JP2018154752A - 共重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、細胞剥離が可能であると共に、溶出物量が少なく安全性の高い細胞培養基材の表面処理剤として有用な、粒子形状に優れた共重合体を提供すること。
【解決手段】 下記(i)から(v)の要件を満たす共重合体により前記課題を解決する。
(i)下記(A)および(B)のブロックを含み、
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
重合体ブロック。
(B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(ii)モノマーが30ppm未満であり、
(iii)有機溶媒が30ppm未満であり、
(iv)水分が2重量%未満であり、
(v)パウダーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷却によって細胞を剥離できると共に、溶出物量が少なく安全性が高い細胞培養基材のための表面処理剤として有用な共重合体およびその製造方法に関する。
温度応答性重合体は、所定の温度(下限臨界溶液温度:Lower Critical Solution Temperature)未満では水に溶解するが、所定の温度以上では不溶化して沈殿するという物性を備える重合体、または、所定の温度(上限臨界溶液温度:Upper Critical Solution Temperature)以上では水に溶解するが、所定の温度未満では不溶化して沈殿するという物性を備える重合体である。
これら温度応答性重合体で被覆された細胞培養皿は、細胞を接着し増殖する機能と、培養した細胞を剥離する機能を併せ持ち、温度による刺激(加温または冷却)でこれら機能を変換できるため、再生医療用の細胞の培養、回収に用いられている。
WO01/068799号公報 特公平06104061号公報 特開平5−244938号公報
しかしながら、これら用途への展開においては、被覆温度応答性重合体から培地(水溶液)または培養細胞に溶出する水可溶分、未反応モノマー、残留有機溶媒が安全上、問題になる。
また、温度応答性重合体を基材にコートする場合において、温度応答性重合体を溶媒に溶解する必要があり、スムーズな溶解を実現するためには、溶媒に溶解しやすい良好な粒子形状を有する共重合体が望まれていた。
さらに、温度応答性重合体を溶媒に溶解する際に、温度応答性重合体の飛散や付着を抑制するために、嵩密度の高い共重合体が望まれていた。
そこで、本発明は、冷却によって細胞を剥離できると共に、溶出物量が少なく安全性の高い細胞培養基材のための表面処理剤として有用な、良好な粒子形状を有する共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の点を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定構造の共重合体を用い、含まれるモノマー、有機溶媒および水を特定量に制御することで、良好な粒子形状の共重合体が得られ、溶剤へのスムーズな溶解を実現できると共に、基材にコートした場合に、冷却によって細胞を剥離できると共に、溶出物量が少なく安全性が高い細胞培養基材が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明によれば、以下に示す共重合体が提供される。
[1]下記(i)から(v)の要件を満たす共重合体。
(i)下記(A)および(B)のブロックを含み、
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答
性重合体ブロック。
(B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上
9未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(ii)モノマーが30ppm未満であり、
(iii)有機溶媒が30ppm未満であり、
(iv)水分が2重量%未満であり、
(v)パウダーである。
[2](v)嵩密度が150kg/m以上のパウダーであることを特徴とする[1]に記載の共重合体。
[3]下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の共重合体。
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
重合体ブロック。
(B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(C)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が9以上2
0未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
また、以下に示す共重合体の製造方法が提供される。
[4]下記(i)から(v)の要件を満たす共重合体の製造方法であって、
(i)下記(A)および(B)のブロックを含み、
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答
性重合体ブロック。
(B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(ii)モノマーが30ppm未満であり、
(iii)有機溶媒が30ppm未満であり、
(iv)水分が2重量%未満であり、
(v)パウダーである。
下記(I)から(VI)の工程からなる製造方法。
(I)共重合体を合成する工程。
(II)(I)で得られた反応溶液から水不溶性の成分を分離する工程。
(III)分離された水不溶性の成分から、乾燥剤を用いて水分を除去する工程。
(IV)水分を吸着した乾燥剤を除去する工程。
(V)回収された共重合体溶液から共重合体を析出させる工程。
(VI)析出した共重合体を分離し、乾燥する工程。
[5](v)共重合体の嵩密度が150kg/m以上のパウダーであることを特徴とする[4]に記載の製造方法。
[6]共重合体が下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むことを特徴とする[4]または[5]に記載の製造方法。
(A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
重合体ブロック。
(B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
(C)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が9以上2
0未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
また、以下に示す基材用表面処理剤が提供される。
[7][1]〜[3]のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする基材用表面処理剤。
また、以下に示す膜が提供される。
[8][7]に記載の表面処理剤を基材に塗布されてなる膜。
また、以下に示す細胞培養用基材が提供される。
[9][8]に記載の膜で表面を被覆した細胞培養用基材。
さらに、以下に示す細胞培養方法が提供される。
[10][9]に記載の細胞培養基材を用いて、LCSTより高い温度で細胞を培養し、
細胞増殖後に温度をLCSTより低くして増殖細胞を基材から剥離することを特徴とす
る細胞培養方法。
温度応答性重合体と疎水性重合体を含む特定構造の共重合体を用い、含まれるモノマー、有機溶媒を特定量に制御することで、共重合体を基材にコートした場合に、基材からのモノマーおよび有機溶媒の溶出量を低減することができる。また、水を特定量に制御することで、共重合体粒子同士が凝集しにくくなることから、良好な粒子形状の共重合体が得られ、溶剤へのスムーズな溶解を実現できる。さらに、得られた溶液を基材に塗布し乾燥することでブロック共重合体を基材にコートし、その上で細胞を培養した場合に、冷却によって培養細胞を剥離できると共に、培養中、モノマー、有機溶媒等が培地への溶出物量が少ない安全性の高い細胞培養基材が得られる。
さらに、本発明のブロック共重合体の嵩密度が150kg/m以上のパウダーであることから、溶剤への溶解工程での飛散や付着を制御することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
1.共重合体
本発明の共重合体は特定のブロック(A)および特定のブロック(B)を含むブロック共重合体であり、更に含まれるモノマー、有機溶媒および水を特定量に制御した共重合体である。
本明細書において、下限臨界溶解温度(LCST;Lower Critical Solution Temperature)とは、この温度よりも低い温度では高分子が水に溶解して透明の溶液になるが、この温度よりも高い温度では不溶化して白濁するか沈殿が生じ、相分離する温度である。
本発明におけるブロック(A)はLCSTが0℃〜50℃の範囲にある温度応答性重合体ブロックである。本発明の共重合体を細胞培養基材を用いた場合に、体温付近で細胞接着性を付与すると共に、温度降下で細胞を剥離し、ダメージを与えることなく細胞を分別回収するために、ブロック(A)のLCSTは25℃〜45℃の範囲にあることが好ましく、28℃〜40℃の範囲にあることがさらに好ましい。LCSTが0℃未満であれば細胞にダメージを与えることなく剥離することが困難となり、50℃を超えれば体温付近で細胞を接着できなくなり、細胞培養が困難となる。
本明細書において、HLB値(HLB;Hydrophile−Lipophile Balance)とは、W.C.Griffin, Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 1, 311(1949).に記載の、水と油への親和性の程度を表す値であり、0から20までの値を取り、0に近いほど疎水性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。計算によって決定する方法として、アトラス法、グリフィン法、デイビス法、川上法があるが、本発明においてはグリフィン法で計算した値を使用し、繰り返し単位中の親水部の式量と繰り返し単位の総式量を元に、下記の計算式で求めた。
HLB値=20×(親水部の式量)÷(総式量)
本発明におけるブロック(B)は、0℃〜50℃の範囲にLCSTを持たない、特定範囲のHLB値を有する疎水性重合体のブロックであり、共重合体の基板への接着に寄与する。
本発明におけるブロック(B)のHLB値は0以上9未満の範囲にあるが、基材に塗布して水中で剥離しない安定な膜を得るために、好ましくは0以上8以下の範囲に有り、さらに好ましくは0以上6以下の範囲にある。HLB値が9以上である場合は、基材に塗布した場合に水中で剥離しやすく安定な膜を得ることができない。
本発明の共重合体に含まれるモノマーは、共重合体の製造に使用したモノマーであり、精製工程で除去できなかったモノマーである。
本発明におけるモノマー量は30ppm未満であり、好ましくは20ppm未満であり、さらに好ましくは10ppm未満である。30ppm以上含まれると、共重合体を基材にコートし、その上で細胞を培養した場合に、培地への溶出物量が多くなり、培養細胞の安全性が低下する。
本発明の共重合体に含まれる有機溶媒は、共重合体の製造または精製に使用した有機溶媒であり、精製または乾燥工程で除去できなかった有機溶媒である。
本発明における有機溶媒量は30ppm未満であり、好ましくは20ppm未満であり、さらに好ましくは10ppm未満である。30ppm以上含まれると、共重合体を基材にコートし、その上で細胞を培養した場合に、培地への溶出物量が多くなり、培養細胞の安全性が低下する。
本発明の共重合体に含まれる水は、共重合体の精製に使用した水または大気中から吸収した水であり、精製または乾燥工程で除去できなかった水である。
