JP7127330B2 - ブロック共重合体およびそれを用いた表面処理剤 - Google Patents
ブロック共重合体およびそれを用いた表面処理剤 Download PDFInfo
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Description
[1]すなわち本発明によれば、下記(A)、(B)および(C)のブロックからなり、配列が(A)-(B)-(C)であるブロック共重合体が提供される。
[2]また、本発明によれば、[1]に記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする基材用表面処理剤が提供される。
[3]また、本発明によれば、[2]に記載の表面処理剤を基材に塗布されてなる膜が提供される。
[4]また、本発明によれば、[3]に記載の膜で表面を被覆した細胞培養用基材が提供される。
[5]また、本発明によれば、基材表面にブロック(A)分として5.0μg/cm2以下の割合で被覆された[4]記載の細胞培養用基材が提供される。
[6]さらに、本発明によれば、[5]に記載の細胞培養用基材を用いて、ブロック(A)のLCSTより高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に温度をブロック(A)のLCSTより低くして増殖細胞を基材から剥離することを特徴とする細胞培養方法が提供される。
1.ブロック共重合体
本発明のブロック共重合体は特定のブロック(A)および特定のブロック(B)および特定のブロック(C)からなり、配列が(A)-(B)-(C)であるブロック共重合体である。
HLB値=20×(親水部の式量)÷(総式量)
本発明におけるブロック(B)は、0℃~45℃の範囲にLCSTを持たない、特定範囲のHLB値を有する疎水性重合体のブロックであり、ブロック共重合体の基材への接着に寄与する。
ブロック共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対するブロック(A)を構成する繰り返し単位(a)の量の比率は1~90mol%であり、基材に被覆した場合に、細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、5~85mol%であることが好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(A)を構成する繰り返し単位(a)の量の比率が1mol%未満であれば細胞接着性が低下し、90mol%を超えれば細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる。
2.表面処理剤
本発明の基材用表面処理剤は、上記ブロック共重合体を含むものである。好ましくは、シャーレ、マルチウェルプレート、フラスコ、マイクロキャリアなどの細胞培養用基材用の表面処理剤である。
本発明の膜は、上記表面処理剤を各種基材に塗布した後、乾燥することによって得られる膜である。ブロック共重合体中にブロック(B)を含むことで細胞培養用基材に対して接着性を有する。また、ブロック共重合体中にブロック(A)を含むことで、細胞培養温度である37℃以上では膜表面は疎水性を示すことによりタンパク質などの付着を可能とし、細胞の接着培養が可能となる。さらに、細胞培養後に、温度降下させることで、膜表面が親水性に変化し、細胞剥離を促すことができる。また、ブロック共重合体中にブロック(C)を含むことで、温度を降下させた時の膜表面の親水化が更に進行し、剥離に必要な冷却時間を短縮することが可能になる。さらに、ブロック共重合体中に電荷を有するブロック(C)を含むことで、細胞の接着を促進し細胞増殖性の向上が期待できる。これらブロック共重合体中のブロック(A)、ブロック(B)、ブロック(C)の配列は(A)-(B)-(C)であり、膜表面にブロック(A)とブロック(C)の両方が出やすくなり、細胞の接着性/増殖性と温度降下による剥離性を両立できる。一方、配列が(A)-(C)-(B)であれば、ブロック(A)のみが表面に出やすくなり、温度応答性を発現するが、細胞の接着性/増殖性と温度降下による剥離性を両立できない。また、配列が(C)-(A)-(B)であれば、ブロック(C)のみが表面に出やすく、温度応答性を発現し難くなり、細胞の接着性/増殖性と温度降下による剥離性を両立できない。
4.細胞培養用基材
本発明の細胞培養用基材は、上記膜で基材表面を被覆した細胞培養用基材である。本発明の培養基材の表面は、細胞培養後、温度降下による基材表面の親水化を促進し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ミクロ相分離構造を有することが好ましい。
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM-ECZ400S/LI)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(1H-NMR)スペクトル分析より求めた。
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は東ソー(株)製 HLC-8320GPCを用い、カラムは東ソー製 TSKgelα-Mを2本用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液は10mMトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む2,2,2-トリフルオロエタノールを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLで調製して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリメタクリル酸メチル(Agilent Technologies製)を用いた。
<ブロック共重合体コート膜の厚さ>
ブロック共重合体がコートされた細胞培養基材の断面は透過型電子顕微鏡を用いて観察し、コート膜の厚さを評価した。透過型電子顕微鏡は日本電子製JEM-2100F を用いた。
濃度が既知の表面処理剤を細胞培養基材に塗布し、室温で5分間放置した後、加えた表面処理剤をパスツールピペット等で回収し、細胞培養基材上に残った表面処理剤の量を電子天秤で秤量した。表面処理剤の濃度と表面処理剤の量、および細胞培養基材への被覆面積から、ブロック共重合体の被覆量を単位μg/cm2で算出した。
水中、40℃および15℃での気泡接触角(θ)(°)を測定し、40℃および15℃の対水接触角(180-θ)(°)を算出した。θは協和界面科学(株)製接触角計DM300を用いて、水中、3μLの気泡の接触角を測定した。
[ブロック(C)の合成]
50mLシュレンク管にN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート0.79g(5.0mmol)、RAFT剤として4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド40.4mg(0.1mmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)を加え、1,4-ジオキサン5mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で38時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の98%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)の繰り返し単位の親水部式量は炭素5個、水素10個、窒素1個、酸素2個の合計(116.1)であり、繰り返し単位総式量は157.2であり、HLB値(グリフィン法)は15であった。
上記で得られた反応溶液に、n-ブチルメタクリレート0.71g(5.0mol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)、1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の92%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。n-ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)の繰り返し単位の親水部式量は炭素1個、酸素2個の合計(44.0)であり、繰り返し単位総式量は142.2であり、HLB値(グリフィン法)は6であった。
上記で得られた反応溶液に、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で65時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の94%が重合していることを確認できた。
ブロック共重合体15mgをエタノール3.0gに添加し、撹拌することによって30秒で全て溶解し、0.5wt%の基材用表面処理剤を合成した。
コーニング社製細胞培養用ポリスチレン製ディッシュ(φ6cm)に、得られた表面処理剤を1.0mL加え、室温で5分間放置した後、加えた表面処理剤をパスツールピペットで回収した。室温で5分間放置しディッシュ表面を乾燥させた後、さらに、70℃で上記ディッシュを30分間加熱し、その後、水洗浄を行うことでN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.4μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を用い、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(Cell Applications,Inc.製)(100個/mm2)を、37℃、CO2濃度5%で培養した。培地はヒト前駆脂肪細胞増殖培地(基本培地+添加剤)(Cell Applications,Inc.製)を用いた。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。細胞培養用基材を15℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。45分間冷却することで細胞は70%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートを0.39g(2.5mmol)用い、22時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の87%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
n-ブチルメタクリレートを1.07g(7.5mmol)用い、69時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。
