JP4225873B2 - ポリマーセメント系耐酸性補修材料 - Google Patents

ポリマーセメント系耐酸性補修材料 Download PDF

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Description

本発明は、耐酸性を必要とするコンクリート構造物の補修等に使用されるポリマーセメント系耐酸性補修材料に関し、特に下水処理施設等の酸性に晒される環境下で有効に使用することができるポリマーセメント系耐酸性補修材料に関する。
下水処理施設、温泉水等の酸性雰囲気に晒される環境、化成品工場や食品工場の床、排水施設等に使用されるセメント及びコンクリートには、良好な耐酸性が要求されている。
これは、特に下水処理施設においては、生息する微生物が生成する硫酸により、常時酸性状態の環境に晒されており、かかる環境下では、コンクリート、モルタルは表層部の水酸化カルシウムが硫酸イオンと反応して2水石膏を生成し、更には場合によりアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し、膨張破壊を呈することがあるからである。
これらの耐酸性環境下に晒されているコンクリート等の補修材料としては、種々検討されており、例えばポルトランドセメントを使用した補修材料は、セメント組成物及び水酸化カルシウムが外部より侵入した硫酸と反応して石膏を生成し、さらに石膏がモノサルフェートと反応してエトリンガイトを形成するため、やはり膨張による劣化が生じるという問題があり、耐酸性は十分ではない。
また、ポルトランドセメントにポゾラン物質を配合した耐酸性材料が開示されており、具体的には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等のポゾラン物質をポルトランドセメントに配合することにより得られるモルタルが、セメントの水和により生成する強アルカリ性の水酸化カルシウムの生成を抑制することができるとするものである。
例えば、特開2000−128618号公報には、細骨材と、ポルトランドセメント、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末及びシリカヒュームからなる結合材とを、水結合比25〜45%で配合してなり、該結合材100重量部に対して、ポルトランドセメント:15〜25重量部、フライアッシュ:40〜60重量部、高炉スラグ微粉末:10〜30重量部、シリカヒューム:5〜15重量部としてなる防食性モルタルが開示されている。
また、特開2002−128559号公報には、ポルトランドセメント10〜30部、高炉スラグ20〜40部、フライアッシュ10〜35部、シリカフューム10〜20部、硫酸塩1〜10部を含有してなるセメント組成物及びそれを用いた耐酸性セメント・コンクリートが開示されている。
しかし、かかるポルトランドセメントにポゾラン物質を配合した材料は、耐酸性が十分ではない。
具体的には、ポルトランドセメントに、高炉スラグ微粉末やフライアッシュやシリカフュームなどのポゾラン物質を添加したモルタルでは、例え強アルカリ性のCa(OH)の生成量が少量となってポルトランドセメント単独の使用の場合より耐酸性が向上しても、基本的にポゾラン物質を添加することによって生成する珪酸カルシウム水和物(C−S−H)自体が強アルカリ性物質であり、例えばかかる強アルカリ物質は硫酸と接触すると二水石膏(CaSO/2HO)とシリカゲルとに分解してしまい、結局得られる材料の耐酸性は向上しないという問題がある。
また、水ガラスやケイ酸塩化合物を混入したモルタルも提案されているが、耐酸性が良好である一方、硬化体がシリカゲルを生成するため、脱水縮合を起こして収縮が大きくなり、耐水性が劣るという問題がある。
更に、水ガラスを使用すると粘性が高くなってしまい、補修材としての施工性に問題が生じる。
また、耐酸性等の化学的安定性に優れるものとして、アルミナセメントを使用することも提案されている。
例えば、アルミナセメントを用いたモルタルとして、特開2002−137954号公報には、アルミナセメント40〜90重量部、スラグ微粉末1〜40重量部、最大粒径70μm以下のフライアフライアッシュ1〜30重量部を含有する水硬性組成物及びそのペースト、モルタル、コンクリートが開示されており、特開2002−137955号公報には、アルミナセメント/骨材=20/80〜45/55の割合で、アルミナセメント中の粒径5μm以下のものが25重量%以下の水硬性組成物が開示されている。
しかし、かかるアルミナセメントを用いた材料は、アルミナセメント水和物の相転移によりモルタルの強度が低下したり、アルミナセメントの硬化収縮率が大きくひび割れ等が生じたり、更にはその作業性が乏しいという問題がある。