本発明における水分量は2重量%未満であり、好ましくは1重量%未満であり、さらに好ましくは0.5重量%未満である。2重量%以上含まれると、共重合体粒子同士が凝集しやすくなり、塊状物となり、溶剤に溶け難くなる。
本発明のブロック共重合体は、溶剤へのスムーズな溶解を実現するために、パウダー形状である。
本発明のブロック共重合体パウダーの嵩密度は、溶剤への溶解工程での飛散や付着を抑制するために、好ましくは150kg/m以上であり、より好ましくは200kg/m以上であり、更に好ましくは300kg/m以上である。150kg/m未満になるとブロック共重合体パウダーが飛散したり容器に付着しやすくなる。
本発明の共重合体を構成するブロック(A)は、特に限定は無いが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
は水素原子又はメチル基であり、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
およびRは各々独立して、水素基、炭素数1〜6の炭化水素基、フルフリル基またはテトラヒドロフルフリル基であり、RとRは互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環もしくはモルホリン環を形成しても良い。
炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくはn−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
本発明における一般式(1)で表される繰り返し単位としては、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチルー2−プロペニル)ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)ピペリジン、1−(1−オキソ−2−メチルー2−プロペニル)ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)モルホリン、4−(1−オキソ−2−メチルー2−プロペニル)モルホリンを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくはN,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドを重合して生成する繰り返し単位を、LCSTを30℃〜40℃の範囲にするために、さらに好ましくはN,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(A)は、特に限定は無いが、下記一般式(2)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
は水素原子またはメチル基を表し、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基であり、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、炭素数1〜3のアルキル基が用いられる。
炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基が用いられる。
rは1〜10の整数であり、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、1〜3の整数が用いられる。
本発明における一般式(2)で表される繰り返し単位としては、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくは2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテルを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(A)は、特に限定は無いが、下記一般式(3)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
は水素原子またはメチル基を表し、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、水素原子が用いられる。
は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくはメチル基、エチル基が用いられる。
本発明における一般式(3)で表される繰り返し単位としては、LCSTを20℃〜45℃の範囲にするために、好ましくはメチルビニルエーテルを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(B)は、特に限定は無いが、下記一般式(4)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
は水素原子またはメチル基を表し、基材に塗布して水中で剥離しない安定な膜を得るためにメチル基が用いられる。
Yは水素原子、塩素原子、アセトキシ基、ニトリル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を例示することができ、水中で剥離しない安定な膜を得るために、好ましくは水素原子、塩素原子、炭素数6〜30の芳香族炭化水素を用いることができる。炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、1−ナフタレン基、2−ナフタレン基、9−アントラセン基、1−ピレン基およびその誘導体を例示することができる。
本発明における一般式(4)で表される繰り返し単位としては、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、1−ビニルナフタレン基、2−ビニルナフタレン基、9−ビニルアントラセン基、1−ビニルピレンを重合して生成する繰り返し単位を例示できる。
本発明におけるブロック(B)は、特に限定は無いが、一般式(5)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
は水素原子またはメチル基を表し、基材に塗布して水中で剥離しない安定な膜を得るためにメチル基が用いられる。
10は炭素数1〜30の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基を例示できるが、水中で剥離しない安定な膜を得るために、好ましくはn−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基が用いられる。
Zは、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、水中で剥離しない安定な膜を得るために、好ましくはエステル結合、アミド結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
本発明における一般式(5)で表される繰り返し単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、N−n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−n−デシル(メタ)アクリルアミド、N−n−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、N−n−オクタデシル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物、N−ビニル−n−オクチルアミド、N−ビニル−n−デシルアミド、N−ビニル−n−ドデシルアミド、N−ビニル−n−ヘキサデシルアミド等のN−ビニルアミド化合物を重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、水中で剥離しない安定な膜を得るために、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物を重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(B)としては、上記以外に、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−アルキルマレイミド化合物、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジ−n−ブチル等のフマル酸ジエステル化合物、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等から選ばれる少なくとも1つのモノマーの重合体を用いることができる。
本発明の共重合体は、ブロック(A)および(B)以外の重合体ブロックを含むことができる。細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ブロック(A)およびブロック(B)に加え、好ましくは、特定のブロック(C)を含む。
本発明におけるブロック(C)は、0℃〜50℃の範囲にLCSTを持たない、特定範囲のHLB値を有する親水性重合体のブロックである。
本発明におけるブロック(C)としては、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸金属塩、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミド基、アミノアルキル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバメート基、リン酸基、リン酸基の金属塩、オキシリン酸基、オキシリン酸基の金属塩、ホスホベタイン基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ポリエチレングリコール基、ピロリドン基から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するモノマーの重合体を例示することができる。
本発明におけるブロック(C)は、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはタンパク質、ペプチド、糖タンパク質等の生体高分子と親和性の無いブロックまたは細胞と親和性の無いブロックであり、ホスホベタイン基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ポリエチレングリコール基、メトキシエチレン基、フルフリル基、ジアルキルアミノアルキル基、ピロリドン基から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するモノマーの重合体である。
本発明におけるブロック(C)のHLB値は9以上20未満の範囲にあるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは11以上20未満の範囲にあり、さらに好ましくは13以上20未満の範囲にある。HLB値が9未満である場合は、細胞剥離に必要な冷却時間が長くなり、細胞の活性低下を招く。
本発明の共重合体を構成するブロック(C)は特に限定は無いが、下記一般式(6)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
11は水素原子又はメチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはメチル基を用いる。
12は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にアルキレンである。このようなアルキレンとして、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどが例示され、好ましくはエチレンである。
