JP2012255125A - 熱硬化性樹脂組成物、半導体デバイス用部材、及びそれを用いた半導体デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)〜(D)を含む熱硬化性樹脂組成物であり、該熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリシロキサンと(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計が200〜700g/当量であり、かつ、該熱硬化性樹脂組成物を熱処理することで形成される硬化物の、動的粘弾性測定による150℃における貯蔵弾性率が、1.40×107〜1.20×109Paであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(A)ポリシロキサンのエポキシ当量が350〜1000g/当量であり、かつ、下記式(1)で表されるポリシロキサン
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c
(SiO4/2)d(OR7) ・・・(1)
(B) エポキシ化合物
(C) 硬化剤
(D) 硬化触媒
【選択図】なし
Description
この半導体デバイス用部材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。また、この封止樹脂中に蛍光体などの波長変換物質を含有させることによって、半導体発光素子からの発光波長を変換するものなどが知られている。
これらの課題に対して、分子内にエポキシ基とともに耐熱性、紫外耐光性、可とう性に優れるシリコーンユニットを併せ持つエポキシシリコーン樹脂をエポキシ樹脂の代替あるいは併用アイテムとして使用することが提案されている。しかし、エポキシシリコーン樹脂は、特に半導体発光デバイス用パッケージ部材、構造が多様化するなかで、分子中のエポキシ基量を増加させるとガスバリア性は向上するものの可とう性が乏しくなることからクラック、剥離、しわなどの信頼性および外観不良が回避できなくなる。一方、エポキシ量を低減すると容器からのクラック、剥離は良化するものの、ガスバリア性が低くなるというトレードオフの関係であることから、両立についていまだ不十分であった(特許文献2)。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、種々の構成材料からなる半導体発光デバイス用パッケージに対する密着性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、成膜性に優れ、長期間使用してもクラックや剥離、着色を生じることなく半導体デバイスを封止し、必要に応じて蛍光体を保持することのできる新規な熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物を硬化させた半導体デバイス用部材、およびこれらを用いた半導体デバイスを提供することにある。
[1]下記(A)〜(D)を含む熱硬化性樹脂組成物であり、該熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリシロキサンと(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計が200〜700g/当量であり、かつ、該熱硬化性樹脂組成物を熱処理することで形成される硬化物の、動的粘弾性測定による150℃における貯蔵弾性率が、1.40×107〜1.20×109Paであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(A)ポリシロキサンのエポキシ当量が350〜1000g/当量であり、かつ、下記式(1)で表されるポリシロキサン
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c
(SiO4/2)d(OR7) ・・・(1)
〔式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも1つ以上がエポキシ含有基であり、エポキシ含有基以外の官能基はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、かつそのうちの10mol%以上は炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基である。aは0〜0.3、bは0.2〜1.0、cは0.1〜0.7、dは0〜0.2の数を示す。〕
(B) エポキシ化合物
(C) 硬化剤
(D) 硬化触媒
[2]前記式(1)で示される(A)ポリシロキサンの式中における(R4R5SiO2/2)成分が、下記式(2)で表される構造からなることを特徴とする[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(R8R9SiO2/2)n(R10R11SiO2/2)m ・・・(2)
(式(2)において、R8、R9の少なくともいずれか一方が炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基であり、それ以外のR8、R9、R10、R11はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。nはn≧1、mはm≧0の数を示す。)
[3]前記式(2)が、重量平均分子量500以上のオリゴマーであることを特徴とする[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物よりなることを特徴とする、半導体デバイス用部材。
[5][4]に記載の半導体デバイス用部材を少なくとも備えてなることを特徴とする半導体発光デバイス。
また、本発明の半導体発光デバイスは、上述の本発明の半導体デバイス用部材を用いているため、長期間使用しても封止材などにクラックや剥離、着色を生じることなく、長期にわたって性能を維持することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記(A)〜(D)を含むものであり、該熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリシロキサンと(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計が200〜700g/当量であり、かつ、該熱硬化性樹脂組成物を熱処理することで形成される硬化物の、動的粘弾性測定による150℃における貯蔵弾性率が、1.40×107〜1.20×109であることを特徴とするものである。
