JP2018014317A - 固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、全固体二次電池の固体電解質層および/または電極活物質層において、無機固体電解質間および各層間の優れた結着性を実現することができる固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池ならびに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法を提供する。【解決手段】周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)と、分散媒体(C)とを含有する固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池ならびに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池である。リチウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきた。しかし、有機電解液は液漏れを生じやすく、また、過充電または過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれもあり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。
かかる状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質および正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べて高エネルギー密度化が可能となり、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発が進められている(非特許文献1)。例えば、特許文献1には、硫化物固体電解質材料と、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、およびラジカル重合開始剤を有する結着剤組成物と、を含有する原料組成物を調製する製造工程を含む固体電池の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、正極または負極の少なくとも一方が、導電性粒子及びジエン系重合体からなる接着剤層用結着剤を含む導電性接着剤層と、集電体と、電極合材層とを有する全固体二次電池用電極である全固体二次電池が開示されている。
国際公開第2010/089891号 国際公開第2013/146916号
NEDO技術開発機構,燃料電池・水素技術開発部,蓄電技術開発室「NEDO次世代自動車用蓄電池技術開発 ロードマップ2013」(平成25年8月)
近年、全固体二次電池の開発が急速に進行している。開発の進行とともに、全固体二次電池の製造効率およびサイクル特性を向上させるため、全固体二次電池の固体電解質層および/または電極活物質層の無機固体電解質間および層間の結着性の向上等に対する要求が強くなっている。
特許文献1では、固体電池を構成する固体電解質材料含有シートにおいて、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマーがラジカル重合して生成するポリマーが結着剤としての役割を果たす。しかしながら、無機固体電解質間の結着性が十分ではない。一方、特許文献2に記載された全固体二次電池では、層間の結着性を向上させるため、電極合材層中の無機固体電解質に含まれる硫黄原子とジエン系重合体の炭素−炭素二重結合を架橋させているが、無機固体電解質間の結着性が十分ではない。
本発明は、全固体二次電池の固体電解質層および/または電極活物質層において、無機固体電解質間および層間の優れた結着性を実現することができる固体電解質組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、無機固体電解質間の結着性に優れる固体電解質含有シートおよび無機固体電解質間および層間の結着性およびサイクル特性に優れる全固体二次電池を提供することを課題とする。さらに、本発明は、上記固体電解質含有シート及び全固体二次電池それぞれの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、無機固体電解質と、この無機固体電解質と反応して化学結合を形成するヘテロ集積二重結合化合物とを含有する固体電解質組成物を用いることにより、無機固体電解質間および全固体二次電池を構成する各層間の結着性およびサイクル特性に優れる全固体二次電池を実現できることを見出した。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明に用いられるヘテロ集積二重結合化合物は後述の一般式(1)で表され、2つの二重結合に挟まれた炭素原子の求電子性が高い。そのため、2つの二重結合に挟まれた炭素原子は、無機固体電解質の表面に存在しうるヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、リン原子等)を有する求核性の基と、シート作製時の加熱により、効率よく化学結合を形成し、無機固体電解質間にゲル化物が形成される。無機固体電解質間にゲル化物が存在することにより、無機固体電解質間および全固体二次電池を構成する各層間の結着性が向上し、充放電の繰り返しに起因する無機固体電解質間の界面抵抗の上昇が抑制され、全固体二次電池のサイクル特性が向上すると考えられる。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)と、分散媒体(C)とを含有する固体電解質組成物であって、
へテロ集積二重結合化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である固体電解質組成物。
X=C=Y 一般式(1)
式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
<2>へテロ集積二重結合化合物(B)が、1分子中に一般式(1)で表される化合物のXまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を2つ以上有する<1>に記載の固体電解質組成物。
<3>へテロ集積二重結合化合物(B)が、多官能イソシアネート化合物である<1>または<2>に記載の固体電解質組成物。
<4>無機固体電解質(A)100質量部に対して、へテロ集積二重結合化合物(B)を、0質量部を超え100質量部未満含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<5>へテロ集積二重結合化合物(B)の分子量が、100以上100,000以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<6>架橋剤(D)を含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<7>架橋剤(D)が、多官能アルコール化合物、多官能チオール化合物、多官能アミン化合物および多官能カルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種である<6>に記載の固体電解質組成物。
<8>架橋促進剤(E)を含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<9>無機固体電解質(A)が、硫化物系無機固体電解質である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<10>活物質(F)を含有する<1>〜<9>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<11>周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、
少なくとも1部の無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを、
含有する固体電解質含有シートあって、
ヘテロ集積二重結合化合物(B)が下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である固体電解質含有シート。
X=C=Y 一般式(1)
式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
<12> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を基材上に塗布し、塗膜を形成する工程を含む固体電解質含有シートの製造方法。
<13>正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1つの層が、
周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、
少なくとも1部の無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを、
含有する全固体二次電池であって、
ヘテロ集積二重結合化合物(B)が下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である全固体二次電池。
X=C=Y 一般式(1)
式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
<14> <12>に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本明細書において、ヘテロ集積二重結合化合物とは、分子内において二重結合が2個以上連続しており、かつ、二重結合を構成する原子群にヘテロ原子を含む化合物を意味する。
