JP2018013073A - 内燃機関の過給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】目的は、内燃機関の加速時にはその動力性能を悪化させることなくコンプレッサによる過給を開始できる内燃機関の過給システムを提供すること。【解決手段】過給システムは、コンプレッサ、エンジン、SCモータが接続されたスーパチャージャと、車両の加速時にはSCモータでコンプレッサの回転数を上昇させる電動発電機制御手段と、加速時にSCモータで発生させるモータトルクの推定値である推定モータトルクTRQ_MOTを算出し、推定モータトルクTRQ_MOTを用いることにより、電動発電機制御手段で推定モータトルクTRQ_MOTを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分dTRQ_SCを算出する負荷トルク増加分算出手段と、を備え、内燃機関トルク制御手段は、加速時には、発生トルクを要求トルクTRQ_Eから負荷トルク増加分dTRQ_SCだけ増加させる。【選択図】図11
Description
本発明は、内燃機関の過給システムに関する。より詳しくは、内燃機関及び電動発電機の出力を用いてコンプレッサの回転数を制御できるスーパチャージャを備えた内燃機関の過給システムに関する。
特許文献1には、遊星歯車機構を備えたスーパチャージャに関する発明が示されている。特許文献1の発明では、コンプレッサの回転数と、電動発電機の回転数と、内燃機関の回転数との間で共線関係が成立するようにコンプレッサと内燃機関及び電動発電機の出力軸とを遊星歯車機構やベルト等を介して接続する。これにより、内燃機関の出力を利用してコンプレッサを回転駆動しつつ、内燃機関の回転数によらず電動発電機によってコンプレッサの回転数を変更することができる。
ここで内燃機関の加速時、すなわち内燃機関の運転状態がコンプレッサによる過給を不要とする自然吸気領域からコンプレッサによる過給を必要とする過給領域へ移行時には、コンプレッサの回転数を上昇させる操作が行われる。特許文献1のようにコンプレッサと内燃機関及び電動発電機とを遊星歯車機構を介して接続されたスーパチャージャを備えた過給システムでは、加速時にコンプレッサの回転数を上昇させるには、例えば電動発電機においてコンプレッサの回転数が上昇する向きのトルクを発生させて、内燃機関とコンプレッサとの間のギア比を変更することによって実現される。
しかしながら車両の走行中に電動発電機においてコンプレッサの回転数を上昇させる向きのトルクを発生させると、これによってコンプレッサの回転数は要求通りに上昇するものの、遊星歯車機構やベルト等を介して内燃機関の出力軸に作用する負荷トルクが増加する。このためコンプレッサによる過給を開始するタイミングに合わせて、内燃機関の出力軸から駆動輪に伝達するトルクが減少してしまい、内燃機関の動力性能が悪化するおそれがある。
本発明は、内燃機関及び電動発電機の出力を用いてコンプレッサを回転できるスーパチャージャを備えたものであって、内燃機関の加速時にはその動力性能を悪化させることなくコンプレッサによる過給を開始できる内燃機関の過給システムを提供することを目的とする。
(1)内燃機関の過給システム(例えば、後述の過給システムS)は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の吸気通路(例えば、後述の吸気管2)に設けられたコンプレッサ(例えば、後述のコンプレッサ4)に接続された第1回転要素(例えば、後述のサンギヤ51)と、前記内燃機関の出力軸(例えば、後述の出力軸1a)に接続された第2回転要素(例えば、後述のキャリア53)と、電動発電機(例えば、後述のSCモータ6)の出力軸(例えば、後述の出力軸6a)に接続された第3回転要素(例えば、後述のリングギヤ54)と、を備え、前記第1、第2、及び第3回転要素の各々の回転数が共線関係を有するように構成されたスーパチャージャ(例えば、後述のスーパチャージャ3)と、所定の要求に基づいて前記内燃機関の発生トルクを制御する内燃機関トルク制御手段(例えば、後述のECU8)と、前記内燃機関の加速時には前記電動発電機で前記コンプレッサの回転数が上昇する向きのトルクを発生させることにより前記コンプレッサの回転数を上昇させる電動発電機制御手段(例えば、後述のECU8)と、前記加速時に前記電動発電機で発生させる電動発電機トルク(TRQ_MOT)を取得し、当該電動発電機トルクを用いることにより、前記内燃機関の出力軸に作用する負荷トルクのうち前記電動発電機制御手段で前記電動発電機トルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分(dTRQ_SC)を算出する負荷トルク増加分算出手段(例えば、後述のECU8)と、を備え、前記内燃機関トルク制御手段は、前記加速時には、前記発生トルクを前記要求に応じた基準トルクから前記負荷トルク増加分だけ増加させる。
(2)この場合、前記過給システムは、前記内燃機関の吸気バルブの開閉タイミングを可変設定する吸気側可変動弁機構(例えば、後述のIN側VTC15)をさらに備え、前記内燃機関トルク制御手段は、前記吸気側可変動弁機構を操作することによって前記発生トルクを増加させることが好ましい。
