSI助剤:(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム メチルスルフェート、株式会社三新化学工業製
メチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド:商品名、4−(メチルチオ)フェノール、東京化成工業株式会社製
表3に、市販のルイス酸−有機化合物錯体型潜在性硬化促進剤または包摂化合物型潜在性硬化促進剤を用いた場合の、硬化性樹脂組成物の保存安定性、硬化物を作製する際の硬化速度、作製した硬化物の発泡のありなしを示す。
BF3−EtNH2錯体:三フッ化硼素−モノエチルアミン錯体、東京化成工業株式会社製
KM−188:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールと1,1,2,2−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)エタンの包摂化合物、株式会社日本曹達製
HIPA−2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾールと5−ヒドロキシ−イソフタル酸の包摂化合物、株式会社日本曹達製
NIPA−2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾールと5−ニトロ−イソフタル酸の包摂触媒、株式会社日本曹達製
U−CAT SA603:DBU−ギ酸塩、株式会社サンアプロ製
U−CAT SA810:DBU−オルソフタル酸塩、株式会社サンアプロ製
U−CAT SA506:DBU−パラトルエンスルホン酸塩、株式会社サンアプロ製
U−CAT 5002:DBU−テトラフェニルボレート塩、株式会社サンアプロ製
[実施例28〜32の硬化性樹脂組成物の調整]
合成例2〜6で合成したポリシロキサン化合物を12質量部、混合シリカB−a(合成溶融シリカ/爆燃法シリカ=95/5(質量部)、シリカ抽出水のpH値:5.4)を88質量部、さらに潜在性硬化促進剤を0.1質量部採取し、表4の実施例28〜32に記載の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した。合成溶融シリカには、株式会社トクヤマ製、商品名、ML−902SKを、爆燃法シリカには、株式会社アドマテックス製、アドマファインSOシリーズから商品名、SO−C2、潜在性硬化促進剤には、株式会社株式会社サンアプロ製、商品名、U−CAT 5002を用いた。
硬化性樹脂組成物の調製において、ポリシロキサン化合物、各シリカ、硬潜在性化促進剤等の各成分を乳鉢へと採取し、室温にて手感触による性状が一定となるまで練ることで混練を行った。各成分の総量は約60gとした。
調製した実施例28〜32の硬化性樹脂組成物を、内径21mmのガラス製のモールドへ高さ15mmとなるように室温にて移送し、成形を行った。その後、モールドごと180℃で5分間加熱処理することで硬化物を得た。
表4に、合成したポリシロキサン化合物と、市販のアミン塩型潜在性硬化促進剤を用いた場合の、硬化性樹脂組成物の保存安定性、硬化物を作製する際の硬化速度、作製した硬化物の発泡のありなしを示す。
[比較例1〜5の硬化性樹脂組成物の調整]
合成例1で合成したポリシロキサン化合物(A−a)を12質量部、混合シリカB−a(合成溶融シリカ/爆燃法シリカ=95/5(質量部)、シリカ抽出水のpH値:5.4)を88質量部、さらに表5に示す所定の非潜在性硬化促進剤を表5に記載の量(質量部)採取し、比較例1〜5に記載の本発明の範疇にない硬化性樹脂組成物を調製した。合成溶融シリカには、株式会社トクヤマ製、商品名、ML−902SKを、爆燃法シリカには、株式会社アドマテックス製、アドマファインSOシリーズから商品名、SO−C2を用いた。
硬化性樹脂組成物の調製において、ポリシロキサン化合物、各シリカ、非潜在性硬化促進剤等の各成分を乳鉢へと採取し、室温にて手感触による性状が一定となるまで練ることで混練を行った。各成分の総量は約60gとした。
調製した比較例1〜5の硬化性樹脂組成物を、内径21mmのガラス製のモールドへ高さ15mmとなるように室温にて移送し、成形を行った。その後、モールドごと180℃で5分間加熱処理することで硬化物を得た。
表5に、潜在性硬化促進剤を用いない、または非潜在性硬化促進剤を用いた場合の、硬化性樹脂組成物の保存安定性、硬化物を作製する際の硬化速度、作製した硬化物の発泡のありなしを示す。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、東京化成工業株式会社製
ジエチルアミン、東京化成工業株式会社製
トリエチルアミン、東京化成工業株式会社製
イミダゾール、東京化成工業株式会社製
[比較例6〜10の硬化性樹脂組成物の調整]
合成例1で合成したポリシロキサン化合物(A−a)と、表6に示す所定のシリカを表6に記載の量(質量部)採取し、比較例6〜10に記載の本発明の範疇にない硬化性樹脂組成物を調製した。
硬化性樹脂組成物の調製において、ポリシロキサン化合物、各シリカ、非潜在性硬化促進剤等の各成分を乳鉢へと採取し、室温にて手感触による性状が一定となるまで練ることで混練を行った。各成分の総量は約60gとした。
調製した比較例6〜10の硬化性樹脂組成物を、内径21mmのガラス製のモールドへ高さ15mmとなるように室温にて移送し、成形を行った。その後、モールドごと180℃で5分間加熱処理することで硬化物を得た。
表6に、シリカを用いない場合を比較例7に、ポリシロキサン化合物とシリカの組成比が本発明の範疇外の場合を比較例8に、または抽出水のpH値が高いシリカを用いた場合を比較例9〜10とし、作製した硬化物の発泡のありなしを示す。
混合シリカB−a:ML−902SK/ SO−C2=95/5(質量部)
ML−902SK:合成溶融シリカ、メジアン径24μm、株式会社トクヤマ製
SO−C2:爆燃法シリカ、メジアン径0.5 μm、株式会社アドマッテクス製
