JP2018012811A - ブロック共重合体 - Google Patents

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JP2018012811A JP2016144593A JP2016144593A JP2018012811A JP 2018012811 A JP2018012811 A JP 2018012811A JP 2016144593 A JP2016144593 A JP 2016144593A JP 2016144593 A JP2016144593 A JP 2016144593A JP 2018012811 A JP2018012811 A JP 2018012811A
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Satoshi Kondo
聡 近藤
雪絵 前島
Yukie MAEJIMA
雪絵 前島
伸哉 今富
Shinya Imatomi
伸哉 今富
山田 悟
Satoru Yamada
悟 山田
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Abstract

【課題】短時間での細胞剥離を可能にする細胞培養基材の表面被覆剤として有用なブロック共重合体を提供する。【解決手段】下記(A)および(B)の重合体のブロックを含むブロック共重合体。(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性重合体ブロック。(B)式(1)で表される少なくとも1種類の繰り返し単位を含む親水性重合体ブロック。[R1はH又はメチル基;Qはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はエーテル結合から選択される2価の結合、R2は3級或いは4級のアミノ基、エチレンオキサイドとプロピルオキサイドのブロック共重基又はアルキルオキシ基]【選択図】なし

Description

本発明は、短時間での細胞剥離を可能とする細胞培養基材の表面被覆材として有用なブロック共重合体に関する。
細胞培養は生化学的な現象の理解や有用物質の産生などに用いられ、また近年、幹細胞の発見や培養技術の進歩により、再生医療を始めとする細胞を用いた治療に大きな注目が寄せられている。
細胞の多くは接着性を有しており、体内においてはコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンなどの生体高分子に接着し、増殖・分化することが知られている。同様に、細胞培養においても接着性を有する細胞の多くは、培養する際に何らかの基材に接着する必要がある。従来、基材としては表面処理したガラスあるいは高分子が用いられていた。例えば、ポリスチレンにγ線照射あるいはシリコーンコーティングを行なった基材がある。また、コラーゲンやフィブロネクチンのような生体高分子を表面に塗布した支持体も用いられる。
増殖する細胞は基材上で培養後、一般的に別の基材に植え継ぐ必要が有り、多くの場合にはタンパク質分解酵素が用いられている。タンパク質分解酵素は細胞表面にあるタンパク質を分解し、細胞と基材の間の結合および細胞間の結合を切る役目を担っている。一方、タンパク質分解酵素は細胞の生存率に大きな影響を与えることが知られており、タンパク質分解酵素を用いずに細胞を基材から分離する手法は細胞にダメージを与えない方法として重要である。再生医療においても同様に、体外で培養した細胞にダメージを与えずに、さらに細胞間の結合を切断しない方法で細胞又は組織化した細胞を基材から分離し、体内に戻すことが求められており、タンパク質分解酵素を用いずに基材から分離する方法が求められている。
上記問題を解決するために、温度応答性ポリマーを基材表面に被覆した細胞培養基材が知られている。(特許文献1)このような基材によれば、周囲環境の温度降下による温度応答性ポリマーのゾル転移で基材表面の接着力を弱めて、細胞を剥離させ、ダメージを与えることなく細胞を分別回収することができる。通常、細胞は体温付近で接着・培養する必要があり、培養後、体温以下で細胞を剥離できる基材が必要となる。
また水中におけるゾル転移温度[下限臨界溶解温度(LCST)]が体温以下の範囲にある温度応答性ポリマーとして、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(LCST=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(約35℃)、及びポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(32℃)等が記載されている。(特許文献2、特許文献3)
上記温度応答性ポリマーを細胞培養基材に用いる場合、臨界溶解温度以下に細胞培養基材の温度を下げる必要があるが、同時に細胞が低温化してしまう。そこで細胞の低温化は細胞の活性低下を及ぼすため、冷却時間の短縮が必要である。
国際公開第01/068799号 特公平06−104061号公報 特開平5−244938号公報
本発明の課題は、短時間での細胞剥離を可能にする細胞培養基材の表面被覆剤として有用なブロック共重合体を提供することにある。
本発明者らは、以上の点を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、温度応答性の重合体を、親水性の重合体でブロック共重合させたブロック共重合体を基材上に被覆し成膜することで、20℃での対水接触角が40°よりも低い細胞培養基材を提供することができた。その結果、短時間での細胞剥離を可能にすることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明によれば、以下の重合体が提供される。
[1]下記(A)および(B)の重合体のブロックを含むブロック共重合体。
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性重合体のブロック。
(B)下記一般式(1)で表される繰り返し単位(b)の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む親水性重合体ブロック。
Figure 2018012811
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Qはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、Rは一般式(2)、(3)、(4)または(5)
Figure 2018012811
(式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、RおよびRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
Figure 2018012811
(式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、RおよびRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
Figure 2018012811
(式中、R10は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基であり、iは1〜300の整数であり、jは0〜60の整数である。)
Figure 2018012811
(式中、R11は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基である。)
で表される置換基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基、または水素原子を示す。]