なお、「一般式(1)で表される化合物のXまたはYから1つの原子が脱離した部分構造」は、部分構造内において二重結合が2個以上連続しており、かつ、二重結合を構成する原子群にヘテロ原子を含む。そのため、例えば、一般式(1)で表される化合物である二酸化炭素および二硫化炭素から、1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物は得られない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、単に「アクリル」又は「(メタ)アクリル」と記載するときは、メタアクリル及び/又はアクリルを意味する。また、単に「アクリロイル」又は「(メタ)アクリロイル」と記載するときは、メタアクリロイル及び/又はアクリロイルを意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基および連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、特段の断りがない限り、GPCによってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。このとき、GPC装置HLC−8220(東ソー(株)社製)を用い、カラムはG3000HXL+G2000HXLを用い、23℃で流量は1mL/minで、RIで検出することとする。溶離液としては、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、m−クレゾール/クロロホルム(湘南和光純薬社製)から選定することができ、溶解するものであればTHFを用いることとする。
本発明の固体電解質組成物から作製される固体電解質含有シートおよび全固体二次電池は、無機固体電解質間の結着性に優れる。また、本発明の固体電解質含有シートは、無機固体電解質間の結着性に優れる。また、本発明の全固体二次電池は、固体電解質層および/または電極活物質層中の無機固体電解質および各層間の結着性に優れるだけでなく、充放電の繰り返しに起因する無機固体電解質間の界面抵抗の上昇が抑制され、サイクル特性に優れる。
また、本発明の製造方法によれば、本発明の、固体電解質含有シート及び全固体二次電池それぞれを好適に製造することができる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。 実施例で使用した試験装置を模式的に示す縦断面図である。
<好ましい実施形態>
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。以下、図1の層構成を有する全固体二次電池を全固体二次電池シートと称することもある。
本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、固体電解質層の成形材料として好ましく用いることができる。また、本発明の固体電解質含有シートは、上記負極活物質層、正極活物質層、固体電解質層として好適である。
本明細書において、正極活物質層(以下、正極層とも称す。)と負極活物質層(以下、負極層とも称す。)をあわせて電極層または活物質層と称することがある。
正極活物質層4、固体電解質層3、負極活物質層2の厚さは特に限定されない。なお、一般的な電池の寸法を考慮すると、10〜1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層4、固体電解質層3および負極活物質層2の少なくとも1層の厚さが、50μm以上500μm未満であることがさらに好ましい。
<固体電解質組成物>
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)とを含有する。
以下、例えば、「無機固体電解質(A)」を「無機固体電解質」のように、本発明の固体電解質組成物に含有される成分または含有され得る成分を、符号を付さずに記載することもある。
(無機固体電解質(A))
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF、LiBF、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、へテロ集積二重結合化合物との反応性が高いことから、硫化物系無機固体電解質(好ましくは後述のLi−P−S系ガラス)が好ましく用いられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば下記式(A)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。

a1b1c1d1e1 式(A)

式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
各元素の組成比は、下記のように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラス、またはLi、PおよびSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(LiS)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS、SnS、GeS)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラスおよびLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは68:32〜78:22である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10−1S/cm以下であることが実際的である。
具体的な硫化物系無機固体電解質の例として、原料の組み合わせ例を下記に示す。たとえばLiS−P、LiS−P−LiCl、LiS−P−HS、LiS−P−HS−LiCl、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−LiBr−P、LiS−LiO−P、LiS−LiPO−P、LiS−P−P、LiS−P−SiS、LiS−P−SiS−LiCl、LiS−P−SnS、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−P−LiI、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。ただし、各原料の混合比は問わない。このような原料組成物を用いて硫化物系無機固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、溶液法および溶融急冷法を挙げられる。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
具体的な化合物例としては、例えばLixaLayaTiO〔xa=0.3〜0.7、ya=0.3〜0.7〕(LLT)、LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V,Nb、Ta、Ti、Ge、InおよびSnの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、InおよびSnの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3−2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2−xhSiyh3−yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。なお、無機固体電解質粒子の平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。無機固体電解質粒子を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調整する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
無機固体電解質の固体電解質組成物中の固形成分における含有量は、全固体二次電池に用いたときの界面抵抗の低減と低減された界面抵抗の維持を考慮したとき、固形成分100質量%において、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において固形分とは、窒素雰囲気下170℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、後述の分散媒体以外の成分を指す。
(へテロ集積二重結合化合物(B))
本発明に用いられるヘテロ集積二重結合化合物(B)は、下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物のXまたはYから1つの原子(例えば、水素原子)が脱離した部分構造を有する化合物である。
X=C=Y 一般式(1)
式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
、RおよびRにおけるアルキル基は、後述の置換基Pにおけるアルキル基が好ましい。好ましくは炭素数1〜18のアルキル基であり、より好ましくは炭素数2〜12であり、特に好ましくは炭素数3〜6であり、なかでもシクロヘキシル基が好ましい。
、RおよびRのアリール基としては、後述の置換基Pにおけるアリール基が好ましく、好ましくは炭素数6〜18のアリール基であり、より好ましくは炭素数6〜12であり、特に好ましくは6〜8であり、なかでもフェニル基が好ましい。
本発明において、へテロ集積二重結合化合物(B)が、1分子中に一般式(1)で表される化合物のXまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を2つ以上有する化合物であることが好ましい。このような部分構造を2つ以上有することにより、無機固体電解質間がゲル化物を介して結合され、より無機固体電解質間の結着性が向上すると考えられるためである。
へテロ集積二重結合化合物(B)が、1分子中に一般式(1)で表される化合物のXまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を2以上有することがより好ましく、6以上有することが特に好ましい。上限に特に制限はないが、100以下である。
本発明において、入手が容易であることから、へテロ集積二重結合化合物(B)が、多官能イソシアネート化合物であることが好ましい。多官能イソシアネート化合物とは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物を意味する。多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の数に制限はないが、100以下が実際的である。
