JP2018008860A - セメント組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】セメント硬化体の乾燥収縮が低減され、乾燥収縮に起因するひび割れが抑制され、かつ、強度発現性に優れたセメント硬化体を形成しうるセメント組成物を提供する。【解決手段】水硬性材料と、水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部の尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含有するセメント組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、セメント組成物に関する。
従来、水硬性材料としてのセメントと水とが混練されてなるセメント組成物、又は、さらに骨材を含むコンクリート組成物を硬化させて硬化体を得る場合、硬化後に気中に置かれた硬化体は、材齢を重ねるのに伴い、セメント組成物又はコンクリート組成物中の水分が蒸発し、これによって、硬化体に乾燥収縮が生じることがある。
モルタル、コンクリート等の水硬性材料を含む組成物の硬化後に得られた硬化体の乾燥による収縮(以下、乾燥収縮と称することがある)は、硬化体のひび割れを引き起こし、ひいては、土木、建築構造物の強度、耐久性等の低下を招く虞がある。
このため、セメント組成物の打ち込み時における流動性、得られる硬化体の強度等の性能を維持しつつ、得られる硬化体の乾燥収縮を低減することが求められている。
硬化体の乾燥収縮を低減する手段として、一般に、セメント硬化体における単位水量を一定以下に抑える対応が行われている。しかし、単に単位水量を低減させるのみでは、実用上十分な収縮低減効果を得ることが困難であり、さらに、施工時の流動性を確保することが困難になることがある。
このため、一般的に、硬化体のひび割れを防止する目的で、セメント組成物に収縮低減剤、金属繊維などを添加することが行われている。例えば、セメント組成物にシリカフューム等の微粉末、減水剤、有機質繊維、尿素を添加することで、補強用の金属繊維を用いることなくセメント硬化体のひび割れを抑制し得るセメント硬化体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、セメント硬化体の乾燥収縮等の低減に有用とされる、ポリエチレングリコールモノシクロアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール又はそのアルキルエーテル、特定構造の有機リン酸エステル及び消泡剤を含む水硬性セメント組成物用添加剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−230955号公報 特許第3428954号公報
しかしながら、特許文献1に記載される硬化体の製造方法に用いられるセメント組成物は、ひび割れ抑制を目的とする添加剤として、収縮低減剤、尿素、有機質繊維などが用いられており、緻密な硬化体の形成を目的としてシリカフュームを用いた組成物であり、セメント組成物を打設する際の作業性の点及びコストの点で改良の余地があった。また、特許文献1では、硬化体を形成した後における収縮低減については考慮されていない。
また、特許文献2に記載の水硬性セメント組成物用添加剤は、嵩高い疎水部を有するアルコール等の界面活性能を有する化合物と消泡剤とを含み、表面張力の低減により乾燥収縮を低減させるものと考えられるが、本発明者らの検討によれば、収縮低減効果になお改良の余地がある。また、特許文献2に記載のセメント組成物用添加剤は、既述のように疎水部と親水部とを有するアルコール系の化合物を含むため、セメント組成物に共存させる化学混和剤である減水剤、増粘剤などの添加剤の種類によっては、組成物中で反応して粘度が上昇したり、組成物が分離したりする懸念があると考えられる。
本発明の一実施形態の課題は、セメント硬化体の乾燥収縮が低減され、乾燥収縮に起因するひび割れが抑制され、かつ、強度発現性に優れたセメント硬化体を形成しうるセメント組成物を提供することである。
課題を解決するための手段は、以下の本実施形態を含む。
<1> 水硬性材料と、水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部の尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含有するセメント組成物である。
尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、良好な水溶性を示し、水との親和性に優れ、既述の含有量で用いることによりセメント硬化体の収縮低減効果に優れる。さらに、セメント組成物と水とを混合した場合においても、混合物のイオン性に影響を与えず、共存する他の成分との反応性を殆ど有しないため処方の自由度に優れる。
<2> 尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、下記式(I)、式(II)及び式(III)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である<1>に記載のセメント組成物である。

式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、3つのRの全てが水素原子であることはない。
