JP2539901B2 - ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖 - Google Patents

ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖

Info

Publication number
JP2539901B2
JP2539901B2 JP63323635A JP32363588A JP2539901B2 JP 2539901 B2 JP2539901 B2 JP 2539901B2 JP 63323635 A JP63323635 A JP 63323635A JP 32363588 A JP32363588 A JP 32363588A JP 2539901 B2 JP2539901 B2 JP 2539901B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bgl
dna
bialaphos
strain
resistance gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63323635A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02171188A (ja
Inventor
清 平澤
輝彦 寺川
健 玉村
聖 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokko Chemical Industry Co Ltd filed Critical Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP63323635A priority Critical patent/JP2539901B2/ja
Publication of JPH02171188A publication Critical patent/JPH02171188A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2539901B2 publication Critical patent/JP2539901B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はビアラホス耐性遺伝子に関する。より詳しく
は、本発明はビアラホス耐性遺伝子を植物ゲノム中に組
み込むことによりビアラホスの薬害を回避したビアラホ
ス耐性植物育種のために有用である。
従来、放射菌は、抗生物質をはじめとする有用物質の
生産菌として微生物工業に於いて広く使用されている最
も重要な微生物である。組換えDNA技術を放線菌の育種
或いはその遺伝的性質の解明に利用できれば、産業上極
めて価値のある成果が期待できる。特に抗生物質耐性遺
伝子は、組換えDNA技術の活用に必要な宿主−ベクター
系を構築する上で有力な選択的マーカーとなっており産
業上有用である。またビアラホス耐性遺伝子の種々多様
のものを提供することは、遺伝子発現の解明など組換え
DNA技術の応用面で適用範囲を拡大することにつながり
産業上有用である。
ビアラホスは放線菌ストレプトミセス・ビリドクロモ
ゲネスT494およびその変異株DSM4112並びにストレプ
トミセス・ハイグロスコピカスSF−1293(ATCC21705)
により産出される抗生物質であり、その化学名はホスフ
ィノスリシル−アラニル−アラニンである。ビアラホス
は抗菌活性もあるがそれよりも強力な殺草活性を有する
ため非選択性の除草剤として広く使用されている。その
作用機序はビアラホスが植物体に吸収された後、加水分
解され生成したホスフィノスリシンによってグルタミン
合成酵素が阻害され、植物体内に有害なNH3が蓄積する
ことにより植物が枯死する。ビアラホス耐性遺伝子は、
前述したビアラホス産生放線菌[Mol,Gen.Gent」205,42
−50(1986)、特開昭63−71183号公報、「The EMBO Jo
urnal」.(9),2519−2523(1987)、及び「Gene」
63,65−74(1988)]より、自己耐性遺伝子としてそれ
ぞれクローニングイされている。これらのビアラホス耐
