JP2005314154A - グラウト用混和剤 - Google Patents

グラウト用混和剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2005314154A
JP2005314154A JP2004133313A JP2004133313A JP2005314154A JP 2005314154 A JP2005314154 A JP 2005314154A JP 2004133313 A JP2004133313 A JP 2004133313A JP 2004133313 A JP2004133313 A JP 2004133313A JP 2005314154 A JP2005314154 A JP 2005314154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grout
admixture
cement
mol
lime
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004133313A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Hayashi
浩志 林
Tatsuo Hanada
達雄 花田
Shiyounei Go
承寧 呉
Akira Okuma
晃 大熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oriental Construction Co
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Oriental Construction Co
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oriental Construction Co, Taiheiyo Cement Corp filed Critical Oriental Construction Co
Priority to JP2004133313A priority Critical patent/JP2005314154A/ja
Publication of JP2005314154A publication Critical patent/JP2005314154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

【課題】 安定して高い流動性を有し、実際のPC構造物へのグラウト施工にあたってもブリーディングの発生が確実に無く、かつ自己収縮の小さいグラウトを得ることができるグラウト用混和剤を提供する。
【解決手段】 ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材とを含んでなるグラウト用混和剤であって、前記石灰系混和材はCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物である。ポリカルボン酸系セメント分散剤、増粘剤、石灰系混和材のいずれも粉末状とし、これらをプレミックスして一材型とすることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、土木、建築分野で使用されるグラウト用混和剤及びセメント系グラウト組成物に関し、詳しくは、プレストレストコンクリート(PC)構造物(以下、PC構造物と呼ぶ)を製造する際に使用されるPCグラウトの材料として好適なグラウト用混和剤に関する。
PC構造物を製造する工法のひとつとして、コンクリート部材に金属やプラスチック製などのシース管を埋め込んでダクトを形成し、PC鋼材をダクトの中に通した後、緊張させることでコンクリート部材にプレストレスを導入するポストテンション工法がある。ここで、PC鋼材とコンクリート硬化物との間の一体性を確保することや、腐食から保護する等の目的でダクト内にはグラウト(以下、PCグラウトと呼ぶ)が注入される。
PCグラウトには、材料の分離が無くブリーディングの発生が無いことや、安定して良好な流動性を有し空隙を残さずダクト内に注入できること、PC鋼材とコンクリート硬化物との間の一体性を確保すること、PC鋼材を腐食させないこと、十分な圧縮強度を有することなどの性能が求められている。
そして、更に、近年のPC構造物の長大化に対応するためのPCグラウトの性能として、材料分離を起こさず(ブリーディングが発生せず)高い流動性を長時間(60分程度)保持できることが要求されている。また、PC鋼材とコンクリート部材の硬化物との間の一体性を確保し、かつグラウト硬化体を塩分などから遮断するために、グラウト硬化体を密実かつ低収縮とする必要もある。
そのため、最近では、混和剤として減水剤と有機系増粘剤を使用することにより水量増加を抑え、比較的長い可使時間とブリーディングの発生を防止したノンブリーディングタイプのPCグラウトが開発され改良が加えられている。
例えば、石灰石粉末を配合して低粘性とし、流動性の長時間確保を図ったものや(特開平2−102162号公報)、石灰石粉末とナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物などを主成分とする高性能減水剤及び増粘剤を配合することで(特開平9−30855号公報)、ブリーディングを防止し、かつ流動性も長時間確保するものがある。しかしながら、長大なPC構造物を対象とした場合、いずれの方法も作業性向上及び良好な充填性のために必要である安定して高い流動性を十分に満足するものではなかった。