以下、へテロ集積二重結合化合物(B)の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されない。へテロ集積二重結合化合物(B)の具体例としては、イソシアネート化合物(−N=C=Oを有する化合物)が挙げられる。イソシアネート化合物の具体例を以下に挙げる。単官能イソシアネート化合物としてはドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、カレンズシリーズ(商品名、昭和電工(株)製)、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート等が挙げられる。2官能イソシアネート化合物としてはキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。3官能以上のイソシアネート化合物としてはポリイソシアネートとしてビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型が挙げられ、例えばバーノックシリーズ(商品名、DIC(株)製)、デュラネートシリーズ(商品名、旭化成(株)製)、コロネートシリーズ(商品名、東ソー(株)製)等が挙げられる。中でも、芳香族イソシアネート化合物が、反応性が高い点で好ましい。イソシアネート基を有するヘテロ集積二重結合化合物(B)がポリマーの場合、イソシアネート基はポリマーの主鎖の末端にあっても、側鎖にあってもよい。イソシアネート基が主鎖末端にある場合には、ポリウレタンの末端イソシアネートプレポリマー、ポリウレアの末端イソシアネートプレポリマー等が挙げられる。イソシアネート基が側鎖にある場合には、ラジカル重合可能な官能基とイソシアネート基とを同時に有するモノマーをラジカル重合して得られる化合物が上記ポリマーの具体例として挙げられ、例えばポリメタクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
また、へテロ集積二重結合化合物(B)の具体例として、カルボジイミド化合物(−N=C=N−を有する化合物、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド)、ケテンイミン化合物(−C=C=N−を有する化合物、例えば、特開2014−111741号公報および特開2014−198826号公報に記載の化合物)、二酸化炭素(O=C=O)、チオイソシアネート化合物(−N=C=S)、二硫化炭素(S=C=S)も挙げられる。また、後記実施例で詳述する上記基を有するポリマーも具体例として挙げられる。
本発明に用いられるヘテロ集積二重結合化合物(B)は、市販品を用いてもよく、常法によって合成されたものを用いることもできる。へテロ集積二重結合化合物(B)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物中におけるヘテロ集積二重結合化合物(B)の含有量は特に制限されないが、無機固体電解質間の結着性を高めつつ、イオン伝導度を向上させるため、固体電解質組成物中、無機固体電解質(A)100質量部に対して、へテロ集積二重結合化合物(B)の含有量が、0質量部を超え100質量部未満であることが好ましく、1質量部を超え50質量部未満であることがより好ましく、2質量部を超え20質量部未満であることが特に好ましい。
へテロ集積二重結合化合物(B)の分子量は特に制限されないが、十分な結着性と固体電解質組成物中での溶解性を担保する上で、100以上100,000以下であることが好ましい。
(分散媒体(C))
本発明の固体電解質組成物は、含有する成分を分散させるため分散媒体を含有する。分散媒体の具体例としては下記のものが挙げられる。
エーテル化合物溶媒としては、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテル(好ましくはエチレングリコールジエチルエーテル(ジエトキシエタン))、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等)、アルキルアリールエーテル(アニソール)、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン(1,2−、1,3−及び1,4−の各異性体を含む)、ジオキソランが挙げられる。
アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミドおよびヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられる。
ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンが挙げられる。
芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンが挙げられる。
脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンおよびシクロオクタンなどが挙げられる。
ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリルおよびブチロニトリルが挙げられる。
分散媒体は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。上限は250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、中でも、エーテル化合物溶媒および脂肪族化合物溶媒が好ましく、エーテル化合物溶媒がより好ましい。なお、エーテル化合物溶媒としては、なかでもジブチルエーテル、ジエトキシエタンおよびジオキサンが好ましい。脂肪族化合物溶媒としては、なかでもヘプタン、オクタンおよびシクロオクタンが好ましい。
なお、本発明の固体電解質組成物中の分散媒体の含有量は特に制限されないが、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。
(架橋剤(D))
本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質とヘテロ集積二重結合化合物の結合をより高める目的で架橋剤を含有してもよく、アルコール化合物、チオール化合物、アミン化合物およびカルボン酸化合物等が好適に用いられる。
多官能であることが架橋密度を高め、より高い結着性(ピール強度)を発現するのに有効であるため、多官能アルコール化合物(好ましくはヒドロキシ基を2〜100個有するアルコール化合物)、多官能チオール化合物(好ましくはスルファニル基を2〜100個有するチオール化合物)、多官能アミン化合物(好ましくはアミノ基2〜100個有するアミン化合物)および多官能カルボン酸化合物(好ましくはカルボキシ基を2〜100個有するカルボン酸化合物)等が好ましい。
なかでも、全固体二次電池中での酸化還元に対する耐久性が高いため、アルコール化合物(好ましく多官能アルコール化合物)およびカルボン酸化合物(好ましく多官能カルボン酸化合物)が好ましい。アルコールとカルボン酸との縮合によりエステルを形成して架橋するため、アルコール化合物およびカルボン酸化合物を同時に用いることで架橋効果をより高めることができる。
アルコール化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオール、2,2’−[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジイルビス(オキシ)]ビスエタノール、トリメチロールプロパントリポリオキシエチレンエーテル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、グリセリン、ビスフェノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、トリエタノールアミン、ソルビトールおよびスクロースが挙げられる。また、上記アルコールを出発原料としたエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した多官能アルコールも用いることができる。
また、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)およびポリ酢酸ビニルの部分加水分解ポリマー等も用いることができる。
チオール化合物の具体例としては、特開2016−47898号公報の段落[0082]〜[0099]に記載の化合物が挙げられる。
アミン化合物の具体例としては、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、芳香族ジアミンおよびジエチレントリアミンが挙げられる。また、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
カルボン酸化合物の具体例としては、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸と他のモノマーからなる共重合ポリマー、メタクリル酸と他のモノマーからなる共重合ポリマー、カルボキシ基含有ポリウレタン、カルボキシ基含有ポリアミドおよびカルボシ基含有ポリウレアが挙げられる。
架橋剤(D)は、例えば、市販品を用いることができる。また、架橋剤(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
固体電解質組成物中の架橋剤(D)の含有量は特に制限されないが、無機固体電解質(A)100質量部に対して0質量部超50質量部以下含有されることが好ましく、0質量部超20質量部以下含有されることがより好ましい。
(架橋促進剤(E))
本発明の固体電解質組成物は、架橋促進剤(E)を含有することが好ましい。
架橋促進剤(E)は、ヘテロ集積二重結合への付加反応を促進するための化合物であり、ルイス酸(有機スズ(例えば、ジブチルスズジラウレート)、有機ビスマス(例えば、ネオスタンU−600(商品名、日東化成社製))、ルイス塩基(例えば、ジアザビシクロウンデセン)等が用いられる。
架橋促進剤(E)は、例えば、市販品を用いることができる。架橋促進剤(E)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体電解質組成物中の架橋促進剤(E)の含有量は特に制限されないが、無機固体電解質(A)100質量部に対して0質量部超5質量部以下含有されることが好ましく、0質量部超1質量部以下含有されることがより好ましい。
本明細書において置換または無置換を明記していない化合物ないし基については、その化合物ないし基に適宜の置換基を有していてもよい意味である。これは置換または無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Pが挙げられる。
