JP4565113B2 - 新規なプラスミドpAMI−1及びその誘導体 - Google Patents
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また、同細菌群の一つであるSphingomonas aromaticivorans F199(非特許文献5参照)やSphingomonas sp.HV3(非特許文献6参照) から巨大プラスミドが発見され(非特許文献7参照)、同細菌群を対象とした遺伝子組換え技術の開発が進められており、産業への応用の試みが行われようとしている段階である。
(1)配列番号1に記載された塩基配列からなる環状二本鎖DNAプラスミドpAMI-1、又はプラスミドpAMI-1の自律複製機能を保持する限りにおいて配列番号1に記載された塩基配列に1又は数個の欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなる環状二本鎖DNAプラスミド。
(2)上記(1)に記載の環状二本鎖DNAプラスミドに異種DNAを挿入した組換えプラスミド。
(3)異種DNAが選択マーカー遺伝子である上記(2)記載の組換えプラスミド。
(4)選択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子である上記(3)記載の組換えプラスミド。
(5)上記(1)記載の環状二本鎖DNAプラスミドにおいて、少なくとも配列番号1に記載された塩基配列の3582bpから6475bpのDNA断片を含む領域と、大腸菌カナマイシン耐性遺伝子を持つpHSGプラスミドを連結した環状二本鎖DNAプラスミド。
(6)上記(1)記載の環状二本鎖DNAプラスミドにおいて、少なくとも配列番号1に記載された塩基配列の3582bpから6475bpのDNA断片を含む領域と、大腸菌クロラムフェニコール耐性遺伝子を持つpHSGプラスミドを連結した環状二本鎖DNAプラスミド。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミドにより、宿主細菌(ただし、Sphingobium amiensisに属する細菌を除く。)を形質転換して得られた形質転換体。
(8)宿主細菌がSphingobium属に属する細菌(ただし、Sphingobium amiensisに属する細菌を除く。)である上記(7)に記載の形質転換体。
(9)宿主細菌がSphingomonas属に属する細菌である上記(7)に記載の形質転換体。
(10)宿主細菌がEscherichia coliに属する細菌である上記(7)に記載の形質転換体。
(11)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミドに、異種DNAを挿入して組換えベクターを調製し、該組換えベクターを用いて、宿主細菌を形質転換することを特徴とする、宿主細菌の遺伝子組換え方法。
本発明は、pAMI-1が担う形質の中で、プラスミドの複製に必須であると推定されるRep遺伝子を含む2893bpのDNA断片と、選択マーカー遺伝子としてカナマイシン(Kanamycin;以下Kmと略称することがある)耐性遺伝子またはクロラムフェニコール(Chloramphenicol;以下Cmと略称することがある)耐性遺伝子と連結し、形質転換を試みたところSphingobium amiensis JCM11777株、Sphingomonas cloacae JCM10874株、Sphingobium chlorophenolica JCM10275株、Sphingobium yanoikuyae JCM7371株、Sphingomonas capsulata JCM7452株、及びSphingomonas ANI7A菌株において前記選択マーカー遺伝子が発現する形質転換株を得ることに成功したことに基づく。
「環状二本鎖DNAプラスミドpAMI-1の誘導体」は、pAMI-1に由来するあらゆるプラスミドを含む。その一例として、プラスミドベクターの自律複製機能を保持する限りにおいて、pAMI-1のDNAの一部が欠失、置換、挿入又は付加されたものが挙げられる。具体的には、プラスミドpAMI-1の複製に関与しない領域(配列番号の1を起点として、3581塩基対までの領域と6475塩基対から9978塩基対の領域と推定される。)の一部が欠失、置換、挿入又は付加されたものが挙げられる。
さらにまた、本発明は、上記のプラスミドをベクターとして用いる遺伝子組換え法を提供する。
pAMI-1をベクターとして用いることにより、宿主を形質転換することができる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明する。これらの実施例は説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