性遺伝子は、いずれもホスフィノスリシンをN−アセチ
ル化するトランスフェラーゼをコードしている。
本発明のビアラホス耐性遺伝子を保有するDNA鎖もホ
スフィノスリシンをアセチル化する酵素をコードしてい
るが、その供与菌である放線菌AB2253株は、菌学的にビ
アラホス産出菌である放線菌ストレプトミセス・ビリド
クロモゲネスT494およびその変異株DSM4112並びにス
トレプトミセス・ハイグロスコピカスSF−1293(ATCC21
705)と異なっており、本発明によるビアラホス耐性遺
伝子の本体も添付図面の第2図に示した制限酵素切断地
図及び第3図の塩基配列から判断して、明らかに前述の
公知の遺伝子と異なる。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、本出願人が保存している放線菌であっ
て放線菌AB2253株と命名した菌がビアラホスの存在下で
も生育でき、すなわちビアラホスに耐性であることを知
見したので、この菌株の細胞はビアラホス耐性遺伝子を
有する可能性があると推測して研究を進めていた。そし
て、今回、研究の結果として、この菌株の細胞中の全DN
A(染色体DNA及びプラスミドDNAを含めて)を制限酵素B
gl IIで切断したDNA断片の混合物のうちから、ビアラホ
ス耐性遺伝子を内部に保有するDNA断片を選択的にハイ
ブリッドプラスミドに組込み且つクローニングすること
に成功した。
従って、本発明によると、ビアラホスに耐性の放線菌
AB2253株に由来の全DNAを制限酵素Bgl IIで切断して得
た分子量約2.8kbを有するBgl II切断DNAフラグメント
と、ストレプトミセス・リビダンスに由来のpIJ703プラ
スミドDNAを制限酵素Bgl IIで切断して得たBgl II切断D
NAフラグメントとを連結して構築されて且つ添付図面の
第1図の制限酵素地図に示した制限酵素切断サイトを有
す且つ分子量約8.5kbを有するハイブリッドプラスミドp
BRA1中における放線菌AB2253株に由来の分子量約2.8kb
のBgl II切断DNAフラグメント〔添〔添付図面第1図のB
gl II(1)からBgl II(9)までの領域のDNA鎖に相
当〕であることを特徴とするビアラホス耐性遺伝子を内
部に保有するDNA鎖が提供される。
また、本発明の一つの実施態様としては、前記のハイ
ブリッドプラスミドpBRA1中における放線菌AB2253株に
由来の請求項第1項記載の分子量約2.8kbを有するBgl I
I切断DNAフラグメント中に存在し、添付図面の第2図に
示したEcoRI(6)からBgl II(9)までの領域におけ
る制限酵素切断サイトを有し、かつ添付図面の第3図に
示した塩基配列を有し、内部にビアラホス耐性遺伝子を
保有する分子量0.823kbのEcoR I−Bgl II切断DNAフラグ
メントであることを特徴とするDNA鎖が提供される。
本発明者らにより見出されたビアラホス耐性遺伝子
は、下記の性質を有するものである。
(1)この遺伝子は、放線菌AB2253株由来の全DNAを制
限酵素Bgl IIで切断して得られる分子量約2.8kbのBgl I
I切断DNAフラグメント中に含有された。
(2)この遺伝子を含む前記の約2.8kbのDNAフラグメン
トをプラスミドpIJ 703 DNAと連結して構築されたハイ
ブリッドプラスミドpBRA1、分子量8.5kbであり、これの
制限酵素切断地図は、添付図面の第1図に示す通りであ
る。
(3)この遺伝子は、前記の約2.8kbのDNAフラグメント
内の第1図の矢印で示したEcoR I(6)−Bgl II(9)
の0.823kbの領域に存在し、第1図の矢印の方向に転写
される。
(4)この遺伝子が存在する前記の0.823kbの領域のDNA
フラグメントの制限酵素切断地図は、添付図面の第2図
に示す通りである。
(5)この遺伝子が存在する前記の0.823kbの領域のDNA
フラグメントの塩基配列は、添付図面の第3図に示す通
りであり、823塩基が存在する。
(6)この遺伝子は、ホスフィノスリシンをアセチル化
する酵素をコードする。
本発明に用いるビアラホス耐性の放線菌AB2253株の選
択は下記の通り行われた。
本発明のビアラホス耐性遺伝子の供与菌AB2253菌株は
次の方法により選択された放線菌AB2253株である。すな
