JP7250248B2 - ブロック共重合体、それを含む表面処理剤及び膜、並びに、それを用いた細胞培養用器材及び細胞培養方法 - Google Patents

ブロック共重合体、それを含む表面処理剤及び膜、並びに、それを用いた細胞培養用器材及び細胞培養方法 Download PDF

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本発明は、冷却処理による細胞剥離を可能にする細胞培養用器材用の表面処理剤として有用なブロック共重合体、並びに、その膜、それを用いた細胞培養用器材、及び細胞培養方法に関する。
細胞培養は生化学的な現象の理解や有用物質の産生などに用いられている。また近年、幹細胞の発見や培養技術の進歩により、再生医療をはじめとする細胞を用いた治療及びそのための細胞培養技術には大きな注目が寄せられている。
細胞の多くは接着性を有しており、体内においてはコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンなどの生体高分子に接着し、増殖・分化することが知られている。そのため、細胞培養においても接着性を有する細胞の多くは、同様に、培養する際に何らかの器材に接着させる必要がある。従来、このような器材としては、表面処理したガラス或いは高分子が用いられており、例えば、ポリスチレンにγ線照射或いはシリコーンコーティングを行なった器材がある。また、コラーゲンやフィブロネクチンのような生体高分子を表面に塗布した器材も用いられる。
増殖する細胞は器材上で培養後、一般的に別の器材に植え継ぐ必要があり、多くの場合はトリプシン等のタンパク質分解酵素が用いられている。タンパク質分解酵素は細胞表面にあるタンパク質を分解し、細胞と器材との間の結合及び細胞間の結合を切る役目を担っている。一方、タンパク質分解酵素は細胞の生存率に大きな影響を与えることが知られており、タンパク質分解酵素を用いずに細胞を器材から剥離する手法は細胞にダメージを与えない方法として重要である。再生医療においても同様に、体外で培養した細胞にダメージを与えずに、さらに細胞間の結合を切断しない方法で細胞又は組織化した細胞を器材から剥離し、体内に戻すことが求められており、タンパク質分解酵素を用いずに器材から細胞を剥離する方法が求められている。
上記問題を解決するために、水溶性ポリマーセグメントと温度応答性ポリマーセグメントとが結合した温度応答性のブロック共重合体が基材表面に被覆されている細胞培養用温度応答性器材が、特許第5846584号公報(特許文献1)に開示されている。このような温度応答性のブロック共重合体によれば、周囲環境の温度降下(冷却)によってこれをゾル転移させることで、器材表面の接着力を弱めて細胞を剥離させ、回収することができる。通常、細胞はその細胞が由来する生物の体温付近で接着・培養されるため、このような器材としては、培養後、前記体温以下で細胞を剥離できることが求められる。
しかしながら一方、特許文献1に記載のブロック共重合体を細胞培養用器材に用いる場合、下限臨界溶解温度以下に細胞培養用器材の温度を下げる(冷却する)必要があるが、その時間によっては同時に細胞を低温化してしまう。細胞の低温化は細胞の活性低下を招くため、細胞剥離のための冷却時間の短縮が必要であった。
また、今後の細胞培養は、例えば、特開2017-006148号公報(特許文献2)に記載の自動培養装置のように、自動化が主流になると想定されるが、培養装置のメンテナンス性の向上や培養装置サイズの小型化の観点から、より簡便な細胞回収方法が求められると予想される。
上記課題を解決するため、細胞剥離のための冷却時間を短縮することが可能な細胞培養用器材として、特定の構造及び特定配列を有する温度応答性のブロック共重合体で基材表面を被覆した細胞培養用器材が、例えば、特開2018-087316号公報(特許文献3)や特開2018-174919号公報(特許文献4)にそれぞれ開示されている。
特許第5846584号公報 特開2017-006148号公報 特開2018-087316号公報 特開2018-174919号公報
本発明者らが冷却処理により細胞剥離を可能にする細胞培養用器材についてさらなる検討を行ったところ、特許文献3~4に記載されているような温度応答性のブロック共重合体を細胞培養用器材に用いることで、従来よりも冷却時間を短縮することが可能となったが、一部の骨髄由来間葉系幹細胞などの接着性の強い細胞では、冷却処理を施すのみでは細胞剥離が十分ではない場合があり、冷却処理と併せて、ピペットで培地を吸ったり出したりする「ピペッティング」等の操作が必要であることを見い出した。
ピペッティングは局所的に物理的な作用が生じるため、細胞へのダメージが懸念される。また例えば、特許文献2に記載の自動培養装置においては、制御容易性、メンテナンス性の向上、小型化等の観点から、細胞剥離にピペッティング等の操作を要しないことが求められる。そのため、上記のような細胞培養用器材においては、温度応答性及び細胞剥離性のさらなる向上が求められることを本発明者らは見い出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、温度応答性に優れたブロック共重合体、それを含む表面処理剤及び膜、並びに、それを用いた細胞培養用器材及び細胞培養方法を提供することにある。
本発明者らは、以上の点を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、温度応答性重合体ブロック、疎水性重合体ブロック、及び親水性重合体ブロックから構成され、数平均分子量(Mn)が100,000以上であり、かつ、分散比(Mw/Mn)が1.5未満であるブロック共重合体が特に温度応答性に優れており、これを被覆して形成した細胞培養用器材においては、冷却処理による細胞剥離性に優れ、特に、ピペッティング等の細胞に局所的に衝撃を与える操作を要さずに細胞を回収できることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
<1> 下記(A)、(B)及び(C)のブロックから構成されるブロック共重合体であり、数平均分子量(Mn)が100,000以上であり、かつ、分散比(Mw/Mn)が1.5未満であるブロック共重合体。
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0~45℃の範囲にある温度応答性重合体ブロック。
(B)0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が0以上9未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(C)0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が9以上20未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