(3)この場合、前記過給システムは、前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側に設けられた吸気スロットル弁(例えば、後述のスロットル弁23)をさらに備え、前記内燃機関トルク制御手段は、前記負荷トルク増加分が前記吸気側可変動弁機構を操作することで増加できる分(dTRQ_VTC_max)以下である場合には、前記吸気側可変動弁機構を操作することによって前記発生トルクを増加させ、前記負荷トルク増加分が前記吸気側可変動弁機構を操作することで増加できる分より大きい場合には、前記吸気側可変動弁機構及び前記吸気スロットル弁の両方を操作することによって前記発生トルクを増加させることが好ましい。
(1)本発明では、内燃機関の加速時には、電動発電機でコンプレッサの回転数が上昇する向きのトルクを発生させることによってコンプレッサの回転数を上昇させる。またこの際本発明では、コンプレッサの回転数を上昇させるために電動発電機で発生させる電動発電機トルクを取得し、さらにこれを用いることによって内燃機関の出力軸に作用する負荷トルクのうち加速時に電動発電機で上記のような電動発電機トルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分を算出し、加速時には内燃機関の発生トルクを所定の要求に応じた基準トルクから上記負荷トルク増加分だけ増加させる。これにより内燃機関の加速時には、コンプレッサの回転数を上昇させることによって負荷トルクが増加する分をキャンセルするように内燃機関の発生トルクを増加させることができるため、駆動輪には要求に応じた大きさのトルクを伝達できる。以上より本発明によれば、内燃機関の加速時にはその動力性能を悪化させることなくコンプレッサの過給を開始できる。
(2)本発明では、内燃機関の加速時には、吸気バルブの開閉タイミングを可変設定する吸気側可変動弁機構を操作することによって、負荷トルクの増加を補うため発生トルクを増加させる。これにより内燃機関の加速時には、コンプレッサによる過給を開始するタイミングに対して遅れることなく発生トルクを増加させることができるので、加速時における動力性能の低下を極力抑制できる。
(3)吸気バルブは吸気スロットル弁よりも内燃機関の燃焼室に近い位置に設けられているため、この吸気バルブの開閉タイミングを可変設定する吸気側可変動弁機構は、内燃機関の発生トルクを制御する手段としては吸気スロットル弁よりも応答性が高い。しかしながら、吸気側可変動弁機構を操作するのみでは、負荷トルク増加分をキャンセルできるだけ発生トルクを増加させることができない場合もある。特にコンプレッサを急に加速する場合、負荷トルク増加分も大きくなると考えられる。そこで本発明では、上記のように算出された負荷トルク増加分が吸気側可変動弁機構で増加できる分より大きい場合には、吸気側可変動弁機構と吸気スロットル弁との両方を用いることによって発生トルクを増加させる。これにより、負荷トルクが大きく増加した場合であっても駆動輪に伝達するトルクの落ち込みを極力抑制できる。また本発明では、負荷トルク増加分が吸気側可変動弁機構で増加できる分以下である場合には、吸気スロットル弁よりも応答性の高い吸気側可変動弁機構を操作することによって発生トルクを増加させる。すなわち本発明では、負荷トルク増加分が左程大きくない場合には、吸気スロットル弁よりも応答性の高い吸気側可変動弁機構を優先して操作することにより、コンプレッサによる過給を開始するタイミングに対して遅れることなく発生トルクを増加させ、加速時における動力性能の低下を極力抑制できる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の過給システムSの構成を示す図である。過給システムSは、動力発生源であるエンジン1と、エンジン1の吸気を過給するスーパチャージャ3と、エンジン1及びスーパチャージャ3に設けられる各種装置を電子制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)8と、を備える。過給システムSは、エンジン1のクランクシャフトと連結された出力軸1aで発生した動力を変速機TMで変速し、駆動輪W,Wを回転することによって走行する車両に搭載される。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の過給システムSの構成を示す図である。過給システムSは、動力発生源であるエンジン1と、エンジン1の吸気を過給するスーパチャージャ3と、エンジン1及びスーパチャージャ3に設けられる各種装置を電子制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)8と、を備える。過給システムSは、エンジン1のクランクシャフトと連結された出力軸1aで発生した動力を変速機TMで変速し、駆動輪W,Wを回転することによって走行する車両に搭載される。
図2は、エンジン1の構成を示す図である。