式(I)、式(II)及び式(III)の化合物は、水溶性であり、簡易に入手することができ、既述の含有量をセメント組成物に用いることで、硬化体の収縮低減効果がより良好となる。
<3> さらに、水の存在下、会合してミセルを形成する増粘剤を、水硬性材料100質量部に対して、0.5質量部〜5質量部含有する<1>又は<2>に記載のセメント組成物である。
セメント組成物の粘度調整に有用な、水の存在下、会合してミセルを形成する増粘剤は、従来公知のアルコール系の収縮低減剤と共存するとミセルが崩壊し、セメント組成物が分離するという問題がある。本実施形態のセメント組成物は、当該増粘剤を使用しても分離が生じないため、得られる硬化体の収縮低減効果に加え、セメント組成物に所望の粘度、流動性等を付与することができる。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
なお、本明細書では、以下、「尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物」を「特定含窒素化合物」と称することがある。
本明細書において、工程との文言は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、セメント組成物、及びセメント硬化体の文言は、水硬性材料、水及び特定含窒素化合物を含有するセメント組成物において、さらに細骨材を含むモルタル組成物、及びモルタル硬化体、並びに、さらに細骨材と粗骨材とを含むコンクリート組成物、及びコンクリート硬化体を包含する意味で用いられる。
本発明の一実施形態によれば、セメント硬化体の乾燥収縮が低減され、乾燥収縮に起因するひび割れが抑制され、かつ、強度発現性に優れたセメント硬化体を形成しうるセメント組成物を提供することができる。
<セメント組成物>
本実施形態のセメント組成物は、水硬性材料と、水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部の尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する。
本実施形態のセメント組成物と、水と、所望により含有される公知の添加剤と、を混合した混合物を型枠内に打設して得られるセメント硬化体は、硬化後の収縮が低減される。このため、本実施形態のセメント組成物によれば、収縮に起因するひび割れの発生が抑制され、強度発現性に優れたセメント硬化体を得ることができる。
本実施形態の作用は明確ではないが、以下のように考えている。
特定含窒素化合物は、水への溶解性に優れ、且つ、水溶液中においてイオンに分解することなく均一に溶解して存在する。
このため、特定含窒素化合物は、共存する他の成分とのイオン性の結合による物性の所望されない変化が生じ難く、特定含窒素化合物の添加により、水硬性材料に対する液状成分としての容積が向上し、流動性がより向上するという利点をも有するものと推定される。
本実施形態のセメント組成物を硬化して得られるセメント硬化体の空隙内に、特定含窒素化合物が水に溶解した状態で存在する。特定含窒素化合物は保水性および水分蒸発抑制性に優れるために、硬化体の乾燥時における空隙内の水分の急激な減少が抑制され、水分の急激な減少に起因する体積収縮が低減されるものと考えられる。
なお、本発明は上記推定機構になんら制限されない。
(水硬性材料)
本実施形態のセメント組成物は、水硬性材料を含む。水硬性材料には特に制限はなく、水と混合して硬化体を形成しうる材料であれば適宜選択して用いることができる。水硬性材料としては、セメント、セメントと混和材との混合物等が挙げられる。
(セメント)
本実施形態のセメント組成物が含みうる水硬性材料であるセメントには特に制限はなく、セメント組成物の使用目的に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。
セメントとしては、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、混合セメントすなわち、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、その他、エコセメント、白色ポルトランドセメント、高硫酸塩スラグセメント、アルミナセメント、石灰、セッコウなどが挙げられる。
(混和材)
本実施形態の水硬性材料は、セメントと混和材との混合物を含む。セメントと混合して用いることができる混和材としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、膨張材、高強度用混和材、石灰石微粉末、砕石粉、スラッジ粉、下水汚泥微粉末、シリカ質混和材、廃コンクリート微粉末などが挙げられる。
セメント組成物における、ポルトランドセメント等の水硬性材料の含有量には特に制限はなく、セメント硬化体の初期硬化性、初期強度、長期強度、使用目的等を考慮して適宜選択される。
コンクリート硬化体を製造する場合、通常は、セメント組成物中に、水硬性材料の総量として、270kg/m〜650kg/m含有することができ、320kg/m〜530kg/m含有することが好ましい。
(特定含窒素化合物)
本実施形態のセメント組成物は、尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の特定含窒素化合物を、水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部含有する。
