JP2018016002A - 鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 - Google Patents
鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018016002A JP2018016002A JP2016148670A JP2016148670A JP2018016002A JP 2018016002 A JP2018016002 A JP 2018016002A JP 2016148670 A JP2016148670 A JP 2016148670A JP 2016148670 A JP2016148670 A JP 2016148670A JP 2018016002 A JP2018016002 A JP 2018016002A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film layer
- extruded
- polymer film
- vegetables
- laminate film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W90/00—Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
- Y02W90/10—Bio-packaging, e.g. packing containers made from renewable resources or bio-plastics
Landscapes
- Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
- General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
Description
高い抗菌性を有する鮮度保持フィルムとして、特定の化合物が、少なくとも一方の表面に特定量存在する鮮度保持フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、ドライラミネートフィルムと並んで広く用いられている押出ラミネートフィルムについては、ラミネートによる抗菌性の低下を防止又は軽減できる具体的な方策は見い出されておらず、その解決が望まれていた。
すなわち本発明は、
[1]
パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、少なくとも一方の表面に0.002〜0.5g/m2存在する高分子フィルム層Aと、
該高分子フィルム層A上に形成された押出高分子フィルム層Bと、を有する押出ラミネートフィルムであって、
該押出高分子フィルム層B中に、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、0.01〜2%配合されている、上記押出ラミネートフィルム、である。
[2]
前記押出高分子フィルム層B上に、更に延伸フィルム層Cを積層してなる、[1]に記載の押出ラミネートフィルム。
[3]
前記高分子フィルム層Aが、ポリエチレン系フィルムである、[1]又は[2]に記載の押出ラミネートフィルム。
[4]
前記押出高分子フィルム層Bが、直鎖状ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのうち少なくとも一種を含んでなる、[1]から[3]のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
[5]
前記延伸フィルム層Cが、コロナ処理及び/又はアンカーコート処理を施されたものである、[1]から[4]のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
[6]
前記延伸フィルム層Cが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、又はポリプロピレンの1軸又は2軸延伸フィルムである、[1]から[5]のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
[7]
20℃、80%RHでの酸素透過度が2000ml/m2・MPa以下である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
[8]
鮮度保持用途に用いられる、[1]から[7]のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
[9]
[1]から[7]の何れか一項に記載の押出ラミネートフィルムを含んでなる、包装容器。
[10]
前記押出ラミネートフィルムが少なくとも1の開口部を有し、該開口部の長さが0.5〜7mmであり、該開口部の幅が10μm未満である、[9]に記載の包装容器。
[11]
カット野菜または青果物の鮮度保持用に用いられる、[9]又は[10]に記載の包装容器。
[12]
カット野菜または青果物を、[9]から[11]のいずれか一項に記載の包装容器に収納してなる、カット野菜または青果物鮮度保持用包装体。
[13]
更に吸湿剤、及び/又は抗菌剤を収納してなる、[12]に記載の青果物鮮度保持用包装体。
押出ラミネートフィルムにおいては、その層構成を適宜設計することで、バリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等を向上させることができるので、鮮度保持に十分な抗菌性を保ちながら、バリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等に優れた押出ラミネートフィルムを実現することができる。
本発明の押出ラミネートフィルムは、上記の優れた特性を有するので、包装容器、特に青果物の鮮度保持用の包装容器等に、好適に使用することができる。
本発明は、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)が、少なくとも一方の表面に0.002〜0.5g/m2存在する高分子フィルム層Aと、
該高分子フィルム層A上に形成された押出高分子フィルム層Bと、を有する押出ラミネートフィルムであって、
該押出高分子フィルム層B中に、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、0.01〜2%配合されている、上記押出ラミネートフィルム、である。
本発明の押出ラミネートフィルムを構成する高分子フィルム層Aは、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、少なくとも一方の表面に0.002〜0.5g/m2存在する高分子フィルム層である。
