JP2018007576A - 釣竿 - Google Patents

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Abstract

【課題】一体構成のリアグリップ部を備えた釣竿において、必要な強度を確保しつつ更なる軽量化と高感度化を課題とする。
【解決手段】後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部41が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体21を備えた釣竿であって、リアグリップ竿体21の全長に亘って連続形成されているメイン層の肉厚は、前端部よりも後端部の方が薄い。リアグリップ竿体21は、リアグリップ竿体21の前端部から所定長さ領域を構成すると共にリアグリップ竿体21の半分以上の長さを占める小径部40と、該小径部40の後側に位置するリアグリップ部41とを備え、リアグリップ部41は、小径部40よりも急勾配で後側に向けて内径が拡径していく拡径部44と、該拡径部44の後端部からリアグリップ竿体21の後端部までの領域を構成する大径部45とを備え、メイン層の肉厚は、小径部40よりも大径部45の方が薄い。
【選択図】図1

Description

本発明は、リアグリップ部が一体的に形成された中空の竿体を備えた釣竿に関する。
竿体にリアグリップ部を備える場合、コルクや発泡樹脂から筒状のリアグリップ体を形成してそれを竿本体(ブランク)の後部外周面に装着して構成することが多い。しかしながら、リアグリップ部を竿本体とは別体構成とすると、軽量化が困難となり、また、釣竿から手に伝わる感度も低下する。
これに対して、本出願人は中空のリアグリップ竿体の後部を大径化してリアグリップ部を一体的に形成した構成について既に提案している(下記特許文献1参照)。この構成によって軽量化と高感度化を達成することができた。
特許第5721574号公報
本発明は、一体構成のリアグリップ部を備えた釣竿において、必要な強度を確保しつつ更なる軽量化と高感度化を課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る釣竿は、後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備えた釣竿であって、リアグリップ竿体の全長に亘って連続形成されているメイン層の肉厚は、前端部よりも後端部の方が薄いことを特徴とする。尚、竿先側を前側とし、竿尻側を後側とする。
該構成の釣竿を使用して釣りを行う際、魚のアタリ等の振動は、釣り糸から竿本体(ブランク)に伝わり、竿本体の元部を構成しているリアグリップ竿体に伝わることになる。リアグリップ竿体の後部にはリアグリップ部が一体的に形成されているので、例えば、右手で釣竿を把持する場合には、右手の前腕や肘、特に前腕のうちの肘に近い比較的太い部分にリアグリップ部を当接させることができる。そのため、手の平のみならず、リアグリップ部から前腕にも振動が伝わることになる。そのような使用状態においてリアグリップ竿体のリアグリップ部よりも前側の部分はリアグリップ部よりも小径であるので、その部分は前腕から離間した状態となり、リアグリップ部のみを局所的に前腕に当てることができ、操作性に優れている。尚、釣竿を把持している手とは反対側の手でリアグリップ部を把持する使用状態とすることもできる。そして、リアグリップ部は別体構成ではなく一体構成であるため振動伝達特性に優れており、振動がダイレクトに手に伝わり、高感度にアタリ等の振動をキャッチすることができる。従って、前アタリのような小さなアタリであっても確実にとらえることができる。
そして、リアグリップ竿体の全長に亘って連続形成されているメイン層の肉厚がその前端部よりも後端部の方が薄くなっているので、リアグリップ部が竿尻部に位置していて穂先から最も遠い位置にあっても、振動の減衰を抑制しつつメイン層を介してリアグリップ部まで振動を伝達させることができる。また、メイン層の後端部の肉厚が前端部の肉厚よりも薄くなっているので、メイン層の肉厚が全長に亘って一定である構成に比して、更に高感度に振動をリアグリップ部から手に伝えることができる。尚、メイン層の後端部を前端部に比して薄肉としても、例えばリアグリップ部の後端部に尻栓を挿入する等により、潰れ破損も防止でき、強度を容易に確保できる。逆に、メイン層の前端部を相対的に厚肉とすることで、前側の竿体との接続等のために強度が必要となるリアグリップ竿体の前端部の強度も容易に確保できる。
特に、リアグリップ竿体は、リアグリップ竿体の前端部から所定長さ領域を構成すると共にリアグリップ竿体の半分以上の長さを占める小径部と、該小径部の後側に位置するリアグリップ部とを備え、リアグリップ部は、小径部よりも急勾配で後側に向けて内径が拡径していく拡径部と、該拡径部の後端部からリアグリップ竿体の後端部までの領域を構成する大径部とを備え、メイン層の肉厚は、小径部よりも大径部の方が薄いことが好ましい。大径部を相対的に薄肉とすることで、大径部から手に高感度に振動を伝達できる。また、リアグリップ竿体の半分以上の長さを占める小径部を相対的に厚肉とすることで、リアグリップ竿体の強度を容易に確保できる。
また、メイン層は、リアグリップ竿体の全長に亘って延びていると共にリアグリップ竿体の後端部における全周のうち所定角度領域を構成している複数の分割帯状片を備えており、リアグリップ竿体の後端部において複数の分割帯状片の側縁部同士が内外重なり合ってリアグリップ竿体の後端部におけるメイン層の一周分が構成されており、リアグリップ竿体の後端部においてメイン層の一周分を構成している複数の分割帯状片は、リアグリップ竿体の前端部においてメイン層の二周分を構成していることが好ましい。メイン層を周方向に複数に分割し、それぞれの分割領域を分割帯状片で構成することで、大径化されたリアグリップ部が一体的に形成された構成であっても、歪みや皺等の少ない正確な形状のリアグリップ部となり、良好な美感となるうえに、強度も容易に確保できる。そして、リアグリップ竿体の後端部においてメイン層の一周分を構成している複数の分割帯状片がリアグリップ竿体の前端部においてメイン層の二周分を構成しているので、メイン層の後端部が相対的に薄肉となり前端部が相対的に厚肉となる。尚、分割帯状片はプリプレグをマンドレルに巻回して加熱焼成したものであり、複数の分割帯状片は複数枚のプリプレグによりそれぞれ形成される。一枚のプリプレグによって全周のうちの所定角度領域のみが巻回されるので、リアグリップ竿体の後端部においては一巻き分(1プライ)となり、リアグリップ竿体の前端部においては二巻き分(2プライ)となる。
分割数は二以上であればよく、リアグリップ竿体の後端部において、二つの分割帯状片がメイン層の一周分を構成したり、三つの分割帯状片がメイン層の一周分を構成したりしてもよく、また、五つ以上の分割帯状片がメイン層の一周分を構成してもよいが、特に、リアグリップ竿体の後端部において四つの分割帯状片がワンセットとなってメイン層の一周分を構成していることが好ましい。リアグリップ竿体の後端部において四つの分割帯状片によってメイン層の一周分が構成されると、分割帯状片の幅が広すぎるということがなく、リアグリップ部において皺が発生しにくくなる。また、分割帯状片の数が多すぎるということもなく、しかも、90度毎の配置となるため、製造が容易であって、正確且つ良好な美感のリアグリップ竿体となり、強度も容易に確保できる。
また更に、四つの分割帯状片は、互いに対向した第一の一対の分割帯状片と、該第一の一対の分割帯状片に対して直交する方向に対向した第二の一対の分割帯状片とからなり、リアグリップ竿体の前端部において、第一の一対の分割帯状片によりメイン層の内側の一周分が構成され、且つ、第二の一対の分割帯状片により、メイン層の外側の一周分が構成されていることが好ましく、製造が容易であって、形状も高精度なものとなる。
また、本発明に係る釣竿は、後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備えた釣竿であって、リアグリップ竿体は、リアグリップ部よりも前側の位置に内径一定のストレート部を備えており、リアグリップ部の後端部の肉厚は、ストレート部の後端部の肉厚よりも薄いことを特徴とする。