Sphingobium amiensis JCM11777株(JCM11777株と略称することがある。)より、Birnboim,H.C and J.Doly, (1979) Nuc.Acid,Res., 7, p1513-1523 の方法に準じた方法でpAMI-1プラスミドDNAを調製した。すなわち、JCM11777株を100ミリリットルの肉エキス培地(肉エキス0.4gを100ミリリットルの水に溶解したもの)に植菌し、30℃で1日培養して得られた菌体について水酸化ナトリウムやドデシル硫酸ナトリウムを用いて溶菌後、フェノール処理し、さらにエタノール沈殿によりプラスミドDNAを精製した。
Km耐性遺伝子を担うpHSG298(宝酒造(株):2676bp)あるいはCm耐性遺伝子を担うpHSG398(宝酒造(株):2227bp)をSphIとPstIで切断し、pAMI-1の塩基配列3582塩基対から6475塩基対までの2893塩基対からなるDNA断片を常法のPCR増幅により取得したものをそれぞれ連結反応させた。連結後の反応液を常法に従い、大腸菌JM109株(宝酒造(株))にそれぞれ形質転換し、50μg/mlのカナマイシンあるいは50μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地(トリプトン 10g、イーストエキス 5g、NaCl 5g/1リットル)プレート上で選択してKm耐性あるいはCm耐性の形質転換体を得た。得られた形質転換株よりプラスミドを調製し、その制限酵素切断パターンを解析したところ、上記二つのDNA断片をそれぞれ含んでおり、各プラスミドをpAMI-K1(全長約5600bp)及びpAMI-C1(全長約5100bp)と命名した。
宿主に用いるSphingobium属細菌として、Sphingobium amiensis JCM11777株から元来保有しているpAMI-1を除去した株を作成した。プラスミドを除去した株を作成する方法としては、Rプラスミドの分子遺伝学的実験法 中谷林太郎 他、p18〜19,菜根出版に記載の大腸菌等からプラスミドを除去する方法に準じた方法を用いた。すなわち、Sphingobium amiensis JCM11777株を30μg/mlのエチジウムブロミド存在下で培養することによりプラスミドpAMI-1を除去した株を選択した。選択は実施例1に記載の方法でプラスミドを調製しアガロースゲル電気泳動によりプラスミドの有無を指標に行った。その結果、約500株のうち一つの株がプラスミドpAMI-1を保持していないことから、この株をSphingobium amiensis JCM11777-c株(以下、JCM11777-c株と略称することがある。)と命名した。
JCM11777-c株へのプラスミドpAMI-K1の形質転換は、Kurusu,Y et al.(2001) Marine Biotech., 3, p96-99に記載のエレクトロポレーション法に準じた方法により行った。JCM11777-c株を100ミリリットルの肉エキス培地に植菌し、30℃で約18時間培養後、集菌し菌体を緩衝液(10%グリセロール)で2回洗浄し、100μlの同緩衝液に懸濁した。実施例2で調製したプラスミドpAMI-K11μgを懸濁液に加え、ジーンパルサー(米国バイオラド社)を用いて電気パルス(50μF、2,5KV)を1回印加した。印加後、肉エキス培地を1ml加え30℃で2時間培養後、適当量をカナマイシン30μg/ml含有の肉エキス培地プレートに塗布し、30℃で2日間培養した。得られたカナマイシン耐性株より実施例1に記載の方法でプラスミドを調製しアガロースゲル電気泳動を行ったところ、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingobium amiensis JCM11777-c株用のベクターとして有用であることは明らかである。
Sphingomonas cloacae JCM10874株へのプラスミドpAMI-K1の形質転換を、実施例4と同様の方法で行った。得られた形質転換株からは、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingomonas cloacae JCM10874株のベクターとしても有用であることは明らかである。
Sphingobium chlorophenolica JCM10275株へのプラスミドpAMI-K1の形質転換を、実施例4と同様の方法で行った。得られた形質転換株からは、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingobium chlorophenolica JCM10275株のベクターとしても有用であることは明らかである。
Sphingobium yanoikuyae JCM7371株へのプラスミドpAMI-K1の形質転換を、実施例4と同様の方法で行った。得られた形質転換株からは、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingobium yanoikuyae JCM7371株のベクターとしても有用であることは明らかである。