また、プレミックス型低粘性PCグラウトで、ブリーディングの発生が無く、硬化物の自己収縮を防止しているものも開発されている(特開2002−285152号公報)。しかし、これらのPCグラウトも含め、これまでのPCグラウトにおけるブリーディング試験の多くはポリエチレン袋を用いた「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(JSCE−F532−1999)」で行われており、この試験方法ではPC鋼材を配するPC構造物へのグラウトの施工時におけるPC鋼材の影響が考慮されていないので、この方法でブリーディングの発生が無い場合であっても、実際にPC鋼材を配するPC構造物にグラウトを注入施工するとブリーディングが発生するという結果を招くことがあった。このことから、PC構造物にグラウトを注入施工する場合には、上記ポリエチレン袋法に代わる方法でグラウトのブリーディング試験を行う必要があった。
特開平2−102162号公報 特開平9−30855号公報 特開2002−285152号公報
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、近年のPC構造物の長大化に適応可能なPCグラウトを得るべく、安定して高い流動性を有し、実際のPC構造物への注入施工においてもブリーディングの発生が確実に無く、かつ自己収縮の小さいグラウトを得ることができるグラウト用混和剤及びセメント系グラウト組成物を提供することを目的とする。より詳細には、JPロートによる流動性試験方法で混練直後の流下時間が5秒未満でかつ60分経過後の流下時間の増加が2秒未満であるとともに、1.5m鉛直管法によるブリーディング率が0.3%未満であり、材齢28〜84日での自己収縮量が−300×10-6未満となるグラウトを得るためのグラウト用混和剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るグラウト用混和剤は、ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材とを含んでなり、前記石灰系混和材がCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物であるものである。上記のポリカルボン酸系セメント分散剤、増粘剤、石灰系混和材のいずれもが粉末状であって、これらをプレミックスしてなる一材型のものが好ましい。上記のグラウト用混和剤は、石灰系混和材100重量部に対し、ポリカルボン酸系セメント分散剤5〜60重量部、増粘剤0.5〜40重量部とすることが好ましい。
本発明に係るグラウト用混和剤は、有機系収縮低減剤を更に含むことができる。有機系収縮低減剤の配合割合は、石灰系混和材100重量部に対し、有機系収縮低減剤5〜200重量部とすることが好ましい。また、本発明に係るグラウト用混和剤は、無機系フィラーを更に含むことができる。無機系フィラーとしては、石灰石微粉末、フライアッシュなどを使用できる。無機系フィラーの配合割合は、石灰系混和材100重量部に対し、無機系フィラー5〜300重量部とすることが好ましい。
また、本発明に係るグラウト用混和剤は、セメントと混合して、セメント系グラウト組成物とすることができる。上記セメントとしては、特に限定されず、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどを使用することができる。
本発明によれば、ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材とを配合し、前記石灰系混和材がCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物であるので、安定して高い流動性を有し、実際のPC構造物へのグラウト注入施工にあたってブリーディングの発生が0.3%未満であり、かつ自己収縮の小さいグラウトを得ることができるグラウト用混和剤を提供することができる。
詳しくは、混練直後のJPロート流下時間が5秒未満で、60分経過後の流下時間の増加が2秒未満となるので、従来用いられてきたグラウトに比べて、高い流動性を安定して長時間確保することができ、長大なPC構造物や鋼材が過密に配置されている部位に対しても、低い注入圧で短時間に注入工事を行うことができる。また、実際のPC構造物へのグラウト注入施工状況に近いPC鋼より線を配置した1.5m鉛直管法による分離抵抗性試験においてもブリーディング率が0.3%未満とブリーディング防止効果に優れる。したがって、実際のPC構造物へのグラウト注入施工にあたって、これまで以上に確実にブリーディングの発生を防止できる。これらのことにより、PC鋼材とコンクリート部材との間の一体性を確保することができるので、PC構造物の耐久性を向上させることができる。さらに、水/結合材比が低い場合でも自己収縮が−300×100-6未満と小さいため、ひび割れ等の発生が少ない硬化体を形成でき、PC鋼材を腐食から保護することもできる。
本発明に係るグラウト用混和剤は、ポリカルボン酸系セメント分散剤、増粘剤、石灰系混和材のいずれもが粉末状であって、これらをプレミックスしてなる一材型のものとすることで、セメント及び水と該混和剤を混練するだけで簡便に本発明の目的とするグラウトが得られ、安定した品質のグラウトを製造することができる。また、有機系収縮低減剤を更に配合することで、グラウトの自己収縮をより抑制することができる。さらに、無機系フィラーを混和することで、上記の各構成材料をプレミックスする時、各材料を均一に分散することができる。
以下に、本発明に係るグラウト用混和剤及びこのグラウト用混和剤を用いたセメント系グラウト組成物の実施の形態について詳細に説明する。
(グラウト用混和剤)
先ず、本発明に係るグラウト用混和剤について説明する。このグラウト用混和剤は、ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材とを含んでなり、前記石灰系混和材はCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物である。なお、本発明に係るグラウト用混和剤は、必要により、有機系収縮低減剤、無機系フィラーを更に含むことができる。また、上記の各使用材料をいずれも粉末状としプレミックスした一材型のものとして得ることができる。
