JP2007153724A - 水硬性組成物と、これらのモルタル及び硬化体 - Google Patents

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則彦 澤邊
Masanori Oshima
将典 大島
Kazuya Arai
和也 新井
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Abstract

【課題】 本発明では、優れた強度を有する、土木、建築分野で使用可能な水硬性組成物、さらにグラウト材として使用可能な水硬性組成物と、このスラリー及び硬化体を提供することを目的とした。
【解決手段】 セメントと、細骨材と、消泡剤とを含有する水硬性組成物であり、細骨材が、電気炉酸化水冷スラグを含むことを特徴とする水硬性組成物、及びこれらの水硬性組成物から得られるモルタル及び硬化物。さらに細骨材は、電気炉酸化水冷スラグ100質量部に対し、砂類を1〜500質量部含むことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、トンネルやシールドの裏込め、ダムの継ぎ目、橋梁のシュウ、構造物の補修や補強、鉄筋継手、機械基礎の固定などの土木・建築分野に使用されるグラウト材や床下地材などのセルフレベリング材として用いることができる水硬性組成物と、このモルタル及び硬化体に関する。
従来から、グラウト材に用いるものとしては、セメントに減水剤やカルシウムサルフォアルミネート系、生石灰系又はアルミ粉などの膨張材を配合し無収縮材とし、さらに川砂や珪砂などを配合したものが知られている。
特許文献1では、土木、建築分野で使用されるグラウト材料として、セメント、ウスタイトと非晶質珪酸塩含有の骨材を含有してなるグラウト材料、膨張材を含有してなる該グラウト材料、及び活性シリカを含有してなる該グラウト材料が開示されている。
特開2000−26151号公報
本発明では、優れた強度を有する、土木、建築分野で使用可能な水硬性組成物と、このスラリー及び硬化体を提供することを目的とした。
本発明の第一は、セメントと、細骨材と、消泡剤とを含有する水硬性組成物であり、
細骨材が、電気炉酸化水冷スラグを含むことを特徴とする水硬性組成物を提供することである。
本発明の第二は、本発明の水硬性組成物と水とを混練して得られるモルタルである。
本発明の第三は、本発明の水硬性組成物と、水との配合物を硬化させて得られる硬化物である。
本発明の水硬性組成物の好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
1)細骨材は、電気炉酸化水冷スラグ100質量部に対し、砂類を1〜500質量部含むこと。
2)水硬性組成物は、セメント100質量部に対し、細骨材を10〜300質量部含むこと。
3)水硬性組成物は、さらに膨張材を含み、グラウト材として用いること。
本発明の水硬性組成物は、電気炉酸化スラグを含む細骨材と消泡剤とを含むことにより良好な流動性を有するモルタル(スラリー)と、優れた強度を有する硬化物を得ることができる。
本発明の水硬性組成物は、セメントと、細骨材と、消泡剤とを含有する水硬性組成物であり、細骨材が、電気炉酸化水冷スラグを含む水硬性組成物である。
好ましくは本発明の水硬性組成物は、セメントと、細骨材と、消泡剤とを含有する水硬性組成物であり、細骨材が、電気炉酸化水冷スラグ100質量部に対し、砂類を1〜500質量部含む水硬性組成物を用いることができる。
本発明の水硬性組成物は、セメントと、細骨材と、消泡剤との配合割合は、適宜選択することができ、
好ましくはセメント100質量部に対し、
細骨材が10〜300質量部、さらに好ましくは30〜250質量部、より好ましくは75〜200質量部、特に好ましくは100〜150質量部であり、
消泡剤が0.005〜2質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.025〜1質量部、特に0.05〜0.5質量部含むことが好ましい。
特に細骨材及び消泡剤の配合量は、上記範囲が強度の優れた硬化物が得られる。
セメントとしては特に限定されるものではないが、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントなどの混合セメント、アルミナセメントなどを用いることができる。
特にセメントは、ポルトランドセメント、混合セメントが好ましい。
水硬性組成物は必要に応じて石膏を配合することができる。
石膏としては、無水、半水等の石膏がその種類を問わず、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
細骨材は、電気炉酸化水冷スラグの他に、珪砂、川砂、海砂、山砂、陸砂などの砂類、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒、アルミナセメントクリンカー骨材などの好ましくは粒度2.5mm以下、さらに好ましくは粒度2mm以下のものを用いることが好ましい。
