JP4180862B2 - 誘導型高発現系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な構造遺伝子の発現系に関する。より詳しくはニトリラーゼ発現調節機構を利用した、誘導型の高発現ベクターの構築に関する。
【0002】
【従来の技術】
ストレプトマイセス(Streptomyces)属放線菌は、抗生物質生産菌として工業的に広く利用されており、今日の応用微生物学上、極めて重要な菌群となっている。ストレプトマイセス属放線菌での有用物質生産の重要性を鑑みると、放線菌において発現が制御可能な誘導型の大量発現系の開発が望まれる。本発明者らは既に放線菌の一種であるロドコッカス・ロドクロウスJ1(FERM BP−1478)由来のタンパク質(ニトリラーゼ)誘導発現系を取得している(例えば特許文献1および非特許文献1参照)。当該発現系は、イソバレロニトリルを誘導剤として培地に添加した場合、無細胞抽出液中の全可溶性タンパク質の35%以上を占めるほどのニトリラーゼ(ニトリルを酸とアンモニアに分解する酵素)を大量に発現する。即ち、当該発現系では非常に強力な転写活性を持つ誘導型プロモーターが関与している。
しかしながら、かかる知見はロドコッカス・ロドクロウスJ1株という一部の放線菌について得られたものであり、他の属に属する放線菌、特に上記したような理由でその重要性が指摘されているストレプトマイセス属放線菌でも同様な発現系が利用できるのかは現在迄に報告されていないし、示唆もない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−28380号公報
【非特許文献1】
「プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ ユーエスエー(Proceedings of the National Academy of Sciences USA)」,(米国),1996年10月,第93号,p.10572−10577
【非特許文献2】
「ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,(米国),1992年10月15日,第267号,p.20746−20751
【非特許文献3】
日本放線菌学会編,「放線菌の分類と同定(Identification Manual of Actinomycetes)」,(日本),財団法人 日本学会事務センター刊,2001年2月,p.4−8
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ロドコッカス属で考案されたタンパク質(ニトリラーゼ)の誘導型発現調節機構がストレプトマイセス属においてどのように機能し得るかを解析し、これにより得られる知見を基に誘導型高発現ベクターを新規に開発することを目的とする。ひいては当該発現系を用いて種々のタンパク質・生理活性物質の大量生産への応用を最終目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため、まず、ロドコッカス属の誘導型高発現調節機構が、他の放線菌、例えばストレプトマイセス属放線菌においても機能するのかどうかを検討した。結果、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ構造遺伝子、ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子という極めてシンプルな遺伝子領域のみで機能し得ることを見出した。さらにニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2のプロモーターを設けることで、ニトリラーゼ転写調節タンパク質による目的とする構造遺伝子(例えばニトリラーゼ)の発現を顕著に促進し、並びにニトリラーゼ転写調節タンパク質自身の発現をも促進することに成功して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0006】
(1)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、ニトリラーゼ構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とする、DNA構築物。
(2)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、マルチクローニングサイトおよびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物。
(3)さらに、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とする上記(2)記載のDNA構築物。
(4)マルチクローニングサイトに構造遺伝子が連結されている、上記(2)または(3)記載のDNA構築物。
(5)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、クローニングサイトおよびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物。
(6)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである上記(1)、(3)および(5)のいずれか1項に記載のDNA構築物。
(7)さらに第1および/または第2プロモーターの上流にターミネーター領域を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のDNA構築物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクター。
(9)さらに放線菌以外の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAを機能的に含む上記(8)記載のベクター。
(10)放線菌が、ロドコッカス属に属するもの以外である上記(8)記載のベクター。
(11)放線菌がストレプトマイセス属に属するものである上記(8)記載のベクター。
(12)放線菌以外の菌が大腸菌である上記(9)記載のベクター。
(13)上記(8)〜(12)のいずれか1項に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
(14)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターによって形質転換されたロドコッカス属以外の放線菌に属する形質転換体。
(15)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターによって形質転換された放線菌に属する形質転換体。
(16)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(15)記載の形質転換体。
(17)構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、上記(14)〜(16)のいずれか1項に記載の形質転換体。
(18)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物を導入されてなるロドコッカス属以外の放線菌に属する形質転換体。
(19)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入されてなる、放線菌に属する形質転換体。
(20)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(19)記載の形質転換体。