(A)ポリシロキサンのエポキシ当量が350〜1000g/当量であり、かつ、下記式(1)で表されるポリシロキサン
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c
(SiO4/2)d(OR7)・・・(1)
〔前記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも1つ以上がエポキシ含有基であり、エポキシ含有基以外の官能基はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10までの炭化水素基を示し、かつそのうちの10mol%以上は炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基である。aは0〜0.3、bは0.2〜1.0、cは0.1〜0.7、dは0〜0.2の数を表す。〕
(B) エポキシ化合物
(C) 硬化剤
(D) 硬化触媒
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その用途などに応じてその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる本発明の半導体デバイス用部材を半導体発光デバイス用部材として用いる場合は、本発明の熱硬化性樹脂組成物に蛍光体や無機微粒子を含有させることが好ましい。
[(A)ポリシロキサン]
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられる(A)ポリシロキサン(以下、「(A)成分」と称する場合がある。)は、エポキシ基を必須とするポリシロキサンである。以下、(A)成分について詳細に説明する。
/2で示される単位(D単位)、式:R1SiO3/2で示される単位(T単位)および
式:SiO4/2で示される単位(Q単位)のうち、D単位成分とT単位成分を必須成分
として選ばれるエポキシ基を有するポリシロキサンであり、下記式(1)式にて示される。
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c(
SiO4/2)d(OR7) ・・・ (1)
前記式(1)中において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも1つ以上がエポキシ含有基であり、エポキシ含有基以外の官能基はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、かつ、エポキシ含有基以外の官能基のうちの10mol%以上は炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基であることが必須の要件である。
なお、「前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7のうちのエポキシ含有基以外の官能基」とは、前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7において、エポキシ基以外の官能基に対する芳香族基の割合のことである。
aは、後述するM単位のモル数を示し、通常0以上、好ましくは0.1以上であり、また、通常0.3以下、好ましくは0.2以下である。
bは、後述するD単位のモル数を示し、通常0.2以上、好ましくは0.3以上であり、また、通常1.0以下、好ましくは0.8以下である。
cは、後述するT単位のモル数を示し、通常0.1以上、好ましくは0.2以上であり、また、通常0.7以下、好ましくは0.6以下である。
dは、後述するQ単位のモル数を示し、通常0以上、また、通常0.2以下、好ましくは0.1以下である。
また、前記式(1)において、(R4R5SiO2/2)b成分と、(R6SiO3/2)c成分とを必須とすることにより、ゲル化等のハンドリング性を損なうことなく、半導体発光デバイス部材として必要な密着性、ガスバリア性を付与することができるという効果が得られる。
フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基などの置換アルキル基が例示される。
中でも、炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好ましく、特にメチル基やフェニル基が好ましい。
基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基などのエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基な
どのグリシドキシアルキル基;β−(または2−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチル基、γ−(または3−)(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシシクロヘキシルアルキル基が例示される。中でも、β−(または2−)(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
(R8R9SiO2/2)n(R10R11SiO2/2)m ・・・(2)
(式(2)において、R8、R9の少なくともいずれか一方が炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基であり、それ以外のR8、R9、R10、R11はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。nはn≧1、mはm≧0の数を示す。)
さらに、前記式(2)で表される構造の重量平均分子量については、封止硬化物中から揮発することで、半導体発光装置の汚染あるいは、封止硬化物の応力を増大させる可能性がある環状体の新たな生成を抑制するという観点から500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる(A)エポキシ基を有するポリシロキサンは、その置換基の一部において、エポキシ当量が350〜1000g/当量の範囲でエポキシ基を有することが必須の要件となる。これにより、半導体発光デバイス用パッケージに対する密着性を付与するともに、(B)のエポキシ化合物添加の際に、相溶化を促進するという効果が得られる。(A)ポリシロキサンのエポキシ当量は、350〜900g/当量がより好ましく、300〜800g/当量がさらに好ましく、250〜700g/当量が特に好ましい。
