JP2018008880A - 光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に好ましい光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法であって、式(2)で表されるスルフィド誘導体を、金属化合物およびキラル配位子としてのOH基を有するフェニルイミノ化合物を含む金属−キラル配位子錯体であるキラル触媒、ならびに特定の安息香酸化合物の存在下で、酸化剤と反応させることを特徴とする方法。
Figure 2018008880

Figure 2018008880

(式中、R1は、C1〜C10アルコキシ基等;R2およびR3は、それぞれ独立して、H等;*は不斉中心を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法に関する。
光学活性なスルホキシド誘導体は、医薬(特許文献1参照)および農薬(特許文献2および3参照)の分野において、薬量の低減等の観点から注目されている。したがって、スルホキシド誘導体が高いエナンチオマー過剰率および高い収率で製造されることは、重要である。高いエナンチオマー過剰率により、必要とされないエナンチオマーから生じ得る潜在的な危険が回避される(非特許文献1参照)。
殺ダニ活性を有するスルホキシド誘導体について、光学活性体が報告されているが、その製造方法はキラル固定相上のHPLCによる光学分割であった(特許文献4参照)。しかし、キラル固定相を用いるエナンチオマーのHPLC分離は、一般的に大きなスケールでの工業的生産に適していない。例えば、キラル固定相の高いコストおよび分離に必要な時間のために、キラル相上のHPLCの利用は経済的ではない。つまり、特許文献4には、光学活性なスルホキシド誘導体の工業的に好ましく有用な製造方法は開示されていなかった。加えて、これまでに、特許文献4に記載のスルホキシド誘導体については、光学分割を用いないでエナンチオマー過剰率が高い目的化合物を与える製造方法は、知られていなかった。
特許文献3には、殺ダニ剤として有用な光学活性なスルホキシド誘導体が記載されている。さらに、特許文献5は、酸化反応による特許文献3に記載の光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法を開示する。しかし、特許文献5に記載の酸化反応により製造されたスルホキシド誘導体のエナンチオマー過剰率は、満足できるものではない。実際に、特許文献5に記載の方法では、高いエナンチオマー過剰率を有するスルホキシド誘導体を得るために、再結晶による精製が必要であった。再結晶の濾液には、スルホキシド誘導体の必要ではないエナンチオマーが含有されている。結果として、かなりの量のスルホキシド誘導体が廃棄されることになる。さらに、スルホキシド誘導体が液体であるか、またはその融点が低い場合は、再結晶による精製は不可能または困難である。このような場合は、エナンチオマー過剰率がより高い不斉酸化が必要とされるのである。加えて、酸化の反応収率もまた向上された製造方法が望まれている。
その一方で、酸化反応による光学活性なスルホキシド誘導体の製造において、例えば、高いエナンチオマー過剰率と比較的高い収率の組み合わせが達成されたことが、非特許文献2には報告されている。しかし、BINOLから由来するアルデヒドから調製されるシッフ塩基を配位子として使用するため、調製の複雑さとコストの面から、非特許文献2の製造方法は工業生産に好ましくない。つまり、非特許文献2の製造方法をスルフィド誘導体の不斉酸化として工業的に利用することは容易ではないのである。
非特許文献3は、従来から知られているシッフ塩基を配位子として使用する不斉酸化において、安息香酸化合物が使用される方法を開示する。非特許文献3には、アリールアルキルスルフィド誘導体のアリール部分の置換基の違いにより、収率およびエナンチオマー過剰率が変化することが記載されている。収率およびエナンチオマー過剰率の両方をバランス良く得た例として、78%の収率と92%のエナンチオマー過剰率の組み合わせを与えた化合物も報告されている。しかし、非特許文献3では、置換基が限定された場合の収率とエナンチオマー過剰率が開示されるだけである。言い換えれば、本発明の目的化合物の製造において、十分な収率および満足できるエナンチオマー過剰率を得ることができる製造方法は知られていなかった。安息香酸化合物としては、収率およびエナンチオマー過剰率の観点から、4−メトキシ安息香酸アルカリ金属塩および4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸アルカリ塩が優れていることが報告されている。配位子のシッフ塩基については、以下のように報告されている。配位子としてのシッフ塩基のアミン部分としては、収率およびエナンチオマー過剰率の観点から、光学活性なtert−ロイシノールが光学活性なバリノールよりも優れていた。配位子としてのシッフ塩基のサリチルアルデヒド部分としては、上記と同様の観点から、3,5−ジヨードサリチルアルデヒドおよび3,5−ジブロモサリチルアルデヒドが無置換のサリチルアルデヒドよりも優れていた。しかし、本発明の目的化合物の製造において、これらの安息香酸化合物と配位子が工業的に有利な効果を有するかどうかは、知られていなかった。
ドイツ特許第4035455号 国際公開第2011/152320号 特開2011−219419号公報 国際公開第2013/157229号 米国特許出願公開第2011/0015405号 国際公開第2013/092350号
Science、1993年、259巻、479−483頁 Tetrahedron Letters、2004年、45巻、9249−9252頁 Chem.Eur.J.,2005年、11巻、1086−1092頁
上記した従来技術における1以上の欠点または問題を解決することができる、光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法に対する緊急の必要性があった。
したがって、本発明の目的は、工業的に好ましく、経済的であり、そして環境にも優しい、光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明のより具体的な目的は、当該誘導体を、簡単な操作により、高いエナンチオマー過剰率および高い収率で製造できる方法を提供することにある。特に、特許文献4に記載のスルホキシド誘導体を、高いエナンチオマー過剰率で、そして再結晶による精製を必要としないで(すなわち、再結晶によるエナンチオマー過剰率の向上を必要としないで)製造できることが、望まれていた。この目的を達成するためには、先行技術と比較して、より高いエナンチオマー過剰率を与える不斉酸化反応を提供する必要がある。
本発明のより具体的な他の目的は、安価でありかつ環境負荷を低減できる方法を提供することにある。この目的を達成するためには、不斉酸化反応において、廃棄物となる望まれない光学異性体の生成を抑制することが必要である。さらに、キラル触媒の量(すなわち、金属化合物の量およびキラル配位子の量)を減少することが望まれる。
上記のような状況に鑑み、本発明者らは、光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、意外にも、一般式(1):
Figure 2018008880
(式中、R、R、Rおよび*は、下記〔1〕に記載の通りである。)
で表される光学活性なスルホキシド誘導体が、一般式(2):
Figure 2018008880
(式中、R、RおよびRは、下記〔1〕に記載の通りである。)
で表されるスルフィド誘導体を、金属化合物およびキラル配位子としての一般式(3):
Figure 2018008880
(式中、R、R、R、Rおよび*は、下記〔1〕に記載の通りである。)
で表される化合物を含む金属−キラル配位子錯体であるキラル触媒、ならびに一般式(4):
Figure 2018008880
(式中、A、A、A、A、A、Mおよびnは、下記〔1〕に記載の通りである。)
で表される安息香酸化合物の存在下で、酸化剤と反応させることにより、製造できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕から〔18〕項に記載の発明を提供することにより上記課題を解決したものである。
〔1〕一般式(1):
Figure 2018008880
(式中、
は、C1〜C10アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C4アルコキシC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4ハロアルコキシC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルチオC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルスルホニルC2〜C12アルコキシ基、C1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4ハロアルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基、またはC1〜C4ハロアルキルスルホニルC2〜C12アルコキシ基であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはC1〜C4アルキル基であり;そして
*は不斉中心を示す。)
で表される光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法であって、一般式(2):
Figure 2018008880
(式中、R、RおよびRは、上記で定義した通りである。)
で表されるスルフィド誘導体を、金属化合物およびキラル配位子としての一般式(3):
Figure 2018008880
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、C6〜C10アリール基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜C6アルコキシ基であり;
は、C1〜C4アルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C1〜C4アルコキシカルボニル基、C1〜C4アルキルカルボニル基、ヒドロキシC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、アミノC1〜C4アルキル基、シアノC1〜C4アルキル基、ニトロC1〜C4アルキル基、カルボキシC1〜C4アルキル基、またはC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基であり;
は、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり;そして
*は不斉中心を示す。)
で表される化合物を含む金属−キラル配位子錯体であるキラル触媒、ならびに一般式(4):
Figure 2018008880
(式中、
、A、A、AおよびAは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、アミノ基、モノ(C1〜C4アルキル)アミノ基、またはジ(C1〜C4アルキル)アミノ基であり;
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、またはアルカリ土類金属原子であり;そして
nは1または2である。)
で表される安息香酸化合物の存在下で、酸化剤と反応させることを特徴とする方法。
〔2〕金属化合物が鉄化合物であり;
が水素原子であり;
が水素原子またはハロゲン原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がC1〜C4アルキル基である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕金属化合物が鉄化合物であり;
が水素原子であり;
が水素原子またはハロゲン原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がイソプロピル基である、〔1〕に記載の方法。
〔4〕金属化合物が鉄化合物であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がイソプロピル基である、〔1〕に記載の方法。
〔5〕金属化合物が鉄化合物であり;
が水素原子であり;
が塩素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がイソプロピル基である、〔1〕に記載の方法。
〔6〕A、A、A、AおよびAが、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜C2アルコキシ基であり;
Mがアルカリ金属原子であり;そして
nが1である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕Aがメトキシ基であり;
が水素原子であり;
が水素原子またはメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
nが1である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕Aがメトキシ基であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
nが1である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕Aがメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
nが1である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕RがC1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基であり;そして
およびRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基である、〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕Rが5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基または6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
がフッ素原子でありかつRが塩素原子であるか、またはRおよびRがメチル基である、〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕Rが5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基であり;
がフッ素原子であり;そして
が塩素原子である、〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕Rが6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