(21)構造遺伝子がニトリラーゼである、上記(18)〜(20)のいずれか1項に記載の形質転換体。
(22)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、ロドコッカス属以外の放線菌宿主内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
(23)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、放線菌宿主内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
(24)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(23)記載の構造遺伝子発現系。
(25)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物を導入したロドコッカス属以外の放線菌宿主内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
(26)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入した放線菌宿主内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
(27)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(26)記載の構造遺伝子発現系。
(28)構造遺伝子がニトリラーゼ構造遺伝子である、上記(22)〜(27)のいずれか1項に記載の構造遺伝子発現系。
(29)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、ロドコッカス属以外の放線菌内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
(30)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを放線菌内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
(31)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(30)記載の生産方法。
(32)構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、上記(29)〜(31)のいずれか1項に記載の生産方法。
(33)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物を導入したロドコッカス属以外の放線菌内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
(34)ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入した放線菌内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
(35)第2プロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、上記(34)記載の生産方法。
(36)構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、上記(33)〜(35)のいずれか1項に記載の生産方法。
【0007】
本発明は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、ニトリラーゼ構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、さらにニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を提供する。ここで「DNA構築物」とは、各エレメントを含んでいることを明確にすべく定義づけたものであって、DNAと同義である。
当該DNA構築物を構成する、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子は既に公知である。例えば、非特許文献2にはロドコッカス・ロドクロウスJ1株由来のニトリラーゼ遺伝子が報告されおり、当該遺伝子はベクターpUC19に挿入されたプラスミドpNJ10として得られている。このプラスミドを適当な制限酵素を用いて消化することにより調製することができる。当該配列に基づき、消化に用いる制限酵素を種々選択することにより、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の個々の領域を少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ全て有する遺伝子断片を得ることができる。簡便にはpNJ10をPstI等の制限酵素を用いて消化することによりニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含む遺伝子断片が得られる。
【0008】
本発明において、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターとしては、具体的には配列表配列番号15に記載されるような塩基配列を有するDNAが挙げられるが、当該DNAは、その制御下にある構造遺伝子(例えばニトリラーゼ遺伝子)に対して転写活性を有し且つニトリラーゼ転写調節タンパク質により正に制御される限りは、当該塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加されたものであってもよい。また、当該塩基配列(欠失、置換、挿入もしくは付加された塩基配列も含む)からなるDNAのフラグメントであってもよい。かかるプロモーター活性を有する限り、例えば、配列表配列番号15に記載されるような塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るDNAであってもよい(本発明では、塩基配列において約60%以上の相同性を有するDNAがハイブリダイズし得る条件をいい、ストリンジェンシーはハイブリダイズ反応や洗浄の際の温度、塩濃度等を適宜変化させることにより調節することができる)。このようなプロモーターは例えば、ニトリラーゼを発現する微生物のゲノミックライブラリーに対して、サザンブロッティング法およびPCR法を用いてニトリラーゼ遺伝子またはニトリラーゼプロモーター遺伝子等の配列をもとに得ることができる。
【0009】
また、2以上の別個の遺伝子断片としてニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を得た場合、これらの遺伝子断片を連結させるために任意のベクターをベースとして用いることができる。その目的や使用する宿主に適したベクターを選択する。例えばマルチクローニングサイトを有するpUC19、ストレプトマイセス属放線菌用のプロモーター検索ベクターであるpIJ487、コリネバクテリウム属菌用のベクターであるpPK4、バシラス属菌用のpUB110、シュードモナス属菌用のpKT263、サーマス属菌用のpTT8等が挙げられる(これらはいずれも商業的に入手可能か、文献公知である)。