置換基Pとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20の、鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、シクロヘキシル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等、ただし本明細書においてアルキル基というときには通常シクロアルキル基を含む意味である。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜23のアラルキル基、例えば、ベンジル、フェネチル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される少なくとも1つを有する5又は6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、ピロリドン基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等、ただし本明細書においてアルコキシ基というときには通常アリーロイル基を含む意味である。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、3−メチルフェノキシカルボニル、4−メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、アリーロイル基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイル基、例えば、ベンゾイル等、ただし本明細書においてアシル基というときには通常アリーロイル基を含む意味である。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ等)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等、ただし本明細書においてアシルオキシ基というときには通常アリーロイルオキシ基を含む意味である。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルスルファニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルスルファニル基、例えば、メチルスルファニル、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニル、ベンジルスルファニル等)、アリールスルファニル基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールスルファニル基、例えば、フェニルスルファニル、1−ナフチルスルファニル、3−メチルフェニルスルファニル、4−メトキシフェニルスルファニル等)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数6〜22のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素原子数6〜42のアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシシリル基、例えば、モノメトキシシリル、ジメトキシシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アリールオキシシリル基(好ましくは炭素原子数6〜42のアリールオキシシリル基、例えば、トリフェニルオキシシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホリル基、例えば、−OP(=O)(R)、ホスホニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホニル基、例えば、−P(=O)(R)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスフィニル基、例えば、−P(R)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルイミノ基((メタ)アクリルアミド基)、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、これらの置換基Pで挙げた各基は、上記の置換基Pがさらに置換していてもよい。
化合物、置換基および連結基等がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基および/またはアルキニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
(活物質(F))
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの挿入放出が可能な活物質を含有してもよい。活物質としては、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、正極活物質である遷移金属酸化物、又は、負極活物質である金属酸化物が好ましい。
本発明において、活物質(正極活物質、負極活物質)を含有する固体電解質組成物を、電極用組成物(正極用組成物、負極用組成物)ということがある。
−正極活物質−
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、有機物、硫黄などのLiと複合化できる元素や硫黄と金属の複合物などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素M(Co、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、PまたはBなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Mの量(100mol%)に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物および(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])およびLiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiMn(LMO)、LiCoMnO4、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMnおよびLiNiMnが挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePOおよびLiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類ならびにLi(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、LiFePOF等のフッ化リン酸鉄塩、LiMnPOF等のフッ化リン酸マンガン塩およびLiCoPOF等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiOおよびLiCoSiO等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO、NCA又はNMCがより好ましい。
正極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。正極活物質の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。例えば、0.1〜50μmとすることができる。正極活物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質粒子の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
正極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、50〜85質量がさらに好ましく、55〜80質量%が特に好ましい。
−負極活物質−
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫等の金属酸化物、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体およびリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、並びに、Sn、Si、AlおよびIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵および放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック、黒鉛(天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛等)、及びPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維および活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカーならびに平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。
上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、SbおよびBiの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、ならびにカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、SbBi、SbSi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、SbおよびSnSiSが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
負極活物質はチタン原子を含有することも好ましい。より具体的にはLiTi12(チタン酸リチウム[LTO])がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。
本発明においては、Si系の負極を適用することもまた好ましい。一般的にSi負極は、炭素負極(黒鉛およびアセチレンブラックなど)に比べて、より多くのLiイオンを吸蔵できる。すなわち、単位質量あたりのLiイオンの吸蔵量が増加する。そのため、電池容量を大きくすることができる。その結果、バッテリー駆動時間を長くすることができるという利点がある。
