JP5284804B2 - 新規発現ベクター - Google Patents

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Description

本発明は、コクリア属に属する微生物内で複製可能なシャトルベクターであって、コクリア属に属する微生物内で外来遺伝子を誘導発現可能なベクター及びその利用に関する。
微生物を利用した工業原料等有用物質の製造プロセスは、一般にエネルギー消費が少なく、廃棄物も少ないという特徴がある。このため、近年、資源枯渇やCO等排出物の環境への影響が懸念されている中、微生物機能を活用した有用物質の生産(バイオプロセス)技術の開発が環境調和型循環産業システムにおける製造技術基盤として必要とされている。
化学工業の化石資源非依存型又は低環境負荷型の製造プロセスを構築して行くためには、究極的にはカーボンニュートラルを目指して、バイオリファイナリーも含めたバイオマスからの化学品生産体系を構築する必要がある。そのためには幾つかの技術的なブレイクスルーが必要であるが、特に天然資源循環に適した微生物細胞自体を用いたバイオプロセスの利用範囲及び応用範囲の拡大が必要である。現在、バイオプロセスの基本が水系反応場であるということは、生産出来る対象(化学品)が限定されてしまうという点でバイオプロセスの応用範囲を著しく狭くしている。水系反応場は親水性物質の変換や生産には向いているが、化学品の大部分を占める疎水性物質の変換、反応、又は生産には不適合である。
そこで最適な反応の場で目的の化学品を製造し得る、最適な酵素遺伝子及び宿主細胞を自由に統合した生体触媒又は微生物工場をデザインするための技術が不可欠となる。有機溶媒を含む非水系反応場における、微生物反応の機能に関しては研究例が少なく、工業生産の例も少ない。実質的に有機溶媒中での微生物変換反応に使用出来る微生物としては有機溶媒中で細胞構造を維持する観点から検索された微生物コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217があり、そのゲノムの遺伝子情報も明らかにされている(非特許文献1)。しかしながら、未だ、それらの微生物の耐久性機構を含めて不明な部分も多い。
非水系反応場でより耐久性のある生体触媒、微生物工場を構築するためには、耐久性機構の解明とそれに基づいた宿主細胞としてのデザインを並行して進めて行く必要性がある。
一方、酵素反応に着目すると、コスト競争力のある製造プロセスを構築するためには、安価な原料から高価な付加価値の高い生成物を生産する反応が最も重要なファクターであり、そのような反応を触媒する酵素が必要とされる。また、様々な化学品の製造段階において、より付加価値の高い化学品への変換に必要な官能基の造成において有用な反応を触媒する実用的な酵素も必要とされる。安価な原料から高価な生成物を生産する反応としては、炭素炭素結合反応がある。例えばアルドラーゼによるアルデヒドのような安価な低分子化合物を原料に炭素炭素結合で高分子化して行く反応や、安価な炭酸ガスを固定化して高分子化するような反応(炭酸固定反応)は有用であると思われる。
また、様々な化学品を製造して行く際に、その化学品の変換に必要な官能基の造成にとって有用な反応として炭素の水酸化反応や酸素添加反応が挙げられる。これらの反応の場合、実質的に炭化水素のような水に溶解しない化学物質を原料にする場合が多いため、非水系反応場で反応させる必要があり、非水系で使用出来る酵素が必要になってくる。しかしながら、有機溶媒耐性と酵素の関係は三次構造も含めて明らかではなく、これまで取得された有機溶媒耐性酵素(例えば、ニトリラーゼ等)をモデルにその三次元構造や変異による有機溶媒耐性の変動をみることによって、その関係を明らかにして行く必要がある。
これらのことから、非水系反応場における微生物反応を円滑に進めるために、非水系においても細胞構造を維持する微生物において、所望の外来蛋白質(有機溶媒耐性酵素)を発現させることが可能なベクターの開発が望まれていた。
J. Bacteriol. Vol.190,p4139-4146,2008
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、コクリア属に属する微生物内で複製可能なシャトルベクターであって、コクリア属に属する微生物内で外来蛋白質を誘導発現可能なベクターを提供することである。
上記課題を解決すべく、本発明者らは、各種有機溶媒中においても細胞構造を維持し、タンパク質の漏出がほとんどないコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株を宿主とする形質転換系の構築を行った。
まず、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC103217のゲノムの全塩基配列(2.7Mb)を決定し、その塩基配列から2356個のORF推定を行った。これらのORF情報を基に、翻訳に最適なSD配列の前後配列を予測した。