特定含窒素化合物は、親水性であっても、イオン性を有しない化合物であり、両性又は非イオン性の化合物であることが好ましい。特定含窒素化合物がイオン性を有しないことで、水硬性材料と、水との混合物に特定含窒素化合物が共存した場合でも、混合物の表面張力には影響を与えず、流動性に影響を与える懸念が少ない。また、任意成分としてイオン性の成分を併用した場合でも、当該成分との間で所望されないイオン性の反応を生じる懸念がない。
特定含窒素化合物としては、尿素誘導体、親水性の2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選ばれる化合物が好ましく、なかでも、下記式(I)、式(II)及び式(III)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
式(II)において、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。3つ存在するRは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。但し、3つのRの全てが水素原子であることはない。
以下、本実施形態における好ましい特定含窒素化合物について説明する。
〔式(I)で示される化合物〕
上記式(I)で示される化合物は、尿素誘導体の一態様である。
式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有するヒドロキシアルキル基であってもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。式(I)で表される化合物のなかでも、R及びRがメチル基又はエチル基であり、且つ、R及びRが水素原子である化合物、R及びRがメチル基又はエチル基であり、且つ、R及びRが水素原子である化合物、R、R、R又はRのいずれか一つがメチル基又はエチル基であり、その他が水素原子である化合物が好ましい。
〔式(II)で示される化合物〕
上記式(II)で表される化合物は、親水性アミン化合物の一態様である。
式(II)において、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。3つ存在するRは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。但し、3つのRの全てが水素原子であることはない。
なかでも、3つのRのうち少なくとも1つが炭素数1〜3のアルキル基である化合物が好ましく、3つRの全てが炭素数1〜3のアルキル基である化合物がより好ましい。
におけるアルキル基としては、メチル基、及びエチル基から選ばれるアルキル基が好ましい。
〔式(III)で示される化合物〕
上記式(III)で示される化合物は、親水性アミン化合物の一態様であるヘキサメチレンテトラミンである。
ヘキサメチレンテトラミンは、水硬性材料との関連において混合物の流動性を低下させず、既述の含有量をセメント組成物に用いることで、良好な収縮低減効果が得られる。
本実施形態のセメント組成物には、特定含窒素化合物を1種のみ含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のセメント組成物における特定含窒素化合物の含有量は、セメント組成物に含まれる既述の水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部の範囲である。特定含窒素化合物の含有量が水硬性材料100質量部に対して1.5質量部未満であると収縮低減効果が十分に得られない。一方、特定含窒素化合物の含有量が水硬性材料100質量部に対して10質量部を超えると、収縮低減効果は向上するが、得られたセメント硬化体の圧縮強度が低下する傾向があり、何れも好ましくない。
特定含窒素化合物の含有量は、特定含窒素化合物の含有量が水硬性材料100質量部に対して2質量部〜8質量部が好ましく、3質量部〜5質量部がより好ましい。
(水/結合材比)
本実施形態のセメント組成物における水/結合材比には特に制限はなく、セメント組成物により得られる硬化体の使用目的によって適宜選択される。
一般には、水と結合材である水硬性材料との質量比は、35%以上65%以下の範囲とすることができ、45%以上60%以下であることが好ましい。
水/結合材比が上記範囲において、セメント組成物の流動性が良好に維持され、且つ、得られる硬化体の強度がより良好となる。
(骨材)
本実施形態のセメント組成物は、骨材を含有することができる。骨材としては、細骨材、粗骨材としてコンクリート用骨材等が挙げられる。再生骨材を使用してもよい。本実施形態のセメント組成物における骨材の種類や量は特に制限はなく、形成されるセメント硬化体の用途に応じて、骨材の種類及び配合割合は適宜選択することができる。
(その他の成分)
本実施形態のセメント組成物には、上記水硬性材料、及び特定含窒素化合物に加え、セメント組成物に含まれうる公知の添加剤を、本実施形態の効果を損なわない限りにおいて含有することができる。
公知の添加剤としては、例えば、減水剤、空気連行剤、増粘剤、消泡剤、硬化促進剤などが挙げられる。
(水の存在下、会合してミセルを形成する増粘剤)