わち、グルコース1%、L−アスパラギン0.2%、NaCl
0.03%、MgSO4・7H2O0.05%、K2HPO40.05%、微量元素
溶液0.5%(v/v)(水1中にZnCl240mg、FeCl3・6H2O
200mg、CuCl2・2H2O20mg、MnCl2・4H2Omg、(NH46Mo7
O24・4H2O20mg、CoCl2・6H2O20mg、CaCl2・2H2O100mgを
含む)、バクトアガー1.8%なる組成の培地にビアラホ
スを50μg/mlになるように加えた培地20mlを直径9cmの
プラスチックシャーレに入れ固化させた寒天培地を選択
培地に用いた。
この培地に、出願人が保存する放線菌を約500株を接
種し、27℃で7日間培養したのち、各菌の生育状態を調
査した。そして選択培地上で生育の可能な菌としてAB22
53株を選別した。
本発明の遺伝子の誘導に使用されるビアラホス耐性遺
伝子保持菌としては、その菌体中に分離できる特性を有
するものが用いられる。このような菌株の例としては、
本発明者らによって富山県下新川郡の林の土壌より分離
された放線菌AB2253株がある。この菌株の菌学的性状は
次に示す通りである。
1) AB2253株の形態学的特徴:表1に示す 2) AB2253株の培養性状(27℃、14日間培養):表2
に示す。
3) AB2253株の生理学的性質:表3に示す。
以上の結果から、AB2253株は形態学的特徴、培養性
状、生理学的性状および炭素源の資化性の点で、放線菌
に属する一菌株と同定した。
この放線菌AB2253株は微工研、すなわち通産省工業技
術院微生物技術研究所に微工研菌寄第10271号(FERM P
−10271)として寄託してある。
本発明において、ビアラホス耐性遺伝子のクローニン
グは下記の通り行われた。
放線菌において有用遺伝子をクローニングする際しば
しば用いられる宿主−ベクター系を用い、すなわち宿主
としてストレプトミセス・リビダンスを用い、ベクター
としてチオストレプトン耐性遺伝子とメラニン産出遺伝
子の2つの選択マーカーを有するpIJプラスミド(本発
明ではBgl II切断サイトを1個所もち且つ分子量5.7kb
をもつプラスミドpIJ703を用いた)を用いる系を利用し
て、放線菌AB2253株の全DNAからビアラホス耐性遺伝子
をショットガン(shot−gun)法によりクローニングし
た。その結果、ビアラホス耐性を獲得した形質転換株よ
り本発明のDNA鎖を含む分子量8.5kbのハイブリッドプラ
スミドpBRA1を分離することに成功したのである。
次に本発明を実施例について具体的に説明する。
実施例 i)ハイブリッドプラスミドの作成 ビアラホス耐性の放線菌AB2253株(微工研菌寄第1027
1号)を、1%グルコース、0.4%ポリペプトン(大五栄
養化学株式会社製)、0.4%イーストエキス(Difco社
製)、0.05%MgSO2・7H2O、0.1%K2HPO40.05%グリシン
よりなる組成の培地25mlを分注した100ml容量の坂口フ
ラスコにて27℃で3日間培養したのち、この培養液2ml
を、0.4%グリセロール、0.2%ポリペプトン(大五栄養
化学株式会社製)、0.4%イーストエキス(Difco)、0.
05%MgSO4・7H2O、0.2%KH2HPO4、0.8%Na2HPO4・12H
2O、0.2%グリシンよりなる組成の培地100mlを分注した
500ml容坂口フラスコに加え、27℃でさらに2日間培養
し、培養液を3000回転、15分間遠心分離して菌体を集め
た。次に、この菌体から岡西らの公知の方法〔「J.Bact
eriol.」104,1086−1094(1970)〕にならって全DNAを
抽出精製し、供与体DNAとした。
このように得た供与体DNA5μgを50mM Tris−HCl(pH
7.4)、10mM MgCl2、100mM NaClよりなる組成の緩衝液5
0μ中で、制限酵素Bgl II20単位と37℃で2時間反応
させてDNAフラグメントを得た。
一方、ストレプトミセス・リビダンス3131(ATCC3528
7)の菌体より抽出精製したプラスミドpIJ703DNA1μg
を、50mM Tris−HCl(pH7.4)、10mM MgCl2、100mM NaC
lよりなる組成の緩衝液50μ中で制限酵素Bgl II20単