SC2500−SQ:爆燃法シリカ、メジアン径0.5μm、株式会社アドマッテクス製
SC5500−SQ:爆燃法シリカ、メジアン径1.5μm、株式会社アドマッテクス製
表2〜5に示すように、実施例1〜32および比較例1〜5のいずれにおいても、硬化時の発泡が抑制可能であった。
2…封止材
3…引き出し配線
4…ワイヤー配線
5…ベース基板
6…絶縁基板
10…パワー半導体装置
Claims (28)
- (A)成分:シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個含有するポリシロキサン化合物、
(B)成分:抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカ、
および
(C)成分:潜在性硬化促進剤
を少なくとも含み、(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である、硬化性樹脂組成物。 - (A)成分が、下記式[1]で表される構造単位を少なくとも有するポリシロキサン化合物である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
[R1 mSiOn/2] [1]
(式中のR1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基、炭素数3〜10の環状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状のアルケニル基、炭素数3〜10の分岐状アルケニル基、炭素数3〜10の環状のアルケニル基または炭素数5〜10のアリール基であり、これらのアルキル基、アルケニル基またはアリール基中の水素原子の一部または全てがハロゲン原子と置換されていてもよく、アルキル基、アルケニル基またはアリール基中の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子および珪素原子からなる群より選択される少なくとも1種と置換されていてもよく、前記ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1種であり、R1が複数存在する場合には、R1は同じまたは互いに異なる種類であってもよい。式中の酸素原子は、少なくとも一つはシロキサン結合を形成している酸素原子であり、シラノール基またはアルコキシシリル基を形成していてもよい。式中のmおよびnはそれぞれ、1〜3の整数を表し、m+n=4を満たす。) - R1が炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基、炭素数3〜10の環状のアルキル基、または炭素数5〜10のアリール基を表す、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分が、式[1]で表される構造単位と、下記式[2]で表される構造単位とを少なくとも有するポリシロキサン化合物である、請求項2または請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
[SiO4/2] [2]
(式中の酸素原子はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子、またはシラノール基もしくはアルコキシシリル基を形成している酸素原子を示す。) - (A)成分におけるシラノール基およびアルコキシシリル基の総含有量が1mmol/g以上15mmol/g以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- シリカが、結晶質シリカ、天然溶融シリカ、合成溶融シリカ、爆燃法シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ、火焔法シリカおよび沈殿法シリカからなる群より選ばれる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分として二種以上のシリカを含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分のシリカのメジアン径の値が0.02μm以上500μm以下である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、粒度分布測定において複数の頻度ピークを示すシリカである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、粒子径3μm以下のシリカ粒子を含有する、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (B)成分が、表面が化学修飾されていないシリカである、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (C)成分が、熱酸発生型潜在性硬化促進剤、ルイス酸−有機化合物錯体型潜在性硬化促進剤、包摂化合物型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤およびホスフィン塩型潜在性硬化促進剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (C)成分が、熱酸発生型潜在性硬化促進剤、包摂化合物型潜在性硬化促進剤およびアミン塩型潜在性硬化促進剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 熱酸発生型潜在性硬化促進剤が、
ジアゾニウム類、ヨードニウム類、第3級アンモニウム類、第4級アンモニウム類およびスルホニウム類からなる群より選ばれるオニウム化合物と、
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である、請求項12または請求項13に記載の硬化性樹脂組成物。 - 熱酸発生型潜在性硬化促進剤 が、
アリールスルホニウム、アルキルスルホニウム、アルキルアリールスルホニウムからなる群より選ばれるスルホニウム類と、
