JP2018011518A - ストレプトマイセス属微生物用ベクター - Google Patents
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Abstract
Description
そして、このストレプトマイセス属微生物用誘導型発現ベクター(pSH19)にレポーター遺伝子を組み込み、ε−カプロラクタムもしくはイソバレロニトリルを誘導剤として添加することにより、目的タンパク質の著量の生産が確認されている。
そこで、本発明は、ベクターpSH19をエシェリキア属微生物とストレプトマイセス属微生物の両方で複製可能なシャトルベクターへと改変することを主目的とする。
(a)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(b)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(c)ストレプトマイセス属微生物を宿主として目的タンパク質を誘導的に発現させ得るDNA領域
を含むベクターである。
前記増幅したDNA断片を、制限酵素処理したストレプトマイセス属微生物用誘導型発現ベクターに連結する工程、
前記連結したDNA断片を含むストレプトマイセス属微生物用誘導型発現ベクターを、大腸菌を宿主として用いて形質転換を行う工程、及び
前記形質転換した大腸菌を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取する工程
を含む、目的タンパク質の製造方法が提供できる。
ここで、目的タンパク質とは、例えば、ニトリラーゼである。
本発明のベクターは、ストレプトマイセス属微生物内において複製可能なDNA領域を含むため、ストレプトマイセス属に属する微生物内で複製することができる。プラスミドがストレプトマイセス属微生物内において複製可能であるためには、ストレプトマイセス属微生物のプラスミド由来の複製領域(ori、rep)を含有してればよい。
本発明のベクターは、エシェリキア属微生物内において複製可能なDNA領域を含むため、エシェリキア属に属する微生物内で複製することができる。プラスミドがエシェリキア属微生物内において複製可能であるためには、エシェリキア属微生物のプラスミド由来の複製領域(ColE1)を含有すればよい。エシェリキア属微生物内において複製可能なDNA領域としては、pHSG398、pHSG298(Takara Bio Inc.)などのプラスミドを用いることが可能であり、複製領域を有する限り、プラスミド全体であってもよく、あるいは一部分であってもよい。
本発明のベクターは、ストレプトマイセス属微生物を宿主として目的タンパク質を誘導的に発現させ得るDNA領域を備え、これによりε−カプロラクタムもしくはイソバレロニトリルを誘導剤として添加することにより、目的タンパク質を生産することができる。
このストレプトマイセス属微生物を宿主として目的タンパク質を誘導的に発現させ得るDNA領域としては、例えば、ストレプトマイセス属微生物用誘導型発現ベクターpSH19の全部または一部をもとにして作製することができる。前記pSH19の配列及び作製方法に関しては、特開2004−097036号公報に記載されている。
そして、NitRは誘導剤と複合体を形成し、nitAプロモーターに結合し、nitAプロモーターの下流に位置する遺伝子の発現を活性化する。MCSは発現目的のタンパク質をコードする遺伝子を挿入するための制限酵素サイトが多重化した部位である。MCSのすぐ上流にnitAプロモーターを位置することにより、標的遺伝子の発現を強力に誘導する。NitRもその直前に位置するnitAプロモーターにより誘導されるが、ε−カプロラクタム、イソバレロニトリルといった誘導剤が存在しなくても、極微量の発現が起こる。また、nitAプロモーターの上流からの読み過ごし(read through)転写を最小限に抑えるために、ターミネーターとしてfd-ターミネーター(fd-ter)が、各nitAプロモーターのすぐ上流に配置されている。
本発明のベクターpESH19cFの構築例を以下に述べる(図1)。
次に、制限酵素SpeIで処理したベクターpSH19に対して、増幅した断片をIn-Fusion HD Cloning kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、五種類の大腸菌(TOP10、DH10B、Stbl2、Stbl3およびStbl4:いずれも、Invitrogen)を宿主として用いて形質転換を行う(図1参照)。
尚、遺伝子組み換えの手法は特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
CCGGCGCACCTGCATACTAGTTCGATTTCTGCCATTCATCCGCTTATTATCACTTATTCAG
このようにして構築されたベクターpESH19cFにおいて、プラスミド安定性試験は、例えば以下のように行うことができる。
(1)大腸菌における安定性試験
先ず、ベクターpESH19cFを保持した大腸菌の形質転換体を適当な抗生物質を含む2 × YT 培地で24時間培養する。この培養液の1%を適当な抗生物質を含む2 × YT 培地に新たに植菌し、さらに24時間培養する。この操作を2回繰り返す。
そして3回の継代培養の後に、集菌した菌体からMagExtractor-plasmid- (Toyobo Co., Ltd.)を用いてプラスミドを抽出し、制限酵素SpeIで処理してアガロース電気泳動によりサイズの確認を行う。
(2)ストレプトマイセス属微生物における安定性試験
次に、大腸菌から抽出したプラスミドを用いて、ストレプトマイセス属微生物におけるベクターpESH19cFの安定性を、大腸菌と同様の方法で試験する。かかる場合、例えば、培地としてはYEME培地を用い、プラスミドの抽出はGeneElute Plasmid Miniprep Kit (Sigma-Aldrich Co. LLC) を用いて行うことができる。