90時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.4μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却することで細胞は100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液に、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)、1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の98%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液に、n-ブチルメタクリレート0.71g(5.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で65時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.4μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(B)の合成]
50mLシュレンク管にn-ブチルメタクリレート0.71g(5.0mmol)、RAFT剤として4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド40.4mg(0.1mmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)を加え、1,4-ジオキサン5mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で38時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、n-ブチルメタクリレートの重合体(ブロック(B))を合成できた。
上記で得られた反応溶液に、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート0.79g(5.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)、1,4-ジオキサン5mLを加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の92%が重合していることを確認し、n-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液に、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.28mg(0.02mmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で65時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の88%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、n-ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とN-イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.4μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く、温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[重合体ブロック(B)の合成]
三方コックを備えた100mL試験管にn-ブチルメタクリレート2.4g(17mmol)、RAFT剤として4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、1,4-ジオキサン10mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で25時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、n-ブチルメタクリレートの重合体(重合体ブロック(B))を合成できた。
上記で得られた反応溶液に、1,4-ジオキサン20mL、N-イソプロピルアクリルアミド4.8g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で45時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン100mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、n-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体3gを得た。得られたジブロック共重合体の組成、MnおよびMw/Mnを表1に示す。
上記で得られたジブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、n-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く、温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[膜評価]
ポリスチレン製ディッシュ表面にN-イソプロピルアクリルアミドが電子線重合された、セルシード製UpCell(R)φ35mmディッシュの40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く、温度応答性を示した。
上記細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(C)の合成]
N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートを0.39g(2.5mmol)用い、22時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の87%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、n-ブチルメタクリレート1.07g(7.5mmol)を用い、69時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却することで細胞は100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例3[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の95%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は比較例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、n-ブチルメタクリレート1.07g(7.5mmol)を用い、69時間反応させたこと以外は比較例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))とn-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(B)の合成]
n-ブチルメタクリレート1.07g(7.5mmol)を用い、69時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルメタクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認し、n-ブチルメタクリレートの重合体(ブロック(B))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート0.39g(2.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の95%が重合していることを確認し、n-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、n-ブチルメタクリレート重合体(ブロック(B))とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く、温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[ブロック(C)の合成]
N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートを0.39g(2.5mmol)用い、22時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の87%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.78g(7.5mmol)を用い、70時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の97%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。スチレン重合体ブロック(B)の繰り返し単位の親水部式量は0であり、繰り返し単位総式量は104.1であり、HLB値(グリフィン法)は0であった。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却することで細胞は100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例4[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の87%が重合していることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は比較例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認できた。N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.78g(7.5mmol)を用い、70時間反応させたこと以外は比較例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の97%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で45分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(B)の合成]
スチレン0.78g(7.5mmol)を用い、70時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の97%が重合していることを確認し、スチレンの重合体(ブロック(B))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート0.39g(2.5mmol)を用い、22時間反応させたこと以外は比較例2[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の87%が重合していることを確認し、スチレン重合体(ブロック(B))とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、スチレン重合体(ブロック(B))とN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く、温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[ブロック(C)の合成]