およびRがメチル基である、〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕反応が−10℃〜10℃で行われる、〔1〕から〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕反応が−5℃〜5℃で行われる、〔1〕から〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体が90〜100%eeのエナンチオマー過剰率を有する、〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体が95〜100%eeのエナンチオマー過剰率を有する、〔1〕から〔15〕のいずれか1項に記載の方法。
〔18〕反応収率が95〜100%である、〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、殺ダニ剤等として有用な上記一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体の新規で工業的に適用できる製造方法が提供される。本発明によれば、従来技術における上記した1以上の欠点または問題を解決することができる、光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法が提供される。
本発明の不斉酸化反応では、エナンチオマー過剰率が大幅に改善されている。したがって、本発明によれば、光学活性なスルホキシド誘導体を、簡単な操作により、高いエナンチオマー過剰率で製造できる。加えて、上記一般式(4)で表される安息香酸化合物を用いることにより、収率および反応収率も増加している。ここで、反応収率は実質的に収率と同じであると理解できる。特に、適切な一般式(4)の安息香酸化合物の使用は、十分な収率および満足できるエナンチオマー過剰率の両方を与えた。言い換えれば、一般式(4)の安息香酸化合物の置換基を選択することにより、高い収率と高いエナンチオマー過剰率の優れた組み合わせが達成された。
特に、本発明によれば、特許文献4に記載のスルホキシド誘導体を、十分に高いエナンチオマー過剰率で、そしてエナンチオマー過剰率を向上させるための再結晶による精製を必要としないで製造できる。目的のスルホキシド誘導体が液体であるか、またはその融点が低い場合は、再結晶による精製は不可能または困難であるが、本発明の方法はそのような場合にも適している。さらに、本発明によれば、非常にコストがかかり複雑なキラル固定相上のHPLCによる光学分割を用いずに、エナンチオマー過剰率の高いスルホキシド誘導体を得ることができる。
同時に、本発明によれば、不斉酸化反応におけるエナンチオマー過剰率の増加により、廃棄物となる望まれない光学異性体を削減できる。したがって、本発明は環境負荷を低減できる。
本発明によれば、一般式(4)で表される安息香酸化合物を用いることにより、キラル触媒の量(すなわち、金属化合物の量およびキラル配位子の量)を大幅に減少することができる。触媒の使用量の減少は、廃棄物を減少することになるため、本発明は環境負荷を低減できる。加えて、高価な配位子の使用量を低減することにより、製造コストが低減できる。
本発明によれば、一般式(4)の安息香酸化合物の使用は、配位子のシッフ塩基中のアミン部分の原料として、より簡単な構造を有し安価な光学活性なバリノール(例えば、D−tert−ロイシノール)を使用して、そして高価であり工業的に使用が難しい光学活性なtert−ロイシノール(例えば、D−tert−ロイシノール)を使用しないで、高いエナンチオマー過剰率および高い収率で、一般式(1)のスルホキシド誘導体を製造することを可能にした。
さらに、本発明によれば、一般式(4)の安息香酸化合物の使用は、配位子のシッフ塩基中のサリチルアルデヒド部分の原料として、製造がより複雑で難しく高価な3,5−ジヨードサリチルアルデヒド、3,5−ジブロモサリチルアルデヒドおよび3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒドを必要としないで、高いエナンチオマー過剰率および高い収率で、一般式(1)のスルホキシド誘導体を製造することを可能にした。すなわち、本発明によれば、配位子のシッフ塩基中のサリチルアルデヒド部分の原料として、極めて安価な無置換のサルチルアルデヒドまたは入手が容易であり安価な5位だけにハロゲン化したサルチルアルデヒドを使用して、高いエナンチオマー過剰率および高い収率で、一般式(1)のスルホキシド誘導体を製造することができる。
要するに、一般式(4)の安息香酸化合物の使用は、本発明の目的化合物の工業的な製造において、配位子の置換基の簡単で安価な組み合わせを用いることを可能にするのである。
本発明によれば、触媒に含まれる金属化合物として鉄化合物を用いた場合に、スルホキシド誘導体をより高い収率およびより高いエナンチオマー過剰率で製造できる。不斉酸化反応において触媒として使用可能な遷移金属化合物等の中でも、鉄化合物は、経済的な優位性だけでなく、環境への負荷も低く、かつ人間を含む生物に対する毒性が低いという優位性を有している。
本発明によれば、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、撹拌速度等に由来する撹拌効率および/または反応のスケールの変化によるエナンチオマー過剰率および収率等への影響を減少することができる。
したがって、本発明の方法は、工業的に好ましく、経済的であり、そして環境にも優しい。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による方法は、以下のスキーム:
Figure 2018008880
(式中、R、R、Rおよび*は、上記の〔1〕に記載の通りである。)
によって示される。
本明細書において用いられる用語および記号について以下に説明する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素である。生成物の有用性等の観点から、ハロゲン原子の好ましい例は、フッ素原子および塩素原子である。
アルカリ金属原子の例は、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子およびセシウム原子、好ましくはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子およびセシウム原子、より好ましくはリチウム原子、ナトリウム原子およびカリウム原子を含む。
アルカリ土類金属原子の例は、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子およびバリウム原子、好ましくはマグネシウム原子、カルシウム原子およびバリウム原子を含む。
「Ca〜Cb」とは、炭素原子数がa〜b個であることを意味する。例えば、「C1〜C4アルキル基」の「C1〜C4」とは、アルキル基の炭素原子数が1〜4であることを意味する
本明細書中、「アルキル」のような一般的用語は、ブチル及びtert−ブチルのような直鎖及び分岐鎖基の両方を含むと理解される。しかしながら、「ブチル基」のような具体的な用語が使用された場合は、これは「ノルマルブチル基」、すなわち「n−ブチル基」に対して特異的である。言い換えれば、具体的な用語「ブチル基」は直鎖基の「ノルマルブチル基」を意味し、そして「tert−ブチル」のような分岐鎖異性体は、意図した場合に具体的に言及される。もう一つの例としては、「ペンチルオキシ基」は直鎖基の「ノルマルペンチルオキシ基」を意味する。さらに別の例としては、「ヘキシルオキシ基」は直鎖基の「ノルマルヘキシルオキシ基」を意味する。
接頭語「n−」、「s−」および「sec−」、「i−」、「t−」及び「tert−」、[neo−]、「c−」および「cyc−」、「o−」、「m−」、および「p−」は、それらの以下の通常の意味を有する:ノルマル、セカンダリー、イソ、ターシャリー、ネオ、シクロ、オルソ、メタ、およびパラ。
本明細書中、以下の略語が使用されることがある:
「Me」はメチル基を意味する;
「Et」はエチル基を意味する;
「Pr」および「n−Pr」はプロピル基(すなわち、ノルマルプロピル基)を意味する;
「i−Pr」はイソプロピル基を意味する;
「Bu」および「n−Bu」はブチル基(すなわち、ノルマルブチル基)を意味する;
「s−Bu」はイソブチル基を意味する;
「i−Bu」はイソブチル基を意味する;
「t−Bu」はtert−ブチル基を意味する;
「Ph」はフェニル基を意味する;
「Bn」はベンジル基を意味する。
C1〜C10アルキル基とは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
C1〜C10アルキル基の例は、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C2〜C10アルキル基とは、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
C2〜C10アルキル基の例は、上記のC1〜C10アルキル基の例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C6アルキル基とは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
C1〜C6アルキル基の例は、上記のC1〜C10アルキル基の例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキル基とは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
C1〜C4アルキル基の例は、上記のC1〜C10アルキル基の例のうちの適切な例を含む。
C1〜C2アルキル基とは、1〜2個の炭素原子を有する直鎖のアルキル基を意味する。
C1〜C2アルキル基の例は、メチル基およびエチル基である。
ハロアルキル基とは、同一または異なる1以上のハロゲン原子で置換された直鎖または分岐鎖のアルキル基をいう。
C1〜C6ハロアルキル基とは、同一または異なる1〜13個のハロゲン原子により置換されている、炭素原子数が1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する(ここで、ハロゲン原子は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C6ハロアルキル基の例は、
フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、
2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、
3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、
4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチル基、
5−フルオロペンチル基、5−クロロペンチル基、5−ブロモペンチル基、5−ヨードペンチル基、
6−フルオロヘキシル基、6−クロロヘキシル基、6−ブロモヘキシル基、6−ヨードヘキシル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4ハロアルキル基とは、同一または異なる1〜9個のハロゲン原子により置換されている、炭素原子数が1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する(ここで、ハロゲン原子は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキル基の例は、上記のC1〜C6ハロアルキル基の例のうちの適切な例を含む。
C1〜C10アルコキシ基とは、(C1〜C10アルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C10アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C10アルコキシ基の例は、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、
ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、
ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、へプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C2〜C10アルコキシ基とは、(C2〜C10アルキル)−O−基を意味する(ここで、C2〜C10アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C2〜C10アルコキシ基の例は、上記のC1〜C10アルコキシ基の例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C6アルコキシ基とは、(C1〜C6アルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C6アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C6アルコキシ基の例は、上記のC1〜C10アルコキシ基の例のうちの適切な例を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルコキシ基とは、(C1〜C4アルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルコキシ基の例は、上記のC1〜C10アルコキシ基の例のうちの適切な例である。
C1〜C2アルコキシ基とは、(C1〜C2アルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C2アルキル基は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C2アルコキシ基の例は、メトキシ基およびエトキシ基である。
C1〜C6ハロアルコキシ基とは、(C1〜C6ハロアルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C6ハロアルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C6ハロアルコキシ基の例は、
フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、
2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、
3−フルオロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基、
4−フルオロブトキシ基、4−クロロブトキシ基、4−ブロモブトキシ基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブトキシ基、
5−フルオロペンチルオキシ基、5−クロロペンチルオキシ基、5−ブロモペンチルオキシ基、5−ヨードペンチルオキシ基、
6−フルオロヘキシルオキシ基、6−クロロヘキシルオキシ基、6−ブロモヘキシルオキシ基、6−ヨードヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4ハロアルコキシ基とは、(C1〜C4ハロアルキル)−O−基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルコキシ基の例は、
フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、
2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、
3−フルオロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基、
4−フルオロブトキシ基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブトキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルチオ基とは、(C1〜C4アルキル)−S−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルチオ基の例は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、イソブルチオ基、tert−ブルチオ基を含む。
C1〜C4ハロアルキルチオ基とは、(C1〜C4ハロアルキル)−S−基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルチオ基の例は、
フルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、クロロジフルオロメチルチオ基、
2−フルオロエチルチオ基、2−クロロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、
3−フルオロプロピルチオ基、3−クロロプロピルチオ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルチオ基、ヘプタフルオロプロピルチオ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルチオ基、
4−フルオロブチルチオ基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチルチオ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルスルフィニル基とは、(C1〜C4アルキル)−SO−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルスルフィニル基の例は、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基を含む。
C1〜C4ハロアルキルスルフィニル基とは、(C1〜C4ハロアルキル)−SO−基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルスルフィニル基の例は、
フルオロメチルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基、クロロジフルオロメチルスルフィニル基、
2−フルオロエチルスルフィニル基、2−クロロエチルスルフィニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル基、ペンタフルオロエチルスルフィニル基、
3−フルオロプロピルスルフィニル基、3−クロロプロピルスルフィニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルスルフィニル基、ヘプタフルオロプロピルスルフィニル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルスルフィニル基、
4−フルオロブチルスルフィニル基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチルスルフィニル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルスルホニル基とは、(C1〜C4アルキル)−SO−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルスルホニル基の例は、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基を含む。
C1〜C4ハロアルキルスルホニル基とは、(C1〜C4ハロアルキル)−SO−基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキル基部分は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルスルホニル基の例は、
フルオロメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、クロロジフルオロメチルスルホニル基、
2−フルオロエチルスルホニル基、2−クロロエチルスルホニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、
3−フルオロプロピルスルホニル基、3−クロロプロピルスルホニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルスルホニル基、ヘプタフルオロプロピルスルホニル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルスルホニル基、
4−フルオロブチルスルホニル基、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチルスルホニル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルコキシC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4アルコキシ基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4アルコキシ基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルコキシC2〜C10アルコキシ基の例は、5−(メトキシ)ペンチルオキシ基、6−(メトキシ)ヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4ハロアルコキシC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4ハロアルコキシ基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルコキシ基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルコキシC2〜C10アルコキシ基の例は、
5−(ジフルオロメトキシ)ペンチルオキシ基、5−(トリフルオロメトキシ)ペンチルオキシ基、
6−(ジフルオロメトキシ)ヘキシルオキシ基、6−(トリフルオロメトキシ)ヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルチオC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4アルキルチオ基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4アルキルチオ基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルチオC2〜C10アルコキシ基の例は、
2−(メチルチオ)エトキシ基、3−(メチルチオ)プロポキシ基、4−(メチルチオ)ブトキシ基、
5−(メチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(エチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(プロピルチオ)ペンチルオキシ基、5−(ブチルチオ)ペンチルオキシ基、
6−(メチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(エチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(プロピルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(ブチルチオ)ヘキシルオキシ基、
7−(メチルチオ)へプチルオキシ基、8−(メチルチオ)オクチルオキシ基、9−(メチルチオ)ノナニルオキシ基、10−(メチルチオ)デカニルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
生成物の有用性等の観点から、C1〜C4アルキルチオC2〜C10アルコキシ基の好ましい例は、5−(メチルチオ)ペンチルオキシ基および6−(メチルチオ)ヘキシルオキシ基を含む。
C1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4ハロアルキルチオ基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキルチオ基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基の例は、
2−(トリフルオロメチルチオ)エトキシ基、3−(トリフルオロメチルチオ)プロポキシ基、4−(トリフルオロメチルチオ)ブトキシ基、
5−(ジフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(ペンタフルオロエチルチオ)ペンチルオキシ基、5−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルチオ)ペンチルオキシ基、5−(2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチルチオ)ペンチルオキシ基、
6−(ジフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(ペンタフルオロエチルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルチオ)ヘキシルオキシ基、6−(2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブチルチオ)ヘキシルオキシ基、
7−(トリフルオロメチルチオ)へプチルオキシ基、8−(トリフルオロメチルチオ)オクチルオキシ基、9−(トリフルオロメチルチオ)ノナニルオキシ基、10−(トリフルオロメチルチオ)デカニルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
生成物の有用性等の観点から、C1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基の好ましい例は、5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基および6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基を含む。
C1〜C4アルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4アルキルスルフィニル基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4アルキルチスルフィニル基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基の例は、5−(メチルスルフィニル)ペンチルオキシ基および6−(メチルスルフィニル)ヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルスルホニルC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4アルキルスルホニル基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4アルキルスルホニル基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルスルホニルC2〜C10アルコキシ基の例は、5−(メチルスルホニル)ペンチルオキシ基および6−(メチルスルホニル)ヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4ハロアルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4ハロアルキルスルフィニル基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキルスルフィニル基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基の例は、5−(ジフルオロメチルスルフィニル)ペンチルオキシ基、5−(トリフルオロメチルスルフィニル)ペンチルオキシ基、6−(ジフルオロメチルスルフィニル)ヘキシルオキシ基、および
6−(トリフルオロメチルスルフィニル)ヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4ハロアルキルスルホニルC2〜C10アルコキシ基とは、C1〜C4ハロアルキルスルホニル基により置換されたC2〜C10アルコキシ基を意味する(ここで、C1〜C4ハロアルキルスルホニル基およびC2〜C10アルコキシ基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4ハロアルキルスルホニルC2〜C10アルコキシ基の例は、5−(ジフルオロメチルスルホニル)ペンチルオキシ基、5−(トリフルオロメチルスルホニル)ペンチルオキシ基、6−(ジフルオロメチルスルホニル)ヘキシルオキシ基、および6−(トリフルオロメチルスルホニル)ヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
フェニルC1〜C6アルキル基とは、フェニル基により置換されたC1〜C6アルキル基を意味する(ここで、C1〜C6アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
フェニルC1〜C6アルキル基の例は、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C6〜C10アリール基の例は、フェニル基、1−ナフチル基、および2−ナフチル基である。1−ナフチル基はナフタレン−1−イル基とも言う。2−ナフチル基はナフタレン−2−イル基とも言う。
C1〜C4アルコキシカルボニル基とは、(C1〜C4アルキル)−O−C(=O)−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルキルカルボニル基とは、(C1〜C4アルキル)−C(=O)−基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルキルカルボニル基の例は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