また、比較的硬度の低い半導体デバイス用部材を得たいときには、特に(A)ポリシロキサンのエポキシ当量を、850〜950g/当量にすることが好ましい。このような半導体デバイス部材は、応力緩和能が高く、熱履歴をかけたときにも基材から剥がれにくいという効果を有する。
エポキシ当量が350g/当量以下であると、エポキシ基を有するポリシロキサンを含む熱硬化性組成物を半導体発光デバイス用部材として熱処理にて硬化させた際、その硬化物が硬すぎることで、加熱、冷却時に発生する応力を緩和することが不十分となるため、半導体発光デバイス中に設けられた配線を切断し、半導体発光デバイスとしての機能を失ってしまう可能性がある。また、エポキシ当量が1000g/当量以上になると、その硬化物が、大気中の酸素、硫黄系ガスから半導体発光デバイス中の金属電極をバリアすることが難しくなることから、金属電極の腐食が進行することで、半導体デバイスとしての機能を失ってしまう可能性がある。
本発明で用いられる(A)エポキシ基を有するポリシロキサンは、その置換基の一部においてエポキシ基を有することが必須であるが、エポキシ基の導入方法としては、特に制限はないが、以下の方法が挙げられる。
(1)エポキシ基を有するシラン化合物をポリシロキサン製造原料として、エポキシ基を有しないシラン化合物および、またはそのオリゴマーと共加水分解、縮合反応する方法。(2)ヒドロシラン構造を含有するポリシロキサンにエポキシ基と二重結合基を有する化合物を付加させる方法。
(3)二重結合を有するポリシロキサンの二重結合部分を酸化させることで、エポキシ基に変換する方法。
下に示す方法をとることができる。
式:R3 3SiO1/2で示される単位(M単位)、式:R2 2SiO2/2で示される単位(D単位)、式:R1SiO3/2で示される単位(T単位)および式:SiO4/2で示される単位(Q単位)からなる群から選択される少なくとも1種を含有するシラン化合物および/またはシラン化合物を共加水分解・重縮合反応することで得られるオリゴマーと、エポキシ基を含有するアルコキシシランまたはその部分加水分解物とを、酸性および/または塩基性触媒の存在下に反応させる方法をとることができる。ここで、前記各Rのうちのエポキシ含有基以外の官能基は、その10mol%以上が、炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基であることが好ましい。
R3 3SiO1/2で示される単位(M単位)を導入するために使用されるシラン化合
物原料としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルシラノールなどが例示される。
R2 2SiO2/2で示される単位(D単位)を導入するために使用されるシラン化合
物原料としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシランなどが例示される。
分解縮合物オリゴマーとしては、GE東芝シリコーン社製ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサンでは、例えば、XC96−723、XF3905、YF3057、YF3800、YF3802、YF3807、YF3897などが例示される。
また、ヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン、ヒドロキシ末端ポリジメチルジフェニルシロキサンも好適に使用される。
GE東芝シリコーン社製ヒドロキシ末端ポリジメチルジフェニルシロキサンでは、例えば、YF3804などが例示される。
Gelest社製両末端シラノール ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン コポリマーでは、例えば、PDS−1615が例示される。
Gelest社製両末端シラノール ポリジフェニルシロキサンでは、例えば、PDS−9931が例示される。
R2 2SiO2/2で示される単位(D単位)を導入する方法としては、特に制限はな
いが、シラン化合物よりも加水分解縮合オリゴマーを原料として使用するほうが好ましい。これはシラン化合物を多用すると、重縮合体中の低沸環状体が多くなる可能性があり、低沸環状体は半導体デバイス部材として、硬化物を得る際に揮発してしまうため、重量歩留まりの低下や応力発生の原因となることがあるためである。さらに、低沸環状体を多く含む半導体デバイス用部材は耐熱性が低くなることがある。
特にフェニル基を有するメチルフェニルポリシロキサン、ジフェニル−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリジフェニルシロキサンを原料として使用することが好ましい。
原料としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランおよびこれらの加水分
解縮合物が例示される。
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびこれらの加水分解縮合物が例示される。
エポキシ基を導入するために使用されるシラン化合物原料としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)( エチル)ジメトキシシラン、(γ−
グリシドキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル〕(メチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジメトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メチル)ジエトキシシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(エチル)ジエトキシシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(メトキシ)ジエチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジメチルシラン、(γ−グリシドキシプロピル)(エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジメチルシラン、
〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(メトキシ)ジエチルシラン、〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジメチルシラン、〔2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕( エトキシ)ジエチルシラン、〔2−(