具体的には、アルミナセメント単独を結合材として水和させたモルタルは、長期材齢ほど、また高温ほど水和物が相転移し、具体的には、CAH10からCAHへ、更にはCAHからCAHへと、比重の大きな水和物へ変化するため、それに伴い強度が低下してしまい、初期に実用強度を満足していても、長期的、高温暴露等の環境下で実用強度を満足しなくなってしまう。
また、アルミナセメントまたはアルミナセメントにポゾラン物質を添加したモルタルは、セメントの水和時の硬化収縮が極めて大きくなり、補修後、補修材の反りや浮き、ひび割れが生じ易くなってしまう。
更には、アルミナセメントモルタルの作業性に関しては、アルミナセメント、またはアルミナセメントにポゾラン物質を添加したモルタルは、ポルトランドセメント、またはポルトランドセメントにポゾラン物質を添加したモルタルと比較して、チクソトロピー性が低く、コテによる左官作業性が極めて劣るという問題を有する。
また、コンクリート構造物の補修においては、補修材料は、元の部材コンクリートの厚さ(例えば20〜50cm程度)に比較して薄い層(例えば1〜4cm程度)で使用することがほとんどであり、また、乾燥しやすい屋外環境で用いるため、コンクリートとの付着性が十分に得られないことが大きな問題となり、特に、アルミナセメント、またはアルミナセメントにポゾラン物質を添加したモルタルでは、硬化後の表面硬度が低く、防食ライニング材の付着性を阻害する。
さらに、既に補修が必要な下水道管等の維持・管理には、耐酸性の他にも、補修を行ってから実用できるまでの期間が短いことが望まれ、従って初期強度の発現性及び長期強度の保持が求められているのが現状である。
特開2000−128618号公報 特開2000−128559号公報 特開2002−137954号公報 特開2002−137955号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、十分な耐酸性を有するとともに、初期強度及び長期強度に優れ、また硬化収縮が低いポリマーセメント系耐酸性補修材料を提供することである。
また、本発明の他の目的は、使用時の作業性を向上させ、コンクリート等の被補修体母材との付着性および補修材の表面硬度が向上したポリマーセメント系耐酸性補修材料を提供することである。
本発明者らは、特定の粒度を有するアルミナセメントと、石膏を含有しない特定の高炉スラグと、骨材と、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂とを、特定量配合することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料は、粒子の50体積%が20μm以上の径を有する粉末度2800cm/g以上のアルミナセメント80〜50重量部と、石膏を含有しない粉末度4000cm/g以上の高炉スラグ微粉末20〜50重量部とからなるセメント系無機粉体100重量部に対して、骨材を100〜200重量部、及び、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂をポリマー固形分で5〜15重量部含有することを特徴とする。
また好適には、上記ポリマーセメント系耐酸性補修材料において、上記アルミナセメントは、更に粒径44μm以上の粒子含有率が25重量%以上であることを特徴とする。
更に好適には、上記ポリマーセメント系耐酸性補修材料において、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂は、その最低造膜温度が0℃以上であるものであることを特徴とする。
更に好適には、上記ポリマーセメント系耐酸性補修材料において、更にシラン化合物を、上記セメント系無機粉体100重量部に対して、0.01〜0.1重量部を含有することを特徴とする。
本発明の耐酸性補修材料は、十分な耐酸性を有し、酸性環境下において優れた初期強度を発現することができるため、使用時の作業性を向上させることができ、また、硬化収縮が低いため、ひび割れ等を発生せず、優れた長期強度を有することができる。
更に、コンクリート等の被補修体母材との付着性に優れ、良好な表面硬度を呈することが可能となる。
本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料について、以下の好適例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料は、粒子の50体積%が20μm以上の径を有する粉末度2800cm/g以上のアルミナセメント80〜50重量部と、石膏を含有しない粉末度4000cm/g以上の高炉スラグ微粉末20〜50重量部とからなるセメント系無機粉体100重量部に対して、骨材を100〜200重量部、及び、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂をポリマー固形分で5〜15重量部含有するものである。