本実施形態のセメント組成物は、増粘剤として、水の存在下、会合してミセル(会合体)を形成する増粘剤(以下、特定増粘剤と称することがある)を含有することができる。
セメント組成物における各成分は、例えば、含有させる水、セメント、骨材の比重が大きく異なるため、流動性を向上させたり、セメント組成物を型枠内に打設した後に振動を付与したりすると、分離することがある。セメント組成物を型枠内へ打設する場合には、流動性が良好であることが作業性の観点から好ましいため、セメント組成物に減水剤を加え、且つ、分離抵抗性を増加させる手法として増粘剤を含有させることが好ましい。
なかでも、水硬性材料の硬化性を低下させない増粘剤として、水の存在下、会合してミセルを形成する増粘剤が好ましい。
水の存在下、会合してミセルを形成する特定増粘剤は、少なくとも2種の水溶性低分子化合物を含み、水中にて会合してミセルを形成することで増粘作用を発現する。
より具体的には、(a)両性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物の組合せ、(b)4級塩型カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物の組合せ、(c)4級塩型カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物及び臭化化合物から選ばれる化合物の組合せ、から選択される化合物を含有する増粘剤であり、それぞれ組み合わせる前の水溶性低分子化合物単独の粘度が100mPa・s以下であり、2種を組み合わせることにより、水中で2種の化合物が反応してミセルを形成することにより、それぞれの単独の粘度より2倍以上の粘度を発現する増粘剤である。
なかでも、アルキルアリールスルホン酸を主成分とする(b−1)剤と、アルキルアンモニウム塩を主成分とする(b−2)剤と、の組合せを含む特定増粘剤が好ましい。
特定増粘剤の詳細は、例えば、特許第40567574号公報、特許第4056828号公報、特許第4439904号公報等に記載されており、当該公報に記載の「水硬性組成物用添加剤」は、本実施形態において特定増粘剤として好適に使用される。
特定増粘剤は、市販品としても入手可能であり、市販品としては、例えば、花王(株)製、ビスコトップが挙げられる。
特定増粘剤は、増粘効果が良好である。しかし、本発明者らの検討によれば、通常の収縮低減剤、例えば、特許文献2に記載の収縮低減剤含まれる如き特定構造のアルコール系化合物を添加した場合、他の界面活性能を有する化合物の存在に起因して良好なミセルの形成が妨げられ、セメント組成物の分離を招くことがわかった。
一方、本実施形態のセメント組成物における特定含窒素化合物は、界面活性能を有しない水溶性化合物であり、特定増粘剤と組み合わせて用いても、組成物の分離が生じず、本実施形態のセメント組成物が有する収縮低減効果と、特定増粘剤が有する流動性の制御効果の両立が可能となることが明らかとなった。
本実施形態のセメント組成物に特定増粘剤を用いる場合の特定増粘剤の含有量は、セメント組成物に含まれる水硬性材料100質量部に対して、0.5質量部〜5質量部であることが好ましく、水硬性材料100質量部に対して、0.5質量部〜3質量部であることがより好ましい。
本実施形態のセメント組成物は、上記構成としたので、流動性の制御が可能で、セメント硬化体の乾燥収縮が効果的に低減される。従って、本実施形態のセメント組成物によれば、硬化体の乾燥収縮に起因するひび割れの発生が抑制され、かつ、強度発現性に優れたセメント硬化体を作業性よく製造することができる。
以下、具体例を挙げて本実施形態のセメント組成物について詳細に説明するが、以下の実施例は、本実施形態のセメント組成物の一態様を示すものであり、以下の記載に限定されない。
〔実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4〕
以下に示す処方に従い、セメント組成物を調製し、得られたセメント組成物を用いてモルタル試験を行った。
細骨材としての砂を含むセメント組成物を作製し、JIS R 5201(1997年)に定める方法で、フローを測定し、セメント組成物を用いて得られたセメント硬化体の圧縮強さを測定し、硬化体の圧縮強度の指標とした。
セメント硬化体の乾燥収縮の評価については、JIS A 1129−2(2010年)に規定する乾燥収縮歪を測定することで行った。JIS A 1129−2(2010年)に準じて測定した乾燥収縮歪が小さいほど、乾燥収縮が低減されていることを示す。
<セメント組成物に含まれる材料>
・水硬性材料:普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm、比表面積3290cm/g)
・収縮低減剤(A−1):尿素誘導体(密度1.14g/cm、分子量88、式(I)で表される化合物であり、R及びRがメチル基であり、R及びRが水素であるジメチル尿素)
・収縮低減剤(A−2):無水ベタイン(密度1.00g/cm、分子量117、式(II)で表される化合物であり、3つのRがいずれもメチル基である化合物)
・ヘキサメチレンテトラミン(A−3):密度1.34g/cm、分子量140(式(III)で表される化合物)
・比較収縮低減剤(CA−1):ポリエーテル誘導体であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む、密度1.01g/cm