エンジン1は、例えば、2以上の複数の気筒11を備え、ガソリンを燃料とした多気筒のガソリンエンジンである。図2には、複数の気筒11のうち1つのみを図示する。エンジン1には、クランクシャフト12とタイミングベルトを介して連結され、クランクシャフト12と連動して回転する吸気カムシャフト17及び排気カムシャフト18が設けられている。より具体的には、クランクシャフトが2回転すると、吸気及び排気カムシャフト18は1回転するようになっている。吸気カムシャフト17には、気筒11毎に設けられた吸気バルブ13を開閉駆動する吸気カムが設けられ、排気カムシャフト18には、気筒11毎に設けられた排気バルブ14を開閉駆動する排気カムが設けられている。これにより吸気及び排気カムシャフト18が回転すると、吸気バルブ13及び排気バルブ14は、これらカムシャフトに設けられたカムのプロファイルに応じた態様で進退(開閉)する。
エンジン1は、例えば、2以上の複数の気筒11を備え、ガソリンを燃料とした多気筒のガソリンエンジンである。図2には、複数の気筒11のうち1つのみを図示する。エンジン1には、クランクシャフト12とタイミングベルトを介して連結され、クランクシャフト12と連動して回転する吸気カムシャフト17及び排気カムシャフト18が設けられている。より具体的には、クランクシャフトが2回転すると、吸気及び排気カムシャフト18は1回転するようになっている。吸気カムシャフト17には、気筒11毎に設けられた吸気バルブ13を開閉駆動する吸気カムが設けられ、排気カムシャフト18には、気筒11毎に設けられた排気バルブ14を開閉駆動する排気カムが設けられている。これにより吸気及び排気カムシャフト18が回転すると、吸気バルブ13及び排気バルブ14は、これらカムシャフトに設けられたカムのプロファイルに応じた態様で進退(開閉)する。
吸気カムシャフト17の一端部には、クランクシャフト12に対する吸気カムのカム位相を変更する吸気側のカム位相可変機構(以下、「IN側VTC」という)15が設けられている。また排気カムシャフト18の一端部には、クランクシャフト12に対する排気カムのカム位相を変更するする排気側カム位相可変機構(以下、「EX側VTC」という)16が設けられている。
IN側VTC15は、ECU8からの制御信号に応じて吸気カムシャフト17のカム位相を無段階に進角又は遅角させることにより、吸気バルブ13の開弁タイミングや閉弁タイミングを可変設定する。EX側VTC16は、ECU8からの制御信号に応じて排気カムシャフト18のカム位相を無段階に進角又は遅角させることにより、排気バルブ14の開弁タイミングや閉弁タイミングを可変設定する。
またエンジン1には、気筒11毎に燃料噴射弁1b及び点火プラグ1cが設けられている。ECU8は、後述の吸気制御を実行することによってエンジン1の吸気管2を介して各気筒11に導入される吸気量を制御しつつ、燃料噴射弁1bによる燃料噴射量及び噴射時期並びに点火プラグ1cによる点火時期を制御する。
図1に戻り、吸気管2は、上流側であるエアクリーナ21から下流側であるエンジン1の各気筒の吸気ポートに至る配管であり、エアクリーナ21を介して外気を導入し、これを吸気としてエンジン1の各気筒に供給する。この吸気管2には、上流側から下流側へ向かって順に、吸気を過給するスーパチャージャ3のコンプレッサ4と、過給された吸気を冷却するインタークーラ22と、吸気流量を制御するスロットル弁23と、が設けられている。また吸気管2には、コンプレッサ4の入口側である上流側と出口側である下流側とを接続し、コンプレッサ4を迂回する吸気の流路を構成する吸気バイパス管24が設けられている。そしてこの吸気バイパス管24には、吸気バイパス弁25が設けられている。
スロットル弁23は、吸気管2内において開閉自在に設けられている。吸気管2を介してエンジン1に供給される吸気の流量は、このスロットル弁23の開度を調整することによって変化させることができる。スロットル弁23は、これを開閉駆動する図示しないアクチュエータ及びその駆動回路を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じて開閉する。
吸気バイパス弁25は、吸気バイパス管24内において開閉自在に設けられている。吸気バイパス管24を介してコンプレッサ4の入口側から出口側へ向かって流れる吸気の流量又は吸気バイパス管24を介してコンプレッサ4の出口側から入口側へ還流される吸気の流量は、この吸気バイパス弁25の開度を調整することによって変化させることができる。吸気バイパス弁25は、これを開閉駆動する図示しないアクチュエータ及びその駆動回路を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じて開閉する。
次に、スーパチャージャ3の構成について説明する。スーパチャージャ3は、コンプレッサ4と、SCクラッチ41と、遊星歯車機構5と、SCモータ6と、PDU61と、バッテリ62と、エンジン動力伝達機構7と、を備える。
コンプレッサ4は、例えば容量式のものであり、吸気管2内において回転軸55を中心として回転自在に設けられている。コンプレッサ4は、エンジン1及びSCモータ6の出力によって回転軸55を中心として回転し、吸気管2を流れる吸気を圧縮する。
SCクラッチ41は、コンプレッサ4の回転軸55と固定壁との接続を断続する。SCクラッチ41は、例えば電磁クラッチであり、図示しない駆動装置を介してECU8に接続されており、ECU8からの制御信号に応じてON/OFFする。SCクラッチ41がONになると、回転軸55と固定壁とが接続され、回転軸55及びコンプレッサ4は回転不可能状態になる。またSCクラッチ41がOFFになると、回転軸55と固定壁とが切断され、回転軸55及びコンプレッサ4は回転可能状態になる。ECU8によって、SCクラッチ41を用いてコンプレッサ4を回転不可能状態又は回転可能状態にする具体的な手順については、後に図5を参照して説明する。