<2> 前記ブロックの配列が(A)-(B)-(C)の順である<1>に記載のブロック共重合体。
<3> 前記数平均分子量(Mn)が100,000~1,000,000である<1>又は<2>に記載のブロック共重合体。
<4> <1>~<3>のうちのいずれか一項に記載のブロック共重合体を含む表面処理剤。
<5> <1>~<3>のうちのいずれか一項に記載のブロック共重合体を含む膜。
<6> ブロック(A)分が5.0μg/cm以下となる厚さである<5>に記載の膜。
<7> 基材と、前記基材表面を被覆する<5>又は<6>に記載の膜と、を備える細胞培養用器材。
<8> <5>若しくは<6>に記載の膜又は<7>に記載の細胞培養用器材の前記膜表面上で、前記ブロック(A)のLCSTよりも高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に前記膜表面を前記ブロック(A)のLCSTよりも低い温度で冷却して増殖細胞を前記膜表面から剥離する細胞培養方法。
<9> 振盪により前記増殖細胞を前記膜表面から剥離する<8>に記載の細胞培養方法。
<10> 前記振盪における振盪速度が1~500rpmである<9>に記載の細胞培養方法。
<11> 前記細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である<8>~<10>のうちのいずれか一項に記載の細胞培養方法。
本発明によれば、温度応答性に優れたブロック共重合体、それを含む表面処理剤及び膜、並びに、それを用いた細胞培養用器材及び細胞培養方法を提供することが可能となる。本発明のブロック共重合体は温度応答性に優れ、これを被覆して形成した膜及び細胞培養用器材は冷却処理による細胞剥離性に優れるため、本発明によれば、骨髄由来間葉系幹細胞などの接着性の強い細胞であっても、ピペッティング等の細胞に局所的に衝撃を与える操作を要さずに、例えば振盪等の操作により、増殖細胞を簡便に剥離することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
1.ブロック共重合体
本発明のブロック共重合体は、特定のブロック(A)及び特定のブロック(B)及び特定のブロック(C)から構成されるブロック共重合体であり、数平均分子量(Mn)が100,000以上であり、かつ、分散比(Mw/Mn)が1.5未満であるブロック共重合体である。
<ブロック(A)>
本発明に係るブロック(A)は、下限臨界溶解温度(LCST)が0~45℃の範囲にある温度応答性の重合体ブロックである。
本発明において、下限臨界溶解温度(LCST;Lower Critical Solution Temperature)とは、この温度よりも低い温度では高分子が水に溶解して透明の溶液になるが、この温度よりも高い温度では不溶化して白濁するか沈殿が生じ、相分離する温度である。
本発明において、重合体ブロックのLCSTとは、当該重合体ブロックを構成するモノマーと同じ組成のモノマーからなる重合体のLCSTのことをいい、重合体ブロックを構成するモノマーが1種である場合には、前記モノマーからなる単独重合体の0.5wt%(wt%:重量%、以下同じ)の水溶液を調整し、ゆっくりと昇温しながら沈殿が形成される臨界温度、又は、ゆっくりと降温しながら沈殿が消失する臨界温度を測定することで、かかる臨界温度(重合体ブロックを構成するモノマーを単独重合体としたときのLCST)を、前記重合体ブロックのLCSTとすることができる。
また、重合体ブロックを構成するモノマーが2種以上である場合には、それぞれのモノマー(モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーn)を単独重合体としたときのLCST(LCST1、LCST2、・・・、LCSTn)、及び当該重合体ブロック中の各モノマーからなる各繰り返し単位が占める比率(mol%;比率1、比率2、・・・、比率n)を分析し、次の計算式:
重合体ブロックのLCST=LCST1×比率1+LCST2×比率2+・・・+LCSTn×比率n
により、前記重合体ブロックのLCSTを求めることができる。
本発明に係るブロック(A)のLCSTは0~45℃の範囲にある。本発明においては、LCSTが0~45℃の範囲にあるときにその重合体ブロックを温度応答性と定義する。本発明のブロック共重合体を細胞培養用器材に用いた場合に、細胞が由来する生物の体温付近で細胞接着性を発揮すると共に、冷却処理により細胞を剥離し、ダメージを与えることなく細胞を分別回収することをより容易にするという観点から、本発明に係るブロック(A)のLCSTとしては、20~45℃の範囲にあることが好ましく、30~40℃の範囲にあることがさらに好ましい。LCSTが前記下限未満であると、細胞にダメージを与えることなく剥離することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記体温付近で細胞を接着できなくなり、細胞培養が困難となる傾向にある。
本発明に係るブロック(A)を構成するモノマー及びその単独重合体のLCSTとしては、例えば、N-イソプロピルアクリルアミド(LCST(単独重合体のLCST、以下同様)=32℃)、N-n-プロピルメタクリルアミド(LCST=22℃)、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(LCST=28℃)、N-エトキシエチルアクリルアミド(LCST=35℃)、N,N-ジエチルアクリルアミド(LCST=32℃)、N-イソプロピルメタクリルアミド(LCST=44℃)、N-n-プロピルメタクリルアミド(LCST=28℃)、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(LCST=35℃)、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド(LCST=23℃)、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド(LCST=20℃)等が例示できる。LCSTは高分子水溶液の濃度で発現する温度が前後する傾向にあるが、これらの中では、LCST発現の濃度依存性が低いN-イソプロピルアクリルアミドがより好ましい。本発明に係るブロック(A)としては、前記モノマーからなる繰り返し単位を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。
また、ブロック(A)としては、上記のLCSTの条件を満たすのであれば、前記モノマーからなる繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいてもよいが、本発明に係るブロック(A)としては、重合体ブロック(ブロック(A))に含まれる全繰り返し単位のうちの90mol%以上、好ましくは95mol%以上の繰り返し単位において、繰り返し単位を構成するモノマーの単独重合体のLCSTが0~45℃(好ましくは20~45℃、さらに好ましくは30~40℃)の範囲にあるものであることが好ましい。