位と37℃で2時間反応させてDNAフラグメントを得た。
この両者のフラグメントを混合し、3M 酢酸ナトリウム
溶液(酢酸でpH5.2に調整)10μを加え、さらに冷エ
タノールを2倍量加えて、−20℃で一夜保置したのち、
10,000回転で10分間遠心分離し、DNAを沈澱物として回
収した。
回収したDNAを減圧下で乾燥し、10mM Tris−HCl(pH
7.6)、10mM NaCl、1mM EDTA・2Naよりなる組成の緩衝
液100μに溶解した。このDNA溶液を68℃で7分間加熱
処理したのち、室温に2時間保置し、660mM Tris−HCl
(pH7.6)、66mM MgCl2100mMジチオスレイトール、5mM
ATPからなる緩衝液10μとT4 DNAリガーゼ0.5μ(37
5単位) とを加え、4℃で一夜、DNAフラグメントの連結反応を
行った。このようにしてプラスミドpIJ703のBgl II切断
DNAフラグメントに、放線菌AB2253株の全DNAのBgl II切
断DNAフラグメントを組み込んだ各種のハイブリドプラ
スミドの混合物を得た。
ii)ビアラホス耐性遺伝子の検出とクローニングこのよ
うにして得たハイブリッドプラスミド混合物を用い、宿
主であるストレプトミセス・リビダンスのプロトプラス
トを形質転換し、ビアラホス耐性となった形質転換株を
選別して、この菌体からハイブリッドプラスミドpBRA1
を単離することにより本発明のビアラホス耐性遺伝子を
保有するDNA鎖がクローニングされている。
なお、宿主として用いたストレプトミセス・リビダン
スは、プロトプラストの再生によりプラスミドpIJ702を
除去したストレプトミセス・リビダンス3131であり、昭
和60年に国立予防衛生研究所抗生物質部より入手したも
のである(小島ら「J.Antibiotics」38(3),390−40
0)。
ストレプトミセス・リビダンスの上記プロトプラスト
の調整は、下記の通り行った。ストレプトミセス・リビ
ダンスを1%グルコース,0.4%ポリペプトン(大五栄養
化学株式会社製)、0.4%イーストエキス(Difco社
製)、0.05%MgSO4・7H2O、0.1%K2HPO4、0.05%グリシ
ンよりなる培地25mlに接種し、長さ1.5cm、直径1cmのス
テンレス製スプリングを入れて27℃、2日間培養後、そ
の培養液2mlを、1%グルコース、0.3%イーストエキス
(Difco社製)0.5%バクト−ペプトン(Difco社製)、
0.3%マルトエキス(Difco社製)、34%ショ糖、0.1%M
gCl2・6H2O、0.5%グリシンよりなる組成の培地100mlに
加え、さらに27℃、2日間培養した。その培養液5mlよ
り8,000回転で10分間遠心分離して菌体を集め、0.5Mシ
ョ糖溶液で洗浄したのち、70mM NaCl、5mM MgCl2、5mM
CaCl2、0.4Mショ糖、25mM Good's TESバッファー(pH
7.2)よりなる組成の緩衝液4mlに懸濁した。その菌懸濁
液に40mg/mlの卵白リゾチーム溶液を100μ加え、30℃
で90分間保温してプロトプラストを形成させた。プロト
プラスト化しない菌体を綿ろ過で除き、3,500回転で10
分間の遠心分離により、プロトプラストを集めた。集め
たプロトプラストを70M NaCl、10mM MgCl2、20mM CaCl
2、0.4Mショ糖、25mM Good's TESバッファー(pH7.2)
よりなる緩衝液(PWP緩衝液)で1回洗浄後、同緩衝液
に約1×109個/mlとなるように懸濁した。
このプロトプラスト懸濁液250μに、前記(i)項
で得たハイブリッドプラスミド混合物の溶液50μと40
%ポリエチレングリコール4,000(和光純薬株式会社
製)溶液300μを加えて、氷中で2分間放置したの
ち、前記のPWP緩衝液を900μを加えてポリエチレング
リコールの濃度を下げた。この混合液を、直径9cmのプ
ラスチック製シャーレに分注し、固化させた寒天培地
(1%グルコース,0.05%KCl、0.01%K2HPO4、0.2%MgC
l2・6H2O、0.07%CaCl2・2H2O 0.1%ポリペプトン(大
五栄養化学株式会社製)、0.4%イーストエキス(Difco
社製),0.05%(v/v)微量元素溶液,25mM Good's TES.
バッファー(pH7.2),1.8%バクトアガー(Difco社製)
に150μずつ塗布して、27℃で10日間培養し、プロト
プラストの再生及び気中菌糸の形成を行った。
なお微量元素溶液とは、水1に、ZnCl240mg、FeCl3
・6H2O200mg、CuCl2・2H2O20mg、MnCl2・4H2O20mg、(N
H46Mo7O24・4H2O20mg、CoCl2・6H2O20mg、CaCl2・2H2
O100mgを含んだ水溶液である。
再生した菌層を、1%グルコース,0.2%L−アスパラ
ギン,0.03%NaCl,0.05%MgSO4・7H2O、0.05%K2HPO4,及
び上記した微量元素溶液0.5%(v/v)、1.8%バクトア
ガーよりなる組成物にチオペプチン(チオストレプトン
の代替物)及びビアラホスをともに10μg/mlになるよう
に加えて調製した選択培地にレプリカし、27℃で3日間
培養を行ない、生育のよいクローンの2株を選択した。
なお、ビアラホスは除草剤として市販されるビアラホス
水溶剤より抽出精製したものを使用した。
得られた2株のビアラホス耐性株より公知の方法〔Ch
aterら,「Current Topics in Microbiology and Immun
ology」96,69(1982)〕にならってプラスミドを抽出し
た。その結果、この2株は、同じ分子量8.5kbのプラス
ミドを持っていた。これら2株から由来のプラスミドを
夫々に、制限酵素Bgl IIで切断し、0.8%アガロースゲ
ル電気泳動で分析した結果、どちらも、ベクターに用い
たpIJ703のDNA断片に加えて、約2.8kbのDNA断片が検出
された。さらに、前記2株より得たそれぞれのプラスミ
ドを他の制限酵素(Sac I,Sph I,Pst Iなど)で切断し
たときに生じる断片の大きさがいずれも同一であったこ
とから、この2つのプラスミドは同一のプラスミドであ
ることが判明し、プラスミドpBRA1と命名した。
このハイブリッドプラスミドpBRA1を用いて、これを
再度ストレプトミセス・リビダンスに導入させて形質転
換させた。使用した(ベクター)プラスミドのマーカー
であるチオペプチン耐性を基準にして選択された形質転
換株はすべてビアラホス耐性を示した。このようにハイ
ブリッドプラスミドpBRA1を導入させたストレプトミセ
ス・リビダンスのビアラホス耐性形質転換株はストレプ
トミセス・リビダンスLC−1(pBRA−1)と命名し、こ
の菌株は微工研に微工研菌第10272号(FERM P−10272)
として寄託してある。
上記のことから明らかなように、ハイブリッドプラス
ミドpBRA1を導入することによりストレプトミセス・リ
ビダンスをビアラホス耐性に形質転換させることが可能
であった。この事実は、ハイブリッドプラスミドpBRA1
内の放線菌AB2253株由来の分子量約2.8kbのDNA鎖には、
ビアラホス耐性遺伝子がコードされていることを示すも
のである。
(iii)ビアラホス耐性遺伝子のコード領域の判定ビア
ラホス耐性をになう遺伝子のコード領域は第1図のpBRA
1の制限酵素切断地図の矢印で示した約0.8kbのDNAフラ
グメント中に位置する。このことはプラスミドpBRA1か
ら作製された2種の欠失プラスミド(Sac I欠失及びEco
R I欠失)をそれぞれ導入されて保持するとストレプト
ミセス・リビダンスの形質転換株のビアラホス耐性を調
査することにより確認された。それら欠失プラスミド及
びそのプラスミドを保持するストレプトミセス・リビダ
ンスの作出は以下のように行った。pBRA1をSac I及びEc
oR Iで切断したのち、連結酵素T4リガーゼと反応させ、
そのリゲーション混合液を用いてストレプトミセス・リ
ビダンスを形質転換させた。得られたチオペプチンに耐
性な形質転換株のなかから、プラスミドpBRA1より小さ
なプラスミドを保持する株を検索した。すなわち、pBRA
1をSac Iで切断した場合には、0.7kbのDNA断片(第1図
のSac I(8)からSac I(S)の領域)を欠失した分子
量7.8kbのプラスミドを保持する形質転換株が得られ、
またpBRA1をEcoR Iで切断した場合には、0.6kbの断片
(第1図のEcoR I(4)からEcoR I(6)の領域)を欠