ヒドロキシC1〜C4アルキル基とは、ヒドロキシ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
ヒドロキシC1〜C4アルキル基の例は、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基とは、C1〜C4アルコキシ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルコキシ基およびC1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基の例は、
メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、
1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、2−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、
1−メトキシプロピル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、
1−メトキシブチル基、2−メトキシブチル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
アミノC1〜C4アルキル基とは、アミノ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
アミノC1〜C4アルキル基の例は、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、1−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、1−アミノブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
シアノC1〜C4アルキル基とは、シアノ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
シアノC1〜C4アルキル基の例は、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、1−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、1−シアノブチル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
ニトロC1〜C4アルキル基とは、ニトロ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
ニトロC1〜C4アルキル基の例は、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、1−ニトロプロピル基、2−ニトロプロピル基、1−ニトロブチル基、2−ニトロブチル基、3−ニトロブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
カルボキシC1〜C4アルキル基とは、カルボキシ基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
カルボキシC1〜C4アルキル基の例は、カルボキシメチル基、1−カルボキシエチル基、2−カルボキシエチル基、1−カルボキシプロピル基、2−カルボキシプロピル基、1−カルボキシブチル基、2−カルボキシブチル基、3−カルボキシブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基とは、C1〜C4アルコキシカルボニル基により置換されたC1〜C4アルキル基を意味する(ここで、C1〜C4アルコキシカルボニル基およびC1〜C4アルキル基は上記と同じ意味を有する。)。
C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基の例は、
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、
1−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、1−プロポキシカルボニルエチル基、2−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、2−イソプロポキシカルボニルエチル基、
1−メトキシカルボニルプロピル基、2−メトキシカルボニルプロピル基、3−メトキシカルボニルプロピル基、
1−メトキシカルボニルブチル基、2−メトキシカルボニルブチル基、3−メトキシカルボニルブチル基、4−メトキシカルボニルブチル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
モノ(C1〜C4アルキル)アミノ基とは、(C1〜C4アルキル)−NH−基を意味する。(ここで、C1〜C4アルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)
モノ(C1〜C4アルキル)アミノ基の例は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
ジ(C1〜C4アルキル)アミノ基とは、(C1〜C4アルキル)N−基を意味する。(ここで、C1〜C4アルキル基部分は、同一又は異なって、上記の定義と同じ意味を有する。)
ジ(C1〜C4アルキル)アミノ基の例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
(原料化合物:一般式(2)で表されるスルフィド誘導体)
一般式(2)で表されるスルフィド誘導体の調製は、例えば、国際公開第2013/157229号(特許文献4)に記載されているか、または同様の方法で行われ得る。
生成物の有用性等の観点から、一般式(2)中、R、RおよびRの好ましい組み合わせは:
がC1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基であり;そして
およびRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基である。
一般式(2)中、R、RおよびRのより好ましい組み合わせは:
が5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基または6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
がフッ素原子でありかつRが塩素原子であるか、またはRおよびRがメチル基である。
一つの態様において、生成物の有用性等の観点から、一般式(2)中、R、RおよびRの好ましい具体的な組み合わせは:
が5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基であり;
がフッ素原子であり;そして
が塩素原子である。
別の態様において、生成物の有用性等の観点から、一般式(2)中、R、RおよびRの好ましい具体的な組み合わせは:
が6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
およびRがメチル基である。
生成物の有用性等の観点から、一般式(2)中、R、RおよびRの特に好ましい具体的な組み合わせは:
が6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
およびRがメチル基である。
(目的化合物:一般式(1)で表されるスルホキシド誘導体)
一般式(1)で表されるスルホキシド誘導体の有用性の観点から、一般式(1)で表されるスルホキシド誘導体の旋光性としては(+)が好ましい。
同様の観点から、一般式(1)中、R、RおよびRの好ましい組み合わせ、より好ましい組み合わせ、および特に好ましい組み合わせは、上記した一般式(2)中のそれらと同様である。
(酸化剤)
本発明で使用される酸化剤は、反応が進行する限りは、いずれの酸化剤でもよい。対応する原料化合物(スルフィド誘導体)を目的化合物(スルホキシド誘導体)に酸化できる酸化剤を用いることができる。本発明で使用される酸化剤の例は、無機過酸化物(例えば、過酸化水素、尿素−過酸化水素付加体等)、有機過酸(例えば、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等)、有機過酸化物(例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等)等を含むが、これらに限定されるものではない。反応性、選択性および経済効率等の観点から、好ましい酸化剤は過酸化水素である。酸化剤は、単独でまたは任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。
酸化剤の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。酸化剤の形態は、当業者により適切に選択されることができる。酸化剤として過酸化水素を用いるときは、過酸化水素の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。危険性と経済効率を考慮して、好ましい形態の過酸化水素の例は、5〜60wt%過酸化水素水溶液、好ましくは5〜40wt%過酸化水素水溶液、より好ましくは10〜35wt%過酸化水素水溶液、さらに好ましくは25〜35wt%過酸化水素水溶液を含む。なお、本明細書中、例えば、「30%過酸化水素水溶液」は「30%過酸化水素」とも言う。
(酸化剤の使用量)
本発明の方法における酸化剤の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。
収率の向上および経済効率等の観点から、本発明における酸化剤の下限としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.9モル以上、好ましくは1.0モル以上を例示することができる。
安全性、副生成物の抑制および経済効率等の観点から、本発明における酸化剤の上限としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、4.0モル以下、好ましくは3.0モル以下、より好ましくは2.5モル以下を例示することができる。
さらに、本発明における酸化剤の使用量としては、上記の下限と上限の適宜な且つ任意の組み合わせを例示することができる。したがって、安全性、収率の向上、副生成物の抑制、および経済効率等の観点から、本発明における酸化剤の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.9〜4.0モル、好ましくは1.0〜3.0モル、より好ましくは1.0〜2.5モルを例示することができる。しかしながら、本発明における酸化剤の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(キラル触媒:金属−キラル配位子錯体)
本発明におけるキラル触媒は、金属−キラル配位子錯体である。金属−キラル配位子錯体は、金属化合物とキラル配位子から調製することができる。加えて、金属−キラル配位子錯体は、金属化合物および配位子以外の成分を含んでいてもよい。したがって、金属−キラル配位子錯体は、金属化合物とキラル配位子を含む。
(金属化合物)
本発明における金属−キラル配位子錯体に含まれる金属化合物について説明する。本発明で使用される金属化合物は、反応が進行する限りは、いずれの金属化合物でもよい。本発明で使用される金属化合物は公知の化合物であるか、または公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる化合物である。
金属化合物は、金属アセチルアセトネート、金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属アルコキシド等であるが、これらに限定されるものではない。
金属化合物の金属は好ましくは遷移金属である。
金属化合物の例は、鉄化合物、バナジウム化合物、チタン化合物、マンガン化合物、銅化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物等を含むが、これらに限定されるものではない。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、金属化合物は、好ましくは鉄化合物、バナジウム化合物、より好ましくは鉄化合物である。
鉄化合物の例は、鉄(III)アセチルアセトネート、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、鉄(III)メトキシド、鉄(III)エトキシド、鉄(III)プロポキシド、鉄(III)イソプロポキシド等を含むが、これらに限定されるものではない。「鉄(III)アセチルアセトネート」は、「Fe(acac)」または「トリス(2,4−ペンタンジナオト)鉄(III)」とも言う。上記と同様の観点から、鉄化合物の好ましい例は、鉄(III)アセチルアセトネート、塩化鉄(III)を含む。鉄化合物のより好ましい例は、鉄(III)アセチルアセトネートを含む。
バナジウム化合物の例は、バナジルアセチルアセトネート、酸化バナジウム(V)、トリイソプロポキシバナジウム(V)オキシド等を含むが、これらに限定されるものではない。「バナジルアセチルアセトネート」は、「VO(acac)」、「ビス(2,4−ペンタンジナオト)バナジウム(IV)オキシド」または「バナジウム(IV)オキシアセチルアセトネート」とも言う。「トリイソプロポキシバナジウム(V)オキシド」は、「VO(OiPr)」または「トリイソプロポキシオキソバナジウム(V)とも言う。上記と同様の観点から、バナジウム化合物の好ましい例は、バナジルアセチルアセトネート、酸化バナジウム(V)を含む。バナジウム化合物のより好ましい例は、バナジルアセチルアセトネートを含む。
チタン化合物の例は、四塩化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)tert−ブトキシド等を含むが、これらに限定されるものではない。
マンガン化合物の例は、マンガン(III)アセチルアセトネート、塩化マンガン(II)等を含むが、これらに限定されるものではない。「マンガン(III)アセチルアセトネート」は、「Mn(acac)」とも言う。
銅化合物の例は、銅(II)アセチルアセトネート、塩化銅(I)、塩化銅(II)等を含むが、これらに限定されるものではない。「銅(II)アセチルアセトネート」は、「Cu(acac)」とも言う。
モリブデン化合物の例は、モリブデニルアセチルアセトネート等を含むが、これらに限定されるものではない。「モリブデニルアセチルアセトネート」は、「MoO(acac)」、「ビス(2,4−ペンタンジナオト)モリブデン(VI)ジオキシド」または「モリブデン(IV)ジオキシアセチルアセトネート」とも言う。
ジルコニウム化合物の例は、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、四塩化ジルコニウムを含むが、これらに限定されるものではない。「ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート」は、「Zr(acac)」または「テトラキス(2,4−ペンタンジナオト)ジルコニウム(IV)」とも言う。