<ブロック(B)、ブロック(C)>
本発明に係るブロック(B)は、0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が0以上9未満の範囲にある疎水性重合体ブロックであり、本発明に係るブロック(C)は、0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が9以上20未満の範囲にある親水性重合体ブロックである。
本発明において、HLB値(HLB;Hydrophile-Lipophile Balance)とは、W.C.Griffin, Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 1, 311(1949).に記載の、水と油への親和性の程度を表す値であり、0から20までの値を取り、0に近いほど疎水性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。計算によって決定する方法として、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法があるが、本発明においてはグリフィン法で計算した値を使用する。
本発明において、重合体ブロックのHLB値は、重合体ブロックを構成するモノマーが1種である場合には、前記モノマーにおける親水部の式量とモノマーの総式量とから、次の計算式:
モノマーのHLB値=20×(親水部の式量の合計)÷(総式量)
で求めたモノマーのHLB値を、当該重合体ブロックのHLB値とする。
前記モノマーにおける親水部の定義としては、スルホン部(-SO-)、ホスホノ基部(-PO-)、カルボキシル基部(-COOH)、エステル部(-COO-)、アミド部(-CONH-)、イミド部(-CON-)、アルデヒド基部(-CHO)、カルボニル基部(-CO-)、ヒドロキシル基部(-OH)、アミノ基部(-NH)、アセチル基部(-COCH)、エチレンアミン部(-CHCHN-)、エチレンオキシ部(-CHCHO-)、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ハロゲン化物イオン、酢酸イオンを例示することができる。
前記モノマーにおける親水部の式量の算出では、ある親水部を構成する原子が、他の親水部を構成する原子として重複してはならない。モノマーのHLB値の算出例を以下に記載した。例えば、モノマーが2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(分子量(総式量):157.11)の場合、親水部は、エステル部が1部及びエチレンアミン部が1部であり、親水部の式量の合計は86.07であるから、同モノマーのHLB値(すなわち、同モノマーからなる重合体ブロックのHLB値、以下同様)は10.9である。また、モノマーがn-ブチルメタクリレート(分子量(総式量):142.20)の場合、親水部は、エステル部が1部であり、親水部の式量の合計は44.01であるから、同モノマーのHLB値は6.2である。
また、重合体ブロックを構成するモノマーが2種以上である場合には、それぞれのモノマー(モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーn)のHLB値(HLB値1、HLB値2、・・・、HLB値n)及び当該重合体ブロック中の各モノマーからなる各繰り返し単位が占める比率(mol%;比率1、比率2、・・・、比率n)を分析し、次の計算式:
重合体ブロックのHLB値=HLB値1×比率1+HLB値2×比率2+・・・+HLB値n×比率n
により、前記重合体ブロックのHLB値を求めることができる。
本発明において、HLB値の取扱いは、小数点以下第2位を四捨五入して表示される小数点以下第1位までの数字から9(9.0)以上か未満かを判断し、9未満の場合には疎水性、9以上の場合には親水性と定義する。
本発明に係るブロック(B)は、主にブロック共重合体の基材への接着に寄与する。本発明に係るブロック(B)のHLB値は0以上9未満の範囲にあるが、基材に塗布したときに水中で剥離しない、より安定な膜を得るという観点から、好ましくは0~8の範囲にあり、さらに好ましくは0~7の範囲にある。HLB値が前記上限を超える場合は、ブロック共重合体を基材に塗布した場合に水中で剥離しやすく安定な膜を得ることができなくなる傾向にある。
本発明に係るブロック(B)を構成するモノマー及びそのHLB値としては、例えば、特開2018-087316号公報(特許文献3)に記載されているものが挙げられるが、例えば、ブロック(B)を構成するモノマー及びそのHLB値としては、スチレン(HLB値=0.0)やその誘導体、メチルメタクリレート(HLB値=8.8)、エチルアクリレート(HLB値=8.8)、エチルメタクリレート(HLB値=7.7)、n-プロピルアクリレート(HLB値=7.7)、n-プロピルメタクリレート(HLB値=6.9)、n-ブチルアクリレート(HLB値=6.9)、n-ブチルメタクリレート(HLB値=6.2)等のアルキル(メタ)アクリレート等を例示できる。本発明に係るブロック(B)としては、前記モノマーからなる繰り返し単位を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。
また、ブロック(B)としては、上記のLCST及びHLB値の条件を満たすのであれば、前記モノマーからなる繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいてもよいが、本発明に係るブロック(B)としては、重合体ブロック(ブロック(B))に含まれる全繰り返し単位のうちの50mol%以上、好ましくは90mol%以上の繰り返し単位において、繰り返し単位を構成するモノマーが、その単独重合体のLCSTが0~45℃の範囲になく、かつ、そのHLB値が0以上9未満(好ましくは0~8、さらに好ましくは0~7)の範囲にあるものであることが好ましい。
本発明に係るブロック(C)のHLB値は9以上20未満の範囲にあるが、細胞剥離に必要な冷却時間をより短縮するという観点から、好ましくは11以上20未満の範囲にあり、さらに好ましくは13以上20未満の範囲にある。HLB値が前記下限未満である場合は、細胞剥離に必要な冷却時間が長くなり、細胞の活性低下を招く傾向にある。
本発明に係るブロック(C)を構成するモノマー及びそのHLB値としては、例えば、特開2018-087316号公報(特許文献3)に記載されているものが挙げられるが、例えば、ブロック(C)を構成するモノマー及びそのHLB値としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(HLB値=14.2)、ポリエチレングリコールアクリレート(HLB値=15.3以上)、ポリエチレングリコールメタクリレート(HLB値=13.7以上)、2-メトキシエチルアクリレート(HLB値=13.5)、2-メトキシエチルメタクリレート(HLB値=12.2)等が例示できる。本発明に係るブロック(C)としては、前記モノマーからなる繰り返し単位を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。