本発明のDNA構築物において、ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に置く第2プロモーターとは、宿主中でニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を転写させるプロモーター活性を有するものであれば特に限定されない。より詳しくは、ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子に対して高い転写活性を有するプロモーター領域、又はプロモーター活性を有するその一部が挙げられ、その具体的なものとしては、誘導剤(後述)の存在下でニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の発現を正に制御するニトリラーゼ遺伝子プロモーターが挙げられる。又、プロモーターとしてチオストレプトン誘導プロモーター等も用いることができる。これらのプロモーター(−35領域、−10領域)以外の配列はベクター構築等に好適なように、適宜選択することができる。また、プロモーター領域の改変も可能である。さらにプロモーターは誘導型であっても構成型であってもよい。
当該遺伝子断片と上記ベクターの連結は、公知のいずれの方法によっても行うことができる。例えば市販のライゲーションキットを用いて連結させることができる。
【0010】
また、「上流」とは、当該第2プロモーターがニトリラーゼ転写調節遺伝子の転写を制御し得る状態にあることを意味し、第2プロモーターがそのプロモーター活性を発揮できる限りDNA構築物上での位置は限定されない。
【0011】
本発明は、さらにニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、マルチクローニングサイトおよびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物を提供する。
当該DNA構築物を構成する、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター(およびそれを含む遺伝子断片)、およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子(およびそれを含む遺伝子断片)は上述したとおりである。マルチクローニングサイトは、公知の一般的に入手可能なマルチクローニングサイトを有するベクターを用い、該当する領域を適当な制限酵素で消化することによって切り出す、あるいはPCRで増幅することによって、当該マルチクローニングサイトを有する遺伝子断片として得ることができる。当該遺伝子断片と上記のニトリラーゼ遺伝子プロモーター(またはそれを含む遺伝子断片)、およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子(またはそれを含む遺伝子断片)を公知の方法、例えば市販のライゲーションキットを用いて連結することによって本発明のDNA構築物を得ることができる。簡便には、マルチクローニングサイトを有するベクターに適当な制限酵素を用いて、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター(およびそれを含む遺伝子断片)、およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子(およびそれを含む遺伝子断片)を挿入することで構築する。ここで、マルチクローニングサイトを有するベクターとしては、当分野で通常用いられる任意のベクターが挙げられるが、好ましくはpUC19、pBluescript、pET−21a(+)である。
マルチクローニングサイトを有することにより、当該DNA構築物を含むベクターは、クローニングベクターとして有用である。
【0012】
また、マルチクローニングサイトに代えて、クローニングサイトを設けることもでき、当該DNA構築物を含むベクターもまたクローニングベクターとして有用である。
【0013】
本発明のニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、マルチクローニングサイトおよびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物において、さらに、ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の発現を制御すべくその上流に第2のプロモーター(前述)を設けることができる。かかる態様は、当該マルチクローニングサイトに構造遺伝子を連結したベクター(後述)を宿主内で発現させる場合に、第1プロモーターによる構造遺伝子の発現制御と第2プロモーターによるニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の発現制御が可能となるので、より好ましい態様である。第2のプロモーターとしては好ましくはニトリラーゼ遺伝子プロモーターであり、誘導剤の存在下でニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の発現をアップレギュレーションし、第1のプロモーターであるニトリラーゼ遺伝子プロモーターのプロモーター活性を増強して構造遺伝子の発現を増大させる。
【0014】
本発明では、上記マルチクローニングサイトに、所望の構造遺伝子を連結することができる。構造遺伝子としては、各種のタンパク質をコードする遺伝子であれば特に制限はなく所望のタンパク質〔例えばニトリラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、2次代謝産物の生合成酵素等の酵素、インスリン等の生理活性を有するペプチド等〕をコードする遺伝子等が挙げられ、又いかなる方法で得られるものであってもよい。例えば、mRNAから調製される相補DNA(cDNA)、ゲノミックライブラリーから調製されるゲノミックDNA、化学的に合成されるDNA、RNA又はDNAを鋳型としてPCR法により増幅させて得られるDNA及びこれらの方法を適当に組み合わせて構築されるDNA等が挙げられる。マルチクローニングサイトへの構造遺伝子の連結も通常当分野で行われる方法が利用でき、種々の制限酵素を組み合わせて用いて消化し、得られる遺伝子断片を市販のライゲーションキット等を用いて連結することによって実施される。
【0015】
本発明においては、上流からの転写のリードスルーを防ぐために第1プロモーターおよび/または第2プロモーター、好ましくは第1プロモーターおよび第2プロモーターのそれぞれの上流にターミネーター領域を有することができる。本発明において使用し得るターミネーターとしては、目的とする構造遺伝子の発現に用いられる宿主に対応したものであれば特に制限はなく、例えば、fdファージのターミネーター(fd−ter)、T4ターミネーター(T4−ter)等が挙げられる。
【0016】
本発明は、上記した本発明のDNA構築物、および放線菌の菌体内での自立複製を司る機能に関与する領域のDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを提供する。ここで、「機能的に」とは、第1プロモーターによる構造遺伝子(特にニトリラーゼ構造遺伝子)の転写および発現の活性化、ならびにニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の転写および発現の活性化(第2プロモーターを有する場合には当該第2プロモーターも当該転写調節タンパク質の転写・発現の活性化に寄与する)、発現されたニトリラーゼ転写調節タンパク質による第1プロモーターの活性化といった一連の事象を遂行し、且つ、宿主細胞内で自立複製可能なように各DNAがベクター内で配置されていることを意味する。放線菌の菌体内での自立複製を司る機能に関与する領域のDNAに加え、放線菌以外の菌の菌体内での自立複製を司る機能に関与する領域のDNAをも含めることができ、このようなベクターはシャトルベクターとして有用である。