13は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが例示され、エチレンが特に好ましい。
14、R15、及びR16は、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基、例えばメチル基又はエチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、特にR14、R15、及びR16が同時に、水素原子又はメチル基、特にメチル基であることが好ましい。
はエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、エステル結合、アミド結合、特にエステル結合が好ましい。
本発明における一般式(6)で表される繰り返し単位としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホリルコリン、ω−(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンホスホリルコリン、2−アクリルアミドエチルホスホリルコリン、3−アクリルアミドプロピルホスホリルコリン、4−アクリルアミドブチルホスホリルコリン、6−アクリルアミドヘキシルホスホリルコリン、10−アクリルアミドデシルホスホリルコリン、ω−(メタ)アクリルアミド(ポリ)オキシエチレンホスホリルコリンを重合して生成する繰り返し単位を例示できる。これらの繰り返し単位は、細胞膜の構成要素であるリン脂質に類似する構造を有することから、細胞の接着性を抑制することができる。細胞培養基材にした場合に細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(C)は、特に限定は無いが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
17は水素原子またはメチル基を表し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するためにメチル基が用いられる。
18は−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−R19(式中、R19は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基であり、iは1〜300の整数であり、jは0〜60の整数である。)で表されるポリオキシアルキレン基、−CH−O−R20(式中、R20は水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基である。)で表される置換基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基、水素原子を示す。
19に用いられる炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
20に用いられる炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert.−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が用いられる。
本発明における一般式(7)で表される繰り返し単位としては、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、フルフリルアクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートまたはテトラヒドロフルフリルメタクリレートを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはポリエチレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレートまたはテトラヒドロフルフリルアクリレートを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(C)は、特に限定は無いが、下記一般式(8)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
21は水素原子またはメチル基を表し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するためにメチル基が用いられる。
22は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数1〜6の2価のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレンである。
23は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレンである。
24及びR25は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは、R24及びR25が同時に水素原子またはメチル基であり、更に好ましくは同時にメチル基である。
は、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはエステル結合、アミド結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
Xはスルホン酸アニオン基、カルボン酸アニオン基、リン酸アニオン基、オキシアニオン基である。
本発明における一般式(8)で表される繰り返し単位としては、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウム、またはジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウムを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(4−スルホナトブチル)アミニウムまたはジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウムを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
本発明におけるブロック(C)は、特に限定は無いが、下記一般式(9)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
26は水素原子またはメチル基を表し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するためにメチル基が用いられる。
27、R28は各々独立して水素原子又はメチル基である。
本発明における一般式(9)で表される繰り返し単位としては、アクリルアミドまた
はN,N−ジメチルアクリルアミドを重合して生成する繰り返し単位を用いることができ
る。
本発明におけるブロック(C)は、特に限定は無いが、一般式(10)で表される繰り
返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
29は水素原子またはメチル基を表し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するためにメチル基が用いられる。
本発明における下記一般式(10)で表される繰り返し単位としては、N−ビニルピロリドンを重合して生成する繰り返し単位を用いることができる。
本発明におけるブロック(C)は、特に限定は無いが、下記一般式(11)で表される繰り返し単位の内、少なくとも1種類の繰り返し単位を含む重合体を用いることができる。
Figure 2018154752
30は水素原子又はメチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはメチル基を用いる。
31は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくは炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にアルキレンである。このようなアルキレンとして、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどが例示され、好ましくはエチレンである。
32及びR33は、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基、例えばメチル基又はエチル基であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、特にR32及びR33が同時に、水素原子又はメチル基、特にメチル基であることが好ましい。
はエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びエーテル結合からなる群から選択される2価の結合であり、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、エステル結合、アミド結合、特にエステル結合が好ましい。
本発明における一般式(11)で表される繰り返し単位としては、アミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルアミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、ジエチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、(メタ)アクリルアミドエチルアミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、ジエチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルアミン、ジメチル[3−(メタ)アクリルアミドプロピル]アミン、ジエチル[3−(メタ)アクリルアミドエチル]アミンを重合して生成する繰り返し単位を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、好ましくはN,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチル[(メタ)アクリルアミドメチル]アミン、ジメチル[(メタ)アクリルアミドエチル]アミンを重合して生成する繰り返し単位を用いる。
共重合体中のブロック(A)、ブロック(B)、ブロック(C)の配列としては、(A)−(B)、(A)−(B)−(A)、(B)−(A)−(B)、(A)−(B)−(A)−(B)、(A)−(B)−(C)、(A)−(C)−(B)、(B)−(A)−(C)、(A)−(B)−(C)−(A)、(A)−(B)−(A)−(C)、(A)−(C)−(A)−(B)、(A)−(B)−(C)−(B)、(B)−(A)−(C)−(B)、(B)−(A)−(B)−(C)、(B)−(C)−(A)−(C)、(C)−(A)−(B)−(C)、(A)−(B)−(C)−(A)−(B)、(A)−(B)−(C)−(A)−(C)、(A)−(B)−(A)−(C)−(A)、(A)−(B)−(A)−(C)−(B)などを例示することができるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、(A)−(B)−(C)であることが好ましい。
共重合体中の各ブロックは直接結合していてもよいし、スペーサーを介して結合していてもよい。また、ブロック間の結合の少なくとも1つが下記一般式(12)および(13)で表される2価の結合の内、少なくとも1種類の結合を含む2価の結合であってもよい。
Figure 2018154752
Figure 2018154752
34は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であるが、ブロック間の安定な結合を得ることを目的に水素原子であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基を例示することができる。