本発明の形質転換体は、宿主を本発明のベクターで形質転換することで作製できる。形質転換を行うには、常法を用いればよく、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法を用いることができる。本発明において用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物、エシェリキア属微生物である。目的タンパク質を発現させるために用いる宿主は、好ましくはストレプトマイセス属微生物である。ベクタープラスミドの増殖、回収に用いる宿主は、ストレプトマイセス属微生物またはエシェリキア属微生物を用いることができるが、好ましくはエシェリキア属微生物である。
本発明は、目的タンパク質の製造方法も提供することができる。すなわち、上記6の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することにより、目的タンパク質を製造することができる。形質転換体の培養方法は、宿主に用いるストレプトマイセス属微生物に適した方法を適宜選択すればよい。
まず、大腸菌のプラスミド複製開始起点(ColE1)と、クロラムフェニコール耐性遺伝子(Cmr)と、を含むDNA断片を、ベクターpHSG398を鋳型にして、PCRにより増幅した。かかる際、クロラムフェニコール耐性遺伝子はnitRと同一方向に導入した。また、プライマーとしては、前記pSH19Cm-F1(配列番号1)及びpSH19Cm-R1(配列番号2)を用いた。
次に、制限酵素SpeIで処理したベクターpSH19に対して、増幅した断片をIn-Fusion HD Cloning kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、五種類の大腸菌(TOP10、DH10B、Stbl2、Stbl3およびStbl4:いずれも、Invitrogen)を宿主として用いて形質転換を行った(図2参照)。
プライマーとして下記pSH19Cm-F2(配列番号3)及びpSH19Cm-R2(配列番号4)を用い、且つ、クロラムフェニコール耐性遺伝子(Cmr)をnitRと逆向きに導入した以外は、実施例1と同様の方法で、ベクターpESH19cRを構築した(図2参照)。
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTTCGATTTCTGCCATTCATCCGCTTATTATCACTTATTCAG
CCGGCGCACCTGCATACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
プライマーとして下記pSH19Km-F1(配列番号5)及びpSH19Km-R1(配列番号6)を用い、且つ、エシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子(Kmr)とした以外は、実施例1と同様の方法で、ベクターpESH19kFを構築した(図2参照)。
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
CCGGCGCACCTGCATACTAGTCGATTTATTCAACAAAGCCGCCGTCCCG
プライマーとして下記pSH19Km-F2(配列番号7)及びpSH19Km-R2(配列番号8)を用い、且つ、カナマイシン耐性遺伝子(Kmr)をnitRと逆向きに導入した以外は、実施例3と同様の方法で、ベクターpESH19kRを構築した(図2参照)。
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTCGATTTATTCAACAAAGCCGCCGTCCCG
CCGGCGCACCTGCATACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
プライマーとして下記pSH19Ap-F1(配列番号9)及びpSH19Ap-R1(配列番号10)を用い、且つ、エシェリキア属微生物用抗生物質耐性遺伝子をアンピシリン耐性遺伝子(Apr)とした以外は、実施例1と同様の方法で、ベクターpESH19aFを構築した(図2参照)。
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGG
CCGGCGCACCTGCATACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
プライマーとして下記pSH19Ap-F2(配列番号11)及びpSH19Ap-R2(配列番号12)を用い、且つ、アンピシリン耐性遺伝子(Apr)をnitRと逆向きに導入した以外は、実施例5と同様の方法で、ベクターpESH19aRを構築した(図2参照)。
CCGGCGCACCTGCATACTAGTGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGG
GTAGGAAGAGCCCGGACTAGTACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCC
一方、実施例3のベクターpESH19kFおよび実施例4のベクターpESH19kRのMCSでは、HindIIIがユニークサイトにならず利用できないが、その他の制限酵素サイトは他の四つのpSH19由来シャトルベクターと同様、ユニークサイトとして利用できる。
実施例1〜6に示すpSH19由来のシャトルベクターについて、大腸菌を宿主とした際の安定性について、以下のように評価した。大腸菌としては、TOP10、DH10B、Stbl2、Stbl3およびStbl4(いずれも、Invitrogen)を用いた。