【0017】
放線菌の菌体内での自立複製を司る機能に関与する領域のDNAとしては、具体的にはpIJ由来のOri領域、SCP2由来のOri領域、コリネバクテリウム属菌で自立複製可能なpPK4由来のOri領域、pCG1由来のOri領域等の放線菌ベクターに由来するもの等が挙げられる。
放線菌以外の菌の菌体内での自立複製を司る機能に関与する領域のDNAとしては、自立複製を所望する宿主に応じて適宜選択されるが、例えば大腸菌内での自立複製が可能なpUC由来のOri領域、p15A由来のOri領域、pSC101由来のOri領域等、バシラス属菌で自立複製可能なpUB110由来のOri領域(当該Oriは元来はスタフィロコッカス属由来)、シュードモナス属菌で自立複製可能なpKT263由来のOri領域、サーマス属菌で自立複製可能なpTT8由来のOri領域等が挙げられる。
【0018】
本発明において「放線菌」とは、1997年にStackebrandtらが16SrDNAの類縁性に基づいて創設したclass Actinobacteria(classは綱)の中のorder Actinomycetales(orderは目)で定義されるものであり、10の亜目、35の科、約110の属、約1000の種を擁する(例えば非特許文献3参照)。
【0019】
本発明の形質転換体は、上記で得られたベクター(シャトルベクターや組換え発現ベクター、クローニングベクター等も含む)を適当な宿主細胞に導入することにより調製される。宿主細胞としては、当該ベクターに応じて選択され、例えば、放線菌内での自立複製を司る機能に関与するDNAを有するベクターは宿主として放線菌を、大腸菌内で自律複製を司る機能に関与するDNAを兼備しているシャトルベクターでは、宿主として大腸菌を使用することが可能である。
放線菌以外の宿主としては大腸菌、バシラス属菌、シュードモナス属菌、サーマス属菌、アグロバクテリウム属菌等が挙げられる。
【0020】
形質転換体の調製方法は特に限定されず、宿主により適宜選択し、従来公知の方法を用いて、又、適宜変形して行うことができる。詳細には、コンピテント細胞法、プロトプラストポリエチレングリコール融合法、リン酸カルシウム共沈澱法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
本発明において、宿主が正しく形質転換されているか否かを確認するために、ベクターに選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、チオストレプトン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性遺伝子、lacZ等の酵素遺伝子等)を導入することにより、又は発現ベクターで形質転換し、構造遺伝子の発現によって確認できるもの(例えば酵素活性等)は、その発現に基づいて確認する。
【0021】
さらに、所望により、複製因子領域を含めることができ、例えばpIJ由来のrepを利用することができる。
【0022】
また、本発明では接合伝達起点OriT領域を当該ベクターに含めることができる。かかる領域を有するベクターは接合伝達により放線菌に導入され得る。
【0023】
本発明のDNA構築物をベクターという様式を経由することなく、直接染色体上のプロモーター領域と相同組換え等行うことにより置換し、所望の特性を有する形質転換体を得ることもできる。
【0024】
従って、本発明の形質転換体には、接合や相同組換えによって上記したDNA構築物が導入された宿主細胞も包含し、当分野で通常実施される方法を用いて調製することができる。相同組換え等により形質転換体を作製する場合には、導入されるDNA構築物は、特にそれ自体に宿主内での自立複製を司る機能に関与するDNAを有している必要はない。
【0025】
得られた形質転換体は、その細胞種に応じて、適宜当分野で通常用いられる培養培地中で培養することができる。例えば放線菌であれば、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキスなどを含む培地が用いられる。培養時間や培養温度も細胞種に応じて適宜決定される。構造遺伝子、例えばニトリラーゼ構造遺伝子の発現が誘導剤によって行われる場合には所定の誘導剤を用いてその発現を誘導し、ニトリラーゼを得ることができる。菌体あるいは菌懸濁液等から構造遺伝子がコードする有用タンパク質等を採取する方法は、当分野で通常行われている方法と同様なものであり、宿主に応じて適宜選択される。例えば大腸菌を宿主とした場合には、産生されたタンパク質は菌体外に出ず封入体となって存在する場合があり、そのような時には、界面活性剤等を用いて細胞を破壊する必要がある。一方放線菌を宿主とした場合には菌体外に分泌される場合があるので培養上清から採取することができる。ニトリラーゼの産生を確認するために、例えば次のような方法が挙げられる。まず形質転換体を培養し、菌懸濁液を得、当該菌懸濁液に基質であるベンゾニトリルを添加する。ニトリラーゼ遺伝子が発現した場合には、産生されたニトリラーゼの働きによってベンゾニトリルは安息香酸に変換される。従ってその生成の有無によりニトリラーゼ遺伝子の発現を確認することができる。
【0026】
本発明は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、ロドコッカス属以外の放線菌宿主内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする、ニトリラーゼ構造遺伝子発現系、ならびに当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法を提供する。この発現系ならびに生産方法を構成する各要素あるいは各ステップの詳細は上記したとおりである。
【0027】
構造遺伝子が、ニトリラーゼ遺伝子の場合には、本発明のDNA構築物は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーター、ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子とともに、例えばpNJ10から得ることもできるが、ニトリラーゼ遺伝子以外の構造遺伝子を含める場合にはマルチクローニングサイトを利用することができる(勿論ニトリラーゼ遺伝子であってもマルチクローニングサイトを利用して挿入することができる)。構造遺伝子の発現を確認する方法は、所望の構造遺伝子がコードするタンパク質の特性に応じて適宜決定する。酵素をコードする遺伝子であればその酵素活性を測定することによって確認できる。
【0028】
「ロドコッカス属以外の放線菌宿主」とは、上述のように、約110の属を擁する「放線菌」のうち、ロドコッカス属に属さない放線菌であって、例えばストレプトマイセス属、コリネバクテリウム属、ノカルディア属に属する放線菌である。「誘導剤」としては、第1のプロモーターであるニトリラーゼ遺伝子プロモーターを誘導することが可能な物質であれば特に限定されず、例えばε−カプロラクタム、イソブチロニトリル等が挙げられ、いずれも商業的に入手可能である。
【0029】
好ましくはニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流(上述)に第2プロモーター(好ましくはニトリラーゼ遺伝子プロモーター)を設ける。
【0030】