3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル〕(ジメチル)ジシロキサン、3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシランなどが例示される。このうち特に用いられるのは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
(A)エポキシ基を有するポリシロキサンの製造方法では、上述の化合物および/またはそのオリゴマーを、酸性および/または塩基性触媒の存在下に反応させる。
酸性触媒は、アルコキシシラン原料の加水分解反応させるための触媒であり、酸性触媒の例としては、無機酸、有機酸、これらの酸無水物又は誘導体等が挙げられる。
前記無機酸としては、塩酸、リン酸、ホウ酸、炭酸などが例示される。
また、前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸等などが挙げられる。
(反応温度)
酸性および/または塩基性触媒による共加水分解・縮合反応において、反応温度は常圧においては、10℃〜200℃であることが好ましく、特に30℃〜150℃であること
が好ましい。反応温度が低すぎると反応が充分に進行しないことがあり、また反応温度が高すぎるとケイ素原子結合有機基が熱分解することが懸念される。また、必要に応じて有機溶剤により反応系中の固形分濃度を調節し、さらに反応させてもよい。
共加水分解・縮合反応させるために、必要に応じて水を添加してもよい。共加水分解・縮合反応を行なうために使用する水の量は、原料中のすべてのアルコキシ基が変換されるのに要する水量を100%基準とした場合、通常80重量%以上、中でも100重量%以上の範囲が好ましい。加水分解率がこの範囲より少ない場合、共加水分解・縮合反応が不十分なため、硬化時に原料が揮発したり、硬化物の強度が不十分となったりする可能性がある。
(A)ポリシロキサンの重量平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が50
0〜100,000の範囲であることが好ましく、特に1000〜30,000の範囲であることが好ましい。
[(B)エポキシ化合物]
(B)エポキシ化合物としては、特に制限はないものの、特に耐光性に優れている脂肪族あるいは脂環族エポキシ化合物が好ましい。また、(B)エポキシ化合物は縮合されていてもよい。
ル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の2価のフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA、ノボラック、臭素化ビスフェノールA
ノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等を挙げる
ことができる。
本発明で用いられる(B)エポキシ化合物については、(A)のポリシロキサンも含めた(A)と(B)の混合後のエポキシ当量が200〜700g/当量の範囲でエポキシ基を有することが必須の要件となる。エポキシ当量については、250〜600g/当量がより好ましく、300〜500g/当量がさらに好ましい。
また、比較的硬度の低い半導体デバイス用部材を得たいときには、特に(A)と(B)の混合後のエポキシ当量を400〜600g/当量の範囲とすることが好ましい。このような半導体デバイス用部材は、応力緩和能が高く、熱履歴をかけたときにも基材から剥がれにくいという効果を有する。
本発明で用いられる(C)硬化剤については、特に制限はないものの、耐光性の観点からカルボン酸無水物が好ましい。
前記脂環式カルボン酸無水物としては、例えば、下記式(10)〜(15)で表される化合物や、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物のほか、α − テルピネン、アロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等を挙げることができる。
また、前記脂環式カルボン酸無水物は、硬化反応を実質的に妨げない限り、適宜に化学的に変性して使用することもできる。
本発明において、脂環式カルボン酸無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ても、得られる硬化物のガラス転移点(Tg)の低下や着色等の不都合を生じることがある。
本発明で用いられる(D)硬化触媒については、特に限定されるものではないが、例え
ば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3 級アミン類;2−メ
チルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル) −2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−
エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2 ’−メチルイミダゾリル− (1' )〕エチル−s−トリアジン、2,4
−ジアミノ−6−(2 ’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2
,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1' )〕エチル−
s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1' )〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール類;ジフェ
ニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n− ブチルフォス
フォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレート等の4 級フォス
フォニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4 級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、ホウ酸ト
リフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物のほか、ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤; 前記イミダゾール類、有機リン系化合物や4 級フォスフォニウム塩類等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
前記(D)硬化触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(D)硬化触媒の使用量は、(A)エポキシ基を有するポリシロキサンと(B)エポキシ化合物と(C)硬化剤の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、
さらに好ましくは0.1〜0.7重量部である。この場合、(D)硬化触媒の使用量が0.01重量部未満であると、硬化反応の促進効果が低下する傾向があり、一方1重量部を超えると、得られる硬化物に着色などの不都合を生じることがある。
(A)〜(D)の各成分の混合割合については、熱硬化性組成物に含まれる(A)ポリシロキサンと(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計が200〜700g/当量となり、かつ、該熱硬化性組成物を硬化した際に、150℃での貯蔵弾性率が1.50×107〜1.20×109となれば特に制限はない。好ましい混合割合としては、熱硬化性組成物全体を100重量%とした場合に(A)ポリシロキサンは30〜80重量%であり、(B)エポキシ化合物は1〜70重量%であり、(C)硬化剤は1〜80重量%であり、(D)硬化触媒は0.001〜2重量%である。
本発明の半導体デバイス用部材は、上述の(A)ポリシロキサン、(B)エポキシ化合物、(C)硬化剤、および(D)硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物を熱処理することにより得られるものである。
熱処理するための加熱方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
得られる硬化物の内部応力を低減させることを目的とする場合は、例えば80℃〜120℃で0.5時間〜3時間程度の条件で予備硬化させたのち、例えば120℃〜180℃で0.5時間〜3時間程度の条件で後硬化させることがさらに好ましい。
本発明においては、上述の(A)ポリシロキサン、(B)エポキシ化合物、(C)硬化剤、および(D)硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物を熱処理することにより得られる硬化物が、動的粘弾性測定による150℃における10Hzにおける貯蔵弾性率が、通常1.40×107Pa以上、好ましくは1.50×107Pa以上、より好ましくは1.80×107Pa以上であり、また、通常1.20×109Pa以下、好ましくは9.50×108Pa以下である。
[半導体デバイス用部材の用途]
本発明の半導体デバイス用部材の用途は特に限定されず、各種の半導体デバイスに用いることができるが、半導体発光デバイス用部材として用いることが好ましい。半導体発光
デバイス用部材としては、例えば、半導体発光素子等を封止するための部材(封止材)、ワイヤ等をリードフレーム等にボンディングする部材(ダイボンド剤)、半導体発光デバイスのパッケージの樹脂成形体を構成する部材(パッケージ材)など、各種の用途に使用することができる。用途に応じて、その他の成分を併用することができ、例えば、封止材として用いる場合は蛍光体、無機微粒子などを併用することが好ましく、ダイボンド剤として用いる場合は熱伝導剤、無機微粒子などを併用することが好ましく、パッケージ材として用いる場合は無機微粒子などを併用することが好ましい。
(蛍光体)
蛍光体としては、後述の半導体発光素子の発する光に直接的または間接的に励起され、異なる波長の光を発する物質であれば特に制限はなく、無機系蛍光体であっても有機系蛍光体であっても用いることができる。例えば、以下に例示するような青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体の1種または2種以上を用いることができる。所望の発光色を得られるよう、用いる蛍光体の種類や含有量を適宜調整することが好ましい。
青色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常420nm以上、中でも430nm以上、更には440nm以上であり、また、通常490nm以下、中でも480nm以下、更には470nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi2O8:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi2O8:Euがより好ましい。
緑色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上であり、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、CaSc2O4:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、β型サイアロン、(Ba,Sr)3Si6O12:N2:Eu、SrGa2S4:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Mnが好ましい。
黄色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常530nm以上、中でも540nm以上、更には550nm以上であり、また、通常620nm以下、中でも600nm以下、更には580nm以下の範囲にあるものが好適である。
黄色蛍光体としては、Y3Al5O12:Ce、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si2N2O2:Eu、(La,Y,Gd,Lu)3(Si,Ge)6N11:Ceが好ましい。
橙色ないし赤色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常570nm以上、中でも580nm以上、更には585nm以上であり、また、通常780nm以下、中でも700nm以下、更には680nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)2O2S:Eu、K2SiF6:Mnがより好ましい。
(無機微粒子)