本発明における金属化合物は、単独でまたは任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。本発明における金属化合物の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。本発明における金属化合物の形態は、当業者により適切に選択されることができる。
(金属化合物の使用量)
本発明の方法における金属化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。金属化合物の使用量は、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、低減することができる。収率の向上、環境負荷の低減、および経済効率等の観点から、本発明における金属化合物の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.1〜20.0mol%、好ましくは0.1〜10.0mol%、より好ましくは0.3〜10.0mol%、さらに好ましくは0.4〜10.0mol%を例示することができる。さらに、上記と同様の観点から、本発明における金属化合物の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、好ましくは0.3〜6.0mol%、より好ましくは0.3〜5.0mol%、さらに好ましくは0.4〜5.0mol%、さらに好ましくは0.4〜4.0mol%、さらに好ましくは0.4〜3.0mol%、特に好ましくは0.4〜2.0mol%もまた例示することができる。しかしながら、本発明における金属化合物の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(キラル配位子)
本発明における金属−キラル配位子錯体に含まれるキラル配位子について説明する。本発明で使用されるキラル配位子は公知の化合物であるか、または公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる化合物である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、好ましいキラル配位子は、一般式(3):
Figure 2018008880
(式中、R、R、R、Rおよび*は、下記の通りである。)
で表される化合物である。
一般式(3)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、C6〜C10アリール基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜C6アルコキシ基である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、RおよびRの好ましい例はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C6アルキル基、より好ましくはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である。
のさらに好ましい例は水素原子である。
のさらに好ましい例は水素原子または塩素原子、特に好ましくは塩素原子である。
一般式(3)中、Rは、C1〜C4アルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C1〜C4アルコキシカルボニル基、C1〜C4アルキルカルボニル基、ヒドロキシC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、アミノC1〜C4アルキル基、シアノC1〜C4アルキル基、ニトロC1〜C4アルキル基、カルボキシC1〜C4アルキル基、またはC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、Rの好ましい例はヒドロキシC1〜C4アルキル基、より好ましくはヒドロキシメチル基である。
一般式(3)中、Rは、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、またはC6〜C10アリール基である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、Rの好ましい例はC1〜C6アルキル基、より好ましくはC1〜C4アルキル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基またはtert−ブチル基、特に好ましくはイソプロピル基である。
一般式(3)中、*は不斉中心を示す。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、一般式(3)中、R、R、RおよびRの好ましい組み合わせは:
が水素原子であり;
が水素原子またはハロゲン原子であり;
がヒドロキシC1〜C4アルキル基であり;そして
がC1〜C4アルキル基である。
一般式(3)中、R、R、RおよびRのより好ましい組み合わせは:
が水素原子であり;
が水素原子またはハロゲン原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がC1〜C4アルキル基である。
一般式(3)中、R、R、RおよびRのさらに好ましい組み合わせは:
が水素原子であり;
が水素原子またはハロゲン原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がイソプロピル基である。
一般式(3)中、R、R、RおよびRのさらに好ましい組み合わせは:
が水素原子であり;
が水素原子または塩素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;そして
がイソプロピル基である。
一つの態様において、一般式(3)中、R、R、RおよびRの好ましい具体的な組み合わせは:
が水素原子であり;
が水素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;
がイソプロピル基である。
この場合に、生成物の有用性等の観点から、一般式(3)中、好ましい不斉中心の立体配置はR/S表記法で(R)である。
別の態様において、一般式(3)中、R、R、RおよびRの好ましい具体的な組み合わせは:
が水素原子であり;
が塩素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;
がイソプロピル基である。
この場合に、生成物の有用性等の観点から、一般式(3)中、好ましい不斉中心の立体配置はR/S表記法で(R)である。
一般式(3)中、R、R、RおよびRの特に好ましい具体的な組み合わせは:
が水素原子であり;
が塩素原子であり;
がヒドロキシメチル基であり;
がイソプロピル基である。
この場合に、生成物の有用性等の観点から、一般式(3)中、特に好ましい不斉中心の立体配置はR/S表記法で(R)である。
キラル配位子の具体例は、後述する式(3−1−R)から(3−12−R)の化合物を含む。
生成物の有用性、エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、キラル配位子の好ましい具体例は、後述する式(3−1−R)から(3−4−R)の化合物を含む。
キラル配位子のより好ましい具体例は、後述する式(3−1−R)および(3−3−R)の化合物を含む。
キラル配位子の特に好ましい具体例は、後述する式(3−3−R)の化合物である。
本発明におけるキラル配位子は、単独でまたは任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。本発明におけるキラル配位子の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。本発明におけるキラル配位子化合物の形態は、当業者により適切に選択されることができる。
(キラル配位子の使用量)
本発明の方法におけるキラル配位子の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。キラル配位子の使用量は、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、低減することができる。収率およびエナンチオマー過剰率の向上、環境負荷の低減、および経済効率等の観点から、本発明におけるキラル配位子の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.1〜20.0mol%、好ましくは0.1〜10.0mol%、より好ましくは0.3〜10.0mol%、さらに好ましくは0.4〜10.0mol%を例示することができる。さらに、上記と同様の観点から、本発明におけるキラル配位子の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、好ましくは0.3〜6.0mol%、より好ましくは0.3〜5.0mol%、さらに好ましくは0.4〜5.0mol%、さらに好ましくは0.4〜4.0mol%、さらに好ましくは0.4〜3.0mol%、特に好ましくは0.4〜2.0mol%もまた例示することができる。しかしながら、本発明におけるキラル配位子の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(安息香酸化合物)
本発明における一般式(4)で表される安息香酸化合物について説明する。本発明の反応は、一般式(4):
Figure 2018008880
(式中、A、A、A、A、A、Mおよびnは、下記の通りである。)
で表される安息香酸化合物の存在下で行われる。本発明で使用される一般式(4)の安息香酸化合物は公知の化合物であるか、または公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる化合物である。
一般式(4)中、A、A、A、AおよびAは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、アミノ基、モノ(C1〜C4アルキル)アミノ基、またはジ(C1〜C4アルキル)アミノ基である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、A、A、A、AおよびAの好ましい例は、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜C2アルコキシ基である。
のより好ましい例はC1〜C2アルコキシ基、さらに好ましくはメトキシ基である。
のより好ましい例は水素原子である。
のより好ましい例は水素原子またはメトキシ基、さらに好ましくは水素原子である。
のより好ましい例は水素原子である。
のより好ましい例はC1〜C2アルコキシ基、さらに好ましくはメトキシ基である。
一般式(4)中、Mは水素原子、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、Mは好ましくはアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子、より好ましくはアルカリ金属原子ある。
Mの具体例は、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、およびバリウム原子を含むが、これらに限定されるものではない。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、Mの好ましい具体例は、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、マグネシウム原子、およびカルシウム原子である。
Mのより好ましい具体例は、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、およびセシウム原子である。
Mのさらに好ましい具体例はナトリウム原子である。
一般式(4)中、nは1または2である。より詳細には、それが化学的に許容される限りは、nは1または2であればよい。例えば、Mが水素原子またはアルカリ金属原子のとき、nは1である。他の例としては、Mがアルカリ土類金属原子のとき、nは2である。
エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、一般式(4)中、A、A、A、A、A、Mおよびnの好ましい組み合わせは:
、A、A、AおよびAが、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜C2アルコキシ基であり;
Mがアルカリ金属原子であり;そして
nが1である。
一般式(4)中、A、A、A、A、A、Mおよびnのより好ましい組み合わせは:
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
が水素原子またはメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
およびnが1である。
一つの態様において、一般式(4)中、A、A、A、A、A、Mおよびnの好ましい具体的な組み合わせは:
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
およびnが1である。
別の態様において、一般式(4)中、A、A、A、A、A、Mおよびnの好ましい具体的な組み合わせは:
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
およびnが1である。
一般式(4)中、A、A、A、A、A、Mおよびnの特に好ましい具体的な組み合わせは:
がメトキシ基であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
が水素原子であり;
がメトキシ基であり;
Mがナトリウム原子であり;そして
およびnが1である。
安息香酸化合物の具体例は、後述する式(4−1)から(4−18)の化合物を含む。
安息香酸化合物の好ましい具体例は、後述する式(4−1)および(4−2)の化合物を含む。
安息香酸化合物の特に好ましい具体例は、後述する式(4−1)の化合物である。
一般的に、一般式(2)のスルフィド誘導体(本発明の原料化合物)から一般式(1)のスルホキシド誘導体(本発明の目的化合物)を製造する酸化反応では、一般式(4)の安息香酸化合物を使用しない場合でも、反応が進行し得る。したがって、反応が進行する限りは、一般式(4)の安息香酸化合物を使用してもよく、また使用しなくてもよい。しかしながら、エナンチオマー過剰率、反応収率および収率の向上等の観点から、本発明の反応では、好ましくは一般式(4)の安息香酸化合物が用いられる。加えて、キラル触媒の量(すなわち、金属化合物の量およびキラル配位子の量)の低減等の観点からも、本発明の反応では、好ましくは一般式(4)の安息香酸化合物が用いられる。言い換えれば、本発明の反応は、好ましくは一般式(4)の安息香酸化合物の存在下で行われるのである。
一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、本発明の有利な効果が得られた。これに関連して、本発明における最も好ましいR、R、R、R、R、R、R、A、A、A、A、A、Mおよびnの組み合わせは、それぞれ上述の「特に好ましい具体的な組み合わせ」の組み合わせである。この場合に、生成物の有用性等の観点から、一般式(3)中、好ましい不斉中心の立体配置はR/S表記法で(R)である。この場合に、生成物の有用性等の観点から、一般式(1)で表されるスルホキシド誘導体(本発明の目的化合物)の旋光性は(+)であり、これは産業上有用である。