次に、EZ-TN5<KAN-2>Tnp トランスポゾンを用いて、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株の形質転換系を確立した。1.5%グリシンを含むLB培地で、OD600=0.7になるまで育成したNBRC 103217株菌体をコンピテントセルとして用い、35℃で5分間保温した後にエレクトロポレーションに供することにより、形質転換効率が大幅に向上することを見出した。また、選択マーカーであるカナマイシン耐性遺伝子だけでなく、GFP遺伝子を含むトランスポゾンを作製し、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株の形質転換を試みたところ、カナマイシン耐性遺伝子のみを含むときの3%の形質転換効率ではあったが、GFP遺伝子を持つ形質転換体を得ることができた。
次に、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株内で複製できるプラスミドベクターを作製するため、コクリア バリアンス(Kocuria varians)NBRC15358由来のプラスミド(pKV15358-1)のレスキュープラスミドが、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株で複製可能であったことから、同プラスミドを小型化し、さらに上記のコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株における翻訳において最適なSD前後配列を付加することにより、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株用ベクターpKV15358-3(4.3kb)を構築した。同ベクターを用いてArthrobacter sp. F73株由来のニトリラーゼ遺伝子をコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株で発現させたところ、大腸菌での発現量と比較して1%程度ではあったが、ニトリラーゼ活性を示した。大腸菌ではマンデル酸の生成が見られない酢酸エチルと水との二相系反応において、同形質転換体を用いたところ、酢酸エチルを60%含む系においても水相での反応の60%の活性を示した。
さらに、外来遺伝子の発現量を増やすためのプロモーターを得るために、培養の定常期に高生産されるタンパク質の一つとしてスーパーオキシドジスムターゼを見出した。ゲノム情報から同酵素をコードする遺伝子を発現するプロモーター領域を特定してクローニングし、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株用ベクターに導入することにより、ニトリラーゼ遺伝子の発現が150倍に増加することが明らかとなった。
即ち、本発明者らは、新規シャトルベクターの開発によって、非水系で細胞構造を維持しタンパク質の漏出がほとんどないコクリア属に属する微生物内で外来蛋白質を誘導発現させることに成功し、これにより本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔9〕を提供するものである。
〔1〕配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件化でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、微生物内で外来蛋白質を発現可能なベクター。
〔2〕配列番号:2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号:2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件化でハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに含むことを特徴とする、〔1〕に記載のベクター。
〔3〕配列番号:3または4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号:3または4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件化でハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに含むことを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のベクター。
〔4〕前記外来蛋白質の発現させる微生物がコクリア属、ミクロコッカス属、またはアルスロバクター属に属する微生物であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のベクター。
〔5〕前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株である、〔4〕に記載のベクター。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のベクターに外来蛋白質をコードするDNAを挿入した組換えベクター。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のベクター及び〔6〕に記載の組換えベクターにより、宿主を形質転換した形質転換体。
〔8〕〔7〕に記載の形質転換体を培養する工程、及び得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
〔9〕〔7〕に記載の形質転換体を、非水系反応場で目的物質を生産するための生体触媒として使用することを特徴とする、目的物質の生産方法。