1.使用材料
本発明に係るグラウト用混和剤に配合されるポリカルボン酸系セメント分散剤は、ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする。このような高分子化合物としては、−COOM基(Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示す)及びポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体、又はポリアルキレングリコールアルケニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(ただし、多価金属塩を除く)等が好ましい。ポリアルキレングリコール鎖としては、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール鎖が好ましく、より好ましくは−O(CH2CH(Ra)O)b−で示されるものである。ここで、Raは水素原子又はメチル基を示し、bは2〜200が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系共重合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記式(1)で示される構成単位(1)を40〜80モル%、下記式(2)で示される構成単位(2)を2〜25モル%、下記式(3)で示される構成単位(3)を3〜20モル%及び下記式(4)で示される構成単位(4)を1〜45モル%の割合で有する数平均分子量2000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体が挙げられる。
Figure 2005314154
上記式中、R1、R2、R4及びR5は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R3及びR6は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Xは−SO32又は−O−Ph−SO32(ここで、M2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、nは2〜200の整数を示す。
上記式(1)〜(4)中、R1、R2、R4及びR5は、メチル基が好ましい。またR3及びR6としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、就中、メチル基が好ましい。また、M1としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルカノールアミン等が好ましく、特に、水に対する溶解性の面からナトリウムが好ましい。また基X中のM2としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウム及びエタノールアミン等のアルカノールアミン等の有機アミンが挙げられる。これらのうちXとしては、−SO3Naが好ましい。また、(4)式中のnは2〜200であるが、5〜109が好ましく、特に20〜109、更に30〜109が好ましい。構成単位(1)は40〜80モル%であることが好ましく、特に45〜75モル%であることが好ましい。構成単位(2)は2〜25モル%であることが好ましく、特に5〜20モル%であることが好ましい。構成単位(3)は3〜20モル%であることが好ましく、特に5〜15モル%であることが好ましい。また、構成単位(4)は1〜45モル%であることが好ましく、特に3〜40モル%であることが好ましい。なお、構成単位のモル%は、(1)〜(4)の全構成単位を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を示す。
また特に、上記(メタ)アクリル酸系共重合体の好ましいものとしては、全構成単位中に、下記式(5)で示される構成単位(5)を40〜70モル%、下記式(6)で示される構成単位(6)を5〜30モル%、下記式(7)で示される構成単位(7)を1〜20モル%、下記式(8)で示される構成単位(8)を1〜30モル%及び下記式(9)で示される構成単位(9)を1〜30モル%の割合で有する数平均分子量2000〜50000の(メタ)アクリル酸系共重合体が挙げられる。
Figure 2005314154
上記式中、R7、R8、R10、R11、R13及びR14は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R9、R12及びR15は炭素数1〜3のアルキル基を示し、M3は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Yは−SO34又は−O−Ph−SO34(ここで、M4は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示し、Phはフェニレン基を示す)を示し、mは2〜200の整数を示し、pは2〜109の整数を示す。
上記式(5)〜(9)中、R7、R8、R10、R11、R13及びR14はメチル基が好ましい。また、R9、R12及びR15としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、就中、メチル基が好ましい。また、M3及びM4としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルカノールアミン等が好ましく、特にナトリウムが好ましい。また基Yとしては−SO3Naが好ましい。(8)式中のmは2〜200であるが、5〜109が好ましく、特に20〜109が好ましく、更に30〜109が好ましい。また、(9)式中のpは2〜109であるが、5〜50が好ましい。構成単位(5)は40〜70モル%であることが好ましく、特に45〜65モル%であることが好ましい。構成単位(6)は5〜30モル%であることが好ましく、特に8〜23モル%であることが好ましい。構成単位(7)は1〜20モル%であることが好ましく、特に1〜15モル%であることが好ましい。構成単位(8)は1〜30モル%であることが好ましく、特に5〜25モル%であることが好ましい。また、構成単位(9)は1〜30モル%であることが好ましく、特に3〜25モル%であることが好ましい。なお、構成単位のモル%は(5)〜(9)の全構成単位の合計を100モル%とした場合の夫々の構成単位のモル%を示す。
