JP2004236618A - メバロン酸の製造方法及びそれにかかわる酵素遺伝子 - Google Patents

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Toru Otoshi
徹 大利
Tomohisa Katsurayama
智久 葛山
Haruyuki Yamashita
治之 山下
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Abstract

【課題】効率的で安価に天然型のR−メバロン酸を提供すること。
【解決手段】メバロン酸を製造するに際して、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の3種類をコードするDNAを形質転換し、該放線菌の細胞中にアセトアセチルCoA合成酵素、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素の3種類の酵素蛋白質を生成させ、これら3種類の酵素蛋白質の機能によりメバロン酸を生成、蓄積させることを特徴とする新規なメバロン酸の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な天然型のメバロン酸の製造方法に関する。本発明のメバロン酸の製造方法により得られるメバロン酸は、主に医薬・化粧品・食品分野等、メバロン酸の生理活性が活用される分野で有用であり、また、メバロン酸を利用した各種有用化合物の合成に用いられる中間体としても有用である。
【0002】
【従来の技術】
メバロン酸は、重要な生理活性物質群であり多くの生命維持に必須のテルペノイドと呼ばれる物質群の生合成中間体である天然型のR−メバロン酸と、非天然型であるS−メバロン酸とが知られている。多くの場合、発酵法では天然型が得られ、化学合成方法では天然型及び非天然型の等量混合物であるラセミ体が得られる。また、メバロン酸は、無水状態では容易に脱水して分子内エステル化(ラクトン化)してメバロノラクトンとなるが、水溶液ないしアルカリ水溶液中で容易に水と反応してメバロン酸ないしメバロン酸塩となる。
【0003】
メバロン酸の発酵生産方法としては、Saccharomycopsis fibuligeraを用いる方法(特許文献1参照)、培地成分としてカゼイン由来のペプトン及びコーン スティープ リカーを用いる方法(特許文献2参照)、ML−236Bに耐性を有するSaccharomycopsis fibuligeraを用いる方法(特許文献3参照)等が知られている。しかし、これらの方法で用いられる菌株は、すべてメバロン酸経路を生命維持に利用している生物であることが既に知られており、これらの微生物自身がこの経路により下記の有用物質(テルペノイド)等を生合成する必要があることから、人為的にメバロン酸経路をメバロン酸合成のためだけに働かせることは事実上不可能である。
【0004】
テルペノイドは、炭素数5のイソプレン単位を基本骨格に持つ一群の有機化合物の総称であり、イソペンテニルピロリン酸(IPP)の重合によって生合成される。(Cの不飽和炭化水素以外に、それらの酸化還元生成物(アルコール、ケトン、酸等)、炭素の脱離した化合物等が、多くの植物及び動物体内に見出されている。テルペノイドは、炭素数により、ヘミテルペン(C5)、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セスタテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40、カロチノイド)及びその他のポリテルペンに分類することができる。アブシジン酸、幼若ホルモン、ジベレリン、フォルスコリン、ホルボール等、生理活性を示す化合物も多い。また、構造の一部にイソプレン構造を有する複合テルペンとして、クロロフィル、ビタミンK、ユビキノン、tRNA等があり、これらも有用な生理活性を示す。
【0005】
例えば、テルペノイド化合物の一種であるユビキノンは、電子伝達系の必須成分として、生体内で重要な機能を果たしており、心疾患に効果のある医薬品として使用されているほか、欧米では健康食品としての需要が増大している。また、ビタミンKは、血液凝固系に関与する重要なビタミンであり、止血剤として利用されているほか、最近では骨代謝への関与が示唆され、骨粗鬆症治療への応用が期待されており、フィロキノンとメナキノンは医薬品として許可されている。また、ユビキノンやビタミンK類には、船体や橋脚等の建造物への貝類の付着阻害作用が在り、貝類付着防止塗料への応用が期待される。さらに、カロチノイドには抗酸化作用があり、β−カロチン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン等、がん予防や免疫賦活活性を有するものとして期待されているものもある。このように、テルペノイドには生体等にとって有用な物質が含まれているが、これらの化合物は全て基本骨格単位であるイソペンテニルピロリン酸(IPP)を経由して生合成されることが知られている。
【0006】
テルペノイド化合物の基本骨格であるIPPは、動物や酵母等の真核生物ではアセチルCoAからメバロン酸を経由して生合成されることが証明されている。
最近の研究から、生物には、テルペノイド生合成のために、全く異なる2種類の経路が存在することが明らかとなった。即ち、メバロン酸経路及び非メバロン酸経路である。
【0007】
メバロン酸経路は、既に説明したように動物や酵母等の真核生物に存在し、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(以下、HMG CoAと略記することがある)還元酵素が律速酵素であると考えられている(非特許文献1参照)。この観点から、酵母において、HMG CoA還元酵素を高発現させて細胞内のメバロン酸レベルを上げることにより、カロチノイドの生産性を向上させる試みがなされている(非特許文献2参照)。
【0008】
大腸菌等の多くの原核生物では、別の経路、即ちピルビン酸とグリセルアルデヒド−3−リン酸とが縮合して生じる1−デオキシ−D−キシルロース 5−リン酸を経由してIPPが生合成される非メバロン酸経路が発見されており(非特許文献3参照)、13Cラベル化基質を使った実験から、1−デオキシ−D−エリスリトール 4−リン酸を経由してIPPへと転換されることが証明されている(非特許文献4及び5参照)。特に大腸菌では、IPPは非メバロン酸経路でのみ合成されることが実証されている(非特許文献6)。
【0009】
一方、放線菌Streptomyces sp. CL190株(非特許文献7参照)は、メバロン酸経由でIPPを合成していることが分っており(非特許文献8及び9参照)、本発明者等は、これまでに放線菌Streptomyces sp. CL190株からメバロン酸経路上の一つの反応を触媒する酵素であるHMG CoA還元酵素をコードする遺伝子(hmgr)(非特許文献10参照)、及びメバロン酸経路に関与する全ての酵素、即ちホスホメバロン酸キナーゼ、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、メバロン酸キナーゼ、イソペンテニル 2−リン酸イソメラーゼ、HMG CoA還元酵素、HMG CoA合成酵素、全てを含む遺伝子クラスターを、既にクローニングした(特許文献4、非特許文献11及び非特許文献12参照)。
【0010】
原核生物の菌体内や培養液中に天然型のR−メバロン酸が蓄積するという知見は、これまで報告がない。この理由は、多くの原核生物がR−メバロン酸の生合成酵素系を持たないためと考えられる。
【0011】
このように、メバロン酸の発酵生産に関して、真核生物を利用して天然型のR−メバロン酸を生産することは従来から可能である。しかし、R−メバロン酸の生産の際には、R−メバロン酸を真核生物の細胞内又は細胞外に蓄積させる必要があるが、一方で、真核生物においては、メバロン酸は生命維持に必要なテルペノイドの供給のために生合成され、テルペノイドへと変換されてしまう。即ち、蓄積と消費との綱引きとなるため、酵母等の真核生物を利用したR−メバロン酸の大量生産は、かなり困難な状況である。
【0012】
さらに、メバロン酸合成酵素であるHMG CoA 還元酵素活性は、リン酸化、脱リン酸化等(活性化又は不活性化)による酵素活性調節やHMG CoA 還元酵素の生合成の雛型であるmRNA量の調節、生合成下流に位置する各種テルペノイドからの多価フィードバック調節等が複雑に関与することが知られており、単に真核生物のHMG CoA 還元酵素活性を上げる手法によって天然型のR−メバロン酸の生産性を上げることは困難であった。
【0013】
また、大腸菌を宿主として利用してIPPを生産する可能性についての報告(非特許文献13参照)もあり、IPPの生産が可能であれば、その下流のメバロン酸も生産可能であると類推できるが、実際には、大腸菌を宿主とした場合、その理由は不明であるが、メバロン酸は生産されない。
【0014】
【特許文献1】
特開昭63−216487号公報
【特許文献2】
特開平2−215389号公報
【特許文献3】
特開平3−210174号公報
【特許文献4】
特開2001−161370号公報
【特許文献5】
特願2002−357214号公報
【非特許文献1】
Mol. Biol. Cell, 5, 655 (1994)
【非特許文献2】
三沢ら、カロチノイド研究談話会講演要旨集 (1997)
【非特許文献3】
Biochem. J, 295, 517 (1993)