[2]1個のブロック(A)とブロック(B)が結合した重合体である[1]に記載のブロック共重合体。
[3]ブロック(A)が下記一般式(6)
Figure 2018012811
(式中、R12は水素原子又はメチル基であり、R13およびR14は各々独立して、水素基、炭素数1〜6の炭化水素基、フルフリル基またはテトラヒドロフルフリル基であり、R13とR14は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環もしくはモルホリン環を形成しても良い。)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体である[1]に記載のブロック共重合体。
[4]また、本発明によれば、ブロック(A)が下記一般式(7)
Figure 2018012811
(式中、R15は水素原子またはメチル基を表し、R16は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、rは1〜10の整数を表す。)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体である[1]に記載のブロック共重合体。
[5]ブロック(A)が下記一般式(8)
Figure 2018012811
(式中、R17は水素原子またはメチル基を表し、R18は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体である[1]に記載のブロック共重合体。
[6]ブロック共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対する繰り返し単位(b)の量の比率が1〜99mol%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
[7]ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)が3,000以上1,000,000以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
温度応答性の重合体と親水性の重合体でブロック共重合させた、本発明に記載のブロック共重合体から得られる膜を細胞培養基材に被覆することで、細胞培養後、温度を降下させることによる基材表面の親水化が促進される。具体的には、20℃での対水接触角が40°よりも低くなることで、細胞剥離に必要な時間を短縮することができる。これによって、細胞培養後、冷却処理を施しても、細胞にダメージを与えることなく、短時間で細胞を分別回収できる細胞培養基材を得ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本発明において、ブロック共重合体は二種類以上の繰り返し単位からなる重合体であり、それぞれ同種類の繰り返し単位からなる重合体鎖が一本の重合体鎖の中で結合している重合体である。同種類の繰り返し単位からなる一本の重合体鎖を幹にして、他の種類の繰り返し単位からなる重合体鎖の枝をつけたグラフト共重合体を含まない。
本発明のブロック共重合体は特定の温度応答性重合体のブロック(A)と特定の親水性重合体のブロック(B)を含むブロック共重合体であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、1種類のブロック(A)とブロック(B)が結合した重合体であることが好ましい。
本発明におけるブロック(B)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(b)の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む親水性重合体である。
Figure 2018012811
ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくはメチル基を用いる。
Qはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、エステル結合、アミド結合、特にエステル結合が好ましい。
は下記一般式(2)、(3)、(4)または(5)で表される置換基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基、または水素原子を示す。
Figure 2018012811
Figure 2018012811
Figure 2018012811
Figure 2018012811
は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくは炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にアルキレンである。このようなアルキレンとして、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどが例示され、好ましくはエチレンである。
及びRは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基、例えばメチル基又はエチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、特にR及びRが同時に、水素原子又はメチル基、特にメチル基であることが好ましい。
は炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数1〜6の2価のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレンである。
は炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレンである。
及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくは、R及びRが同時に水素原子またはメチル基であり、更に好ましくは同時にメチル基である。
Xはスルホン酸アニオン基、カルボン酸アニオン基、リン酸アニオン基である。
10は水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、炭素数1〜30のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
iは1〜300の整数であり、jは0〜60の整数である。
11は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的として、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