また、ブロック(C)としては、上記のLCST及びHLB値の条件を満たすのであれば、前記モノマーからなる繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいてもよいが、本発明に係るブロック(C)としては、重合体ブロック(ブロック(C))に含まれる全繰り返し単位のうちの50mol%以上、好ましくは80mol%以上の繰り返し単位において、繰り返し単位を構成するモノマーが、その単独重合体のLCSTが0~45℃の範囲になく、かつ、そのHLB値が9以上20未満(好ましくは11以上20未満、さらに好ましくは13以上20未満)の範囲にあるものであることが好ましい。
本発明のブロック共重合体中のブロック(A)、ブロック(B)、ブロック(C)の配列としては、細胞の培養時の接着性及び/又は増殖性と冷却処理による剥離性とを両立できることから、(A)-(B)-(C)の順であることが好ましい。この順としては、ブロック(A)とブロック(C)とがそれぞれ末端にある配列であれば問題なく、(A)と(B)との間、(B)と(C)との間の、一方又はそれぞれの間にブロックを導入した配列であってもよい。
本発明のブロック共重合体に含まれる全繰り返し単位の量に対する、ブロック(A)に含まれる繰り返し単位(a)の量の比率としては、1~90mol%であることが好ましく、基材に被覆した場合に、より優れた培養時の細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間をより短縮できる傾向にある観点から、5~85mol%であることがより好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(A)を構成する繰り返し単位(a)の量の比率が前記下限未満であると、細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、培養時の細胞接着性が低下する傾向にある。
本発明のブロック共重合体に含まれる全繰り返し単位の量に対する、ブロック(B)に含まれる繰り返し単位(b)の量の比率としては、1~90mol%であることが好ましく、基材に被覆した場合に、より優れた基材への接着性を発揮すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間をより短縮できる傾向にある観点から、5~85mol%であることがより好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(B)を構成する繰り返し単位(b)の量の比率が前記下限未満であると、基材への接着性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる傾向にある。
本発明のブロック共重合体に含まれる全繰り返し単位の量に対する、ブロック(C)に含まれる繰り返し単位(c)の量の比率としては、1~90mol%であることが好ましく、基材に被覆した場合に、より優れた培養時の細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間をより短縮できる傾向にある観点から、5~85mol%であることがより好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(C)を構成する繰り返し単位(c)の量の比率が前記下限未満であると、細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、培養時の細胞接着性が低下する傾向にある。
本発明のブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、冷却処理による細胞剥離性が特に優れるものになることから、100,000以上である。前記数平均分子量(Mn)としては、好ましくは100,000~1,000,000、より好ましくは100,000~500,000、さらに好ましくは100,000~200,000である。数平均分子量(Mn)が前記下限未満の場合、培養する細胞によっては、冷却処理による細胞剥離性が不良となって、剥離のためにピペッティング等の操作が必要となったり振盪による細胞剥離が困難になったりする場合があり、また、3,000未満になると、細胞培養用器材に被覆しても細胞培養中に基材から培地中に溶出してしまう傾向にある。他方、前記上限を越える場合は、溶液にしたときの粘度が高くなり、細胞培養用器材への被覆が困難になる傾向にある。
本発明のブロック共重合体は、冷却処理による細胞剥離性が特に優れるものになることから、その分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分散比(Mw/Mn)として1.5未満である。分散比(Mw/Mn)としては、好ましくは1.00~1.49、より好ましくは1.00~1.45である。前記分子量分布が分散比(Mw/Mn)として前記上限を超える(1.5以上)場合、培養する細胞によっては、冷却処理による細胞剥離性が不良となって、剥離のためにピペッティング等の操作が必要となったり振盪による細胞剥離が困難になったりする場合がある。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、標準ポリマーとしてポリメタクリル酸メチルを用いることで測定することができる。本発明において、分散比(Mw/Mn)の取扱いは、小数点以下第3位を四捨五入して表示される小数点以下第2位までの数字から判断する。
本発明のブロック共重合体の合成方法としては、特に限定はないが、例えば、株式会社エヌ・ティー・エス発行、“ラジカル重合ハンドブック”、p.161~225(2010)に記載のリビングラジカル重合技術を用いて、共重合する方法を用いることができる。数平均分子量(Mn)及び分散比(Mw/Mn)が上記条件を満たす本発明のブロック共重合体を得る方法として特に限定はないが、例えば、反応温度の調整や、反応溶媒の選択で可能になる。本発明では、一例として、tert-ブチルアルコールを反応溶媒として用いることで、数平均分子量(Mn)及び分散比(Mw/Mn)が上記条件を満たすブロック共重合体を得ている。
2.表面処理剤
本発明の表面処理剤は、基材の表面を処理するための基材用表面処理剤であり、上記本発明のブロック共重合体を含むものである。好ましくは、シャーレ、マルチウェルプレート、フラスコ、マイクロキャリアなどの細胞培養用器材の細胞培養用表面を処理するための表面処理剤である。