(一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用量)
本発明の方法における一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。エナンチオマー過剰率、反応収率、収率、および経済効率等の観点から、本発明における一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.1〜20mol%、好ましくは3〜20mol%、より好ましくは3〜15mol%、さらに好ましくは3〜10mol%、特に好ましくは3〜5mol%を例示することができる。さらに、上記と同様の観点から、本発明における一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用量としては、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、好ましくは1〜20mol%、より好ましくは1〜15mol%、さらに好ましくは1〜10mol%、特に好ましくは1〜5mol%もまた例示することができる。しかしながら、本発明における一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用量は、目的と状況に応じて、当業者により適宜調整されることができる。
(触媒溶液の調整)
金属化合物およびキラル配位子としての一般式(3)で表される化合物並びに一般式(4)で表される安息香酸化合物を所定の溶媒中撹拌して、触媒溶液を調整することができる。本発明の触媒溶液の調整における溶媒としては、下記の「本発明の反応における溶媒」の溶媒が挙げられる。本発明の触媒溶液の調整における温度は、特に制限されないが、触媒の安定性等観点から、0℃〜50℃、好ましくは15〜30℃(室温)の範囲を例示できる。本発明の触媒溶液の調整における時間は、特に制限されないが、触媒の安定性等観点から、10分〜12時間、より好ましくは10分〜1時間、さらに好ましくは30分の範囲を例示できる。しかしながら、反応が進行する限りは、触媒溶液を調整する方法は、当業者により適宜選択かつ調整されることができる。
(光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法)
一般式(2)で表されるスルフィド誘導体および上記で調整した触媒溶液並びに酸化剤を所定の溶媒中反応させることにより、一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体を製造することができる。しかしながら、反応が進行する限りは、本発明の方法は実施例および上記に示される触媒溶液を先に調整する方法に限定されるものではない。原料、試薬、溶媒等を加える順番は、当業者により適宜選択かつ調整されることができる。
(溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、本発明の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。本発明の反応における溶媒は、反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。
本発明の反応における溶媒としては、例えば、
水、
ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ペンタクロロエタン、トリクロロトリフルオロメタン等、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、より好ましくはジクロロメタン)
芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、ベンゾトリフルオリド、4−クロロベンゾトリフルオリド、ジフルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン等、好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、
ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等、好ましくはアセトニトリル)、
カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等)、
アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)等、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)より好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF))、
アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、
スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、
スルホン類(例えば、スルホラン等)、
炭酸エステル類(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等)、
エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル(DME)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)、tert−アミルメチルエーテル(TAME)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)、4−メトキシベンゼン、ジフェニルエーテル等)、および
任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
反応性および経済効率等の観点から、溶媒の好ましい例は、水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素誘導体類、ニトリル類、カルボン酸エステル類、アミド類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
溶媒のより好ましい例は、水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素誘導体類、ニトリル類、アミド類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
溶媒のさらに好ましい例は、水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素誘導体類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
溶媒の特に好ましい例は、水、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ)を含む。
溶媒の好ましい具体例は、水、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
溶媒のより好ましい具体例は、水、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、および任意の割合のそれらの組み合わせを含む。
溶媒のさらに好ましい具体例は、水、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、および任意の割合のそれらの組み合わせを含む。
溶媒の特に好ましい具体例は、水、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの組み合わせを含む。しかしながら、本発明の反応における溶媒は当業者により適切に選択されることができる。
溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率の向上、副生成物の抑制、および経済効率等の観点から、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.01〜10.0L(リットル)、好ましくは0.1〜5.0Lを例示できる。しかしながら、本発明の反応における溶媒の使用量は当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを用いるときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
(反応温度)
本発明の反応温度は、特に制限されない。収率、反応収率およびエナンチオマー過剰率の向上、副生成物の抑制、ならびに経済効率等の観点から、−30℃〜50℃(すなわち、マイナス30℃〜プラス50℃)、好ましくは−20℃〜20℃(すなわち、マイナス20℃〜プラス20℃)、より好ましくは−10℃〜10℃(すなわち、マイナス10℃〜プラス10℃)、さらに好ましくは−5℃〜5℃(すなわち、マイナス5℃〜プラス5℃)の範囲を例示できる。
(反応時間)
本発明の反応時間は、特に制限されない。一つの態様においては、収率、反応収率およびエナンチオマー過剰率の向上、副生成物の抑制、および経済効率等の観点から、0.5時間〜72時間、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲を例示できる。別の態様においては、上記と同様の観点から、6時間〜72時間、好ましくは8時間〜48時間、より好ましくは8時間〜24時間の範囲もまた例示できる。しかしながら、本発明の反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
(反応収率および収率)
本明細書中、用語「反応収率」と用語「収率」は、それぞれ下記の意味を有する。
(反応収率)
本発明では、反応混合物の有機層を下記のHPLC分析条件(A)により分析して、反応収率を求めた。本明細書では、反応収率を目的化合物のHPLC面積百分率で示す。
本発明における反応収率としては、好ましくは65〜100%、より好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%、さらに好ましくは95〜100%、特に好ましくは97〜100%の範囲を例示できる。
(収率)
本発明における収率は、一般式(2)で表されるスルフィド誘導体(原料化合物)のモル数に対する、得られた一般式(1)で表されるスルホキシド化合物(目的化合物)のモル数、ここで得られた目的化合物はその(+)−エナンチオマーとその(−)−エナンチオマーの両方を含む、から計算することができる。すなわち、本発明における収率は、以下の式で表される:
収率(%)=[(得られた目的化合物の(+)−エナンチオマーのmol数)+(得られた目的化合物の(−)−エナンチオマーのmol数)]/(原料化合物のmol数)×100
本発明における収率としては、好ましくは65〜100%、より好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%、特に好ましくは95〜100%の範囲を例示できる。
(エナンチオマー過剰率(%ee))
用語「エナンチオマー過剰率(%ee)」は、当業者によく知られている。エナンチオマー過剰率は、2種のエナンチオマーのうちの一方の、他方に対する過剰率であり、百分率で表される。問題の化合物ABがエナンチオマーAとエナンチオマーBからなる場合に、言い換えれば、問題の化合物AB中にエナンチオマーAとエナンチオマーBが含まれる場合に、エナンチオマー過剰率は、問題の化合物AB中のエナンチオマーAのモル数とエナンチオマーBのモル数からから計算することができる。すなわち、エナンチオマー過剰率は、AB→A+Bの分割について、下記のように定義される:
エナンチオマー過剰率(%ee)=[(エナンチオマーAのモル数)−(エナンチオマーBのモル数)]/[(エナンチオマーAのモル数)+(エナンチオマーBのモル数)]×100
ただし、エナンチオマーAが過剰のエナンチオマーである。
エナンチオマー過剰率は、化合物のエナンチオマー純度の尺度であり、混合物中の純粋な優勢なエナンチオマーの比率を示し、残りの部分は化合物のラセミ体である。例えば、90%eeは、問題の化合物において、一方のエナンチオマーが95%および他方が5%存在することを表わす。同時に、90%eeは、問題の化合物において、過剰のエナンチオマーが90%およびラセミ体が10%存在することを表わす。エナンチオマー過剰率の値は0%ee(ゼロ%ee)〜100%eeの値であり、0%eeはラセミ体であり、100%eeは純粋な単一のエナンチオマーである。
エナンチオマー過剰率は、キラル固定相上のHPLC分析により測定された。本発明では、エナンチオマー過剰率の測定におけるHPLC分析条件としては、下記のHPLC分析条件(B)が用いられた。加えて、エナンチオマー過剰率は、キラルシフト試薬を用いるH−NMR分析によっても決定できる。例えば、下記のH−NMR分析条件(B)を用いることができる。
本発明の反応におけるエナンチオマー過剰率としては、好ましくは70〜100%ee、より好ましくは90〜100%ee、さらに好ましくは95〜100%ee、特に好ましくは98〜100%eeの範囲を例示できる。
一般的に、収率のみならずエナンチオマー過剰率は、キラル触媒の種類によってだけではなく、撹拌速度によっても調節され得ることが知られている。ここで、撹拌速度は撹拌効率に影響する。さらに撹拌効率は、撹拌速度だけではなく、反応容器、撹拌装置等によっても変動することが当業者によく知られている。したがって、必要であれば、当業者は撹拌速度、反応容器、撹拌装置等を適切に選択することができる。言い換えれば、必要に応じて、撹拌効率は当業者により適切に調整されることができる。しかしながら、本発明によれば、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、撹拌速度の変化によるエナンチオマー過剰率および収率等への悪影響を減少することができる。したがって、該当する場合は、本発明は撹拌効率を調整する必要性を減少できる。さらに、収率のみならずエナンチオマー過剰率は、反応のスケールによっても、影響され得ると当業者は一般的に予測する。しかしながら、本発明によれば、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、反応スケールの変化によるエナンチオマー過剰率および収率等への悪影響を減少することができる。要するに、撹拌効率および反応スケールの観点からも、本発明は先行技術に対して優れている。また、本発明の反応における溶媒もエナンチオマー過剰率に影響する。しかし、溶媒は当業者により適切に選択されることができる。加えて、エナンチオマー過剰率に影響する要因には、温度も含まれる。
(旋光性)
旋光性の評価には、旋光計またはHPLC分析が用いられた。例えば、下記の旋光計またはHPLC分析条件(B)が用いられた。生成物の有用性等の観点から、本発明の目的化合物の旋光性としては(+)が好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
本明細書中、実施例、比較例および参考例の各物性の測定には、次の機器および条件を用いた。