上記構成単位からなる(メタ)アクリル酸系共重合体としては、数平均分子量2000〜50000(GPC法、ポリエチレングリコール換算)のものが好ましく、3500〜30000のものがより好ましい。
一方、上記マレイン酸系共重合体としては、メチルポリエチレングリコールビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコールアリルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチルポリエチレングリコール−マレイン酸共重合体等が挙げられる。マレイン酸系共重合体の好ましい数平均分子量(GPC法、ポリエチレングリコール換算)は、3000〜200000、特に3000〜80000が好ましい。
このセメント分散剤は主として低水比でも低粘性化による良好な流動性を長時間確保するために使用する。ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤は、ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物やメラミンスルホン酸ホルマリン高縮合物を主成分とする従来の分散剤に比べ、流動化性能及び流動性の保持性が高い。
本発明に係るプレミックスタイプのグラウト用混和剤に用いられる粉末状のセメント分散剤は、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする液を乾燥粉末化することにより得ることができる。乾燥粉末化は混練攪拌を行いながら実施することが好ましい。なお、乾燥粉末化する前に、上記の液に、亜硫酸塩などの還元性無機化合物と、アミン系化合物などの還元性有機化合物とを添加することが好ましい。これらの各添加量(固形分)は、ポリカルボン酸系高分子化合物の固形分含有量の0.01〜2.5重量%とすることが好ましい。また、上記の液はpH7〜9に調整しておくことも好ましい。特開2001−002788号公報に記載の粉末状水硬性組成物用分散剤は、高い減水作用があり、本発明に係るグラウト用混和剤に用いるセメント分散剤として好適である。
本発明に係るグラウト用混和剤に配合される増粘剤は、セルロース系高分子化合物を主成分とするものが好ましい。例えば、90MP−4T(松本油脂製薬株式会社製)やメトローズ90SH(信越化学工業株式会社製)、SFCA2000(信越化学工業株式会社製)などである。これらは通常粉末状で市販されているのでプレミックス品にも適用できる。
本発明に係るグラウト用混和剤に配合される石灰系混和材は、CaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物である。クリンカーとしては、主要鉱物組成として、3CaO・SiO2−2CaO・SiO2−CaO−間隙物質、3CaO・SiO2−CaO−間隙物質、及び2CaO・SiO2−CaO−間隙物質からなる群から選ばれた1種または2種以上を含むものが好ましい。石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏のいずれも使用することができる。クリンカーと石膏の混合割合は、クリンカー100重量部に対して石膏5〜50重量部を混合することが好ましい。なお、混合物には生石灰をさらに加えることもできる。この場合、クリンカと生石灰の合計100重量部において、クリンカが20重量部以上であり、クリンカ組成物と生石灰の合計100重量部に対して石膏5〜50重量部を混合することが好ましい(特開2001−39748号公報に記載のものを含む)。このような石灰系混和材は、膨張機能が高いことから、自己収縮に対する補償に優れている。また、安定して高い流動性を得ることも阻害しない。さらに、石灰系混和材は、水との反応が速いため、ブリーディングの発生に対しても優れた防止作用がある。
本発明に係るグラウト用混和剤は、必要により、有機系収縮低減剤を配合することができる。有機系収縮低減剤は、主としてグラウトの自己収縮を抑制し、硬化グラウトにひび割れが発生しないようにするために使用する。有機系収縮低減剤を構成する有機系収縮低減成分としては、下記式(I)で表されるアルキレンオキシド重合物を化学構造の骨格に有するものなどが使用できる。
1O(AO)n2 ・・・(I)
式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素基、アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基等であり、Aは炭素数2〜3の1種のアルキレン基又はランダム若しくはブロック重合させた2種のアルキレン基であり、nは2〜20の整数である。特に、R2が水素基である有機系収縮低減成分が好適に使用できる(特公昭59−3430号公報に記載のものを含む)。
本発明に係るグラウト用混和剤にこのような有機系収縮低減剤を配合し、プレミックス品として調製するには、吸油性を有する無機系又は有機系の粉状体に、液状の有機系収縮低減成分を予め含浸させ、粉末状の形態にした粉状物とすればよい。無機系の粉状体としては、繊維状マグネシウムオキサイド等、有機系の粉状体としては、フェノール樹脂等を用いることができる(特開平2−164754号公報に記載のものを含む)。