本発明の表面処理剤は、本発明のブロック共重合体以外に、本ブロック共重合体を溶解することができる各種溶媒を含むものであってもよい。前記ブロック共重合体を溶解できる溶剤としては、特に限定はされないが、処理対象の基材を侵食しない溶媒であることが好ましい。例えば、前記基材の材質がポリスチレンである場合、前記溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノールなどが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。前記溶媒としてさらに好ましくは、沸点が高いため高温に加温できるエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノールが挙げられる。
本発明の表面処理剤が前記溶媒をさらに含む場合、当該表面処理剤における前記ブロック共重合体の濃度は特に限定はないが、塗りムラの発生を低減できることから、好ましくは0.01~10wt%、より好ましくは0.03~1wt%である。本発明の表面処理剤は、通常、前記ブロック共重合体及び前記溶媒を含む溶液状のものであるが、上記の溶媒で溶解可能な粉末状等の固体状であってもよい。本発明の表面処理剤は、溶液状である場合にはそのまま又は必要に応じて適宜前記溶媒で希釈して、固体状である場合には前記溶媒で溶解した溶液を調製して、基材に塗布するだけで、前記基材の表面処理を行うことができるものである。
本発明の表面処理剤の対象となる基材としては、特に限定はないが、本発明のブロック共重合体は疎水性相互作用で基材に接着することから、好ましくは各種疎水性ポリマー材料が用いられる。前記疎水性ポリマー材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリジメチルシロキサン等の各種シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。また、金属基材、セラミックス基材、或いはガラス基材にシランカップリング剤で表面処理したものも用いることができる。
また、前記基材の形状としては、特に限定はないが、例えば、板状、ビーズ状及び繊維状の形状の他、板状の基材に設けられた穴や溝や突起部なども挙げられる。
本発明の表面処理剤を前記基材に塗布する方法としては、従来公知の方法を適宜採用することができ、例えば、はけ塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、流し塗り、スプレー塗装、ロール塗装、エアーナイフコーティング、ブレードコーティングなど通常知られている各種の方法を用いることが可能である。
3.膜
本発明の膜は、上記本発明のブロック共重合体を含むものであり、上記本発明の表面処理剤を、溶液状である場合にはそのまま又は必要に応じて適宜前記溶媒で希釈して、固体状である場合には前記溶媒で溶解した溶液を調製して、前記基材に塗布した後、乾燥することによって形成できる膜である。前記塗布方法としては上述のとおりである。
本発明の膜の厚さとしては、基材表面にブロック(A)分として0.1~5.0μg/cmの割合で被覆される厚さであることが好ましく、より好ましくは0.3~0.8μg/cmである。前記基材表面におけるブロック(A)の量が前記下限未満の場合は、細胞培養用器材に被覆した時に細胞剥離に必要な冷却時間が長くなってしまう。他方、前記上限を超える場合は、細胞が培養時(好ましくは細胞が由来する生物の体温付近の温度時)に細胞培養用器材に接着しにくくなって細胞が増殖しなくなる傾向にある。特に、前記基材表面におけるブロック(A)の量が0.3~0.8μg/cmの範囲にある場合には、剥離に必要な冷却時間の長さ短縮と培養時の良好な細胞接着及び細胞増殖とを並立できる。ここでいう被覆量の測定は定法に従えばよく、例えば、天秤を用いた秤量を利用すればよい。
4.細胞培養用器材
本発明の細胞培養用器材は、前記基材と、前記基材表面を被覆する上記本発明の膜と、を備えるものである。本発明の細胞培養用器材は、前記基材として上記のシャーレ、マルチウェルプレート、フラスコ、マイクロキャリアなどの細胞培養用器材を用い、本発明の表面処理剤で処理することによって、これら器材の細胞培養用表面が本発明の膜で被覆された細胞培養用器材として得られる。前記膜の好ましい厚さ及び形成方法としては上述のとおりである。
本発明の細胞培養用器材には、前記膜表面(細胞培養用表面)に、細胞外マトリックスをさらに被覆してもよい。かかる細胞外マトリックスの種類には特に限定は無く、例えば、コラーゲン、アテロコラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、ゼラチン;並びに、ラミニン、コラーゲンIV、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、及びエンタクチン/ニドジェン1,2等のうちの少なくとも1種を主成分として含有するマトリゲルが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら細胞外マトリックスのセグメントであってもよい。
5.細胞培養方法
本発明の細胞培養方法は、上記本発明の膜又は上記本発明の細胞培養用器材の前記膜表面上で、前記ブロック(A)のLCSTよりも高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に前記膜表面を前記ブロック(A)のLCSTよりも低い温度で冷却して増殖細胞を前記膜表面から剥離する工程を含む方法である。
本発明の細胞培養方法においては、先ず、上記本発明の膜又は上記本発明の細胞培養用器材の前記膜表面上で、前記ブロック(A)のLCSTよりも高い温度(培養温度)で細胞を培養する[以下、この工程を「培養工程」という。]。前記培養温度としては、前記ブロック(A)のLCSTよりも高い温度であればよく、培養する細胞の種類及び培養目的等に応じて適宜調整することができるが、例えば、ヒト由来細胞を用いる場合は、高い培養効率を得ることを目的にヒト体温付近で行うことが好ましく、35~39℃の温度範囲で行うことがより好ましく、36~38℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。その他の培養に係る条件としては特に限定されず、培養する細胞の種類及び培養目的等に応じて、当分野において通常行われる条件下で培養を行ってよい。例えば、培地としては、ウシ胎児血清等の血清が添加されているものでもよいし、無血清培地でもよい。