本発明者らが開発したシャトルベクターを、非水系で細胞構造を維持するコクリア属に属する微生物に導入することにより、非水系で所望の外来蛋白質を誘導発現させることが出来る。また、本発明のシャトルベクターが導入された微生物を用いて、非水系において外来蛋白質の活性(例えば触媒活性)を発現させることが可能となる。
カテゴリースコアを示す図である。 NBRC 103217株の全ORFについて分布を分析した結果を示す図である。 二次元電気泳動を示す図である。 MALDI-TOF MSの結果を示す図である。
本発明は、コクリア属に属する微生物内で複製可能なシャトルベクターであって、コクリア属に属する微生物内で外来蛋白質を誘導発現可能なベクターを提供する。
本発明のベクターは、コクリア属に属する微生物内で複製可能なDNA領域、及びコクリア属に属する微生物に耐性を与える薬剤マーカーを有する。本発明のベクターは、コクリア属微生物内において複製可能なシャトルベクタープラスミドであり、外来蛋白質をコクリア属微生物内で発現させるのに有効なベクターである。
本発明のシャトルベクターとしては、コクリア バリアンス(Kocuria varians)NBRC15358株から得られる環状プラスミドを挙げることができる。このプラスミドの複製に関与するDNA領域を明らかにし、当該DNA領域を含有させたプラスミドを作製すると、このようなプラスミドは、コクリア属微生物内で複製することが可能となる。
コクリア属に属する微生物内で複製可能なDNA領域は、概領域を含むベクターをコクリア属微生物に導入したときに、ベクターが複製できる領域である限り特に制限されないが、例えば、コクリア バリアンス(Kocuria varians)株が保有する内因性プラスミドベクターpKV15358-1 (配列番号:5)に由来する自律複製領域を挙げることができる。pKV15358-1に由来する自律複製領域は、pKV15358-1の全長であってもよいが、遺伝子操作を容易にするために、pKV15358-1の一部であることが好ましい。pKV15358-1の一部としては、配列番号:1に記載された塩基配列を有する領域を挙げることができる。さらに、コクリア属微生物で機能しうる限り、配列番号:1に記載された塩基配列において1もしくは数個の塩基が置換・欠失・挿入等された配列を有するDNA領域、又は配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドもしくは該配列から調製されうるプローブとストリンジェントな条件化でハイブリダイズするDNA領域であってもよい。ここで、数個とは例えば、2〜50個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個である。また、ストリンジェントな条件としては、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。1もしくは数個の塩基の置換・欠失・挿入は、出願時に当業者に公知の技術により行うことができる。
上述のようなベクターpKV15358-1の自律複製に必要な領域は、抗生物質感受性宿主細胞内での抗生物質耐性遺伝子の発現を指標とする欠失実験によって特定できる。即ち、ベクターpKV15358-1に、カナマイシン耐性遺伝子やアンピシリン耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子を導入した後、該遺伝子を消化しない単独又は組み合わせの制限酵素によって消化し、DNA連結酵素により再環状化し、その後薬剤感受性の菌体を形質転換させる。この中から薬剤耐性を指標にして選択される薬剤体制菌株には、ベクターpKV15358-1の自律複製領域を含む派生ベクターを持ち、それらのベクターの制限酵素地図を比較することにより、ベクターpKV15358-1の自律複製領域が特定できる。
本発明において、マイクロコッカス属微生物に耐性を与える薬剤マーカーとしては、該細菌に導入したときに薬剤耐性を付与する遺伝子であれば特に制限されないが、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、又はクロラムフェニコール耐性遺伝子等を挙げることができる。
本発明のプラスミドベクターは、上記自律複製領域及び薬剤耐性マーカーを含むベクターであるが、このようなベクターとしては具体的には、pKV15358-2(配列番号:6)を挙げることができる。pKV15358-2は、上記pKV15358-1を制限酵素Xba1で切断して得られる自律複製領域を含む断片と、カナマイシン耐性遺伝子等により構成されるベクターである。尚、本発明のベクターはpKV15358-2が改変されたものであってもよい。改変としては、複製能や薬剤耐性に関与しない部位における変異、制限酵素部位のうちの一部の欠損や置換などを挙げることができる。
本発明のベクターは、さらにコクリア属に属する微生物由来のSD配列を有していてもよい。SD配列は特に限定されないが、好ましくは配列番号:2に記載のSD配列を挙げることができる。SD配列をさらに含むベクターとしては、pKV15358-3(配列番号:7)を挙げることができる。
また、コクリア属微生物において機能しうるプロモーターなどがさらに組み込まれていてもよい。プロモーターは特に限定されるものではないが、スーパーオキシドジスムターゼをコードする遺伝子を発現するプロモーターを挙げることができる。