高分子フィルム層Aを構成する高分子には特に限定は無く、従来より使用されている高分子フィルムから、目的、用途との関係で好適な高分子を適宜選定、改良して用いればよい。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを使用しても良いが、フィルム形成における加工性等の観点から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル・1−ペンテンなどのポリオレフィンが挙げられる。更に、該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂、あるいはこれらの混合物等も使用することができる。これらの熱可塑性樹脂は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、コスト、加工性、透明性等の観点から、エチレン系重合体を用いることが好ましい。
本発明を構成する高分子フィルム層Aにおいて好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、その主要量がエチレン系重合体から構成されている。エチレン系重合体とは、エチレン単独重合体および/またはエチレン共重合体をいう。具体的には、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体を、その好適な例として挙げることができる。
(エチレン系重合体)
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーを、その好適な例として挙げることができる。より具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体を、そのより好適な例として挙げることができる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
また、前記エチレン系重合体としては、ポリエチレンの名称で製造・販売されているエチレンの重合体を好適な例として挙げることができる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、LLDPEがより好ましい。LLDPEは、エチレンと、少量のプロピレン、ブテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等との共重合体である。また、前記エチレン系重合体は、エチレンの単独重合体であってもよく、LLDPE等のエチレンを主体とする重合体であってもよい。
前記エチレン系重合体の密度は0.910〜0.940g/cm3が好ましく、0.920〜0.930g/cm3がより好ましい。該密度が0.910g/cm3以上であることにより、ヒートシール性が向上する。また、該密度が0.940g/cm3以下であることにより、加工性および透明性が向上する。
本発明の押出ラミネートフィルムを構成する高分子フィルム層Aの表面には、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(特定化合物)が特定量存在する。
特定化合物としては、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレートを単独で用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。パルミチルジエタノールアミンは、炭素数16の長鎖アルキル基であるパルミチル基を有するアルキルジエタノールアミンである。ステアリルジエタノールアミンは、炭素数18のステアリル基を有するアルキルジエタノールアミンである。グリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とグリセリンとのモノエステルである。ジグリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とジグリセリンとのモノエステルである。
ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、ミリスチルジエタノールアミンやラウリルジエタノールアミンに比べて融点が比較的高い。このため、高分子フィルム層Aを例えば溶融成形する際、特に高分子フィルム層Aが延伸フィルムである場合の熱固定において、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは比較的揮発しにくい。また、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、抗菌性、および鮮度保持性に優れる。さらに、本発明の押出ラミネートフィルムを包装用フィルムとして用いた場合、包装用フィルムに接触する内容物である被包装物への移行が比較的遅く、安全性に優れており、加えてその性能を持続することができる。なお、鮮度保持フィルムの「被包装物」を「内容物」と記すことがある。
(アルキルジエタノールアミン;長鎖アルキル基の部分の炭素数;融点)
ステアリルジエタノールアミン;18個;51℃
パルミチルジエタノールアミン;16個;28℃
ミリスチルジエタノールアミン;14個;22〜23℃
ラウリルジエタノールアミン;12個;常温で液体
さらに、本発明に係る本発明の押出ラミネートフィルムを構成する高分子フィルム層Aは、後述するように特定化合物以外にも、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤(但し、特定化合物を除く。)滑材などの他の添加剤を含むことができる。これら他の添加剤と、前記類似化合物との合計は、特定化合物100質量部に対して、50質量部以下含まれてもよく、40質量部以下含まれてもよく、30質量部以下含まれてもよい。
本発明を構成する高分子フィルム層Aにおいては、そのいずれの表面に特定化合物が0.002〜0.5g/m2存在していてもよいが、押出高分子フィルム層Bと接していない側の表面(以下、「反ラミ面」ということがある。)に、特定化合物が0.002〜0.5g/m2存在していることが好ましい。本発明の押出ラミネートフィルムを構成する高分子フィルム層Aは、好ましくはコロナ処理を行ったポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の1軸または2軸延伸フィルムである、延伸フィルム層Cとの積層前の状態で、反ラミ面表面に特定化合物が0.002〜0.5g/m2存在することが好ましく、0.004〜0.4g/m2存在することがより好ましく、0.01〜0.3g/m2存在することがさらに好ましく、0.02〜0.2g/m2存在することが最も好ましい。高分子フィルム層Aの反ラミ面に特定化合物を前記の量を存在させる方法としては、例えば、表面に特定化合物を噴霧したり、表面に特定化合物を含む溶液、懸濁液等を塗布したりするコート法が挙げられる。また、高分子フィルム層Aまたはそれ以外の層に特定化合物を含有させることにより、高分子フィルム層Aの反ラミ面に特定化合物をブリードアウトさせることにより特定化合物を0.002〜0.5g/m2存在させてもよい。なお、本発明の押出ラミネートフィルム中の特定化合物の総含有量は、特定化合物を表面に前記範囲の量ブリードアウトさせることができる観点から、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。