細骨材の粒度は、50μm〜2.5mmのもの、さらに75μm〜2mmのものを好ましく用いることができる。
細骨材としては、砂類を電気炉酸化水冷スラグ100質量部に対し、好ましくは1〜500質量部、さらに好ましくは10〜400質量部、より好ましくは20〜350質量部、より好ましくは30〜130質量部、特に好ましくは40〜100質量部含むことによりさらに圧縮強度が向上するために好ましい。
電気炉酸化水冷スラグとは、ウスタイト(FeO)、マグネシウム−鉄−アルミニウムの酸化物(MgFeAlO)及び非晶質珪酸塩を主な鉱物成分として含む電気炉製鋼過程で得られる副産物の酸化スラグを、1500℃前後の溶解状態から特殊処理加工し、細骨材としたもので、商品名:エコスター(星野産商社製)1号、2号、3号、4号などで市販されている。
電気炉酸化水冷スラグは、粒径が0.1〜2.5mmのもの、さらに0.3〜2mmのものを好適に用いることができる。
水硬性組成物は、細骨材及び消泡剤のほかに、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、流動化剤、増粘剤、凝結速度調整剤、膨張材、高分子エマルジョンなどの成分を配合することができる。
本発明の水硬性組成物は、材料分離を抑制しつつ適度の流動性を確保しつつ、硬化体の強度を高め、且つ、乾燥収縮を低減させるためには減水効果を合わせ持つ流動化剤を添加することが好ましい。
流動化剤としては、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリエーテル系、ポリカルボン酸系、ポリカルボン酸ポリエーテル系等、市販のものが、その種類を問わず使用できる。
流動化剤は、用いるセメントに応じて、特性を損なわない範囲で一種又は二種以上を適宜添加することができ、セメント100重量部に対し、好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.005〜4質量部、より好ましくは0.01〜3.5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。
増粘剤は、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを用いることが出来、特にセルロース系などを用いることが出来る。
増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で一種又は二種以上を添加することができ、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.002〜1.5質量部、より好ましくは0.0025〜1質量部、特に0.005〜0.5質量部含むことが好ましい。
消泡剤は、シリコン系、アルコール系、ポリエーテル系などの合成物質、石油精製由来の鉱物油系又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることが出来る。
特に消泡剤としては、ポリエーテル系を好適に用いることができる。
消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で一種又は二種以上を添加することができ、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.005〜2質量部、さらに好ましくは0.01〜1.5質量部、より好ましくは0.025〜1質量部、特に0.05〜0.5質量部含むことが好ましい。消泡剤の添加量は、上記範囲内が、消泡効果が認められ、さらに流動性と強度が向上するために好ましい。
本発明の水硬性組成物をグラウト組成物やグラウト材に用いる場合、そのグラウト材として要求される最も基本的な特性は、無収縮性で硬化中の体積変化が極めて小さいことであるが、本発明では、体積変化の極めて小さい水硬性成分を利用することに加え、膨張材を配合することにより、グラウトの硬化時に起こる体積変化を抑制することができる。
膨張材としては、金属粉やカルシウムサルフォアルミネート系、及び石灰類などの使用が好ましく、特に金属粉及び石灰類を併用して用いることが好ましい。
膨張材の配合量は、水硬性成分100質量部に対して、金属粉では、好ましくは0.0001〜0.01質量部、さらに好ましくは0.0002〜0.005質量部、より好ましくは0.0003〜0.004質量部、特に0.0005〜0.003質量部で用いることが好ましく、
石灰類では、好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは1.5〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、特に3〜20質量部で用いることが好ましい。