本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料は、このような前記組成を有することにより、優れた耐酸性及び機械的特性、更には作業性を示すことができる。
これは、アルミナセメントの水和反応により生成された水酸化アルミニウムが、表層部で硫酸イオンや塩酸イオン等の酸性イオンと反応して硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等となって固定され、有効にこれらの酸性イオンの浸透を防止することができ、また、高炉スラグ微粉末の水和反応により水密性が向上され、硫酸イオンや塩酸イオン等の酸性イオンの侵入を有効に防止することができるようになるからである。
更に、アルミナセメントの強度発現性が早期に発現されて、密実な硬化体を迅速に生成することができる。
また、かかるアルミナセメントに、石膏を含有しない粉末度4000cm/g以上の高炉スラグ微粉末配合した材料は、アルミナセメントの水和物の相転移によるモルタルの強度の低下を抑制できる。
具体的には、高炉スラグ微粉末を添加することにより、水和物は温度や長期材齢で安定なCASHとなり、相転移を起こさなくなるため、強度低下を示さないようになる。
アルミナセメントモルタルの作業性に関しては、アルミナセメント、またはアルミナセメントにポゾラン物質を添加したモルタルを、ポルトランドセメントまたはポルトランドセメントにポゾラン物質を添加したモルタルと比較すると、チクソトロピー性が低く、コテによる左官作業性がやや劣るという問題を有する場合があるが、好適にはシラン化合物が配合されたことにより、コテ作業性や吹きつけ作業性当の施工性が向上するとともに強度発現性が更に向上することとなる。
また、コンクリート構造物の補修においては、補修材料は、元の部材コンクリートの厚さ(例えば20〜50cm程度)に比較して薄い層(例えば1〜4cm程度)で使用することがほとんどであり、また、乾燥をしやすい屋外環境であるため、コンクリートとの付着性が十分に得られないことが大きな問題となっているが、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂を配合することにより、コンクリートとの付着性が大きく改善され、更に、アルミナセメント、またはアルミナセメントにポゾラン物質を添加したモルタルでは、硬化後の表面硬度が低いという欠点を補ってその表面硬度を向上させる。
さらに、既に補修が必要な下水道管等の維持・管理には、耐酸性の他にも、補修を行ってから実用に供されるまでの期間が短いことが望まれ、従って初期強度の発現性及び長期強度の保持が切望されているのが現状である。
本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料に用いるアルミナセメントとしては、公知のアルミナセメントを使用することができるが、好ましくはCaO・Alの含有率の高いものが好ましく、例えば、アサヒアルミナ1号(旭硝子セラミックス株式会社製)、アサヒフォンデュ(旭硝子セラミックス株式会社製)、アルミナセメント1号(電気化学工業株式会社製)、アルミナセメント2号(電気化学工業株式会社製)、ハイアルミナセメント(電気化学工業株式会社製)、セカール51BTF(ラファージュ社製)、セカール71(ラファージュ社製)、セカール80(ラファージュ社製)、フォンデュ(ラファージュ社製)等を使用することができる。
かかるアルミナセメントの粉末度は、粉末度2800cm/g以上、好ましくは3000cm/g以上であることが、強度発現性の点から望ましい。
かかる粉末度は、JIS R 5201に規定される粉末度試験(ブレーン)で測定した値である。
またアルミナセメントの粒子は、粒子の50体積%が20μm以上の径を有するものである。
すなわち、アルミナセメントの粒子の50体積%の粒子が通過する径が、20μm以上であることを意味するものである。
このように、粒子の50体積%が20μm以上の径を有することにより、アルミナセメントの硬化収縮を実用上問題のない程度まで小さくすることができる。
好適には、かかるアルミナセメントは、粒子の50体積%が20μm以上の径を有する他に、更に粒径44μm以上の粒子含有率が25重量%以上であることが望ましい。