本発明は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物(当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーター(好ましくはニトリラーゼ遺伝子プロモーター)を有する)、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、放線菌宿主内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系ならびに当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法を提供する。この発現系ならびに生産方法を構成する各要素あるいは各ステップの詳細は上記したとおりである。
【0031】
「誘導剤」に関し、第2のプロモーターとしてニトリラーゼ遺伝子プロモーターを用いた場合には第1のプロモーターで例示したものと同様な誘導剤を用いることができ、兼用することもできる。また第2のプロモーターがニトリラーゼ遺伝子プロモーターではなく別の誘導型プロモーターである場合にはそのプロモーターに適した誘導剤を用いるが、例えばチオストレプトン誘導プロモーターを用いた場合にはチオストレプトンが誘導剤として用いられる。
【0032】
これらの発現系ならびに生産方法において、構造遺伝子の発現を確認する方法は、所望の構造遺伝子がコードするタンパク質の特性に応じて適宜決定する。酵素をコードする遺伝子であればその酵素活性を測定することによって確認できる。例えばニトリラーゼ遺伝子の発現の確認は、上記のようにベンゾニトリルの安息香酸への変換を指標として行うことができる。
【0033】
さらに、本発明は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物を導入したロドコッカス属以外の放線菌宿主内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系ならびに当該構造遺伝子にコードされる遺伝子産物を生産する方法を提供する。この発現系ならびに生産方法を構成する各要素あるいは各ステップの詳細、発現を確認する方法等は上記したとおりである。
【0034】
また、本発明は、ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含むDNA構築物(当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流に第2プロモーターを有する)を導入した放線菌宿主内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系ならびに当該構造遺伝子にコードされる遺伝子産物を生産する方法を提供する。この発現系ならびに生産方法を構成する各要素あるいは各ステップの詳細、発現を確認する方法等は上記したとおりである。
【0035】
以下に、本発明のベクターならびにそれを用いた発現系についての一実施態様を説明する(図1)。
【0036】
(1)pSH011の構築
まず、pIJ487(が保持するfd−ter)を鋳型として、MluIサイトを付加したプライマー(5’-CGACGCGTTCCCCGCAAAAGCGGCCTTT-3’ [28mer]:配列表配列番号1)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-GAAGATCTTCTAAAGTTTTGTCGTCTTT-3’ [28mer]:配列表配列番号2)とでPCRを行い、増幅した断片をpUC19のHincIIサイトにアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)と同じ向きになるように挿入し、pSH011を構築する。
(2)pSH012の構築
別にpNJ10(が保持するnitR)を鋳型として、BamHIサイトを付加したプライマー(5’-CGGGATCCACGGCTACCCTGAAAAGAGC-3’ [28mer]:配列表配列番号3)とSpeIサイトを付加したプライマー(5’-GGACTAGTCCGGGCTCTTCCTACGAAAC-3’ [28mer]:配列表配列番号4)とでPCRを行い、増幅した断片を上記(1)で得られたpSH011のSmaIサイトにアンピシリン耐性遺伝子と同じ向きになるように挿入し、pSH012を構築する。
(3)pSH014の構築
別にpNJ10(が保持するnitAプロモーター)を鋳型として、BamHIサイトを付加したプライマー(5’-CGGGATCCGCGAACTCCCTTATGCGGGT-3’ [28mer]:配列表配列番号5)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-GAAGATCTGTTGCTTGTGTTTGGCAGGA-3’ [28mer]:配列表配列番号6)とでPCRを行い、増幅した断片をBamHIとBglIIで切断後、BamHIとBglIIで切断したpSH012(上記(2)で得られる)にfd−ter、nitRと同じ向きになるように挿入し、pSH014を構築する。この向きで挿入した場合には結合サイトがどちらもBamHI/BglIIになる。
【0037】
(4)pSH021の構築
これとは別に、pNJ10(が保持するnitAプロモーター)を鋳型として、XhoIサイトを付加したプライマー(5’-CGCTCGAGGCGAACTCCCTTATGCGGGT-3’ [28mer]:配列表配列番号7)とEcoT22I/SpeI/MluI/BglIIサイトを付加したプライマー(5’-CGATGCATACTAGTACGCGTAGATCTGTTGCTTGTGTTTGGCAGGACAGTACGAGG-3’ [56mer]:配列表配列番号8)とでPCRを行い、増幅した断片をpUC19のHincIIサイトにアンピシリン耐性遺伝子と同じ向きになるように挿入し、pSH021を構築する。
(5)pSH022の構築
pIJ487(が保持するfd−ter)を鋳型として、PstI/Bsp1407Iサイトを付加したプライマー(5’-AACTGCAGTGTACATCCCCGCAAAAGCGGCCTTT-3’ [34mer]:配列表配列番号9)とXhoIサイトを付加したプライマー(5’-CCGCTCGAGTCTAAAGTTTTGTCGTCTTT-3’ [29mer]:配列表配列番号10)とでPCRを行い、増幅した断片をPstIとXhoIで切断後、PstIとXhoIで切断したpSH021(上記(4)で得られる)にfd−terと同じ向きになるように挿入し、pSH022を構築する。
(6)pSH019の構築
pUC19を鋳型として、BglIIサイトを付加したプライマー(5’-CAACAAGATCTGAATTCGAGCTCGGTACC-3’ [29mer]:配列表配列番号11)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-CGAGAAGATCTAAGCTTGCATGCCTGCAG-3’ [29mer]:配列表配列番号12)とでPCRを行い、増幅した断片をBglIIで切断後、BglIIで切断したpSH022(上記(5)で得られる)に(pSH022のnitAプロモーターの転写方向に対し、HindIIIがEcoRIよりも上流に来る向きで)挿入し、pSH019を構築する。
【0038】
(7)pSH031の構築
上記(3)で得られたpSH014をMluIとSpeIで切断した小断片(=fd−ter、nitAプロモーター、nitRを持つ断片)をMluIとSpeIで切断したpSH019(上記(6)で得られる)に挿入し、pSH031を構築する。
(8)pSH19の構築