Sphingomonas capsulata JCM7452株へのプラスミドpAMI-K1の形質転換を、実施例4と同様の方法で行った。得られた形質転換株からは、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingomonas capsulata
JCM7452株のベクターとしても有用であることは明らかである。
Sphingomonas ANI7A菌株(FERM P-19095)へのプラスミドpAMI-C1の形質転換は、Kurusu,Y et al. (2001) Marine Biotech., 3, p.96-99に記載のエレクトロポレーション法に準じた方法により行った。Sphingomonas ANI7A菌株を100ミリリットルの肉エキス培地に植菌し、30℃で約18時間培養後、集菌し菌体を緩衝液(10%グリセロール)で2回洗浄し、100μlの同緩衝液に懸濁した。実施例2で調製したプラスミドpAMI-K11μgを懸濁液に加え、ジーンパルサー(米国バイオラド社)を用いて電気パルス(50μF、2,5KV)を1回印加した。印加後、肉エキス培地を1ml加え30℃で2時間培養後、適当量をクロラムフェニコール30μg/ml含有の肉エキス培地プレートに塗布し、30℃で2日間培養した。得られたクロラムフェニコール耐性株より実施例1に記載の方法でプラスミドを調製しアガロースゲル電気泳動を行ったところ、いずれもpAMI-C1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingomonas ANI7A菌株用のベクターとして有用であることは明らかである。
実施例7で得られた形質転換株を100ミリリットルの肉エキス培地(カナマイシン無添加)に植菌し、30℃で約150世代継代培養後、肉エキス培地プレート(カナマイシン無添加)に塗布し、30℃で2日間培養した。出現したコロニーを約100株選択し、カナマイシン30μg/ml含有の肉エキス培地プレートに塗布し、30℃で2日間培養したところ、全ての株が生育した。さらに生育した株より実施例1に記載の方法でプラスミドを調製しアガロースゲル電気泳動を行ったところ、いずれもpAMI-K1を含有していることが判明した。このことから、本発明のプラスミドは、Sphingobium yanoikuyae
JCM7371株内で非選択圧下においてもベクターとして有用であることは明らかである。
Claims (11)
- 配列番号1に記載された塩基配列からなる環状二本鎖DNAプラスミドpAMI-1、又はプラスミドpAMI-1の自律複製機能を保持する限りにおいて配列番号1に記載された塩基配列に1又は数個の欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなる環状二本鎖DNAプラスミド。
- 請求項1に記載の環状二本鎖DNAプラスミドに異種DNAを挿入した組換えプラスミド。
- 異種DNAが選択マーカー遺伝子である請求項2記載の組換えプラスミド。
- 選択マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子である請求項3記載の組換えプラスミド。
- 請求項1記載の環状二本鎖DNAプラスミドにおいて、少なくとも配列番号1に記載された塩基配列の3582bpから6475bpのDNA断片を含む領域と、大腸菌カナマイシン耐性遺伝子を持つpHSGプラスミドを連結した環状二本鎖DNAプラスミド。
- 請求項1記載の環状二本鎖DNAプラスミドにおいて、少なくとも配列番号1に記載された塩基配列の3582bpから6475bpのDNA断片を含む領域と、大腸菌クロラムフェニコール耐性遺伝子を持つpHSGプラスミドを連結した環状二本鎖DNAプラスミド。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプラスミドにより、宿主細菌(ただし、Sphingobium amiensisに属する細菌を除く。)を形質転換して得られた形質転換体。
- 宿主細菌がSphingobium属に属する細菌(ただし、Sphingobium amiensisに属する細菌を除く。)である請求項7に記載の形質転換体。
- 宿主細菌がSphingomonas属に属する細菌である請求項7に記載の形質転換体。
- 宿主細菌がEscherichia coliに属する細菌である請求項7に記載の形質転換体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプラスミドに、異種DNAを挿入して組換えベクターを調製し、該組換えベクターを用いて、宿主細菌を形質転換することを特徴とする、宿主細菌の遺伝子組換え方法。
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