本発明における繰り返し単位(b)としては、アミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルアミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、ジエチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、(メタ)アクリルアミドエチルアミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、ジエチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルアミン、ジメチル[3−(メタ)アクリルアミドプロピル]アミン、ジエチル[3−(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウム、またはジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウム、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートまたはテトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートまたはテトラヒドロフルフリルメタクリレートを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮することを目的に、好ましくはN,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウムまたはジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレートまたはテトラヒドロフルフリルアクリレートを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明において、下限臨界溶解温度(LCST;Lower Critical Solution Temperature)とは、この温度よりも低い温度では高分子が水に溶解して透明の溶液になるが、この温度よりも高い温度では不溶化して白濁するか沈殿が生じ、相分離する温度である。
本発明におけるブロック(A)は、LCSTが0〜50℃の範囲にある温度応答性重合体のブロックである。本発明の培養基材を用いた場合に、体温付近で細胞接着性を付与すると共に、例えば15℃までの冷却で細胞を剥離し、ダメージを与えることなく細胞を分別回収するために、ブロック(A)のLCSTは25〜45℃の範囲にあることが好ましく、28〜40℃の範囲にあることが更に好ましい。LCSTが0℃未満であれば細胞にダメージを与えることなく剥離することが困難となり、50℃を超えれば体温付近で細胞を接着できなくなり、細胞培養が困難となる。
本発明におけるブロック(A)は、特に限定はないが、下記一般式(6)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018012811
ここで、R12は水素原子又はメチル基であり、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
13およびR14は各々独立して、水素基、炭素数1〜6の炭化水素基、フルフリル基またはテトラヒドロフルフリル基であり、R13とR14は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環もしくはモルホリン環を形成しても良い。
炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくは、n−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
本発明における一般式(6)で表される繰り返し単位としては、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピペリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)モルホリン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)モルホリンを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくは、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドを重合して生成する繰り返し単位を、LCSTを28〜40℃の範囲にするために、更に好ましくは、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(A)は、特に限定はないが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018012811
ここで、R15は水素原子またはメチル基を表し、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
16は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、炭素数1〜3のアルキル基が用いられる。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基が用いられる。
rは1〜10の整数であり、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、1〜3の整数が用いられる。
本発明における一般式(7)で表される繰り返し単位としては、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくは、2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテルを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(A)は、特に限定はないが、下記一般式(8)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018012811
ここで、R17は水素原子またはメチル基を表し、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
18は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくは、メチル基、エチル基が用いられる。
本発明における一般式(8)で表される繰り返し単位としては、LCSTを25〜45℃の範囲にするために、好ましくはメチルビニルエーテルを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
ブロック共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対する繰り返し単位(b)の量の比率は1〜99mol%であり、基材に被覆した場合に、細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、5〜85mol%であることが好ましい。全繰り返し単位の量に対する繰り返し単位(b)の量の比率が1mol%未満であれば細胞剥離に必要な冷却時間が長くなり、99mol%を超えれば細胞接着性が低下する。
本発明のブロック共重合体は、ブロック(B)中に繰り返し単位(b)以外の繰り返し単位を含有できる。
繰り返し単位(b)以外の繰り返し単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、1−ビニルピレンおよびその誘導体等の芳香族ビニル化合物、N−n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−n−デシル(メタ)アクリルアミド、N−n−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、N−n−オクタデシル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物、N−ビニル−n−オクチルアミド、N−ビニル−n−デシルアミド、N−ビニル−n−ドデシルアミド、N−ビニル−n−ヘキサデシルアミド等のN−ビニルアミド化合物、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−アルキルマレイミド化合物、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジ−n−ブチル等のフマル酸ジエステル化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールを重合して生成する繰り返し単位を例示できる。
本発明のブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は3,000以上1,000,000以下の範囲にあり、好ましくは4,000以上500,000以下、さらに好ましくは5,000以上200,000以下である。3,000未満の場合は細胞培養基材に被覆しても細胞培養中に基材から培地中に溶出してしまう。また、1,000,000を越える場合は溶液粘度が高くなり、細胞培養基材への被覆が困難になる。
本発明のブロック共重合体の合成方法としては、特に限定はないが、株式会社エヌ・ティー・エス発行、“ラジカル重合ハンドブック”、p.161〜225(2010)に記載のリビングラジカル重合技術を用いて、共重合する方法を用いることができる。
重合するモノマーの順番としては、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除いた後、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合する方法、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除いた後、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合する方法、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除いた後、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合し、更に未反応モノマーを除いた後、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合する方法、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除いた後、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合し、更に未反応モノマーを除いた後、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合する方法、繰り返し単位(b)を生成するモノマーと繰り返し単位(b)以外の繰り返し単位を生成するモノマーを共重合し、未反応モノマーを除いた後、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合する方法、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除いた後、繰り返し単位(b)を生成するモノマーと繰り返し単位(b)以外の繰り返し単位を生成するモノマーを共重合する方法を例示することができる。また、例えば、繰り返し単位(b)を生成するモノマーを重合し、未反応モノマーを除かずに、ブロックAを構成する繰り返し単位を生成するモノマーを重合したとしても、特に問題はないが、より短時間での細胞剥離を可能にするという理由から好ましくは未反応モノマーを取り除くことが好ましい。
本発明のブロック共重合体は、例えば各種溶媒に溶解させ、基材に塗布後、乾燥することによって温度応答性膜を製造することができる。
塗布に用いる溶媒としては残留していても培養細胞に及ぼす影響が小さい、エタノール、水とエタノールの混合溶媒が好ましく用いられる。
基材としては、特に限定はないが、好ましくは各種疎水性ポリマー材料が用いられる。疎水性ポリマー材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリジメチルシロキサン等の各種シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。また、金属基材、セラミックス基材あるいはガラス基材にシランカップリング剤で表面処理したものも用いることができる。
また、基材の形状は、特に限定はないが、例えば、板状、ビーズ状および繊維状の形状のほか、板状の基材に設けられた穴や溝や突起なども挙げられる。
基材に塗布する方法としては、例えば、はけ塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、流し塗り、スプレー塗装、ロール塗装、エアーナイフコーティング、ブレードコーティングなど通常知られている各種の方法を用いることが可能である。
本発明のブロック共重合体は、各種基材に被覆することによって、短時間での細胞剥離を可能にする細胞培養基材として機能する。
基材への被覆方法としては、特に限定はないが、温度応答性膜を前記塗布及び/または乾燥する方法に加え、温度応答性膜を化学結合で固定化する方法を用いることができる。
化学結合で固定化する方法としては、特に限定はないが、ブロック共重合体を合成後、化学固定する方法と、ブロック重合体の合成と同時に固定化する方法を用いることができる。
ブロック共重合体を合成後、化学固定する方法としては、特に限定はないが、ブロック共重合体中に予め特定の官能基を含有するモノマー単位を導入しておき、基材上の特定官能基と化学結合させる方法、ブロック共重合体を基材に塗布した後、電子線を照射して固定化する方法、ブロック共重合体の溶液中にラジカル発生剤(ベンゾフェノン等)を添加しておき、塗布した後、紫外線を照射する方法を例示することができる。
ブロック共重合体中の官能基と基材上の官能基との化学結合で固定化する場合に用いる官能基の組み合わせとしては、特に限定は無いが、水酸基とアミノ基、メルカプト基とアミノ基、メルカプト基とマレイミド基、メルカプト基とメルカプト基、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基と水酸基、水酸基と水酸基を例示することができる。
ブロック共重合体中の官能基と基材上の官能基との反応において、特に限定はないが縮合試薬または架橋剤を添加することができる。
ブロック重合体の合成と同時に温度応答性膜を固定化する方法としては、表面開始リビングラジカル重合技術を用いることができる。
表面開始リビングラジカル重合は、ブロック共重合体鎖の起点となる基材表面に、重合開始剤を化学結合させ、該重合開始剤を始点として、リビングラジカル重合を行うことで、ブロック共重合体鎖を形成する手法であり、たとえば、特開2009−59659号公報や特開2010−218984号公報に記載された方法などを適用することができる。
表面開始リビングラジカル重合で用いる基材としては、特に限定はないが、鋳鉄、鋼、ステンレス鋼などの鉄や鉄合金、アルミニウム、銅などの非鉄及び非鉄合金、さらには、シリコンウエハ、ガラス、石英などの非金属などを用いることができる。本発明において重合開始剤は、ブロック共重合体を、表面開始リビングラジカル重合で形成するために必要となる。またその基材表面には化学結合可能な材料として、具体的には、シリコンウエハ、雲母の剥離片などの劈開性の鉱物、表面上に水酸基などの反応性置換基が存在する平面基材などが好ましく用いられるがこの限りではない。
重合開始剤としては、特に限定されないが、基材に化学結合可能な基と、ラジカル発生基とを有する化合物が好ましく、たとえば、特開2010−218984号公報に開示されている重合開始剤、すなわち、TEMPO系、ATRP系、RAFT系、RTCP系の重合開始剤を用いることができる。これらのなかでも、TEMPO系、RAFT系、RTCP系の重合開始剤がより好ましい。また、TEMPO系の重合開始剤の中では、特にDEPN系の重合開始剤が好ましい。なお、基材に化学結合可能な基としては、例えば、−SiCl、−Si(CH)Cl、−Si(CHCl、−Si(OR)(これらの式中、Rはメチル、エチル、プロピルまたはブチルを示す。)などが挙げられ
る。
基材表面に上記重合開始剤を化学結合させる方法としては、特に限定されないが、重合開始剤を溶剤に溶解あるいは分散することで、重合開始剤溶液を調製し、調製した重合開始剤溶液中に基材を浸漬する方法などが挙げられる。
重合開始剤を化学結合させた基材を、モノマーを含有する重合反応溶液に浸漬し、必要に応じて加熱することで、基材表面に、ブロック共重合体鎖を形成することができる。なお、重合反応溶液には、モノマーの他、各種ラジカル開始剤や、溶剤など重合反応に必要な成分を含有させることができる。
本発明のブロック共重合体が被覆された基材を用いて培養される細胞としては、温度降下による刺激付与前の表面に接着可能なものであれば特に限定されるものではない。例えばチャイニーズハムスター卵巣由来CHO細胞やマウス結合組織L929細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞HEK293細胞やヒト子宮頸癌由来HeLa細胞等の種々の培養細胞株に加え、例えば生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関与する肝実質細胞、肝非実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々の組織に存在する幹細胞、さらにはそれらから分化誘導した細胞等を用いることができる。これら以外でも、血液、リンパ液、髄液、喀痰、尿又は便に含まれる細胞(生細胞)や、体内あるいは環境中に存在する微生物、ウイルス、原虫等を例示できる。
温度応答性の重合体だけが被覆された基材においては、細胞を培養後、温度を降下させることによって剥離してくる細胞はシート状であり、その後、細胞を加工するためには、低温を維持したまま、ピペッティング等で細胞を分散させる必要があり、冷却時間がさらに長くなってしまっていた。これに対して、本発明のブロック共重合体が被覆された基材においては、培養した細胞を冷却のみで最大径5μm〜300μmの大きさで剥離することができる。剥離細胞の大きさ、形状は、ブロック共重合体の組成および分子量、細胞培養基材の構造、細胞培養基材の製造方法、細胞培養方法、培養される細胞の種類を選択することによって調整できる。例えば、ブロック共重合体の中のブロック(B)の比率を上げること、細胞培養基材の製造方法によってブロック共重合体の厚さを増加させること、培養基材表面の凹凸を増加させることによって、細胞凝集塊の大きさを小さくでき、さらに単一細胞で剥離することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。なお、断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
<本ポリマーの組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−ECZ400S/LI)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析、およびフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名SPECTRUM ONE)より求めた。
<樹脂の物性>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8020GPCを用い、カラムとしては、東ソー製 TSKgel GMHHR−Hを用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液として10mMLiBr含有DMFを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLで調製し、150μL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリメタクリル酸メチル試料(シグマアルドリッチ社製)を用いて校正した。なお、MnとMwはポリメタクリル酸メチル換算の値として求めた。
<基材表面の対水接触角>
水中、40℃および20℃での気泡接触角(θ)(°)を測定し、40℃および20℃の対水接触角(180−θ)(°)を算出した。θは協和界面科学(株)製接触角計DM300を用いて、水中、3μLの気泡の接触角を測定した。
実施例1
[ガラス製シャーレ表面への重合開始剤の導入]
固定化開始剤としての3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル−2−ブロモ−2−メチルプロパネート0.5g、エタノール50mL、およびアンモニア2.8gを混合した溶液に、φ25mmガラス製シャーレを浸漬し、24時間静置した。その後、エタノールで洗浄・乾燥を行うことで、表面に重合開始剤が導入されたシャーレを得た。
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを2.0g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面に重合開始剤が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例2
[重合体ブロック(B)の合成]
反応時間を48時間としたこと以外は実施例1[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記重合体ブロック(B)を用い、反応時間を48時間としたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例3
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピロリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例4
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピペリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例5
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに4−(1−オキソ−2−プロペニル)モルホリン1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例6
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−n−プロピルメタクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例7
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN,N−ジエチルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例8
[ブロック共重合体の合成]
実施例1[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例9
[重合体ブロック(B)の合成]
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート2.0gをN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート2.0gに変更したこと以外は、実施例1[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの重合体のブロック(B)が導入されたシャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記で合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用いたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
実施例10
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコにジメチル(メタクリルアミドエチル)アミン2.0g、スチレン1.3g、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド7mg、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:1混合溶液10mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ジメチル(メタクリルアミドエチル)アミンとスチレンのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
[基材評価]
得られたブロック共重合体0.10gをエタノール49.90gに溶解し、ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を作成した。φ25mmガラス製シャーレにブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を2.5mL加え、30分間静置した。その後ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液をピペットで抜き取り、デシケータで乾燥することでφ25mmガラス製シャーレへのブロック共重合体コーティングを完了した。
水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例11
[重合体ブロック(B)の合成]
ジメチル(メタクリルアミドエチル)アミン2.0gに代えてジメチル(アクリルアミドメチル)アミン2.0g、スチレン1.3gに代えてn−ブチルメタクリレート1.3gに代えたこと以外は、実施例10[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、ジメチル(アクリルアミドメチル)アミンとn−ブチルメタクリレートのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表1に示す。
[基材評価]
上記にて製造した重合体を用いたこと以外は、実施例10の[基材評価]と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例12
[ガラス製シャーレ表面への重合開始剤の導入]
固定化開始剤としての3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル−2−ブロモ−2−メチルプロパネート0.5g、エタノール50mL、およびアンモニア2.8gを混合した溶液に、φ25mmガラス製シャーレを浸漬し、24時間静置した。その後、エタノールで洗浄・乾燥を行うことで、表面に重合開始剤が導入されたシャーレを得た。
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムを2.0g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面に重合開始剤が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例13
[重合体ブロック(B)の合成]
反応時間を48時間としたこと以外は実施例12[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記重合体ブロック(B)を用い、反応時間を48時間としたこと以外は実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例14
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピロリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例15
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピペリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例16
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに4−(1−オキソ−2−プロペニル)モルホリン1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例17
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−n−プロピルメタクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例18
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN,N−ジエチルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例19
[ブロック共重合体の合成]
実施例12[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例20
[重合体ブロック(B)の合成]
ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム2.0gをジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム2.0gに変更したこと以外は、実施例12[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウムの重合体のブロック(B)が導入されたシャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記で合成した、表面にジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウムの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用いたこと以外は、実施例12[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
実施例21
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコにジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム2.0g、スチレン1.3g、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド7mg、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:1混合溶液10mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウムとスチレンのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
[基材評価]
得られたブロック共重合体0.10gをエタノール49.90gに溶解し、ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を作成した。φ25mmガラス製シャーレにブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を2.5mL加え、30分間静置した。その後ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液をピペットで抜き取り、デシケータで乾燥することでφ25mmガラス製シャーレへのブロック共重合体コーティングを完了した。