高分子フィルム層Aの表面における特定化合物の量は、コート法により表面に特定化合物を付与する場合は、特定化合物のコート量から算出した値である。また、特定化合物が高分子フィルム層A、及び/又はそれ以外の層に配合されている場合には、高分子フィルム層Aの表面における特定化合物の量は、高分子フィルム層Aの表面を、ジクロロメタンを用いて洗浄し、洗浄液を回収し、濃縮して定容した後、シリル化し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)を用いて定量した値である。
本発明の押し出しラミネートフィルムにおいては、高分子フィルム層A上に、押出ラミネート法により押出高分子フィルム層Bが形成されている。本発明においては、押出高分子フィルム層Bを有することで、押出高分子フィルム層Bに、高分子フィルム層Aと異なる機能を担わせることが可能となり、複合的な機能を有するフィルムを実現することができる。また、押出高分子フィルム層Bは、通常、高分子フィルム層Aとの接着性に優れるだけでなく、それ以外の層との接着性にも優れているので、高分子フィルム層Aとは異なる機能を有する他の層、好ましくは延伸フィルム層C、を更に積層することで、更に複合的な機能を有するフィルムを実現することができる。例えば、バリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等を向上させることができる。
また、押出ラミネート法によれば、高速で、密着性良く、また接着剤や溶剤等を必要とせずに、ラミネートフィルムを製造することができるので、生産性、コスト、品質、作業環境等の点でも、有利である。
(押出高分子フィルム層Bに好ましく用いられるポリエチレン)
本発明を構成する押出高分子フィルム層Bに好ましく用いられるポリエチレンとしては、ASTM D1238に準じ190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(以下MFRと略記する)が1〜50、好ましくは3〜40(g/10分)であり、密度(ASTMD1505)が0.900〜0.940、好ましくは0.900〜0.930(g/cm3)であるエチレン系重合体を例示することができる。
メルトテンション(MT)は、溶融させたエチレン系重合体を一定速度で延伸したときの応力を測定することによって求められる値である。具体的には、東洋精機製MT測定機を用い、樹脂温度190℃、押出速度15mm/分、巻取速度15m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で測定した値である。
本発明を構成する押出高分子フィルム層Bに好ましく用いられるポリエチレンは、前記の物性を満たしていることが好ましいが、その製法は特に限定されない。したがって、ラジカル触媒を用いて高圧下で製造されたいわゆる高圧法ポリエチレン(低密度ポリエチレン)であっても、あるいはチーグラー触媒またはメタロセン触媒を用い、エチレンと所望によりα−オレフィン等のコモノマーの存在下、中低圧下で製造されたいわゆる中低圧ポリエチレンであってもよい。高圧法ポリエチレンでは、分子鎖中に長鎖分岐が存在し、これにより高い溶融張力を示すことから、本発明においては特に好ましく使用できる。また、いわゆる直鎖状低密度ポリエチレンも、本発明において好ましく使用することが可能であり、特に長鎖分岐を有する直鎖状低密度ポリエチレンを好ましく使用することができる。
また、本発明を構成する押出高分子フィルム層Bに好ましく使用される押出ラミ層のポリエチレンは、本発明におけるシーラントフィルムとしての特性を損なわない限り、エチレンと少量の酢酸ビニル等の不飽和カルボン酸との共重合体であっても良い。エチレンと少量の不飽和カルボン酸との共重合体は、他の樹脂との接着性に優れるので、押出高分子フィルム層Bにおいて好適に使用できる。
本発明の押出ラミネートフィルムを構成する押出高分子フィルム層Bには、特定化合物、すなわちパルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、0.01〜2質量%配合されている。
押出高分子フィルム層Bに特定化合物が0.01〜2質量%配合されことで、押出ラミネート工程による抗菌性の低下が有効に防止又は低減され、長期間にわたって安定した抗菌性能を有する押出ラミネートフィルムを実現することができる。
押出高分子フィルム層Bに特定化合物が所定量配合されることで押出ラミネート工程による抗菌性の低下が防止又は低減されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、高分子フィルム層Aに隣接する押出高分子フィルム層B中に特定化合物が比較的高い濃度で存在することで、高分子フィルム層A中の特定化合物の押出高分子フィルム層B(及び延伸フィルム層C等の他の層)の濃度勾配が小さくなり、前記押出高分子フィルム層B(及び延伸フィルム層C等の他の層)への拡散が抑制され、高分子フィルム層A内部及び表面における特定化合物濃度が比較的高いレベルで維持され易いことと、何らかの関係があるものと推定される。
押出高分子フィルム層Bにおける特定化合物の配合量は、0.05〜1.5質量%であることが好ましく、0.08〜1.0質量%であることが特に好ましい。
押出高分子フィルム層Bにおける特定化合物の配合量は、押出高分子フィルム層Bを構成する高分子材料を調製する際に特定化合物の配合量を増減することで、適宜調節することができる。特定化合物を高分子材料に直接配合してもよいし、特定化合物を少量の高分子材料に配合した組成物(マスターバッチ)を準備しておき、最終的に特定化合物の配合量が所望の範囲になるように、マスターバッチと高分子材料とを混合してもよい。
具体的な特定化合物の詳細は、高分子フィルム層Aにおいて使用する特定化合物について上記で説明したものと同様である。
押出高分子フィルム層Bの形成にあたっては、押出ラミネーションに先立ち、高分子フィルム層に接着性を向上させるための表面処理を行ってもよい。表面処理としては、コロナ処理、アンカーコート処理等を好ましく適用することができる。
(アンカーコート剤)
上記態様において好ましく用いられるアンカーコート剤としては、コロナ処理を行った高分子フィルム層Aに、アンカーコート剤を有機溶剤中に、固形分濃度15〜50%で溶解したものを塗布量(固形分)0.1〜0.5g/m2となるように塗布することができる。
ここで用いられる有機溶剤は、一般に以下のように分類できる。
炭化水素系溶剤:トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカン等
アルコール系溶剤:メタノール、エタノール、ブタノール、IPA(イソプロピルアルコール)、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、TBA(ターシャリーブタノール)、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等