負極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。負極活物質の平均粒子径は、0.1〜60μmが好ましい。所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミルおよび旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式および湿式ともに用いることができる。負極活物質粒子の平均粒子径は、前述の正極活物質の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
負極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10〜80質量%であることが好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
正極活物質および負極活物質の表面は別の金属酸化物で表面被覆されていてもよい。表面被覆剤としてはTi、Nb、Ta、W、Zr、Al、SiまたはLiを含有する金属酸化物等が挙げられる。具体的には、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、ニオブ酸リチウム系化合物等が挙げられ、具体的には、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、Li、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiO、SiO、TiO、ZrO、Al、B等が挙げられる。
また、正極活物質または負極活物質を含む電極表面は硫黄またはリンで表面処理されていてもよい。
さらに、正極活物質または負極活物質の粒子表面は、上記表面被覆の前後において活性光線または活性気体(プラズマ等)により表面処理を施されていても良い。
(バインダー)
本発明の固体電解質組成物はバインダーを含有してもよい。
本発明で使用するバインダーは、有機ポリマーであれば特に限定されない。
本発明に用いることができるバインダーは、特に制限はなく、例えば、以下に述べる樹脂からなるバインダーが好ましい。
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、ポリビニレンジフルオリドとヘキサフルオロプロピレンの共重合物(PVdF−HFP)が挙げられる。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー類、(メタ)アクリルアミドモノマー類、およびこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体が挙げられる。
またそのほかのビニル系モノマーとの共重合体も好適に用いられる。例えばポリ(メタ)アクリル酸メチル−ポリスチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−スチレン共重合体が挙げられる。
その他の樹脂としては例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダーの形状は特に限定されず、全固体電池中において粒子状であっても不定形状であってもよい。
本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーの水分濃度は、100ppm(質量基準)以下が好ましい。
また、本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーは、固体の状態で使用しても良いし、ポリマー粒子分散液またはポリマー溶液の状態で用いてもよい。
本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーの質量平均分子量は10,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、30,000以上がさらに好ましい。上限としては、1,000,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
バインダーの固体電解質組成物中での含有量は、全固体二次電池に用いたときの良好な界面抵抗の低減性とその維持性を考慮すると、固形成分100質量%において、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限としては、電池特性の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
本発明では、バインダーの質量に対する、無機固体電解質と活物質の合計質量(総量)の質量比[(無機固体電解質の質量+活物質の質量)/バインダーの質量]は、1,000〜1の範囲が好ましい。この比率はさらに500〜2がより好ましく、100〜10がさらに好ましい。
(分散剤)
本発明の固体電解質組成物は分散剤を含有してもよい。分散剤を添加することで電極活物質及び無機固体電解質のいずれかの濃度が高い場合や、粒子径が細かく表面積が増大する場合においてもその凝集を抑制し、均一な活物質層及び固体電解質層を形成することができる。分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。一般的には粒子吸着と立体反発および/または静電反発を意図した化合物が好適に使用される。
(リチウム塩)
本発明の固体電解質組成物は、リチウム塩を含有してもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、例えば、特開2015−088486号公報の段落0082〜0085記載のリチウム塩が好ましい。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(導電助剤)
本発明の固体電解質組成物は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤としては、特に制限はなく、一般的な導電助剤として知られているものを用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンやフラーレンなどの炭素質材料であっても良いし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体など導電性高分子を用いても良い。またこれらの内1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。
(固体電解質組成物の調製)
本発明の固体電解質組成物は、例えば、無機固体電解質(A)およびヘテロ集積二重結合化合物(B)を分散媒体(C)の存在下で分散して、スラリー化することで調製することができる。
スラリー化は、各種の混合機を用いて無機固体電解質と、ヘテロ集積二重結合化合物と、分散媒体とを混合することにより行うことができる。混合装置としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダーおよびディスクミルが挙げられる。混合条件は特に制限されないが、例えば、ボールミルを用いた場合、150〜700rpm(rotation per minute)で1時間〜24時間混合することが好ましい。
活物質、粒子分散剤等の成分を含有する固体電解質組成物を調製する場合には、上記の無機固体電解質(A)およびヘテロ集積二重結合化合物(B)の分散工程と同時に添加及び混合してもよく、別途添加及び混合してもよい。
[固体電解質含有シート]
本発明の固体電解質含有シートは、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、少なくとも1部の無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子とヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合(例えば、共有結合、イオン結合および配位結合など)している化合物とを、含有する。本発明の固体電解質含有シートは、複数の層で形成されている場合、層間の結着性にも優れる。
本発明の固体電解質含有シートは、全固体二次電池に好適に用いることができ、その用途に応じて種々の態様を含む。例えば、固体電解質層に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用固体電解質シートともいう)、電極又は電極と固体電解質層との積層体に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用電極シート)等が挙げられる。本願明細書において、これら各種のシートをまとめて全固体二次電池用シートということがある。また、本発明の固体電解質含有シートは、イオン分離膜やイオン交換膜に好適に用いることもできる。例えば、イオン交換膜電気透析装置のイオン交換膜として本発明の固体電解質含有シートを用いることができる。
全固体二次電池用シートは、基材上に固体電解質層又は活物質層(電極層)を有するシートである。この全固体二次電池用シートは、基材と固体電解質層又は活物質層を有していれば、他の層を有してもよいが、活物質を含有するものは後述する全固体二次電池用電極シートに分類される。他の層としては、例えば、保護層、集電体、コート層(集電体、固体電解質層、活物質層)等が挙げられる。
全固体二次電池用固体電解質シートとして、例えば、固体電解質層と保護層とを基材上に、この順で有するシートが挙げられる。
基材としては、固体電解質層を支持できるものであれば特に限定されず、後記集電体で説明する材料、有機材料および無機材料等のシート体(板状体)等が挙げられる。有機材料としては、各種ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびセルロース等が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラスおよびセラミック等が挙げられる。
全固体二次電池用シートの固体電解質層の層厚は、上述の、本発明の全固体二次電池において説明した固体電解質層の層厚と同じである。
このシートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。
ここで、本発明の固体電解質組成物は、例えば、上記の方法によって調製できる。
本発明の全固体二次電池用電極シート(単に「電極シート」ともいう。)は、本発明の全固体二次電池の活物質層を形成するための、集電体としての金属箔上に活物質層を有する電極シートである。この電極シートは、通常、集電体及び活物質層を有するシートであるが、集電体、活物質層及び固体電解質層をこの順に有する態様、並びに、集電体、活物質層、固体電解質層及び活物質層をこの順に有する態様も含まれる。
