JP2018011075A - ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造方法 - Google Patents

ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率に優れたヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池を、簡便なプロセスで、かつ、低コストで製造可能な製造方法と、pn接合領域の幅を広く取り、n領域の幅を可能な限り狭く取れるような製造方法を提供する。【解決手段】n型単結晶シリコン1の一面側に、i型とp型のアモルファスシリコン膜5、7から成る第1の積層膜を形成し、積層膜に所定のパターンを有する開口を形成し、開口にi型とn型のアモルファスシリコン膜4、6から成る第2の積層膜を形成し、第1及び第2の積層膜の上に透明導電膜9を形成し、第1及び第2の積層膜の間を絶縁溝12aで分離し、電極を形成する。【選択図】図10

Description

本発明は、単結晶シリコン基板あるいは多結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系太陽電池及びその製造方法に関する。特に、単結晶シリコン基板の一方の面を受光面とし、他方の面にヘテロ接合と集電電極を配置した、ヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池及びその製造方法に関する。
近年、結晶シリコン系太陽電池の光電変換効率の更なる向上及び製造コストの更なる低減を目指した研究開発が盛んに行われている。特に、単結晶シリコンを用いたヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池は、発電効率を決定する要素である3つの性能、即ち、セルの開放電圧Voc(V)と、短絡電流密度Jsc(mA/cm)と、曲線因子(%)の向上に関し、優れた特徴を有することから注目されている。
ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の構造は、例えば、特許文献1〜3に示されている。その典型例を模式的に図12(a)、(b)に示す。図12(b)に示す切断線(矢視X−X)の断面図を模式的に、図13に示す。
図12において、単結晶シリコン基板101の表面を受光面100とし、裏面にヘテロ接合領域と集電電極部を配置している。前記集電電極部は、第1の櫛歯型電極111及び第2の櫛歯型電極110で構成されている。前記第1の櫛歯型電極111及び前記第2の櫛歯型電極110は絶縁溝112で電気的に絶縁されている。
図13において、前記n型結晶シリコン基板101の受光面側の表面113は凹凸形状になっている。前記凹凸形状を有する表面113に、i型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約10nm)102と、光反射防止膜(例えばSiNx、厚み、例えば、約70nm)103がその順に形成されている。前記単結晶シリコン基板101の裏面の所定の領域に、i型アモルファスシリコン(厚み、例えば、約15nm)105、p型アモルファスシリコン(厚み、例えば、約10nm)107、第1の透明電極(例えば、ITO、SnO2、ZnOなど、厚み、例えば、約70nm)109及び第1の櫛歯型電極(厚み、例えば、約200nm)111がこの順に形成されている。
なお、ここで、n型結晶シリコン基板101上に堆積されたi型アモルファスシリコン105、p型アモルファスシリコン107及び第1の透明電極109から成る積層領域をヘテロ接合領域と呼ぶ。
ヘテロ接合領域の隣には、絶縁溝112を隔てて、i型アモルファスシリコン(厚み、例えば、約15nm)104、n型アモルファスシリコン(厚み、例えば、約20nm)106、第2の透明電極(例えば、ITO、SnO2、ZnOなど、厚み、例えば、約70nm)108及び第2の櫛歯型電極(厚み、例えば、約200nm)110がこの順に形成されている。第1の櫛歯型電極111と第2の櫛歯型電極110は、絶縁溝112で電気的に絶縁されている。
ここで、ヘテロ接合領域以外の領域をn領域と呼ぶ。また。ヘテロ接合領域の幅をd1で表し、n領域の幅をd2で表す。また、図13に示すように、ヘテロ接合領域とn領域は交互に、ピッチd毎に、数多く並んで形成され、d=d1+d2の関係にある。
光電変換効率の向上を図るには、ヘテロ接合領域の幅d1がn領域の幅d2より広いのが良い、ということが、一般に、知られている。
第1及び第2の透明電極109及び108は、それぞれ、p型アモルファスシリコン107と第1の櫛歯型電極111の界面及びn型アモルファスシリコン106と第2の櫛歯型電極110の界面をオーミック接触とし、電気抵抗を減らす効果があるので、光電変換効率の向上のために必要であることが知られている。
ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の光電変換効率の向上に関わる研究成果が、非特許文献1及び2に記載されている。非特許文献1及び2において、光電変換効率の向上を図るには、次の事項が重要である、ということが記載されている。
(あ)意図した構造を正確に、構築できること。
(い)基板の表面及び裏面には高品位のパッシベーションが必要であること。
(う)パターニングプロセスにより、結晶シリコンとアモルファスシリコンの界面のパッシベーション性能を低下させないこと。
(え)パターンニングプロセスにより、光学特性に悪影響を及ぼさないこと。
(お)セルの直列抵抗が増加しないこと。
(か)シャント電流が増加しないこと。
(き)pn接合領域以外の領域、即ち,n領域を可能な限り狭くすること。
(く)バックコンタクト型のデバイスシミレーションの結果により、ピッチdを1.4mmに固定した条件において、pn接合領域の1ピッチに占める割合は85%が高効率化の最適値であること。
即ち、1ピッチ=1.4mmの場合、pn接合領域の幅d1=1.19mm、n領域の幅d2=0.21mmという条件が高効率化に適している、という具体的数値が記載されている。
上記非特許文献1及び2に記載の(あ)〜(く)の事項は、ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の光電変換効率向上技術、構造設計技術及び製造技術に関する一つの基本的指針として、一般に知られている。
また、高効率のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造方法を選定するに際しては、製造コストの低減と光電変換効率の向上の実現を図ることが求められる。
従来のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造方法には、大別して、製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を使う方法と、それを使わない方法がある。一般に、リソグラフイ(写真製版技術)を使う方法は、製造プロセスが複雑で工程数が多いことから、製造コストの低減が困難である、ということが知られている。
先ず、リソグラフイ(写真製版技術)を使わない方法の代表例として、特許文献1〜3に記載の方法に関し、その概要を説明する。
特許文献1には、次のことが記載されている。即ち、一面及び他面を有する結晶系半導体を備え、前記結晶系半導体の前記一面の第1領域に、真性の第1非晶質系半導体膜と、一導電型を示す不純物を含む第2の非晶質系半導体膜と、第1の電極とを順に備え、前記結晶系半導体の前記一面の第2の領域に、真性の第4の非晶質系半導体膜と前記一導電型と異なる他導電型を示す不純物を含む第3の非晶質系半導体膜と、第2の電極とを順に備え、前記第1の非晶質系半導体膜と前記第4の非晶質系半導体膜とは連続する共通の非晶質系半導体膜であり、前記第3の非晶質系半導体膜は、前記第2の非晶質系半導体膜上を含んで前記第1の非晶質系半導体膜上の全面に形成されていることを特徴とする光電変換素子、であることが記載されている。
上記特許文献1に記載の光電変換素子の非晶質系半導体膜を製造する方法として、プラズマCVD法を用い、pn接合領域の非晶質系半導体膜の製膜の際には、n領域にメタルマスクを被せてi型非晶質系半導体膜とp型非晶質系半導体膜を製膜する、ということが記載されている。また、n領域の非晶質系半導体膜の製膜の際には、pn接合領域にメタルマスクを被せてi型非晶質系半導体膜とn型非晶質系半導体膜を製膜する、ということが記載されている。
特許文献2には、次のことが記載されている。即ち、結晶系半導体基板の一面側に、第1導電型のアモルファス系半導体膜を形成する第1工程と、前記第1導電型のアモルファス系半導体膜の一部をレーザ照射により除去して所定のパターンを形成する第2工程と、前記所定のパターン上に第1電極を形成する第3工程と、前記第1電極を形成した前記結晶系半導体基板の一面側の全面に第2導電型のアモルファス系半導体膜を形成する第4工程と、前記結晶系半導体基板の一面側において前記所定のパターンの形成されていない領域に形成された前記第2導電型のアモルファス系半導体膜上に第2電極を形成する第5工程と、前記結晶系半導体基板の一面側において前記第1電極と前記第2電極との間に残存する膜の一部を、前記第1電極と前記第2電極とをマスクに用いたエッチングまたはレーザ照射により除去して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に分離する第6工程と、を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法、が記載されている。