【非特許文献4】
Tetrahedron Lett. 38, 4769 (1997)
【非特許文献5】
Tetrahedron Lett. 39, 4509 (1998)
【非特許文献6】
Rohmer, M. In Comprehensive Natural Products Chemistry, Vol. 2: Isoprenoids Including Carotenoids and Steroids; Barton, D. Nakanishi, K. Eds. Elsevier: Amsterdam, 1999; pp. 45−67
【非特許文献7】
J. Antibiot. 43: 444 (1990)
【非特許文献8】
Tetrahedron Lett. 31: 6025 (1990)
【非特許文献9】
Tetrahedron Lett. 37: 7979 (1996)
【非特許文献10】
J. Bacteriol. 181: 1256 (1999)
【非特許文献11】
J. Bacteriol. 182: 4153 (2000)
【非特許文献12】
Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 98: 932 (2001)
【非特許文献13】
バイオサイエンスとインダストリー、57(7)、455−458 (2001)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
既に、本出願人は、メバロン酸を製造するに際して、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の2種類を形質転換し、該放線菌の細胞中に3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素蛋白質及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素蛋白質を生成させ、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素蛋白質及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素蛋白質の機能によりメバロン酸を生成、蓄積させることを特徴とする新規なメバロン酸の製造方法を提供している(特願2002−357214号)。この方法によるメバロン酸の生産性は、0.028〜0.055mg/ml程度であった。
【0016】
従って、本発明の目的は、効率的で安価に天然型のR−メバロン酸を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前述したように複雑に代謝調節を受けている真核生物であるカビや酵母のメバロン酸経路を利用して天然型のR−メバロン酸を生産させるよりも、むしろ生命維持に天然型のR−メバロン酸を必要としない原核生物に生産させることにより、天然型R−メバロン酸を効率的で安価に提供できる可能性があることに着眼した。また、前述した2種の酵素遺伝子(HMG CoA合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子)に加えて、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を形質転換すること、即ちHMG CoA 合成酵素の基質であるアセトアセチルCoAの供給能を上げることに着目し、検討を重ねた。その結果、宿主として、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子の3種類を形質転換することにより、効率的に天然型のR−メバロン酸を生産し得ることを見出し、本発明に至った。
【0018】
つまり、本発明においては、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子の3種類を形質転換し、アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質、HMG CoA合成酵素蛋白質及びHMG CoA還元酵素蛋白質の3種類の酵素蛋白質の機能によりメバロン酸を生成、蓄積させることにより、天然型のR−メバロン酸を製造する。
【0019】
即ち、本発明は、メバロン酸を製造するに際して、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の3種類をコードするDNAを形質転換し、該放線菌の細胞中にアセトアセチルCoA合成酵素、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素の3種類の酵素蛋白質を生成させ、これら3種類の酵素蛋白質の機能によりメバロン酸を生成、蓄積させることを特徴とする新規なメバロン酸の製造方法(請求項1記載の発明)を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子が、放線菌由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項2記載の発明)を提供するものである。
また、本発明は、放線菌由来の上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子である請求項2記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項3記載の発明)を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子が、放線菌由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項4記載の発明)を提供するものである。
また、本発明は、放線菌由来の上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子である請求項4記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項5記載の発明)を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子が、放線菌由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項6記載の発明)を提供するものである。
また、本発明は、放線菌由来の上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子である請求項6記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項7記載の発明)を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、上記放線菌が、ストレプトマイセス リビダンスである請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項8記載の発明)を提供するものである。
また、本発明は、上記放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の3種類をコードするDNAを形質転換する際に、プラスミドベクターを用いる請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項9記載の発明)を提供するものである。
また、本発明は、上記プラスミドベクターが、大腸菌とのシャトルベクターである請求項9記載の新規なメバロン酸の製造方法(請求項10記載の発明)を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、配列番号1の塩基配列、配列番号1の塩基配列において1〜数個の塩基配列が欠失、置換、付加及び/又は挿入されている塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるために必要な配列をすべてコードする塩基配列、又は配列番号1の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるのに必要な配列をすべてコードする塩基配列、からなるポリヌクレオチド(請求項11記載の発明)を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
まず、本明細書において、「1〜数個の塩基が欠失、置換、付加及び/又は挿入されている」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個の任意の数の塩基が欠失、置換、付加及び/又は挿入されていることを意味する。
【0026】
また、本明細書において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる」とは、DNAをプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNA又は該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。
【0027】
ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2ndEd., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY., 1989. (以後 ”モレキュラークローニング第二版” と略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。ストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができるDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、相同性は、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上である。
【0028】
本発明のメバロン酸の製造方法は、A)アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNAの取得、B)アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNA、並びに天然型のR−メバロン酸の生合成に関与する酵素蛋白質HMG CoA合成酵素蛋白質及びHMG CoA還元酵素蛋白質それぞれをコードするDNA、の計3種のDNAを有する形質転換体の作製、C)該形質転換体でのこれらの酵素蛋白質の発現及びこれらの酵素蛋白質の作用による天然型のR−メバロン酸の発酵生産よりなる。
【0029】
まず、A)アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNAの取得について詳述する。
取得されるアセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNAはアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を含むものであればよく、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子は、実質的にアセトアセチルCoA合成酵素、即ち2分子のアセチルCoAからアセトアセチル CoAを生成する反応を触媒する活性をもつ酵素蛋白質をコードするDNA配列であればよい。また、酵素反応にNADPH等の補助因子を必要としてもしなくても構わない。
【0030】
本発明におけるアセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNAの取得方法としては、具体的には以下の方法等をあげることができる。
アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子は既にいくつか報告されているため、本発明では、これらの遺伝子を使用しても構わないが、放線菌、特に放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株からアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を取得するのが好ましい。本発明者等は、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子のクローニングを行い、放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株から、新規なアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を取得し、配列番号1の塩基配列を有するDNAを得た。以下に、放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株を例示しながら、アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNAの取得方法を具体的に説明する。
【0031】
放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株を、適当な培地、例えば、グルコース2%、可溶性でんぷん2.5%、大豆粉1.5%、ドライイースト0.2%、及び炭酸カルシウム0.4%を含有するKG培地(pH 6.2)で、適当な温度(例えば30℃)で数日間培養する。培養後、得られた培養液より遠心分離により菌体を取得し、菌体より常法(モレキュラークローニング 第二版)に従い染色体DNAを単離精製する。
【0032】
PCR法により配列番号1の塩基配列を有するDNAを取得するためには、放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株の染色体DNAを鋳型として使用し、既知のアセトアセチルCoA合成酵素の遺伝情報から設計した1対のプライマーDNAを使用して、TaKaRa LA−PCR(登録商標) Kit Ver.2(宝酒造社製)又はExpand(登録商標) High−Fidelity PCR System(ベーリンガー・マンハイム社製)等を用い、DNAThermal Cycler(パーキンエルマージャパン社製)等でPCRを行う。なお、後のクローニング操作を容易にするために、プライマーには適当な制限酵素部位を付加させておくことが好ましい。
【0033】
PCRの条件としては、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応工程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件をあげることができる。次いで、増幅されたDNA断片を、大腸菌で増幅可能な適切なベクター中にクローニングすることができる。クローニングは、常法、例えば、モレキュラークローニング 第二版、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987−1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等に記載された方法、あるいは市販のキット、例えばSuperScript Plasmid System for cDNASynthesis and Plasmid Cloning(ライフ・テクノロジーズ社製)やZAP−cDNA Synthesis Kit〔ストラタジーン(Staratagene)社製〕を用いて行うことが出来る。
【0034】
クローニングベクターとしては、大腸菌K12株中で自律複製できるものであれば、ファージベクター、プラスミドベクター等いずれでも使用できる、大腸菌の発現用ベクターをクローニングベクターとして用いてもよい。具体的には、ZAP Express〔ストラタジーン社製、Strategies, , 58 (1992)〕、pBluescript II SK(+)〔Nucleic Acids Research,17, 9494 (1989)〕、Lambda ZAP II(ストラタジーン社製)、λgt10、λgt11〔DNA Cloning, A Practical Approach, , 49 (1985)〕、λTriplEx(クローンテック社製)、λExCell(ファルマシア社製)、pT7T318U(ファルマシア社製)、pcD2〔H.Okayama and P.Berg;Mol. Cell. Biol., , 280 (1983)〕、pMW218(和光純薬社製)、pUC118(宝酒造社製)、pEG400〔J. Bac.,172, 2392 (1990)〕、pQE−30(QIAGEN社製)等をあげることができる。
【0035】
得られた形質転換株より、目的とするDNAを含有したプラスミドを、常法、例えば、モレキュラークローニング 第二版、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987−1997)、DNA Cloning 1:Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等に記載された方法により取得することができる。上記方法により、配列番号1の塩基配列を有するDNAを取得することができる。
【0036】
また、本発明のメバロン酸の製造方法においては、配列番号1の塩基配列において1〜数個の塩基配列が欠失、置換、付加及び/又は挿入されている塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるために必要な配列をすべてコードする塩基配列、又は配列番号1の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるのに必要な配列をすべてコードする塩基配列を有するDNAであれば、後述するB)工程における形質転換体の作製に用いることができる。
【0037】
例えば、配列番号1の塩基配列を有する放線菌由来のDNA断片の塩基配列を利用し、他の微生物等より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。あるいは、変異DNAは、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発等の当業者が既知の任意の方法で作製することもできる。具体的には、配列番号1の塩基配列を有するDNAを利用し、これらDNAに変異を導入することにより変異DNAを取得することができる。
【0038】
DNAへの変異の導入は、例えば、配列番号1の塩基配列を有するDNAに対し、変異源となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発方法は、特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982) 、Nucleic Acids Research, 12, 9441 (1984) 、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985) 、Nucleic Acids Research, 13, 8749 (1985) 、Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 79, 6409 (1982) 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985) 、Gene ,102 ,67 (1991)等に記載の方法に準じて行うことができる。
【0039】
次に、B)アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質をコードするDNA、並びに天然型のR−メバロン酸の生合成に関与するHMG CoA合成酵素蛋白質及びHMG CoA還元酵素蛋白質それぞれをコードするDNA、の計3種のDNAを有する形質転換体の作製について詳述する。
【0040】
本発明のメバロン酸の製造方法では、天然型のR−メバロン酸の生合成に関与する酵素蛋白質をコードするDNAとして、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子の3種類の遺伝子を形質転換することが必須である。
【0041】
本発明で使用するアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子は、実質的にアセトアセチルCoA合成酵素、即ち2分子のアセチルCoAからアセトアセチル CoAを生成する反応を触媒する活性をもつ酵素蛋白質をコードするDNA配列であればよい。また、酵素反応にNADPH等の補助因子を必要としてもしなくても構わない。
【0042】
本発明で使用するHMG CoA合成酵素遺伝子は、実質的にHMG CoA合成酵素、即ちアセトアセチルCoAとアセチルCoAからHMG CoAを生成する反応を触媒する活性をもつ酵素蛋白質をコードするDNA配列であればよい。また、酵素反応にNADPH等の補助因子を必要としてもしなくても構わない。
【0043】
また、本発明で使用するHMG CoA還元酵素遺伝子は、実質的にHMG CoA還元酵素、即ちHMG CoAからメバロン酸を生成する反応を触媒する活性をもつ酵素蛋白質をコードするDNA配列であればよい。また、酵素反応にNADPH等の補助因子を必要としてもしなくても構わない。
【0044】
上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、上記HMG CoA合成酵素遺伝子及び上記HMG CoA還元酵素遺伝子は、いずれも、メバロン酸経路を持つ生物に由来するものであればよく、放線菌等の微生物由来のもの、動物細胞由来のもの、植物細胞由来のもの等が挙げられるが、これらの中でも放線菌由来のものが好ましく、放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株由来のものが特に好ましい。
【0045】
上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、上記HMG CoA合成酵素遺伝子及び上記HMG CoA還元酵素遺伝子は、いかなる生物由来であっても構わないが、宿主である放線菌の細胞中で酵素遺伝子から産生される酵素蛋白質の発現効率が高いことが好ましい。また、発現した酵素蛋白質が高い触媒機能を発現できる細胞との組合せが好ましい。これらの点から、宿主としてメバロン酸経路を持たない放線菌を用いる本発明のメバロン酸の製造方法においては、放線菌由来の酵素遺伝子を用いるのが好ましく、放線菌ストレプトマイセス sp. CL190由来の酵素遺伝子がさらに好ましい。とりわけ、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子の3種類すべてが、放線菌由来、特に放線菌ストレプトマイセス sp. CL190由来であることが好ましい。また、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子の形質転換に用いるDNAの好ましい一例としては、配列番号1の塩基配列を有するDNAがあげられる。
【0046】
得られた3種類の酵素遺伝子を含むDNA断片を放線菌細胞中で発現させるために、まず、目的とする該DNA断片を制限酵素あるいはDNA分解酵素で該遺伝子を含む適当な長さのDNA断片とした後、発現ベクター中においてプロモーターの下流に挿入する。次いで、上記DNAを挿入した発現ベクターを、発現ベクターに適合した放線菌細胞中に導入することにより、上記の3種類のDNAを有する形質転換体が得られる。
【0047】
本発明のメバロン酸の製造方法においては、宿主としてメバロン酸経路を有しない放線菌を使用する。該放線菌としては、Streptomyces lividans、Streptomyces chromofuscus、Streptomyces exfoliatus、Streptomyces argenteorusが好ましく、これらの中でもStreptomyces lividansが特に好ましい。
【0048】
上記発現ベクターとしては、宿主である放線菌の細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能で、上記目的とするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。上記DNAを発現させるための発現ベクターは、該放線菌中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、上記DNA及び転写終結配列より構成された組換えベクターであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0049】
上記発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233−2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−8(QIAGEN社製)、pQE−30(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600号公報)、pKYP200〔Agricultural Biological Chemistry, 48, 669 (1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)〕、pBluescriptIISK+、pBluescriptII SK(−)(Stratagene社製)、pTrS30(FERMBP−5407)、pTrS32(FERM BP−5408)、pGEX(Pharmacia社製)、pET−3(Novagen社製)、pTerm2(US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pUC18〔gene, 33, 103 (1985)〕、pUC19〔Gene, 33, 103 (1985)〕、pSTV28(宝酒造社製)、pSTV29(宝酒造社製)、pUC118(宝酒造社製)、pPA1(特開昭63−233798号公報)、pEG400〔J. Bacteriol., 172, 2392(1990)〕、pQE−30(QIAGEN社製)等を例示することができる。
【0050】
上記プロモーターとしては、宿主である放線菌の細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、Pプロモーター、Pプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。また、Ptrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモーター、letIプロモーター、lacT7プロモーターのように、人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
【0051】
上記リボソーム結合配列としては、宿主である放線菌の細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよいが、シャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
【0052】
本発明のメバロン酸の製造方法においては、形質転換においてプラスミドベクターを用いるのが好ましく、該プラスミドベクターとしては、大腸菌とのシャトルベクターが特に好ましい。
【0053】
上記組換えベクター等の発現ベクターの導入方法としては、宿主である放線菌の細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63−2483942号公報)、又はGene, 17, 107 (1982)やMolecular & General Genetics, 168, 111 (1979)に記載の方法等をあげることができる。
【0054】
3番目に、C)該形質転換体でのこれらの酵素蛋白質の発現及びこれらの酵素蛋白質の作用による天然型のR−メバロン酸の発酵生産について詳述する。
【0055】