ケトン系溶剤:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)等
エステル系溶剤:酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等
エーテル系溶剤:イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)、ブチルカルビトール等
上記から、アンカーコート剤、高分子フィルム層A、及び押出高分子フィルム層Bの素材、並びに押出ラミネートプロセスとの関係において適切な有機溶剤を選択すればよい。
これらの樹脂は樹脂単独で使用してもよいし、ポリイソシアネート化合物等をふくむ硬化剤と組み合わせ、2液硬化型で使用してもよい。
ポリエーテル系樹脂としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテル系樹脂等を、好適な例として挙げることができる。
ポリエーテルエステル系樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテル系樹脂を反応させて得られるポリエーテルエステル系樹脂等を、好適な例として挙げることができる。
また、上記有機ポリイソシアネートは、有機溶剤型接着剤の硬化剤として使用することもできる。
本発明の押出ラミネートフィルムは、押出高分子フィルム層B上に、更に延伸フィルム層Cが積層されていることが好ましい。延伸フィルム層Cには、高分子フィルム層Aとは異なる機能を付与することが容易であるので、延伸フィルム層Cを、押出高分子フィルム層Bを介して高分子フィルム層Aと積層することで、複合的な機能を有するフィルムを実現することができる。例えば、延伸フィルム層Cとして、バリア性、手切れ性、多色印刷性、及び/又は表面光沢等を有するものを用いることで、本発明の押出ラミネートフィルムにおいて、これらの性質を向上させることができる。
ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミドからなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリプロピレンからなるフィルムが好ましいが、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、及びポリスチレンフィルム、並びにポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなるフィルム等の、一軸又は二軸延伸フィルムも、延伸フィルム層Cとして用いることができる。
また延伸フィルム層Cはアルミニューム、亜鉛、シリカ等の無機物あるいはその酸化物を蒸着した延伸フィルムであってもよい。
延伸フィルム層Cにおける、コロナ処理、及びアンカーコート処理の詳細は、高分子フィルム層Aにおけるコロナ処理、及びアンカーコート処理に関して上記で説明したものと同様である。
本発明の押出ラミネートフィルムを構成する高分子フィルム層A、押出高分子フィルム層B、及び延伸フィルム層Cの全層またはいずれかの層には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の添加剤を添加することができる。また、タルク、シリカ、珪藻土などの各種フィラー類を添加してもよい。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルアミンおよびその誘導体、高級アルコール、ピリジン誘導体、硫酸化油、石鹸類、オレフィンの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル類、脂肪酸エチルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、琥珀酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトルのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等を、好ましい例として挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等を、好ましい例として挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
防曇剤としては、特定化合物を除き、例えば、高級脂肪族アルコール類、グリセリン脂肪酸類、ジグリセリン脂肪酸類、これらのモノ又はジグリセリン脂肪酸の酸エステル類、高級脂肪族アミン類、高級脂肪酸エステル類、これらの混合物等を、好ましい例として挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明の押出ラミネートフィルムは上記高分子フィルム層A上に、押出高分子フィルム層Bを形成し、更に所望により延伸フィルム層Cを積層することにより、製造することができる。
例えば、予め作製された延伸フィルム層Cと高分子フィルム層Aとに、所望により上述のアンカーコートを行った後に、押出高分子フィルム層Bを用いた押出ラミネーションを行うことで、本発明の押出ラミネートフィルムを製造することができる。
押出高分子フィルム層Bを構成するラミネート用樹脂として、特定化合物を0.01〜2質量%配合した高分子樹脂、好ましくは特定化合物を0.01〜2質量%配合した低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることで、特に良好な押出ラミネートフィルムを、生産性よく製造することができる。
またアンカーコート剤を塗布する場合、延伸フィルム層Cの表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上となる様処理することが好ましく、40mN/m以上となる様処理することがより好ましい。
本発明の押出ラミネートフィルムを鮮度保持フィルムとして用いる場合、20℃、80%RHでの酸素透過度(JISK7126に準じて測定)が2000ml/m2・MPa以下であることが好ましい。酸素透過度が2000ml/m2・MPa以下であると、被包装物を低酸素濃度に保つことが容易であるので、レタス等のカット野菜を包装する場合にはその褐変を抑え、精肉、鮮魚、総菜のように呼吸しない生鮮物では、菌の繁殖を抑えられるので、鮮度保持性能を向上させる観点から好ましい
本発明の押出ラミネートフィルムは、包装容器に好ましく用いることができる。
本発明の押出ラミネートフィルムを含んでなる包装容器は、例えば、押出ラミネートフィルムの表面層を内面として二つに折畳んで、両端をヒートシール、溶断シールなどにより封止することにより製造することができる。また、二枚の押出ラミネートフィルムを、表面層が内面になるように重ね合わせて、三方をヒートシール、溶断シールなどにより封止することでも製造することができる。前記包装容器は、包装容器に成型する前に必要に応じて裏面層に印刷処理を行ってもよい。