上記特許文献2に記載の製造法において、第4工程で形成されたi型アモルファス系半導体膜及び第2導電型のアモルファス系半導体膜からなる2層膜の除去方法として、前記第1電極と前記第2電極とをマスクに用いたエッチングについて、記載がある。
ただし、第4工程で形成された、前記第1電極と前記第2電極上のi型アモルファス系半導体膜及び第2導電型のアモルファス系半導体膜からなる2層膜を、レーザ照射により除去する際の方法あるいは手順等については、一切、記載されていない。
なお、pn接合領域の1ピッチに占める割合は、上述の85%が高効率化の最適値であることを考慮すると、レーザ照射により、基板面積の約85%の面積に堆積している前記第1電極と前記第2電極上のi型アモルファス系半導体膜及び第2導電型のアモルファス系半導体膜からなる2層膜を除去する工程は、下地の電極にダメージを与え、光電変換効率の向上に悪い影響を与えるのみならず、多大の時間と費用を必要する、ということが容易に推察される。
また、pn接合領域での透明電極の形成、及びn領域での透明電極の形成について、一切記載されていない。p型アモルファス系半導体膜と金属電極の界面、及びn型アモルファス系半導体膜と金属電極の界面での電気抵抗についても、一切記載されていない。
また、ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を使う方法は、例えば、リソグラフイ(写真製版技術)を2回使用する製造方法は、製造プロセスが複雑になり、製造コストが高くなる、という問題があることが記載されている。
特許文献3には、次のことが記載されている。即ち、半導体結晶基板の一方の面の第1領域にn型半導体層を形成する工程と、前記一方の面の第2領域にp型半導体層を形成する工程と、 前記n型半導体層および前記p型半導体層の表面を含む前記一方の面に酸化物を主成分とするコンタクト電極層を一括形成する工程と、前記第1領域上の前記コンタクト電極層のキャリア濃度が、前記第2領域上の前記コンタクト電極層のキャリア濃度より大きくなるように、 前記第1領域上または前記第2領域上の前記コンタクト電極層のキャリア濃度を調整する工程と、 前記第1領域上の前記コンタクト電極層と前記第2領域上の前記コンタクト電極層とを切り離す工程と、 を備える光起電力素子の製造方法、であることが記載されている。
また、i型非晶質シリコン膜、p型非晶質シリコン膜、n型非晶質シリコンの形成方法はプラズマCVD法が好適である、という記載がある。
また、上記工程4において、n型非晶質シリコン膜を覆う所定領域にマスクを被せた後、p型非晶質シリコン膜を形成する、という記載がある。即ち、特許文献3に記載の方法では、n領域を覆うことができるマスクを用いて、プラズマCVDでp型非晶質シリコン膜を形成する、ということである。このことは、n領域の幅が狭く成れば、それに応じてマスクの幅も狭くなり、マスクの機械的強度は著しく低下するのみならず、温度変化(熱膨張による変形)への対応が困難ということ、を意味している。
次に、製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を使う方法の代表例として、特許文献4に記載の技術を次に説明する。即ち、ヘテロ接合型バックコンタクトセルと、 前記ヘテロ接合型バックコンタクトセルと電気的に接続されている配線シートと、を備え、前記ヘテロ接合型バックコンタクトセルは、 第1導電型または第2導電型の半導体基板と、 前記半導体基板の一方の側に設けられた、第1導電型非晶質半導体膜と、第2導電型非晶質半導体膜と、 前記第1導電型非晶質半導体膜上の第1電極と、 前記第2導電型非晶質半導体膜上の第2電極と、を備え、 前記配線シートは、 絶縁性基材と、 前記絶縁性基材上の第1配線と、第2配線と、を備え、 前記第1電極は、前記第1配線に電気的に接続され、 前記第2電極は、前記第2配線に電気的に接続されており、 前記第1電極の幅が前記第1配線の幅以上であること、および前記第2電極の幅が前記第2配線の幅以上であることの少なくとも一方の関係が満たされている、光電変換装置について、記載がある。
また、特許文献4に記載の技術は、製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を2回、使う方法であることが、記載されている。
特開2008−85374 特開2012−243797 特許第5774204 特開2016−46362
中村京太郎、伊坂隆行、舩越康志、殿村嘉章、町田智弘、岡本浩二、高効率シリコン裏面電極型太陽電池、シャープ技報、第93号、2005年12月、11−15。 中村淳一、浅野直城、稗田健、岡本親扶、片山博之、次世代高効率単結晶シリコン太陽電池セルの開発、シャープ技報、第107号、2014年17月、8−12。
本発明者は、従来の技術を用いる限り、低コストで、かつ、高効率のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池を製造することができないという問題がある、ことを見出した。
即ち、例えば、特許文献4に記載のような技術は、製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を2回、使う方法であることを特徴とするので、製造工程が複雑で、かつ、煩雑である。そのため、低コストの太陽電池の製造には不適である、という問題がある。
製造工程にリソグラフイ(写真製版技術)を使わないで、かつ、単純な工程から成る低コストの太陽電池製造技術として開発された特許文献1及び3に記載の技術では、ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造において、高校効率化を図る際の必須条件であるn領域の幅の短縮化ができないという問題、を有している。その問題は次の通りである。
即ち、従来技術の代表的技術である、特許文献1及び3に記載の技術では、プラズマCVD法によるアモルファスシリコンの製膜に際し、製膜する領域を選択的に露出させるために、図10に示す櫛歯型電極と同様の形状を有するマスクを用いる。n領域の幅の短縮化を実現できる条件では、この櫛歯型電極と同様の形状のマスクは、その幅が狭くて、かつ、長い帯状の形を有するので、機械的強度が弱く、ふにゃふにゃとなる。その結果、遮蔽すべき領域を遮蔽することができない、という重大な問題がある。機械的強度を強くするために、即ち、剛性を高くするために、例えば、幅方向に対して直交する方向の寸法を長くした場合でも、製膜時に基板温度が高温に、例えば、150℃ないし250℃に設定されるので、使用されるマスクは、室温状態から熱膨張で伸びて変形し、遮蔽すべき場所がずれるので、遮蔽すべき領域を遮蔽できないという問題が生じる。
また、特許文献2に記載の技術では、金属電極(前記第1電極と第2電極)とアモルファスシリコン膜の接続面に透明導電膜が形成されないので、接触抵抗が大きくなり、高い光電変換効率の実現には困難が伴うという、問題がある。
さらに、特許文献2に記載の技術では、レーザ照射で形成したパターンにi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜をこの順で製膜するが、集電用のp型電極の表面にも製膜される。そのため、次に示すような問題が生じる。
即ち、p型電極とn型電極を分離するために行う前記p型電極とn型電極をマスクとしてウエットエッチングする工程において、前記p型電極の上に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜を除去する必要がある。
一般に、前記p型電極の上に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜の積層膜の厚みと、前記レーザ照射で形成されたパターン部の周辺部に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜の積層膜の厚みは異なるので、それらを一工程でエッチングすることは困難である、という問題が生じる。なお、一般に、プラズマCVDを用いて、シリコン基板の上にi型アモルファスシリコン膜を製膜する場合と、金属膜の上にi型アモルファスシリコン膜を製膜する場合を比べると、初期膜形成の影響で製膜速度が異なることが知られている。
特許文献2に記載のエッチング工程において、前記p型電極の上に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜の積層膜を適正に除去するエッチング条件を選べば、前記レーザ照射で形成されたパターン部の周辺に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜の積層膜のエッチングは不適正になる、という問題が発生する。逆に、前記レーザ照射で形成したパターン部の周辺部に製膜されたi型アモルファスシリコン膜とn型アモルファスシリコン膜の積層膜を適正にエッチングする条件を選べば、前記p型電極の上にi型アモルファスシリコン膜が残り、集電電極の電気抵抗が増大するという、問題が生じる。
更に、金属電極(前記p型電極とn型電極)とアモルファスシリコン膜の接続面の接触抵抗を改善するために、前記金属電極と前記アモルファスシリコン膜の間に透明導電膜(例えば、ITO,SnO2,ZnOなど)を形成する場合、上記エッチング条件の選定が、上記の場合より複雑になるという、問題が生じる。