これらの酵素蛋白質の発現及びこれらの酵素蛋白質の作用による天然型のR−メバロン酸の発酵生産のためには、B)において作製した、上記DNAを組み込んだ組換え体DNAを保有する形質転換体を培地に培養する。この培養によって、該形質転換体の細胞中に、アセトアセチルCoA合成酵素蛋白質、HMG CoA合成酵素蛋白質及びHMG CoA還元酵素蛋白質が発現し、次いで、これらの酵素蛋白質の作用による発酵生産により、天然型のR−メバロン酸が生成され、培養物中に天然型のR−メバロン酸を蓄積させることができる。培養物中に蓄積された天然型のR−メバロン酸は、該培養物より採取されて、各種用途に供される。
【0056】
天然型のR−メバロン酸の生合成能力を付与した上記形質転換体を培地に培養する方法は、宿主である放線菌の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
【0057】
上記形質転換体である放線菌を培養する培地は、放線菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有するものであれば、天然培地、合成培地のいずれでもよいが、形質転換体の培養を効率的に行える培地が好ましい。
【0058】
上記炭素源としては、放線菌が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。
【0059】
上記窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物等が用いられる。
【0060】
上記無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。
【0061】
培養は、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うのが好ましい。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中、pHは、3.0〜9.0に保持するのが好ましい。pHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
【0062】
また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン、チオストレプトン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0063】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した放線菌を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した放線菌を培養するときには、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を培地に添加してもよく、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した放線菌を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
【0064】
形質転換体の培養物からの天然型のR−メバロン酸の採取は、メバロン酸ないしメバロン酸の分子内エステルであるメバロノラクトンの通常の単離精製方法、即ち、形質転換体の分離、抽出、蒸留、クロマトグラフィ、再結晶等を適宜組み合わせることにより行うことが出来る。
【0065】
メバロン酸は、分子量(mw:148)が小さいことから、多くの場合、形質転換体の細胞膜を透過できるため培養ろ液中に蓄積し、形質転換体の細胞中で検出されるメバロン酸は比較的僅かである。このため、培養ろ液を得るために形質転換体を遠心分離やろ過により除去することが好ましい。ただし、形質転換体の細胞内に蓄積する場合は、形質転換体もしくは形質転換体を含めた培養ろ液から抽出してもよい。
【0066】
メバロン酸の抽出は、通常の酸性有機物の抽出方法に従って行うことが出来る。即ち、培養物を有機酸ないし無機酸を用いてpH1.0〜4.0とした後、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、アセトン等の有機溶媒を用いて抽出できる。また、必要に応じて、培養物に塩化ナトリウム等の電解質を溶解させてもよい。さらに、抽出液中に含有する水分を減らす必要があれば、無水硫酸ナトリウム等で脱水してもよい。得られた抽出液から蒸留や減圧下で抽出溶媒を留去することにより、抽出物を得ることが出来る。ただし、メバロン酸は、有機溶媒で抽出すると、容易に分子内エステル化(ラクトン化)して、メバロノラクトンとなる。メバロノラクトンをメバロン酸として使用したい場合は、メバロノラクトンと等モル量の水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて中和することにより、メバロン酸のナトリウム塩を得ることが出来る。
【0067】
抽出物はシリカゲルクロマト等のカラムクロマトグラフィーに吸着させヘキサン/酢酸エチル等の溶媒を用いて溶出することで精製することが可能である。また、蒸留により直接メバロノラクトンを精製することも可能である。また、適当な溶媒を用いることにより結晶化することも可能である。
【0068】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で示した遺伝子組換え実験は、特に言及しない限り、モレキュラークローニング 第二版に記載の方法(以下、常法と呼ぶ)を用いて行った。
【実施例】
〔実施例1〕放線菌ストレプトマイセス sp. CL190株からのアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子のクローニング
Streptomyces sp. CL190株を1白金耳、100mlのKG液体培地(グルコース2%、可溶性でんぷん2.5%、大豆粉1.5%、ドライイースト0.2%、炭酸カルシウム0.4%、pH 6.2)に植菌し、30℃で3日間培養した。
該菌体より、常法に従い染色体DNAを単離・精製した。
【0069】
配列番号2の塩基配列と配列番号3の塩基配列との組合せを有するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを、DNA合成機を用いて合成した。尚、配列番号2の塩基配列において、4番目の塩基から9番目の塩基までの部位「gaattcc」はEcoRI切断部位を示し、sはg又はcを、hはa、c又はtを、rはa又はgを示す。配列番号3の塩基配列において、4番目の塩基から9番目の塩基までの部位「aagctt」はHindIII切断部位を示し、sはg又はcを、vはa、c又はgを示す。
染色体DNAを鋳型として、これらプライマーと、TaKaRa LA−PCR(登録商標) Kit Ver.2(宝酒造社製)、Expand(登録商標) High−Fidelity PCR System(ロシュ社製)又はTaq DNA polymerase(Promega社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research社製)でPCRを行った。
PCRは、95℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。
PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約800bpのDNA断片を取得した。
【0070】
上記で取得したDNA断片をpGEM−T Easyベクター(Promega社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0071】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドの塩基配列を決定することにより、目的のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子の一部分を含むDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認し、本プラスミドをpAAS−PCR1と命名した。
【0072】
pAAS−PCR1をEcoRIとHindIII消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約0.8kbのDNA断片を取得した。本断片をプローブに用い、常法により、Streptomyces sp. CL190株染色体DNAとのサザンハイブリダイゼーションを行った結果、約3.0 kbのBamHI断片とハイブリダイズした。
【0073】
Streptomyces sp. CL190株染色体DNAをBamHI消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約3.0kbのDNA断片を取得した。
上記で取得された約3.0kbのBamHI処理DNA断片を、BamHI処理pUC118(寶酒造より購入)断片と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
【0074】
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニーを、常法によりナイロンメンブレンフィルターに移植し、上記pAAS−PCR1をEcoRIとHindIII消化後、アガロースゲル電気泳動により精製した約0.8kbのアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子の一部分を含むDNA断片をプローブに用いて、常法によりコロニー・ハイブリダイゼーションを行った。
該方法により同定した、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を含むDNA断片が挿入されたpUC118を保持する形質転換体のコロニーをアンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0075】
培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
配列番号1記載の塩基配列2949 bpを有するDNAをpAAS2と命名した。
【0076】
〔実験例1〕Streptomyces sp. CL190株由来のHMG CoA 合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子、並びにこれらの遺伝子の上流域の塩基配列を含むStreptomyces属の形質転換用プラスミドpSEMV34の構築
1−1) 大腸菌と放線菌で複製可能なシャトルベクターpSE101の構築:
pUC19(宝酒造)を制限酵素AatIIで消化後、BglIIリンカー(宝酒造)をライゲーションし、AatIIサイトをBglIIサイトに変えたプラスミドベクターpUC19Bを作成した。
pUC19Bを、制限酵素BglII及びKpnIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、BglII−KpnI処理pUC19B断片を取得した。
放線菌用ベクターpIJ702 (John Innes Institute)を、制限酵素BglII及びKpnIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、BglII−KpnI処理pIJ702断片を取得した。
【0077】
上記で取得されたBglII−KpnI処理pUC19B断片とBglII−KpnI処理pIJ702断片とを混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0078】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドは、大腸菌と放線菌の両方で複製可能なシャトルベクターであり、pSE101と命名した。
【0079】
1−2) Streptomyces sp. CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子クラスター及び該クラスターの上流のプロモーター領域を含むpUMV33の構築:
特開2001−161370号公報記載のpUMV19は、Streptomyces sp. CL190株由来のメバロン酸経路遺伝子クラスターを含むプラスミドであり、HMG CoA 合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子を含む(PCT/JP00/08620、放線菌由来のメバロン酸経路に関与する酵素の遺伝子)。pUMV19にクローニングされている6798 bpからなるDNA断片の塩基配列を配列番号4に記す。
【0080】
Streptomyces sp. CL190株を1白金耳、100mlのKG液体培地(グルコース2%、可溶性でんぷん2.5%、大豆粉1.5%、ドライイースト0.2%、炭酸カルシウム0.4%、pH 6.2)に植菌し、30℃で3日間培養した。
該菌体より、常法に従い染色体DNAを単離・精製した。
【0081】
配列番号5の塩基配列と配列番号6の塩基配列との組合せを有するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを、DNA合成機を用いて合成した。
染色体DNAを鋳型として、これらプライマーと、TaKaRa LA−PC R (登録商標) Kit Ver.2(宝酒造社製)、Expand(登録商標) High−Fidelity PCR System(ロシュ社製)又はTaq DNA polymerase(Promega社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research社製)でPCRを行った。
PCRは、95℃で30秒間、60℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。
【0082】
PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約2.3kbのEcoRIサイトを両端に持つDNA断片を取得した。
上記で取得したDNA断片をpGEM−T Easyベクター(Promega社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃16時間振盪培養した。
【0083】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
配列番号7記載の塩基配列2370 bpを有するDNAをpCL33016と命名した。
【0084】
pCL33016をEcoRI消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約2.3 kbのEcoRI処理DNA断片を取得した。
pUMV19を、制限酵素EcoRIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、EcoRI処理pUMV19断片を取得した。
【0085】
上記で取得された約2.3 kbのEcoRI処理DNA断片をEcoRI処理pUMV19断片と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃16時間振盪培養した。
【0086】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
配列番号8記載の塩基配列8719 bpを有するDNAをpUMV33と命名した。
【0087】
1−3) Streptomyces sp. CL190株由来のHMG CoA還元酵素遺伝子、HMG CoA合成酵素遺伝子及び異なる塩基長のプロモーター領域を含むpUMV34とpUMV35の構築:
pUMV33を制限酵素Aor51HIで完全消化後、引き続き、制限酵素SnaBIで部分消化し、約7.5 kbと約6.4 kbのDNAを回収した。得られたDNA断片それぞれを5μlの蒸留水に溶解し、それぞれセルフライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
【0088】
それぞれの該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたそれぞれのアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個ずつについて、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0089】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
配列番号9記載の塩基配列を有するDNAをpUMV34と命名した。
配列番号10記載の塩基配列を有するDNAをpUMV35と命名した。
【0090】
1−4) pBMV34の構築(両端に制限酵素サイトを付与するためブルースクリプトへのベクター交換):
pUMV34を制限酵素EcoRIとHindIIIで消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約3.2 kbのEcoRI−HindIII処理pUMV34を取得した。
pBluescript II SK(+)(Stratagene社製)を、制限酵素EcoRIとHindIIIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、EcoRI−HindIII処理pBluescript II SK(+)断片を取得した。
【0091】
上記で取得された約3.2 kbのEcoRI−HindIII処理pUMV34をEcoRI−HindIII処理pBluescript II SK(+)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0092】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpBMV34と命名した。
【0093】
1−5) 放線菌発現プラスミドpSEMV34 (プロモーター領域0.8 kbを含む)の構築:
pBMV34を制限酵素XbaIとHindIIIで消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約3.2 kbのXbaI−HindIII処理pBMV34を取得した。
pSE101を、制限酵素XbaIとHindIIIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、XbaI−HindIII処理pSE101断片を取得した。
【0094】
上記で取得された約3.2 kbのXbaI−HindIII処理pBMV34をXbaI−HindIII処理pSE101と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0095】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpSEMV34と命名した。