失した分子量7.9kbのプラスミドを保持する形質転換株
が得られる。
これらの形質転換株のうち前者はビアラホス耐性を示
さず、一方、後者はビアラホス耐性を示した。このこと
より、欠失部分である第1図の地図中のSac I(8)〜S
acI(S)の領域内にはビアラホス耐性遺伝子のコード
領域の少なくとも一部は存在し、EcoR I(4)〜EcoR I
(6)の領域内にはビアラホス耐性遺伝子のコード領域
は存在しないことが明らかとなり、その結果、ビアラホ
ス耐性遺伝子のコード領域は前記した第1図中に矢印で
示した領域内に位置することが推定される。
(iv)ビアラホス耐性遺伝子の転写方向と塩基配列の解
析 前記した約0.8kbのDNA断片内に存在するビアラホス耐
性遺伝子は、第1図の矢印の方向に転写される。このこ
とは、この約0.8kbのDNA断片を市販のプラスミドベクタ
ーpUC18またはpUC19に組み込んで大腸菌に導入した際の
ビアラホス耐性の発現の様相から確認される。プラスミ
ドベクターpUC18及びpUC19は、いずれも内部にアンピシ
リン耐性遺伝子とlac Z遺伝子の2つの選択マーカーを
持ち、そのlac Z遺伝子のプロモーターの下流にマルチ
プルクローニングサイトと呼ばれる外来DNAの挿入部位
がある。ベクターpUC18とpUC19とでは、そのマルチプル
クローニングサイトの塩基配列が逆向きになっており、
同じDNA断片をlac Z遺伝子のプロモーターに対し逆方向
に挿入することが可能である。またlac Z遺伝子のプロ
モーターは、イソプロピル−β−1−チオガラクトシド
(IPTG)などの誘導物質の存在下でのみ働くという特徴
を持つ。ベクターpUC18およびpUC19に上記の約0.8kbのD
NA断片を組み込んだハイブリッドプラスミドによる大腸
菌JM109株の形質転換株におけるビアラホス耐性は、IPT
Gの存在条件で、この約0.8kbのDNA断片のEcoR I側を上
流にするように作製されたpUC18由来のハイブリッドプ
ラスミドによる形質転換株においてのみ認められた。こ
の結果より、上記の約0.8kbのDNA断片内にビアラホス耐
性遺伝子のコード領域が存在することが再確認されたと
同時にビアラホス耐性遺伝子の転写方向が第1図の矢印
の方向であることが判明した。
この約0.8kbのDNA断片を塩基配列を、M13mp18及びmp1
9の1本鎖DNAを利用したジデオキシ法で決定した結果を
添付図面の第3図に示す。
添付図面の第2図の制限酵素切断地図及び第3図の塩
基配列を、ストレプトミセス・ハイグロスコピカスATCC
21705(「The EMBO Journal」6(9),2519−2523(19
87))やストレプトミセス・ビリドクロモゲネスDSM411
2(前記特開昭61−71183号公報)から得られたビアラホ
ス耐性遺伝子のものと比較することにより、本発明のビ
アラホス耐性遺伝子は、公知の遺伝子と異なることが示
される。本発明のビアラホス耐性遺伝子は、ホスフィノ
スリシンをアセチル化する酵素をコードしている。この
ことは、本発明のビアラホス耐性遺伝子を含むハイブリ
ッドプラスミドpBRA1により宿主を形質転換株させた菌
体より酵素液を調製し、これを補酵素アセチルCoAの存
在下でホスフィノスリシンと反応させることによって確
認された。
(v)耐性機序 プラスミドベクターpIJ703及びハイブリッドプラスミ
ドpBRA1をそれぞれを保持するストレプトミセス・リビ
ダンスを、それぞれ、チオペプチンを5μg/mlになるよ
うに加えた1%グルコース、0.4%ポリペプトン(大五
栄養化学株式会社製)、0.4%イーストエキス(Difco社
製)、0.05%MgSO4・7H2O,0.1%K2HPO4よりなる組成の
培地25mlに接種し、ステンレス製スプリングを入れて27
℃で2日間培養後、その培養液2mlを0.2%グルコース、
1.2%マルトース、0.4%ポリペプトン(大五栄養化学株
式会社製)、0.4%イーストエキス(Difca社製)、0.05
%MgSO4・7H2O0.05%K2HPO4よりなる組成の培地100mlに
加えて、さらに27℃2日間培養した。6,000回転10分間
遠心分離して菌体を集め、0.3mg/mlのジチオスレイトー
ルを含んだ50mMリン酸緩衝液(pH6.5)で洗浄後、同緩
衝液20mlに懸濁し、氷水中超音波にて菌体を破砕し、1
2,000回転で10分間の遠心分離を行なって、無細胞の酵
素抽出液を得た。
このように調製した酵素抽出液160μに基質として2
0μg/mlビアラホス溶液又はビアラホスの分解産物で化
学合成により得られたDL−ホスフィノスリシン溶液(2m
g/ml)をそれぞれ20μを加え、さらに5mg/mlアセチル
CoA溶液を20μ加えたものと加えないものを用意し
て、30℃2時間反応させた。なお、DL−ホスフィノスリ
シンは市販のグルホシネート液剤より抽出精製したもの
を使用した。その反応結果を枯草菌の生育阻止を指標と
したペーパーディスク検定で調べた。
すなわち枯草菌の胞子を含んだDavis寒天培地(0.2%
グルコース、0.1%(NH42SO4、0.7%K2HPO4、0.2%K2
HPO4、0.01%MgSO4・7H2O、0.05%クエン酸ナトリウ
ム、1.2%バクトアガー(Difco社製))の上に、前記の
反応液50μをしみこませた径8mmのペーパーディスク
をのせ、37℃で一夜培養して、枯草菌の生育防止を観察
した。その結果、プラスミドベクターpIJ703を保持する
ストレプトミセス・リビダンスより調製した酵素抽出液
を用いた場合には、いずれの反応条件においても、DL−
ホスフィノスリシン又はビアラホスによる枯草菌の生育
阻止にはほとんど変化が認められなかった。一方ハイブ
リッドプラスミドpBRA1を保持するストレプトミセス・
リビダンスより調製した酵素抽出液を用いた場合は、ビ
アラホスの基質とした際には、補酵素アセチルCoAの存
在の有無にかかわらず枯草菌の生育阻止に変化はなかっ
たが、DL−ホスフィノスリシンを基質とした際には、ア
セチルCoAを加えた時に枯草菌の生育阻止の消失がはっ
きり認められた。この事実は、ハイブリッドプラスミド
pBRA1を導入することにより、ホスフィノスリシンをア
セチル化によって不活性化する能力をストレプトミセス
・リビダンスが獲得したことを意味し、本発明のDNA鎖
に存在するビアラホス耐性遺伝子は、ホスフィノスリシ
ンのアセチル化酵素をコードしていることを示すもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のビアラホス耐性遺伝子を内部に保有
するDNA鎖を含有するハイブリッドプラスミドpBRA1の制
限酵素切断地図である。 第2図は、ビアラホス耐性遺伝子のコード領域、すなわ
ち第1図の矢印の部分のDNA領域の詳細な制限酵素切断
地図である。 第3図は、ビアラホス耐性遺伝子のコード領域、すなわ
ち第1図の矢印の部分のDNA領域の塩基配列である。こ
の塩基配列の左上端(上流)が第2図の地図のEcoR I
(6)切断サイトに相当し、右下端(下流)が第2図の
地図のBgl II(9)切断サイトに相当する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビアラホスに耐性放線菌AB2253株に由来の
    全DNAを制限酵素Bgl IIで切断して得た分子量約2.8kbを
    有するBgl II切断DNAフラグメントと、ストレプトミセ
    ス・リビダンスに由来のpIJ703プラスミドDNAを制限酵
    素Bgl IIで切断して得たBgl II切断DNAフラグメントと
    を連結して構築されて且つ下記のハイブリッドプラスミ
    ドのpBRA1の制限酵素地図: に示した制限酵素切断サイトを有し且つ分子量約8.5kb
    を有するハイブリッドプラスミドpBRA1中における放線
    菌AB2253株に由来の分子量約2.8kbのBgl II切断DNAフラ
    グメント〔上記の制限酵素地図のBgl II(1)からBgl
    II(9)までの領域のDNA鎖に相当〕であることを特徴
    とするビアラホス耐性遺伝子を内部に保有するDNA鎖。
  2. 【請求項2】請求項1記載の分子量約2.8kbを有するBgl
    II切断DNAフラグメント中に存在し、下記の制限酵素切
    断地図: に示したEcoR I(6)からBgl II(9)までの領域にお
    ける制限酵素切断サイトを有し、かつ下記の塩基配列: を有し、内部にビアラホス耐性遺伝子を保有す分子量0.