無機微粒子(フィラー)の種類としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子が例示されるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。無機微粒子を含有させることで光学的特性や作業性を向上させることができる。混合する無機微粒子の種類は目的に応じて選択すればよい。
これらの無機微粒子(一次粒子)の重量平均メジアン径(D50)は特に限定されないが、蛍光体粒子の1/10以下程度であることが好ましい。具体的には、目的に応じて以下の重量平均メジアン径(D50)のものが用いられる。
本発明の半導体発光デバイス用部材における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その適用形態により自由に選定できる。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その含有率は0.01〜10重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その含有率は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チキソ剤)として用いる場合は、その含有率は
0.1〜20重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その含有率は10〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明の発光体発光デバイスは、半導体発光素子を有し、且つ、少なくとも本発明の半導体発光デバイス用部材を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成の具体例については後述する。
本発明の発光体発光デバイスにおける本発明の半導体発光デバイス用部材の使用方法に特に制限はないが、上述の通り封止材、ダイボンド剤等として用いることができる。上述の(A)ポリシロキサン、(B)エポキシ化合物、(C)硬化剤、および(D)硬化触媒を含む熱硬化性樹脂組成物は、通常は液状であるので、必要に応じて硬化させて用いることが好ましい。前記熱硬化性樹脂組成物を目的とする形状を有する型に入れた状態で硬化させてもよいし、前記熱硬化性樹脂組成物を目的とする部位に塗布した状態で硬化を行うことにより、目的とする部位に直接、本発明の半導体発光デバイス用部材を形成することができる。
半導体発光素子の発光ピーク波長は、上述の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用される。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、又はInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更
にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
[半導体発光デバイスの実施形態]
半導体発光装置は、例えば図1に示す様に、半導体発光素子1、樹脂成形体2、ボンディングワイヤ3、蛍光体含有部(波長変換部)4、リードフレーム5等から構成される。
なお、本明細書においてリードフレーム5等の導電性材料と絶縁性の樹脂成形体からなるものを、パッケージと称することがある。
ボンディングワイヤ3は、半導体発光素子1をパッケージに固定する役割を有する。また、半導体発光素子1が電極となるリードフレームと接触していない場合には、導電性のボンディングワイヤ3が半導体発光素子1への電源供給の役割を担う。ボンディングワイヤ3は、リードフレーム5に圧着し、熱及び超音波の振動を与えることで接着させる。本発明の発光デバイス用部材は、このボンディングワイヤの接着に用いるダイボンド剤としても用いることができる。
本発明の半導体発光デバイス用部材は、封止材として蛍光体含有部4に好適に用いることができる。蛍光体含有部4は、例えば、半導体発光デバイス用部材形成液に蛍光体、無機微粒子等を混合し、必要に応じて硬化させることで得ることができる。蛍光体含有部4に含まれる成分として本発明の半導体発光デバイス用部材を選択しない場合は、通常封止材に用いられることが知られている透光性の樹脂を適宜選択すればよく、具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられ、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの透光性の樹脂と、本発明の半導体発光デバイス用部材とを併用してもよい。
選択される。白色光を発する半導体発光装置(白色LED)において、青色光を発する半導体発光素子を励起光源とする場合には、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。紫色光を発する半導体発光素子の場合には、青色及び黄色の蛍光体を蛍光体層に含ませること、または青色、緑色及び赤色の蛍光体を蛍光体層に含ませることで白色光を生成することができる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、演色性が高い、及び色再現範囲が広いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
[1]測定方法
[1−1]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定
硬化性組成物の重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。また、ポリシロキサンの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、その後、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
装置:ポンプユニットCCPD、RIユニットRI−8012、カラムオーブンユニット
CO−8011(東ソー社製)
カラム:GF−7M HQ、GF−510 HQ(昭和電工社製)
溶離液:THF、流量1.0mL/分、サンプル濃度0.5%、注入量100μL
[1−2]エポキシ当量
以下の操作と算出法により求めた。
ml、クレゾールレッドを添加した後、0.2規定水酸化ナトリウムにて滴定し、反応系内が赤色から黄色になり、紫色に変化した点を当量点とした。当量点より、(A)ポリシロキサンのエポキシ当量を以下の式に従って算出した。
W:試料の重量(g)