【0096】
〔実験例2〕プラスミドpSEMV34 による放線菌Streptomyces lividans TK23株の形質転換
プラスミドpSEMV34 による、放線菌S. lividans TK23株の形質転換は、Practical Streptomyces Genetics (ISBN 0−7084−0623−8、Tobias Kieser他、the John Innes Foundation社)に記載の方法を用いて行った。
【0097】
得られた形質転換体のコロニー数個について、チオストレプトン5μg/mlを含む10mlのSK−II液体培地(可溶性でんぷん2%、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、BactoTM Peptone 0.3%、肉エキス0.3%、KHPO 0.02%、MgSO 0.006%)で30℃、3日間振盪培養した。
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
上記で得られたS. lividans TK23株の形質転換体の一株をS. lividans 34−1株と命名した。この菌株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、受託番号「FERM P−19120」として寄託されている。
【0098】
〔実験例3〕Streptomyces sp. CL190株由来のHMG CoA 合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子、及び、これらの遺伝子の上流域の塩基配列を含むStreptomyces属の形質転換用プラスミドベクター(pSEMV35)の構築
3−1) pBMV35の構築(両端に制限酵素サイトを付与するためブルースクリプトへのベクター交換):
pUMV35を制限酵素EcoRIとHindIIIで消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約4.3 kbのEcoRI−HindIII処理pUMV35を取得した。
pBluescript II SK(+)(Stratagene社製)を、制限酵素EcoRIとHindIIIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、EcoRI−HindIII処理pBluescript II SK(+)断片を取得した。
【0099】
上記で取得された約4.3 kbのEcoRI−HindIII処理pUMV35をEcoRI−HindIII処理pBluescript II SK(+)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0100】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpBMV35と命名した。
【0101】
3−2) 放線菌発現プラスミドpSEMV35の構築 (プロモーター領域1.9 kbを含む):
pBMV35をE制限酵素XbaIとHindIIIで消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約4.3 kbのXbaI−HindIII処理pBMV35を取得した。
pSE101を、制限酵素XbaIとHindIIIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、XbaI−HindIII処理pSE101断片を取得した。
【0102】
上記で取得された約4.3 kbのXbaI−HindIII処理pBMV35をXbaI−HindIII処理pSE101と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0103】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpSEMV35と命名した。
【0104】
〔実験例4〕プラスミドベクター pSEMV35 による放線菌S. lividans TK23株の形質転換
プラスミドpSEMV35 による、放線菌S. lividans TK23株の形質転換は、Practical Streptomyces Genetics (ISBN 0−7084−0623−8、Tobias Kieser他、the JohnInnes Foundation社) に記載の方法を用いて行った。
【0105】
得られた形質転換体のコロニー数個について、チオストレプトン5μg/mlを含む10mlのSK−II液体培地で30℃、3日間振盪培養した。
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
上記で得られたS. lividans TK23株の形質転換体の一株をS. lividans 35−6株と命名した。この菌株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、受託番号「FERM P−19122」として寄託されている。
【0106】
〔実施例2〕Streptomyces sp. CL190株由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA 合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子、及び、これらの遺伝子の上流域の塩基配列を含むStreptomyces属の形質転換用プラスミドpSEMV34ASの構築と、pSEMV34ASによる放線菌S. lividans TK23株の形質転換
配列番号11の塩基配列と配列番号12の塩基配列との組合せを有するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを、DNA合成機を用いて合成した。尚、配列番号11の塩基配列において、5番目の塩基から10番目の塩基までの部位「tctaga」は、Xba I切断部位を示し、配列番号12の塩基配列において、4番目の塩基から9番目の塩基までの部位「gaattc」は、EcoRI切断部位を示す。
実施例1で取得したpAAS2を鋳型として、これらプライマーと、TaKaRa LA−PCR(登録商標) Kit Ver.2(宝酒造社製)、Expand(登録商標) High−Fidelity PCR System(ロシュ社製)又はTaq DNA polymerase(Promega社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research社製)でPCRを行った。
PCRは、95℃で30秒間、 60℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。
PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約1.3bpのXbaIサイトとEcoRIサイトを両端に持つDNA断片を取得した。
【0107】
上記で取得したDNA断片を、XbaIとEcoRIで切断した pUC118ベクター(寶酒造社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0108】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドの塩基配列を決定することにより、目的のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子を含むDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
配列番号13の塩基配列1308 bpを有するDNAをpAAS3と命名した。
【0109】
pAAS3をXbaIとEcoRI消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約1.3kbのDNA断片を取得した。
前記実験例1で構築したpSEMV34を、制限酵素XbaIとEcoRIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、XbaIとEcoRI処理pSEMV34を取得した。
上記で取得した2つのDNA断片を混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃にて16時間振盪培養した。
【0110】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpSEMV34ASと命名した。
【0111】
プラスミドpSEMV34ASによる、放線菌S. lividans TK23株の形質転換は、Practical Streptomyces Genetics (ISBN 0−7084−0623−8、Tobias Kieser他、the John Innes Foundation社) に記載の方法を用いて行った。
得られた形質転換体のコロニー数個について、チオストレプトン5μg/mlを含む10mlのSK−II液体培地で30℃、3日間振盪培養した。
【0112】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
上記で得られたS. lividans TK23株の形質転換体のうちの2株をS. lividans 34AS−1株及びS. lividans 34AS−10株とそれぞれ命名した。