該構成の釣竿を使用して釣りを行う際、魚のアタリ等の振動は、釣り糸から竿本体(ブランク)に伝わり、竿本体の元部を構成しているリアグリップ竿体に伝わることになる。リアグリップ竿体の後部にはリアグリップ部が一体的に形成されているので、例えば、右手で釣竿を把持する場合には、右手の前腕や肘、特に前腕のうちの肘に近い比較的太い部分にリアグリップ部を当接させることができる。そのため、手の平のみならず、リアグリップ部から前腕にも振動が伝わることになる。また、そのような使用状態においてリアグリップ竿体のストレート部は前腕から離間した状態となる。即ち、リアグリップ部のみを局所的に前腕に当てることができ、操作感に優れている。尚、釣竿を把持している手とは反対側の手でリアグリップ部を把持する使用状態とすることもできる。そして、リアグリップ部は別体構成ではなく一体構成であるため振動伝達特性に優れており、振動がダイレクトに手に伝わり、高感度にアタリ等の振動をキャッチすることができる。従って、前アタリのような小さなアタリであっても確実にとらえることができる。しかも、リアグリップ部の後端部の肉厚がストレート部の後端部の肉厚に比して薄くなっているので、リアグリップ部が竿尻部に位置していて穂先から最も遠い位置にあっても、振動の減衰を抑制しつつリアグリップ部まで振動を伝達させることができ、リアグリップ部の後端部の肉厚がストレート部の後端部の肉厚と同じである構成に比して、更に高感度に振動をリアグリップ部から手に伝えることができる。尚、リアグリップ部の後端部を相対的に薄肉としても、例えばリアグリップ部の後端部に尻栓を挿入する等することで、潰れ破損も防止でき、強度を容易に確保できる。逆に、ストレート部の後端部を相対的に厚肉とすることで、リアグリップ竿体の主要部分の強度低下も防止できる。
また、本発明に係る釣竿は、後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備え、該リアグリップ竿体には、リアグリップ部から所定距離前側に離間した位置にリールシートが装着されている釣竿であって、リアグリップ部の後端部の肉厚は、リールシートが装着されたリアグリップ竿体の部分の肉厚よりも薄いことを特徴とする。
該構成の釣竿を使用する際には、釣竿のリールシートにリールを装着して釣りを行うことになる。魚のアタリ等の振動は、釣り糸からリールに伝わると共に竿本体(ブランク)にも伝わり、リアグリップ竿体に伝わることになる。そして、リアグリップ部の後端部の肉厚が、リールシートが装着されたリアグリップ竿体の部分(シート被装着部)の肉厚に比して薄くなっているので、リアグリップ部が竿尻部に位置していて穂先から最も遠い位置にあっても、振動の減衰を抑制しつつリアグリップ部まで振動を伝達させることができ、リアグリップ部の後端部の肉厚がシート被装着部の肉厚と同じである構成に比して、更に高感度に振動をリアグリップ部から手に伝えることができる。尚、リアグリップ部の後端部を相対的に薄肉としても、例えばリアグリップ部の後端部に尻栓を挿入する等することで、潰れ破損も防止でき、強度を容易に確保できる。逆に、シート被装着部を相対的に厚肉とすることで、特に強度が必要となるシート被装着部の強度も十分に確保できる。
以上のように、リアグリップ部を相対的に薄肉とすることで更なる高感度と軽量化が達成できる。
本発明の一実施形態における釣竿の要部を示す正面図。 同釣竿の要部の縦断面図。 同釣竿の要部の拡大縦断面図。 同釣竿の要部の拡大縦断面図。 同釣竿のリアグリップ竿体を示し、(a)は正面図、(b)は縦断面図。 同リアグリップ竿体の後部拡大図であって、(a)は正面図、(b)は縦断面図。 同リアグリップ竿体の横断面図であって、(a)は後端部の横断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体の要部縦断面図。 同リアグリップ竿体のメイン層を示す横断面図であって、(a)は後端部の横断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体のメイン層の内側の一周分を示す横断面図であって、(a)は後端部の横断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体の製造方法を示す正面図。 同リアグリップ竿体の製造に用いられるプリプレグであって、(a)は要部拡大斜視図、(b)は構成図。 同リアグリップ竿体の製造方法を示す模式図。 同リアグリップ竿体の製造工程を示す横断面図であって、(a)は横後端部の断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体の製造工程を示す横断面図であって、(a)は横後端部の断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体の製造工程を示す横断面図であって、(a)は横後端部の断面図、(b)は前端部の横断面図。 同リアグリップ竿体の製造工程を示す横断面図であって、(a)は横後端部の断面図、(b)は前端部の横断面図。 同釣竿の使用状態を示す要部正面図。 同釣竿の使用状態を示す要部平面図。 本発明の他の実施形態における釣竿の要部を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態に係る釣竿について図1〜図19を参酌しつつ説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態における釣竿は、リールを取り付けるためのリールシート1を備えたものである。該リールシート1は、パイプシートとも称される筒状のものであって、釣竿の竿本体2(ブランク)に外装されて所定位置に移動不能に固定される。即ち、竿本体2がリールシート1を挿通していて、リールシート1は、竿本体2の外周面の所定位置に接着等により固定されている。
リールは、リールシートに取り付けるためのリール脚3を備えている。該リール脚3は、図示しないリール本体から一本脚状に延びる脚主部4と、該脚主部4の先端部である足首部4aから前後両側に延びる取付脚部5とを備えて、全体としてT字状に形成されている。従って、リール脚3は、前後一対の脚先部5a,5bを有している。
リールシート1は、竿本体2に移動不能に外装され、リール脚3の一方の脚先部5aを固定するための固定フード部12が形成された筒状のリールシート本体7と、該リールシート本体7に外装され、リール脚3の他方の脚先部5bを固定するための筒状の可動フード8と、該可動フード8を軸線方向に移動させると共に所望の位置に固定するための固定ナット9とを備えている。
尚、本実施形態におけるリールシート1は、スピニングリールを固定するためのものである。通常の使用状態においてスピニングリールは下側を向く。そのため、図1等では、使用状態に即して、リール脚3の裏面を支持するためのリール脚支持面11が下側を向くように図示している。尚、リールシート1においてスピニングリールが装着される側をリール装着側とし、リール装着側とは径方向反対側(180度反対側)を反リール装着側とする。また、竿先側を前側と、竿尻側を後側とし、反リール装着側から見たとき、竿本体2の軸線方向(中心軸の方向)と直交する方向を左右方向とする。
リールシート本体7は、一部材から構成される。リールシート本体7の材質は、合成樹脂や金属等であってよいが、特には硬質の合成樹脂から射出成形により形成された樹脂成形品であることが好ましい。その合成樹脂は種々のものであってよいが、繊維強化樹脂が好ましく、特に、長さが1mm以下の短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂が好ましい。また、その繊維としてはカーボン繊維が好ましい。
リールシート本体7には竿本体2が挿通する竿挿通孔が形成され、リール装着側にはリール脚3の裏面を支持するためのリール脚支持面11が形成されている。リール脚3の裏面とは、リール脚3の取付脚部5の裏面である。また、リールシート本体7の軸線方向の一端部側にはリール脚3の一方の脚先部5aを固定するための固定フード部12が形成されている。リールシート本体7の軸線方向の他端部側の外周面には雄ネジ部13が形成されている。固定フード部12はリール装着側に形成されていて、軸線方向の他端部側に開口する開口部を有している。該固定フード部12にリール脚3の一方の脚先部5aが挿入される。リールシート本体7の雄ネジ部13に固定ナット9が螺着され、該固定ナット9の軸線方向の一端部側に可動フード8が位置する。リールシート本体7には、雄ネジ部13を部分的に切り欠くようにして軸線方向に直線状に延びる図示しないガイド溝が形成されており、可動フード8は、リールシート本体7のガイド溝に案内されながら軸線方向にスライド移動する。可動フード8は固定ナット9に相対回転可能に係止されているので、固定ナット9を回転させると、可動フード8は回転することなく固定ナット9と共に前後に移動する。
本実施形態では、リールシート本体7の固定フード部12は後側に位置していて前側に向けて開口しており、可動フード8は前側に位置していて後側に向けて開口している。従って、固定フード部12にはリール脚3の後側の脚先部5aが挿入され、可動フード8にはリール脚3の前側の脚先部5bが挿入される。可動フード8を後側に移動させる、即ち、固定フード部12に接近させることでリール脚3を前後に狭持しつつリールシート本体7にリールを固定することができる。また、可動フード8を前側に移動させる、即ち、固定フード部12から離反させることでリール脚3の固定状態が解除されて、リールを釣竿から取り外すことができる。但し、図20のように竿本体2に対するリールシート1の前後の装着の向きが逆であってもよい。
リールシート本体7のリール装着側には反リール装着側に向けて凹んだ凹部15が形成されている。該凹部15は、リール装着側に開口すると共に、左右両側面(両サイド)にも開口しており、従って、凹部15はリール装着側、反リール装着側及び左右両側面の四方のうち三方に開口した形状となっている。このようにリールシート本体7のリール装着側に凹部15が形成されることにより、竿挿通孔は前後に分断され、リール脚支持面11も前後に分断されている。
可動フード8は筒状であって、固定ナット9とは反対側の端部には、リール脚3の他方の脚先部5bが挿入されるフード部8aが形成されている。該フード部8aは、可動フード8の端部における全周のうちの一部が径方向外側に局部的に膨出したものであって、フード部8aとリールシート本体7との間にリール脚3の他方の脚先部5bが挿入される。可動フード8のフード部8aは、リールシート本体7の固定フード部12と前後に対向しており、固定フード部12と共にリール脚3の取付脚部5を前後に狭持してリール脚3を固定する。
竿本体2は、メイン竿体20と、該メイン竿体20の後側に所定長さの重ね合わせ部を形成するようにして接合一体化されたリアグリップ竿体21とを備えている。即ち、リアグリップ竿体21の前部とメイン竿体20の後部とが接合一体化されて構成されている。リアグリップ竿体21は、後端部側の所定長さ領域が局所的に拡径されてリアグリップ部41が一体的に形成されたものである。リアグリップ部41はリールシート1から所定距離後側に離れて位置している。リアグリップ部41は、釣竿を持っている手の肘や前腕を当てたり、両手でキャストする場合にはリールシート1を持つ手とは反対側の手で把持したりして使用される。
釣竿の種類は任意であって、並継ぎ竿や振出竿等であってよい。例えば、ワンピースロッドの場合にはメイン竿体20は穂先まで連続した一本構造である。ツーピースロッドの場合には、釣竿は穂先側の一番竿と元側の二番竿とから構成され、元側の二番竿にリールシート1を備えることになる。ツーピースロッドの場合、メイン竿体20は穂先側の竿体と元側の竿体の二本構造となり、穂先側の竿体と元側の竿体は着脱自在に構成される。そして、穂先側の竿体が一番竿となり、元側の竿体の後部がリアグリップ竿体21の前部に接合一体化されて互いに不離一体の構成とされて二番竿を構成する。即ち、二番竿は、元側の竿体とリアグリップ竿体21からなる。
このように竿本体2はメイン竿体20とリアグリップ竿体21とを備えていて、リアグリップ竿体21の前部がメイン竿体20の後部と不離一体に接合一体化されて構成されている。そして、リアグリップ竿体21にリールシート1が装着されており、より具体的には、リアグリップ竿体21の前部にリールシート1が装着されている。また、本実施形態では、リアグリップ竿体21の前部の内側に筒状のスペーサ22を介在させ、そのスペーサ22の内側にメイン竿体20の後部を挿入している。即ち、リアグリップ竿体21とメイン竿体20との間にはスペーサ22が介装されていて、スペーサ22を介してリアグリップ竿体21の前部の内側にメイン竿体20の後部が挿入されて接着固定されている。但し、スペーサ22を介さずに直接リアグリップ竿体21とメイン竿体20とが接合一体化されていてもよい。
リールシート本体7はリアグリップ竿体21に直接接着されてもよいが、本実施形態では筒状のスペーサ23を介して接着固定されている。即ち、竿本体2の外周面にスペーサ23が接着固定され、該スペーサ23の外周面にリールシート本体7が接着固定されている。このようにスペーサ23を介してリールシート本体7を竿本体2に接着固定する構成とすることにより、肉厚の異なるスペーサ23を種々準備しておけば、リールシート本体7を共用化でき、種々の直径のリアグリップ竿体21に同一のリールシート本体7を装着できる。スペーサ23の材質は任意であるが、本実施形態のように外部に露出しない構成の場合には合成樹脂が好ましく、軽量化できると共に製造も容易で低コストで済む。尚、リールシート本体7はリアグリップ竿体21の前端面から所定距離後方に位置ずれしており、従って、リアグリップ竿体21の前端部はリールシート本体7から前側に所定長さ突出している。
また、竿挿通孔の凹部15側の開口部にはフランジ付きの口筒体24がリアグリップ竿体21との間に装着されている。口筒体24は金属製とすることが好ましく、内部のスペーサ23の端面の露出を防止できて意匠性を向上させることができる。
一方、リールシート本体7の後端部の開口部にはスペーサ23よりも厚肉とされた口筒体25がリアグリップ竿体21との間に装着されている。口筒体25も金属製とされることが好ましく、意匠性に優れる。口筒体25を設けることで、内部のスペーサ23の後端面の露出を防止できる。口筒体25はその前部がリールシート本体7の内側に位置し、その後部はリールシート本体7から露出している。そして、口筒体25よりも後側にはEVAやコルク等からなる別途のグリップ体は設けられておらず、口筒体25よりも後側の領域はリアグリップ竿体21が露出している。即ち、リールシート本体7の後側には口筒体25がその後部を露出する態様で設けられ、更に口筒体25の後側にはリアグリップ竿体21が露出する構成とされている。リールシート本体7の後部外周面から口筒体25の外周面、リアグリップ竿体21の外周面へと、段階的且つスムーズに縮径していく構成となっているので、リールシート本体7の後側に別途のグリップ体を設けなくても違和感なく把持することができてグリップ性に優れている。
リールシート本体7の前側にも口筒体26が装着されている。該口筒体26は、リールシート本体7の前端面とスペーサ23の前端面の露出を防止すべくそれらを前側から覆い隠しており、メイン竿体20の外周面に接着固定される。この前側の口筒体26も金属製とされることが好ましく、意匠性に優れる。
図4のように、竿本体2の竿尻部、即ち、リアグリップ竿体21の竿尻部には尻栓27が装着されている。尻栓27の構成も種々であってよいが、本実施形態では、支持部材28と緩衝部材29とを備えている。支持部材28は硬質の合成樹脂製や金属製であって、特には金属製が好ましい。緩衝部材29はゴム製が好ましい。支持部材28は、リアグリップ竿体21の後端部の内側に挿入される挿入筒部28aを備えている。挿入筒部28aは、リアグリップ竿体21の後端部を内側から支持してリアグリップ竿体21の後端部の潰れ破損を防止する。該挿入筒部28aは、具体的には、後述するリアグリップ竿体21のリアグリップ部41における大径部45の内側に挿入され、大径部45の内周面の後側半分以上の長さ、特には大部分の長さ領域に当接して大径部45を内側から支持する。尚、挿入筒部28aはリアグリップ竿体21に接着により固定される。また、支持部材28の後端部側はリアグリップ竿体21の後端部から後方に突出している。この支持部材28の後方突出部の外周面には環状突条28bが形成されており、該環状突条28bの前側の側面がリアグリップ竿体21の後端面に当接する。支持部材28の後方突出部における環状突条28bよりも後側の部分に緩衝部材29が外側から装着される。支持部材28の後方突出部は全体として筒状であって緩衝部材29も筒状とされており、緩衝部材29は、環状突条28bを除く支持部材28の後方突出部の外周面の全体を外側から覆う。尚、支持部材28の内側には円形のプレート支持面28cが設けられており、該プレート支持面28cの後面に意匠プレート30が装着されている。尚、プレート支持面28cの中央部には小径の貫通孔28dが形成されており、意匠プレート30が貫通孔28dを後側から覆い隠している。
メイン竿体20は、プリプレグをマンドレル70に巻回して加熱焼成することで中空状に形成されたものであって、プリプレグの強化繊維としてはカーボン繊維やガラス繊維等が使用できる。但し、メイン竿体20は中実状であってもよい。リアグリップ竿体21は、メインプリプレグ60をマンドレル70に巻回して加熱焼成することにより中空状に形成されたものである。この点については後述する。
リアグリップ竿体21の単体を図5及び図6に示している。リアグリップ竿体21は、前後二つの領域からなり、リアグリップ竿体21の前部を構成する小径部40と、リアグリップ竿体21の後部を構成するリアグリップ部41とを備えている。小径部40は、リアグリップ竿体21の前端部から所定長さ領域を構成しており、その長さはリアグリップ竿体21の全長のうち半分以上の長さを占めている。従って、小径部40はリアグリップ竿体21の主要部分をなす。また、小径部40はリアグリップ部41よりも長い。小径部40は、内径一定のストレート部となっているが、勾配があってもよい。
また、小径部40の外径も略一定であるが若干異なる部分があって、従って、小径部40は外径の違いによって前後二つの領域に区分けできる。即ち、小径部40は、前側に位置する補強部42と、後側に位置する非補強部43とに区分けできる。補強部42は、後述するように口巻き補強プリプレグ64が巻回された領域であって、口巻き補強プリプレグ64による口巻き補強層52を備えた領域である。非補強部43はこのような口巻き補強プリプレグ64が巻回されていない領域であって、口巻き補強層52を備えていない領域である。従って、補強部42の肉厚は、非補強部43の肉厚に比して厚い。但し、補強部42の肉厚と非補強部43の肉厚の差は僅かであって、片側肉厚で0.3mm以下であり、補強部42の外径と非補強部43の外径の差では、0.6mm以下である。尚、補強部42の後端部には、徐々に外径が小さくなって、従って、厚さが薄くなっていて、非補強部43の外周面へとつながる逆テーパ面部42aが形成されている。
小径部40の補強部42にリールシート1が装着される。リールシート1は補強部42の全長のうち前側の大部分の領域に装着されることになる。リールシート1が装着される部分をシート被装着部42bと称することにする。このシート被装着部42bは、補強部42の前端部から後側に向けて形成されていて、補強部42の大部分を占めている。シート被装着部42bの外周面は径一定であって、補強部42の他の部分に比して一段小径とされている。従って、シート被装着部42bの後端部には段差部42cが形成されており、該段差部42cに後側の口筒体25の後端面が当接する。段差部42cによってリールシート1の前後方向の装着位置が位置決めされる。シート被装着部42bは、口巻き補強層52の外周部分を切削除去して形成されているが、口巻き補強層52の厚さの全体は除去されずにその内周部分が残るようにして切削されている。従って、シート被装着部42bにおける肉厚は、補強部42の他の部分の肉厚に比して一段薄い。但し、その差は僅かであって、片側肉厚で0.1mm〜0.2mmである。
<リアグリップ部41>
リアグリップ部41は、別体構成ではなくリアグリップ竿体21に一体的に形成された一体構成のものである。リアグリップ部41は小径部40よりも大径である。リアグリップ部41は、小径部40よりも急な勾配で後側に向けて内径が拡径していく拡径部44と、該拡径部44の後端部からリアグリップ竿体21の後端部までの領域を構成する大径部45とから構成されている。拡径部44は、外径も内径と共に後側に向けて拡径していく。尚、本実施形態において小径部40は内径一定のストレート部であり、小径部40の勾配は0である。
拡径部44は、前後二つの領域に区画される。即ち、拡径部44は、前側の面部44aと後側の面部44bとに区画される。前側の面部44aは後側の面部44bに比して勾配が急である。具体的には、前側の面部44aは、外側凹の凹状湾曲面部であって、その勾配(拡径率)は、一定ではなく、後側ほど大きく急なものとなっている。尚、前側の面部44aの長さは、拡径部44の全長のうち半分以上である。また、拡径部44における前端部と後端部の内径差の半分以上が前側の面部44aにより形成されている。後側の面部44bは、前側の面部44aとは逆に、外側凸の凸状湾曲面部であって、その勾配は、一定ではなく、後側ほど小さく緩くなっている。但し、後側の面部44bの湾曲の程度は小さい。
そして、前側の面部44aと後側の面部44bとの境界部分には、環状角部44cが形成されている。該環状角部44cは、全周に亘って形成されており、その断面形状は山型となっている。即ち、前側の面部44aと後側の面部44bの境界部分に環状角部44cが形成されることにより、前側の面部44aと後側の面部44bは環状角部44cにおいて前後に折れ曲がった状態となっている。このように拡径部44の中途部に環状角部44cが形成されることにより、拡径部44は前側の面部44aと後側の面部44bに区画される。尚、拡径部44における肉厚は、後側ほど徐々に薄くなっていく。
大径部45は、小径部40と同様に、内径一定のストレート部であり、外径も一定である。小径部40は前側のストレート部であって大径部45は後側のストレート部である。大径部45の内径は、小径部40の内径の1.2倍以上、好ましくは、1.5倍以上3倍以下である。大径部45の長さは、拡径部44の長さよりも短く、また、拡径部44の後側の面部44bよりも短い。大径部45の肉厚は薄くて、大径部45はリアグリップ竿体21において最も薄い部分となっている。具体的には、大径部45の肉厚は、小径部40の肉厚よりも薄く、特には小径部40の後端部の肉厚よりも薄く、また、拡径部44の肉厚よりも薄いが拡径部44の後端部の肉厚と同じである。上述のように、小径部40においては非補強部43の方が補強部42よりも肉厚が薄くなっているが、その非補強部43の肉厚よりも大径部45の肉厚は薄い。また、大径部45の肉厚は、シート被装着部42bの肉厚よりも薄い。好ましくは、大径部45の肉厚は、小径部40の非補強部43の肉厚の40%〜60%である。
次に、リアグリップ竿体21の層構造について説明する。図7(a)にリアグリップ竿体21の後端部における横断面図を示しており、図7(b)にリアグリップ竿体21の前端部における横断面図を示している。リアグリップ竿体21は、内側から順に、メイン層50と、サブ層51と、口巻き補強層52とを備えている。
メイン層50は、リアグリップ竿体21の全長に亘って連続的に形成された層である。即ち、メイン層50は、リアグリップ竿体21の周方向に所定間隔毎に(所定角度毎に)不連続部を有しているが、リアグリップ竿体21の軸線方向には不連続部が存在せずに連続している層である。不連続部は後述する重ね合わせ部54である。より詳細には、メイン層50は、強化繊維を有する繊維強化樹脂層であって、メインプリプレグ60から形成されたものであるが、少なくとも、リアグリップ竿体21の全長に亘って連続的に延びる強化繊維を備えている。即ち、メイン層50は、リアグリップ竿体21の全長に亘る長さを有して軸線方向に沿った補強繊維を少なくとも有している層である。
メイン層50は、リアグリップ竿体21の肉厚全体の大部分(半分以上)を占める主となる層であって、本実施形態においてはリアグリップ竿体21の最内層を構成している。メイン層50の肉厚は、リアグリップ竿体21の前端部よりもリアグリップ竿体21の後端部の方が薄くなっている。尚、メイン層50の肉厚は、全周の平均値としてよい。リアグリップ竿体21の前端部におけるメイン層50の肉厚とリアグリップ竿体21の後端部におけるメイン層50の肉厚の比は2:1であり、リアグリップ竿体21の前端部におけるメイン層50の肉厚は、リアグリップ竿体21の後端部におけるメイン層50の肉厚の二倍となっている。また、メイン層50の肉厚は、小径部40よりも大径部45の方が薄くなっている。メイン層50の肉厚は、小径部40においては一定であり、拡径部44においては後側に向けて徐々に薄肉となり、大径部45において最も薄く且つ一定となっている。そして、小径部40におけるメイン層50の肉厚は、大径部45におけるメイン層50の肉厚の二倍となっている。
図9、図10のように、メイン層50は、リアグリップ竿体21の全長に亘って延びている複数の分割帯状片53から構成されている。尚、図9には、メイン層50の全体を示しており、図10には、メイン層50のうち内側の一周分のみを示している。分割帯状片53は、リアグリップ竿体21の後端部における全周のうち所定角度領域のみを構成する。即ち、分割帯状片53は、細幅の帯状であって、リアグリップ竿体21の全長に対応した軸線方向の長さを有し、リアグリップ竿体21の後端部における全周を複数に分割した角度領域に相当する周方向の長さ(幅)を有している。複数の分割帯状片53は全て同一形状とされることが好ましい。尚、後述するように分割帯状片53は、軸線方向に長い帯状のメインプリプレグ60から形成される。従って、分割帯状片53は強化繊維を備えた繊維強化樹脂製であって、強化繊維としてはカーボン繊維やガラス繊維等であり、特にはカーボン繊維が好ましい。また、個々の分割帯状片53は、図示省略するが、外層と内層からなる二層構造であって、外層における強化繊維は分割帯状片53の長手方向に沿っており、内層における強化繊維は短手方向に沿っていることが好ましい。外層は相対的に厚く、内層は相対的に薄くしてよい。外層の強化繊維はカーボン繊維が好ましく、内層の強化繊維もカーボン繊維が好ましいがガラス繊維としてもよい。外層の強化繊維と内層の強化繊維を何れもカーボン繊維とする場合、外層の強化繊維よりも内層の強化繊維の方が弾性率の大きいものとすることが好ましく、例えば外層には低弾性のものを使用し、内層には中弾性のものを使用する。
本実施形態では、メイン層50は、一定幅で軸線方向に長い長方形状の分割帯状片53から構成されている。メイン層50は、四つの分割帯状片53を一組、ワンセットとし、それをツーセット、即ち、二組備えて構成されており、合計で八つの分割帯状片53a,53b,53c,53d,53e,53f,53g,53hによりメイン層50が構成されている。尚、四つの分割帯状片53a,53b,53c,53dがワンセット目、四つの分割帯状片53e,53f,53g,53hがツーセット目である。尚、符号については特に区別を要しない場合には最後の小文字を付すことなく総称して分割帯状片53とする。他の符号についても同様である。
周方向に隣り合う分割帯状片53同士は、互いの側縁部同士が内外重なり合わせられていて、図9(a)、図10(a)のように、リアグリップ竿体21の後端部において、四つの分割帯状片53がメイン層50の一周分を構成している。従って、一つの分割帯状片53の周方向の長さは、リアグリップ竿体21の後端部における90度分の角度領域(中心角)に重ね合わせ代を足したものとなっている。具体的には、リアグリップ竿体21の後端部において、一つの分割帯状片53による中心角は90度を越えるものであって、例えば110度である。このようにリアグリップ竿体21の後端部においては四つの分割帯状片53によってメイン層50の一周分が構成されており、合計八つの分割帯状片53によってメイン層50の二周分が構成されている。即ち、リアグリップ竿体21の後端部においては、二周構造(二層構造)のメイン層50が形成されている。
また、ワンセット分の四つの分割帯状片53は、互いに180度対向して配置されている第一の一対の分割帯状片53と、該第一の一対の分割帯状片53に対して直交する方向に対向した第二の一対の分割帯状片53とからなる。例えば、ワンセット目の四つの分割帯状片53a,53b,53c,53dは、第一の一対の分割帯状片53a,53bと、第二の一対の分割帯状片53c,53dとからなる。第二の一対の分割帯状片53は第一の一対の分割帯状片53とは周方向に90度位置ずれしていてその外側に設けられており、従って、第二の一対の分割帯状片53の両側縁部は第一の一対の分割帯状片53の両側縁部の外側にそれぞれ重ね合わせられている。
一方、図9(b)、図10(b)のように、リアグリップ竿体21の前端部においては四つの分割帯状片53によってメイン層50の二周分が構成されており、合計八つの分割帯状片53a,53b,53c,53d,53e,53f,53g,53hによってメイン層50の四周分が構成されている。リアグリップ竿体21の前端部においては、第一の一対の分割帯状片53a,53bによってメイン層50の内側の一周分(一周目)が構成され、第二の一対の分割帯状片53c,53dによってメイン層50の外側の一周分(二周目)が構成されている。ツーセット目である三周目と四周目についても同様であって、第一の一対の分割帯状片53e,53fによってメイン層50の三周目である内側の一周分が構成され、第二の一対の分割帯状片53g,53hによってメイン層50の四周目である外側の一周分が構成されている。
ワンセット目とツーセット目は同様であるので、ワンセット目を代表的に説明する、リアグリップ竿体21の前端部において、図10(b)のように第一の一対の分割帯状片53a,53bの両側縁部(周方向両端部)同士が内外重ね合わせられている。第一の一対の分割帯状片53のうちの一方の両側縁部はそれぞれ他方の両側縁部の外側に重ね合わせられている。そして、第一の一対の分割帯状片53a,53bの外側に第二の一対の分割帯状片53c,53dが90度位置ずれするようにして配置されており、第一の一対の分割帯状片53a,53bと同様に、第二の一対の分割帯状片53c,53dの両側縁部同士も内外重ね合わせられている。ツーセット目も同様である。このようにリアグリップ竿体21の前端部においては対向する二つの分割帯状片53によってメイン層50の一周分が構成されており、合計八つの分割帯状片53によってメイン層50の四周分が構成されて、四周構造(四層構造)のメイン層50が形成されている。
周方向に隣り合う分割帯状片53の側縁部同士が内外重なり合うことで重ね合わせ部54が形成される。該重ね合わせ部54は、一周につき分割数に対応した数だけ存在していて、リアグリップ竿体21の後端部においては一周につき四箇所形成され、リアグリップ竿体21の前端部においては一周につき二箇所形成されている。また、重ね合わせ部54は周方向に間隔をおいて形成されており、90度毎に形成されている。但し、リアグリップ竿体21の後端部においては一周につき90度毎に合計四箇所ずつ形成されており、リアグリップ竿体21の前端部においては一周につき180度毎に二箇所ずつ形成されている。また、ワンセット目における重ね合わせ部54とツーセット目における重ね合わせ部54は互いに同じ箇所に形成されているが、異なっていてもよい。また、リアグリップ竿体21の前端部における重ね合わせ部54とリアグリップ竿体21の前端部における重ね合わせ部54は、互いに45度ずれている。更に、重ね合わせ部54は、小径部40と大径部45においては、軸線方向に沿って直線状に延びており、拡径部44においては、徐々にその位置を周方向にずらしながら軸線方向に対して斜め方向に延びている。
このようなメイン層50の外側にサブ層51が形成されている。サブ層51は、リアグリップ竿体21の全長に亘って形成されていて、その肉厚は一定である。サブ層51は、図8のように、螺旋状に巻回された長尺帯状片55により構成された螺旋状の層である。該サブ層51は、後述するように所定幅のテープ状のプリプレグ(図示省略)を一定のピッチで螺旋状に巻回することによって形成されたものである。このピッチはテープ状のプリプレグの幅の半分とされており、従って、テープ状のプリプレグの幅の半分が隣のテープ状のプリプレグの外側に重なり合うようにしながら螺旋状に巻回される。従って、サブ層51を構成する長尺帯状片55は、その幅の半分が隣に巻回された長尺帯状片54の外側に重なり合いながら螺旋状に巻回されている。また、テープ状のプリプレグはその長手方向に沿ってカーボン繊維等の強化繊維が途切れることなく連続したものであり、従って、サブ層51は、周方向に沿った強化繊維を備えている。
サブ層51の外側に口巻き補強層52が設けられている。口巻き補強層52は、リアグリップ竿体21の前部のみに設けられており、後部には設けられていない。従って、小径部40の後部やリアグリップ部41には口巻き補強層52が存在せず、口巻き補強層52が形成されている部分が小径部40の補強部42であり、小径部40のうち口巻き補強層52が形成されていない部分が非補強部43である。口巻き補強層52は、後述するように口巻き補強プリプレグ64を巻回することにより形成されている。口巻き補強層52は、周方向に沿った強化繊維を有していることが好ましく、強化繊維としてはガラス繊維が好ましい。
次に、リアグリップ竿体21の製造方法について説明する。リアグリップ竿体21は、メインプリプレグ60をマンドレル70に巻回して加熱焼成することにより形成される。詳細には、図11のように、マンドレル70は、リアグリップ竿体21の形状に合わせた形状とされる。そのため、マンドレル70は、前側から順に、小径部40を形成するための第一の領域71と、拡径部44を形成するための第二の領域72と、大径部45を形成するための第三の領域73とを有する形状となっている。また、拡径部44を形成するための第二の領域72には、環状角部44cを形成するための角部形成部74が形成されている。
メイン層50を形成するためのメインプリプレグ60は、一定幅で軸線方向に長い長方形状のものであって、四枚ワンセットで構成され、それがツーセットで合計八枚のメインプリプレグ60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60hからメイン層50を形成する。尚、図11及び図13ではワンセット目の四枚のメインプリプレグ60a,60b,60c,60dのみを図示している。また、メインプリプレグ60は、加熱焼成後に端部をカットして所定長さのリアグリップ竿体21を形成することができるように、リアグリップ竿体21の全長に対して所定の余裕分を有した長さとなっている。メインプリプレグ60の幅は、マンドレル70の第三の領域73の周長の略1/4に相当する幅である。但し、マンドレル70に巻回する際にメインプリプレグ60の幅方向の端部同士(側縁部同士)を内外重ね合わせるようにするため、周長の1/4に相当する幅に対して重ね合わせ部54の幅に相当する分を足した幅寸法となっている。
メイン層50を形成するための八枚のメインプリプレグ60は全て同じ構成であって、具体的には、図12(a)に示すように、二枚のプリプレグが積層された二層構造のものである。図12(b)のように、メインプリプレグ60は、長手方向(リアグリップ竿体21の軸線方向)に沿って強化繊維が引き揃えられたプリプレグである縦シート61と、短手方向に沿って強化繊維が引き揃えられたプリプレグである横シート62とを貼り合わせて一体化した積層シートからなる。その積層シートからなるメインプリプレグ60を縦シート61が外側となり横シート62が内側となるようにしてマンドレル70に巻回する。尚、縦シート61と横シート62は、それぞれ所定形状にカットしたものを貼り合わせてもよいが、先に大きい面積の縦シート61と横シート62を積層しておき、それを所定形状にカットしたものを使用することが好ましい。縦シート61の強化繊維はカーボン繊維が好ましく、横シート62の強化繊維もカーボン繊維が好ましい。横シート62の強化繊維は、縦シート61の強化繊維よりも弾性率の大きいものとすることが好ましく、例えば縦シート61には低弾性のものを使用し、横シート62には中弾性のものを使用する。縦シート61は相対的に厚く、横シート62は相対的に薄くしてよい。
図13に模式図を示しているようにメインプリプレグ60a,60b,60c,60dは四枚をワンセットとしてマンドレル70に貼り付けていく。順に説明すると、四枚ワンセットのメインプリプレグ60a,60b,60c,60dをマンドレル70に一枚ずつ貼り付けていく。まず、図14のようにマンドレル70の中心に一枚目のメインプリプレグ60aの幅方向の中心を合わせるようにして、例えば、マンドレル70の上側からメインプリプレグ60aを載置するようにして貼り付ける。一枚目のメインプリプレグ60aをマンドレル70に巻き付けると、マンドレル70の第三の領域73においては、図14(a)のようにマンドレル70の全周のうちの略1/4に一枚目のメインプリプレグ60aが巻回され、その中心角θ1は例えば90度に重ね合わせ部54に相当する長さ分を足した角度の110度とされる。尚、図14ではマンドレル70の断面形状を示すハッチングについてはそれを省略しており、図15等についても同様である。マンドレル70の第一の領域71においては、図14(b)のようにマンドレル70の全周のうちの略1/2に一枚目のメインプリプレグ60aが巻回され、その中心角θ2は例えば180度に重ね合わせ部54に相当する長さ分を足した角度の220度とされる。
続いて二枚目のメインプリプレグ60bをマンドレル70に貼り付けるが、その際には、一枚目のメインプリプレグ60aに対して180度対向する反対側の位置に貼り付ける。従って、一枚目のメインプリプレグ60aを巻き付けた状態のマンドレル70を180度回転させて、一枚目のメインプリプレグ60aが下側に位置するようにして二枚目のメインプリプレグ60bを上側からマンドレル70に載置するように貼り付ける。二枚目のメインプリプレグ60bをマンドレル70に巻き付けると、マンドレル70の第三の領域73においては、図15(a)のように一枚目のメインプリプレグ60aに対して180度対向した位置に二枚目のメインプリプレグ60bが位置し、一枚目のメインプリプレグ60aの両側縁部と二枚目のメインプリプレグ60bの両側縁部は互いに離間していて重ね合わせられていない。一方、マンドレル70の第一の領域71においては、図15(b)のように一枚目のメインプリプレグ60aの両側縁部と二枚目のメインプリプレグ60bの両側縁部がそれぞれ重ね合わせられた状態となり、左右に対向して一対の重ね合わせ部54が形成される。二枚目のメインプリプレグ60bの両側縁部はそれぞれ一枚目のメインプリプレグ60aの両側縁部の外側に位置する。このように二枚目のメインプリプレグ60bが巻回されることで、マンドレル70の第一の領域71においては、二枚のメインプリプレグ60a,60bによってマンドレル70の全周が覆われて一周分の巻回状態となる。尚、マンドレル70の第二の領域72においては二枚のメインプリプレグ60a,60bの離間距離が徐々に小さくなっていって途中から重なり合うようになる。
続いて、マンドレル70を90度回転させて三枚目のメインプリプレグ60cを貼り付け、更に、マンドレル70を180度回転させて四枚目のメインプリプレグ60dを三枚目のメインプリプレグ60cと対向するように貼り付ける。マンドレル70の第三の領域73においては、図16(a)のように三枚目のメインプリプレグ60cの両側縁部はそれぞれ一枚目のメインプリプレグ60aの一方の側縁部と二枚目のメインプリプレグ60bの一方の側縁部の外側に重ね合わせられ、四枚目のメインプリプレグ60dの両側縁部はそれぞれ一枚目のメインプリプレグ60aの他方の側縁部と二枚目のメインプリプレグ60bの他方の側縁部の外側に重ね合わせられる。マンドレル70の第三の領域73においては、周方向に90度間隔をあけて合計四箇所の重ね合わせ部54が形成され、四枚のメインプリプレグ60a,60b,60c,60dによってマンドレル70の全周が覆われて一周分の巻回状態となる。一方、マンドレル70の第一の領域71においては、三枚目のメインプリプレグ60cと四枚目のメインプリプレグ60dによって更に一周分の巻回状態となり、先に巻回されている一枚目と二枚目のメインプリプレグ60a,60bによる一周分と合わせると、合計二周分の巻回状態となる。また、重ね合わせ部54は一周分につき180度対向して二箇所形成され、二周分の合計では90度間隔毎に四箇所形成されることになる。
このように四枚ワンセットのメインプリプレグ60a,60b,60c,60dをマンドレル70に巻回することで、マンドレル70の第三の領域73では一周分の巻回状態となり、マンドレル70の第一の領域71では二周分の巻回状態となる。これを更にワンセット分繰り返す。ツーセット目の四枚のメインプリプレグ60e,60f,60g,60hを更に巻回させると、図17(a)のようにマンドレル70の第三の領域73では二周分の巻回状態となり、図17(b)のようにマンドレル70の第一の領域71では四周分の巻回状態となる。
このようなメイン層50の形成工程に続いてサブ層51の形成工程を行う。サブ層51は、テープ状のプリプレグを螺旋状に巻回することにより形成する。サブ層51は、メイン層50の全長に亘って形成する。例えば、穂先側から竿尻側へとテープ状のプリプレグを螺旋状に巻回していくが、その向きは逆でもよい。テープ状のプリプレグは長尺状であってカーボン繊維やガラス繊維等の強化繊維もその長手方向に沿って連続したものである。テープ状のプリプレグの幅とピッチは種々であってよいが、好ましくは、ピッチは幅の1/2とされる。従って、隣り合うテープ状のプリプレグの側部同士がテープ幅の半分ずつ内外重なり合うことになる。このようにテープ状のプリプレグを全長に亘って巻回することでメイン層50の外側に、一定肉厚のサブ層51が形成される。
その後、図11に示すようにサブ層51の外側であって前部のみに台形状の口巻き補強プリプレグ64を巻回して口巻き補強層52を形成する。口巻き補強プリプレグ64は、強化繊維としてガラス繊維を使用すると共に周方向に引き揃えられているものが好ましい。しかる後、図示しない成形テープを巻回して加熱焼成した後、成形テープを除去し、マンドレル70を脱芯し、端部を必要に応じてカット除去してリアグリップ竿体21を形成する。尚、口巻き補強層52の前側領域を例えばセンタレス研磨して一段薄くしてシート被装着部42bを形成する。また、表面には所望の模様やコーティングが施される。以上のようにしてリアグリップ竿体21が形成され、メイン竿体20と接合一体化されて竿本体2が形成されると共にリールシート1が装着されて釣竿が完成する。
かかる釣竿を使用する際には、リールシート1にリールを装着して釣りを行うことになる。魚のアタリ等の振動は、釣り糸からリールに伝わり、リールから釣竿を把持している手へと伝わる。また、魚のアタリ等の振動は、釣り糸から竿本体2(ブランク)にも伝わり、リアグリップ竿体21へと伝わることになり、釣竿を把持している手へと伝わる。図18に使用状態の一例を示している。釣竿を把持している手の前腕や肘にリアグリップ部41を当接させるようにして釣竿を把持して釣りを行うことができ、例えば、リールを巻きながら魚のアタリをとることができる。その際、釣竿を把持する手の平にリールや竿本体2から振動が伝わると同時に、リアグリップ部41から前腕にも振動が伝わることになり、手の平と前腕の二箇所で同時にアタリを感じ取ることができる。リアグリップ部41はコルク等の別体構成ではなくリアグリップ竿体21による一体構成であるため振動をダイレクトに感じ取ることができ、振動の減衰が小さい状態で高感度に振動をキャッチすることができる。
リアグリップ部41の特には大径部45の肉厚がリアグリップ竿体21の小径部40の肉厚よりも薄くなっているので、前側からリアグリップ部41へと伝わってくる振動が減衰しにくい。しかも、前腕が当接している箇所であるリアグリップ部41の肉厚が薄いので、その振動が前腕へと高感度で伝達されることになる。
また、メイン層50の肉厚自体を変化させることでリアグリップ竿体21の小径部40を厚肉とし大径部45を薄肉としている構成である。そのメイン層50はリアグリップ竿体21の前端部から後端部まで連続的に形成されており、その強化繊維、具体的には縦シート61の強化繊維も、リアグリップ竿体21の前端部から後端部まで連続して延びていて、メイン層50の肉厚は薄くなるものの強化繊維自体は後端部まで連続的に存在しているので、振動が特に軸線方向の強化繊維を介して後端部まで確実に伝達されて、リアグリップ部41から前腕へと伝わるのである。また、サブ層51もリアグリップ竿体21の全長に亘って形成されているので、そのサブ層51を介して振動が後端部まで伝わることにもなる。
一方、小径部40の肉厚が厚く、また、その小径部40におけるメイン層50が厚く形成されているので、リアグリップ竿体21全体の強度も十分に確保できる。特に、小径部40にはリールシート1が装着されるため大きな強度が求められるが、厚肉となっているので、十分に強度が確保される。特に、メイン層50の肉厚を厚くすることでシート被装着部42bを厚くしているので、別途の層によってシート被装着部42bを部分的に厚肉とした構成に比して強度の前後方向の連続性も確保され、リアグリップ竿体21全体の強度を容易に確保できる。
また、メイン層50が複数の分割帯状片53から構成されているので、一体構成のリアグリップ部41を有する構成であっても、歪みや皺等が発生しにくく、正確な形状のリアグリップ竿体21を容易に得ることができて所望の強度を確保できる。また、皺等が発生しにくいので良好な美感も得られる。尚、メイン層50の外側にサブ層51が全長に亘って形成されているので、メイン層50に重ね合わせ部54が形成されていてもサブ層51によって覆われて目立ちにくくなる。更に、リアグリップ部41の前端部と後端部で分割帯状片53の数が異なるのではなく同数とされていて後端部においては巻き数が少なく前端部においては巻き数が多くなって厚み変化を持たせる構成となっているので、軸線方向の連続性を確保しつつ前端部を厚肉とし後端部を薄肉とすることができる。更に、四つの分割帯状片53をワンセットとして後端部において90度ずつずらせた配置態様としているので製造が容易であり、皺等の発生も防止できる。そして、四つの分割帯状片53をワンセットとした合計八つの分割帯状片53からメイン層50が形成されているので、作りやすさを維持しつつ、必要な厚み、強度も確保できる。また更に、第一の一対の分割帯状片53によりメイン層50の内側の一周分が構成され、第二の一対の分割帯状片53によりメイン層50の外側の一周分が構成されていて、第一の一対の分割帯状片53と第二の一対の分割帯状片53とから四つの分割帯状片53が構成されているので、リアグリップ竿体21のメイン層50の形成工程が容易であって、リアグリップ竿体21の形状も高精度なものとなる。
一方、上述したように、例えば右手で釣竿を把持している場合にはその右手の前腕をリアグリップ部41に当接させることができる。リアグリップ部41の拡径部44には環状角部44cが形成されていてエッジが立ったような形状となっているが、前腕にリアグリップ部41を当接させた際には、リアグリップ部41の主として拡径部44の後側の面部44b(凸状湾曲面部)と大径部45が当たることになる。従って、リアグリップ部41に環状角部44cが形成されていても、前腕への当たりは柔らかく、違和感なくリアグリップ部41に前腕に当てることができ、リアグリップ部41の拡径部44の後側の面部44bや大径部45から振動をダイレクトに感じ取ることができる。
一方、図19のように釣竿を把持する手とは反対側の手でリアグリップ部41を把持することもできる。リアグリップ部41は、EVAやコルクからなる別体構成のものではなく、リアグリップ竿体21に一体的に形成された一体構成のものであるが、リアグリップ部41に環状角部44cが形成されているので、リアグリップ部41を把持しても滑りにくい。即ち、環状角部44cは断面視山型であって、その環状角部44cにおいて前側の面部44aと後側の面部44bとが折れ曲がったような形状になっているので、環状角部44cの前側に位置する前側の面部44aに例えば親指と人差し指を引っ掛けるようにして把持することができる。そして、釣竿を振るような動作をした場合であっても、環状角部44cが形成されているので、リアグリップ部41を把持する手が滑りにくく、確実にリアグリップ部41を把持することができる。