上記(7)で得られたpSH031をBsp1407IとEcoT22Iで切断し、fd−ter、nitAプロモーター、マルチクローニングサイト(以下、単にMCSともいう)、fd−ter、nitAプロモーター、nitRを持つ断片と、pIJ487をAcc65IとPstIで切断して得られる放線菌でのプラスミド複製領域とチオストレプトン耐性遺伝子を有する断片とを連結し、本発明のベクターであるpSH19を得る(図2)。
結果、得られるpSH19は、セレクションマーカーとしてストレプトマイセス属放線菌で頻繁に用いられるチオストレプトン耐性遺伝子を持ち、BglIIサイトに加え、pUC19のマルチクローニングサイトにあり、付着末端を生じる制限酵素すべてが使え、発現ベクターを構築しやすい利点を有する。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
尚、以下の各実施例において、特に記載のない限り、制限酵素による消化反応や、ライゲーション反応、それらの反応の確認等、通常組換えベクターを作製する際に用いられる材料および試薬は商業的に入手可能であり、また各反応の条件(反応温度、反応pH、バッファーの塩濃度、反応時間等)は、使用する酵素等に応じて適宜決定することができ、それらの製造元の推奨に従う。
【0040】
実施例1 ニトリラーゼ誘導発現系の検討
(1)ニトリラーゼ遺伝子および転写調節タンパク質遺伝子を含むプラスミドの作製(図3参照)
ロドコッカス・ロドクロウスJ1株のニトリラーゼ遺伝子断片を含むプラスミドから当該遺伝子断片を切り出し、これを放線菌用プロモーター検索ベクターpIJ487のPstI部位に挿入することにより組換え体プラスミドを作製した。また、前記のPstI断片よりも短い領域を挿入したプラスミドも作製した。
【0041】
まず、ロドコッカス・ロドクロウスJ1株のニトリラーゼ遺伝子を含む5.4kbのPstI断片をベクターに挿入して得られたプラスミドpNJ10(非特許文献2参照)から、5.4kbのPstI断片を切り出し、PstIで切断したpBluescript SK+に連結し、5.4kbのPstI断片中のNheIサイトがpBluescript SK+中のXbaIサイトと近くなる方向で挿入されたプラスミドpSK+10を構築した(5.4kbのPstI断片中の詳細な制限酵素サイトに関しては、非特許文献1参照)。
【0042】
また、pNJ10から、3.6kbのPstI−EcoT22I断片を切り出し、PstIで切断したpBluescript SK+に連結し、3.6kbのPstI−EcoT22I断片中のNheIサイトがpBluescriptSK+中のXbaIサイトと近くなる方向で挿入されたプラスミドpSK+20を構築した。
【0043】
さらに、pNJ10から、2.8kbのPstI−NaeI断片を切り出し、PstI−HincIIで切断したpBluescript SK+に連結し、pSK+30を構築した。
【0044】
pSH10は、pSK+10から、(nitAプロモーター、nitA、nitRを含む)XbaI−HindIII断片を切り出し、同じ制限酵素で切断した放線菌用プロモーター検索ベクターpIJ487(Genetic manipulation of Streptomyces: a laboratory manual. (Hopwood, D. A., M. J. Bibb, K. F. Chater, T. Kieser, C. J. Bruton, H. M. Kieser, D. J. Lydiate, C. P. Smith, J. M. Ward, and H. Schrempf. 1985. The John Innes Foundation, Norwich, United Kingdom.))と連結して構築した。
pSH20はpSK+20から、(nitAプロモーター、nitA、nitRを含む)XbaI−HindIII断片を切り出し、同じ制限酵素で切断したpIJ487と連結して構築した。
pSH30はpSK+30から、(nitAプロモーター、nitAを含む)XbaI−HindIII断片を切り出し、同じ制限酵素で切断したpIJ487と連結して構築した。pSH30は、転写調節タンパク質NitRのC末端側が欠失している。
pSH40は、ニトリラーゼ遺伝子とその調節タンパク質を全て含み、ニトリラーゼ遺伝子上流のNheIサイトよりもさらに上流域を欠失させたもので、pSK+20から、(nitAプロモーター、nitA、nitRを含む)NheI−HindIII断片を切り出し、XbaI−HindIIIで切断したpIJ487と連結することにより構築した。
pSH50はpSK+30から、(nitAプロモーター、nitAを含む)NheI−HindIII断片を切り出し、XbaI−HindIIIで切断したpIJ487と連結して構築した。
【0045】
(2)ストレプトマイセス属形質転換体の作製およびニトリラーゼ活性測定
上記(1)で得られた各プラスミドをストレプトマイセス属放線菌の一種であるストレプトマイセス・リビダンス(S. lividans)TK24株(Genetic manipulation of Streptomyces: a laboratory manual. 1985. 上述)に導入した。形質転換は、Genetic manipulation of Streptomyces: a laboratory manual. (上述)に書かれている方法(プロトプラストポリエチレングリコール融合法)に従って行った。YEME培地(酵母エキス0.3%、バクトペプトン0.5%、麦芽エキス0.3%、グルコース1%、スクロース34%、MgCl2 5mM、グリシン0.5%)に植菌し28℃で振盪培養、96時間後に誘導剤として0.1%ε−カプロラクタムを添加し(誘導剤非添加を比較対照とした)、さらに24時間振盪培養を行った。
【0046】
培養液より遠心分離により集菌した菌体は、10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で洗浄後、1mMジチオスレイトールを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁した。超音波で菌体を破砕し遠心分離した上清(無細胞抽出液)を用いてSDS−PAGEを行い、ニトリラーゼの発現を確認した。ニトリラーゼ活性測定は以下のように行った。適当に水で希釈した無細胞抽出液0.25mLに、0.1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を0.25mL、12mMのベンゾニトリルを0.5mLそれぞれ加え、20℃にて10分間反応後、1N HClを0.1mL加えることにより反応を停止させた。酵素反応により生成した安息香酸をHPLCにより分析した。SDS−PAGEの結果ならびにニトリラーゼ活性測定の結果を図4に示す。
【0047】
(3)結果
SDS−PAGE(41.5kD)、酵素活性測定の双方において、pSH10、pSH20およびpSH40において顕著なニトリラーゼの発現が誘導的に起こっているのが分かる。このことから、ロドコッカス属放線菌のタンパク質がストレプトマイセス属放線菌の転写・翻訳系でも発現すること、並びに、ロドコッカス由来の発現調節機構がストレプトマイセスにおいても機能することが明らかとなった。NitRのC末端側を欠失させたpSH30およびpSH50においてはニトリラーゼの発現がほとんど確認されないことから、ストレプトマイセス属放線菌において発現調節機構が機能する際に、転写調節タンパクNitRの存在が不可欠であることがわかる。また、誘導剤添加時には、nitAプロモーターのすぐ下流に存在するnitAのみならずさらに下流に存在するnitRもタンパク質として発現していた。このことから当該発現系はプロモーターよりかなり離れた遺伝子でも発現させることが可能な強い誘導発現系であると考えられる。
以上の結果から、本発現系が機能するにはpSH40に含まれるnitA、nitR領域が必須であることが確認された。また、pSH40を用いて、放線菌ストレプトマイセス・グリセウス(S. griseus)NRRL B−2682株(Journal of Bacteriology, 155: 357-366 (1983))を形質転換し、形質転換体を得た。YEME培地に植菌し28℃で振盪培養、72時間後に誘導剤として0.1%ε−カプロラクタムを添加し(誘導剤非添加を比較対照とした)、さらに24時間振盪培養を行った。ストレプトマイセス・リビダンスTK24株と同様に、誘導的にニトリラーゼの発現がSDS−PAGE(41.5kD)、酵素活性測定の双方において確認できた。
【0048】
また、ストレプトマイセス属のニトリラーゼ発現系において、その発現量に誘導剤の濃度が影響するかを調べたところ、誘導剤の濃度を上昇させるにつれてニトリラーゼの発現量が増加する傾向にあることを確認した。発現量が誘導剤の濃度に依存的であるというこの性質は、制御可能な発現系を開発するにあたって、非常に有利である。
【0049】
実施例2 新規誘導発現系の開発
(1)pSH011の構築
まず、pIJ487(が保持するfd−ter)を鋳型として、MluIサイトを付加したプライマー(5’-CGACGCGTTCCCCGCAAAAGCGGCCTTT-3’ [28mer]:配列表配列番号1)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-GAAGATCTTCTAAAGTTTTGTCGTCTTT-3’ [28mer]:配列表配列番号2)とでPCRを行い、増幅した断片をpUC19(宝酒造)のHincIIサイトにアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)と同じ向きになるように挿入し、pSH011を構築した。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
(2)pSH012の構築
別にpNJ10(が保持するnitR)を鋳型として、BamHIサイトを付加したプライマー(5’-CGGGATCCACGGCTACCCTGAAAAGAGC-3’ [28mer]:配列表配列番号3)とSpeIサイトを付加したプライマー(5’-GGACTAGTCCGGGCTCTTCCTACGAAAC-3’ [28mer]:配列表配列番号4)とでPCRを行い、増幅した断片を上記(1)で得られたpSH011のSmaIサイトにアンピシリン耐性遺伝子と同じ向きになるように挿入し、pSH012を構築した。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
(3)pSH014の構築
別にpNJ10(が保持するnitAプロモーター)を鋳型として、BamHIサイトを付加したプライマー(5’-CGGGATCCGCGAACTCCCTTATGCGGGT-3’ [28mer]:配列表配列番号5)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-GAAGATCTGTTGCTTGTGTTTGGCAGGA-3’ [28mer]:配列表配列番号6)とでPCRを行い、増幅した断片をBamHIとBglIIで切断後、BamHIとBglIIで切断したpSH012(上記(2)で得られる)にfd−ter、nitRと同じ向きになるように挿入し、pSH014を構築した。この向きで挿入した場合には結合サイトがどちらもBamHI/BglIIになる。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
【0050】
(4)pSH021の構築
これとは別に、pNJ10(が保持するnitAプロモーター)を鋳型として、XhoIサイトを付加したプライマー(5’-CGCTCGAGGCGAACTCCCTTATGCGGGT-3’ [28mer]:配列表配列番号7)とEcoT22I/SpeI/MluI/BglIIサイトを付加したプライマー(5’-CGATGCATACTAGTACGCGTAGATCTGTTGCTTGTGTTTGGCAGGACAGTACGAGG-3’ [56mer]:配列表配列番号8)とでPCRを行い、増幅した断片をpUC19のHincIIサイトにアンピシリン耐性遺伝子と同じ向きになるように挿入し、pSH021を構築した。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
(5)pSH022の構築
pIJ487(が保持するfd−ter)を鋳型として、PstI/Bsp1407Iサイトを付加したプライマー(5’-AACTGCAGTGTACATCCCCGCAAAAGCGGCCTTT-3’ [34mer]:配列表配列番号9)とXhoIサイトを付加したプライマー(5’-CCGCTCGAGTCTAAAGTTTTGTCGTCTTT-3’ [29mer]:配列表配列番号10)とでPCRを行い、増幅した断片をPstIとXhoIで切断後、PstIとXhoIで切断したpSH021(上記(4)で得られる)にfd−terと同じ向きになるように挿入し、pSH022を構築した。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
(6)pSH019の構築
pUC19を鋳型として、BglIIサイトを付加したプライマー(5’-CAACAAGATCTGAATTCGAGCTCGGTACC-3’ [29mer]:配列表配列番号11)とBglIIサイトを付加したプライマー(5’-CGAGAAGATCTAAGCTTGCATGCCTGCAG-3’ [29mer]:配列表配列番号12)とでPCRを行い、増幅した断片をBglIIで切断後、BglIIで切断したpSH022(上記(5)で得られる)に(pSH022のnitAプロモーターの転写方向に対し、HindIIIがEcoRIよりも上流に来る向きで)挿入し、pSH019を構築した。
PCR条件:
94℃(30sec)→53℃(30sec)→68℃(60sec)を25サイクル
【0051】
(7)pSH031の構築
上記(3)で得られたpSH014をMluIとSpeIで切断した小断片(=fd−ter、nitAプロモーター、nitRを持つ断片)をMluIとSpeIで切断したpSH019(上記(6)で得られる)に挿入し、pSH031を構築した。
(8)pSH19の構築
上記(7)で得られたpSH031をBsp1407IとEcoT22Iで切断し、fd−ter、nitAプロモーター、マルチクローニングサイト(以下、単にMCSともいう)、fd−ter、nitAプロモーター、nitRを持つ断片と、pIJ487をAcc65IとPstIで切断して得られる放線菌でのプラスミド複製領域とチオストレプトン耐性遺伝子を有する断片とを連結し、pSH19を得た(図2)。また、pSH19の発現系のモデル図を図5に示す。
【0052】
(9)pSH19の機能確認