先ず、実施例1〜6のpSH19由来のシャトルベクターを用いて、それぞれの大腸菌を形質転換し、プラスミドを抽出した。更に、各pSH19由来のシャトルベクターを制限酵素SpeIで切断し、アガロース電気泳動に供した。ここで、ベクターpSH19のサイズは5.7kb、ColE1+クロラムフェニコール耐性遺伝子のサイズは1.6kb、ColE1+カナマイシン耐性遺伝子のサイズは1.8kb、ColE1+アンピシリン耐性遺伝子のサイズは1.7kbである。
更に、各pSH19由来のシャトルベクターにおける欠損の有無(安定性)の結果を表1に示す。表1中、記号○は安定であることを示し、記号×は不安定であることを示す。
また、実施例2のベクターpESH19cRに関しては、大腸菌TOP10、DH10B、Stbl2を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
更に、実施例3のベクターpESH19kFに関しては、大腸菌TOP10及びStbl2を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
また、実施例4のベクターpESH19kRに関しては、大腸菌Stbl2を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
更に、実施例6のベクターpESH19aRに関しては、大腸菌TOP10、DH10B、Stbl2及びStbl4を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
以上のことから、実施例1〜6のベクターは、実験に供した大腸菌5種類のうち、少なくとも1つの大腸菌で安定的に保持されることが確認できた。また、実施例1〜6のベクターはいずれも、ストレプトマイセス属菌で安定的に保持されることが確認できた。よって、実施例1〜6のベクターは、大腸菌とストレプトマイセス属菌の両方で有効に保持され、シャトルベクターとして機能すると判断できる。
実施例7と同様に、実施例1〜6の各pSH19由来のシャトルベクターを制限酵素SpeIで切断し、アガロース電気泳動に供し、Streptomyces lividans TK24宿主における安定性を評価した。結果を上記表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6の各pSH19由来のシャトルベクターは、Streptomyces lividans TK24を宿主にした場合に欠損すること無く安定的に保持されていることが確認された。
(1)実施例1〜6の各pSH19由来のシャトルベクターの機能解析
構築した実施例1〜6の各pSH19由来のシャトルベクターに、Rhodococcus rhodocrous J1菌由来のニトリラーゼ遺伝子(nitA)、Pseudomonas putida由来のカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子(xylE)、並びにArthrobacter pascens F164株由来N−置換ホルムアミドデホルミラーゼ遺伝子(nfdA)をレポーター遺伝子として組込み、Streptomyces lividans TK24における発現をSDS-PAGEで確認することでその機能性の検討を行った(図4参照)。
先ず、Pseudomonas putida(Nakai et al. 1983, Worsey and Williams. 1975)を鋳型にして、xylEをPCRにより増幅した。
次に、PCRによって得られたDNA断片を、XbaI及びSacI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理したベクターpHSG298にIn-Fusion HD Cloning Kit (Takara Bio Inc.)を用いて連結し、pHSG298-xylEを得た。
そして、pHSG298-xylEプラスミドからXbaIとSacIで制限酵素処理することでxylE 遺伝子を切り出し、T4 DNA ligase(Takara Bio Inc.)を用いて、XbaI及びSacIで処理したpESH19cF、pESH19kFおよび pESH19aF に連結し、大腸菌TOP10を宿主に用いてpESH19cF-xylE、pESH19kF-xylEおよびpESH19aF-xylEを構築した。それぞれのプラスミドにおいて、Streptomyces属での発現に適したシャイン・ダルガーノ配列をxylEの上流に配置した。
先ず、Rhodococcus rhodocrous J1菌のゲノムDNAを鋳型に用いて、nitAをPCRにより増幅した。そして、増幅されたDNA断片は、PstI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理したpESH19cF、pESH19kFおよびpESH19aFに、In-Fusion HD Cloning Kit(Takara Bio Inc.)を用いて連結し、大腸菌TOP10を宿主に形質転換を行い、pESH19cF-nitA、pESH19kF-nitAおよびpESH19aF-nitAを構築した。
先ず、Arthrobacter pascens F164株のゲノムDNAを鋳型に用いて、PCRを行い、nfdAを増幅した。増幅されたDNA断片は、PstI及びXbaI(Takara Bio Inc.)で制限酵素処理したpESH19cF、pESH19kFおよびpESH19aFに、In-Fusion HD Cloning Kitを用いて連結し、大腸菌TOP10を宿主に用いてpESH19cF-nfdA、pESH19kF-nfdAおよびpESH19aF-nfdAを構築した。
TGCCTGCAGGTCGACTCTAGAAGCAACGGAGGTACGGACATGAACAAAGGTGTAATGCGACCGGGCC
ACGGCCAGTGAATTCGAGCTCTCAGGTCAGCACGGTCATGAATCGTTCG
GCCAAGCTTGCATGCCTGCAGAGCAACGGAGGTACGGACATGGTCGAATACACAAACACATTCAAAGTTGCTGCG
GGTACCCGGGGATCCTCTAGATCAGATGGAGGCTGTCGCCCGG