Vr:塩酸/2−プロピルアルコール混合溶液25mlの滴定に必要な0.2N水酸化ナトリウムの溶液量(mL)
V:滴定量(mL)
[1−3]密着性評価方法
(1)実施例及び比較例の半導体デバイス用部材の硬化前の加水分解・重縮合液(熱硬化性樹脂組成物)を直径9mm、凹部の深さ1mmのAgメッキ表面のポリフタルアミド製カップに滴下したものについて、100℃にセットした熱風乾燥機内に0.5時間静置後、150℃に昇温後、さらに2時間静置することで硬化させて測定用サンプル(半導体デバイス用部材)を作製した。
(3)吸湿させた測定用サンプルを、前記(2)の吸湿環境下から取り出し、室温(20〜25℃)まで冷却させた。260℃に設定したホットプレート上に、吸湿させ冷却し
た測定用サンプルをアルミ板ごと戴置し、1分間保持した。この条件において、測定用サンプル実温は約50秒で260℃に達し、その後10秒間260℃に保持されることになる。
[1−4]水蒸気透過性評価
得られた硬化性組成物を乾燥膜厚が1mmとなるようにアルミカップに仕込み、100℃1時間、150℃3時間保持して、測定用サンプルを作製した。JISZ0208を参考に、容積20cm3の容器内に2.0gの塩化カルシウムを秤量し、半径5.5mmのサンプルを用いて容器を密閉した。この容器を温度60℃および湿度95%RHで保管し、24時間、または48時間経過後、試験サンプルを秤量し重量増加で評価した。
(水蒸気透過量)=100×(Ws×Ds)/(Wr×Dr)
Ws:サンプルの透湿による重量変化
Wr:比較例2の透湿による重量変化
Ds:サンプルの膜厚
Dr:比較例2の膜厚
なお、この水蒸気透過量(相対比)は、低い方が好ましい。
[1−5]動的粘弾性試験
各実施例および各比較例の熱硬化性樹脂組成物について、内径50mmのアルミ製のカップに2.0g滴下したものについて、100℃にセットした熱風乾燥機内に0.5時間静置後、150℃に昇温後、さらに2時間静置することで、硬化物を得た。その硬化物について、幅5〜10mm×長さ15〜30mm×厚み0.5〜1mmのフィルムを試験用サンプルとして作成し、下記条件により−150℃〜260℃における動的粘弾性試験を行った。条件は以下の条件となる。
測定条件−
チャック間距離:5〜20mm
昇温速度:−150℃〜260℃の温度範囲で3℃/分
測定周波数:10Hz
測定装置:EXSTAR6000 DMS6100
[2](A)ポリシロキサンの合成
(合成例1)
Mw=3000のヒドロキシ末端ポリジフェニルジメチルシロキサン(モメンティブ株式会社製、商品名:YF3804)30.0g、エポキシ基含有アルコキシシランとして、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン33.2g、1モル濃度塩酸水溶液8.6gを混合し、2−プロピルアルコール32.0gを加えて25℃で3時間反応させた。
(合成例2)
合成例1において、各原料の使用量を表1に記載のものに変更したこと以外は合成例1と同様の条件で反応させ、反応溶液を得た。
この反応溶液の溶液量が78.0gになるようにイソプロピルアルコールで希釈し、水酸化カリウムを0.4部加えた後に、加熱して4時間還流操作を行った。その後、合成例1と同様にして、中和、減圧下での揮発成分の除去、洗浄を行い、Mw=3800のポリシロキサン(A−2)を得た。
(合成例3)
Mw=3000のヒドロキシ末端ポリジフェニルジメチルシロキサン(モメンティブ株式会社製、商品名:YF3804)30.0g、エポキシ基含有アルコキシシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン3.7g、10%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液1.2gを混合し、2−プロピルアルコール33.7gを加えて、加熱して7時間還流操作を行った。
このポリシロキサンのエポキシ当量を評価したところ、2226であった。
(合成例4)
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン20.1g 、ジメチルジメトキシシラン1.36g 、ジフェニルジメトキシシラン2.80g、メチルイソブチルケトン75.0
g 、トリエチルアミン2.60 g を加え、室温で混合した。次いで、脱イオン水20
.2 g を滴下漏斗より30分間かけて滴下したのち、還流下で混合しつつ、80℃で8時間反応させた。
(合成例5)
Mw=740のヒドロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン59.2g、エポキシ基含有アルコキシシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 20.8g、1モル濃度塩酸水溶液6.98gを混合し、2−プロピルアルコール39.3gを加えて25℃で3時間反応させた。
得られた反応液に、2−プロピルアルコール50.2gと水酸化カリウムを0.48g加えた後、加熱して9時間還流操作を行った。その後、リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)で反応液を中和してから、減圧下で揮発成分を除去し、得られたポリマーをトルエン/リン酸二水素ナトリウム水溶液(10質量%)、トルエン/水層を用いて洗浄後の水が中性になるまで洗浄後、減圧下で揮発成分を除去してMw=1900のポリシロキサン(A−5)を得た。
このポリシロキサン(A−5)のエポキシ当量を評価したところ、917であった。
(実施例1〜5、比較例1〜2)
以下に示す各成分を表2に示す割合で配合し、以下に示す方法にしたがって熱硬化性樹脂組成物を調製した。
(各成分の詳細)
(A) ポリシロキサン
(A−1) 合成例1で作成したポリシロキサン
(A−2) 合成例2で作成したポリシロキサン
(A−3) 合成例3で作成したポリシロキサン
(A−4) 合成例4で作成したポリシロキサン
(A−5) 合成例5で作成したポリシロキサン
(B) エポキシ化合物
(B−1) シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル
(B−2) 3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
(B−3) 2,2‐ビス[4‐(グリシジルオキシ)シクロヘキシル]プロパン
(三菱化学社製 YX−8000)
(C) 硬化剤 4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合
物
MH700(新日本理化株式会社)