遊星歯車機構5は、例えばシングルプラネタリ式のものが用いられる。遊星歯車機構5は、第1回転要素としてのサンギヤ51と、複数(例えば、3つ)のプラネタリギヤ52と、第2回転要素としてのキャリア53と、第3回転要素としてのリングギヤ54と、を備える。これらサンギヤ51、キャリア53、及びリングギヤ54は、互いに同心に設けられており、各々の回転数は、図4を参照して説明するように共線関係を有する。
サンギヤ51は回転軸55によってコンプレッサ4と接続されている。サンギヤ51はコンプレッサ4と同心である。したがって、サンギヤ51が回転すると、これと同じ速度でコンプレッサ4も回転する。すなわち、コンプレッサ4の回転数をNSCとし、サンギヤ51の回転数をNsとすると、これらの間には等式、NSC=Ns、が成立する。
リングギヤ54は、遊星歯車機構5の外周側に回転自在に設けられており、その内周面及び外周面には、内歯車及び外歯車がそれぞれ形成されている。このリングギヤ54の外歯車は、SCモータ6の出力軸6aに取り付けられたモータギヤ6bと接続されている。すなわち、SCモータ6の回転数をNMとし、モータギヤ6bとリングギヤ54の外歯車とのギヤ比をRG1とし、リングギヤ54の回転数をNrとすると、これらの間には等式、NM=−Nr・RG1、が成立する。
複数のプラネタリギヤ52は、サンギヤ51及びリングギヤ54の内歯車に噛み合っているとともにキャリア53によって回転自在に支持されている。このキャリア53は、エンジン動力伝達機構7を介してエンジン1の出力軸1aと接続されている。
エンジン動力伝達機構7は、エンジン側プーリ71と、キャリア側プーリ72と、これらプーリ71,72の間に巻きかけられた合成ゴム製のエンジンベルト73と、を備える。エンジン側プーリ71は、エンジン1の出力軸1aと同心にして設けられている。以下では、キャリア側プーリ72の径とエンジン側プーリ71の径の比をプーリ比λengとする。なお本実施形態では、プーリ71,72は同径、すなわちプーリ比λengは1であるとするが、本発明はこれに限らない。キャリア側プーリ72は、回転軸56によってキャリア53と接続されている。エンジン動力伝達機構7は、これらプーリ71,72及びエンジンベルト73によって、エンジン1の出力軸1aとキャリア53との間で動力を伝達する。なお、プーリ71,72を同径とすることにより、ベルト73のスリップを考慮しなければ、キャリア53の回転数とエンジン1の回転数とは同じになる。すなわち、エンジン1の回転数をNEとし、キャリア53の回転数をNcとし、ベルト73のスリップを無視すると、これらの間には等式、NE=Nc、が成立する。
SCモータ6は、電気エネルギーを用いて出力軸6aを回転させる機械エネルギーに変換する電動機の機能と、出力軸6aに作用する機械エネルギーを用いて電気エネルギーに変換する電動機の機能とを兼ね備えた電動発電機であり、PDU61を介してバッテリ62に接続されている。PDU61は、インバータやDC−DCコンバータ等によって構成され、ECU8から送信されるモータトルク指令信号に応じてSCモータ6とバッテリ62との間の電力の授受を制御する。このモータトルク指令信号とは、SCモータで発生させるべきトルクに対する指令に相当し、後述のSCモータ駆動制御(図5のS7、S8)において、ECUによって生成される。
図2は、以上のように構成されたスーパチャージャの作動領域を示す図である。図2では、横軸はエンジンの運転状態を特定するパラメータの1つであるエンジン回転数であり、縦軸はエンジンの運転状態を特定するパラメータの1つであるエンジン要求トルクである。図2に示すように、エンジンの運転領域は、負荷が低くスーパチャージャによる過給が要求されていない自然吸気領域と、負荷が高くスーパチャージャによる過給が要求されている過給領域とに分けられる。また過給領域はさらに、相対的に負荷が低くSCモータによる発電が実行可能である過給発電領域と、相対的に負荷が高くSCモータによるアシストが要求される過給アシスト領域と、に分けられる。
図4は、各運転領域において実現される遊星歯車機構の共線関係の典型的な例を示す図である。図4Aは、自然吸気領域において実現される共線関係の例を示し、図4Bは、過給領域中の過給発電領域において実現される共線関係の例を示し、図4Cは、過給領域中の過給アシスト領域において実現される共線関係の例を示す。
図4Aに示すように、自然吸気領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていないことから、SCクラッチはONにされ、コンプレッサは回転不可能状態になり、したがってサンギヤの回転数Nsは0になる。この場合、リングギヤの回転数Nrは、キャリアの回転数Nc、すなわちエンジン回転数NEに比例する。したがって自然吸気領域では、SCモータでリングギヤの回転数Nrを減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。またこの自然吸気領域では、スロットル弁の開度を調整することにより、過給圧を制御することが可能となっている。