【0113】
〔実施例3〕Streptomyces sp. CL190株由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、HMG CoA 合成酵素遺伝子及びHMG CoA還元酵素遺伝子、並びにこれらの遺伝子の上流域の塩基配列を含むStreptomyces属の形質転換用プラスミドpSEMV35ASの構築と、pSEMV35ASによる放線菌S. lividans TK23株の形質転換
実施例2で取得したpAAS3をXbaIとEcoRI消化後、制限酵素処理DNA断片をアガロースゲル電気泳動し、約1.3kbのDNA断片を取得した。
前記実験例3で構築したpSEMV35を、制限酵素XbaIとEcoRIで消化後、アガロースゲル電気泳動を行い、XbaIとEcoRI処理しDNA断片を取得した。
上記で取得した1.3kb及びpSEMV35由来の2つのDNA断片を混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。
【0114】
該組換え体DNAを用い、E. coli(東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃16時間振盪培養した。
【0115】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
得られたプラスミドをpSEMV35ASと命名した。
【0116】
プラスミドpSEMV35ASによる、放線菌S. lividans TK23株の形質転換は、Practical Streptomyces Genetics (ISBN 0−7084−0623−8、Tobias Kieser他、the John Innes Foundation社) に記載の方法を用いて行った。
得られた形質転換体のコロニー数個について、チオストレプトン5μg/mlを含む10mlのSK−II液体培地で30℃、3日間振盪培養した。
【0117】
得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。
該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。
該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
上記で得られたS. lividans TK23株の形質転換体のうちの2株をS. lividans 35AS−3株及びS. lividans 35AS−7株とそれぞれ命名した。
【0118】
〔実施例4〕形質転換株S. lividans 34AS−1株によるメバロン酸発酵生産
実施例2で形質転換して得たS. lividans 34AS−1株を、チオストレプトン5μg/mlを含むSK−II液体培地10 mlに1白金耳植菌し、振とう培養器で30℃、120 rpmで2日間培養を行った。得られた培養液を2 mlずつ、チオストレプトン5μg/mlを含むKG液体培地100 mlを入れたバッフル付き三角フラスコに分注し、さらに7日間培養を継続した。得られた培養液を3500 rpmで10分遠心分離を行い、培養ろ液90 mlを得た。
この培養ろ液2 mlに、リン酸3滴、無水硫酸ナトリウム1 g及び酢酸エチル4 mlを添加し、30秒間撹拌後3500 rpmで10分間遠心分離した。次に、上層である酢酸エチル層2 mlを別の試験菅にとり、遠心エバポレーターで乾固後、抽出物をイソプロパノール0.1 mlに溶解し、以下に示す分析条件でHPLCを用いて分析を行った。
【0119】
(分析条件)
カラム:ヌクレオジル5N(CH3)2 (ドイツ、M. ナーゲル社製)、サイズ直径4.6 mm× 長さ250 mm、40 ℃
移動層:N−ヘキサン/イソプロパノール=9/1、流速2.0 ml/分
検出:示差屈折計 (昭和電工(株)製、SE−61型)、注入量 0.005 ml
【0120】
分析の結果、S. lividans 34AS−1株の培養ろ液中から得られた物質はメバロノラクトンの標品と一致し、メバロノラクトン濃度は0.30 mg/mlであった。
【0121】
〔実施例5〜7〕形質転換株によるメバロン酸発酵生産
前記実施例4で用いたS. lividans 34AS−1株の代わりに、実施例2で作製した形質転換株S. lividans 34AS−10株(実施例5)、実施例3で作製した形質転換株して得たS. lividans 35AS−3株(実施例6)、S. lividans 35AS−7株(実施例7)を用いた以外は、実施例4と同様の操作を実施し、得られた培養ろ液をHPLCで分析した結果、生成したメバロノラクトンはそれぞれ0.17 mg/ml(実施例5)、0.46 mg/ml(実施例6)、0.46 mg/ml(実施例7)、であった。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、効率的で安価に天然型のR−メバロン酸を提供することができる。
【0123】
【配列表】
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Claims (11)

  1. メバロン酸を製造するに際して、メバロン酸経路を有しない放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の3種類をコードするDNAを形質転換し、該放線菌の細胞中にアセトアセチルCoA合成酵素、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素の3種類の酵素蛋白質を生成させ、これら3種類の酵素蛋白質の機能によりメバロン酸を生成、蓄積させることを特徴とする新規なメバロン酸の製造方法。
  2. 上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子が、放線菌由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  3. 放線菌由来の上記アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来のアセトアセチルCoA合成酵素遺伝子である請求項2記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  4. 上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子が、放線菌由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  5. 放線菌由来の上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子である請求項4記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  6. 上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子が、放線菌由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子である請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  7. 放線菌由来の上記3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子が、ストレプトマイセス sp. CL190株由来の3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子である請求項6記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  8. 上記放線菌が、ストレプトマイセス リビダンスである請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  9. 上記放線菌に対して、アセトアセチルCoA合成酵素遺伝子、3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素遺伝子及び3−ハイドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素遺伝子の3種類をコードするDNAを形質転換する際に、プラスミドベクターを用いる請求項1記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  10. 上記プラスミドベクターが、大腸菌とのシャトルベクターである請求項9記載の新規なメバロン酸の製造方法。
  11. 配列番号1の塩基配列、
    配列番号1の塩基配列において1〜数個の塩基配列が欠失、置換、付加及び/又は挿入されている塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるために必要な配列をすべてコードする塩基配列、又は
    配列番号1の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、アセトアセチルCoA合成酵素を機能させるのに必要な配列をすべてコードする塩基配列、
    からなるポリヌクレオチド。
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