    823kbのEcoR I−Bgl II切断DNAフラグメントであること
    を特徴とする請求項1に記載のDNA鎖。
JP63323635A 1988-12-23 1988-12-23 ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖 Expired - Fee Related JP2539901B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63323635A JP2539901B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63323635A JP2539901B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02171188A JPH02171188A (ja) 1990-07-02
JP2539901B2 true JP2539901B2 (ja) 1996-10-02

Family

ID=18156925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63323635A Expired - Fee Related JP2539901B2 (ja) 1988-12-23 1988-12-23 ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2539901B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7795505B2 (en) 2004-11-17 2010-09-14 Hokko Chemical Industry Co., Ltd. Herbicide-resistance gene and utilization thereof

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7795505B2 (en) 2004-11-17 2010-09-14 Hokko Chemical Industry Co., Ltd. Herbicide-resistance gene and utilization thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02171188A (ja) 1990-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Eggink et al. Controlled and functional expression of the Pseudomonas oleovorans alkane utilizing system in Pseudomonas putida and Escherichia coli.
Beil et al. Purification and characterization of the arylsulfatase synthesized by Pseudomonas aeruginosa PAO during growth in sulfate‐free medium and cloning of the arylsulfatase gene (atsA)
JP2815847B2 (ja) ホスフィノトリシン耐性遺伝子の使用
de Boer et al. Isolation, sequencing and mutational analysis of a gene cluster involved in nitrite reduction in Paracoccus denitrificans
Lee et al. A tactile sensory system of Myxococcus xanthus involves an extracellular NAD (P)(+)-containing protein.
Thariath et al. Construction and biochemical characterization of recombinant cytoplasmic forms of the IucD protein (lysine: N6-hydroxylase) encoded by the pColV-K30 aerobactin gene cluster
US5021344A (en) Application of antibiotics of the phleomycin family as selection agent in the field of genetic engineering
Pries et al. Identification and characterization of two Alcaligenes eutrophus gene loci relevant to the poly (beta-hydroxybutyric acid)-leaky phenotype which exhibit homology to ptsH and ptsI of Escherichia coli
JP2799380B2 (ja) 新規酵素
JP4036467B2 (ja) ストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチド、これらポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびその使用
IWASAKI et al. Molecular cloning of a xylanase gene from Streptomyces sp. No. 36a and its expression in streptomycetes
JP2539901B2 (ja) ビアラホス耐性遺伝子を保有するdna鎖
JP4815219B2 (ja) 好アルカリ性サイクロデキストラン合成酵素遺伝子を含有するdna、組み換え体dna、および好アルカリ性サイクロデキストラン合成酵素の製造法
US5550046A (en) DNA encoding α-glucosidase and method of producing same by genetic engineering
JPH0332358B2 (ja)
Kormanec et al. The Streptomyces aureofaciens homologue of the whiB gene is essential for sporulation; its expression correlates with the developmental stage
US7718396B2 (en) Inducible high expression system
JP2800921B2 (ja) ストレプトミセス・アベルミティリスからの分岐状鎖 α−ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体をコードする遺伝子
JP4287144B2 (ja) 新規ギ酸脱水素酵素及びその製造方法
Lejeune et al. Cloning of an endoglucanase gene from Pseudomonas fluorescens var. cellulosa into Escherichia coli and Pseudomonas fluorescens
JP2672551B2 (ja) チトクロームp−450遺伝子を含有するdna
JP3399685B2 (ja) コレステロールオキシダーゼ活性を有する改変酵素
JP2912423B2 (ja) マクロライド抗生物質耐性を付与する新規遺伝子
JP3085131B2 (ja) エステラーゼ分泌機構に関与する遺伝子
JP2830030B2 (ja) 耐熱性ペルオキシダーゼの遺伝情報を有するdnaおよびその用途

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees