JP2018010249A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体および該支持体上に電荷発生層と電荷輸送層と保護層(表面保護層)を有する電子写真感光体の製造方法であって、該製造方法が該電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布して電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、該電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥して該電荷輸送層を形成する工程を有し、さらに該電荷輸送層上に保護層用塗布液を塗布して保護層用塗布液の塗膜を形成し、電子線を照射する工程と、加熱して硬化させる工程を順次行うことにより該保護層を形成する電子写真感光体の製造方法。
【選択図】なし
Description
該電荷輸送層用塗布液が、
樹脂(α)としてのポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂、
溶剤(β)としてのトルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤、並びに
溶剤(γ)としての安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、およびシクロペンタノンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
特許文献1に記載される感光層形成用の塗布液を電荷輸送層用塗布液として用いる場合、非ハロゲン系溶剤は電荷輸送層用塗布液に使用する材料を溶解しているかのように見える。しかし、材料の種類や配合比によっては、材料は非ハロゲン系溶剤に完全に溶解することができず、マイクロドメインのような状態が発生している。このため、このマイクロドメインが電荷のトラップとなって、特許文献1に記載される感光層形成用の塗布液を電荷輸送層用塗布液として用いた感光体では、電位変動が引き起こされると推測している。
本発明に係る電荷輸送層用塗布液に含まれる樹脂(α)はポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を示す。
式(B)中、R21〜R24はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。X2は単結合、シクロヘキシリデン基、または式(C)で示される構造を有する2価の基を示す。Y1は、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質は、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物等が挙げられる。電荷輸送物質としては、式(E)で示される構造を有する電荷輸送物質であることが好ましい。
本発明に係る電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤(β)は、トルエン、およびキシレンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤である。キシレンは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンのいずれを用いてもよいが、好ましくはo−キシレンである。
本発明に係る電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤(γ)は、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、およびシクロペンタノンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤である。
本発明に係る電荷輸送層用塗布液に任意に含まれる溶剤(δ)は、ジメトキシメタンおよびテトラヒドロフランの少なくとも1種の溶剤である。
次に本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体上に形成された感光層、および保護層を有する電子写真感光体である。
感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層である。また、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層である。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、例えば、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましい。
さらに、耐摩耗性と電荷輸送能力の両立の観点から、重合性官能基を有する電荷輸送物質を用いることがより好ましい。重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基が好ましい。また、同一分子内に重合性官能基を2つ以上有する電荷輸送物質が好ましい。
さらに、保護層の表面を、粗面化、ブラスト加工、圧接形状転写などにより加工しても良い。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド3−2や電子写真感光体3−1を加熱することが好ましい。
また、電子写真感光体に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールドと加圧部材との間に弾性体を設置することが好ましい。
図5に、本発明の電子写真感光体1を有するプロセスカートリッジ9を備えた電子写真装置の例を示す。
図5において、円筒状の本発明の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段:例えば、帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、露光手段(画像露光手段)(不図示)から照射される露光光(画像露光光)4を受ける。このようにして、電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
本発明は、放電を利用した帯電手段3を用いた場合において、効果が特に大きい。
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを電子写真感光体1の支持体とした。
酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランHPC、彦島製錬株式会社製)40部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)10部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、固形分70質量%)29部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レシリコーン(株))製)0.01部、シリコーン樹脂粒子(商品名:KMP−590、信越アステック株式会社製)4.8部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、および、メタノール50部を、ボールミルに入れ、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、厚さ18μmの導電層1を形成した。
次に、共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層1上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、厚さ0.45μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生物質としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶20部、式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、厚さ0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、式(E−1)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性化合物)4部、式(E−4)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性化合物)4部、および、表1に示す樹脂A1を10部、o−キシレン27.9部、安息香酸メチル16.4部、ジメトキシメタン37.7部を混合し、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を60分間120℃で乾燥させることによって、厚さ18μmの電荷輸送層を形成した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、(株)パウレック製)に通し、分散液を得た。その後、式(F)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
図1に示す研磨機を用いて、下記条件で感光体表面の研磨を行った。
研磨シートの送りスピード:400mm/min
感光体の回転数:240rpm
バックアップローラーの電子写真感光体に対する押し当て圧:2.0N/m2
研磨砥粒:炭化珪素
研磨砥粒の平均粒径:6μm
研磨時間:20秒
さらに、感光体表面に残存付着した削れ粉などを圧縮エアを吹き付けることによって除去した。
以上の方法で、感光体1を製造した。
感光体1の製造例において導電層、樹脂(α)、溶剤(β)、溶剤(γ)、溶剤(δ)、表面保護層、表面処理を表2に示したように変更した以外は感光体1の製造例と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を「感光体2〜11、24〜34」とする。
感光体1の製造例において導電層、樹脂(α)、溶剤(β)、溶剤(γ)、溶剤(δ)、表面保護層、表面処理を表2に示したように変更し、下引き層を設けなかった以外は感光体1の製造例と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を「感光体12〜23」とする。
酸化亜鉛粒子(比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの導電層2を形成した。
式(F)で示される正孔輸送性化合物70部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解し、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量8600Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が120℃になる条件で1分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は30ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。
図2に示す乾式ブラスト装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にてブラスト処理を行った。
研磨材砥粒:球状ガラスビーズ、平均粒径が30μm(商品名:UB−01L (株)ユニオン製)
エア吹き付け圧力:3.5kgf/cm2
ブラストガン移動速度:430mm/min
ワーク(感光体)回転速度:288rpm
噴射ノズルの先端と感光体の距離:100mm
砥粒吐出角度:90°
砥粒供給量:200g/min
ブラスト回数:片道×2回
さらに、感光体表面に残存付着した研磨材などを圧縮エアを吹き付けることによって除去した。
電子写真感光体に対して、図3に示した装置において、図4に示した形状転写用のモールドを設置し表面処理を行なった。加工時の電子写真感光体およびモールドの温度は110℃に制御し、50kg/cm2の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行なった。
<初期画像評価>
感光体1を、評価装置であるキヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C5255)の改造機のシアンステーションに装着し、以下のように試験および評価を行った。
まず、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−580V、明部電位(Vl)が−120Vになるように帯電装置および画像露光装置の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、シアン濃度30%のスクリーン画像をハーフトーン画像として出力し、画像欠陥の無いことを確認した。
電子写真感光体の表面電位(暗部電位および明部電位)の測定は上記評価装置のカートリジを改造し、電子写真感光体の端部から178mm位置(およそ中央部)に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像機を交換して現像位置で行った。電子写真感光体の非露光部の暗部電位が−580Vになるように印加バイアスを設定し、レーザー光(0.26cJ/m2)を照射して暗部電位から光減衰させた明部電位を測定した。また、A4サイズの普通紙を用い、連続して画像出力を100000枚行い、その後の明部電位を測定した。さらに画像出力後の明部電位と画像出力前の明部電位との差をΔとして算出した。結果を表3に示す。
電位変動評価で用いた感光体の初期と耐久後の表面保護層の膜厚を瞬間マルチ測定システムMCPD−3000を用いた干渉膜厚計(大塚電子製)で測定し、差分を計算して、摩耗量とした。結果を表3に示す。
実施例1において感光体1を感光体2〜34に変更した以外はすべて実施例1と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
1−2 ガイドローラー
1−3 ガイドローラー
1−4 ガイドローラー
1−5 ガイドローラー
1−6 バックアップローラー
1−7 電子写真感光体
1−8 巻き取り手段
1−9 軸
2−1 噴射ノズル
2−2 ノズル固定冶具
2−3 突出エア供給管
2−4 ブラスト砥粒供給管
2−5 ブラスト砥粒
2−6 ワーク支持体
2−7 電子写真感光体
2−8 ノズル支持体
2−9 ノズル固定アーム
3−1 電子写真感光体
3−2 モールド
3−3 加圧部材
3−4 支持部材
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
Claims (7)
- 支持体および該支持体上に電荷発生層と電荷輸送層と保護層を有する電子写真感光体の製造方法であって、該製造方法が該電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布して電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、該電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥して該電荷輸送層を形成する工程を有し、さらに該電荷輸送層上に保護層用塗布液を塗布して保護層用塗布液の塗膜を形成し、電子線を照射する工程と、加熱して硬化させる工程を順次行うことにより該保護層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、
該電荷輸送層用塗布液が、
樹脂(α)としてのポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂、
溶剤(β)としてのトルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤、並びに
溶剤(γ)としての安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、およびシクロペンタノンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤
を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記電荷輸送層用塗布液が、さらに、
溶剤(δ)としてのジメトキシメタンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。 - 前記溶剤(β)が、キシレンである請求項1から6のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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