本発明において、コクリア属に属する微生物は特に限定されるものではないが、好ましい例として、Kocuria rhizophila NBRC 103217を挙げることができる。
本発明は、外来蛋白質をコードするDNAが挿入されたコクリア属微生物用誘導発現シャトルベクターにより、宿主を形質転換した形質転換体に関する。
また、本発明は、当該形質転換体を培養する工程、及び得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法に関する。
本発明のコクリア属微生物用誘導発現シャトルベクターを用いて発現をさせたい所望の外来蛋白質をコクリア属微生物において発現させるためには、本発明のベクターに外来蛋白質をコードするDNAを挿入した組換えベクターを作製する必要がある。
本発明の組換えベクターは、本発明のベクター(例えば、pKV15358-2 又はpKV15358-3)に外来蛋白質をコードするDNAを挿入して作製する。
本発明において、発現させたい所望の外来蛋白質は、特に限定されるものではなく、酵素、ホルモン、サイトカイン、調製蛋白質などを挙げることができる。本発明の外来蛋白質の好ましい例としては、非水系(例えば有機溶媒中)において物質生産を行う際において用いられる触媒酵素等を上げることが出来る。触媒酵素としては、ニトリラーゼを例示することが出来、該外来蛋白質を導入したベクターとしては、pKV15358-4(配列番号:20)を挙げることができる。
本発明の形質転換体は、宿主を本発明のベクターまたは本発明の組換えベクターで形質転換することで作製できる。形質転換の方法は、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法を用いることが出来る。外来蛋白質を発現させるための宿主及びベクタープラスミドの増殖、回収に用いる宿主として、コクリア属微生物を用いることができる。
本発明は、上述の形質転換体を培養し、得られる培養物から外来蛋白質を単離することにより、外来蛋白質を製造することができる。形質転換体の培養方法は、宿主に用いるコクリア属微生物に適した方法を適宜選択することができる。本方法において、培養は非水系(例えば有機溶媒中)で行われてもよい。
本発明のベクターは、誘導剤(例えば、ε−カプロラクタム、イソバレロニトリル)によって外来蛋白質の発現を誘導することができる。
本発明において「培養物」とは、菌体、培養物、無細胞抽出液、細胞膜などの培養により得られるものを意味する。無細胞抽出液は、培養後の菌体を、例えばリン酸ナトリウム緩衝液を加えてホモジナイザーなどで物理的に破砕した後、遠心分離し、破砕できない菌体(細胞)が存在しないように上清を回収して得ることができる。細胞膜は、上記遠心で得られたペレットを溶解バッファーで懸濁することにより得ることができる。
目的外来蛋白質は、培養液をそのまま用いてもよいし、透析や硫安沈殿などの公知の方法、あるいはゲルろ過、イオン交換、アフィニティー等の各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を単独または適宜組み合わせることによって、濃縮、精製したものを用いてもよい。
また、本発明は上述の形質転換体を、非水系反応場で目的物質を生産するための生体触媒として使用することを特徴とする、目的物質の生産方法に関する。
非水系とは水100%以外の反応場を表現しており有機溶媒と水の任意の比率である反応場、超臨界ガスの反応場、イオン液体の反応場のような反応場である。コクリア属微生物は非水系においても細胞構造を維持する微生物であるので非水系反応場において、目的物質の原料となる化学物質とコクリア属微生物形質転換体とを接触させた(生体触媒として使用した)場合でも、形質転換体が溶けることで失活することもなく、高い生産性で目的物質を得ることが出来る。本発明において目的物質は特に制限されないが、マンデル酸等を例示することができる。
〔実施例1〕コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株に適したSD前後配列の推定
コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株のゲノムの全塩基配列(2.7Mb)を決定し、その塩基配列から2356個のORF推定を行った。これらのORF情報を基に、翻訳に最適なSD配列の前後配列を予測した。
コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株の全ゲノム配列 (2,697,540 bp) から推定した全ORF (2,356個) の各開始コドンの上流上流5塩基と下流9 塩基について、数量化2類分析を行った。その際、偽の開始コドンデータとして、開始コドンと重複しないATG、GTG、TTGコドンを、開始コドンの頻度と同じ数だけ抜き出した。
カテゴリースコア(図1)は、各塩基の重要性を示しているため、各ポジションにおいてスコアの高い塩基を並べた「AACCT」(配列番号:8)がもっとも翻訳に適した開始コドンのすぐ上流の配列であると推定した。