これは、すなわち、アルミナセメントの全粒子を44μmの目の篩いに通過させた粒子分の残分が25重量%以上であることを意味するものである。
このように、粒径が44μm以上の粒子を25重量%以上含有することにより、アルミナセメントの粒度分布をシャープなものとし、硬化収縮をさらに小さくすることができることとなる。
また、本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料に使用する高炉スラグ微粉末としては、石膏を含有しないものを用いる。これは、本発明において使用する上記アルミナセメントの水和反応を、高炉スラグ微粉末に含有される石膏が遅延させる場合があるため好ましくないからである。
好適にはかかる高炉スラグ微粉末は、アルミナセメントとの反応性の点から、ブレーン比表面積が4000cm/g以上有する微粉末を好適に使用でき、望ましくは、JIS A 6206に規定されるブレーン比表面積が4000、6000、8000cm/gのコンクリート用高炉スラグ微粉末を使用できる。
上記アルミナセメントと高炉スラグとの混合比は、アルミナセメント80〜50重量部に対し、高炉スラグ20〜50重量部とする。
かかる混合比とするセメント系無機粉体とすることにより、高炉スラグ微粉末とアルミナセメントが効果的に反応し、水和物が、温度や長期材齢で安定なCASHとなり、相転移を起こさなくなるため、強度低下を呈さないこととなる。
また、本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料に使用するポリマーディスパージョンとしては、JIS A 6203に規定されたものを使用でき、更に再乳化形粉末樹脂としては、同様にJIS A 6203に規定されたものを使用することができる。
例えば、前記ポリマーディスパージョンに用いる樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、又はエチレン酢酸ビニル等を主成分とするポリマー等を、適宜、選択して単独、または混合して使用することができる。
また、前記再乳化形粉末樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサック酸ビニルエステル/アクリル酸エステル等の樹脂が挙げられ、これらの中から適宜、選択して単独、または混合して使用することができる。
ポリマーディスパージョンとは、上記ポリマーの微粒子が水中に分散し、浮遊している状態のものをいい、ポリマーを安定化する方法としては、例えば、アクリル酸を共重合するカルボキシル方式(アニオン化方式)、水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール等の水溶液中で重合する保護コロイド方式、重合反応性界面活性剤等を共重合する方式、非重合反応性界面活性剤による安定化方式等の、従来から用いられている種々の方式があるが、本発明においては、いずれの方式を用いて安定化したポリマーディスパージョンでも用いることができる。
再乳化形粉末樹脂は、ポリマーディスパージョンを噴霧乾燥した粉末樹脂で、水を添加すると再度乳化するものをいい、上記ポリマーディスパージョンに使用した樹脂を用いることができる。
かかる再乳化形粉末樹脂の製造方法は特に限定されることなく、粉末化方法やブロッキング防止法等の公知の任意の方法を用いて調製することができる。
ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂の再乳化液は、その最低造膜温度が0℃以上であることが望ましい。
最低造膜温度が0℃であることにより、被補修体であるコンクリートとの付着性が良好となり、得られる補修材の表面硬度が硬く、早期強度発現性に優れることとなる。
かかるセメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂の配合割合は、上記アルミナセメント及び上記高炉スラグ微粉末からなるセメント系無機粉体材料100重量部に対して、ポリマー固形分換算で2〜30重量部、好ましくは5〜20重量部とすることが望ましい。
これは、かかる配合比で、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂を混合することより、コンクリート補修材として使用した際に、被補修体であるコンクリート構造体に対して良好な接着性を有するものとなるからである。
また、本発明のセメントポリマー耐酸性材料は、好ましくは更に、シラン化合物を含有する。