(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)
(HPLC分析条件(A))
ポンプ:LC−20AT(株式会社島津製作所製)
検出器:SPD−20A(株式会社島津製作所製)
カラム:CERI L−column ODS(4.6x250mm),L−C18,5mm,12nm
溶離液:
Figure 2018008880
流速:1.0ml/min
検出:UV 254nm
カラム温度:40℃
上述の通り、反応収率の評価においては、上記のHPLC分析条件(A)による面積百分率が用いられた。
(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)
(HPLC分析条件(B))
ポンプ:PU−980(日本分光株式会社(JASCO Co.,Ltd.)製)
検出器:UV−970(日本分光株式会社(JASCO Co.,Ltd.)製)
カラム:CHIRALPAK AD(ダイセル化学工業株式会社製)
移動層:ヘキサン/イソプロパノール=96/4
流速:1.0mL/min
カラム温度:35℃
検出:UV 254nm
上述の通り、エナンチオマー過剰率の測定におけるHPLC分析条件としては、上記のHPLC分析条件(B)が用いられた。
HPLC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
文献(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社
文献(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社
H−NMR:H核磁気共鳴スペクトル;分析条件(A))
機器:JEOL JMN−ECS−300またはJEOL JMN−Lambda−400(株式会社JEOL RESONANCE製)
内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
H−NMR:1H核磁気共鳴スペクトル;分析条件(B))
機器:JEOL JMN−ECS−300またはJEOL JMN−Lambda−400(株式会社JEOL RESONANCE製)
キラルシフト試薬:キラバイト−AR(東京化成工業株式会社製)
溶媒:CDCl
例えば、ベンゼン環上のメチル基由来のピーク高さの比から、エナンチオマー過剰率は算出できる。
(旋光計;旋光性および旋光度)
機器:P−2200(日本分光株式会社(JASCO Co.,Ltd.)製)
本明細書中、室温は15℃から30℃である。
本発明の実施例および参考例では、以下に示される化合物を配位子としてそれぞれ用いた。
Figure 2018008880
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本発明の実施例および参考例では、以下に示される安息香酸化合物をそれぞれ用いた。
Figure 2018008880
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実施例1
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコに、Fe(acac)(0.010mol/Lジクロロメタン溶液;0.250mL、0.0025mmol)、式(3−1−R)の化合物(0.010mol/Lジクロロメタン溶液;0.250mL、0.0025mmol)、2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム(10.2mg、0.050mmol)、およびジクロロメタン(0.5mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(210.2mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物213.3mg(HPLC純度94.9%)を無色結晶として得た。
反応収率:95%
収率:93%
エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
エナンチオマー過剰率:93.8%ee
旋光性:(+)
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm,TMS基準):1.48−1.52(m,4H),1.71−1.76(m,2H),1.79−1.85(m,2H),2.23(s,3H),2.28(s,3H),2.90(t,2H),3.30−3.45(m,2H),4.04(t,2H),7.01(s,1H),7.36(s,1H)
実施例2
式(3−1−R)の化合物の代わりに式(3−2−R)の化合物を用いた以外は、実施例1と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。目的化合物215.6mg(HPLC純度97.3%)を得た。
反応収率:97%
収率:96%
エナンチオマー過剰率:96.4%ee
旋光性:(+)
実施例3
式(3−1−R)の化合物の代わりに式(3−3−R)の化合物を用いた以外は、実施例1と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。目的化合物216.1mg(HPLC純度96.8%)を得た。
反応収率:97%
収率:96%
エナンチオマー過剰率:98.4%ee
旋光性:(+)
実施例4
式(3−1−R)の化合物の代わりに式(3−4−R)の化合物を用いた以外は、実施例1と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。目的化合物217.0mg(HPLC純度97.5%)を得た。
反応収率:98%
収率:97%
エナンチオマー過剰率:98.4%ee
旋光性:(+)
実施例5
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコに、Fe(acac)(3.5mg、0.010mmol)、式(3−1−R)の化合物(3.1mg、0.015mmol)、式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム;10.2mg、0.050mmol)、およびジクロロメタン(1mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(210.2mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率と残存する原料化合物の量を評価した。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物215.1mg(HPLC純度96.1%)を得た。エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
反応収率:96%
残存した原料化合物:0%
収率:95%
エナンチオマー過剰率:97.4%ee
旋光性:(+)
比較例1
式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム)を用いない以外は、実施例5と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。
反応収率:12%
残存した原料化合物:85%
エナンチオマー過剰率:60.8%ee
実施例6
式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム)の代わりに式(4−2)の化合物(2,4,6−トリメトキシ安息香酸ナトリウム;11.7mg、0.050mmol)を用いた以外は、実施例5と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。目的化合物214.8mg(HPLC純度97.6%)を得た。
反応収率:98%
収率:96%
エナンチオマー過剰率:94.2%ee
旋光性:(+)
実施例7
(+)−5−トリフルオロメチルチオペンチル−[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコにFe(acac)(5.3mg、0.015mmol)、式(3−1−R)の化合物(3.1mg、0.015mmol)、式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム;15.3mg、0.075mmol)、およびジクロロメタン(1mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
5−トリフルオロメチルチオペンチル−[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(215.4mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物212.1mg(HPLC純度98.5%)を得た。エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
反応収率:99%
収率:98%
エナンチオマー過剰率:95.2%ee
旋光性:(+)
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm,TMS基準):1.57−1.66(m,2H),1.74−1.93(m,4H),2.92(t,2H),3.30−3.43(m,1H),3.66−3.78(m,1H),4.13(t,2H),7.21(d,1H),7.54(d,1H)
実施例8
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコにFe(acac)(17.7mg、0.05mmol)、式(3−3−R)の化合物(12.1mg、0.05mmol)、式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム;51.0mg、0.25mmol)、およびジクロロメタン(10mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(2.10g、5.0mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(971.7mg、8.57mmol)を加えた。混合物を0℃で33時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物2.168g(HPLC純度97.1%)を得た。エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
反応収率:98%
収率:96%
エナンチオマー過剰率:97.0%ee
旋光性:(+)
実施例9
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコに、Fe(acac)(0.010mol/Lジクロロメタン溶液;0.125mL、0.00125mmol)、式(3−3−R)の化合物(0.010mol/Lジクロロメタン溶液;0.125mL、0.00125mmol)、2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム(10.2mg、0.050mmol)、およびジクロロメタン(0.5mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(210.2mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。目的化合物の反応収率は68%であった。HPLC面積百分率で29%の原料化合物が残存していた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製した後、HPLC分析に供してエナンチオマー過剰率を決定した。エナンチオマー過剰率:96.2%ee。
実施例10
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコに、Fe(acac)(5.3mg、0.015mmol)、式(3−11−R)の化合物(2.7mg、0.015mmol)、式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム;15.3mg、0.075mmol)、およびジクロロメタン(1mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(210.2mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物210.0mg(HPLC純度94.7%)を得た。エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
反応収率:95%
収率:91%
エナンチオマー過剰率:83.0%ee
実施例11
(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルの製造
Figure 2018008880
(1)触媒溶液の調製
反応フラスコに、Fe(acac)(1.3mg、0.00375mmol)、式(3−1−R)の化合物(0.78mg、0.00375mmol)、式(4−1)の化合物(2,6−ジメトキシ安息香酸ナトリウム;3.8mg、0.0188mmol)、およびジクロロメタン(1mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。
(2)標題化合物の製造
外径(長さ)10mm、高さ(厚さ)5mmの十字型磁気撹拌子および恒温槽付きのマグネチックスターラーを備えた内径15mm、高さ40mmの約6mLスクリューバイアル(スクリューキャップ付きバイアル)中で、6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテル(210.2mg、0.500mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。そこに上記(1)で調製した触媒溶液を加えた。混合物を0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素(113.4mg、1.0mmol)を加えた。混合物を200rpm(revolutions per minute)の撹拌速度にて0℃で15時間撹拌した。反応混合物の有機層をHPLC(面積百分率)により分析して、反応収率を求めた。反応混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を有機層と水層に分配し、有機層を分離した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製し、目的化合物216.5mg(HPLC純度97.9%)を得た。エナンチオマー過剰率は上記のHPLC分析により決定された。
反応収率:98%
収率:97%
エナンチオマー過剰率:95.0%ee
実施例12
撹拌速度を400rpmに変更した以外は、実施例11と同じように反応、分析、後処理および精製を行った。目的化合物212.8mg(HPLC純度95.5%)を得た。
反応収率:95%
収率:93%
エナンチオマー過剰率:93.8%ee
旋光性:(+)
参考例1〜6