また、16S rRNAの3’末端の配列は、AUCACCUCCUUUCU-3'(配列番号:9)であることから、SD配列はAGGAGG(配列番号:10)であることが予想された。図2に示すように、予想されるSD配列の前後の配列を、NBRC 103217株の全ORFについて分布を分析した結果においても、16S リボソームRNA の3'端配列と強い相補性を示すことが裏付けられた(3〜7番目の塩基配列)。SD配列と開始コドンの間の塩基配列数は6 bpがもっとも頻度が多かったが、7 bpもほとんど変わらない値を示したことと、他の微生物では7 bpが最適であることが多いことから、7 bpが最適のSD配列と開始コドンの間の塩基数である可能性がある。
したがって、最適なSD前後配列として、数量化2類分析により推定した開始コドンの上流の配列「AACCT」(配列番号:8)に、SD前後配列の分布分析の結果を合わせ、5’-CTAGCAAGGAGGCCAACCT-3’(配列番号:11)と推定した。
実際のベクターへ導入する際には、遺伝子を導入する際の利便性を高めるために、開始コドンATGを含むNde I部位を付加し最終的なSD前後配列(5’-CTAGCAAGGAGGCCAACATATG-3’、配列番号:12)として用いた。
次に、EZ-TN5<KAN-2>Tnp トランスポゾンを用いて、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株の形質転換系を確立した。1.5%グリシンを含むLB培地で、OD600=0.7になるまで育成したNBRC 103217株菌体をコンピテントセルとして用い、35℃で5分間保温した後にエレクトロポレーションに供することにより、形質転換効率が大幅に向上することを見出した。また、選択マーカーであるカナマイシン耐性遺伝子だけでなく、GFP遺伝子を含むトランスポゾンを作製し、NBRC 103217株の形質転換を試みたところ、カナマイシン耐性遺伝子のみを含むときの3%の形質転換効率ではあったが、GFP遺伝子を持つ形質転換体を得ることができた。
〔実施例2〕コクリア バリアンス(Kocuria varians)NBRC15358株から抽出したプラスミドのNBRC 103217株への導入
次に、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株内で複製できるプラスミドベクターの作製を行った。コクリア バリアンス(Kocuria varians) NBRC15358由来のプラスミド(pKV15358-1)のレスキュープラスミド(配列番号:5)は、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株で複製可能であったことから、同プラスミドを小型化し、さらに実施例1で見出したSD前後配列(配列番号:2)を付加することにより、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株用ベクターpKV15358-3 (4.3kb)(配列番号:7)を構築した。
より具体的には、コクリア バリアンス(Kocuria varians)NBRC15358株を、100 mlのLB培地を含む500 ml容バッフル付き三角フラスコで、30℃で150 rpmで振盪培養し、600 nmにおける濁度が8.0に達するまで培養した。培養液200 mlを遠心分離 (9,970 × g, 4℃, 10分間) にて回収し、15 mlのSTE (10 mM Tris-HCl, 0.5 mM EDTA, 5 mM NaCl; pH 8.0)で洗浄した後、遠心分離 (9,970 × g, 4℃, 10分間) によって回収する。得られた菌体から、Qiagen Plasmid Maxi Kit (Qiagen)を用いて、プラスミドDNAを抽出した。同キットを用いる際、Buffer P1に4 mg/mlのリゾチームを添加し、同溶液に菌体を懸濁した後、37℃で2時間インキュベートした。その後の操作は、メーカーの推奨する方法に従った。
得られたDNA溶液に2 mMとなるように25 mM MgCl2を添加した後、0.5 U/μlとなるようにRingMaster Nuclease (Novagen)を添加し、37℃で1時間反応することにより混入している染色体DNAを除去した。反応終了後、75℃で10分間インキュベートすることにより酵素を失活させた。エタノール沈殿によりプラスミドDNAを回収し、TE buffer (10 mM Tris-HCl, 1 mM EDTA; pH 8.0) 20 μlに溶解した。
得られたプラスミドに、EZ-Tn5 <R6Kγori / KAN-2> insertion kit (Epicentre)の説明書にしたがってトランスポゾンを挿入した。反応液を用いて、TransforMax EC100D pir Electrocompetent E. coli (Epicentre)を形質転換し、カナマイシン 50 μg/mlを含むLB平板培地で形質転換体を選択した。
得られた形質転換体から6株からプラスミドDNAを調製し、NBRC 103217株を形質転換した。NBRC 103217株のコンピテントセルは、同菌株を100 mlの1.5%(w/v)のグリシンを含むLB培地の入った500 ml容バッフル付き三角フラスコで、600 nmにおける濁度が0.7に達するまで30℃で振盪培養して得た菌体を用いて調製した。培養液を遠心分離 (1,400 × g, 4℃, 10分間) することにより菌体を回収し、冷却した滅菌水200 mlで2回、35 mlで1回洗浄した。さらに、10%(v/v) グリセロール溶液35 mlで2回洗浄し、600 nmにおける濁度が約50となるように10%(v/v) グリセロール溶液に懸濁した。得られた菌体懸濁液は、100 μlずつ1.5 mlチューブに分注し、液体窒素で凍結した後、-80℃で保管した。
コンピテントセルを氷上で融解し、0.5 μgのDNAを添加し、GenePulser (Bio-rad)を用いてエレクトロポレーション法(800 Ω, 25 μF, 12.5 kV/cm)により、NBRC 103217株を形質転換した。エレクトロポレーション後、0.9 mlのSOC培地を添加して、振盪培養(30℃, 150 rpm, 16時間)した後、400 μg/mlのカナマイシンを含むSOB平板培地において30℃で培養して得たコロニーを選択した。
NBRC 103217株へ導入を試みた6種のプラスミドのうち、4種類のプラスミドを用いた場合に目的のプラスミドを保持していた。
〔実施例3〕pKV15358-3へのArthrobacter sp. F73株由来ニトリラーゼ遺伝子の導入
実施例2において構築したベクターpKV15358-3を用いてArthrobacter sp. F73株由来のニトリラーゼ遺伝子をコクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株で発現させた。
Arthrobacter sp. F73株由来のニトリラーゼ遺伝子の5’末端にNde I部位、3’末端にXba I部位を付加したDNA断片を増幅できるように2種類のプライマーF73Nit-309F-NdeIプライマー(5’-GTGCATATGAGCGAGTACACCCAGCAATACCGCGTC-3’、配列番号:13)およびF73Nit-1430R-XbaIプライマー(5’-TCCTCTAGATCAGAGCTGAACGGCCTCCTCCGAACGC-3’、配列番号:14)を設計した。0.2 μMの両プライマー、鋳型としてF-73株の染色体DNAを1 ng/μl、2.5%(v/v) DMSOを含む反応系に、37.5 U/mlのPfu turbo DNA polymerase加えてPCRを行った。PCRは、98℃で2分30秒インキュベートした後、98℃を30秒、55℃を1分、72℃を1分30秒間の3ステップからなる反応を30回行った後、72℃で10分間インキュベートした。増幅したDNA断片は、GFX PCR purification kit (GEヘルスケア)を用いて精製した後、Nde IおよびXba Iで消化し、同じ制限酵素で消化したプラスミドpKV15358-3とライゲーションした。得られた反応液を用いて、TransforMax EC100D pir Electrocompetent E. coli (Epicentre)を形質転換し、50 μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で生育した株から目的とするプラスミドpKV15358-4を保持する形質転換体を得た。
同形質転換体から抽出したプラスミドDNAを用いてNBRC 103217株を形質転換し、同プラスミドを保持するNBRC 103217株形質転換体を得た。得られた形質転換体を、300 μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で20℃、25℃、30℃で振盪培養(250 rpm)して得た菌体に含まれるマンデロニトリルを基質としたときのニトリラーゼ活性を調べた。
その結果、30℃で生育したときは、活性が見られなかったが、20℃および25℃で生育した時には活性が見られた。25℃で64時間培養したときに最も高い活性を示し、菌体当たりで大腸菌の1%程度の活性を示した(OD600=1あたりのNBRC 103217株菌体懸濁液の活性: 6.1 mU/ml)。
〔実施例4〕Kocuria varians NBRC 103217株を用いた二相系反応場でのマンデル酸の生産
大腸菌ではマンデル酸の生成が見られない酢酸エチルと水との二相系反応において、同形質転換体を用いたところ、酢酸エチルを60%含む系においても水相での反応の60%の活性を示した。より具体的には以下の検討を行った。
pKV15358-5(配列番号:21)を保持するNBRC 103217株をカナマイシンを300 μg/mlで含むLB培地100 ml (500 ml容バッフル付き三角フラスコ)で144時間、振盪培養 (150 rpm) し、得られた培養液 (OD600 = 12.6) から菌体を遠心分離 (2,300 × g, 4℃, 10分間) により回収した。50 mM リン酸カリウム緩衝液 (pH 8.0) に菌体を懸濁し、マンデロニトリルを基質として菌体反応を行った。