本発明で用いる上記有機系収縮低減剤は、通常セメント硬化体の乾燥収縮を低減するために使用されている混和剤である。一般に、セメント硬化体の乾燥収縮は、乾燥によるメニスカスの形成により硬化体の毛細管中に引張応力が生じ、これが硬化体に弾性的な体積収縮を引き起こすとされている。また、有機系収縮低減剤は、硬化体空隙中の水の表面張力を低下させる作用があり、これにより毛細管中の引張応力が低下し、収縮量が低減されると考えられている。自己収縮の発生機構は、水和の進行に伴う自己乾燥により、硬化体の毛細管中に引張応力が生じて体積が収縮すると考えられるため、有機系収縮低減剤の添加は、自己収縮の低減にも効果がある。
また、本発明に係るグラウト用混和剤は、必要により、無機系フィラーを配合することができる。無機系フィラーとしては、石灰石微粉末、フライアッシュを使用することが好ましい。このような無機系フィラーを添加することで、上記の各使用材料をプレミックスする時、各使用材料を均一に分散することができる。
2.各使用材料の配合割合
本発明に係るグラウト用混和剤の各材料の配合割合は、石灰系混和材100重量部に対し、ポリカルボン酸系セメント分散剤5〜60重量部、増粘剤0.5〜40重量部が好ましい。なお、任意成分である有機系収縮低減剤の配合割合は、石灰系混和材100重量部に対し、有機系収縮低減剤5〜200重量部が好ましい。また、任意成分である無機系フィラーの配合割合は、石灰系混和材100重量部に対し、無機系フィラー5〜300重量部が好ましい。
また、本発明に係るグラウト用混和剤を実際の施工にあたって用いる際には、セメント100重量部に対して0.5〜4.0重量部、特に1.0〜2.0重量部を添加することが好ましい。
(セメント系グラウト組成物)
次に、本発明に係るグラウト用混和剤を用いたセメント系グラウト組成物について説明する。このセメント系グラウト組成物は、ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材と、セメントとを含んでなり、前記石灰系混和材はCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物であるものである。すなわち、上記説明したプレミックスしてなる一材型のグラウト用混和剤である。
1.使用材料
セメント系グラウト組成物は、セメントの他、前記グラウト用混和剤と同様に、ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、所定の石灰系混和材とを必須成分とする。また、必要により、有機系収縮低減剤、無機系フィラーを含むことができる。これらについては既に説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、ハイフローセメント等の高ビーライト系セメントなどを使用することができる。その中でも、高い流動性を確保するとともにグラウト硬化体の自己収縮を低減してひび割れ等の発生を防止するため、高ビーライト系セメントを使用することが好ましい。高ビーライト系セメントとは、普通ポルトランドセメントの主成分であるエーライトの含有量を減らし、中庸熱ポルトランドセメントより更にビーライト含有量を多くして、水和熱を一層低くした低熱ポルトランドセメントをいう。高ビーライト系セメントとしては、ビーライト(2CaO・SiO2)を40重量%以上含有するものが好適に使用できる。特に、ビーライト含有量が50重量%以上であり、ブレーン比表面積が4500cm2/g以下のものがより好ましい。低粘性化して高い流動性を長時間確保するために好適だからである。
セメント系グラウト組成物は、セメントに加え、必要に応じて混和材を含むことができる。混和材としては、特に、水和活性のない無機系微粉末が好ましい。このような水和活性のない無機系微粉末を添加することで、得られるグラウト中の塩化物イオン量を低減させることができるとともに、自己収縮量をより低減させる効果があり、グラウトの品質を向上させることができる。水和活性のない無機系微粉末としては、例えば、石灰石微粉末、珪石微粉末などを使用することができる。
セメント系グラウト組成物には、上記成分以外の他の成分、例えば、防錆剤、消泡剤などを必要に応じて適宜含むものであっても良い。
以下、本発明に係るグラウト用混和剤を用いたグラウトの試験例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔使用材料〕
・セメント
セメントとしては普通ポルトランドセメント(略号:OPC)、早強ポルトランドセメント(略号:HES)、高炉B種セメント(略号:BB)を用いた。
・ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤
このセメント分散剤は、以下の製造方法により製造した。メタクリル酸ナトリウム54モル%、メタリルスルホン酸ナトリウム7モル%、メチルアクリレート8モル%、メトキシポリ(n=40)エチレングリコールメタクリルレート16モル%並びにメトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリルレート15モル%を重合させてなる分子量11900の高分子化合物を主成分とする固形分濃度45%の水溶液各800gに、pH調整のために10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液75.2gを加えて常温で約3分間撹拌し、次いで、亜硫酸ソーダ及びトリエタノールアミンを、高分子化合物の固形分100重量部に対して各0.5重量部添加し3分間撹拌した。これを処理容積が1Lのニーダー型混練撹拌機に入れて温度90℃、30torrの減圧下で混練しながら濃縮・乾燥を行った。得られた粉粒体を粉砕機で粉砕し、分級して粒径50〜500μmの粉末(SP)を製造した。尚、該粉末の含水率は2.1重量%であった。
・増粘剤
増粘剤として、商品名:SFCA2000(主成分:セルロースエーテル)(信越化学工業株式会社製)(略号:SFCA)を使用した。
・石灰系混和材