式(3−1−R)の化合物の代わりに式(3−5−R)、(3−6−R)、(3−7−R)、(3−8−R)、(3−9−R)、および(3−10−R)の化合物を用いた以外は、実施例1と同じように反応および分析を行った。結果を表1に示す。加えて、実施例1〜4の結果も表1に要約する。
Figure 2018008880
参考例7
式(3−11−R)の化合物の代わりに式(3−12−R)の化合物を用いた以外は、実施例10と同じように反応および分析を行った。目的化合物の反応収率は4%であった。
参考例8〜17
式(4−1)の化合物の代わりに式(4−3)、(4−4)、(4−5)、(4−6)、(4−7)、(4−8)、(4−9)、(4−10)、(4−11)、および(4−12)の化合物を用いた以外は、実施例5と同じように反応および分析を行った。結果を表2に示す。加えて、実施例5および6の結果も表2に要約する。
Figure 2018008880
参考例18〜24
安息香酸化合物として式(4−1)、(4−13)、(4−14)、(4−15)、(4−16)、(4−17)、および(4−18)の化合物を用いて、実施例5と同じように反応および分析を行った。さらに、配位子として式(3−3−R)の化合物を用いた。ただし、参考例18〜24では、安息香酸化合物の対カチオンの差による影響を観察するために、それぞれ原料化合物(スルフィド誘導体)に対して、0.25mol%のFe(acac)、0.25mol%の配位子、および10mol%もしくは5mol%の安息香酸化合物を使用した。反応時間は14時間であった。なお、0.25mmolの実施例5と同じ原料化合物を使用した。結果を表3に示す。目的化合物の反応収率と残存する原料化合物の量はHPLC面積百分率で表されている。
Figure 2018008880
続いて、本発明の方法により製造し得る、一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体の示す有害生物防除作用(殺ダニ活性)について説明する。
次に、代表的な製剤例を挙げて製剤方法を具体的に説明する。化合物、添加剤の種類および配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において「部」は質量部を意味する。(以下では、(+)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルを化合物番号I、ラセミ体の(6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテル)を化合物番号II、(−)−6−トリフルオロメチルチオヘキシル−[2,4−ジメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]エーテルを化合物番号IIIと示す。また各光学異性体は光学活性HPLCによりそれぞれ分取し、試験に供試した。)
[製剤例1]乳剤
化合物番号Iの化合物 30部
シクロヘキサノン 20部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 11部
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム 4部
メチルナフタリン 35部
以上を均一に溶解して乳剤とした。
[製剤例2]水和剤
化合物番号Iの化合物 10部
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 0.5部
珪藻土 24部
クレー 65部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とした。
[製剤例3]粉剤
化合物番号Iの化合物 2部
珪藻土 5部
クレー 93部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とした。
[製剤例4]粒剤
化合物番号Iの化合物 5部
ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩 2部
リグニンスルホン酸ナトリウム 5部
カルボキシメチルセルロース 2部
クレー 86部
以上を均一に混合粉砕した。この混合物に水20部相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工した後、乾燥して粒剤とした。
次に、化合物番号I、IIおよびIIIを有効成分とする有害生物防除剤の奏する効果について試験例をもって説明する。
[試験例1]
ナミハダニに対する殺成虫活性(リーフディスク散布試験)
容量60mLのプラスチックカップに半分程度水を入れ、孔あきの蓋をし、この孔に脱脂綿を入れて水をしみ込ませ、その上に濾紙を2枚重ねて置いた。その上に直径2cmの円形に切り取ったインゲン(Phaseolus vulgaris)の葉を2枚のせ、ロディー乳剤、ピラニカEW、バロックフロアブル、オサダンフロアブル、ニッソラン水和剤を毎週実用濃度で散布し、淘汰をかけた薬剤抵抗性ナミハダニ(Tetranychus urticae)の雌成虫を10頭ずつ接種し、25℃恒温室に一晩置いた。異常虫および死亡虫を取り除いた後、製剤例2に準じて製剤された試験化合物を所定濃度に希釈調整した薬剤を自動散布装置で散布した(150L/10a相当)。処理5日後に死亡虫数を数え、下記の式により殺成虫率を算出した。試験は2連制で行った。
Figure 2018008880
Figure 2018008880
本発明によれば、殺ダニ剤等の農薬として有用である一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体の新規な製造方法が提供される。
上記のように、一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体は優れた殺ダニ活性を示す。
さらに、本発明によれば、一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体を、簡単な操作により、高い収率および高いエナンチオマー過剰率で製造できる。特に、本発明によれば、適切な一般式(4)の安息香酸化合物の使用により、エナンチオマー過剰率と収率の改善が満足に達成されたのである。したがって、本発明によれば、一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体を、再結晶による精製を必要としないで、またキラル固定相上のHPLCによる光学分割を用いずに、そして高いエナンチオマー過剰率で製造できる。
加えて、本発明の方法は、一般式(4)で表される安息香酸化合物を用いることにより、廃棄物となる望まれない光学異性体の生成だけではなく、高価な触媒の使用量も低減できる。
さらに、一般式(4)で表される安息香酸化合物の使用により、撹拌速度等に由来する撹拌効率および/または反応のスケールの変化によるエナンチオマー過剰率および収率等への影響を減少することができる。
したがって、本発明の方法は経済的であり、環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。要するに、本発明は高い産業上の利用可能性を有する。

Claims (18)

  1. 一般式(1):
    Figure 2018008880
    (式中、
    は、C1〜C10アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C4アルコキシC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4ハロアルコキシC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルチオC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4アルキルスルホニルC2〜C12アルコキシ基、C1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基、C1〜C4ハロアルキルスルフィニルC2〜C10アルコキシ基、またはC1〜C4ハロアルキルスルホニルC2〜C12アルコキシ基であり;
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはC1〜C4アルキル基であり;そして
    *は不斉中心を示す。)
    で表される光学活性なスルホキシド誘導体の製造方法であって、一般式(2):
    Figure 2018008880
    (式中、R、RおよびRは、上記で定義した通りである。)
    で表されるスルフィド誘導体を、金属化合物およびキラル配位子としての一般式(3):
    Figure 2018008880
    (式中、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、C6〜C10アリール基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜C6アルコキシ基であり;
    は、C1〜C4アルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、C1〜C4アルコキシカルボニル基、C1〜C4アルキルカルボニル基、ヒドロキシC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基、アミノC1〜C4アルキル基、シアノC1〜C4アルキル基、ニトロC1〜C4アルキル基、カルボキシC1〜C4アルキル基、またはC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基であり;
    は、C1〜C6アルキル基、フェニルC1〜C6アルキル基、またはC6〜C10アリール基であり;そして
    *は不斉中心を示す。)
    で表される化合物を含む金属−キラル配位子錯体であるキラル触媒、ならびに一般式(4):
    Figure 2018008880
    (式中、
    、A、A、AおよびAは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、アミノ基、モノ(C1〜C4アルキル)アミノ基、またはジ(C1〜C4アルキル)アミノ基であり;
    Mは、水素原子、アルカリ金属原子、またはアルカリ土類金属原子であり;そして
    nは1または2である。)
    で表される安息香酸化合物の存在下で、酸化剤と反応させることを特徴とする方法。
  2. 金属化合物が鉄化合物であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子またはハロゲン原子であり;
    がヒドロキシメチル基であり;そして
    がC1〜C4アルキル基である、請求項1に記載の方法。
  3. 金属化合物が鉄化合物であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子またはハロゲン原子であり;
    がヒドロキシメチル基であり;そして
    がイソプロピル基である、請求項1に記載の方法。
  4. 金属化合物が鉄化合物であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子であり;
    がヒドロキシメチル基であり;そして
    がイソプロピル基である、請求項1に記載の方法。
  5. 金属化合物が鉄化合物であり;
    が水素原子であり;
    が塩素原子であり;
    がヒドロキシメチル基であり;そして
    がイソプロピル基である、請求項1に記載の方法。
  6. 、A、A、AおよびAが、それぞれ独立して、水素原子またはC1〜C2アルコキシ基であり;
    Mがアルカリ金属原子であり;そして
    nが1である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. がメトキシ基であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子またはメトキシ基であり;
    が水素原子であり;
    がメトキシ基であり;
    Mがナトリウム原子であり;そして
    nが1である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  8. がメトキシ基であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子であり;
    が水素原子であり;
    がメトキシ基であり;
    Mがナトリウム原子であり;そして
    nが1である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  9. がメトキシ基であり;
    が水素原子であり;
    がメトキシ基であり;
    が水素原子であり;
    がメトキシ基であり;
    Mがナトリウム原子であり;そして
    nが1である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  10. がC1〜C4ハロアルキルチオC2〜C10アルコキシ基であり;そして
    およびRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. が5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基または6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
    がフッ素原子でありかつRが塩素原子であるか、またはRおよびRがメチル基である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  12. が5−(トリフルオロメチルチオ)ペンチルオキシ基であり;
    がフッ素原子であり;そして
    が塩素原子である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  13. が6−(トリフルオロメチルチオ)ヘキシルオキシ基であり;そして
    およびRがメチル基である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  14. 反応が−10℃〜10℃で行われる、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 反応が−5℃〜5℃で行われる、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体が90〜100%eeのエナンチオマー過剰率を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 一般式(1)で表される光学活性なスルホキシド誘導体が95〜100%eeのエナンチオマー過剰率を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 反応収率が95〜100%である、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。

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