水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例22
[重合体ブロック(B)の合成]
ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム2.0gに代えてジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウム2.0g、スチレン1.3gに代えてn−ブチルメタクリレート1.3gに代えたこと以外は、実施例21[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウムとn−ブチルメタクリレートのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表2に示す。
[基材評価]
上記にて製造した重合体を用いたこと以外は、実施例21の[基材評価]と同様の方法で評価を行った。結果を表2に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例23
[ガラス製シャーレ表面への重合開始剤の導入]
固定化開始剤としての3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル−2−ブロモ−2−メチルプロパネート0.5g、エタノール50mL、およびアンモニア2.8gを混合した溶液に、φ25mmガラス製シャーレを浸漬し、24時間静置した。その後、エタノールで洗浄・乾燥を行うことで、表面に重合開始剤が導入されたシャーレを得た。
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、ポリエチレングリコールメタクリレート(R=メチル基、b=4.5、c=0、R=メチル基)(Aldrich製、Mn=300)を2.0g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面に重合開始剤が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコ中において、窒素ガス雰囲気下で、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、塩化銅(I)18.5mg、塩化銅(II)2.8mg、およびビピリジル65mgを、1,4−ジオキサン10mLに溶解することで、重合反応溶液を調製した。
次いで、上記にて製造した表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを、上記にて調製した重合反応溶液に浸漬させ、65℃に加熱し、撹拌することで反応を開始した。反応時間は6時間とし、反応終了後エタノールにて洗浄を行うことで、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例24
[重合体ブロック(B)の合成]
反応時間を48時間としたこと以外は実施例23[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記重合体ブロック(B)を用い、反応時間を48時間としたこと以外は実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例25
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピロリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例26
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピペリジン1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例27
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレート重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりに4−(1−オキソ−2−プロペニル)モルホリン1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例28
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−n−プロピルメタクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例29
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN,N−ジエチルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例30
[ブロック共重合体の合成]
実施例23[重合体ブロック(B)の合成]で合成した、表面にポリエチレングリコールメタクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用い、N−イソプロピルアクリルアミド1.2gの代わりにN−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド1.2gを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例31
[重合体ブロック(B)の合成]
ポリエチレングリコールメタクリレート2.0gを2−メトキシエチルアクリレート2.1gに変更したこと以外は、実施例23[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、表面に2−メトキシエチルアクリレートの重合体のブロック(B)が導入されたシャーレを得た。
[ブロック共重合体の合成]
上記で合成した、表面に2−メトキシエチルアクリレートの重合体ブロック(B)が導入されたガラス製シャーレを用いたこと以外は、実施例23[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、表面にブロック共重合体が導入されたガラス製シャーレを得た。水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
得られたシャーレを硫酸処理して、ブロック共重合体を単離し、ポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
実施例32
[重合体ブロック(B)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.0g、スチレン1.3g、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド7mg、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:1混合溶液10mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとスチレンのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
[基材評価]
得られたブロック共重合体0.10gをエタノール49.90gに溶解し、ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を作成した。φ25mmガラス製シャーレにブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液を2.5mL加え、30分間静置した。その後ブロック共重合体の0.2wt%エタノール溶液をピペットで抜き取り、デシケータで乾燥することでφ25mmガラス製シャーレへのブロック共重合体コーティングを完了した。