金属粉としては、アルミニウム粉、鉄粉などを使用することができるが、中でも比重の面から、アルミニウム粉の使用が特に好ましい。アルミニウム粉は、JIS・K−5906「塗装用アルミニウム粉」の第2種に準ずるものが好適に使用できる。
カルシウムサルフォアルミネート系としては、アウイン、石灰類としては、生石灰、生石灰−石膏混合系、仮焼ドロマイト等が挙げられ、一種又は二種以上の混合物として使用できる。特に石灰類としては、生石灰、生石灰−石膏系が好ましい。
本発明の水硬性組成物は、水の添加量を調整することにより、流動性、可使時間、材料分離などを調整することができる。
水硬性組成物100質量部に対し、好ましくは6〜36質量部、さらに好ましくは6.5〜33質量部、より好ましくは7〜30質量部、特に好ましくは7.5〜27質量部加えて用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(特性の評価方法)
1)Jロート(秒):土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993) J14ロートによる流下値を示す。
2)フロー値(mm):厚さ5mmのみがき板ガラスの上にJIS R 5201の凝結試験に定めるコーン,上端内径75mm、下端内径85mm、高さ40mm(内容積約200ml)を置き、練り混ぜたモルタル組成物を充填した後、コーンを引き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。
3)膨張率(%):土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993) 試験体φ5×10cm(但し、膨張率は、膨張を+、収縮を−で示す。)
4)圧縮強度(N/mm):試験体φ5×10cm、JIS・A−1108に準じて行う。
原料は以下のものを使用した。
1)セメント:
・ポルトランドセメント(宇部早強セメント、ブレーン比表面積4500cm/g)。
2)細骨材:
・細骨材(A):電気炉酸化水冷スラグ(エコスター3号、星野産商社製)。
・珪砂:新特5号珪砂(宇部サンド工業社製)。
3)混和剤:
・流動化剤:ポリカルボン酸系流動化剤(花王社製)。
・増粘剤:メチルセルロース系増粘剤(信越化学工業社製)。
・消泡剤:ポリエーテル系消泡剤(サンノプコ社製)。
・膨張材:石灰系膨張材(太平洋マテリアル社製)。
・金属膨張材:アルミニウム粉系膨張材(粒度44μm以下を60重量%以上含有、大和金属粉工業社製、ALCファイン及びK−250の混合品)。
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
表1に示す成分を、アイリッヒミキサを使用して混合し、セメント、細骨材及び混和剤からなる水硬性組成物を得た。
温度20℃、相対湿度65%の条件下で、水硬性組成物100質量部に対し、水11.2質量部を加え、ホバートミキサーを用いて、低速1分間、さらに高速2分間混練して、混練物を調製した。得られた混練物のJロート及びフロー値、混練物の硬化物の膨張率及び圧縮強度を評価し、結果を表2に示す。
Figure 2007153724
Figure 2007153724
実施例1は比較例1に比べ、Jロート値と圧縮強度が向上している、実施例1〜5において実施例2〜4はさらに強度が優れ、特に実施例3が一番優れている。
実施例2〜4は実施例1に比べ、圧縮強度が向上し、特に実施例3は圧縮強度が高い。
消泡剤を含む実施例1〜5は、グラウト材として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. セメントと、細骨材と、消泡剤とを含有する水硬性組成物であり、
    細骨材が、電気炉酸化水冷スラグを含むことを特徴とする水硬性組成物。
  2. 細骨材は、電気炉酸化水冷スラグ100質量部に対し、砂類を1〜500質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物。
  3. 水硬性組成物は、セメント100質量部に対し、細骨材を10〜300質量部含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水硬性組成物。
  4. 水硬性組成物は、さらに膨張材を含み、
    グラウト材として用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水硬性組成物。
  5. 請求項1〜4に記載の水硬性組成物と水とを混練して得られるモルタル。
  6. 請求項1〜4に記載の水硬性組成物と、水との配合物を硬化させて得られる硬化物。


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