また、開口部が2以上のスリット状の形状の部分を組み合わせて構成されている場合には、各々のスリット状の形状の部分を例えば、2つのスリット状の形状の部分を「十」や「X」のように互いに交差させるように設けてもよいし、3以上のスリット状の形状の部分を互いに一点で交差させるように設けてもよい。また、例えば、「T」のようにスリット状の形状の部分どうしを交差させずに互いに異なった長さ方向で、連続するように設けてもよい。この様なスリット状の形状の開口部を有することで、上記高分子フィルムを含んでなる包装容器は、22℃、40%RHでの酸素透過度が、青果物等の内容物の鮮度保持に適した範囲、例えば500から50000cc/m2/day/atmの範囲内、より好ましくは1000から5000cc/m2/day/atmの範囲内となる一方で、外部からの異物、例えば微細な無機物、花粉、雑菌等や雑菌等を含んだ浮遊物が包装容器内に侵入することを効果的に抑制することが可能となる。さらに、開口部を形成するスリット状の形状の部分の幅を好ましくは10μm未満とすることで、最大径10μm以上の空気中の異物等の侵入を防止することができる。
この実施形態において包装容器に収納され鮮度保持される青果物には特に制限は無いが、例えばバナナ、マンゴー、ウメ、リンゴ、イチゴ、ミカン、ブドウ、和梨、西洋梨のような果実類、ダイコン、ニンジン、ナガイモ、ゴボウのような根菜類、トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、エダマメ、オクラのような果菜類、緑豆モヤシ、大豆モヤシ、トウミョウのような芽物類、シイタケ、シメジ、エリンギ、マイタケ、マツタケのような菌茸類(キノコ類)、ブロッコリー、ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ、キャベツ、レタス、アスパラガスのような葉茎菜類、キク、ユリ、カーネーション等の花卉または苗が挙げることができる。
従って、青果物は収穫されたままのものであってもよく、外葉等を除去したいわゆる前処理済みのものであってもよく、カット済みのいわゆるカット野菜であってもよい。また、青果物は、洗浄、冷却、脱水等の処理のいずれか又は全てを行ったものであってもよく、またこれらの処理のいずれも行わないものであってもよい。
以下、この実施形態の青果物鮮度保持用包装体の製造方法を、カット野菜の鮮度保持用包装体を例に説明する。
また、カット幅が狭いほど、切断面積が増加し、鮮度保持がより困難になるため、鮮度保持の観点からは、需要の形態に適合する限りにおいてカット幅が広い方が好ましい。
更に、カット野菜に当初から雑菌が多く付着していると、鮮度保持がより困難になるため、カット野菜をよく洗浄するなどして、雑菌の付着をできるだけ低減することが好ましい。洗浄は、雑菌の付着を低減するばかりか、活性の高い酵素等を含み変色等の原因となりうる細胞液等を除去する効果もあるため、鮮度保持のために特に有効である。
加えて、洗浄後にカット野菜表面に付着した水分を十分に除去することが、鮮度保持のために重要である。洗浄後静置して水切りを行っても、カット野菜表面にはなお多くの水が付着している場合が多いので、遠心脱水機等を用いて水分を除去することが有効である。
また、流通の過程での効率向上やスペース節約、特定の気体の排除等の観点からも、包装容器の封止後に脱気を行うことが好ましい。
上述の様に、本実施形態の包装容器を構成する高分子フィルム中の開口部はスリット状の断面形状を有するので、機械的圧力をかける等の比較的簡便な手段で、スリットの中央部の幅を拡げて気体透過性を顕著に増大させることが可能であり、これにより包装体を比較的容易にかつ短時間で脱気することが可能である。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤、及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
(抗菌試験)
(1)抗菌試験
JISZ2801に準じた抗菌試験を、大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った。但し、下記のとおり条件を一部変更し、また鮮度保持フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わなかった。
1/500普通ブイヨン培地に大腸菌(Escherichia coli)を規定数量入れたもの(JIS試験で0.4cc用いるブイヨン)を、評価対象である4cm角の鮮度保持フィルム表面に滴下して、上面にも配置したもう一枚の鮮度保持フィルムとの間に挟み込んだ。35℃で24時間経過した後に鮮度保持フィルム表面を洗浄し、上記普通ブイヨン培地を含む洗浄液を回収し、それを、普通寒天培地を用いて培養してコロニーの数をカウントした。
即ち、顕微鏡下で菌の個数をカウントすることは困難なため、コロニーの数を、目視によりカウントし、その1グラム(g)あたりのコロニーの数を生菌数CFU(colony forming unit)(単位[個/g])とした。また2枚の特定化合物が配合されていないポリエチレンフィルムの間に挟み込んだサンプルをコントロール(Control)として、比較の基準とした。
表2には、n=3の平均値も併せて示した。但し、測定値のバラツキが10倍以上の場合には、JIS規格上平均値は計算できない。
(酸素透過度)
酸素透過度は内部に窒素を封入した後の酸素濃度の変化から下記の方法で測定した。
まず、次の方法で内寸220mm×240mmの袋を形成した。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸220mm×240mmの袋を形成した。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になってから袋内のガスを連通部からほぼすべて排出した。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールした。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置した。
次にサンプリング針チューブで袋内のガスを約20ccサンプリングして食品包装用ジルコニア酸素濃度計(東レエンジニアリング社製、型番LC−750F)にて袋中の酸素濃度を測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出した。
(式)酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(1232cm2)/0.21(酸素の分圧)
(特定化合物の存在量)
高分子フィルムの表面を、ジクロロメタンを用いて洗浄し、洗浄液を回収し、濃縮して定容した後、シリル化し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)を用いて定量した。