シラン化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、iso−ブチルメチルジエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルメチルジエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリクロロシランなどがあり、これらの中から適宜選択して1種類以上を使用することができる。
かかるシラン化合物の配合割合は、上記アルミナセメント及び上記高炉スラグ微粉末からなるセメント系無機粉体材料100重量部に対して、0.01〜0.1重量部、好ましくは0.02〜0.05重量部とすることが望ましい。
かかる量のシラン化合物を混合することにより、得られるセメントポリマー系耐酸性材料の左官作業性が大幅に向上し、かつ強度発現性も向上させることができることとなる。
骨材としては、細骨材及び/粗骨材等の公知の骨材が使用することができるが、特に、耐酸性の点から、SiOを主成分とする珪酸質の細骨材及び/又は粗骨材を使用することが望ましい。例えば、細骨材としては、3〜8号珪砂、珪石粉、ムライト、シャモット及びこれらと同等の粒度を有する川砂、砕砂等が好ましく、粗骨材としては、用途に応じた粒系の砂利、砕石等を好適に使用できる。
かかる骨材の配合割合は、上記アルミナセメント及び上記高炉スラグ微粉末からなるセメント系無機粉体材料100重量部に対して、100〜200重量部、好ましくは120〜150重量部とすることが望ましい。
これは、かかる配合比で骨材を混合することにより、作業性が良好となり、実用的な強度発現性を有するとともに、実用上問題となる硬化収縮を呈さない耐酸性補修材料となるからである。
本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料においては、上記材料のほかに、減水剤、流動化剤、無機繊維や有機繊維等の繊維状物質、凝結遅延剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等の添加剤を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することができる。
また、本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料は、上記材料と適量な水とを添加して混練することで、ペースト、モルタル、コンクリート、グラウト材、裏ごめ材等として使用することができる。
水は、アルミナセメント等の硬化に悪影響を及ぼす成分を含有していなければ、水道水や地下水、河川水等の水を用いることができ、例えば、「JIS A 5308 付属書9 レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水」に適合するものが好ましいが、混和剤に含まれる水を用いることも可能である。水の量は、用途に合致した範囲で適宜決定することができる。
各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても、予め一部を混合しても、予め全部を混合してもかまわない。混合装置としては、各材料を均一に混合できるものであれば特に限定されず、既存の任意の装置を使用でき、例えば、ヘンシェルミキサー、オムニミキサー、V型ミキサーやナウターミキサー等が挙げられる。
このようにして得られたポリマーセメント系耐酸性補修材料は、耐酸性を必要とする建築、土木分野での施工に有用であり、例えば、建造物等のコンクリートやモルタル部の全部を本発明のポリマーセメント系耐酸性補修材料であるモルタルやコンクリートで施工しても、その表面等の一部のみに必要な厚さの当該ポリマーセメント系耐酸性補修材料であるモルタルやコンクリートで施工しても、いずれの場合においても、その建造物に十分な耐酸性を付与することができる。
また更に、既存の建造物等が酸で侵食されている場合には、当該建造物等の侵食された部分を除去し、その部分に本発明のセメントポリマー系耐酸性材料の層等を補充することでも、その建造物に十分な耐酸性を付与することができる。
本発明のセメントポリマー耐酸性材料を施工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、コテ塗り、吹き付け、ポンプ圧送、流し込み等を利用し、また養生方法としては、施工現場での環境温度で養生を行いことでも、十分な初期強度を短時間に発現することができるものである。
本発明を次の実施例、比較例及び試験例により詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
使用原料
(1)アルミナセメント
アサヒアルミナセメント1号クリンカー(旭硝子セラミックス株式会社製)をコニカルミルを用いて表1に示す粉末度に粉砕した。