水中、40℃および20℃で気泡接触角(θ)を評価し求めた対水接触角(180−θ)を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
実施例33
[重合体ブロック(B)の合成]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.0gに代えてテトラヒドロフルフリルアクリレート2.0g、スチレン1.3gに代えてn−ブチルメタクリレート1.3gに代えたこと以外は、実施例32[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、テトラヒドロフルフリルアクリレートとn−ブチルメタクリレートのランダム共重合体ブロック(B)を得た。
[ブロック共重合体の合成]
100mLの2口ナス型フラスコに上記ランダム共重合体ブロック(B)1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後ヘキサンで再沈し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
[基材評価]
上記にて製造した重合体を用いたこと以外は、実施例32の[基材評価]と同様の方法で評価を行った。結果を表3に示す。20℃での対水接触角は40°よりも低く、培養基材にした場合に短時間で細胞が剥離する。
比較例1
[重合体ブロック(A)の合成]
100mLの2口ナス型フラスコにn−ブチルメタクリレート2.240g、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド7mg、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン10mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後、メタノールで再沈し、n−ブチルメタクリレートの重合体を得た。
さらに100mLの2口ナス型フラスコにn−ブチルメタクリレート重合体1.2g、N−イソプロピルアクリルアミド1.2g、アゾビスイソブチロニトリル1mgを加え、1,4−ジオキサン/エタノール=1:2混合溶液15mLに溶解した。窒素バブリングを30分行った後、65℃で12時間反応させた。反応後、純水で再沈し、n−ブチルメタクリレートとN−イソプロピルアクリルアミドがブロック共重合したポリマーを得た。
得られたブロック共重合体のポリマー組成、Mw、Mn、およびMw/Mnを評価した結果を表3に示す。
[基材評価]
上記にて製造した重合体を用いたこと以外は、実施例10[基材評価]と同様の方法で評価を行ったが、20℃での対水接触角は40°よりも高く、培養基材にした場合に短時間での細胞剥離が困難になることが分かった。
比較例2
[基材評価]
セルシード(株)製UpCell35mmΦディッシュを用いたこと以外は、実施例10[基材評価]と同様の評価を行い、20℃での対水接触角は40°よりも高く、培養基材にした場合に短時間での細胞剥離が困難になることが分かった。
Figure 2018012811
Figure 2018012811
Figure 2018012811

Claims (7)

  1. 下記(A)および(B)の重合体ブロックを含むブロック共重合体。
    (A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性重合体ブロック。
    (B)下記一般式(1)で表される繰り返し単位(b)の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む親水性重合体ブロック。
    Figure 2018012811
    [式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Qはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、Rは一般式(2)、(3)、(4)または(5)
    Figure 2018012811
    (式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、RおよびRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
    Figure 2018012811
    (式中、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、RおよびRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基である。)
    Figure 2018012811
    (式中、R10は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基であり、iは1〜300の整数であり、jは0〜60の整数である。)
    Figure 2018012811
    (式中、R11は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基である。)
    で表される置換基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基、または水素原子を示す。]
  2. 1個のブロック(A)とブロック(B)が結合した重合体であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. ブロック(A)が下記一般式(6)
    Figure 2018012811
    (式中、R12は水素原子又はメチル基であり、R13およびR14は各々独立して、水素基、炭素数1〜6の炭化水素基、フルフリル基またはテトラヒドロフルフリル基であり、R13とR14は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環もしくはモルホリン環を形成しても良い。)
    で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
  4. ブロック(A)が下記一般式(7)
    Figure 2018012811
    (式中、R15は水素原子またはメチル基を表し、R16は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、rは1〜10の整数を表す。)
    で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
  5. ブロック(A)が下記一般式(8)
    Figure 2018012811
    (式中、R17は水素原子またはメチル基を表し、R18は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)
    で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
  6. ブロック共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対する繰り返し単位(b)量の比率が1〜99mol%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
  7. ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)が3,000以上1,000,000以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
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