(D) 硬化触媒 メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート
ヒシコーリン PX−4MP (日本化学工業株式会社)
上述の[3]のようにして得られた実施例1〜2および比較例1〜3の熱硬化性樹脂組成物、およびその硬化物を用いて[1]に示した評価方法で物性評価を行った。得られた物性評価結果については表3に示す。なお、エポキシ当量についても併せて表3に示す。
また、上述の[3]のようにして得られた実施例3〜5の熱硬化性樹脂組成物、およびその硬化物を用いて[1]に示した評価方法で物性評価を行った。得られた物性評価結果については表4に示す。なお、エポキシ当量についても併せて表4に示す。
その結果、実施例2ではポリフタルアミドへの密着性は良好だったが、硬化させた封止材(封止材層)に一部ヒビが観察された。実施例3〜5では割れはなく、ポリフタルアミドへの密着性も良好であった。一方で、比較例2では硬化させた封止材(封止材層)に割れが生じ、基材からの剥れが見られた。
(A)エポキシ基を有するポリシロキサンのエポキシ当量、および(A)と(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計および、150℃での貯蔵弾性率が1.40×107〜1.20×109Paの範囲内にある実施例3〜5については、外観が良好であり、かつガス透過性の指標となる水蒸気透過量も低く、ガスバリア性に優れた半導体デバイス用部材である。
また、(A)ポリシロキサンのエポキシ当量が850〜950g/当量であり、かつ、(A)と(B)の混合後のエポキシ当量が400〜600g/当量の範囲であると、貯蔵弾性率が1.40×107Pa〜2.0×108Paという比較的硬度の低い半導体デバイス用部材が得られ、特に応力緩和に優れ、ヒートショック試験等で良好な結果が得られる。
[5]実施例(半導体デバイスの作成)
以下のようにして、実施例2で得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体デバイスを作製し、その評価を行った。
半導体発光素子として、サファイア基板を用いて形成された350μm角、主発光ピーク波長450nmのInGaN系LEDチップ1個を、シリコーン樹脂ベースの透明ダイボンドペーストを用いて、3528SMD型PPA樹脂パッケージのキャビティ底面上に接着した。接着後、150℃、2時間の加熱によりダイボンドペーストを硬化させたうえで、直径25μmのAu線を用いてLEDチップ側の電極とパッケージ側の電極とを接続した。ボンディングワイヤは2本とした。
半導体デバイス用部材(封止材)として実施例2で得られた熱硬化性樹脂組成物1重量部に対し、赤色蛍光体としてCaAlSi(ON)3:Eu(三菱化学社製、BR−10
2C)0.00650重量部と、緑色蛍光体としてβ型サイアロン(三菱化学社製、BG−601B)0.0605重量部と、無機微粒子(チキソ剤)としてアエロジルRX−200(日本アエロジル社製)0.04重量部を添加し、全体が均一になるまで攪拌を行った。次いで、(D)硬化触媒としてメチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート0.002重量部をさらに加えて撹拌を行い、封止材形成液とした。
前記封止材形成液4μLを、エアーディスペンサーを用いて、前記半導体発光素子を設置した半導体発光装置に注液し、100℃で0.5時間保持、次いで150℃で2時間保持して前記封止材形成液を硬化させ、半導体発光装置(白色LED)を得た。
半導体発光装置に20mAの電流を通電したところ、白色光が得られた。
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤー
4 蛍光体を含む封止材層(蛍光体層)
5 リードフレーム
Claims (5)
- 下記(A)〜(D)を含む熱硬化性樹脂組成物であり、
該熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)ポリシロキサンと(B)エポキシ化合物のエポキシ当量の合計が200〜700g/当量であり、
かつ、該熱硬化性樹脂組成物を熱処理することで形成される硬化物の、動的粘弾性測定による150℃における貯蔵弾性率が、1.40×107〜1.20×109Paであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(A)ポリシロキサンのエポキシ当量が350〜1000g/当量であり、かつ、下記式(1)で表されるポリシロキサン
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c
(SiO4/2)d(OR7) ・・・(1)
〔式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも1つ以上がエポキシ含有基であり、エポキシ含有基以外の官能基はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、かつそのうちの10mol%以上は炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基である。aは0〜0.3、bは0.2〜1.0、cは0.1〜0.7、dは0〜0.2の数を示す。〕
(B) エポキシ化合物
(C) 硬化剤
(D) 硬化触媒 - 前記式(1)で示される(A)ポリシロキサンの式中における
(R4R5SiO2/2)成分が、下記式(2)で表される構造からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(R8R9SiO2/2)n(R10R11SiO2/2)m ・・・(2)
(式(2)において、R8、R9の少なくともいずれか一方が炭素数1〜8の置換されていてもよい芳香族基であり、それ以外のR8、R9、R10、R11はそれぞれ独立して1価の酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。nはn≧1、mはm≧0の数を示す。) - 前記式(2)が、重量平均分子量500以上のオリゴマーである
ことを特徴とする請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物よりなることを特徴とする、半導体デバイス用部材。
- 請求項4に記載の半導体デバイス用部材を少なくとも備えてなる
ことを特徴とする半導体発光デバイス。
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