電極シートを構成する各層の構成および層厚は、上述の、本発明の全固体二次電池において説明した各層の構成および層厚と同じである。
電極シートは、本発明の、活物質を含有する固体電解質組成物を金属箔上に製膜(塗布乾燥)して、金属箔上に活物質層を形成することにより、得られる。活物質を含有する固体電解質組成物を調製する方法は、活物質を用いること以外は、上記固体電解質組成物を調製する方法と同じである。
[全固体二次電池]
本発明の全固体二次電池は、正極と、この正極に対向する負極と、正極及び負極の間の固体電解質層とを有する。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有する。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有する。
負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層の少なくとも1つの層は、本発明の固体電解質組成物を用いて形成されることが好ましい。
固体電解質組成物で形成された活物質層および/または固体電解質層は、好ましくは、含有する成分種及びその含有量比について、固体電解質組成物の固形分におけるものと同じである。
なお、固体電解質含有シートは、電池性能に影響を与えない範囲内で分散媒体を含有してもよい。具体的には、全質量中1ppm以上10000ppm以下含有してもよい。
以下に、図1を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層〕
全固体二次電池10においては、正極活物質層、固体電解質層及び負極活物質層のいずれかが本発明の固体電解質組成物を用いて形成されている。
すなわち、固体電解質層3が本発明の固体電解質組成物で形成されている場合、固体電解質層3は、無機固体電解質(A)と、少なくとも1部の無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子とヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを含む。固体電解質層は、通常、正極活物質及び/又は負極活物質を含まない。
正極活物質層4及び/又は負極活物質層2が本発明の固体電解質組成物を用いて形成されている場合、正極活物質層4及び負極活物質層2は、それぞれ、正極活物質又は負極活物質を含み、さらに、無機固体電解質(A)と、少なくとも1部の無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子とヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを含む。活物質層が無機固体電解質を含有するとイオン伝導度を向上させることができる。
正極活物質層4、固体電解質層3及び負極活物質層2が含有する無機固体電解質及びバインダーは、それぞれ、互いに同種であっても異種であってもよい。
本発明においては、全固体二次電池における負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層のいずれかの層が、上記ヘテロ集積二重結合化合物と、無機固体電解質等の固体粒子とを含有する固体電解質組成物を用いて作製される。このため、固体粒子間の結着性を向上することができ、その結果、全固体二次電池における良好なサイクル特性をも実現できる。
〔集電体(金属箔)〕
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金またはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金およびステンレス鋼がより好ましい。
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
本発明において、負極集電体、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び正極集電体の各層の間又はその外側には、機能性の層や部材等を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
〔筐体〕
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金およびステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
[固体電解質含有シートの製造]
本発明の固体電解質含有シートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。
上記態様により、基材と固体電解質層とを有するシートである全固体二次電池用シートを作製することができる。
その他、塗布等の工程については、下記全固体二次電池の製造に記載の方法を使用することができる。
[全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造]
全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造は、常法によって行うことができる。具体的には、全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートは、本発明の固体電解質組成物等を用いて、上記の各層を形成することにより、製造できる。以下詳述する。
本発明の全固体二次電池は、本発明の固体電解質組成物を、集電体となる金属箔上に塗布し、塗膜を形成(製膜)する工程を含む(介する)方法により、製造できる。
例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、固体電解質層を形成するための固体電解質組成物を塗布して、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シートを作製する。また、負極集電体である金属箔上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して負極活物質層を形成し、全固体二次電池用負極シートを作製する。次いで、これらシートのいずれか一方の活物質層の上に、上記のようにして、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートの他方を、固体電解質層と活物質層とが接するように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、固体電解質組成物を基材上に塗布して、固体電解質層からなる全固体二次電池用固体電解質シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
上記の形成法の組み合わせによっても全固体二次電池を製造することができる。例えば、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート、全固体二次電池用負極シート及び全固体二次電池用固体電解質シートをそれぞれ作製する。次いで、全固体二次電池用負極シート上に、基材から剥がした固体電解質層を積層した後に、上記全固体二次電池用正極シートと張り合わせることで全固体二次電池を製造することができる。この方法において、固体電解質層を全固体二次電池用正極シートに積層し、全固体二次電池用負極シートと張り合わせることもできる。
(各層の形成(成膜))
固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布およびバーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒体を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
塗布した固体電解質組成物、又は、全固体二次電池を作製した後に、各層又は全固体二次電池を加圧することが好ましい。また、各層を積層した状態で加圧することも好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては、特に限定されず、一般的には50〜1500MPaの範囲であることが好ましい。
また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
なお、各組成物は同時に塗布しても良いし、塗布乾燥プレスを同時および/または逐次行っても良い。別々の基材に塗布した後に、転写により積層してもよい。
加圧中の雰囲気としては、特に限定されず、大気下、乾燥空気下(露点−20℃以下)および不活性ガス中(例えばアルゴンガス中、ヘリウムガス中、窒素ガス中)などいずれでもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
(初期化)
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
[全固体二次電池の用途]
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車(電気自動車等)、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
本発明の好ましい実施形態によれば、以下のような各応用形態が導かれる。
〔1〕正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層がリチウム塩を含有する全固体二次電池。
〔2〕固体電解質層が、分散媒体によって、リチウム塩および硫化物系無機固体電解質が分散されたスラリーを湿式塗布し製膜される全固体二次電池の製造方法。
〔3〕上記全固体二次電池作製用の活物質を含有する固体電解質組成物。
〔4〕上記固体電解質組成物を金属箔上に適用し、製膜してなる全固体二次電池用電極シート。
〔5〕上記固体電解質組成物を金属箔上に適用し、製膜する全固体二次電池用電極シートの製造方法。