高分子フィルム層Aとして、下記の条件に従い、裏面層/中間層/表面層の3層構成を有する高分子フィルムを製造した。
(1)中間層
中間層の材料には、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、密度:0.940g/cm3、MFR:4.0g/10分、融点:117.3℃)を用いた。
(2)表面層及び裏面層
表面層及び裏面層の材料には、前記の直鎖状低密度ポリエチレンに対して、シリカ(富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm))及びエルカ酸アミド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753)をそれぞれ1000ppm添加した材料を用いた。
(3)添加剤
各層に、下記抗菌成分が表1に示す量で含まれるように、下記抗菌成分をマスターバッチに配合した。
(a)ステアリルジエタノールアミン(C18DEA) 理研ビタミン株式会社製
(4)高分子フィルム層Aの製造
前記各材料を用いて、裏面層/中間層/表面層の3層キャストフィルムを層厚み比1/3/1、全体厚み30、40、50、及び70μmで、高分子フィルム層Aを製造した。
高分子フィルム層Aの製造は、押出機のダイス温度:200℃、チル温度:50℃で行った。得られた高分子フィルム層Aの裏面層側をコロナ処理した。コロナ処理された表面の濡れ指数が38dyn以上であることを、和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液NO.38.0を用いて確認した。
表1に示す様に、高分子フィルム層A1は、中間層及び裏面層(シール層)にステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を800ppm含むものであり、高分子フィルム層A2は、いずれの層にもステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を含まないものであった。
上記で作成した高分子フィルム層A1をそのまま使用し、押出ラミネートは行わなかった。また、OPPフィルムとの積層も行わなかった。評価結果を、表2に示す。
上記の様に高分子フィルム層A1は、中間層と裏面層(シール層)にステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を800ppm含むポリエチレンフィルムであり、30〜70μmの各フィルムで十分な抗菌性を示した。すなわち、抗菌性の点では優れたフィルムであるが、押出ラミネートによりバリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等を向上させることは行っていない。
(参考例2)
上記で作成した高分子フィルム層A2をそのまま使用し、押出ラミネートは行わなかった。また、OPPフィルムとの積層も行わなかった。評価結果を、表2に示す。
上記の様に高分子フィルム層A2は、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を含まないポリエチレンフィルムであり、そのため抗菌性を示さなかった。また、押出ラミネートによりバリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等を向上させることも行っていない。
(比較例1)
上記で作成した高分子フィルム層A1上に、以下の条件で押出ラミネートを行い、押出高分子フィルム層B1を形成した。なお、アンカーコート剤として、大日精化工業株式会社製セイカダイン 2710A、同2810C(T)、及び酢酸エチルを=1:2:15.6の割合で混合したものを用いて、押出ラミネート前に、高分子フィルム層A1の表面をアンカーコート処理した。
押出高分子フィルム層B1の厚みは15〜20μm程度であった。押出ラミネートに用いた樹脂は、日本ポリエチレン株式会社製の低密度ポリエチレン(LDPE、ノバテック LD LC600A)であり、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)等の添加物は添加しなかった。
・押出温度(℃)
C1/C2/C3/C4/AD/D1〜4=175/257/322/325/325/327〜327
・成形速度 AC 99m/分 引取 106/分
・エージング 40℃×24h
更に、延伸フィルム層Cとして、厚み15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製:U−1)を積層して、アンカーコート処理した上で押出ラミを行い、押出ラミネートフィルムを作製した。
評価結果を、表2に示す。
高分子フィルム層A1の厚みが70μmの場合には、十分な抗菌性が発現したものの、抗菌性は押し出しラミ層(B1)への特定成分の移動が原因で不安定であり、厚みが小さくなるにつれて抗菌性が発現しにくくなり、厚み30μmの場合には抗菌性が発現しなかった。
(比較例2)
高分子フィルム層A1に代えて高分子フィルム層A2を使用した他は、比較例1と同様にして、押出ラミネートフィルムを作製した。
評価結果を、表2に示す。
実質的な抗菌性は得られなかった。
(実施例1)
押出ラミネートに用いた樹脂(日本ポリエチレン株式会社製の低密度ポリエチレン、ノバテック LD LC600A)に、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を900ppm添加して、押出高分子フィルム層B2を形成し、これを押し出し高分子フィルム層B1に代えた他は、比較例1と同様にして、押出ラミネートフィルムを作製した。
評価結果を、表2に示す。
30〜70μmの各厚みにおいて十分な抗菌性が得られたことが確認できた。すなわち、抗菌性の点では優れたフィルムであり、また、押出ラミネートによりバリア性、手切れ性、多色印刷性、表面光沢等を向上させることも可能なフィルムであった。
また、酸素効果度は500〜2000cc/m2・24h 20℃、90%RH程度であり、カット野菜包装、精肉、鮮魚の包装に適したフィルムであった。
(参考例3)
押出ラミネートに用いた樹脂(日本ポリエチレン株式会社製の低密度ポリエチレン、ノバテック LD LC600A)に、ステアリルジエタノールアミン(C18DEA)を900ppm添加して、押出高分子フィルム層B2を形成し、これを押し出し高分子フィルム層B1に代えた他は、比較例2と同様にして、押出ラミネートフィルムを作製した。
評価結果を、表2に示す。
実質的な抗菌性は得られなかった。
Claims (13)
- パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、少なくとも一方の表面に0.002〜0.5g/m2存在する高分子フィルム層Aと、
該高分子フィルム層A上に形成された押出高分子フィルム層Bと、を有する押出ラミネートフィルムであって、