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを0.74g(2.5mmol)用い、48時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン仕込み量の95%が重合していることを確認し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体(ブロック(C))を合成できた。2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))の繰り返し単位の親水部式量は炭素8個、水素17個、窒素1個、酸素6個、リン1個の合計(254.2)であり、繰り返し単位総式量は295.3であり、HLB値(グリフィン法)は17であった。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の95%が重合していることを確認し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を用い、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(ロンザ社、PT-2501)(100個/mm2)を、37℃、CO2濃度5%で培養した。培地および添加因子はロンザ社PT-3001キットを用いた。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。細胞培養用基材を15℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例5[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン仕込み量の95%が重合していることを確認し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、70時間反応させたこと以外は比較例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド(ブロック(A))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[ブロック(B)の合成]
スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の90%が重合していることを確認できた。
上記で得られた反応溶液、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン0.74g(2.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン仕込み量の93%が重合していることを確認し、スチレン重合体(ブロック(B))と2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、75時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、スチレン重合体(ブロック(B))と2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(ブロック(C))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で60分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(B)の合成]
50mLシュレンク管に2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン0.74g(2.5mmol)、スチレン0.79g(7.5mmol)、RAFT剤として4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド40.4mg(0.1mmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル6.56mg(0.04mmol)を加え、1,4-ジオキサン10mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で48時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン仕込み量およびスチレン仕込み量の98%が重合していることを確認し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))を合成できた。2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))のHLB値は3であった。
上記で得られた反応溶液、N,N-ジエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、75時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N,N-ジエチルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたジブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))とN,N-ジエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で60分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で30%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムを0.69g(2.5mmol)用い、48時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム仕込み量の90%が重合していることを確認し、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムの重合体(ブロック(C))を合成できた。ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))の繰り返し単位の親水部式量は炭素5個、水素11個、窒素1個、酸素4個、硫黄1個の合計(181.2)であり、繰り返し単位総式量は278.4であり、HLB値(グリフィン法)は13であった。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の95%が重合していることを確認し、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-エトキシエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、90時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-エトキシエチルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))とスチレン重合体(ブロック(B))とN-エトキシエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例4[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム仕込み量の90%が重合していることを確認し、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-エトキシエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、70時間反応させたこと以外は比較例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-エトキシエチルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認し、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))とN-エトキシエチルアクリルアミド(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))とN-エトキシエチルアクリルアミド(ブロック(A))とスチレン重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表1に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[ブロック(B)の合成]
スチレン0.79g(7.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の90%が重合していることを確認できた。
上記で得られた反応溶液、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムを0.69g(2.5mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム仕込み量の90%が重合していることを確認し、スチレン重合体(ブロック(B))とジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-エトキシエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、75時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-エトキシエチルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、スチレン重合体(ブロック(B))とジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体(ブロック(C))とN-エトキシエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で60分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
[ブロック(B)の合成]
50mLシュレンク管にジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムを0.69g(2.5mmol)、スチレン0.79g(7.5mmol)、RAFT剤として4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド40.4mg(0.1mmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル6.56mg(0.04mmol)を加え、1,4-ジオキサン10mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で48時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム仕込み量およびスチレン仕込み量の95%が重合していることを確認し、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))を合成できた。ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))のHLB値は3であった。
上記で得られた反応溶液、N-エトキシエチルアクリルアミド1.26g(10.0mmol)を用い、75時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-エトキシエチルアクリルアミド仕込み量の90%が重合していることを確認できた。