構築した発現ベクターpSH19が実際に機能するかどうかを調べるために、ニトリラーゼ遺伝子(nitA)を鋳型とし、HindIIIサイトと放線菌用のSD配列を付加したプライマー(5'-GCCAAAGCTTAGCAACGGAGGTACGG -3' [26mer]:配列表配列番号13)とPstIサイトを付加したプライマー(5'- CGCTGCAGTCAGATGGAGGCTGTCG-3' [25mer]:配列表配列番号14)でPCRを行い増幅した断片をHindIIIとPstIで切断後、pSH19のMCS中のHindIIIとPstIに連結し、ニトリラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子とする発現ベクター(pSH19−SDnitA)を構築した。放線菌ストレプトマイセス・リビダンスTK24株へ導入した形質転換体について、YEME培地にて誘導剤ε−カプロラクタム添加の有無でニトリラーゼの発現を確認した。その結果、誘導剤の添加により誘導的にニトリラーゼが発現しており、SDS−PAGEで見ても過剰発現しているバンドが確認できたことから、本発明のベクターpSH19が誘導型高発現ベクターとして十分機能し得る事が明らかとなった。
【0053】
【発明の効果】
ロドコッカス属放線菌由来の誘導型高発現系がストレプトマイセス属放線菌等の他の属の放線菌においても機能することを明らかにすることによって、各種有用物質の生産菌として工業的に広く利用されている種々の微生物への当該発現系の応用が可能となる。さらにマルチクローニングサイトを導入した発現系や、2つのプロモーターの制御下にある発現系の開発は、ニトリラーゼ以外の有用タンパク質の大量発現系を可能にするものであり、抗生物質・生理活性物質の生産、有用酵素の生産等を必須とする各分野に極めて有用である。
【0054】
【配列表】
Figure 0004180862
Figure 0004180862
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発現ベクターの構築方法の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の新規な誘導型高発現ベクターを表す図である。
【図3】nitAプロモーター、nitA遺伝子およびnitR遺伝子を含む発現ユニットの一部を欠失する種々プラスミドベクターの構成を示す図である。
【図4】図4Aは、pSH10、pSH20、pSH30、pSH40またはpSH50で形質転換したストレプトマイセス属放線菌より産生されたニトリラーゼタンパク質をそれぞれSDS−PAGEによって解析した結果を示す図である。図4Bは、pSH10、pSH20、pSH30、pSH40またはpSH50で形質転換したストレプトマイセス属放線菌より産生されたニトリラーゼタンパク質の活性を調べた結果を示す表である。
【図5】本発明の新規誘導発現系のモデル図である。

Claims (22)

  1. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、ニトリラーゼ構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とする、DNA構築物。
  2. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、クローニングサイトおよびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物。
  3. 第1プロモーターがロドコッカス属由来のニトリラーゼ遺伝子プロモーター、転写調節タンパク質がロドコッカス属由来のニトリラーゼ転写調節タンパク質、第2プロモーターがロドコッカス属由来のニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、請求項1又は2のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  4. 第1プロモーターがロドコッカス・ロドクロウスJ1株由来のニトリラーゼ遺伝子プロモーター、転写調節タンパク質がロドコッカス・ロドクロウスJ1株由来のニトリラーゼ転写調節タンパク質、第2プロモーターがロドコッカス・ロドクロウスJ1株由来のニトリラーゼ遺伝子プロモーターである、請求項1又は2のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  5. さらに第1および/または第2プロモーターの上流にターミネーター領域を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のDNA構築物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクター。
  7. さらに放線菌以外の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAを機能的に含む請求項6に記載のベクター。
  8. 放線菌が、ロドコッカス属に属するもの以外である請求項6に記載のベクター。
  9. 放線菌がストレプトマイセス属に属するものである請求項6に記載のベクター。
  10. 放線菌以外の菌が大腸菌である請求項7に記載のベクター。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
  12. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターによって形質転換された放線菌に属する形質転換体。
  13. 構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、請求項12に記載の形質転換体。
  14. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入されてなる、放線菌に属する形質転換体。
  15. 構造遺伝子がニトリラーゼである、請求項14に記載の形質転換体。
  16. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを、放線菌宿主内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
  17. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入した放線菌宿主内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする、構造遺伝子発現系。
  18. 構造遺伝子がニトリラーゼ構造遺伝子である、請求項16又は17のいずれか1項に記載の構造遺伝子発現系。
  19. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物、および放線菌の菌体内での自律複製を司る機能に関与するDNAをそれぞれ機能的に含むベクターを放線菌内で誘導剤の制御下に発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
  20. 構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、請求項19に記載の生産方法。
  21. ニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第1プロモーター、構造遺伝子およびニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子を含み、当該ニトリラーゼ転写調節タンパク質遺伝子の上流にニトリラーゼ遺伝子プロモーターである第2プロモーターを有することを特徴とするDNA構築物を導入した放線菌内で、誘導剤の制御下に当該構造遺伝子を発現させることを特徴とする当該構造遺伝子にコードされた遺伝子産物の生産方法。
  22. 構造遺伝子がニトリラーゼ遺伝子である、請求項21に記載の生産方法。
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