・細骨材:JIS標準砂
各セメント組成物の配合、既述の方法により測定した乾燥期間26週の乾燥収縮歪、材齢28日の圧縮強さを表1に示す。
*1:下記表1及び表2における収縮低減剤の含有量は、セメント組成物に含まれる水硬性材料であるセメント100質量部に対する含有比率(質量部)である。
表1の結果より、実施例1〜4のセメント組成物は流動性が良好であり、セメント組成物により得られたセメント硬化体は、いずれも乾燥収縮歪みが小さく、材齢4週において、十分な圧縮強さを達成したことがわかる。
他方、収縮低減剤を含有しない比較例1は、乾燥収縮歪が大きく、実施例2と同様の収縮低減剤を用いても含有量が本実施形態のセメント組成物における規定量よりも少ない比較例2のセメント組成物により得られたセメント硬化体は、十分な乾燥収縮低減効果が得られなかった。
実施例2と同様の収縮低減剤を用いても含有量が本実施形態のセメント組成物における規定量よりも多い比較例3のセメント組成物により得られたセメント硬化体は、乾燥収縮低減効果は得られたが、圧縮強さが低いことがわかる。
本実施形態の特定含窒素化合物に代えて、比較収縮低減剤(CA−1)を含有する比較例4のセメント組成物により得られたセメント硬化体は、乾燥収縮低減効果及び圧縮強さのいずれも実施例に比較して劣っていた。
〔実施例5〜実施例7、比較例5〕
下記表2に示す処方にて実施例5〜実施例7のセメント組成物を調製した。
<セメント組成物に含まれる材料>
・特定増粘剤:水の存在下で会合してミセルを形成する増粘剤(花王(株)製、ビスコトップ)
・減水剤:ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(竹本油脂(株)製、チューポールHP−11)
水硬性材料、収縮低減剤、骨材は、表1における材料と同様である。
(分離の有無の評価)
特定増粘剤を用いた場合のセメント組成物の分離の有無を以下の基準にて評価した。
・分離無し:JIS R 5201のフロー試験において、細骨材とセメントペーストが一体となってフローテーブル上に広がった場合を「分離無し」と判定した。
・分離:JIS R 5201のフロー試験において、細骨材とセメントペーストが一体となってフローテーブル上に広がらずに、フローテーブルの中心付近に細骨材が残り、セメントペーストのみがフローテーブル上に広がった場合を「分離」と判定した。
各セメント組成物の配合、既述の方法により測定した乾燥期間26週の乾燥収縮歪、材齢28日の圧縮強さ及び分離の有無の評価結果を下記表2に示す。なお、対照例として実施例1の評価結果を表2に併記した。
*1:下記表2における特定増粘剤及び減水剤の含有量は、セメント組成物に含まれる水硬性材料であるセメント100質量部に対する含有比率(質量部)である。
表2に明らかなように、実施例5〜実施例7のセメント組成物は流動性が良好であり、セメント組成物により得られたセメント硬化体は、いずれも乾燥収縮歪みが小さく、材齢4週において、十分な圧縮強さを達成したことがわかる。
また、実施例1と実施例5〜7との対比より、減水剤及び特定増粘剤を含有することで、セメント組成物の流動性がより向上しており、且つ、乾燥収縮歪みの抑制効果、圧縮強さについては、所望のレベルを達成していることがわかる。
一方、比較収縮低減剤を用いた比較例8は、特定増粘剤の含有に起因して分離してしまい、均一な硬化体を得ることができなかった。
このことから、本実施形態のセメント組成物は、収縮低減剤を含有していても、水の存在下でミセルを形成する特定増粘剤と併用することができ、さらなる流動性の向上が得られることが確認された。

Claims (3)

  1. 水硬性材料と、
    水硬性材料100質量部に対して1.5質量部〜10質量部の尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含有するセメント組成物。
  2. 前記尿素誘導体及び親水性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、下記式(I)、式(II)及び式(III)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のセメント組成物。

    式(I)において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、アルキル基は置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい。但し、R、R、R及びRのすべてが水素原子であることはない。
    式(II)において、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。3つ存在するRは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。但し、3つのRの全てが水素原子であることはない。但し、3つのRの全てが水素原子であることはない。
  3. さらに、水の存在下、会合してミセルを形成する増粘剤を、水硬性材料100質量部に対して0.5質量部〜5質量部含有する請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
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