得られた各アルミナセメント粉末の粉末度(cm/g)は、JIS R 5201に規定されるブレーン空気透過法により測定した値であり、また、当該粉末を篩いにかけた44μm残分の割合と、50体積%の粉末粒子が通過する粒度とを、前記粉末度とともに表1に示す。
(2)高炉スラグ微粉末
ファインセラメント10A(第一セメント株式会社製;ブレーン粉末度6800cm/g)を使用した。
(3)珪砂
乾燥珪砂4号、6号(三久海運株式会社製)を重量比で2:1に混合した珪砂を使用した。
(4)シラン化合物
イソブチルトリメトキシシラン(和光純薬工業株式会社製 試薬)を使用した。
(5)セメント用ポリマーディスパージョン
リフレモルセットE(住友大阪セメント株式会社製)を使用した。
実施例1〜4
表1に示す配合割合で、上記各原料と水とを配合して、モルタルミキサーで十分に混練りしてモルタルを調製した。
比較例1〜2
表2に示す配合割合で、上記各原料と水とを配合して、モルタルミキサーで十分に混練りしてモルタルを調製した。
試験例
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたモルタルを、以下の試験に供し、その結果を表1及び表2に示す。
(1)左官作業性
コンクリート壁の垂直面へ左官ゴテで塗りつけ、コテ作業性の評価を行った。
評価方法は以下の通りである。
コテ作業性の評価方法 ○;コテへの付着が少なく、コテ伸びが良好である。
△;コテへの付着が認められるが、塗り付けは可能である。
(2)耐硫酸性
東京都下水道局「コンクリート改修技術マニュアル水処理系施設編」に基づき、5%硫酸水溶液にそれぞれ30日間浸漬して、その評価を行った。
評価方法は以下の通りである。
○;重量変化が0〜5重量%のもの
(3)圧縮強度
JIS R 5201に準じた方法で、20℃で養生した材齢28日後の圧縮強度を測定した。
なお、東京都下水道局規格では、圧縮強度45N/mm以上のものを適格性があると規定している。
(4)反り・浮き・ひび割れの有無
1m×1mのコンクリート表面に厚さ10mmで塗布し、屋外(気温5〜10℃、湿度30〜55%RH)で7日間養生し、視覚にて反り・浮き・ひび割れの有無を評価した。
(5)付着強度
コンクリート表面に厚さ10mmで塗布し、材齢28日において、建研式引張り試験機(株式会社丸菱科学機械製作所製 MKS接着剥離試験器BA−450D)により付着強度を測定した。
なお、東京都下水道局規格では、付着強度1.5N/mm以上のものを適格性があると規定している
Figure 0004225873
Figure 0004225873
本発明の耐酸性材料は、耐酸性を要求される土木、建築分野において有効に利用できるものであり、特に、耐酸性を要求されるコンクリート構造物の補修分野において、例えば、微生物の生成する硫酸に対する耐酸性が必要とされる下水道施設、食品中に含まれる有機酸もしくは動植物油がアルカリ加水分解で生成する有機酸に対する耐酸性が必要とされる食品工場施設、及び腐食性温泉水や温泉ガスに対する耐酸性が必要とされる温泉地帯のコンクリートの補修工事等に、現場で容易にコテ塗り、吹き付け、注入加工することにより、有効に適用することができる。

Claims (4)

  1. 粒子の50体積%が20μm以上の径を有する粉末度2800cm/g以上のアルミナセメント80〜50重量部と、石膏を含有しない粉末度4000cm/g以上の高炉スラグ微粉末20〜50重量部とからなるセメント系無機粉体100重量部に対して、骨材を100〜200重量部、及び、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂をポリマー固形分で5〜15重量部含有することを特徴とするポリマーセメント系耐酸性補修材料。
  2. 請求項1記載のポリマーセメント系耐酸性補修材料において、上記アルミナセメントは、更に粒径44μm以上の粒子含有率が25重量%以上であることを特徴とするポリマーセメント系耐酸性補修材料。
  3. 請求項1又は2記載のポリマーセメント系耐酸性補修材料において、セメント混和用ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂は、その最低造膜温度が0℃以上であるものであることを特徴とするポリマーセメント系耐酸性補修材料。
  4. 請求項1〜3いずれかの項記載のポリマーセメント系耐酸性補修材料において、更にシラン化合物を、上記セメント系無機粉体100重量部に対して、0.01〜0.1重量部含有することを特徴とするポリマーセメント系耐酸性補修材料。
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