反応液は全量0.5 mlで行い、菌体はOD600 = 10となるように添加し、50%(v/v) 酢酸エチル、1 M マンデロニトリル、50 mM リン酸カリウム緩衝液 (pH 8.0) となるように調製した。反応は、菌体懸濁液を添加することにより開始した。BioShaker M・BR-022UP (Taitec) を用いて、30℃で1,400 rpm振盪しながら、2時間インキュベートした。その後、0.5 mlのメタノールを添加することにより、反応系を均一化し、遠心分離 (20,400 × g, 4℃, 10分間) により菌体を除去した。得られた上清中に含まれるマンデル酸量はHPLCによって定量した。装置は、LC-10ADvp (島津製作所) を用い、カラムは、Inertsil ODS-3カラム (φ4.6 × 150 mm, ジーエルサイエンス) を用いた。カラム温度は40℃で、10 mM リン酸-アセトニトリル (55 : 45) を溶離液として1 ml/minの流量で通液することにより分析した。検量線は0.02, 1, 5, 10, 15, 20, 50 mMのR-マンデル酸を用いて作製した。リテンションタイムは2.2分であった。菌体反応終了後のサンプルは、溶離液で10倍希釈した後、HPLCに供した。水/酢酸エチル = 1/1の系で、K. rhizophila NBRC 103217 (pKV15358-5) 菌体を用いた反応において、83.7 g/lのマンデル酸が蓄積した。
〔実施例5〕Kocuria varians NBRC 103217株で高発現するプロモーターの検索
外来遺伝子の発現量を増やすためのプロモーターを得るために、培養の定常期に高生産されるタンパク質の一つとしてスーパーオキシドジスムターゼを見出した。ゲノム情報から同酵素をコードする遺伝子を発現するプロモーター領域を特定してクローニングし、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株用ベクターに導入することにより、ニトリラーゼ遺伝子の発現が150倍に増加することが明らかとなった。より具体的には以下の検討を行った。
Kocuria rhizophila NBRC 103217株を、100 mlのLB培地を含む500 ml容バッフル付き三角フラスコで、30℃で150 rpmで振盪培養し、600 nmにおける濁度が11に達するまで培養した (65時間)。培養液20 mlを遠心分離 (2,300 × g, 4℃, 10分間) にて回収し、5 mlのSTE (10 mM Tris-HCl, 0.5 mM EDTA, 5 mM NaCl; pH 8.0)で洗浄した後、遠心分離 (2,300 × g, 4℃, 10分間) によって回収する。得られた菌体は、-30℃にて保存した。
培養液10 ml分の菌体を可溶化緩衝液 (10 mM Tris-HCl, 8 M 尿素, 4%(w/v) CHAPS, 60 mM DTT; pH 7.4) 0.7 mlに懸濁し、0.5 mlのガラスビーズ (φ0.1 mm) の入った2 mlチューブに移した後、Multi-Beads shocker (安井器械) で破砕した (2,500 rpm, 4℃, 20 分間)。遠心分離 (20,400 × g, 4℃, 10分間) にて得られる上清を回収した。得られた上清100 μlから、ReadyPrep 2-D cleanup kit (Bio-rad)を用いて、タンパク質を精製した。得られたタンパク質は60 μlの膨潤緩衝液 (7 M 尿素, 2 M Tiourea, 2%(w/v) CHAPS, 20 mM DTT, 0.2%(v/v) Biolyte 3-10, 0.039%(w/v) Tris-(2-cyanoethyl)phosphine) に溶解し、二次元電気泳動用タンパク質溶液とした。
二次元電気泳動は、タンパク質量50 μgをプロティアンIEFセル (Bio-rad) により、等電点電気泳動に供した。等電点電気泳動ゲルは、IPG ReadyStrip pH 3-10NL (7 cm, Bio-rad) を用いた。泳動後、等電点ゲルを抜き出し、12.5%均一ゲルを用いてSDS-PAGEに供した。その後、ゲルをSYPRO Ruby (Invitrogen) を用いてタンパク質を染色した後、大きなスポットと思われるNBRC103217-LAP1を切り出した (図3)。
切り出したゲル片は、トリプシンを含むTris-HCl (pH 8.0)を加え、35℃で20時間インキュベートした。得られた反応液を、ZipTip C18 (Millipore) を用いて脱塩した後、マトリックス(α-cyano-4-hydroxyxinnamic acid溶液) と混合し、プレートにスポットした。風乾後、MALDI-TOF MSに供した。Voyager-DE STR (Applied Bioxyxtems) を用い、リフレクターモードで、陽イオン化されたm/z値が800〜4000のペプチドを検出した (図4)。得られたペプチドのモノアイソトピック質量をもとにMascot (Matrix science) を用いて、NBRC 103217株のORFがコードするタンパク質の中からNBRC 103217-LAP1と推定されるタンパク質を検索したところ、スーパーオキシドジスムターゼ (SodA)をコードするKRH_00400 である可能性が高いことが分かった。