そこで、本発明は、従来のヘテロ接合バックコンタクト型構造の太陽電池の製造方法が有する上記諸問題を解決可能な、ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。即ち、光電変換に優れたヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池を、簡便なプロセスで、かつ、低コストで製造可能な製造方法を提供すること、そして、pn接合領域の幅を広く取り、n領域の幅を可能な限り狭く取れるような製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、n型結晶系シリコン基板の一面側に、第1のi型アモルファス系シリコン膜とp型アモルファス系シリコン膜から成る第1の積層膜を形成し、前記第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成し、前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜とn型アモルファス系シリコン膜から成る第2の積層膜を形成し、前記第1の積層膜と前記第2の積層膜の上に透明導電膜を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記p型アモルファス系シリコン膜から成る第1領域と、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記n型アモルファス系シリコン膜から成る第2領域を電気的に分離する絶縁溝を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第1の金属膜を形成し、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第2の金属膜を形成するようにしたことを特徴とする太陽電池の製造方法。
第2の発明は、第1の発明において、n型結晶系シリコン基板の一方の面に第1のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第1工程と、
前記第1工程で形成した第1のi型アモルファス系シリコン膜の上にp型アモルファス系シリコン膜を形成する第2工程と、
前記第1のi型アモルファス系シリコン膜と前記p型アモルファス系シリコン膜からなる第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成する第3工程と、
前記第3工程で形成された所定のパターンを有する前記開口と略同じパターンの開口を有する遮蔽マスクを用意し、前記遮蔽マスクを前記開口が露出されるように配置したプラズマCVD法により前記第3工程で形成された前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第4工程と、
前記第4工程で用いられた前記遮蔽マスクと同様の遮蔽マスクを前記第4工程と同様に用いたプラズマCVD法により、前記第4工程で形成された第2のi型アモルファス系シリコン膜の上にn型アモルファス系シリコン膜を形成する第5工程と、
前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜の上に、透明導電膜を形成する第6工程と、
電力取り出し用の電極を形成するために、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第1領域と、前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第2領域との間に、絶縁溝を形成する第7工程と、
前記絶縁溝で分離された前記第1領域の前記透明導電膜と前記第2領域の前記透明導電膜の上に金属膜を形成する第8工程と、
を備え、この順に行うことを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
第3の発明は、第1あるいは第2の発明において、前記絶縁溝は、前記第1領域の前記透明導電膜の表面と前記第2領域の前記透明導電膜の表面に開口を有し、前記第2のi型アモルファス系シリコン膜の内部に底面を有することを特徴とする、太陽電池の製造方法。
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれか一つの発明において、前記第1のi型アモルファス系シリコン膜の形成と前記p型アモルファス系シリコン膜の形成に、プラズマCVD法を用いることを特徴とする、太陽電池の製造方法。
第5の発明は、第1から第3の発明のいずれか一つの発明において、前記第1のi型アモルファス系シリコン膜の形成に、触媒化学気相堆積法を用いることを特徴とする太陽電池の製造方法。
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれか一つの発明において、前記透明導電膜は、酸化インジウム錫、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタンのいずれか一種を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれか一つの発明において、前記透明導電膜の形成に反応性スパッタリング法を用いることを特徴とする太陽電池の製造方法。
第8の発明は、第1から第7の発明のいずれか一つの発明において、前記n型をp型に、前記p型をn型に入れ替えたことを特徴とする太陽電池の製造方法。
本発明によれば、光電変換に優れたヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池を、簡便なプロセスで、かつ、低コストで製造可能という、効果を奏する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法により形成される太陽電池を説明するための模式的な構造図であり、同図(a)は平面図で、同図(b)は同図(a)のX1−X1の断面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、製造途中の太陽電池の模式図であり、結晶系シリコン基板であるn型の単結晶シリコン基板1の平面図(a)と同図(a)に示されるX2−X2ラインの断面図(b)である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、製造途中の太陽電池の模式図であり、レーザ照射により形成された開口を示す平面図(a)と同図(a)に示されるX3−X3ラインの断面図(b)である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、プラズマCVDによるアモルファスシリコン膜形成の際に用いる遮蔽マスクを示す平面図(a)と同図(a)に示されるX4−X4ラインの断面図(b)である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、プラズマCVDにより形成されたn領域を構成する第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を示す断面図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、スパッタリング法により形成された透明導電膜13を示す断面図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射による絶縁溝12の形成におけるレーザ照射領域を示す断面図である。 図8は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射により形成された絶縁溝12を示す断面図である。 図9は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、スクリーン印刷法で形成された第1の集電電極11及び第2の集電電極10を示す断面図である。 図10は、本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射により形成される絶縁溝を説明する模式的な断面図である。 図11は、本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、スクリーン印刷法で形成された第1の集電電極11及び第2の集電電極10を示す断面図である。 図12は、従来のヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池を説明するための概念図である。 図13は、従来のヘテロ接合バックコンタクト型の構造を有する太陽電池を説明するための断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法により形成される太陽電池を説明するための模式的な構造図であり、同図(a)は平面図で、同図(b)は同図(a)のX1−X1の断面図である。
符号1は、結晶系シリコン基板であるn型の単結晶シリコン基板である。ここで、結晶系シリコン基板とは、結晶シリコンの総称であり、単結晶シリコン基板あるいは多結晶シリコン基板を意味する。
n型の単結晶シリコン基板1は、表面15及び裏面16を有する。n型の単結晶シリコン基板1の表面15は、光反射を低減させるために、公知のエッチング技術を用いて、図示しない凹凸形状にエッチングされている。前記表面15の上に、実質的に真性なアモルファス系シリコン膜である図示しないi型アモルファスシリコン膜2と、図示しない光反射防止膜(例えば、SiNx膜)3がその順に形成される。
なお、本明細書において、アモルファス系シリコン膜とは、微結晶質シリコンが混入したアモルファスシリコン膜も含む、という意味である。
符号5は、実質的に真性なアモルファスシリコン膜である第1のi型アモルファスシリコン膜である。なお、本明細書において、「i型」とは、完全な真性な状態だけでなく、十分に低濃度(n型不純物濃度が1x1015個/cm未満、あるいは、p型不純物濃度が1x1015個/cm未満)であれば、n型またはp型不純物が混入された状態のものも含む、という意味である。符号7は、p型のアモルファス系シリコン膜であるp型アモルファスシリコン膜である。符号9は第1の透明導電膜であり、例えば、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等から選定される。ここでは、例えば、ITO膜である。第1の透明導電膜9は、p型アモルファスシリコン膜7と後述の第1の集電電極11の界面をオーミック接触とし、両者間の電気抵抗を減らす効果を有する。
なお、ここでは、n型の単結晶シリコン基板1上に積層された第1のi型アモルファスシリコン膜5、p型アモルファスシリコン膜7及び第1の透明導電膜9から成る領域をヘテロ接合領域と呼ぶ。
符号11は第1の集電電極である。第1の集電電極11は、金属材料で、例えばAg(銀)で形成される。第1の集電電極11は、発電された電力を外部へ取り出すための取り出し電極となる。
符号4は、実質的に真性なアモルファスシリコン膜である第2のi型アモルファスシリコン膜である。符号6は、n型のアモルファス系シリコン膜であるn型アモルファスシリコン膜である。符号8は第2の透明導電膜であり、例えば、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等から選定される。ここでは、例えば、ITO膜である。第2の透明導電膜8は、n型アモルファスシリコン膜6と後述の第2の集電電極10の界面をオーミック接触とし、両者間の電気抵抗を減らす効果を有する。
符号10は第2の集電電極である。第2の集電電極10は、金属材料で、例えばAg(銀)で形成される。第1の集電電極10は、発電された電力を外部へ取り出すための取り出し電極となる。
なお、ここでは、n型の単結晶シリコン基板1上に積層された第2のi型アモルファスシリコン4、n型アモルファスシリコン6及び第2の透明導電膜8から成る領域と、その隣に位置する後述の絶縁溝12と合わせて、n領域と呼ぶ。
符号12は、絶縁溝である。絶縁溝12は、第1の集電電極11と第2の集電電極10の間を電気的に絶縁する。
なお、ここでは、図1に示すように、ヘテロ接合領域の幅をd1で表し、n領域の幅をd2と表す。また、隣あうヘテロ接合領域の間隔をピッチdと呼ぶ。即ち、d=d1+d2で表される。
次に、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法について、図2ないし図9を用いて説明する。
ここでは、図1に示したような構造を有する太陽電池を一例として取り上げるが、本発明の太陽電池の製造方法の製造対象である太陽電池の構造を限定するものではない。即ち、本発明の太陽電池の製造方法は、任意性のある太陽電池の製造方法である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、製造途中の太陽電池の模式図であり、結晶系シリコン基板であるn型の単結晶シリコン基板1の裏側の平面図(a)と同図(a)に示されるX2−X2ラインの断面図(b)である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、製造途中の太陽電池の模式図であり、レーザビーム照射により形成された開口を示す平面図(a)と同図(a)に示されるX3−X3ラインの断面図(b)である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、プラズマCVDによるアモルファスシリコン膜形成の際に用いられる遮蔽マスクを示す平面図(a)と同図(a)に示されるX4−X4ラインの断面図(b)である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、プラズマCVDにより形成されたn領域を構成する第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を示す断面図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、スパッタリング法により形成された透明導電膜13を示す断面図である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射による絶縁溝12の形成におけるレーザビーム照射領域を示す断面図である。
図8は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射により形成された絶縁溝12を示す断面図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための太陽電池の模式的な断面図であり、スクリーン印刷法で形成された第1の集電電極11及び第2の集電電極10を示す断面図である。
結晶系シリコン基板であるn型の単結晶シリコン基板1を用意する。n型の単結晶シリコン基板1の形状は、図2(a)、(b)に示すように、例えば、矩形で、その厚みは約80μmないし300μm、例えば、200μmである。
先ず、n型の単結晶シリコン基板1の表面15及び裏面16を、公知のエッチング法によりエッチングして、表面層に存在するダメージ層を取り除く。次に、前記表面15に公知のエッチング法を用いて、図示しない凹凸形状を作製する。
次に、プラズマCVD法を用いて、n型の単結晶シリコン基板1の表面15の全面に図示しないi型アモルファスシリコン膜2を形成する。その後、前記i型アモルファスシリコン膜2の上に、プラズマCVD法により図示しない光反射防止膜3、例えば、窒化シリコン膜(SiNx)を製膜する。
次に、プラズマCVD法を用いて、前記n型の単結晶シリコン基板1の裏面の全面に第1のi型アモルファスシリコン膜5を形成する。なお、第1のi型アモルファスシリコン膜5は、触媒化学気相堆積法を用いても良い。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16の全面に形成された前記第1のi型アモルファスシリコン膜5の上に、プラズマCVD法によりp型アモルファスシリコン膜7を製膜する。なお、p型アモルファスシリコン膜5は触媒化学気相堆積法を用いても良い。
この段階において、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側は、図2(b)に示すように、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16の上に、第1のi型アモルファスシリコン膜5とp型アモルファスシリコン膜7がこの順で形成されている。
なお、n型の単結晶シリコン基板1の表面15の上に形成された前記i型アモルファスシリコン膜2及び前記光反射防止膜3は、図示していない。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、図3(a)に示すように、n領域の幅d2を有するストライプ状の領域に存在する前記第1のi型アモルファスシリコン膜5と前記p型アモルファスシリコン膜7をレーザエッチング法で除去する。即ち、n領域の幅d2を有するストライプ状の領域をレーザビームで照射し、その領域に存在する第1の前記i型アモルファスシリコン膜5と前記p型アモルファスシリコン膜7を除去する。アモルファス系シリコン膜の除去は、公知のレーザエッチング法で容易に可能である。なお、レーザエッチング法に代えて、公知のウエットエッチング法を用いても良い。
レーザビーム照射により第1のi型アモルファスシリコン膜5とp型アモルファスシリコン膜7の2層膜が除去された後の状況を、図3(b)に示す。図3(b)に示すように、レーザエッチング法により、n領域の幅d2を有するストライプ状の開口14が形成される。開口14の幅は任意に選定できるが、ここでは、後述の第1の遮蔽マスク18の説明に関連するので、具体的な数値として、開口14の幅d2を、例えば、d2=0.6mmとする。
なお、ここでは、ストライプ状の開口14をレーザビーム照射により形成したが、公知のウエットエッチングで形成することもできる。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、n領域の幅d2を有するストライプ状の開口14に、以下に示す方法により、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を形成する。
ここでは、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を、プラズマCVD法を用いて形成するが、予め、図4に示す遮蔽マスクを用意する。
図4に示す遮蔽マスクは、開口17を有する第1の遮蔽マスク18と、開口19を有する第2の遮蔽マスク20を重ねたものである。なお、ここで用いる遮蔽マスクは2枚を重ねているが、1枚の遮蔽マスクでも、3枚以上を重ねた遮蔽マスクでもよい。また、この遮蔽マスク18及び20は、n型の単結晶シリコン基板1の上に設置することにより、前記基板1の表面の所定の領域を選択的に露出することができる。即ち、前記基板1の表面の前記第1の遮蔽マスク18の開口17の領域だけを、露出する。
第1の遮蔽マスク18の材質は、金属あるいは各種の誘電体等で作製されるが、後述の第2の遮蔽マスクとの組み合わせを考慮の上、その厚みは熱変形に耐えられる範囲で可能な限り、薄い方が良い。ここでは、例えば、厚み200μm程度のシリコン基板を用いる。第2の遮蔽マスクは、主として第1の遮蔽マスクの熱変形を抑制するために用いられるもので、押さえ板的な機能が求められる。そのため、その材質は金属あるいは各種誘電体等から任意に選べるが、その厚みは、機械的強度及び熱変形を考慮して、厚い方が良い。ただし、厚みが増大すると、プラズマCVDによる第2のi型アモルファスシリコン膜4及びn型アモルファスシリコン膜6の製膜に影響がでるので、厚くなり過ぎるのは好ましくない。
具体例として、第1及び第2の遮蔽マスク18及び20の開口の寸法を以下に示す。ここでは、ヘテロ接合領域の幅d1を2.4mm、n領域の幅d2を0.6mmと設定する。
開口17の形は、長方形で、その長辺の寸法は、その長辺方向のn型の単結晶シリコン基板1の辺の長さより若干、長めにする。その短辺の寸法は、任意に選べるが、n領域の幅d2に略等しいのが良い。ここでは、ヘテロ接合領域の幅d1を2.4mm、n領域の幅d2を0.6mmと設定しているので、開口17の短辺を、0.1mm〜0.6mmの範囲で、例えば、0.6mmとする。第1の遮蔽マスク18の厚みは、プラズマCVD法による製膜においてプラズマに与える影響を抑制するために、可能な限り薄い方が良い。ここでは、略0.01mm〜0.3mmで、例えば、0.2mmとする。
開口19の形は、長方形で、その長辺の寸法は、その長辺方向のn型の単結晶シリコン基板1の辺の長さより若干、長めにする。その短辺の寸法は、任意に選べるが、開口17より一回り大きい方が良い。ここでは、開口17の短辺の寸法が上記のとおり、0.6mmであるので、開口19の短辺は、0.8mm〜1mmの範囲で、例えば、0.8mmとする。第2の遮蔽マスク20の厚みは、プラズマCVD法による製膜においてプラズマに与える影響を抑制するために、可能な限り薄い方が良い。ここでは、略0.5mm〜1mmで、例えば、1mmとする。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、図3に示す開口14に、第1及び第2の遮蔽マスク18及び20を用いたプラズマCVD法により、第2のi型アモルファスシリコン膜4を製膜する。そして、第2のi型アモルファスシリコン膜4の上にn型アモルファスシリコン膜6を製膜する。その手順は次の通りである。
図示しないプラズマCVD装置のi型アモルファスシリコン膜形成用の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置し、図4に示す第1の遮蔽マスク18及び第2の遮蔽マスク20をその順に重ねて配置する。その後、図示しないプラズマCVD装置の製膜室に所定の製膜条件で原料ガスを供給し、所定の条件でプラズマを発生させて、第1の遮蔽マスク18で覆わない領域、即ち、プラズマ側に露出しているn型の単結晶シリコン基板1の所定の領域に、第2のi型アモルファスシリコン膜4を堆積させる。
次に、n型の単結晶シリコン基板1を、この基板1に密着して配置されている第1の遮蔽マスク18及び第2の遮蔽マスク20と一緒に取り出し、図示しないプラズマCVD装置のn型アモルファスシリコン膜形成用の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置する。
次に、上記図示しないプラズマCVD装置の製膜室にn型アモルファスシリコン膜6の製膜のために、所定の製膜条件で原料ガスを供給し、所定の条件でプラズマを発生させて、第1の遮蔽マスク18で覆われていない領域、即ち、プラズマ側に露出しているn型の単結晶シリコン基板1の第1のi型アモルファスシリコン膜4の上に、n型アモルファスシリコン膜6を堆積させる。
なお、プラズマCVD法で用いる主たる原料ガスであるシランガス(S)がプラズマで分解されると、Sラジカルが多数発生し、そのSラジカルはプラズマの中からその外側へ拡散現象で移動し、n型の単結晶シリコン基板1の上にアモルファス系膜を堆積する。また、Sラジカルの大きさは原料ガスであるS分子と同じレベルの大きさであるので、大きさが分子レベルのSラジカルの方からみれば、第1の遮蔽マスク18の開口17の幅0.6mmは広大な開口である。また、Sラジカルの拡散による移動は、Sラジカルの濃度差に比例した力で移動し、電気的な力及びガス流れに影響されにくい、ということは公知のことである。
次に、前記図示しないプラズマCVD装置のn型アモルファスシリコン膜用の製膜室から、n型の単結晶シリコン基板1を取り出す。取り出したn型の単結晶シリコン基板1には、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6がその順で形成されている。その状況を図5に示す。
図5は、n型の単結晶シリコン基板1の裏側面の開口14の領域のみに、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6が製膜されていることを示しているが、実際の応用においては、開口14の領域からずれた領域に第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6が形成されることが起こる、可能性がある。この場合、後述するように、開口14の領域、即ち,n領域とpn接合領域の間は、レーザエッチング法、あるいは湿式エッチング法により除去されるので、製造される太陽電池の性能への影響は少ない。
次に、図示しないスパッタリング装置の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置する。そして、図5に示すpn接合領域のp型アモルファスシリコン膜7と、n領域のn型アモルファスシリコン膜6の上に、所定のスパッタリング条件で透明導電膜13を形成する。
なお、透明導電膜13としては、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等から選定される。ここでは、例えば、ITO(酸化インジウム錫)とする。また、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等の透明導電膜を形成する方法として、反応性スパッタリング法は良質の膜を形成できるので、好ましい。
透明導電膜13が形成された段階でのn型の単結晶シリコン基板1の裏面16側の状況を、断面図として、図6に示す。
次に、図7に示すように、pn接合領域とn領域の間にレーザビーム27を照射することにより、pn接合領域とn領域の間に絶縁溝12を形成する。なお、透明導電膜とアモルファスシリコンの積層膜に、任意の幅をもつ絶縁溝12を形成することは、公知のレーザエッチング法で容易に可能である
レーザエッチング法により形成されたpn接合領域とn領域の間の絶縁溝12、即ち、レーザビーム27を照射することにより形成されたpn接合領域とn領域の間の絶縁溝12の断面図を図8に示す。絶縁溝12の形成により分離されたpn接合領域の第1の透明導電膜9と、n領域の第2の透明導電膜8は電気的に絶縁される。なお、第1の透明導電膜9は、絶縁溝12で分離される前は透明導電膜13であったが、分離された後、pn接合領域にある透明導電膜13の部分をこのように呼ぶ。また、第2の透明導電膜8は、絶縁溝12で分離される前は透明導電膜13であったが、分離された後、n領域にある透明導電膜13の部分をこのように呼ぶ。
なお、ここでは、絶縁溝12をレーザビーム照射により形成したが、レーザを用いない他の公知のエッチング法、例えば、湿式エッチング法で形成することもできる。
次に、図9に示すように、第1の透明導電膜9及び第2の透明導電膜8の上に、それぞれ、第1の集電電極11及び第2の集電電極10を形成する。第1の集電電極11及び第2の集電電極10の形成としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びスクリーン印刷法等から選ぶことができる。ここでは、スクリーン印刷法で電極材料ペーストを印刷し、乾燥して、その後焼成する。
なお、第1の集電電極11及び第2の集電電極10は、発電された電力を外部へ取り出すための取り出し電極となる。
以上説明した手順に従って太陽電池を製造することにより、図1に示した構造を有する太陽電池の製造が可能である。
なお、上記部材において、p型とn型をいれ代えて製造することもできる。また、ストライプ状の開口部14をレーザビーム照射により形成したが、ウエットエッチング法で形成することもできる。また、絶縁溝12をレーザビーム照射により形成したが、ウエットエッチングで形成することもできる。
以上説明したように、本発明よる太陽電池の製造方法は、n型結晶系シリコン基板の一面側に、第1のi型アモルファス系シリコン膜とp型アモルファス系シリコン膜から成る第1の積層膜を形成し、前記第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成し、前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜とn型アモルファス系シリコン膜から成る第2の積層膜を形成し、前記第1の積層膜と前記第2の積層膜の上に透明導電膜を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記p型アモルファス系シリコン膜から成る第1領域と、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記n型アモルファス系シリコン膜から成る第2領域を電気的に分離する絶縁溝を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第1の金属膜を形成し、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第2の金属膜を形成するようにしたことを特徴とする。
また、n型結晶系シリコン基板の一方の面に第1のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第1工程と、前記第1工程で形成した第1のi型アモルファス系シリコン膜の上にp型アモルファス系シリコン膜を形成する第2工程と、前記第1のi型アモルファス系シリコン膜と前記p型アモルファス系シリコン膜からなる第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成する第3工程と、前記第3工程で形成された所定のパターンを有する前記開口と略同じパターンの開口を有する遮蔽マスクを用意し、前記遮蔽マスクを前記開口が露出されるように配置したプラズマCVD法により前記第3工程で形成された前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第4工程と、前記第4工程で用いられた前記遮蔽マスクと同様の遮蔽マスクを前記第4工程と同様に用いたプラズマCVD法により、前記第4工程で形成された第2のi型アモルファス系シリコン膜の上にn型アモルファス系シリコン膜を形成する第5工程と、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜の上に、透明導電膜を形成する第6工程と、電力取り出し用の電極を形成するために、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第1領域と、前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第の領域との間に、絶縁溝を形成する第7工程と、前記絶縁溝で分離された前記第1領域の前記透明導電膜と前記第2領域の前記透明導電膜の上に金属膜を形成する第8工程と、を備え、この順に行うことを特徴とする。
即ち、以上説明したように、本発明よる太陽電池の製造方法は、公知の簡便なプラズマCVD法と、公知の簡便なレーザエッチング法と、公知の簡便なスパッタリング法と、公知の簡便なスクリーン印刷法を用いて、幅の狭いn領域を有するヘテロ接合バックコンタクト型の構造の太陽電池を製造可能である。また、上述のレーザエッチング法に代えて、ウエットエッチング法を用いることが可能である。このように、本発明よる太陽電池の製造方法は、シンプルな製造工程と安価な装置を用いるので、製造コストの低減が図れる実用性の高い製造方法である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法について、図10及び図111を用いて説明する。なお、本発明の第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法に関する説明に用いた図1ないし図9も参照する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、図1に示す構造を有する太陽電池を例に取り説明するが、第1の実施形態と異なる点は、絶縁溝の構造及びその製造方法にある。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
また、本発明の太陽電池の製造方法の製造対象である太陽電池の構造を限定するものではない。即ち、本発明の太陽電池の製造方法は、任意性のある太陽電池の製造方法である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、レーザビーム照射により形成される絶縁溝を説明する模式的な断面図である。
図10において、符号12aは、絶縁溝である。絶縁溝12aは、第1の透明導電膜9の表面及び第2の透明導電膜8の表面に開口を有し、第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜4の内部に底面を有している。なお、第1の透明導電膜9は、絶縁溝12aで分離される前は透明導電膜13であったが、分離された後、pn接合領域にある透明導電膜13の部分をこのように呼ぶ。また、第2の透明導電膜8は、絶縁溝12aで分離される前は透明導電膜13であったが、分離された後、n領域にある透明導電膜13の部分をこのように呼ぶ。
図10において、絶縁溝12aとn型単結晶シリコン基板の裏面16の間に残存する第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜6はパッシベーション効果を有する膜であるので、n型単結晶シリコン基板の裏面16でのキャリアの再結合を防止する。その結果、前記残存する第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜6により、光電変換効率が向上する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法を説明するための、スクリーン印刷法で形成された第1の集電電極11及び第2の集電電極10を示す断面図である。
本発明の第2の実施形態に係わる太陽電池の製造方法においては、後述するレーザビーム照射による絶縁溝12aの形成以外は、前記第1の実施形態に係わる太陽電池の製造方法とほぼ同様である。
結晶系シリコン基板であるn型の単結晶シリコン基板1を用意する。n型の単結晶シリコン基板1の形状は、図2(a)、(b)に示すように、例えば、矩形で、その厚みは約80μmないし300μm、例えば、200μmである。
先ず、n型の単結晶シリコン基板1の表面15及び裏面16を、公知のエッチング法によりエッチングして、表面層に存在するダメージ層を取り除く。次に、前記表面15に公知のエッチング法を用いて、光吸収率を高める効果がある図示しない凹凸形状を作製する。
次に、プラズマCVD法を用いて、n型の単結晶シリコン基板1の表面15に図示しないi型アモルファスシリコン膜2を製膜する。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の表面15の全面に形成されたi型アモルファスシリコン膜2の上に、プラズマCVD法により図示しない光反射防止膜3、例えば、窒化シリコン膜(SiNx)を製膜する。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16の全面に、プラズマCVD法により第1のi型アモルファスシリコン膜5(膜厚み、一般に5nm〜70nm、ここでは、15nm)を形成する。そして、前記第1のi型アモルファスシリコン膜5の上に、プラズマCVD法によりp型アモルファスシリコン膜7(膜厚み、一般に5nm〜15nm、ここでは、10nm)を製膜する。
この段階において、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側は、図2(b)に示すように、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16の上に、第1のi型アモルファスシリコン膜5とp型アモルファスシリコン膜7がこの順で形成されている。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、図3(a)に示すように、n領域の幅d2を有するストライプ状の領域に存在する前記第1のi型アモルファスシリコン膜5と前記p型アモルファスシリコン膜7をレーザエッチング法で除去する。即ち、n領域の幅d2を有するストライプ状の領域をレーザビームで照射し、その領域に存在する第1の前記i型アモルファスシリコン膜5と前記p型アモルファスシリコン膜7を除去する。アモルファス系シリコン膜の除去は、公知のレーザエッチング法で容易に可能である。なお、レーザエッチング法に代えて、公知のウエットエッチング法を用いても良い。
レーザビーム照射により第1のi型アモルファスシリコン膜5とp型アモルファスシリコン膜7の2層膜が除去された後の状況を、図3(b)に示す。図3(b)に示すように、レーザエッチング法により、n領域の幅d2を有するストライプ状の開口14が形成される。開口14の幅は任意に選定できるが、ここでは、後述の第1の遮蔽マスク18の説明に関連するので、具体的な数値として、開口14の幅d2を、例えば、d2=0.6mmとする。
なお、ここでは、ストライプ状の開口14をレーザビーム照射により形成したが、公知のウエットエッチングで形成することもできる。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、n領域の幅d2を有するストライプ状の開口14に、以下に示す方法により、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を形成する。
ここでは、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6を、プラズマCVD法を用いて形成するが、予め、図4に示す遮蔽マスクを用意する。
図4に示す遮蔽マスクは、開口17を有する第1の遮蔽マスク18と、開口19を有する第2の遮蔽マスク20を重ねたものである。なお、ここで用いる遮蔽マスクは2枚を重ねているが、1枚の遮蔽マスクでも、3枚以上を重ねた遮蔽マスクでもよい。また、この遮蔽マスク18及び20は、n型の単結晶シリコン基板1の上に設置することにより、前記基板1の表面の所定の領域を選択的に露出することができる。即ち、前記基板1の表面の前記第1の遮蔽マスク18の開口17の領域だけを、露出する。
第1の遮蔽マスク18の材質は、金属あるいは各種の誘電体等で作製されるが、後述の第2の遮蔽マスクとの組み合わせを考慮の上、その厚みは熱変形に耐えられる範囲で可能な限り、薄い方が良い。ここでは、例えば、厚み200μm程度のシリコン基板を用いる。第2の遮蔽マスクは、主として第1の遮蔽マスクの熱変形を抑制するために用いられるもので、押さえ板的な機能が求められる。そのため、その材質は金属あるいは各種誘電体等から任意に選べるが、その厚みは、機械的強度及び熱変形を考慮して、厚い方が良い。ただし、厚みが増大すると、プラズマCVDによる第2のi型アモルファスシリコン膜4及びn型アモルファスシリコン膜6の製膜に影響がでるので、厚くなり過ぎるのは好ましくない。
次に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側において、図3(b)に示す開口14に、第1及び第2の遮蔽マスク18及び20を用いたプラズマCVD法により、第2のi型アモルファスシリコン膜4(膜厚み、一般に5nm〜100nm、ここでは、15nm)を製膜する。そして、第2のi型アモルファスシリコン膜4の上にn型アモルファスシリコン膜6(膜厚み、一般に5nm〜50nm、ここでは、20nm)を製膜する。その手順は次の通りである。
図示しないプラズマCVD装置のi型アモルファスシリコン膜形成用の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置し、図4に示す第1の遮蔽マスク18及び第2の遮蔽マスク20をその順に重ねて配置する。その後、図示しないプラズマCVD装置の製膜室に所定の製膜条件で原料ガスを供給し、所定の条件でプラズマを発生させて、第1の遮蔽マスク18で覆わない領域、即ち、プラズマ側に露出しているn型の単結晶シリコン基板1の所定の領域に、第2のi型アモルファスシリコン膜4を堆積させる。
次に、n型の単結晶シリコン基板1を、この基板1に密着して配置されている第1の遮蔽マスク18及び第2の遮蔽マスク20と一緒に取り出し、図示しないプラズマCVD装置のn型アモルファスシリコン膜形成用の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置する。
次に、上記図示しないプラズマCVD装置の製膜室にn型アモルファスシリコン膜6の製膜のために、所定の製膜条件で原料ガスを供給し、所定の条件でプラズマを発生させて、第1の遮蔽マスク18で覆われていない領域、即ち、プラズマ側に露出しているn型の単結晶シリコン基板1の第1のi型アモルファスシリコン膜4の上に、n型アモルファスシリコン膜6を堆積させる。
なお、プラズマCVD法で用いる主たる原料ガスであるシランガス(S)がプラズマで分解されると、Sラジカルが多数発生し、そのSラジカルはプラズマの中からその外側へ拡散現象で移動し、n型の単結晶シリコン基板1の上にアモルファス系膜を堆積する。また、Sラジカルの大きさは原料ガスであるS分子と同じレベルの大きさであるので、大きさが分子レベルのSラジカルの方からみれば、第1の遮蔽マスク18の開口17の幅0.6mmは広大な開口である。また、Sラジカルの拡散による移動は、Sラジカルの濃度差に比例した力で移動し、電気的な力及びガス流れに影響されにくい、ということは公知のことである。
次に、前記図示しないプラズマCVD装置のn型アモルファスシリコン膜用の製膜室から、n型の単結晶シリコン基板1を取り出す。取り出したn型の単結晶シリコン基板1には、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6がその順で形成されている。その状況を図5に示す。
図5は、n型の単結晶シリコン基板1の裏側面の開口14の領域のみに、第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6が製膜されていることを示しているが、実際の応用においては、開口14の領域からずれた領域に第2のi型アモルファスシリコン膜4とn型アモルファスシリコン膜6が形成されることが起こる、可能性がある。この場合、後述するように、開口14の領域、即ち,n領域とpn接合領域の間は、レーザエッチング法、あるいは湿式エッチング法により除去されるので、製造される太陽電池の性能への影響は少ない。
次に、図示しないスパッタリング装置の製膜室に、n型の単結晶シリコン基板1の裏面16側を製膜面として配置する。そして、図5に示すpn接合領域のp型アモルファスシリコン膜7と、n領域のn型アモルファスシリコン膜6の上に、所定のスパッタリング条件で透明導電膜13(膜厚み、一般に50nm〜100nm、ここでは、70nm)を形成する。
なお、透明導電膜13としては、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等から選定される。ここでは、例えば、ITO(酸化インジウム錫)とする。また、ITO(酸化インジウム錫)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)及びTiO(酸化チタン)等の透明導電膜を形成する方法として、反応性スパッタリング法は良質の膜を形成できるので、好ましい。
透明導電膜13が形成された段階でのn型の単結晶シリコン基板1の裏面16側の状況を、断面図として、図6に示す。
次に、図7に示すように、pn接合領域とn領域の間にレーザビーム27を照射することにより、pn接合領域とn領域の間に絶縁溝を形成する。ただし、第1の実施形態の場合と異なり、レーザエッチング法について、以下に示す準備を行う。
ここでは、図10に示すように、第1のi型アモルファスシリコン5とp型アモルファスシリコン7と第1の透明導電膜9から成るpn接合領域と、第2のi型アモルファスシリコン4とn型アモルファスシリコン6と第2の透明導電膜8から成るn領域の間にレーザビームを照射するに際し、レーザでエッチングされる絶縁溝12aの断面形状を、予め、調整する。
即ち、第1の透明導電膜9と第2の透明導電膜8を分離し、p型アモルファスシリコン7とn型アモルファスシリコン6を分離し、かつ、第2のi型アモルファスシリコン4はそのまま残存させることができる絶縁溝12aの形状を、予め、選定する。
ここでは、第1の透明導電膜9の表面及び第2の透明導電膜8の表面に開口を有し、第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜4の膜の内部に底面を有する絶縁溝12aを形成するための準備を、予め行う。
具体的には、レーザエッチング法に用いる装置の条件、即ち、レーザ光源がYAGレーザの場合、例えば、波長=0.532μm、パルス幅=20n秒〜35n秒、繰り返し周波数=1〜5KHz、ビームの強さ(パワー密度)=10mW/cm〜900mW/cm、加工幅=2μm〜200μm、加工速度=1mm/秒〜200mm/秒等の条件と、レーザエッチングの痕跡(加工痕跡)の関係を実験的に把握する。なお、レーザエッチングの痕跡(加工痕跡)は走査型電子顕微鏡あるいは実態顕微鏡等で観察することができる。
上記レーザエッチング法に用いる装置の条件とレーザエッチングの痕跡(加工痕跡)の関係を把握するデータの中から、図10に示す絶縁溝12aが形成できる条件として、例えば、波長=0.532μm、パルス幅=25n秒、パワー密度=100mW/cm、繰り返し周波数=2KHz、加工速度=100mm/秒、加工幅=20μmを、選定する。
次に、上記データで選定されたレーザエッチング法の装置の条件を設定し、図10に示す絶縁溝12aを作製する。
図10において、絶縁溝12aとn型単結晶シリコン基板の裏面16の間に残存する第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜6は、パッシベーション効果を有する膜であるので、n型単結晶シリコン基板の裏面16でのキャリアの再結合を防止する。その結果、前記n領域に残存する第1のi型アモルファスシリコン膜5と第2のi型アモルファスシリコン膜6により、光電変換効率が向上する。
絶縁溝12aの形成により、pn接合領域の第1の透明導電膜9と、n領域の第2の透明導電膜8は電気的に分離される。
次に、図11に示すように、第1の透明導電膜9及び第2の透明導電膜8の上に、それぞれ、第1の集電電極11及び第2の集電電極10を形成する。第1の集電電極11及び第2の集電電極10の形成としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びスクリーン印刷法等から選ぶことができる。ここでは、スクリーン印刷法で電極材料ペーストを印刷し、乾燥して、その後焼成する。
なお、第1の集電電極11及び第2の集電電極10は、発電された電力を外部へ取り出すための取り出し電極となる。
以上説明した手順に従って太陽電池を製造することにより、図1に示した構造を有する太陽電池の製造が可能である。
なお、上記部材において、p型とn型をいれ代えて製造することもできる。また、ストライプ状の開口14をレーザビーム照射により形成したが、ウエットエッチング法で形成することもできる。