図4Bに示すように、過給発電領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていることから、SCクラッチはOFFにされ、コンプレッサは回転可能状態になる。コンプレッサが回転可能状態になると、エンジンの出力がコンプレッサに作用し、コンプレッサの回転数NSC、すなわちサンギヤの回転数Nsが上昇する。なお過給発電領域では、負荷がそれほど高くなく、コンプレッサの回転数NSCをさほど上昇させる必要がないことから、リングギヤの回転数Nrは正である。したがって過給発電領域では、コンプレッサを回転させて過給を実行しながら、自然吸気領域と同様にSCモータでリングギヤの回転数Nrを減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。また過給発電領域では、SCモータで適切な向き及び大きさのトルクを発生させることにより、コンプレッサの回転数NSC及び過給圧を制御することが可能となっている。
図4Cに示すように、過給アシスト領域では、スーパチャージャによる過給が要求されていることから、SCクラッチはOFFにされ、コンプレッサは回転可能状態になる。過給アシスト領域は、上記過給発電領域よりも負荷が高く、目標過給圧も高く設定されるため、これを実現するためにコンプレッサ回転数NSCは過給発電領域よりも高くする必要がある。この場合、図4Cに示すように、リングギヤの回転数Nrを反転させる向きのトルクをSCモータで発生させ、リングギヤを反転させることによって実現される。またこの過給アシスト領域においても、SCモータで適切な向き及び大きさのトルクを発生させることにより、コンプレッサの回転数NSC及び過給圧を制御することが可能となっている。
図3に戻り、例えばエンジンの加速時において、エンジンの運転状態が自然吸気領域から過給領域に移行した場合を検討する。上述のように過給領域では、SCモータを用いてコンプレッサの回転数NSC、ひいては過給圧を制御することが可能である。しかしながら過給領域内において過給圧を運転者の要求に応じた大きさにするためには、コンプレッサの回転数をある程度まで上昇させる必要がある。このため、運転状態が過給領域に移行した時からコンプレッサを回転し始めると、過給遅れが生じてしまう。そこで、図3において太線で示す自然吸気領域と過給領域との境界付近には、コンプレッサを予回転させる予回転領域が規定される。このように、スーパチャージャによる過給が行われる蓋然性が高い運転領域に予回転領域を規定し、この予回転領域内ではコンプレッサの予回転を要求することにより、過給遅れを解消することができる。
図1に戻り、ECU8は、各種センサの検出信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種データを記憶するRAMやROM等の記憶装置、及び後述の図5に示す吸気制御や図7のブロック図に示す各種演算処理を実行するCPU等で構成される。
またECU8には、エンジン1やスーパチャージャ3等の状態を検出するための複数のセンサ91〜95が接続されている。
クランク角センサ91は、クランクシャフトに固定された図示しないパルサの回転に応じて、所定のクランク角毎にパルス信号をECU8へ送信する。ECU8では、このクランク角センサ91からのパルス信号に基づいてエンジン回転数NEが算出される。アクセルペダルセンサ92は、車両の運転者が操作するアクセルペダルの操作量APを検出し、これに応じた検出信号をECU8へ送信する。
コンプレッサ回転数センサ93は、コンプレッサ4に固定された図示しないパルサの回転に応じて、所定の回転角毎にパルス信号をECU8へ送信する。ECU8では、この回転数センサ93からのパルス信号に基づいてコンプレッサ回転数NSCが算出される。
過給圧センサ94は、吸気管2のうちコンプレッサ4及びスロットル弁23より下流側のインテークマニホルド内の圧力である過給圧を検出し、検出値に応じた信号をECU8へ送信する。ECU8では、この過給圧センサ94からの検出信号に基づいてエンジン1の過給圧と大気圧との比である圧力比PRが算出される。外気温センサ95は、外気温を検出し、検出値に応じた信号をECU8へ送信する。ECU8では、この外気温センサ95からの検出信号に基づいて外気温TAが算出される。
図5は、吸気制御処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この吸気制御処理は、ECUにおいて所定の制御周期で実行される。
始めにS1では、ECUは、エンジン回転数NE及びアクセルペダルの操作量APを取得し、これらを用いて図示しないマップを検索することにより、エンジンの要求トルクTRQ_Eを算出する。
次にS2では、ECUは、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQ_Eを用いて、図示しない圧力比マップを検索することにより、圧力比PRに対する目標に相当する目標圧力比PR_refを算出する。
次にS3では、ECUは、コンプレッサを回転させると仮定した場合に、この目標圧力比PR_refを実現するためのコンプレッサ回転数NSCに対する目標である目標回転数NSC_refを、目標圧力比PR_refに基づいて算出する。
次にS4では、ECUは、目標圧力比PR_ref、目標回転数NSC_ref、及びコンプレッサ回転数NSCに基づいて、現在のエンジンの運転状態に適した制御モードを決定する。
図6は、ECUにおいて定義されている複数の制御モードと、各制御モード間の移行条件とを示した制御モード遷移図である。図6に示すように、ECUには、自然吸気制御モードと、予回転制御モードと、過給移行モードと、過給制御モードと、自然吸気移行モードと、の5つの制御モードが定義されている。S4では、ECUは、エンジンを始動するイグニッションスイッチがONにされた直後の初期制御モードは自然吸気制御モードであるとして、その後の制御モードを図6の遷移図に従って決定する。
先ず、自然吸気制御モードとは、コンプレッサによる過給を行わず、自然吸気によってエンジンに吸気を供給する制御モードである。エンジンの運転状態が自然吸気領域内である場合には、原則として自然吸気制御モードが選択される。過給制御モードとは、コンプレッサによる過給を実行しながら、エンジンに吸気を供給する制御モードである。エンジンの運転状態が過給領域内である場合には、原則として過給制御モードが選択される。
予回転制御モードとは、過給制御モードへの移行に備えてコンプレッサの予回転を実行する制御モードである。自然吸気制御モードから過給制御モードへ移行する際には、必ず予回転制御モードが実行される。過給移行モードとは、コンプレッサの予回転が実質的に完了した後、過給制御モードへの移行に備えて予回転の状態を維持する制御モードである。過給移行モードは、エンジンの運転状態が自然過給領域内に留まりながら長時間にわたって予回転制御モードが実行された場合に実行される。自然吸気移行モードとは、自然吸気制御モードに移行する前に、回転中のコンプレッサを減速させる制御モードである。過給制御モードから自然吸気制御モードへ移行する際には、必ず自然吸気移行モードが実行される。
自然吸気制御モードから予回転制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給領域と自然吸気領域とを分ける過給開始閾値PR_ON(例えば、PR_ON=1.0)よりもやや小さな値に設定された予回転開始閾値PR_TR_s(例えば、PR_TR_s=0.9)以上であること(PR_ref≧PR_TR_s)、である。また予回転制御モードから自然吸気制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが、予回転開始閾値PR_TR_sよりもやや小さな値に設定された予回転終了閾値PR_TR_e(例えば、PR_TR_e=0.75)以下であること(PR_ref≦PR_TR_e)、である。
次に、予回転制御モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ON以上であり(PR_ref≧PR_ON)、すなわちエンジンの運転状態が過給領域内であり、かつ、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_refよりも小さな値に設定された予回転終了回転数NSC_TR(例えば、NSC_TR=1000)以上であること、である。なお、過給制御モードから予回転制御モードへ移行することはない。
次に、予回転制御モードから過給移行モードへの移行条件は、目標回転数NSC_refとコンプレッサ回転数NSCとの差の絶対値が十分に小さな閾値ΔN(例えば、ΔN=500)より小さいこと(|NSC_ref−NSC|<ΔN)、である。また過給移行モードから予回転制御モードへの移行条件は、目標回転数NSC_refとコンプレッサ回転数NSCとの差の絶対値が閾値ΔNより大きいこと(|NSC_ref−NSC|>ΔN)、である。
次に、過給移行モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ON以上であること(PR_ref≧PR_ON)、すなわちエンジンの運転状態が過給領域内であること、である。なお、過給制御モードから過給移行モードへ移行することはない。
次に、過給制御モードから自然吸気移行モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ONよりも小さな値に設定された過給終了閾値PR_OFF(例えば、PR_OFF=0.75)以下であること(PR_ref≦PR_OFF)、である。また、自然吸気移行モードから過給制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給開始閾値PR_ONと過給終了閾値PR_OFFとの間に設定された過給再開閾値PR_RST(例えば、PR_RST=0.9)以上であること(PR_ref≧PR_RST)、である。
次に、自然吸気移行モードから自然吸気制御モードへの移行条件は、目標圧力比PR_refが過給終了閾値PR_OFF以下であり、かつ、コンプレッサ回転数NSCが予回転終了回転数NSC_TR以下であること(NSC≦NSC_TR)、である。なお、自然吸気制御モードから自然吸気移行モードへ移行することはない。
S5では、ECUは、選択されている制御モードに応じたSCクラッチのON/OFF制御を実行する。より具体的には、現在選択されている制御モードが、自然吸気制御モードである場合、ECUは、SCクラッチをONにし、コンプレッサを回転不可能状態にする。また現在選択されている制御モードが、予回転制御モード、過給移行モード、過給制御モード、及び自然吸気移行モードのうちの何れかである場合、ECUは、SCクラッチをOFFにし、コンプレッサを回転可能状態にする。
S6では、ECUは、現在選択されている制御モードは自然吸気制御モードであるか否かを判定する。S6の判定がYESである場合、すなわち、上述のようにSCクラッチがONになっており、コンプレッサが回転不可能状態である場合には、ECUは、自然吸気時SCモータ駆動制御を実行し(S7参照)、この処理を終了する。図4Aを参照して説明したように、エンジンの運転状態が自然吸気領域内である場合には、SCモータでリングギヤの回転数を減少させる向きのトルクを発生することにより、発電し、バッテリを充電することができる。この自然吸気時SCモータ駆動制御では、ECUは、バッテリの状態に応じて適切なモータトルク指令信号を生成し、PDUへ入力する。またS6の判定がNOである場合、すなわち、SCクラッチがOFFになっており、コンプレッサが回転可能状態である場合には、ECUは、過給時SCモータ駆動制御を実行し(S8参照)、この処理を終了する。
図7は、S8における過給時SCモータ駆動制御の手順を説明するためのブロック図である。
図7に示す制御系は、ECUからPDUへのモータトルク指令信号の入力からコンプレッサ回転数センサの出力までのダイナミクスを表した第1プラントPscと、コンプレッサ回転数センサの出力から過給圧センサの出力までのダイナミクスを表した第2プラントPpipeと、コンプレッサ回転数センサの出力であるコンプレッサ回転数NSC及びその目標回転数NSC_refとを用いてトルク指令信号を生成するSC回転数制御系81と、過給圧センサの出力である圧力比PR及びその目標圧力比PR_refを用いてトルク指令信号を生成する過給圧制御系83と、SC回転数制御系81及び過給圧制御系83の何れかの出力を選択するセレクタ85と、SC回転数制御系81又は過給圧制御系83によって生成されたトルク指令信号を所定の上限又は下限で制限し、これをモータトルク指令信号としてPDUへ入力するリミッタ87と、によって構成される。図7に示す制御系のうち、SC回転数制御系81、過給圧制御系83、セレクタ85、及びリミッタ87は、ECUにおける演算によって実現される。
図7に示す制御系は、ECUからPDUへのモータトルク指令信号の入力からコンプレッサ回転数センサの出力までのダイナミクスを表した第1プラントPscと、コンプレッサ回転数センサの出力から過給圧センサの出力までのダイナミクスを表した第2プラントPpipeと、コンプレッサ回転数センサの出力であるコンプレッサ回転数NSC及びその目標回転数NSC_refとを用いてトルク指令信号を生成するSC回転数制御系81と、過給圧センサの出力である圧力比PR及びその目標圧力比PR_refを用いてトルク指令信号を生成する過給圧制御系83と、SC回転数制御系81及び過給圧制御系83の何れかの出力を選択するセレクタ85と、SC回転数制御系81又は過給圧制御系83によって生成されたトルク指令信号を所定の上限又は下限で制限し、これをモータトルク指令信号としてPDUへ入力するリミッタ87と、によって構成される。図7に示す制御系のうち、SC回転数制御系81、過給圧制御系83、セレクタ85、及びリミッタ87は、ECUにおける演算によって実現される。
セレクタ85は、現在選択されている制御モードに応じて、SC回転数制御系81の出力によって算出されるトルク指令信号又は過給圧制御系83によって算出されるトルク指令信号を選択し、これをリミッタ87へ入力する。セレクタ85における選択手順については、後に説明する。リミッタ87は、トルク指令信号が所定の上限(例えば、30Nm)を超える場合にはこの上限をモータトルク指令信号としてPDUへ入力し、トルク指令信号が所定の下限(例えば、−30Nm)を下回る場合にはこの下限をモータトルク指令信号としてPDUへ入力し、トルク指令信号が上記上限と下限の範囲内である場合にはこのトルク指令信号を制限せずにそのままモータトルク指令信号としてPDUへ入力する。
過給圧制御系83は、規範モデル演算部831と、FF演算部832と、遅延部833と、PID制御器834と、アンチワインドアップコントローラ835と、加算部836と、を備える。
規範モデル演算部831は、過給システムの現在の状態、特にエンジン動力伝達機構の状態を反映させた規範モデルを用いることによって目標圧力比PR_refを修正し修正目標圧力比PR_ref´を算出する。この規範モデル演算部831における具体的な演算手順については、後に図8を参照して説明する。
FF演算部832は、修正目標圧力比PR_ref´を、予め同定された第1プラントPsc及び第2プラントPpipeの逆モデルに入力し、この逆モデルの出力をFF制御入力とし、これを加算部836へ入力する。
遅延部833は、所定の制御周期分(例えば、第1プラントへの入力から第2プラントにおける出力までの遅れに相当する周期分)だけ修正目標圧力比PR_ref´を遅延させてPID制御器834へ入力する。PID制御器834は、遅延された修正目標圧力比PR_ref´と圧力比PRとの偏差に基づいてPID制御則に従ってこの偏差を無くすようなFB制御入力を算出し、これを加算部836へ入力する。アンチワインドアップコントローラ835は、リミッタ87の出力を用いることによって、PID制御器834の出力を補正する。