本発明の細胞培養方法で培養する細胞としては、器材の細胞培養用表面に対する細胞接着性が比較的強いために、本発明がもたらす冷却処理による優れた細胞剥離容易性をより効果的に享受できる傾向にあるという観点から、好ましくは骨髄由来間葉系幹細胞であるが、冷却処理前(培養時)の前記膜表面に接着可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、チャイニーズハムスター卵巣由来CHO細胞やマウス結合組織L929細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞HEK293細胞やヒト子宮頸癌由来HeLa細胞等の種々の培養細胞株に加え、生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞;収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞;神経系を構成するニューロン細胞、グリア細胞、繊維芽細胞;生体の代謝に関与する肝実質細胞、肝非実質細胞や脂肪細胞;分化能を有する細胞として種々の組織に存在する幹細胞;さらにはそれらから分化誘導した細胞等を培養することができる。また、これら以外でも、血液、リンパ液、髄液、喀痰、尿又は便に含まれる細胞(生細胞)や、体内或いは環境中に存在する微生物、ウイルス、原虫等も例示できる。
本発明の細胞培養方法においては、次いで、細胞増殖後に前記膜表面を前記ブロック(A)のLCSTよりも低い温度で冷却して[以下、この工程を「冷却処理工程」という。]、増殖細胞を前記膜表面から剥離する[以下、この工程を「細胞剥離処理工程」という。]。前記冷却処理工程及び細胞剥離処理工程は同時に行っても、冷却処理工程の後に細胞剥離処理工程を行ってもよい。
前記冷却処理工程における冷却処理では、より具体的には、培養後、前記膜表面周囲の温度を前記ブロック(A)のLCSTよりも低い温度、好ましくは前記LCSTよりも10℃以上低い温度、より好ましくは前記LCSTよりも10℃以上低い温度、かつ、2℃以上に変化させる。これにより、前記増殖細胞を細胞培養用器材から剥離することができる。
前記冷却処理の方法としては、培養していた培養液から置換したその他の溶液中において冷却しても、細胞を培養していた培養液中において冷却してもよく、冷却された培地で培地交換する方法や冷所保管が例示され、目的に応じて選択することができる。冷却された培地での培地交換としては、特に限定はなく、ピペットを用いて温かい培地を抜き取り、その後冷却した培地を注ぐ方法が例示される。
前記冷却時間としては、特に限定はないが、冷却による細胞へのダメージを低減するために30分以下であることが好ましい。
前記細胞剥離処理工程において、増殖細胞を前記膜表面から剥離する方法としては、細胞の自然剥離を待つ方法;器材全体に物理的な衝撃を与える方法、例えば、タッピングや振盪による方法;細胞に局所的に衝撃を与える方法、例えば、セルスクレーパーを用いた方法やピペッティング等を用いることができる。本発明に係る膜表面においては冷却処理による細胞剥離性が特に優れるため、ピペッティング等の細胞に局所的に衝撃を与える方法を用いなくとも、冷却時間や細胞へのダメージ等に鑑み、タッピングや振盪によって前記増殖細胞を前記膜表面から剥離することが可能である。特に操作性の面では、振盪が好ましい。なお、本発明において、前記増殖細胞を前記膜表面から剥離するためのピペッティングとは、ピペッター(例えば、先端口径10mm以下、容量1μL以上)を用いて細胞培養用器材の培養面に培養液等を直接当てるように吸引・吐出を行う操作や、アスピレーターによる減圧吸引のことをいい、培地を加える際や細胞を回収する際に細胞培養用器材の培養面に培養液等を直接当てないように、また、過度の流速を生じさせないように培養液等を吸引・吐出する操作とは異なる。
前記振盪として、振盪方式としては、特に限定は無く、往復運動や旋回運動、シーソー運動などが例示される。また、振盪方向にも特に限定は無く、水平方向や垂直方向が例示される。振盪時間にも特に限定は無いが、細胞へのダメージを低減するために30分以下が好ましく、より好ましくは10分以下、さらに好ましくは2分以下である。振盪幅にも特に限定は無いが、好ましくは1~70mmであり、より好ましくは10~50mmである。また、振盪速度にも特に限定は無いが、好ましくは1~500rpmであり、より好ましくは25~300rpmである。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
<ブロック共重合体の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子(株)製、商品名:JNM-ECZ400S/L1)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(H-NMR)スペクトル分析より求めた。
<ブロック共重合体の分子量、分散比>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は東ソー(株)製 HLC-8320GPCを用い、カラムは東ソー(株)製 TSKgel Super AWM-Hを2本用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液には10mMトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む10mMトリフルオロ酢酸ナトリウムを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLで調製して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリメタクリル酸メチル(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。
<細胞数の計測>
各実施例及び比較例において、細胞剥離処理工程後に回収した培養液を、160rcf、25℃、5分の条件で遠心後、上清を除き、培養液を500μL加え懸濁した。得られた細胞懸濁液中から10μLを細胞数測定用スライド(Thermo Fisher Scientific(株)製、商品名:Countess Cell Counting Chamber Slid)に添加し、自動セルカウンター(Thermo Fisher Scientific(株)製、商品名:Countess(R) II)を用いて、細胞数を測定した。これを冷却後回収細胞数とした。また、各実施例及び比較例において、培養液を回収後の培養器材に残った細胞は、15mLチューブに回収し、160rcf、25℃、5分の条件で遠心後、上清を除き、培養液を100μL加え懸濁し、上記と同様の方法で細胞数を測定し、これを前記冷却後回収細胞数と足し合わせたものを全細胞数とした。細胞数は対数表記で測定され、小数点以下第2位までを結果として用いた。
<細胞回収率の計算>
細胞数の計測結果を用いて、冷却処理による細胞回収率(%)は、冷却後回収細胞数を全細胞数で割って算出した。細胞回収率は小数点以下第2位を四捨五入して表示した。
<ブロック共重合体1の合成例>
200mL2口フラスコにブロック(C)のモノマーとして2-メトキシエチルアクリレート(MEA、HLB値=13.5)0.650g(5mmol)を加え、さらにシアノメチルドデシルトリチオカルボナトを31.8mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)とtert-ブチルアルコール10mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌(1回目の加熱撹拌)した。
1回目の加熱撹拌後、上記にブロック(B)のモノマーとしてn-ブチルアクリレート(BA、HLB値=6.9)3.845g(30mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)とtert-ブチルアルコール5mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌(2回目の加熱撹拌)した。
2回目の加熱撹拌後、上記にブロック(A)のモノマーとしてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm、LCST=32℃)7.355g(65mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)とtert-ブチルアルコール85mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌(3回目の加熱撹拌)した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いてクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘプタンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体1:poly(MEA-BA-IPAAm)を8.295g得た。得られたブロック共重合体1の組成はMEA:BA:IPAAm=5:30:65(mol%)、Mnは11.8×10、Mw/Mnは1.45であった。
<表面処理剤1の調製>
ブロック共重合体1を80mgに2-メトキシエタノールを19.920g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体1が0.40wt%である表面処理剤1を調製した。
<培養器材1の調製>
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)の中央に表面処理剤1を100μL加え、スピンコータ―(ミカサ製、商品名:MS-B200)を用いて、回転数2,000rpm、回転時間60秒の条件でスピンコートすることでブロック共重合体1をコートした細胞培養用器材(培養器材1)を調製した。この培養器材1表面のブロック共重合体1の被覆量を全反射型フーリエ変換型赤外分光(ATR/FT-IR)法により測定したところ、ブロック(A)分として0.55μg/cmであった。
<ブロック共重合体2の合成例>
100mL2口フラスコにブロック(C)のモノマーとして2-メトキシエチルアクリレート(MEA、HLB値=13.5)0.650g(5mmol)を加え、さらにシアノメチルドデシルトリチオカルボナトを31.8mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン10mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌(1回目の加熱撹拌)した。
1回目の加熱撹拌後、上記にブロック(B)のモノマーとしてn-ブチルアクリレート(BA、HLB値=6.9)3.845g(30mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン5mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌(2回目の加熱撹拌)した。
2回目の加熱撹拌後、上記にブロック(A)のモノマーとしてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm、LCST=32℃)7.355g(65mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン35mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌(3回目の加熱撹拌)した。
3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いてクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘプタンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体2:poly(MEA-BA-IPAAm)を5.805g得た。得られたブロック共重合体2の組成はMEA:BA:IPAAm=5:26:69(mol%)、Mnは8.5×10、Mw/Mnは1.78であった。
<表面処理剤2の調製>
ブロック共重合体2を70mgに2-メトキシエタノールを19.930g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体2が0.35wt%である表面処理剤2を調製した。
<培養器材2の調製>
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)の中央に表面処理剤2を100μL加え、スピンコータ―(ミカサ製、商品名:MS-B200)を用いて、回転数2,000rpm、回転時間60秒の条件でスピンコートすることでブロック共重合体2をコートした細胞培養用器材(培養器材2)を調製した。この培養器材2表面のブロック共重合体2の被覆量を全反射型フーリエ変換型赤外分光(ATR/FT-IR)法により測定したところ、ブロック(A)分として0.55μg/cmであった。
<ブロック共重合体3の合成例>
100mL2口フラスコにブロック(B)のモノマーとしてn-ブチルメタクリレート(BMA、HLB値=6.2)7.110g(50mmol)を加え、さらに4-シアノ-4-[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッドを40.4mg(100μmol)とアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン20mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌(1回目の加熱撹拌)した。
1回目の加熱撹拌後、上記にブロック(A)のモノマーとしてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm、LCST=32℃)5.657g(50mmol)を加え、さらにアゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)と1,4-ジオキサン30mLとを加え、アルゴンガス置換後、62℃で48時間加熱撹拌(2回目の加熱撹拌)した。
2回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いてクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体3:poly(BMA-IPAAm)を6.915g得た。得られたブロック共重合体3の組成はBMA:IPAAm=53:47(mol%)、Mnは7.7×10、Mw/Mnは1.49であった。
<表面処理剤3の調製>
ブロック共重合体3を120mgに2-メトキシエタノールを19.880g添加し、撹拌で全て溶解させ、ブロック共重合体3が0.60wt%である表面処理剤3を調製した。
<培養器材3の調製>
IWAKI組織培養用ディッシュ(φ6cm)の中央に表面処理剤3を100μL加え、スピンコータ―(ミカサ製、商品名:MS-B200)を用いて、回転数2,000rpm、回転時間60秒の条件でスピンコートすることでブロック共重合体3をコートした細胞培養用器材(培養器材3)を調製した。この培養器材3表面のブロック共重合体3の被覆量を全反射型フーリエ変換型赤外分光(ATR/FT-IR)法により測定したところ、ブロック(A)分として0.63μg/cmであった。
(実施例1)
上記で得られた培養器材1に、骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(ロンザジャパン(株)製、Product Code:PT-2501、Lot Number:0000603525)を1.5×10cells/dish播種し、37℃、CO濃度5%で培養した[培養工程]。培養液にはウシ胎児血清(コロンビア産)を10vol%含むダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地(10vol%FBS/DMEM)を用いた。7日間培養後、ピペッティングをしないようにしながら、培養液を抜き、新たに4℃に冷却した培養液を加え、室温で20分間冷却した[冷却処理工程]。20分後、振盪器((株)日伸理化製、商品名:超小型レシプロンシェーカーNA-M201)を用いて、振幅34mm、振盪速度100rpm、振盪時間2分の条件で培養基材を振盪した[細胞剥離処理工程]。振盪後、ピペッティングをしないようにしながら細胞ごと培養液を回収し、上記細胞数の計測により細胞数を測定したところ、冷却処理によって回収できた細胞数(冷却後回収細胞数)は5.17×10cellsであった。また、培養液を回収後の培養器材1に残った細胞をトリプシンを用いて回収し、上記細胞数の計測により細胞数を計測し、前記冷却後回収細胞数と足し合わせて全細胞数を求めたところ、5.65×10cellsであった。以上より、冷却処理による細胞回収率は91.4%であった。
(比較例1)
培養器材1に代えて上記で得られた培養器材2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で細胞回収率を評価した。冷却後回収細胞数は3.22×10cellsであり、全細胞数は5.20×10cellsであった。その結果、冷却処理による細胞回収率は62.1%であり、実施例1よりも低くなった。
(比較例3)
培養器材1に代えて上記で得られた培養器材3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で細胞回収率を評価した。冷却後回収細胞数は0.56×10cellsであり、全細胞数は5.09×10cellsであった。その結果、冷却処理による細胞回収率は11.0%であり、実施例1よりも低くなった。
実施例1、比較例1~2における、培養器材、ブロック共重合体及びその組成、ブロック(A)の被覆量、細胞の播種密度、冷却後回収細胞数、全細胞数、並びに、冷却処理による細胞回収率の一覧を下記の表1に示す。
Figure 0007250248000001
以上説明したように、本発明によれば、温度応答性に優れたブロック共重合体、それを含む表面処理剤及び膜、並びに、それを用いた細胞培養用器材及び細胞培養方法を提供することが可能となる。

Claims (10)

  1. 下記(A)、(B)、(C)のブロックから構成されるブロック共重合体であり、数平均分子量(Mn)が100,000~1,000,000であり、かつ、分散比(Mw/Mn)が1.00以上1.5未満であることを特徴とするブロック共重合体。
    (A)N-イソプロピルアクリルアミドからなる重合体ブロックであり、水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0~45℃の範囲にある温度応答性重合体ブロック。
    (B)n-ブチルアクリレートからなる重合体ブロックであり、0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が0以上9未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
    (C)2-メトキシエチルアクリレートからなる重合体ブロックであり、0~45℃の範囲にLCSTを持たず、かつ、HLB値(グリフィン法)が9以上20未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
  2. 前記ブロックの配列が(A)-(B)-(C)の順であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 請求項1又は2に記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする表面処理剤。
  4. 請求項1又は2に記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする膜。
  5. ブロック(A)分が5.0μg/cm以下となる厚さであることを特徴とする請求項に記載の膜。
  6. 基材と、前記基材表面を被覆する請求項又はに記載の膜と、を備えることを特徴とする細胞培養用器材。
  7. 請求項若しくはに記載の膜又は請求項に記載の細胞培養用器材の前記膜表面上で、前記ブロック(A)のLCSTよりも高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に前記膜表面を前記ブロック(A)のLCSTよりも低い温度で冷却して増殖細胞を前記膜表面から剥離することを特徴とする細胞培養方法。
  8. 振盪により前記増殖細胞を前記膜表面から剥離することを特徴とする請求項に記載の細胞培養方法。
  9. 前記振盪における振盪速度が1~500rpmであることを特徴とする請求項に記載の細胞培養方法。
  10. 前記細胞が骨髄由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項のうちのいずれか一項に記載の細胞培養方法。
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