上記好ましい実施形態の〔2〕および〔5〕に記載するように、本発明の全固体二次電池および全固体二次電池用電極シートの好ましい製造方法は、いずれも湿式プロセスである。これにより、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも1層における無機固体電解質の含有量が10質量%以下の低い領域でも、活物質と無機固体電解質の密着性が高まり効率的なイオン伝導パスを維持することができ、電池質量あたりのエネルギー密度(Wh/kg)および出力密度(W/kg)が高い全固体二次電池を製造することができる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi−P−S系ガラス、LLTやLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に有機化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質のバインダーや添加剤として有機化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−S系ガラス、LLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<硫化物系無機固体電解質の合成>
−Li−P−S系ガラスの合成−
硫化物系無機固体電解質として、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.HamGa,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231−235およびA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873の非特許文献を参考にして、Li−P−S系ガラスを合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g及び五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。LiS及びPの混合比は、モル比でLiS:P=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記の硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系ガラス、Li/P/Sと表記することがある。)6.20gを得た。
[実施例1]
<固体電解質組成物の調製例>
(1)固体電解質組成物S−1の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、酸化物系無機固体電解質LLZ(豊島製作所製)1.5g、へテロ集積二重結合化合物(B)として下記表1に記載のB−1 0.1g、分散媒体としてジオキサン4.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合して固体電解質組成物S−1を調製した。
(2)固体電解質組成物S−2の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLi−P−S系ガラス1.5g、へテロ集積二重結合化合物(B)として下記表1に記載のB−1 0.1g、分散媒体としてジオキサン4.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合して固体電解質組成物S−2を調製した。
(3)固体電解質組成物S−3〜S−17およびT−1〜T−3の調製
下記表1に記載の組成に変えた以外は、上記固体電解質組成物S−1またはS−2と同様の方法で、固体電解質組成物S−3〜S−17およびT−1〜T−3を調製した。
ここで、固体電解質組成物S−1〜S−17が本発明の固体電解質組成物であり、固体電解質組成物T−1〜T−3が比較の固体電解質組成物である。
Figure 2018014317
<表の注>
(無機固体電解質(A))
LLZ:LiLaZr12(豊島製作所製)
Li/P/S:上記で合成したLi−P−S系ガラス
(ヘテロ集積二重結合化合物(B))
B−1:ジフェニルメタンジイソシアネート
B−2:トリレンジイソシアネート
B−3:下記の方法で合成したアクリル多官能イソシアネートポリマー
200mL3つ口フラスコに2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名カレンズAOI昭和電工)12gを加え、テトラヒドロフラン(THF)100gに溶解させた。このモノマー溶液を窒素雰囲気下で50℃に加熱した。さらに、このモノマー溶液にアゾイソブチロニトリル(商品名:V−60、和光純薬製)0.12gを加えて50℃で6時間加熱した。得られたポリマー液をヘキサンで再沈殿させこれをTHFに溶解し再沈殿操作を3回繰り返してポリ(2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート)を白色固体として5.2gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は21,300であった。
B−4:下記の方法で合成した末端イソシアネートポリウレタン
200mL3つ口フラスコに1,4−ブタンジオール0.6gとポリエチレングリコール1000(商品名、和光純薬社製、分子量1,000)5.0gを加えてTHF100gに溶解させた。これに1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート5.0gを加えて50℃で加熱攪絆した。これにネオスタンU−600(商品名、日東化成社製)を25mg加えて50℃で4時間加熱攪絆した。得られたポリマー液をヘキサンで再沈殿させこれをTHFに溶解し再沈殿操作を3回繰り返して末端イソシアネートポリウレタンを白色固体として7.9gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は8,800であった。
B−5:下記の方法で合成した末端イソシアネートポリウレア
1,4−ブタンジオールを1,4−ブタンジアミンに、ポリエチレングリコール1000に変えてジェファーミンED900(商品名、HUNTSMAN社製)を用いた以外は、B−4と同様の方法で末端イソシアネートポリウレタンを白色固体として6.1gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は10,900であった。
B−6:ジシクロヘキシルカルボジイミド
B−7:ケテンイミン
特開2014−198826号公報記載の方法で「例示化合物21」を合成して、B−7として用いた。
B−8:ベンゾフェノン
固体電解質組成物T−3において、固体電解質組成物S−1〜S−17との対比のため、ベンゾフェノンをヘテロ集積二重結合化合物(B)の列に記載した。
(架橋剤(D))
D−1:1,4−ブタンジオール
D−2:ジペンタエリトリトール
D−3:ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
D−4:2,2’−[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジイルビス(オキシ)]ビスエタノール(BP−2EO(商品名、三井化学ファインケム社製))
D−5:トリメチロールプロパントリポリオキシエチレンエーテル(TMP−60(商品名、日本乳化剤社製))
D−6:1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸
D−7:イソホロンジアミン
固体電解質組成物S−14では、C−5を0.1g、C−6を0.1g用いた。
(架橋促進剤(E))
E−1:ジアザビシクロウンデセン(DBU)
E−2:DabcoT−12(商品名、AirProducts社製有機スズ:ジブチルスズジラウレート)
E−3:ネオスタンU−600(商品名、日東化成社製有機ビスマス)
<正極用組成物の調製例>
(1)正極用組成物P−1の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で調製した固体電解質組成物S−1 6.8gを加えた。これに正極活物質LCOを3.2g加え、その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数100rpmで10分間攪拌を続け、正極用組成物P−1を調製した。
(2)正極用組成物P−2〜P−17およびHP−1〜HP−3の調製
下記表2に記載の組成に変えた以外は、上記正極用組成物P−1と同様の方法で、正極用組成物P−2〜P−17およびHP−1〜HP−3を調製した。
下記表2に、正極用組成物の組成をまとめて記載する。
ここで、正極用組成物P−1〜P−17が本発明の固体電解質組成物であり、正極用組成物HP−1〜HP−4が比較の固体電解質組成物である。
Figure 2018014317
<表の注>
LCO:LiCoO(コバルト酸リチウム)
NCA:LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム)
NMC:LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム)
LMO:LiMn
<負極用組成物の調製例>
(1)負極用組成物N−1の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で調製した固体電解質組成物S−1 6.8gを加えた。これに負極活物質としてLTO(LiTi12)を3.2g加え、その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数100rpmで10分間攪拌を続け、負極用組成物N−1を調製した。
(2)負極用組成物N−2〜N−17およびHN−1〜HN−3の調製
下記表3に記載の組成に変えた以外は、上記負極用組成物N−1と同様の方法で、負極用組成物N−2〜N−17およびHN−1〜HN−3を調製した。
下記表3に、負極用組成物の組成をまとめて記載する。
ここで、負極用組成物N−1〜N−17が本発明の固体電解質組成物であり、負極用組成物HN−1〜HN−3が比較の固体電解質組成物である。
Figure 2018014317
<全固体二次電池用電極シート(正極用電極シート)の作製例>
(1)正極用電極シートPS−1の作製
上記正極用組成物P−1のスラリーを厚み40μmのアルミ箔上に、アプリケーター(商品名SA−201ベーカー式アプリケータ、テスター産業社製)により塗布し、ヒートプレス機を用いて120℃で1時間加熱して分散媒体を除去し、正極活物質層の厚さが約160μmの全固体二次電池用電極シートPS−1(正極用電極シートPS−1)を作製した。
(2)正極用電極シートPS−2〜PS−17およびHPS−1〜HPS−3の作製
正極用電極シートPS−1と同様にして、正極用電極シートPS−2〜PS−17およびHPS−1〜HPS−3を作製した。正極活物質層の厚さはいずれも160μmであった。
<全固体二次電池用固体電解質シートの作製例>
(1)全固体二次電池用固体電解質シートS−1の作製
正極用電極シートPS−1と同様にして、上記固体電解質組成物S−1を用いて、全固体二次電池用固体電解質シートS−1を作製した。固体電解質層の厚さは、50μmであった。
(2)全固体二次電池用固体電解質シートS−2〜S−17およびHS−1〜HS−3の作製
全固体二次電池用固体電解質シートS−1と同様にして、全固体二次電池用固体電解質シートS〜2−17およびHS−1〜HS−3を作製した。固体電解質層の厚さはいずれも50μmであった。
<全固体二次電池用電極シート(負極用電極シート)の作製例>
(1)負極用電極シートNS−1の作製
正極用電極シートPS−1と同様にして、上記負極用組成物N−1を用いて、負極用電極シートNS−1を作製した。負極活物質層の厚さは、200μmであった。
(2)負極用電極シートNS−2〜NS−17およびHNS−1〜HNS−3の作製
負極用電極シートNS−1と同様にして、負極用電極シートNS−2〜NS−17およびHNS−1〜HNS−3を作製した。負極活物質層の厚さは、いずれも200μmであった。
<全固体二次電池の製造>
上記作製した正極用電極シートを、ハンドパンチを用いて20mm角で打ち抜き、次いで固体電解質シートを20mm角で打ち抜いた。両者を貼り合わせて300MPaで加圧プレスを行い全固体二次電池用固体電解質シート側のアルミ箔を剥がすことにより集電体−正極層−固体電解質層の複合シートを得た。上記で作製した集電体−正極層−固体電解質層の複合シートを直径14.5mmの円板状に切り出して、直径14.5mmの円板状に打ち抜いた負極用電極シートとを貼り合わせて160MPaで加圧した。このようにして得られた、図1に示す層構成を有する全固体二次電池シートをスペーサーとワッシャー(ともに図2において図示しない)を組み込んだステンレス製の2032型コインケース11に入れて、全固体二次電池No.101〜117、c101〜c103を作製した。
No.101〜117の全固体二次電池が本発明の実施例であり、c101〜c103の全固体二次電池が比較例である。
<試験>
上記で作製した全固体二次電池用固体電解質シートおよび全固体二次電池用電極シートについて密着試験を行った。以下、試験方法を記載する。また、結果を下記表4にまとめて記載する。
[試験例1] 結着性試験
上記作製した各シート(全固体二次電池用固体電解質シートおよび全固体二次電池用電極シート、以下単にシートと称する。)について180°ピール強度試験(JIS Z0237−2009)を行った。
シートの固体電解質組成物が硬化された面に粘着テープ(幅24mm、長さ300mm)(商品名:セロテープ(登録商標)CT−24、ニチバン社製)を貼り付けた。テープの端を把持して180°に折り返してシートから25mmはがした後、下記試験機に設置した下側の治具にその粘着テープをはがした部分のシートの片端を固定し、上側の治具に粘着テープを固定した。
300mm/分の負荷速度で試験を実施した。測定開始後25mm粘着テープを引き剥がした後、シートから引きはがされた50mmの粘着テープについて、長さ0.05mmごとの粘着力測定値を平均し、引きはがし粘着力の値(平均ピール強度(N))とした。
平均ピール強度を下記評価基準により評価した。なお、平均ピール強度が高いほど結着力が高いことを示す。評価「C」以上が本試験の合格レベルである。
ピール強度は標準タイプデジタルフォースゲージZTS−5Nと、縦型電動計測スタンドMX2シリーズ(いずれも商品名、イマダ社製)を組み合わせて行った。
−評価基準−
A:2.0N以上
B:1.0N以上2.0N未満
C:0.5N以上1.0N未満
D:0.1N以上0.5N未満
E:0.1N未満
[試験例3] 電池評価(サイクル特性の評価)
上記で作製した全固体二次電池のサイクル特性を、東洋システム社製の充放電評価装置「TOSCAT−3000(商品名)」により測定した。充電は電流密度0.1mA/cmで電池電圧が4.2Vに達するまで行った。放電は電流密度0.1mA/cmで電池電圧が2.5Vに達するまで行った。上記条件で3サイクル充放電を繰り返すことで初期化を行った。
初期化後の各全固体二次電池について、電流密度0.2mA/cmで電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、次いで、電流密度0.2mA/cmで電池電圧が2.5Vに達するまで放電した。この充放電を1サイクルとして、充放電を繰り返した。
この充放電サイクルにおいて、初期化後1サイクル目の放電容量を100としたときの、放電容量が80未満に達した際のサイクル数を、以下の基準で評価した。なお、評価「C」以上が本試験の合格レベルである。
−評価基準−
A:30回以上
B:20回以上30回未満
C:10回以上20回未満
D:5回以上10回未満
E:5回未満
Figure 2018014317
表4から明らかなように、ヘテロ集積二重結合化合物(B)を用いなかった正極用電極シートHPS−1〜3、全固体二次電池用固体電解質シートTS−1〜3および負極用電極シートHNS−1〜3は、結着性試験が不合格であった。さらに、ヘテロ集積二重結合化合物(B)を用いなかった試験No.c101〜c103の全固体二次電池は、いずれも電池評価が不合格であった。正極用電極シートHPS−3、全固体二次電池用固体電解質シートTS−3、負極用電極シートHNS−3および試験No.c103の全固体二次電池の結果から、ヘテロ集積二重結合化合物(B)ではない二重結合を有する化合物を用いても、結着性およびサイクル特性が向上しないことが分かる。
これに対して、本発明の規定を満たす各シートはいずれも結着性に優れ、本発明の規定を満たす全固体二次電池はサイクル特性に優れることが分かる。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 2032型コインケース
12 全固体二次電池シート
13 全固体二次電池

Claims (14)

  1. 周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)と、分散媒体(C)とを含有する固体電解質組成物であって、
    前記へテロ集積二重結合化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である固体電解質組成物。
    X=C=Y 一般式(1)
    式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
  2. 前記へテロ集積二重結合化合物(B)が、1分子中に前記一般式(1)で表される化合物のXまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を2つ以上有する請求項1に記載の固体電解質組成物。
  3. 前記へテロ集積二重結合化合物(B)が、多官能イソシアネート化合物である請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
  4. 前記無機固体電解質(A)100質量部に対して、前記へテロ集積二重結合化合物(B)を、0質量部を超え100質量部未満含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  5. 前記へテロ集積二重結合化合物(B)の分子量が、100以上100,000以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  6. 架橋剤(D)を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  7. 前記架橋剤(D)が、多官能アルコール化合物、多官能チオール化合物、多官能アミン化合物および多官能カルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の固体電解質組成物。
  8. 架橋促進剤(E)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  9. 前記無機固体電解質(A)が、硫化物系無機固体電解質である請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  10. 活物質(F)を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
  11. 周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、
    少なくとも1部の該無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを、
    含有する固体電解質含有シートあって、
    前記ヘテロ集積二重結合化合物(B)が下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である固体電解質含有シート。
    X=C=Y 一般式(1)
    式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を基材上に塗布し、塗膜を形成する工程を含む固体電解質含有シートの製造方法。
  13. 正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1つの層が、
    周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、
    少なくとも1部の該無機固体電解質(A)が有する、少なくとも1部の硫黄原子、酸素原子および/またはリン原子と、ヘテロ集積二重結合化合物(B)とが化学結合している化合物とを、
    含有する全固体二次電池であって、
    前記ヘテロ集積二重結合化合物(B)が下記一般式(1)で表される化合物またはこの化合物の下記XまたはYから1つの原子が脱離した部分構造を有する化合物である全固体二次電池。
    X=C=Y 一般式(1)
    式中、XおよびYは、各々独立にNR、O、SまたはC(R)Rを示す。R、RおよびRは、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。XおよびYは互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、XおよびYが共にC(R)Rであることはない。
  14. 請求項12に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
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