使用した石灰系混和材の化学成分、石膏量および粉末度(比表面積)を表1に示す。なお、II型無水石膏量は、クリンカー100重量部に対する重量部を示す。
Figure 2005314154
・水
水として水道水を使用した。
〔グラウトの製造〕
水を除く各材料を、表2に表す配合量となるようにあらかじめプレミックスし、さらにセメント100重量部に対して水を所定量加え、グラウトミキサ(GM50、回転数1000rpm)で3分間混練して、試験例1〜6のグラウトを製造した。
Figure 2005314154
〔試験方法〕
得られたグラウトについて以下の試験を実施した。その結果を表3に示す。
(1)流動性
JPロート流下時間測定方法
土木学会基準「PCグラウト試験方法(JSCE−F531−1999)」に準じてJPロート流下時間を混練直後、60分後、120分後及び180分後に測定した。ロートの排出口の内径は14mmのものを使用した。
(2)ブリーディング率
ブリーディング率測定方法
ブリーディング率は以下の2つの方法を用いて測定した。
<ポリエチレン袋方法>
土木学会基準「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(JSCE−F532−1999)」に準じて材齢3時間でのブリーディング率を測定した。
<1.5m鉛直管法>
以下に図1を参照してこの1.5m鉛直管法による試験方法を説明する。
図1に示すように、先ず、高さ1.5m、外径89mm、内径79mmのPVC製透明シース10の中心に、長さ約1.5m超の1S15.2の鋼材20を1本挿入した。そして、シース10内に混練直後のグラウト1を1.4mの高さまで注入した。シース10鋼材20は、中心に穴が設けられたゴム製キャップ12を用いて鋼材20に固定した。材齢3時間と24時間でシース10内におけるブリーディング水3の有無を確認し、ブリーディング水3が発生していた場合、ピペットを用いてブリーディング水3の水量を測定した。そして、以下の式にてブリーディング率(%)を算出した。なお、1試験例あたり、鋼材20を挿入した供試体3体と、比較用の鋼材20を挿入しない供試体1体の合計4体について測定を行った。
ブリーディング率(%)=(ブリーディング水の高さ)/(グラウトの高さ)
また、この時のグラウトの体積の変化率(%)についても、以下の式にて算出した。
体積変化率(%)=(注入24時間のグラウト高さ−注入直後のグラウト高さ)/(注入直後のグラウト高さ)×100(%)
(3)自己収縮
自己収縮量測定方法
「JIS R 6202−1997付属書1(石灰系混和材のモルタルによる膨張性試験方法)」で規定される型枠と拘束器具を使用して試験体を成型した。材齢24時間で脱型した後、試験体の水分の出入りが無いようアルミ箔粘着テープでシールし、付属書に準じた方法で試験体の測長(基長)を行った。その後、材齢28日、56日及び84日で測長を行い、各材齢における測長値の基長に対する変化割合(×10-6)を自己収縮量として算出した。
Figure 2005314154
表3に示すように、試験例1〜5では、混練直後のJPロート流下時間が5秒未満で、かつ60分経過後の流下時間の増加が2秒未満であり、良好な充填性を確保するために必要である安定して高い流動性を得ることができた。また、これら試験例は、ポリエチレン袋方法によるブリーディング率が0.0%であるとともに、1.5m鉛直管法によるブリーディング率も0.3%未満であり、分離防止性能も良好であった。さらに、材齢28〜84日での自己収縮量が−300×10-6未満であり、ひび割れなどが生じる危険が少なく、PC鋼材とコンクリート部材との間の一体性を確保することができる。
一方、試験例6は、ポリエチレン袋方法によるブリーディング率が0.0%であるものの、1.5m鉛直管法によるブリーディング率が0.3%以上あり、実際のPC構造物への注入施工においてブリーディングが発生してしまうことから、良好な結果を得ることはできなかった。
1.5m鉛直管法によるブリーディング率測定試験方法の概要を示す模式図である。
符号の説明
1 グラウト
3 ブリーディング水
10 PVC製透明シース
12 キャップ
20 鋼材

Claims (1)

  1. ポリカルボン酸系セメント分散剤と、増粘剤と、石灰系混和材とを含んでなり、前記石灰系混和材がCaOを50〜92重量%含有するクリンカと石膏とを粉砕した混合物であるグラウト用混和剤。
JP2004133313A 2004-04-28 2004-04-28 グラウト用混和剤 Pending JP2005314154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004133313A JP2005314154A (ja) 2004-04-28 2004-04-28 グラウト用混和剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004133313A JP2005314154A (ja) 2004-04-28 2004-04-28 グラウト用混和剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005314154A true JP2005314154A (ja) 2005-11-10

Family

ID=35441960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004133313A Pending JP2005314154A (ja) 2004-04-28 2004-04-28 グラウト用混和剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005314154A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161513A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Kumagai Gumi Co Ltd Pcグラウトとその製造方法