上記で得られたジブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、ジメチル(3-メタクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウムとスチレンのランダム共重合体(ブロック(B))とN-エトキシエチルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるジブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表2に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例3[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で60分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で30%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
2-メトキシエチルアクリレートを0.33g(2.5mmol)とRAFT剤としてシアノメチルドデシルトリチオカルボナート31.8mg(0.1mmol)用い、24時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メトキシエチルアクリレート仕込み量の96%が重合していることを確認し、2-メトキシエチルアクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))の繰り返し単位の親水部式量は炭素3個、水素4個、酸素3個の合計(88.1)であり、繰り返し単位総式量は130.1であり、HLB値(グリフィン法)は14であった。
上記で得られた反応溶液、n-ブチルアクリレート0.96g(7.5mmol)を用い、24時間反応させたこと以外は実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルアクリレート仕込み量の96%が重合していることを確認し、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))からなるジブロック共重合体を合成できた。n-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))の繰り返し単位の親水部式量は炭素1個、酸素2個の合計(88.1)であり、繰り返し単位総式量は128.2であり、HLB値(グリフィン法)は7であった。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の94%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.6μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[表面処理剤の合成]
実施例7で得られたブロック共重合体24mgをエタノール3.0gに添加し、撹拌することによって120秒で全て溶解し、0.8wt%の基材用表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは13nmであり、ブロック(A)分として0.8μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[表面処理剤の合成]
実施例7で得られたブロック共重合体48mgを2-メトキシエタノール3.0gに添加し、撹拌することによって600秒で全て溶解し、1.6wt%の基材用表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは26nmであり、ブロック(A)分として1.6μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞接着形状は伸展が低いが、細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[表面処理剤の合成]
実施例7で得られたブロック共重合体93mgを2-メトキシエタノール3.0gに添加し、撹拌することによって600秒で全て溶解し、3.0wt%の基材用表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは50nmであり、ブロック(A)分として3.0μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞接着形状は伸展が低いが、細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[表面処理剤の合成]
実施例7で得られたブロック共重合体158mgを2-メトキシエタノール3.0gに添加し、撹拌することによって600秒で全て溶解し、5.0wt%の基材用表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは80nmであり、ブロック(A)分として4.8μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記にて作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞接着形状は伸展が低いが、細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で15分間冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
[ブロック(C)の合成]
実施例5[ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メトキシエチルアクリレート仕込み量の97%が重合していることを確認し、2-メトキシエチルアクリレートの重合体(ブロック(C))を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の92%が重合していることを確認し、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド(ブロック(A))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、n-ブチルアクリレート0.96g(7.5mmol)を用い、24時間反応させたこと以外は比較例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、n-ブチルアクリレート仕込み量の96%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリレート(ブロック(A))とn-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.5μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角とほぼ同じで温度応答性を示さなかった。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞は接着せず、増殖できなかった。
[ブロック(B)の合成]
n-ブチルアクリレート0.96g(7.5mmol)とRAFT剤としてシアノメチルドデシルトリチオカルボナート31.8mg(0.1mmol)用い、24時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、スチレン仕込み量の93%が重合していることを確認できた。
上記で得られた反応溶液、2-メトキシエチルアクリレートを0.33g(2.5mmol)を用い、24時間反応させたこと以外は比較例2[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、2-メトキシエチルアクリレート仕込み量の95%が重合していることを確認し、n-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))と2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))からなるジブロック共重合体を合成できた。
上記で得られた反応溶液、N-イソプロピルアクリルアミド1.13g(10.0mmol)を用い、48時間反応させたこと以外は比較例2[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行った。反応後、反応溶液の一部を採取し1H-NMRを測定した結果、N-イソプロピルアクリルアミド仕込み量の94%が重合していることを確認できた。
上記で得られたブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、表面処理剤を合成した。
上記で得られた表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法と同様の方法で細胞培養用基材の作製を行い、n-ブチルアクリレート重合体(ブロック(B))と2-メトキシエチルアクリレート重合体(ブロック(C))とN-イソプロピルアクリルアミド重合体(ブロック(A))からなるブロック共重合体からなる膜が導入された細胞培養用基材を作製した。膜の厚さは10nmであり、ブロック(A)分として0.6μg/cm2の割合で被覆されていた。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果を表3に示す。15℃での対水接触角は40℃での対水接触角よりも低く温度応答性を示した。
上記で作製した細胞培養用基材を用いたこと以外は実施例5[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認された。培養細胞が基材の100%を覆うまで培養した後、15℃で60分間冷却しても細胞は全く剥離しなかった。
Claims (6)
- 下記(A)、(B)、(C)のブロックからなり、配列が(A)-(B)-(C)であるブロック共重合体。
(A)N,N-ジエチルアクリルアミド重合体、N-イソプロピルアクリルアミド重合体、N-エトキシエチルアクリルアミド重合体の何れから選択される温度応答性重合体ブロック。
(B)n-ブチル(メタ)アクリレート重合体、スチレン重合体の何れから選択される疎水性重合体ブロック。
(C)2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート重合体、ジメチル(3-(メタ)アクリロイルアミノプロピル)(3-スルホナトプロピル)アミニウム重合体の何れから選択される親水性重合体ブロック。 - 請求項1記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする基材用表面処理剤。
- 請求項2記載の表面処理剤を基材に塗布されてなる膜。
- 基材表面にブロック(A)分として5.0μg/cm2以下の割合で被覆された請求項3記載の膜。
- 請求項3または請求項4記載の膜で表面を被覆した細胞培養用基材。
- 請求項5記載の細胞培養用基材を用いて、ブロック(A)のLCSTより高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に温度をブロック(A)のLCSTより低くして増殖細胞を基材から剥離することを特徴とする細胞培養方法。
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