GCCAAGCTTGCATGCCTGCAGAGCAACGGAGGTACGGACATGACACAAATGCGTGACCTAATGATCATTAATGCAAATGTG
GGTACCCGGGGATCCTCTAGACTACGATCCGGTGCGTTCGTAGCG
構築したプラスミドpESH19cF-xylE、pESH19kF-xylEおよび pESH19aF-xylEを大腸菌TOP10から抽出し、S. lividans TK24を形質転換した。得られた形質転換体は10 mlのYEME培地中で誘導剤として0.1%のε-カプロラクタム添加または誘導剤非添加で培養した。培養液から無細胞抽出液を調製し、SDS-PAGEに供した。
ここで、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ の活性は、1mMカテコールを含む、50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)1ml中で測定した。反応液を25℃でインキュベートし、無細胞抽出液を加えることで反応をスタートさせた。
2-ヒドロキシムコン酸セミアルデヒド産生量を、同化合物に特異的な吸収波長である375nmの吸収を測定することで評価した。カテコール2,3-ジオキシゲナーゼの活性は、1分間に1μmolの2-ヒドロキシムコン酸セミアルデヒド(375nmにおけるモル吸光係数=36,000M-1cm-1)(Huper-Kocurek et al. 2014)を生産する酵素量を1unitと定義した。
構築したプラスミドpESH19cF-nitA、pESH19kF-nitAおよびpESH19aF-nitAを大腸菌TOP10から抽出し、S. lividans TK24を形質転換した。得られた形質転換体は10mlのYEME培地中で誘導剤として0.1%のε-カプロラクタムを添加し培養した。比較のために、同じ形質転換体を、誘導剤非添加でも培養した。培養液から無細胞抽出液を調製し、SDS-PAGEに供した。
ここで、ニトリラーゼの活性は、6mMベンゾニトリルと、0.1mMジチオスレイトールと、を含む10mMリン酸カリウムバッファー (pH8.0)、1ml中で測定した。 反応液を25℃で10分間インキュベートし、0.1mlの1M HClを添加することで、反応を停止した。表2に示す条件下で、反応によって生産された安息香酸の量をHPLCを用いて測定(Kobayashi et al. 1989)し、ニトリラーゼ活性を評価した。ニトリラーゼ活性は1分間に1μmolの安息香酸を生産する酵素量を1unitと定義した。
構築したpESH19cF-nitA、pESH19kF-nitAおよびpESH19aF-nitAを大腸菌TOP10から抽出し、S. lividans TK24 を形質転換した。得られた形質転換体は10mlのYEME培地中で誘導剤として0.1%のε-カプロラクタムを添加し培養した。比較のために、同じ形質転換体を、誘導剤非添加でも培養した。培養液から無細胞抽出液を調製し、SDS-PAGEに供した。
ここで、N−置換ホルムアミドデホルミラーゼ活性は、Fukatsu et al.(2004)の方法に従って測定した。反応溶液は10mM N−ベンジルホルムアミド(NBFA)、0.1Mリン酸カリウムバッファー (pH7.5)400μlである。400μlの氷冷アセトニトリルを添加することで反応を停止させ、12,000×gで10分間遠心分離することで上清を得た。表3に示す条件下で、反応液上清のNBFAの残量を、HPLCを用いて測定(Fukatsu et al. 2004)し、N−置換ホルムアミドデホルミラーゼの活性を評価した。N−置換ホルムアミドデホルミラーゼの活性は、1分間に1μmolのNBFAを消費する酵素量を1unitと定義した。
図4に示されるように、誘導剤を添加したS. lividans TK24形質転換体において、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼが高生産されていることを確認された。
また、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ活性を測定したところ、pESH19cF-xylEを保有する形質転換体から調製した無細胞抽出液は4.8 units/mgの比活性を示し、pESH19kF-xylEを保有する形質転換体から調製した無細胞抽出液は 5.0 units/mgの比活性を示し、pESH19aF-xylEを保有する形質転換体から調製した無細胞抽出液は 3.4 units/mgの比活性を示した。さらに、pESH19cF-xylE またはpESH19kF-xylEの形質転換体におけるカテコール2,3-ジオキシゲナーゼの比活性は、シャトル化前のベクターであるpSH19-xylEの形質転換体におけるカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ活性 (4.1 units/mg) よりも高かった。
その一方で、誘導剤を添加せずに培養した形質転換体では、カテコール2,3-ジオキシゲナーゼ活性は確認できなかった。
Claims (3)
- 以下の(a)〜(c)の領域を含むシャトルベクター。
(a)ストレプトマイセス属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(b)エシェリキア属微生物を宿主として複製可能なDNA領域
(c)ストレプトマイセス属微生物を宿主として目的タンパク質を誘導的に発現させ得るDNA領域 - 請求項1に記載のベクターにより、宿主を形質転換した形質転換体。
- 請求項2に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物から目的タンパク質を採取することを含む、目的タンパク質の製造方法。
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