該押出高分子フィルム層B中に、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、0.01〜2質量%配合されている、上記押出ラミネートフィルム。 - 前記押出高分子フィルム層B上に、更に延伸フィルム層Cを積層してなる、請求項1に記載の押出ラミネートフィルム。
- 前記高分子フィルム層Aが、ポリエチレン系フィルムである、請求項1又は2に記載の押出ラミネートフィルム。
- 前記押出高分子フィルム層Bが、直鎖状ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのうち少なくとも一種を含んでなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
- 前記延伸フィルム層Cが、コロナ処理及び/又はアンカーコート処理を施されたものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
- 前記延伸フィルム層Cが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、又はポリプロピレンの1軸又は2軸延伸フィルムである、請求項1から5のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
- 20℃、80%RHでの酸素透過度が2000ml/m2・MPa以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
- 鮮度保持用途に用いられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の押出ラミネートフィルム。
- 請求項1から7の何れか一項に記載の押出ラミネートフィルムを含んでなる、包装容器。
- 前記押出ラミネートフィルムが少なくとも1の開口部を有し、該開口部の長さが0.5〜7mmであり、該開口部の幅が10μm未満である、請求項9に記載の包装容器。
- カット野菜または青果物の鮮度保持用に用いられる、請求項9又は10に記載の包装容器。
- カット野菜または青果物を、請求項9から11のいずれか一項に記載の包装容器に収納してなる、カット野菜または青果物鮮度保持用包装体。
- 更に吸湿剤、及び/又は抗菌剤を収納してなる、請求項12に記載の青果物鮮度保持用包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016148670A JP7075714B2 (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016148670A JP7075714B2 (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018016002A true JP2018016002A (ja) | 2018-02-01 |
JP7075714B2 JP7075714B2 (ja) | 2022-05-26 |
Family
ID=61079062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016148670A Active JP7075714B2 (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7075714B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3520983A1 (en) | 2018-01-31 | 2019-08-07 | Sumitomo Heavy Industries, Ltd. | Injection molding method and mold unit |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09252718A (ja) * | 1996-03-26 | 1997-09-30 | Toppan Printing Co Ltd | 青果物の鮮度保持用包材 |
JP2002308293A (ja) * | 2002-03-15 | 2002-10-23 | Mitsubishi Chemicals Corp | 青果物入り包装袋 |
JP2003321613A (ja) * | 2002-04-26 | 2003-11-14 | Asahi Kasei Corp | 防曇性フィルム |
WO2014142218A1 (ja) * | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 三井化学東セロ株式会社 | 鮮度保持フィルム |
JP2015093693A (ja) * | 2013-11-11 | 2015-05-18 | 住友ベークライト株式会社 | 青果物用包装袋および青果物包装体 |
-
2016
- 2016-07-28 JP JP2016148670A patent/JP7075714B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09252718A (ja) * | 1996-03-26 | 1997-09-30 | Toppan Printing Co Ltd | 青果物の鮮度保持用包材 |
JP2002308293A (ja) * | 2002-03-15 | 2002-10-23 | Mitsubishi Chemicals Corp | 青果物入り包装袋 |
JP2003321613A (ja) * | 2002-04-26 | 2003-11-14 | Asahi Kasei Corp | 防曇性フィルム |
WO2014142218A1 (ja) * | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 三井化学東セロ株式会社 | 鮮度保持フィルム |
US20150359217A1 (en) * | 2013-03-14 | 2015-12-17 | Mitsui Chemicals Tohcello, Inc. | Freshness-retentive film |
JP2015093693A (ja) * | 2013-11-11 | 2015-05-18 | 住友ベークライト株式会社 | 青果物用包装袋および青果物包装体 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3520983A1 (en) | 2018-01-31 | 2019-08-07 | Sumitomo Heavy Industries, Ltd. | Injection molding method and mold unit |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7075714B2 (ja) | 2022-05-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2017140008A (ja) | 青果物の鮮度保持用に好適な防曇性に優れた包装容器、及びそれを用いた包装体 | |