リン酸、スルホン酸、アンチモン酸およびホウ酸からなる群より選ばれる化合物との塩である、請求項13乃至請求項14のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。 - 熱酸発生型潜在性硬化促進剤 が、
ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(2−メチルベンジル)(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、(1−ナフチルメチル)(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムおよびベンジル(4−アセトキシフェニル)メチルスルホニウムからなる群より選ばれるスルホニウム類と、
トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、p−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートからなる群より選ばれる化合物との塩である、請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。 - さらに、熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤として安定剤や抑制剤を含む、請求項13乃至請求項16のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤が、
アリールホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルアリールホスフェートからなる群より選ばれる亜リン酸エステル類、アリールスルフィド、アルキルスルフィド、アルキルアリールスルフィドからなる群より選ばれるスルフィド類、およびアリールスルホニウム、アルキルスルホニウム、アルキルアリールスルホニウムと、アリールスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルアリールスルフェートからなるスルホニウム硫酸塩類である、請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。 - 熱酸発生型潜在性硬化促進剤の補助剤が、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスフェート、メチル(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、または(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルスルフェートである、請求項13乃至請求項18のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。 - 包摂化合物型潜在性硬化促進剤が、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類またはトリアジン類をゲスト分子とし、
1,1,2,2−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)エタンまたは、ヒドロキシ基、ニトロ基もしくはt−ブチル基を有していてもよいイソフタル酸化合物をホスト分子とする、
包摂化合物である、請求項12または請求項13に記載の硬化性樹脂組成物。 - アミン塩型潜在性硬化促進剤が、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、イミダゾール類、イミダゾリン類およびトリアジン類からなる群より選ばれるアミン化合物と、
フェノール、オクチル酸、p−トルエンスルホン酸、オルソフタル酸、ギ酸、テトラフェニルボレート塩およびフェノールノボラック樹脂からなる群より選ばれる化合物との塩である、請求項12または請求項13に記載の硬化性樹脂組成物。 - ホスフィン塩型潜在性硬化促進剤が、
テトラフェニルホスホニウム、トリフェニルホスフィンおよびn−ブチルトリフェニルホスホニウムからなる群より選ばれるホスフィン類と、
テトラフェニルボレート、テトラ−p−トリルボレート、トリフェニルボラン、チオシアネートおよびジシアナミドからなる群より選ばれる化合物との塩である、請求項12または請求項13記載の硬化性樹脂組成物。 - (A)成分と(B)成分と(C)成分との総量に対する(C)成分の割合が0.001質量%以上1質量%以下である、請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分:シラノール基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる官能基を一分子中に少なくとも2個以上含有するポリシロキサン化合物と、
(B)成分:抽出水のpH値が25℃において6.1以下であるシリカと、
(C)成分:潜在性硬化促進剤と
を少なくとも混合して硬化性樹脂組成物を得る工程を含み、
(A)成分と(B)成分との総量に対する(B)成分の割合が70質量%以上97質量%以下である、硬化性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1乃至請求項23いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなるタブレット。
- 請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
- 半導体素子を少なくとも備える半導体装置であって、
請求項26に記載の硬化物により半導体素子が封止された、半導体装置。 - 半導体素子がパワー半導体素子である、請求項27に記載の半導体装置。
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