JP2012051741A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Taiheiyo Materials Corp Pcグラウト組成物
JP2012136403A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Taiheiyo Materials Corp コンクリート打継ぎ部用グラウト組成物
JP2017178717A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 日本製紙株式会社 水硬性組成物用添加剤
JP2020128308A (ja) * 2019-02-08 2020-08-27 オリエンタル白石株式会社 Pcグラウト用分散剤、pcグラウト組成物及びpcグラウト材

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003212632A (ja) * 2002-01-18 2003-07-30 Oriental Construction Co Ltd セメント系グラウト組成物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003212632A (ja) * 2002-01-18 2003-07-30 Oriental Construction Co Ltd セメント系グラウト組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161513A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Kumagai Gumi Co Ltd Pcグラウトとその製造方法
JP2012051741A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Taiheiyo Materials Corp Pcグラウト組成物
JP2012136403A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Taiheiyo Materials Corp コンクリート打継ぎ部用グラウト組成物
JP2017178717A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 日本製紙株式会社 水硬性組成物用添加剤
JP2020128308A (ja) * 2019-02-08 2020-08-27 オリエンタル白石株式会社 Pcグラウト用分散剤、pcグラウト組成物及びpcグラウト材
JP7202915B2 (ja) 2019-02-08 2023-01-12 オリエンタル白石株式会社 Pcグラウト組成物及びpcグラウト材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007031244A (ja) セルフレベリング性水硬性組成物
JP2015120624A (ja) 速硬性グラウト組成物
JP2016121030A (ja) 繊維補強セメント複合材及びその製造方法
JP6674307B2 (ja) セルフレベリング性モルタル
JP2018193280A (ja) 早強性超高強度グラウト組成物
JP4090772B2 (ja) セメント組成物
JP4125009B2 (ja) セメント系pcグラウト組成物
JP2005314154A (ja) グラウト用混和剤
JP2009114018A (ja) 急硬性セメント組成物用混和材、並びにこれを含有する急硬性セメント組成物、急硬性セメント混練物及び吹付材料
JP3638894B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP5965256B2 (ja) 水硬性組成物
JP4538199B2 (ja) Pcグラウト用混和剤及びセメント系pcグラウト組成物
JP2010155758A (ja) セメント混和材及びセメント組成物
JP2009149457A (ja) 水中不分離性セメント系充填組成物及び水中不分離性セメントモルタル
JP2008201605A (ja) 高流動水硬性組成物用速硬材及び高流動水硬性組成物
JP7058913B2 (ja) 速硬性セメント組成物及び速硬性モルタル
JP2006282442A (ja) 速硬性高流動モルタル
JP2010100457A (ja) 高温用グラウト組成物
JP6956468B2 (ja) 速硬性グラウト組成物
JP6887272B2 (ja) 速硬性ポリマーセメント組成物及び速硬性ポリマーセメントモルタル
JP6967819B2 (ja) 速硬性グラウト組成物
JP6654932B2 (ja) 高強度グラウト組成物および高強度グラウト材
JP2006160577A (ja) 水硬性組成物
JP7018043B2 (ja) 水硬性組成物用添加剤
JP5270258B2 (ja) セメント系グラウト組成物及び該組成物を用いたプレグラウトpc鋼材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070419

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100402

A521 Written amendment

Effective date: 20100601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100702

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100702

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110225