以上説明したように、本発明よる太陽電池の製造方法は、n型結晶系シリコン基板の一面側に、第1のi型アモルファス系シリコン膜とp型アモルファス系シリコン膜から成る第1の積層膜を形成し、前記第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成し、前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜とn型アモルファス系シリコン膜から成る第2の積層膜を形成し、前記第1の積層膜と前記第2の積層膜の上に透明導電膜を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記p型アモルファス系シリコン膜から成る第1領域と、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記n型アモルファス系シリコン膜から成る第2領域を電気的に分離する絶縁溝を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第1の金属膜を形成し、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第2の金属膜を形成するようにしたことを特徴とする。
また、本発明よる太陽電池の製造方法は、n型結晶系シリコン基板の一方の面に第1のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第1工程と、前記第1工程で形成した第1のi型アモルファス系シリコン膜の上にp型アモルファス系シリコン膜を形成する第2工程と、
前記第1のi型アモルファス系シリコン膜と前記p型アモルファス系シリコン膜からなる第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成する第3工程と、前記第3工程で形成された所定のパターンを有する前記開口と略同じパターンの開口を有する遮蔽マスクを用意し、前記遮蔽マスクを前記開口が露出されるように配置したプラズマCVD法により前記第3工程で形成された前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第4工程と、前記第4工程で用いられた前記遮蔽マスクと同様の遮蔽マスクを前記第4工程と同様に用いたプラズマCVD法により、前記第4工程で形成された第2のi型アモルファス系シリコン膜の上にn型アモルファス系シリコン膜を形成する第5工程と、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜の上に、透明導電膜を形成する第6工程と、電力取り出し用の電極を形成するために、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第1領域と、前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第2領域との間に、絶縁溝を形成する第7工程と、前記絶縁溝で分離された前記第1領域の前記透明導電膜と前記第2領域の前記透明導電膜の上に金属膜を形成する第8工程と、を備え、この順に行うことを特徴とする。
また、本発明よる太陽電池の製造方法は、前記絶縁溝12aが、前記第1の透明導電膜9の表面と前記第2の透明導電膜8の表面に開口を有し、前記第2のi型アモルファス系シリコン膜4の内部に底面を有することを特徴とする。
即ち、以上説明したように、本発明よる太陽電池の製造方法は、公知の簡便なプラズマCVD法と、公知の簡便なレーザエッチング法と、公知の簡便なスパッタリング法と、公知の簡便なスクリーン印刷法を用いて、幅の狭いn領域を有するヘテロ接合バックコンタクト型の構造の太陽電池を製造可能である。また、上述のレーザエッチング法に代えて、ウエットエッチング法を用いることが可能である。このように、本発明よる太陽電池の製造方法は、シンプルな製造工程と安価な装置を用いるので、製造コストの低減が図れる実用性の高い製造方法である。
1・・・n型の単結晶シリコン基板、
2・・・i型アモルファスシリコン膜、
3・・・光反射防止膜、
4・・・第2のi型アモルファスシリコン膜、
5・・・第1のi型アモルファスシリコン膜、
6・・・n型アモルファスシリコン膜、
7・・・p型アモルファスシリコン膜、
8・・・第2の透明導電膜、
9・・・第1の透明導電膜、
10・・・第2の集電電極、
11・・・第1の集電電極、
12、12a・・・絶縁溝、
13・・・透明導電膜、
14・・・開口、
15・・・n型の単結晶シリコン基板の表面、
16・・・n型の単結晶シリコン基板の裏面、
17・・・第1の遮蔽マスクの開口、
18・・・第1の遮蔽マスク、
19・・・第2の遮蔽マスクの開口、
20・・・第2の遮蔽マスク、
27・・・レーザビーム。

Claims (8)

  1. n型結晶系シリコン基板の一面側に、第1のi型アモルファス系シリコン膜とp型アモルファス系シリコン膜から成る第1の積層膜を形成し、前記第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成し、前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜とn型アモルファス系シリコン膜から成る第2の積層膜を形成し、前記第1の積層膜と前記第2の積層膜の上に透明導電膜を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記p型アモルファス系シリコン膜から成る第1領域と、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜と前記n型アモルファス系シリコン膜から成る第2領域を電気的に分離する絶縁溝を形成し、前記第1の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第1の金属膜を形成し、前記第2の積層膜の上に形成された前記透明導電膜の上に第2の金属膜を形成するようにしたことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. n型結晶系シリコン基板の一方の面に第1のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第1工程と、
    前記第1工程で形成した第1のi型アモルファス系シリコン膜の上にp型アモルファス系シリコン膜を形成する第2工程と、
    前記第1のi型アモルファス系シリコン膜と前記p型アモルファス系シリコン膜からなる第1の積層膜の一部の領域を除去して所定のパターンを有する開口を選択的に形成する第3工程と、
    前記第3工程で形成された所定のパターンを有する前記開口と略同じパターンの開口を有する遮蔽マスクを用意し、前記遮蔽マスクを前記開口が露出されるように配置したプラズマCVD法により前記第3工程で形成された前記開口に第2のi型アモルファス系シリコン膜を形成する第4工程と、
    前記第4工程で用いられた前記遮蔽マスクと同様の遮蔽マスクを前記第4工程と同様に用いたプラズマCVD法により、前記第4工程で形成された第2のi型アモルファス系シリコン膜の上にn型アモルファス系シリコン膜を形成する第5工程と、
    前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜の上に、透明導電膜を形成する第6工程と、
    電力取り出し用の電極を形成するために、前記第3工程において前記開口を形成した後に残存する前記p型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第1領域と、前記第5工程で形成されたn型アモルファス系シリコン膜と前記第6工程で形成された前記透明導電膜とから成る第2領域との間に、絶縁溝を形成する第7工程と、
    前記絶縁溝で分離された前記第1領域の前記透明導電膜と前記第2領域の前記透明導電膜の上に金属膜を形成する第8工程と、
    を備え、この順に行うことを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記絶縁溝は、前記第1領域の前記透明導電膜の表面と前記第2領域の前記透明導電膜の表面に開口を有し、前記第2のi型アモルファス系シリコン膜の内部に底面を有することを特徴とする、請求項1あるいは請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第1のi型アモルファス系シリコン膜の形成と前記p型アモルファス系シリコン膜の形成に、プラズマCVD法を用いることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記第1のi型アモルファス系シリコン膜の形成に、触媒化学気相堆積法を用いることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記透明導電膜は、酸化インジウム錫、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタンのいずれか一種を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記透明導電膜の形成に反応性スパッタリング法を用いることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記n型をp型に、前記p型をn型に入れ替えたことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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