したがって、NBRC 103217株においてスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子sodA (KRH_00400) が高発現することが分かった。そこで、同遺伝子上流にあると推定されるプロモーターを検索したところ、sodA遺伝子の開始コドンの67〜62 bpおよび43〜38 bp上流に、それぞれ大腸菌由来プロモーターの-35領域、-10領域と類似性を示す配列「TTGACC」(配列番号:15)、「GACAGT」(配列番号:16)が見いだされた。このプロモーター領域を含むDNA断片をPCRによって増幅するために、gene0045-F1プライマー (5'- GGCGTCGACCGAGGGTAGGGCGGGAGTG -3'、配列番号:17)、gene0045-R1プライマー (5'- TCGACTAGTGGCGTGATGGTTCAACTGTC -3'、配列番号:18)、gene0045-R2-v2プライマー (5'- AGCCATATGGAAACATCCTTTCGTTTGCG -3'、配列番号:19) を作製した。NBRC 103217株の染色体DNA 1 ng/μlを鋳型として、gene0045-F1およびgene0045-R1プライマー、またはgene0045-F1およびgene0045-R2-v2プライマーの2組のプライマー (各0.2 μM) を用いて、25 U/mlのPrimeSTAR DNA polymerase加えてPCRを行った。PCRは、96℃で5分間インキュベートした後、98℃を10秒間、55℃を15秒間、72℃を30秒間の3ステップからなる反応を30回行った後、72℃で10分間インキュベートした。得られたDNA断片 (PsodA1、PsodA2) をGFX PCR purification kit (GEヘルスケア)を用いて精製した後、それぞれSal I-Spe I、Nde I-Sal Iで二重消化した。得られたDNA断片は、プロモーター評価用ベクターであるpKV15358-8(配列番号:24)をそれぞれ同じ制限酵素で消化した断片とライゲーションした。反応液を用いてE. coli JM109を形質転換し、50 μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で生育した株から目的とするプラスミドpKV15358-5(配列番号:21)およびpKV15358-6(配列番号:22)を保持する形質転換体を得た。得られた形質転換体から抽出したプラスミドDNAを用いて、NBRC 103217株を形質転換し、400 μg/mlのカナマイシンを含むSOB平板培地において30℃で培養することにより、それぞれのプラスミドを保持するNBRC 103217株形質転換体を得た。
得られた形質転換体をそれぞれ、カナマイシンを300 μg/mlで含むものと含まないLB培地100 ml (500 ml容バッフル付き三角フラスコ)で振盪培養 (150 rpm) したところ、SD前後配列を最適化したpKV15358-5を保持するNBRC 103217株形質転換体において、sodA由来のプロモーター (PsodA) を含まないpKV15358-4を保持するNBRC 103217株形質転換体86倍のニトリラーゼ活性を示した。また、NBRC 103217株内でsodA本来のSD前後配列を付加したpKV15358-6の3倍の活性を示した。
NBRC 103217株用の高発現ベクターを作製するため、NBRC 103217株と大腸菌のシャトルベクターであるpKV15358-9(配列番号:25)のBspH I-Nde I断片 (2309 bp) とpKV15358-5のBspH I-Nde I断片 (1253 bp) をライゲーションした。反応液を用いてE. coli JM109を形質転換し、50 μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で生育した株から目的とするプラスミドpKV15358-5およびpKV15358-7(配列番号:23)をNBRC 103217株用高発現ベクターとした。

Claims (9)

  1. 配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって該ポリヌクレオチドにより該ポリヌクレオチドを含むプラスミドをコクリア属に属する微生物内で複製可能にする機能を有するポリヌクレオチドを含む、微生物内で外来蛋白質を発現可能なベクター。
  2. 配列番号:2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のベクター。
  3. 配列番号:3または4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のベクター。
  4. 前記外来蛋白質の発現させる微生物がコクリア属、ミクロコッカス属、またはアルスロバクター属に属する微生物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のベクター。
  5. 前記コクリア属に属する微生物が、コクリア リゾフィラ(Kocuria rhizophila)NBRC 103217株である、請求項4に記載のベクター。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のベクターに外来蛋白質をコードするDNAを挿入した組換えベクター。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のベクターにより、宿主を形質転換した形質転換体。
  8. 請求項6に記載のベクターを保持する形質転換体を培養する工程、及び得られる培養物から外来蛋白質を単離する工程を含む、外来蛋白質の製造方法。
  9. 請求項6に記載のベクターを保持する形質転換体を、非水系反応場で目的物質を生産するための生体触媒として使用することを特徴とする、目的物質の生産方法。
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