共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対するブロック(A)を構成する繰り返し単位(a)の量の比率は1〜90mol%であり、基材に被覆した場合に、細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、5〜85mol%であることが好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(A)を構成する繰り返し単位(a)の量の比率が1mol%未満であれば細胞接着性が低下し、90mol%を超えれば細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる。
共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対するブロック(B)を構成する繰り返し単位(b)の量の比率は1〜90mol%であり、基材に被覆する場合に、基材への接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、5〜85mol%であることが好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(B)を構成する繰り返し単位(b)の量の比率が1mol%未満であれば基材への接着性が低下し、90mol%を超えれば細胞剥離に必要な冷却時間が長くなる。
共重合体を構成する全繰り返し単位の量に対するブロック(C)を構成する繰り返し単位(c)の量の比率は1〜90mol%であり、基材に被覆した場合に、細胞接着性を付与すると共に、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、5〜85mol%であることが好ましい。全繰り返し単位の量に対するブロック(C)を構成する繰り返し単位(c)の量の比率が1mol%未満であれば細胞剥離に必要な冷却時間が長くなり、90mol%を超えれば細胞接着性が低下する。
本発明の共重合体の数平均分子量(Mn)は3,000以上1,000,000以下の範囲にあり、好ましくは4,000以上500,000以下、さらに好ましくは5,000以上200,000以下である。3,000未満の場合は細胞培養基材に被覆しても細胞培養中に基材から培地中に溶出してしまう。また、1,000,000を越える場合は溶液粘度が高くなり、細胞培養基材への被覆が困難になる。
2.共重合体の製造方法
1.共重合体で記載した共重合体に関する本発明の製造方法は、下記(I)から(VI)の工程からなる。
(I)共重合体を合成する工程。
(II)(I)で得られた反応溶液から水不溶性の成分を分離する工程。
(III)分離された水不溶性の成分から、乾燥剤を用いて水分を除去する工程。
(IV)水分を吸着した乾燥剤を除去する工程。
(V)回収された共重合体溶液から共重合体を析出させる工程。
(VI)析出した共重合体を分離し、乾燥する工程。
共重合体を合成する合成する工程(I)は、特に限定はないが、株式会社エヌ・ティー・エス発行、“ラジカル重合ハンドブック”、p.161〜225(2010)に記載のリビングラジカル重合技術を用いて、共重合する方法を用いることができる。
重合するモノマーの順番としては、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、
ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、
ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合方法、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合し、次にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、最後にブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合方法などを例示することができるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合する方法、ブロック(C)を生成するモノマーを(共)重合した後、ブロック(B)を生成するモノマーを(共)重合し、さらにブロック(A)を生成するモノマーを(共)重合する方法が好ましい。
1.共重合体で記載した共重合体を合成する工程(I)は、特に限定はないが、A. Michael, J. Prakt. Chem. 48, 94(1893)、R. Huisgen, in 1,3−Dipolar Cycloadditi−on Chemistry, ed. by A. Padwa, Wiley, New York, Vol. 1, 1−176(1984)、C. W. Tornoe, C. Christensen, M. Meldal, J. Org. Chem. 67, 3057−3062、V. V. Rostovtsev, L. G. Green, V. V. Fokin, K. B. Sharpless, Angew. Chem., Int. Ed. 41, 2596−2599(2002)に記載の、アジド基を有するブロックとアルキン基を有するブロックのクリック反応を用いることができる。
クリック反応の方法としては、ブロック(C)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(C)を合成し、さらにブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(C)とブロック(B)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(A)を反応させる方法、ブロック(C)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(C)を合成し、さらにブロック(A)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(C)とブロック(A)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(B)を反応させる
方法、ブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を
有するブロック(B)を合成し、さらにブロック(A)を生成するモノマーのリビングラ
ジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)とブロック(A)からなるジブロ
ック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(C)を反応させる方法、ブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)を合成し、さらにブロック(C)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)とブロック(C)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(A)を反応させる方法、ブロック(A)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(A)を合成し、さらにブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(A)とブロック(B)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(C)を反応させる方法、ブロック(A)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(A)を合成し、さらにブロック(C)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(A)とブロック(C)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(B)を反応させる方法を例示できるが、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)を合成し、さらにブロック(A)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)とブロック(A)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(C)を反応させる方法、ブロック(B)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)を合成し、さらにブロック(C)を生成するモノマーのリビングラジカル重合で末端にアルキン基を有するブロック(B)とブロック(C)からなるジブロック体を合成した後、末端にアジド基を有するブロック(A)を反応させる方法を用いることができる。
共重合体の合成方法として上記アジド基を有するブロックとアルキン基を有するブロックのクリック反応を用いることによって、ブロック共重合体中のブロック間の少なくとも一つに、一般式(12)または(13)の2価の結合を含む2価の結合が導入される。
共重合体の合成に用いる有機溶媒としては水との混和性のある有機溶媒が用いられ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec.−ブチルアルコール、tert.−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、エチルメチルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを例示できる。共重合体の中に含まれる水可溶性の成分を効率的に除去することを目的に、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、tert.−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドを用いる。
工程(I)で得られた反応溶液から水可溶性の成分を除去し、水不溶性の成分を分離する工程(II)としては、反応溶液を水中で懸濁させる方法を用いる。
反応溶液を水中で懸濁させる方法としては、反応溶液を撹拌された水に注ぎ込む方法、水を撹拌された反応溶液に注ぎ込む方法を用いることができる。
反応溶液の懸濁に用いる水の量は、特に限定は無いが、共重合体の中に含まれる水可溶性の成分を効率的に除去することを目的に、好ましくは、工程(I)で得られた反応溶液の5倍容量以上、より好ましくは7倍容量以上、さらに好ましくは10倍容量以上である。5倍容量未満になると、共重合体の中に含まれる水可溶性の成分、有機溶媒が多くなり、細胞培養基材に用いた場合に、培地や培養細胞への溶出が多くなる。
反応溶液を水中で懸濁させる時の温度は、特に限定は無いが、共重合体の中に含まれる水可溶性の成分を効率的に除去することを目的に、好ましくは、ブロック(A)のLCST未満、より好ましくは(LCST−5℃)未満、さらに好ましくは(LCST−10℃)未満である。ブロック(A)のLCST以上では共重合体の中に含まれる水可溶性の成分が多くなり、細胞培養基材に用いた場合に、培地や培養細胞への溶出が多くなる。
得られた懸濁液から水不溶性の成分を分離する方法としては、特に限定は無いが、静置して水不溶性の成分を沈降させた後、上澄み溶液を除去する方法、水不溶性の成分をろ過する方法を例示できる。
工程(II)で分離された水不溶性の成分から、乾燥剤を用いて水分を除去する工程(III)としては、水不溶性の成分を有機溶媒に溶解させ、乾燥剤を添加して水分を除去する方法を用いる。
水不溶性の成分を溶解させる有機溶媒としては、共重合体を溶解でき、水と混和しない有機溶媒が用いられ、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルを例示できる。
乾燥剤としては水を吸着できる化合物が用いられ、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化リン(V)、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム、塩化亜鉛を例示できる。共重合体の中に含まれる水分を効率的に除去することを目的に、好ましくは、無水硫酸マグネシウムを用いる。
水分を吸着した乾燥剤を除去する工程(IV)としては、工程(III)で得られた懸濁液を静置して乾燥剤を沈降させた後、上澄み溶液(共重合体溶液)を回収する方法、乾燥剤をろ別してろ液(共重合体溶液)を回収する方法を例示できる。
工程(IV)で回収された共重合体溶液から共重合体を析出させる工程(V)としては、共重合体溶液を濃縮した後、貧溶媒と接触させる方法を用いる。
貧溶媒としては、共重合体が溶解しない、工程(III)で用いた有機溶媒と混和する有機溶媒が用いられ、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンを例示できる。
貧溶媒の量は、特に限定は無いが、共重合体の中に含まれるモノマー成分、有機溶媒を効率的に除去することを目的に、好ましくは、共重合体の濃縮溶液の10倍容量以上、より好ましくは20倍容量以上、さらに好ましくは30倍容量以上である。10倍容量未満になると、共重合体の中に含まれるモノマー成分、有機溶媒が多くなり、細胞培養基材に用いた場合に、培地や培養細胞への溶出が多くなる。
工程(VI)において、工程(V)で析出した共重合体を分離する方法としては、特に限定は無いが、静置して共重合体を沈降させた後、上澄み溶液を除去する方法、共重合体をろ過する方法を例示できる。
工程(VI)において分離した共重合体を乾燥する方法としては、ガス気流下、加熱下、撹拌下または減圧下で乾燥する方法を用いる。
工程(I)から工程(VI)で製造された共重合体はそのまま用いても良いが、嵩密度が150kg/m以上のパウダーにするために、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。
粉砕や造粒の方法も特に制限されず、粉砕ならばインパクトミル、回転ミル、カスケードミル、カッターミル、ケージミル、衝撃式粉砕機、コニカルミル、コロイドミル、コンパウンドミル、ジェットミル、振動ミル、スタンプミル、チューブミル、ディスクミル、タワーミル、媒体攪拌ミル、ハンマーミル、ピンミル、フレットミル、ペブルミル、ボールミル、摩砕機、遊星ミル、リングボールミル、リングロールミル、ロッドミル、ローラーミル、ロールクラッシャー等を、造粒としては転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等いずれの方法を用いてもよい。
3.表面処理剤
本発明の基材用表面処理剤は、前記共重合体を含むものである。好ましくは、シャーレ、マルチウェルプレート、フラスコ、マイクロキャリアなどの細胞培養基材用の表面処理剤である。
本発明の表面処理剤は、基材に塗布するだけで表面処理を行うことができるものである。本発明の表面処理剤は、上記共重合体以外に、本共重合体を溶解することができる各種溶媒を含むものであってもよい。共重合体を溶解できる溶媒としては特に限定はされないが、適用後に蒸発して残留しない溶媒が好ましく、また、残留しても培養細胞に及ぼす影響が小さい、エタノール、水とエタノールの混合溶媒が特に好ましい。上記共重合体を用いることで、溶解時に飛散や付着を抑制できると共に、溶媒に溶解しやすく、スムーズな溶解を実現できる。本発明の表面処理剤は、通常、溶液状のものであるが、上記の溶媒で溶解可能なパウダーであってもよい。
本発明の表面処理剤の対象基材としては、特に限定はないが、前記共重合体は疎水性相互作用で基材に接着することから、好ましくは各種疎水性ポリマー材料が用いられる。疎水性ポリマー材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリジメチルシロキサン等の各種シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。また、金属基材、セラミックス基材あるいはガラス基材にシランカップリング剤で表面処理したものも用いることができる。
また、基材の形状は、特に限定はないが、例えば、板状、膜状、ビーズ状および繊維状の形状のほか、板状の基材に設けられた穴や溝や突起なども挙げられる。
本発明の表面処理剤を基材に塗布する方法としては、例えば、はけ塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、流し塗り、スプレー塗装、ロール塗装、エアーナイフコーティング、ブレードコーティングなど通常知られている各種の方法を用いることが可能である。
4.膜
本発明の膜は、上記表面処理剤を各種基材に塗布した後、乾燥することによって得られる膜である。共重合体中にブロック(B)を含むことで細胞培養基材に対して接着性を有するとともに、共重合体中にブロック(A)を含むことで、細胞培養温度である37℃以上では膜表面は疎水性を示すことによりタンパク質などの付着を可能とし、細胞の接着培養が可能となる。また、細胞培養後に、温度降下させることで、膜表面が親水性に変化し、細胞剥離を促すことができ、共重合体中にブロック(C)を含むことで、剥離に必要な冷却時間を短縮することが可能になる。さらに、共重合体中に含まれるモノマーおよび有機溶媒を特定量未満に制御されていることで、膜からの溶出物量を低減できる。
本発明の膜の厚さは1nm以上10μm以下であり、好ましくは10nm以上5μm以
下であり、より好ましくは30nm以上500nm以下であり、さらに好ましくは50n
m以上200nm以下である。1nm未満の場合は細胞培養基材に被覆した時に細胞剥離
に必要な冷却時間が長くなってしまう。10μmを越える場合は細胞培養基材に被覆した
時に細胞の接着性が低下する。
5.細胞培養用基材
本発明の細胞培養用基材は、上記膜で基材表面を被覆した細胞培養用基材である。本発明の培養基材の表面は、細胞培養後、温度降下による基材表面の親水化を促進し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ミクロ相分離構造を有することが好ましい。
ミクロ相分離構造のドメイン径およびドメイン間隔は、各ブロック単位の比率、共重合体の分子量、塗布方法および塗布条件で任意に制御できる。細胞培養後、温度降下による基材表面の親水化を促進し、細胞剥離に必要な冷却時間を短縮するために、ドメイン径およびドメイン間隔を細胞増殖因子よりも大きく、細胞よりも小さいことが好ましい。
本発明の細胞培養基材による細胞培養は、培養基材の表面に被覆された共重合体のLCSTよりも高い温度で行われるが、ヒト由来細胞を用いる場合は、高い培養効率を得ることを目的に体温付近で行うことが好ましく、35〜39℃の温度範囲で行うことがより好ましく、36〜38℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。その他の培養条件は特に限定されず、当分野において通常行われる条件下で培養を行ってよい。例えば、培地としては、ウシ胎児血清等の血清が添加されているものでもよいし、無血清培地でもよい。
培養後、増殖細胞を細胞培養基材から剥離するには、周囲の温度をLCSTよりも低い
温度、好ましくはLCSTより10℃低い温度以下に変化させるだけでよく、細胞を培養
していた培養液中においても、その他の培地溶液中においても可能であり、目的に応じて
選択することができる。その際、増殖細胞を効果的にかつ容易に剥離させるため、細胞培
養基材を軽くたたいたり、揺らしたり、更にはピペット等を使用して培地を撹拌するなど
してもよい。
本発明の培養基材を用いることによって、水可溶性の成分、モノマーおよび有機溶媒の培養細胞への溶出量を低減でき、安全性の高い細胞を培養できる。
さらに、本発明の培養基材を用いることによって、好ましくは培養した細胞が冷却のみで最大径5μm〜300μmの大きさで剥離することができる。さらに好ましくは冷却のみで単一細胞の形状で剥離することができる。剥離細胞の大きさ、形状は、共重合体の組成および分子量、細胞培養基材の構造、細胞培養基材の製造方法、細胞培養方法、培養される細胞の種類を選択することによって調整できる。例えば、共重合体の中のブロック(C)の比率を上げること、細胞培養基材の製造方法によって共重合体の厚さを増加させること、培養基材表面の凹凸を増加させることによって、細胞凝集塊の大きさを小さくでき、さらに単一細胞で剥離することができる。
本発明の細胞培養基材を用いて培養される細胞としては、温度降下による刺激付与前の
表面に接着可能なものであれば特に限定されるものではない。例えばチャイニーズハムス
ター卵巣由来CHO細胞やマウス結合組織L929細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞HEK2
93細胞やヒト子宮頸癌由来HeLa細胞等の種々の培養細胞株に加え、例えば生体内の
各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心
筋細胞、神経系を構成するニューロン細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関与
する肝実質細胞、肝非実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々の組織に存
在する幹細胞、さらにはそれらから分化誘導した細胞等を用いることができる。これら以
外でも、血液、リンパ液、髄液、喀痰、尿又は便に含まれる細胞(生細胞)や、体内ある
いは環境中に存在する微生物、ウイルス、原虫等を例示できる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるもの
ではない。なお、断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
<共重合体の組成、共重合体中のモノマー量、有機溶媒量、水分量>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−ECZ400S/LI)を用いたプロ
トン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<共重合体の分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は
東ソー(株)製 HLC−8320GPCを用い、カラムは東ソー製 TSKgel S
uper AWM−Hを2本用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液は10mMトリ
フルオロ酢酸ナトリウムを含む1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロー2−イソプロ
パノールまたは10mM臭化リチウムを含むN,N−ジメチルホルムアミドを用いて測定
した。測定試料は1.0mg/mLで調製して測定した。分子量の検量線は、分子量既知
のポリメタクリル酸メチル(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。
<共重合体の嵩密度>
JIS K−6721(1977)に準拠し測定した。
<基材表面の対水接触角>
水中、40℃および15℃での気泡接触角(θ)(°)を測定し、40℃および15℃の
対水接触角(180−θ)(°)を算出した。θは協和界面科学(株)製接触角計DM3
00を用いて、水中、3μLの気泡の接触角を測定した。
<基材の溶出物量>
株式会社東ソー分析センターにおいて、第十六改正薬局方のプラスチック製医薬品容器試験法に準拠し測定した。
実施例1
[重合体ブロック(C)の合成]
三方コックを備えた1LフラスコにN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート9.0g(56.9mmol)、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド375mg(928μmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル30.4mg(185μmol)を加え、1,4−ジオキサン75mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で40時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(重合体ブロック(C))を合成できた。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)の繰り返し単位の親水部式量は炭素5個、水素10個、窒素1個、酸素2個の合計(116.1)であり、繰り返し単位総式量は157.2であり、HLB値(グリフィン法)は15であった。
[ジブロック共重合体の合成]
上記で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン75mL、n−ブチルメタクリレート26.4g(186mmol)、アゾビスイソブチロニトリル30.2mg(184μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で47時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、n−ブチルメタクリレート仕込み量の92%が重合していることを確認し、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)からなるジブロック共重合体を合成できた。n−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)の繰り返し単位の親水部式量は炭素1個、酸素2個の合計(44.0)であり、繰り返し単位総式量は142.2であり、HLB値(グリフィン法)は6であった。
[共重合体の合成]
上記で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン150mL、N−イソプロピルアクリルアミド35.1g(310mmol)、アゾビスイソブチロニトリル30.8mg(188μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水2.5Lに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム300mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを5g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、100mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン3Lに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体37gを得た。得られた共重合体の組成、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。また、共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルムおよび重水素化エタノール)でモノマーおよび有機溶媒は検出されなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで30秒で全て溶解し、0.5wt%の表面処理剤を合成した。
[膜評価]
IWAKI組織培養用ディッシュ(Φ9cm)に、得られた表面処理剤を2mLずつ加え、室温で5分間放置した後、加えた表面処理剤をパスツールピペットで回収した。室温で1時間放置しディッシュ表面を乾燥させた後、さらに、70℃に設定したオーブンで1時間加熱し、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体からなる膜が導入された細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(30°)は40℃での対水接触角(44°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。溶出物を評価した結果、泡立ちは6秒で消失、pHの差は−0.1、過マンガン酸カリウム液の消費量の差は0.07mL、紫外吸収スペクトルの波長220nm〜240nmにおける吸光度は0.016、波長241nm〜350nmにおける吸光度は0.018、蒸発残留物は0.0001gであり、プラスチック製水性注射剤容器の規格をクリアしていた。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した、表面にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体からなる膜が導入された細胞培養基材を用い、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(ロンザ社、PT−2501)(100個/mm)を、37℃、CO濃度5%で培養した。培地および添加因子はロンザ社PT−3001キットを用いた。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
比較例1
[共重合体の合成]
実施例1[ジブロック共重合体の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン150mL、N−イソプロピルアクリルアミド35.1g(310mmol)、アゾビスイソブチロニトリル30.8mg(188μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水2.5Lに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体42gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに30分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いて実施例1[膜評価]と同様の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価した結果、15℃での対水接触角(29°)は40℃での対水接触角(41°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。溶出物を評価した結果、泡立ちは4分で消失、pHの差は−0.1、過マンガン酸カリウム液の消費量の差は1.1mL、紫外吸収スペクトルの波長220nm〜240nmにおける吸光度は0.085、波長241nm〜350nmにおける吸光度は0.06、蒸発残留物は0.002gであり、プラスチック製水性注射剤容器の規格をクリアできなかった。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
実施例2
[重合体ブロック(C)の合成]
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート2.4g(16mmol)、4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、29時間反応させたこと以外は、実施例1[重合体ブロック(B)の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体(重合体ブロック(C))を合成できた。
[ジブロック共重合体の合成]
n−ブチルメタクリレート2.4g(17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、25時間反応させこと以外は、実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでn−ブチルメタクリレート仕込み量の92%が重合していることを確認し、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)からなるジブロック共重合体を合成できた。
[共重合体の合成]
N−イソプロピルアクリルアミド4.8g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン20mLを用い、45時間反応させたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでN−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の99%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン250mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体5.8gを得た。得られた共重合体の組成、有機溶媒量、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。また、共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルムおよび重水素化エタノール)でモノマーは検出されなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、0.5wt%の表面処理剤を合成した。共重合体は30秒で全て溶解した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(28°)は40℃での対水接触角(43°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。溶出物を評価した結果、泡立ちは6秒で消失、pHの差は−0.1、過マンガン酸カリウム液の消費量の差は0.09mL、紫外吸収スペクトルの波長220nm〜240nmにおける吸光度は0.017、波長241nm〜350nmにおける吸光度は0.020、蒸発残留物は0.0002gであり、プラスチック製水性注射剤容器の規格をクリアしていた。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
比較例2
[共重合体の合成]
実施例2[ジブロック共重合体の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N−イソプロピルアクリルアミド4.8g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体6gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに30分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いて実施例1[膜評価]と同様の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(29°)は40℃での対水接触角(42°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。溶出物を評価した結果、泡立ちは4分で消失、pHの差は−0.1、過マンガン酸カリウム液の消費量の差は1.2mL、紫外吸収スペクトルの波長220nm〜240nmにおける吸光度は0.085、波長241nm〜350nmにおける吸光度は0.06、蒸発残留物は0.002gであり、プラスチック製水性注射剤容器の規格をクリアできなかった。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
実施例3
[重合体ブロック(B)の合成]
三方コックを備えた100mL試験管にn−ブチルメタクリレート2.4g(17mmol)、RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、1,4−ジオキサン10mLに溶解した。アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で25時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、n−ブチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、n−ブチルメタクリレートの重合体(重合体ブロック(B))を合成できた。
[共重合体の合成]
上記で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N−イソプロピルアクリルアミド4.8g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で45時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン100mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、n−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体3gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、0.5wt%の表面処理剤を合成した。ブロック共重合体は30秒で全て溶解した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(43°)は40℃での対水接触角(56°)よりも低くなったが、40°よりも高くなった。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞はシート状で63%剥離した。
比較例3
[共重合体の合成]
実施例3[重合体ブロック(B)の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N−イソプロピルアクリルアミド4.8g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、n−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−イソプロピルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体3gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに30分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(44°)は40℃での対水接触角(55°)よりも低くなったが、40°よりも高くなった。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞はシート状で60%剥離した。
実施例4
[重合体ブロック(C)の合成]
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン4.7g(16mmol)、4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、24時間反応させたこと以外は、実施例1[重合体ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRで2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン仕込み量の95%が重合していることを確認し、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体(重合体ブロック(C))を合成できた。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体ブロック(C)の繰り返し単位の親水部式量は炭素8個、水素17個、窒素1個、酸素6個、リン1個の合計(254.2)であり、繰り返し単位総式量は295.3であり、HLB値(グリフィン法)は17であった。
[ジブロック共重合体の合成]
n−ブチルメタクリレート2.4g(17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、25時間反応させこと以外は、実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでn−ブチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)からなるジブロック共重合体を合成できた。
[共重合体の合成]
N,N−ジエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン20mLを用い、45時間反応させたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでN−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の99%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN,N−ジエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体5.0gを得た。得られた共重合体の組成、有機溶媒量、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。また、共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルムおよび重水素化エタノール)でモノマーは検出されなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、0.5wt%の表面処理剤を合成した。共重合体は20秒で全て溶解した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(24°)は40℃での対水接触角(36°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
比較例4
[共重合体の合成]
実施例4[ジブロック共重合体の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N,N−ジエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の97%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN,N−ジエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体6gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに40分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いて実施例1[膜評価]と同様の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(25°)は40℃での対水接触角(37°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
実施例5
[重合体ブロック(C)の合成]
ポリエチレングリコールメタクリレート(i=4.5, j=0, R16=メチル基)(Aldrich製、Mn=300)4.8g(16mmol)、4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、24時間反応させたこと以外は、実施例1[重合体ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでポリエチレングリコールメタクリレート仕込み量の95%が重合していることを確認し、ポリエチレングリコールメタクリレートの重合体(重合体ブロック(C))を合成できた。ポリエチレングリコールメタクリレート重合体ブロック(C)の繰り返し単位中の親水部の式量は炭素18個、水素34個、酸素10.5個の合計(418.5)であり、繰り返し単位の総式量は474.6であり、HLB値(グリフィン法)は18であった。
[ジブロック共重合体の合成]
n−ブチルメタクリレート2.4g(17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、25時間反応させこと以外は、実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでn−ブチルメタクリレート仕込み量の93%が重合していることを確認し、ポリエチレングリコールメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)からなるジブロック共重合体を合成できた。
[共重合体の合成]
N−エトキシエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン20mLを用い、45時間反応させたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでN−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の99%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、ポリエチレングリコールメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−エトキシエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体5.0gを得た。得られた共重合体の組成、有機溶媒量、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。また、共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルムおよび重水素化エタノール)でモノマーは検出されなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、0.5wt%の表面処理剤を合成した。共重合体は20秒で全て溶解した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(36°)は40℃での対水接触角(41°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
比較例5
[共重合体の合成]
実施例5[ジブロック共重合体の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N−エトキシエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、ポリエチレングリコールメタクリレート重合体ブロック(C)とn−ブチルメタクリレート重合体ブロック(B)とN−エトキシエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体6gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに40分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いて実施例1[膜評価]と同様の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(37°)は40℃での対水接触角(42°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で100%剥離した。
実施例6
[重合体ブロック(C)の合成]
ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム4.4g(16mmol)、4−シアノ−4−[(ドデシルスルフォニルチオカルボニル)スルフォニル]ペンタノイックアシッド108mg(267μmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、24時間反応させたこと以外は、実施例1[重合体ブロック(C)の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム仕込み量の96%が重合していることを確認し、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウムの重合体(重合体ブロック(C))を合成できた。ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム重合体ブロック(B)の繰り返し単位の親水部式量は炭素5個、水素11個、窒素1個、酸素4個、硫黄1個の合計(181.2)であり、繰り返し単位総式量は278.4であり、HLB値(グリフィン法)は13であった。
[ジブロック共重合体の合成]
スチレン1.8g(17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン10mLを用い、25時間反応させこと以外は、実施例1[ジブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでスチレン仕込み量の91%が重合していることを確認し、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム重合体ブロック(C)とスチレン重合体ブロック(B)からなるジブロック共重合体を合成できた。スチレン重合体ブロック(B)の繰り返し単位の親水部式量は0であり、繰り返し単位総式量は104.1であり、HLB値(グリフィン法)は0であった。
[共重合体の合成]
N−エトキシエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)、1,4−ジオキサン20mLを用い、45時間反応させたこと以外は、実施例1[ブロック共重合体の合成]と同様の方法で合成を行い、H−NMRでN−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の99%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体をクロロホルム40mLに溶解し、得られた溶液に無水硫酸マグネシウムを1g添加し、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液をろ過して硫酸マグネシウムを除いた後、エバポレーターを用いて、減圧下でろ液からクロロホルムを留去し、10mLまで濃縮した。得られた濃縮溶液をヘキサン300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色パウダーとして、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム重合体ブロック(C)とスチレン重合体ブロック(B)とN−エトキシエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体5.0gを得た。得られた共重合体の組成、有機溶媒量、水分量、Mn、Mw/Mnおよび嵩密度を表1に示す。また、共重合体のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルムおよび重水素化エタノール)でモノマーは検出されなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体を用いたこと以外は実施例1[表面処理剤の合成]と同様の方法で合成を行い、0.5wt%の表面処理剤を合成した。共重合体は40秒で全て溶解した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いたこと以外は実施例1[膜評価]に記載の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(38°)は40℃での対水接触角(46°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で95%剥離した。
比較例6
[共重合体の合成]
実施例5[ジブロック共重合体の合成]で得られた反応溶液に、1,4−ジオキサン20mL、N−エトキシエチルアクリルアミド5.3g(42mmol)、アゾビスイソブチロニトリル8.8mg(53μmol)を加え、アルゴンバブリングを10分行った後、65℃で70時間反応させた。反応後、反応溶液の一部を採取しH−NMRを測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミド仕込み量の95%が重合していることを確認できた。反応溶液を蒸留水300mLに注ぎ込み、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を減圧下、80℃で、6時間乾燥し、白色塊状物として、ジメチル(2−メタクリロイルアミノプロピル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム重合体ブロック(C)とスチレン重合体ブロック(B)とN−エトキシエチルアクリルアミド重合体ブロック(A)からなる共重合体6gを得た。得られた共重合体の組成、モノマー量、有機溶媒量、水分量、MnおよびMw/Mnを表1に示す。共重合体は塊状物であり嵩密度の測定はできなかった。
[表面処理剤の合成]
上記共重合体150mgをエタノール30gに添加し、撹拌することで0.5wt%の表面処理剤の合成を行ったが、全て溶解するのに50分を要した。
[膜評価]
上記表面処理剤を用いて実施例1[膜評価]と同様の方法で細胞培養基材を合成した。膜の厚さは10nmであった。40℃および15℃での対水接触角を評価し、15℃での対水接触角(38°)は40℃での対水接触角(47°)よりも低く、40°未満であり、高い親水性を示した。
[細胞培養評価および剥離評価]
上記にて合成した細胞培養基材を用いたこと以外は実施例1[細胞培養評価および剥離評価]と同様の方法で評価した。細胞増殖が確認され、培養細胞が基材の100%を覆うまで培養したところで、10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。基材を10℃に冷却後、アスピレーターで剥離した細胞を除去し、再度10×10倍の顕微鏡で細胞数を確認した。15分冷却することで細胞は単一細胞の形状で95%剥離した。
Figure 2018154752

Claims (10)

  1. 下記(i)から(v)の要件を満たす共重合体。
    (i)下記(A)および(B)のブロックを含み、
    (A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
    重合体ブロック。
    (B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
    未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
    (ii)モノマーが30ppm未満であり、
    (iii)有機溶媒が30ppm未満であり、
    (iv)水分が2重量%未満であり、
    (v)パウダーである。
  2. (v)嵩密度が150kg/m以上のパウダーであることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
  3. 下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の共重合体。
    (A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
    重合体ブロック。
    (B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
    未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
    (C)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が9以上2
    0未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
  4. 下記(i)から(v)の要件を満たす共重合体の製造方法であって、
    (i)下記(A)および(B)のブロックを含み、
    (A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
    重合体ブロック。
    (B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
    未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
    (ii)モノマーが30ppm未満であり、
    (iii)有機溶媒が30ppm未満であり、
    (iv)水分が2重量%未満であり、
    (v)パウダーである。
    下記(I)から(VI)の工程からなる製造方法。
    (I)共重合体を合成する工程。
    (II)(I)で得られた反応生成物から水不溶性の成分を分離する工程。
    (III)分離された水不溶性の成分から、乾燥剤を用いて水分を除去する工程。
    (IV)水分を吸着した乾燥剤を除去する工程。
    (V)回収された共重合体溶液から共重合体を析出させる工程。
    (VI)析出した共重合体を分離し、乾燥する工程。
  5. (v)共重合体の嵩密度が150kg/m以上のパウダーであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 共重合体が下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
    (A)水に対する下限臨界溶解温度(LCST)が0〜50℃の範囲にある温度応答性
    重合体ブロック。
    (B)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が0以上9
    未満の範囲にある疎水性重合体ブロック。
    (C)0〜50℃の範囲にLCSTを持たない、HLB値(グリフィン法)が9以上2
    0未満の範囲にある親水性重合体ブロック。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする基材用表面処理剤。
  8. 請求項7に記載の表面処理剤を基材に塗布されてなる膜。
  9. 請求項8に記載の膜で表面を被覆した細胞培養用基材。
  10. 請求項9に記載の細胞培養基材を用いて、LCSTより高い温度で細胞を培養し、細胞増殖後に温度をLCSTより低くして増殖細胞を基材から剥離することを特徴とする細胞培養方法。
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