WO2017090567A1 (ja) | 包装容器、及びそれを用いた包装体 | |
JP6636980B2 (ja) | 青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP2018016403A (ja) | 青果物の鮮度保持用に好適なガス透過性、防曇性に優れた包装袋、及びそれを用いた包装体 | |
JP2019069817A (ja) | 鮮度保持用プラスチックフィルム及び包装材 | |
JP2017141058A (ja) | 内容物の鮮度保持用に好適な防曇性に優れた包装容器、及びそれを用いた包装体 | |
JP7075714B2 (ja) | 鮮度保持用途に適した押出ラミネートフィルム、及びその用途 | |
JPH0323332B2 (ja) | ||
JP6636981B2 (ja) | 青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP6832090B2 (ja) | 食品中の細菌の増殖を抑制する方法 | |
JP6644018B2 (ja) | ダイコンを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP2017095166A (ja) | 青果物の鮮度保持用に好適な包装容器、及びそれを用いた包装体 | |
JP6395630B2 (ja) | 鮮度保持ラミネートフィルム | |
JP6735250B2 (ja) | レタスを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP6728103B2 (ja) | 小松菜を含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びその青果物の鮮度保持方法 | |
JPS6211049A (ja) | 青果物の鮮度保持方法 | |
JP6153426B2 (ja) | 熱可塑性樹脂発泡シート | |
JP6636979B2 (ja) | キャベツを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP6636988B2 (ja) | ダイコンを含む青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP2018199510A (ja) | 青果物の包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP2018167894A (ja) | 青果物の鮮度保持用の包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP6674408B2 (ja) | キャベツを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びキャベツを含む青果物の鮮度保持方法 | |
JP6577506B2 (ja) | 青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法 | |
JP6694846B2 (ja) | レタスを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びレタスを含む青果物の鮮度保持方法 | |
JP2003335904A (ja) | ガス透過性に優れた包装用フィルム及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190412 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200123 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200212 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200407 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20201002 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201228 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20201228 |
|
C11 | Written invitation by the commissioner to file amendments |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C11 Effective date: 20210114 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20210204 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20210329 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20210330 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20210423 |
|
C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211 Effective date: 20210427 |
|
C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22 Effective date: 20220302 |
|
C23 | Notice of termination of proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23 Effective date: 20220404 |
|
C03 | Trial/appeal decision taken |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03 Effective date: 20220506 |
|
C30A | Notification sent |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012 Effective date: 20220506 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220516 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7075714 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |