JP2018003725A - 内燃機関の過給システム - Google Patents

内燃機関の過給システム Download PDF

Info

Publication number
JP2018003725A
JP2018003725A JP2016132765A JP2016132765A JP2018003725A JP 2018003725 A JP2018003725 A JP 2018003725A JP 2016132765 A JP2016132765 A JP 2016132765A JP 2016132765 A JP2016132765 A JP 2016132765A JP 2018003725 A JP2018003725 A JP 2018003725A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
supercharging
compressor
rotation
target
ref
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016132765A
Other languages
English (en)
Inventor
雅士 加藤
Masashi Kato
雅士 加藤
佳孝 皆川
Yoshitaka Minagawa
佳孝 皆川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2016132765A priority Critical patent/JP2018003725A/ja
Publication of JP2018003725A publication Critical patent/JP2018003725A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Supercharger (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

【課題】目的は、エンジン及びSCモータの出力を用いてコンプレッサを回転できるスーパチャージャを備えたものであって、圧力比の応答性や安定性を向上できる過給システムを提供すること。【解決手段】過給システムは、コンプレッサに接続されたサンギヤとエンジンの出力軸に接続されたキャリアとSCモータの出力軸に接続されたリングギヤとを備え、これらの回転数が共線関係を有するように構成されたスーパチャージャと、予回転実行条件が満たされている場合にはコンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_refになるようにSCモータを制御し、予回転の実行後、過給実行条件が満たされている場合には圧力比PRが目標圧力比PR_refになるようにSCモータを制御するSCモータ制御手段と、予回転実行条件が満たされている場合には圧力比PRが目標圧力比PR_refになるようにスロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関の過給システムに関する。より詳しくは、内燃機関及び電動発電機の出力を用いてコンプレッサの回転数を制御できるスーパチャージャを備えた内燃機関の過給システムに関する。
特許文献1には、遊星歯車機構を備えたスーパチャージャに関する発明が示されている。特許文献1の発明では、コンプレッサの回転数と、電動発電機の回転数と、内燃機関の回転数との間で共線関係が成立するようにコンプレッサと内燃機関及び電動発電機の出力軸とを遊星歯車機構やベルト等を介して接続する。これにより、内燃機関の出力を利用してコンプレッサを回転駆動しつつ、内燃機関の回転数によらず電動発電機によってコンプレッサの回転数を変更することができる。
ところで、内燃機関の運転領域は、コンプレッサによる過給が要求されない自然吸気領域とコンプレッサによる過給が要求される過給領域とに分けられる。ここで、車両の加速時のように、内燃機関の運転状態が自然吸気領域から過給領域に移行した場合について検討する。過給領域内において過給圧を運転者の要求に応じた大きさにするためには、コンプレッサの回転数をある程度まで上昇させる必要がある。このため、運転状態が過給領域に移行した時からコンプレッサを回転し始めると、過給圧を運転者の要求に応じた大きさまで上昇させるまでに時間がかかってしまう。そこでこのような過給遅れを解消するため、自然吸気領域と過給領域との境界付近には、コンプレッサを予回転させる予回転領域が規定される。このような予回転領域を規定しておくことにより、過給領域に移行する前からコンプレッサの回転を開始することができるので、運転者の要求に応じて速やかに過給圧を上昇させることができる(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−360487号公報 特開2006−207438号公報
ここで特許文献1のスーパチャージャを適用した過給システムに、特許文献2に示すような予回転領域を規定すると、予回転領域における過給圧制御に関し以下のような課題が生じる。すなわち、予回転領域は、自然吸気領域と過給領域との境界付近に規定されることから、予回転領域ではコンプレッサよりさらに下流に設けられたスロットル弁を用いて過給圧を制御する場合が多い。一方、特許文献1のスーパチャージャを適用した過給システムによれば、過給圧は、内燃機関の回転数とは独立して電動発電機によって制御することが可能であることから、過給領域だけでなく予回転領域においても電動発電機を用いて過給圧を制御することが可能である。しかしながら予回転領域においてこのようにスロットル弁を用いた過給圧制御と電動発電機を用いた過給圧制御との両方を実行すると、両者が干渉してしまい、予回転領域では速やかにコンプレッサの回転数を上昇させることができず、結果として過給圧を速やかに上昇させることができなくなったり過給圧が不安定になったりするおそれがある。
本発明は、内燃機関及び電動発電機の出力を用いてコンプレッサを回転できるスーパチャージャを備えたものであって、過給圧の応答性や安定性を向上できる内燃機関の過給システムを提供することを目的とする。
(1)内燃機関の過給システム(例えば、後述の過給システムS)は、内燃機関(例えば、エンジン1)の吸気通路(例えば、後述の吸気管2)に設けられたコンプレッサ(例えば、後述のコンプレッサ4)に接続された第1回転要素(例えば、後述のサンギヤ51)と、前記内燃機関の出力軸(例えば、後述の出力軸1a)に接続された第2回転要素(例えば、後述のキャリア53)と、電動発電機(例えば、後述のSCモータ69の出力軸(例えば、後述の出力軸6a)に接続された第3回転要素(例えば、後述のリングギヤ54)と、を備え、前記第1、第2、及び第3回転要素の各々の回転数が共線関係を有するように構成されたスーパチャージャ(例えば、後述のスーパチャージャ3)と、前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側に設けられたスロットル弁(例えば、後述のスロットル弁23)と、前記コンプレッサの予回転を実行するための所定の予回転実行条件が満たされている場合には当該コンプレッサの回転数(NSC)が所定の目標回転数(NSC_ref)になるように前記電動発電機を制御し、前記コンプレッサの予回転が実行された後、前記コンプレッサによる過給を実行するための所定の過給実行条件が満たされている場合には前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側の過給圧(PR)が所定の目標過給圧(PR_ref)になるように前記電動発電機を制御する電動発電機制御手段(例えば、後述のECU8)と、前記予回転実行条件が満たされている場合には前記過給圧が前記目標過給圧になるように前記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段(例えば、後述のECU8)と、を備える。
(2)この場合、前記スロットル弁制御手段は、前記予回転実行条件が満たされかつ前記コンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が所定の閾値より小さい場合には、前記スロットル弁を全開にし、前記電動発電機制御手段は、前記予回転実行条件が満たされかつ前記コンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が前記閾値(ΔN)より小さい場合には、前記過給圧が前記目標過給圧になるように前記電動発電機を制御することが好ましい。
(1)本発明では、各々の回転数が共線関係を有する第1〜第3回転要素にコンプレッサ、内燃機関の出力軸、及び電動発電機の出力軸を接続する。このようなスーパチャージャを用いることにより、内燃機関の出力を利用してコンプレッサを回転駆動しつつ、電動発電機を用いてコンプレッサの回転数や過給圧を制御することができる。また本発明では、コンプレッサの予回転を実行するための予回転実行条件が満たされている場合には、過給圧が目標過給圧になるようにスロットル弁を制御する。またこれと併せて本発明では、予回転実行条件が満たされている場合には、コンプレッサの回転数が目標回転数になるように電動発電機を制御し、コンプレッサの予回転が実行された後、コンプレッサによる過給を実行するための過給実行条件が満たされている場合には、過給圧が目標過給圧になるように電動発電機を制御する。すなわち本発明では、コンプレッサによる過給を実行する過給運転を実行する場合と、コンプレッサの予回転を実行する場合とで、目標を持ち替えてスーパチャージャの電動発電機を制御する。より具体的には、過給運転を実行する場合には過給圧を目標とし、予回転を実行する場合にはコンプレッサの回転数を目標として電動発電機を制御する。これにより、予回転の実行時には、電動発電機を用いたコンプレッサの回転数制御とスロットル弁を用いた過給圧制御とが干渉することがないので、過給圧を運転者の要求に応じた大きさにしつつ、コンプレッサの回転数を目標回転数へ向けて速やかに上昇させることができるので、過給圧の応答性や安定性を向上できる。
(2)本発明では、予回転実行条件が満たされかつコンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が所定の閾値より小さい場合には、スロットル弁を全開にし、さらに過給圧が目標過給圧になるように電動発電機を制御する。ここでコンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が所定の閾値より小さい場合とは、例えば、運転者の要求が長時間にわたって変化しないことにより、過給実行条件が満たされないまま予回転が長時間にわたって実行され、コンプレッサの過給を開始する前にコンプレッサが十分に加速された場合が想定される。本発明では、このようにコンプレッサの予回転の目的がほぼ達成されている場合には、過給実行条件が満たされていない場合であってもスロットル弁を全開にするとともに電動発電機を用いて過給圧を制御する。これにより、過給圧の応答性や安定性をさらに向上できる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の過給システムの構成を示す図である。 スーパチャージャの作動領域を示す図である。 自然吸気領域において実現される共線関係の例を示す図である。 過給発電領域において実現される共線関係の例を示す図である。 過給アシスト領域において実現される共線関係の例を示す図である。 吸気制御処理の具体的な手順を示すフローチャートである。 ECUにおいて定義されている複数の制御モードと、各制御モード間の移行条件とを示した制御モード遷移図である。 過給時SCモータ駆動制御の手順を説明するためのブロック図である。 規範モデル演算部において目標圧力比から修正目標圧力比を算出する手順を示すフローチャートである。 基準伝達許容トルクを算出するマップの一例である。 補正係数を算出するマップの一例である。 従来の過給システムにおいて、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域へ移行する際の圧力比、目標圧力比、FF制御入力、及びコンプレッサ回転数の変化を示す図である。 本実施形態の過給システムにおいて、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域へ移行する際の圧力比、目標圧力比、及びFF制御入力の変化を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の過給システムSの構成を示す図である。過給システムSは、動力発生源であるエンジン1と、エンジン1の吸気を過給するスーパチャージャ3と、エンジン1及びスーパチャージャ3に設けられる各種装置を電子制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)8と、を備える。過給システムSは、エンジン1のクランクシャフトと連結された出力軸1aで発生した動力を変速機TMで変速し、駆動輪W,Wを回転することによって走行する車両に搭載される。
エンジン1は、例えばガソリンを燃料とする多気筒のガソリンエンジンである。エンジン1には、気筒毎に燃料噴射弁及び点火プラグが設けられている。ECU8は、後述の吸気制御を実行することによってエンジン1の吸気管2を介して各気筒に導入される吸気量を制御しつつ、燃料噴射弁による燃料噴射量及び噴射時期並びに点火プラグによる点火時期を制御する。
吸気管2は、上流側であるエアクリーナ21から下流側であるエンジン1の各気筒の吸気ポートに至る配管であり、エアクリーナ21を介して外気を導入し、これを吸気としてエンジン1の各気筒に供給する。この吸気管2には、上流側から下流側へ向かって順に、吸気を過給するスーパチャージャ3のコンプレッサ4と、過給された吸気を冷却するインタークーラ22と、吸気流量を制御するスロットル弁23と、が設けられている。また吸気管2には、コンプレッサ4の入口側である上流側と出口側である下流側とを接続し、コンプレッサ4を迂回する吸気の流路を構成する吸気バイパス管24が設けられている。そしてこの吸気バイパス管24には、吸気バイパス弁25が設けられている。
スロットル弁23は、吸気管2内において開閉自在に設けられている。吸気管2を介してエンジン1に供給される吸気の流量は、このスロットル弁23の開度を調整することによって変化させることができる。スロットル弁23は、これを開閉駆動する図示しないアクチュエータ及びその駆動回路を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じて開閉する。
吸気バイパス弁25は、吸気バイパス管24内において開閉自在に設けられている。吸気バイパス管24を介してコンプレッサ4の入口側から出口側へ向かって流れる吸気の流量又は吸気バイパス管24を介してコンプレッサ4の出口側から入口側へ還流される吸気の流量は、この吸気バイパス弁25の開度を調整することによって変化させることができる。吸気バイパス弁25は、これを開閉駆動する図示しないアクチュエータ及びその駆動回路を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じて開閉する。
次に、スーパチャージャ3の構成について説明する。スーパチャージャ3は、コンプレッサ4と、SCクラッチ41と、遊星歯車機構5と、SCモータ6と、PDU61と、バッテリ62と、エンジン動力伝達機構7と、を備える。
コンプレッサ4は、例えば容量式のものであり、吸気管2内において回転軸55を中心として回転自在に設けられている。コンプレッサ4は、エンジン1及びSCモータ6の出力によって回転軸55を中心として回転し、吸気管2を流れる吸気を圧縮する。
SCクラッチ41は、コンプレッサ4の回転軸55と固定壁との接続を断続する。SCクラッチ41は、例えば電磁クラッチであり、図示しない駆動装置を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じてON/OFFする。SCクラッチ41がONになると、回転軸55と固定壁とが接続され、回転軸55及びコンプレッサ4は回転不可能状態になる。またSCクラッチ41がOFFになると、回転軸55と固定壁とが切断され、回転軸55及びコンプレッサ4は回転可能状態になる。ECU8によって、SCクラッチ41を用いてコンプレッサ4を回転不可能状態又は回転可能状態にする具体的な手順については、後に図4を参照して説明する。
遊星歯車機構5は、例えばシングルプラネタリ式のものが用いられる。遊星歯車機構5は、第1回転要素としてのサンギヤ51と、複数(例えば、3つ)のプラネタリギヤ52と、第2回転要素としてのキャリア53と、第3回転要素としてのリングギヤ54と、を備える。これらサンギヤ51、キャリア53、及びリングギヤ54は、互いに同心に設けられており、各々の回転数は、図3を参照して説明するように共線関係を有する。
サンギヤ51は回転軸55によってコンプレッサ4と接続されている。サンギヤ51はコンプレッサ4と同心である。したがって、サンギヤ51が回転すると、これと同じ速度でコンプレッサ4も回転する。すなわち、コンプレッサ4の回転数をNSCとし、サンギヤ51の回転数をNsとすると、これらの間には等式、NSC=Ns、が成立する。
リングギヤ54は、遊星歯車機構5の外周側に回転自在に設けられており、その内周面及び外周面には、内歯車及び外歯車がそれぞれ形成されている。このリングギヤ54の外歯車は、SCモータ6の出力軸6aに取り付けられたモータギヤ6bと接続されている。すなわち、SCモータ6の回転数をNMとし、モータギヤ6bとリングギヤ54の外歯車とのギヤ比をRG1とし、リングギヤ54の回転数をNrとすると、これらの間には等式、NM=−Nr・RG1、が成立する。
複数のプラネタリギヤ52は、サンギヤ51及びリングギヤ54の内歯車に噛み合っているとともにキャリア53によって回転自在に支持されている。このキャリア53は、エンジン動力伝達機構7を介してエンジン1の出力軸1aと接続されている。
エンジン動力伝達機構7は、エンジン側プーリ71と、キャリア側プーリ72と、これらプーリ71,72の間に巻きかけられた合成ゴム製のエンジンベルト73と、を備える。エンジン側プーリ71は、エンジン1の出力軸1aと同心にして設けられている。キャリア側プーリ72は、例えばエンジン側プーリ71と同径である。キャリア側プーリ72は、回転軸56によってキャリア53と接続されている。エンジン動力伝達機構7は、これらプーリ71,72及びエンジンベルト73によって、エンジン1の出力軸1aとキャリア53との間で動力を伝達する。なお、プーリ71,72を同径とすることにより、ベルト73のスリップを考慮しなければ、キャリア53の回転数とエンジン1の回転数とは同じになる。すなわち、エンジン1の回転数をNEとし、キャリア53の回転数をNcとし、ベルト73のスリップを無視すると、これらの間には等式、NE=Nc、が成立する。
SCモータ6は、電気エネルギーを用いて出力軸6aを回転させる機械エネルギーに変換する電動機の機能と、出力軸6aに作用する機械エネルギーを用いて電気エネルギーに変換する電動機の機能とを兼ね備えた電動発電機であり、PDU61を介してバッテリ62に接続されている。PDU61は、インバータやDC−DCコンバータ等によって構成され、ECU8から送信されるトルク指令信号に応じてSCモータ6とバッテリ62との間の電力の授受を制御する。このトルク指令信号とは、SCモータで発生させるべきトルクに対する指令に相当し、後述のSCモータ駆動制御(図4のS9、S10)において、ECUによって生成される。
図2は、以上のように構成されたスーパチャージャの作動領域を示す図である。図2では、横軸はエンジンの運転状態を特定するパラメータの1つであるエンジン回転数であり、縦軸はエンジンの運転状態を特定するパラメータの1つであるエンジン要求トルクである。図2に示すように、エンジンの運転領域は、負荷が低くスーパチャージャによる過給が要求されていない自然吸気領域と、負荷が高くスーパチャージャによる過給が要求されている過給領域とに分けられる。また過給領域はさらに、相対的に負荷が低くSCモータによる発電が実行可能である過給発電領域と、相対的に負荷が高くSCモータによるアシストが要求される過給アシスト領域と、に分けられる。
図3は、各運転領域において実現される遊星歯車機構の共線関係の典型的な例を示す図である。図3Aは、自然吸気領域において実現される共線関係の例を示し、図3Bは、過給領域中の過給発電領域において実現される共線関係の例を示し、図3Cは、過給領域中の過給アシスト領域において実現される共線関係の例を示す。
図3Aに示すように、自然吸気領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていないことから、SCクラッチはONにされ、コンプレッサは回転不可能状態になり、したがってサンギヤの回転数Nsは0になる。この場合、リングギヤの回転数Nrは、キャリアの回転数Nc、すなわちエンジン回転数NEに比例する。したがって自然吸気領域では、SCモータでリングギヤの回転数Nrを減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。またこの自然吸気領域では、スロットル弁の開度を調整することにより、過給圧を制御することが可能となっている。
図3Bに示すように、過給発電領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていることから、SCクラッチはOFFにされ、コンプレッサは回転可能状態になる。コンプレッサが回転可能状態になると、エンジンの出力がコンプレッサに作用し、コンプレッサの回転数NSC、すなわちサンギヤの回転数Nsが上昇する。なお過給発電領域では、負荷がそれほど高くなく、コンプレッサの回転数NSCをさほど上昇させる必要がないことから、リングギヤの回転数Nrは正である。したがって過給発電領域では、コンプレッサを回転させて過給を実行しながら、自然吸気領域と同様にSCモータでリングギヤの回転数Nrを減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。また過給発電領域では、SCモータで適切な向き及び大きさのトルクを発生させることにより、コンプレッサの回転数NSC及び過給圧を制御することが可能となっている。
図3Cに示すように、過給アシスト領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていることから、SCクラッチはOFFにされ、コンプレッサは回転可能状態になる。過給アシスト領域は、上記過給発電領域よりも負荷が高く、目標過給圧も高く設定されるため、これを実現するためにコンプレッサ回転数NSCは過給発電領域よりも高くする必要がある。この場合、図3Cに示すように、リングギヤの回転数Nrを反転させる向きのトルクをSCモータで発生させ、リングギヤを反転させることによって実現される。またこの過給アシスト領域においても、SCモータで適切な向き及び大きさのトルクを発生させることにより、コンプレッサの回転数NSC及び過給圧を制御することが可能となっている。
図2に戻り、例えばエンジンの加速時において、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域に移行した場合を検討する。上述のように過給領域では、SCモータを用いてコンプレッサの回転数NSC、ひいては過給圧を制御することが可能である。しかしながら過給領域内において過給圧を運転者の要求に応じた大きさにするためには、コンプレッサの回転数をある程度まで上昇させる必要がある。このため、運転状態が過給領域に移行した時からコンプレッサを回転し始めると、過給遅れが生じてしまう。そこで、図2において太線で示す自然吸気領域と過給領域との境界付近には、コンプレッサを予回転させる予回転領域が規定される。このように、スーパチャージャによる過給が行われる蓋然性が高い運転領域に予回転領域を規定し、この予回転領域内ではコンプレッサの予回転を要求することにより、過給遅れを解消することができる。
図1に戻り、ECU8は、各種センサの検出信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種データを記憶するRAMやROM等の記憶装置、及び後述の図4に示す吸気制御や図6のブロック図に示す各種演算処理を実行するCPU等で構成される。
またECU8には、エンジン1やスーパチャージャ3等の状態を検出するための複数のセンサ91〜95が接続されている。
クランク角センサ91は、クランクシャフトに固定された図示しないパルサの回転に応じて、所定のクランク角毎にパルス信号をECU8へ送信する。ECU8では、このクランク角センサ91からのパルス信号に基づいてエンジン回転数NEが算出される。アクセルペダルセンサ92は、車両の運転者が操作するアクセルペダルの操作量APを検出し、これに応じた検出信号をECU8へ送信する。
コンプレッサ回転数センサ93は、コンプレッサ4に固定された図示しないパルサの回転に応じて、所定の回転角毎にパルス信号をECU8へ送信する。ECU8では、この回転数センサ93からのパルス信号に基づいてコンプレッサ回転数NSCが算出される。
過給圧センサ94は、吸気管2のうちコンプレッサ4及びスロットル弁23より下流側のインテークマニホルド内の圧力である過給圧を検出し、検出値に応じた信号をECU8へ送信する。ECU8では、この過給圧センサ94からの検出信号に基づいてエンジン1の過給圧と大気圧との比である圧力比PRが算出される。外気温センサ95は、外気温を検出し、検出値に応じた信号をECU8へ送信する。ECU8では、この外気温センサ95からの検出信号に基づいて外気温TAが算出される。
図4は、吸気制御処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この吸気制御処理は、ECUにおいて所定の制御周期で実行される。
始めにS1では、ECUは、エンジン回転数NE及びアクセルペダルの操作量APを取得し、これらを用いて図示しないマップを検索することにより、エンジンの要求トルクTRQ_Eを算出する。
次にS2では、ECUは、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQ_Eを用いて、図示しない圧力比マップを検索することにより、圧力比PRに対する目標に相当する目標圧力比PR_refを算出する。
次にS3では、ECUは、コンプレッサを回転させると仮定した場合に、この目標圧力比PR_refを実現するためのコンプレッサ回転数NSCに対する目標である目標回転数NSC_refを、目標圧力比PR_refに基づいて算出する。
次にS4では、ECUは、目標圧力比PR_ref、目標回転数NSC_ref、及びコンプレッサ回転数NSCに基づいて、現在のエンジンの運転状態に適した制御モードを決定する。
図5は、ECUにおいて定義されている複数の制御モードと、各制御モード間の移行条件とを示した制御モード遷移図である。図5に示すように、ECUには、自然吸気制御モードと、予回転制御モードと、過給移行モードと、過給制御モードと、自然吸気移行モードと、の5つの制御モードが定義されている。S4では、ECUは、エンジンを始動するイグニッションスイッチがONにされた直後の初期制御モードは自然吸気制御モードであるとして、その後の制御モードを図5の遷移図に従って決定する。
先ず、自然吸気制御モードとは、コンプレッサによる過給を行わず、自然吸気によってエンジンに吸気を供給する制御モードである。エンジンの運転状態が自然吸気領域内である場合には、原則として自然吸気制御モードが選択される。過給制御モードとは、コンプレッサによる過給を実行しながら、エンジンに吸気を供給する制御モードである。エンジンの運転状態が過給領域内である場合には、原則として過給制御モードが選択される。
予回転制御モードとは、過給制御モードへの移行に備えてコンプレッサの予回転を実行する制御モードである。自然吸気制御モードから過給制御モードへ移行する際には、必ず予回転制御モードが実行される。過給移行モードとは、コンプレッサの予回転が実質的に完了した後、過給制御モードへの移行に備えて予回転の状態を維持する制御モードである。過給移行モードは、エンジンの運転状態が自然過給領域内に留まりながら長時間にわたって予回転制御モードが実行された場合に実行される。自然吸気移行モードとは、自然吸気制御モードに移行する前に、回転中のコンプレッサを減速させる制御モードである。過給制御モードから自然吸気制御モードへ移行する際には、必ず自然吸気移行モードが実行される。
自然吸気制御モードから予回転制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給領域と自然吸気領域とを分ける過給開始閾値PR_ON(例えば、PR_ON=1.0)よりもやや小さな値に設定された予回転開始閾値PR_TR_s(例えば、PR_TR_s=0.9)以上であること(PR_ref≧PR_TR_s)、である。また予回転制御モードから自然吸気制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが、予回転開始閾値PR_TR_sよりもやや小さな値に設定された予回転終了閾値PR_TR_e(例えば、PR_TR_e=0.75)以下であること(PR_ref≦PR_TR_e)、である。
次に、予回転制御モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ON以上であり(PR_ref≧PR_ON)、すなわちエンジンの運転状態が過給領域内であり、かつ、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_refよりも小さな値に設定された予回転終了回転数NSC_TR(例えば、NSC_TR=1000)以上であること、である。なお、過給制御モードから予回転制御モードへ移行することはない。
次に、予回転制御モードから過給移行モードへの移行条件は、目標回転数NSC_refとコンプレッサ回転数NSCとの差の絶対値が十分に小さな閾値ΔN(例えば、ΔN=500)より小さいこと(|NSC_ref−NSC|<ΔN)、である。また過給移行モードから予回転制御モードへの移行条件は、目標回転数NSC_refとコンプレッサ回転数NSCとの差の絶対値が閾値ΔNより大きいこと(|NSC_ref−NSC|>ΔN)、である。
次に、過給移行モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ON以上であること(PR_ref≧PR_ON)、すなわちエンジンの運転状態が過給領域内であること、である。なお、過給制御モードから過給移行モードへ移行することはない。
次に、過給制御モードから自然吸気移行モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ONよりも小さな値に設定された過給終了閾値PR_OFF(例えば、PR_OFF=0.75)以下であること(PR_ref≦PR_OFF)、である。また、自然吸気移行モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ONと過給終了閾値PR_OFFとの間に設定された過給再開閾値PR_RST(例えば、PR_RST=0.9)以上であること(PR_ref≧PR_RST)、である。
次に、自然吸気移行モードから自然吸気制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給終了閾値PR_OFF以下であり、かつ、コンプレッサ回転数NSCが予回転終了回転数NSC_TR以下であること(NSC≦NSC_TR)、である。なお、自然吸気制御モードから自然吸気移行モードへ移行することはない。
図4に戻り、S5では、ECUは、選択されている制御モードに応じたスロットル弁の開度制御を実行する。より具体的には、現在選択されている制御モードが、自然吸気制御モード、予回転制御モード、及び自然過給移行モードのうちの何れかである場合には、ECUは、圧力比PRが目標圧力比PR_refになるように所定のフィードバック制御則に従ってスロットル弁の開度の目標を設定し、この目標が実現されるようにスロットル弁を駆動する。また現在選択されている制御モードが過給制御モード又は過給移行モードである場合には、ECUは、エンジンの運転状態によらず、スロットル弁の開度が全開になるようにスロットル弁を駆動する。
S6では、ECUは、選択されている制御モードに応じた吸気バイパス弁の開度制御を実行する。より具体的には、現在選択されている制御モードが、自然吸気制御モード、予回転制御モード、及び自然吸気移行モードのうちの何れかである場合には、ECUは、エンジンの運転状態によらず、吸気バイパス弁の開度が全開になるように吸気バイパス弁を駆動する。また現在選択されている制御モードが、過給移行モード又は過給制御モードである場合には、ECUは、エンジンの運転状態によらず、吸気バイパス弁の開度が全閉になるように吸気バイパス弁を駆動する。
S7では、ECUは、選択されている制御モードに応じたSCクラッチのON/OFF制御を実行する。より具体的には、現在選択されている制御モードが、自然吸気制御モードである場合、ECUは、SCクラッチをONにし、コンプレッサを回転不可能状態にする。また現在選択されている制御モードが、予回転制御モード、過給移行モード、過給制御モード、及び自然吸気移行モードのうちの何れかである場合、ECUは、SCクラッチをOFFにし、コンプレッサを回転可能状態にする。
S8では、ECUは、現在選択されている制御モードは自然吸気制御モードであるか否かを判定する。S8の判定がYESである場合、すなわち、上述のようにSCクラッチがONになっており、コンプレッサが回転不可能状態である場合には、ECUは、自然吸気時SCモータ駆動制御を実行し(S9参照)、この処理を終了する。図3Aを参照して説明したように、エンジンの運転状態が自然吸気領域内である場合には、SCモータでリングギヤの回転数を減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。この自然吸気時SCモータ駆動制御では、ECUは、バッテリの状態に応じて適切なトルク指令信号を生成し、PDUへ入力する。またS8の判定がNOである場合、すなわち、SCクラッチがOFFになっており、コンプレッサが回転可能状態である場合には、ECUは、過給時SCモータ駆動制御を実行し(S10参照)、この処理を終了する。
図6は、S10における過給時SCモータ駆動制御の手順を説明するためのブロック図である。
図6に示す制御系は、ECUからPDUへのトルク指令信号の入力からコンプレッサ回転数センサの出力までのダイナミクスを表した第1プラントPscと、コンプレッサ回転数センサの出力から過給圧センサの出力までのダイナミクスを表した第2プラントPpipeと、コンプレッサ回転数センサの出力であるコンプレッサ回転数NSC及びその目標回転数NSC_refとを用いてモータトルク指令信号を生成するSC回転数制御系81と、過給圧センサの出力である圧力比PR及びその目標圧力比PR_refを用いてモータトルク指令信号を生成する過給圧制御系83と、SC回転数制御系81及び過給圧制御系83の何れかの出力を選択するセレクタ85と、SC回転数制御系81又は過給圧制御系83によって生成されたモータトルク指令信号を所定の上限又は下限で制限し、これをトルク指令信号としてPDUへ入力するリミッタ87と、によって構成される。図6に示す制御系のうち、SC回転数制御系81、過給圧制御系83、セレクタ85、及びリミッタ87は、ECUにおける演算によって実現される。
セレクタ85は、現在選択されている制御モードに応じて、SC回転数制御系81の出力によって算出されるトルク指令信号又は過給圧制御系83によって算出されるモータトルク指令信号を選択し、これをリミッタ87へ入力する。セレクタ85における選択手順については、後に説明する。リミッタ87は、モータトルク指令信号が所定の上限(例えば、30Nm)を超える場合にはこの上限をトルク指令信号としてPDUへ入力し、モータトルク指令信号が所定の下限(例えば、−30Nm)を下回る場合にはこの下限をトルク指令信号としてPDUへ入力し、モータトルク指令信号が上記上限と下限の範囲内である場合にはこのモータトルク指令信号をトルク指令信号としてPDUへ入力する。
過給圧制御系83は、規範モデル演算部831と、FF演算部832と、遅延部833と、PID制御器834と、アンチワインドアップコントローラ835と、加算部836と、を備える。
規範モデル演算部831は、過給システムの現在の状態、特にエンジン動力伝達機構の状態を反映させた規範モデルを用いることによって目標圧力比PR_refを修正し修正目標圧力比PR_ref´を算出する。この規範モデル演算部831における具体的な演算手順については、後に図7を参照して説明する。
FF演算部832は、修正目標圧力比PR_ref´を、予め同定された第1プラントPsc及び第2プラントPpipeの逆モデルに入力し、この逆モデルの出力をFF制御入力とし、これを加算部836へ入力する。
遅延部833は、所定の制御周期分(例えば、第1プラントへの入力から第2プラントにおける出力までの遅れに相当する周期分)だけ修正目標圧力比PR_ref´を遅延させてPID制御器834へ入力する。PID制御器834は、遅延された修正目標圧力比PR_ref´と圧力比PRとの偏差に基づいてPID制御則に従ってこの偏差を無くすようなFB制御入力を算出し、これを加算部836へ入力する。アンチワインドアップコントローラ835は、リミッタ87の出力を用いることによって、PID制御器834の出力を補正する。
加算部836は、以上のようにして算出されたFF制御入力とFB制御入力とを合算することにより、圧力比PRが目標圧力比PR_ref又は修正目標圧力比PR_ref´になるようなモータトルク指令信号を生成し、セレクタ85へ入力する。
図7は、規範モデル演算部831において目標圧力比PR_refから修正目標圧力比PR_ref´を算出する手順を示すフローチャートである。
S21では、ECUは、外気温TAに基づいて、図8に示すようなマップを検索することによって、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsを算出する。この基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsは、エンジン動力伝達機構の2つのプーリ71,72の間で伝達可能なトルクである伝達許容トルクTRQ_trの基準値に相当する。図8の例によれば、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsは、外気温TAが低いほど、より小さな値に設定される。これは、外気温TAが低いほど、合成ゴム製のエンジンベルト73とプーリ71,72との間での摩擦抵抗が小さくなることに伴い、伝達可能なトルクが低下することを反映している。
S22では、ECUは、エンジン回転数NEに基づいて、図9に示すようなマップを検索することにより、補正係数Ktrを算出する。この補正係数Ktrは、エンジン回転数NEの変化に伴う伝達許容トルクTRQ_trの変動を補正するためのものである。図9の例によれば、エンジン回転数NEが高いほど、より小さな値に設定される。これは、エンジン回転数NEが高いほど、エンジンベルト73とプーリ71,72との間で伝達可能なトルクが減少することを反映している。
S23では、ECUは、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsに補正係数Ktrを乗算し、これを伝達許容トルクTRQ_trとする。S24では、ECUは、伝達許容トルクTRQ_trが要求トルクTRQ_Eより大きいか否か(TRQ_tr>TRQ_E)を判定する。S24の判定がYESである場合、要求トルクTRQ_Eをエンジン動力伝達機構で伝達しても、スリップは発生しないと判断し、目標圧力比PR_refをそのまま修正目標圧力比PR_ref´とする(S25参照)。
またS24の判定がNOである場合、要求トルクTRQ_Eをエンジン動力伝達機構で伝達すると、スリップが発生するおそれがあると判断し、エンジン回転数NE及び伝達許容トルクTRQ_trを用いて、図4のS2で参照した圧力比マップを検索することより、修正目標圧力比PR_ref´を算出する(S26参照)。ここで、修正目標圧力比PR_ref´は、目標圧力比PR_refを算出するために用いられた要求トルクTRQ_Eよりも小さい伝達許容トルクTRQ_trを用いて算出されることから、修正目標圧力比PR_ref´は、目標圧力比PR_refよりも小さい。
図6に戻り、SC回転数制御系81は、規範モデル演算部811と、FF演算部812と、遅延部813と、PID制御器814と、加算部815と、を備える。
規範モデル演算部811は、過給圧制御系83の規範モデル演算部831と同様の手順により、目標回転数NSC_refを修正することによって修正目標回転数NSC_ref´を算出する。
FF演算部812は、修正目標回転数NSC_ref´を、予め同定された第1プラントPscの逆モデルに入力し、この逆モデルの出力をFF制御入力とし、これを加算部815へ入力する。
遅延部813は、所定の制御周期分(例えば、第1プラントへの入力から第1プラントにおける出力までの遅れに相当する周期分)だけ修正目標回転数NSC_ref´を遅延させてPID制御器814へ入力する。PID制御器814は、遅延された修正目標回転数NSC_ref´とコンプレッサ回転数NSCとの偏差に基づいてPID制御則に従ってこの偏差を無くすようなFB制御入力を算出し、これを加算部815へ入力する。
加算部815は、以上のようにして算出されたFF制御入力とFB制御入力とを合算することにより、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_ref又は修正目標回転数NSC_ref´になるようなモータトルク指令信号を生成し、セレクタ85へ入力する。
セレクタ85は、現在選択されている制御モードが、過給移行モード又は過給制御モードである場合には、圧力比PRが目標圧力比PR_ref(又は修正目標圧力比PR_ref´)になるように過給圧制御系83によって算出されたモータトルク指令信号を選択し、これをリミッタ86へ入力する。
またセレクタ85は、現在選択されている制御モードが、予回転制御モード又は自然吸気移行モードである場合には、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_ref(又は修正目標回転数NSC_ref´)になるようにSC回転数制御系81によって算出されたモータトルク指令信号を選択し、これをリミッタ86へ入力する。上述のように予回転制御モード又は自然吸気移行モード時には、スロットル弁を用いて圧力比PRを目標圧力比PR_refに制御する過給圧制御が実行される。そこでセレクタ85は、このスロットル弁を用いた過給圧制御と干渉しないようにするため、制御モードが予回転制御モード又は自然吸気移行モードである場合には、SC回転数制御系81を用いてコンプレッサの回転数制御を実行する。
本実施形態の過給システムSによれば、以下の効果を奏する。
(1)過給システムSでは、各々の回転数が共線関係を有するサンギヤ51、キャリア53、及びリングギヤ54にそれぞれコンプレッサ4、エンジン1の出力軸1a、及びSCモータ6の出力軸6aを接続する。このようなスーパチャージャ3を用いることにより、エンジン1の出力を利用してコンプレッサ4を回転駆動しつつ、SCモータ6を用いてコンプレッサ4の回転数や圧力比を制御することができる。また過給システムSでは、コンプレッサの予回転を実行するための予回転実行条件が満たされている場合には、制御モードとして予回転制御モードを選択し、この予回転制御モードの選択時には圧力比PRが目標圧力比PR_refになるようにスロットル弁23を制御する。またこれと併せて過給システムSでは、予回転制御モードの選択時には、コンプレッサ4の回転数NSCが目標回転数NSC_refになるようにSCモータ6を制御し、コンプレッサ4の予回転が実行された後、コンプレッサによる過給を実行する過給実行条件が満たされている場合には、制御モードとして過給制御モードを選択し、この過給制御モードの選択時には、圧力比PRが目標圧力比PR_refになるようにSCモータ6を制御する。すなわち過給システムSでは、過給制御モード選択時と、予回転制御モードの選択時とで、目標を持ち替えてスーパチャージャ3のSCモータ6を制御する。より具体的には、過給制御モードの選択時には圧力比を目標とし、予回転制御モードの選択時にはコンプレッサ4の回転数を目標としてSCモータ6を制御する。これにより、予回転制御モードの選択時には、SCモータ6を用いたコンプレッサ4の回転数制御とスロットル弁23を用いた過給圧制御とが干渉することがないので、圧力比PRを運転者の要求に応じた目標圧力比PR_refにしつつ、コンプレッサ4の回転数NSCを目標回転数NSC_refへ向けて速やかに上昇させることができるので、圧力比の応答性や安定性を向上できる。
図10は、従来の過給システムにおいて、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域へ移行する際の圧力比PR(上段)、目標圧力比PR_ref(上段)、FF制御入力(下段)、及びコンプレッサ回転数NSC(下段)の変化を示す図である。ここで従来の過給システムとは、予回転制御モード時及び過給制御モード時の両方において、過給圧制御系83を用いて生成されたトルク指令信号をPDUへ入力するものをいう。この図に示すように、従来の過給システムでは、コンプレッサの予回転を行う際に、SCモータを用いた過給圧制御とスロットル弁を用いた過給圧制御とが干渉してしまい、コンプレッサの回転数が速やかに上昇せず、圧力比の応答性が悪く、また大きなオーバシュートも発生している。
図11は、本実施形態の過給システムにおいて、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域へ移行する際の圧力比PR、目標圧力比PR_ref、及びFF制御入力の変化を示す図である。図11に示す例では、コンプレッサが回転不可能な状態から、時刻t1において目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ONを超えたことに応じて、SCクラッチがOFFになり、さらに制御モードが自然吸気制御モードから予回転制御モードに移行した場合を示す。
時刻t1において制御モードが予回転制御モードに移行すると、スロットル弁を用いて圧力比PRを目標圧力比PR_refに制御する過給圧制御が実行されると同時に、PDUへのトルク指令信号は、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_refになるようにSC回転数制御系によって生成される。すなわち、予回転制御モードの選択時は、スロットル弁を用いた過給圧制御とSCモータを用いたコンプレッサの回転数制御とが並行して実行される。このため、従来の過給システムと異なり、両制御が干渉しないので、コンプレッサ回転数NSC及び圧力比PRは要求に応じて速やかに上昇する。
そして時刻t2では、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ON以上でありかつコンプレッサ回転数NSCが予回転終了回転数NSC_TR以上となったことに応じて、制御モードは予回転制御モードから過給制御モードへ移行する。過給制御モードでは、スロットル弁は全開に制御され、またSCモータを用いた過給圧制御が実行され、圧力比PRは目標圧力比PR_refへ向けて上昇する。以上のように、本実施形態の過給システムによれば、コンプレッサを予回転させる際には、SCモータによるコンプレッサ回転数制御とスロットル弁による過給圧制御とが干渉しないので、予回転制御モードから過給制御モードへの移行が速やかになり、圧力比も速やかに上昇する。また圧力比のオーバシュートも従来の過給システムと比較して小さくできる。
(2)過給システムSでは、予回転実行条件が満たされかつコンプレッサ4の回転数NSCと目標回転数NSC_refとの差の絶対値が十分に小さな閾値ΔNよりも小さい場合には、制御モードとして過給移行モードを選択する。そして過給移行モードの選択時には、スロットル弁を全開にし、さらに圧力比PRが目標圧力比PR_refになるようにSCモータ6を制御する。ここでコンプレッサ4の回転数NEと目標回転数NSC_refとの差の絶対値が閾値ΔNより小さい場合とは、例えば、運転者の要求が長時間にわたって変化しないことにより、制御モードとして予回転制御モードが長く選択され、コンプレッサ4の過給を開始する前にコンプレッサ4が十分に加速された場合が想定される。過給システムSでは、このように予回転制御モードの目的がほぼ達成されている場合には、過給実行条件が満たされていない場合であってもスロットル弁23を全開にするとともにSCモータ6を用いて圧力比を制御する。これにより、圧力比の応答性や安定性をさらに向上できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態では、遊星歯車機構5のサンギヤ51にコンプレッサ4を接続し、キャリア53にエンジン1の出力軸6aを接続し、リングギヤ54にSCモータ6の出力軸6aを接続したが、本発明はこの組み合わせに限らず、他の組み合わせとしてもよい。
S…過給システム
1…エンジン(内燃機関)
1a…出力軸
2…吸気管(吸気通路)
23…スロットル弁
3…スーパチャージャ
4…コンプレッサ
41…SCクラッチ
5…遊星歯車機構
51…サンギヤ(第1回転要素)
53…キャリア(第2回転要素)
54…リングギヤ(第3回転要素)
6…SCモータ(電動発電機)
6a…出力軸
8…ECU(電動発電機制御手段、スロットル弁制御手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサに接続された第1回転要素と、前記内燃機関の出力軸に接続された第2回転要素と、電動発電機の出力軸に接続された第3回転要素と、を備え、前記第1、第2、及び第3回転要素の各々の回転数が共線関係を有するように構成されたスーパチャージャと、
    前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側に設けられたスロットル弁と、を備える内燃機関の過給システムであって、
    前記コンプレッサの予回転を実行するための所定の予回転実行条件が満たされている場合には当該コンプレッサの回転数が所定の目標回転数になるように前記電動発電機を制御し、前記コンプレッサの予回転が実行された後、前記コンプレッサによる過給を実行するための所定の過給実行条件が満たされている場合には前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側の過給圧が所定の目標過給圧になるように前記電動発電機を制御する電動発電機制御手段と、
    前記予回転実行条件が満たされている場合には前記過給圧が前記目標過給圧になるように前記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の過給システム。
  2. 前記スロットル弁制御手段は、前記予回転実行条件が満たされかつ前記コンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が所定の閾値より小さい場合には、前記スロットル弁を全開にし、
    前記電動発電機制御手段は、前記予回転実行条件が満たされかつ前記コンプレッサの回転数と目標回転数との差の絶対値が前記閾値より小さい場合には、前記過給圧が前記目標過給圧になるように前記電動発電機を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の過給システム。
JP2016132765A 2016-07-04 2016-07-04 内燃機関の過給システム Pending JP2018003725A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016132765A JP2018003725A (ja) 2016-07-04 2016-07-04 内燃機関の過給システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016132765A JP2018003725A (ja) 2016-07-04 2016-07-04 内燃機関の過給システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018003725A true JP2018003725A (ja) 2018-01-11

Family

ID=60945957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016132765A Pending JP2018003725A (ja) 2016-07-04 2016-07-04 内燃機関の過給システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018003725A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9446757B2 (en) Active motor damping control of a hybrid electric vehicle powertrain
JP4844342B2 (ja) 車両の制御装置
JP6926656B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2013249037A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
CN110312648B (zh) 混合动力车辆的动力控制方法及动力控制装置
JP2007170664A (ja) エンジン回転数、エンジントルクおよびトルクコンバータ出力を制御するための方法およびシステム
JP6464947B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2013252803A (ja) ハイブリッド車の制御装置
WO2018155625A1 (ja) ハイブリッド車両の動力制御方法及び動力制御装置
US20150369144A1 (en) Control apparatus for vehicle
US10415460B2 (en) Control device for an internal combustion engine
US20180142613A1 (en) Control device for an internal combustion engine
JP2014194209A (ja) 過給システム制御装置及び過給システム制御方法
JP2018003724A (ja) 内燃機関の過給システム
JP4037342B2 (ja) 過給機付きの内燃機関の出力を制御する装置
JP2018003725A (ja) 内燃機関の過給システム
JP7322746B2 (ja) 車両の回転数制御装置
JP2015140035A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
US11242045B2 (en) Hybrid vehicle
JP7200873B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2018013073A (ja) 内燃機関の過給システム
JP2018003726A (ja) 内燃機関の過給システム
JP2014180977A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2015085849A (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP2011251615A (ja) 車両駆動システムの制御装置