特に、キャストの際には有効である。例えば釣竿を右手で把持し、左手でリアグリップ部41を把持してダブルハンドキャストすることができる。その際、左側の手の親指と人差し指をリアグリップ部41の前側の面部44aに引っ掛けるようにしてリアグリップ部41を把持することができる。そのため軽い力でリアグリップ部41を把持することができ、軽い力で把持していても環状角部44cが形成されているので左手がリアグリップ部41から抜けることがなく、従って、楽にキャストできて飛距離を伸ばすことができる。特に、拡径部44における前端部と後端部の内径差の半分以上が前側の面部44aにより形成されているので、指の引っ掛かり特性に優れていて、より一層の滑り止め効果を発揮する。
しかも、リアグリップ部41が別体構成ではなく一体構成であるので、キャスト時のダイレクト感に優れていて、キャスト時に例えば釣竿を後方に振りかぶった際に釣り糸や穂先等が障害物や地面等に触れたりしたような場合であっても、その際の振動がリアグリップ部41から手に違和感となってダイレクトに伝わり、その状態を瞬時にキャッチしてキャストを中断することができる。また、キャスト直後のフォール中のアタリや、錘が底に付いた時の振動も、右手のみならず左手からも感じ取ることができる。そのような場合にも、リアグリップ部41が一体構成であるので、左手からダイレクトに振動を高感度に感じ取ることができる。
また、前側の面部44aが凹状湾曲面部であるので、前側の面部44aが一定の傾斜角度(勾配)で傾斜した断面視直線状の傾斜面部である場合に比して、指の引っ掛かりが良く、より一層滑りにくい。一方、後側の面部44bは凸状湾曲面部であるので、前腕にリアグリップ部41を当てた際の感触に優れており、前腕にリアグリップ部41がフィットしやすく、長時間の釣りにも適している。
尚、メイン竿体20は中空状でなくてもよく、全体を中実状としたり、あるいは竿先など部分的に中実状としてもよい。分割帯状片53は軸線方向に幅一定の長方形状としたが、前後で幅寸法が異なる台形状としてもよく、例えば、前端部よりも後端部の方が幅広となる台形状としてもよく、逆に、前端部よりも後端部の方が幅狭となる台形状としてもよい。また、四枚のメインプリプレグ60のうち180度対向した二枚を先に貼り付けてその後にそれとは直交する残り二枚のメインプリプレグ60を貼り付けるようにしたが、マンドレル70を90度ずつ一定方向に回転させながら周方向に順次一枚ずつメインプリプレグ60を貼り付けていくようにしてもよい。
また、リールシート1の向きを前後逆向きとしてもよい。即ち、上記実施形態では固定ナット9が前側に位置する使用態様であったが、図20のように固定ナット9が後側に位置する使用態様であってもよい。このようにリールシート1は固定ナット9が前側に位置する装着態様でも後側に位置する装着態様でも何れであってもよい。固定ナット9が前側に位置する形態では、釣竿を上下に振りながら魚の当たりを取るような釣りに適しており、リールシート1を上から把持すると釣竿を上下に振りやすい。その際、リアグリップ部41を前腕に当てることで釣竿と前腕とを一体化させて楽に釣りを行うことができる。このような形態は例えばルアーのアジ釣りに適している。一方、固定ナット9が後側に位置する形態では、例えばリールを巻きながら行う釣り、即ち、リトリーブ中心の釣りに適しており、リールシート1を上からではなく横から把持するとリールを巻きやすい。リアグリップ部41を前腕に当てることで釣竿と前腕とを一体化させて楽にリールを巻くことができる。このような形態は例えばルアーのメバル釣りに適している。尚、スピニングリールではなく両軸リールを装着するリールシート1であってもよい。
尚、拡径部44における前側の面部44aは凹状湾曲面部でなく後側に向かって直線状に傾斜した傾斜平面部であってもよい。同様に、拡径部44における後側の面部44bも凸状湾曲面部ではなく傾斜平面部であってもよい。尚、前側の面部44aは後側の面部44bよりも、後側に向けて拡径する勾配が急であることが好ましい。
1 リールシート
2 竿本体
3 リール脚
4 脚主部
4a 足首部
5 取付脚部
5a 一方の脚先部
5b 他方の脚先部
7 リールシート本体
8 可動フード
8a フード部
9 固定ナット
11 リール脚支持面
12 固定フード部
13 雄ネジ部
15 凹部
20 メイン竿体
21 リアグリップ竿体
22 スペーサ
23 スペーサ
24 フランジ付き口筒体
25 後側の口筒体
26 前側の口筒体
27 尻栓
28 支持部材
28a 挿入筒部
28b 環状突条
28c プレート支持面
28d 貫通孔
29 緩衝部材
30 意匠プレート
40 小径部
41 リアグリップ部
42 補強部
42a 逆テーパ面部
42b シート被装着部
42c 段差部
43 非補強部
44 拡径部
44a 前側の面部
44b 後側の面部
44c 環状角部
45 大径部
50 メイン層
51 サブ層
52 口巻き補強層
53 分割帯状片
54 重ね合わせ部
55 長尺帯状片
60 メインプリプレグ
61 縦シート
62 横シート
63 テープ状のプリプレグ
64 口巻き補強プリプレグ
70 マンドレル
71 第一の領域
72 第二の領域
73 第三の領域
74 角部形成部

Claims (7)

  1. 後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備えた釣竿であって、
    リアグリップ竿体の全長に亘って連続形成されているメイン層の肉厚は、前端部よりも後端部の方が薄いことを特徴とする釣竿。
  2. リアグリップ竿体は、リアグリップ竿体の前端部から所定長さ領域を構成すると共にリアグリップ竿体の半分以上の長さを占める小径部と、該小径部の後側に位置するリアグリップ部とを備え、リアグリップ部は、小径部よりも急な勾配で後側に向けて内径が拡径していく拡径部と、該拡径部の後端部からリアグリップ竿体の後端部までの領域を構成する大径部とを備え、メイン層の肉厚は、小径部よりも大径部の方が薄い請求項1記載の釣竿。
  3. メイン層は、リアグリップ竿体の全長に亘って延びていると共にリアグリップ竿体の後端部における全周のうち所定角度領域を構成している複数の分割帯状片を備えており、
    リアグリップ竿体の後端部において複数の分割帯状片の側縁部同士が内外重なり合ってリアグリップ竿体の後端部におけるメイン層の一周分が構成されており、
    リアグリップ竿体の後端部においてメイン層の一周分を構成している複数の分割帯状片は、リアグリップ竿体の前端部においてメイン層の二周分を構成している請求項1又は2記載の釣竿。
  4. リアグリップ竿体の後端部において四つの分割帯状片がメイン層の一周分を構成している請求項3記載の釣竿。
  5. 四つの分割帯状片は、互いに対向した第一の一対の分割帯状片と、該第一の一対の分割帯状片に対して直交する方向に対向した第二の一対の分割帯状片とからなり、
    リアグリップ竿体の前端部において、第一の一対の分割帯状片によりメイン層の内側の一周分が構成され、且つ、第二の一対の分割帯状片により、メイン層の外側の一周分が構成されている請求項4記載の釣竿。
  6. 後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備えた釣竿であって、
    リアグリップ竿体は、リアグリップ部よりも前側の位置に内径一定のストレート部を備えており、
    リアグリップ部の後端部の肉厚は、ストレート部の後端部の肉厚よりも薄いことを特徴とする釣竿。
  7. 後端部側の所定長さ領域が大径化されてリアグリップ部が一体的に形成された中空のリアグリップ竿体を備え、該リアグリップ竿体には、リアグリップ部から所定距離前側に離間した位置にリールシートが装着されている釣竿であって、
    リアグリップ部の後端部の肉厚は、リールシートが装着されたリアグリップ竿体の部分の肉厚よりも薄いことを特徴とする釣竿。
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