加算部836は、以上のようにして算出されたFF制御入力とFB制御入力とを合算することにより、圧力比PRが目標圧力比PR_ref又は修正目標圧力比PR_ref´になるようなトルク指令信号を生成し、セレクタ85へ入力する。
図8は、規範モデル演算部831において目標圧力比PR_refから修正目標圧力比PR_ref´を算出する手順を示すフローチャートである。
S21では、ECUは、外気温TAに基づいて、図9に示すようなマップを検索することによって、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsを算出する。この基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsは、エンジン動力伝達機構の2つのプーリ71,72の間で伝達可能なトルクである伝達許容トルクTRQ_trの基準値に相当する。図9の例によれば、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsは、外気温TAが低いほど、より小さな値に設定される。これは、外気温TAが低いほど、合成ゴム製のエンジンベルト73とプーリ71,72との間での摩擦抵抗が小さくなることに伴い、伝達可能なトルクが低下することを反映している。
S22では、ECUは、エンジン回転数NEに基づいて、図10に示すようなマップを検索することにより、補正係数Ktrを算出する。この補正係数Ktrは、エンジン回転数NEの変化に伴う伝達許容トルクTRQ_trの変動を補正するためのものである。図10の例によれば、エンジン回転数NEが高いほど、より小さな値に設定される。これは、エンジン回転数NEが高いほど、エンジンベルト73とプーリ71,72との間で伝達可能なトルクが減少することを反映している。
S23では、ECUは、基準伝達許容トルクTRQ_tr_bsに補正係数Ktrを乗算し、これを伝達許容トルクTRQ_trとする。S24では、ECUは、伝達許容トルクTRQ_trが要求トルクTRQ_Eより大きいか否か(TRQ_tr>TRQ_E)を判定する。S24の判定がYESである場合、要求トルクTRQ_Eをエンジン動力伝達機構で伝達しても、スリップは発生しないと判断し、目標圧力比PR_refをそのまま修正目標圧力比PR_ref´とする(S25参照)。
またS24の判定がNOである場合、要求トルクTRQ_Eをエンジン動力伝達機構で伝達すると、スリップが発生するおそれがあると判断し、エンジン回転数NE及び伝達許容トルクTRQ_trを用いて、図5のS2で参照した圧力比マップを検索することより、修正目標圧力比PR_ref´を算出する(S26参照)。ここで、修正目標圧力比PR_ref´は、目標圧力比PR_refを算出するために用いられた要求トルクTRQ_Eよりも小さい伝達許容トルクTRQ_trを用いて算出されることから、修正目標圧力比PR_ref´は、目標圧力比PR_refよりも小さい。
図7に戻り、SC回転数制御系81は、規範モデル演算部811と、FF演算部812と、遅延部813と、PID制御器814と、加算部815と、を備える。
規範モデル演算部811は、過給圧制御系83の規範モデル演算部831と同様の手順により、目標回転数NSC_refを修正することによって修正目標回転数NSC_ref´を算出する。
FF演算部812は、修正目標回転数NSC_ref´を、予め同定された第1プラントPscの逆モデルに入力し、この逆モデルの出力をFF制御入力とし、これを加算部815へ入力する。
遅延部813は、所定の制御周期分(例えば、第1プラントへの入力から第1プラントにおける出力までの遅れに相当する周期分)だけ修正目標回転数NSC_ref´を遅延させてPID制御器814へ入力する。PID制御器814は、遅延された修正目標回転数NSC_ref´とコンプレッサ回転数NSCとの偏差に基づいてPID制御則に従ってこの偏差を無くすようなFB制御入力を算出し、これを加算部815へ入力する。
加算部815は、以上のようにして算出されたFF制御入力とFB制御入力とを合算することにより、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_ref又は修正目標回転数NSC_ref´になるようなトルク指令信号を生成し、セレクタ85へ入力する。
セレクタ85は、現在選択されている制御モードが、過給移行モード又は過給制御モードである場合には、圧力比PRが目標圧力比PR_ref(又は修正目標圧力比PR_ref´)になるように過給圧制御系83によって算出されたトルク指令信号を選択し、これをリミッタ86へ入力する。
またセレクタ85は、現在選択されている制御モードが、予回転制御モード又は自然吸気移行モードである場合には、コンプレッサ回転数NSCが目標回転数NSC_ref(又は修正目標回転数NSC_ref´)になるようにSC回転数制御系81によって算出されたトルク指令信号を選択し、これをリミッタ86へ入力する。
図5に戻り、S9では、ECUは、選択されている制御モードに応じた吸気バイパス弁の開度制御を実行する。より具体的には、現在選択されている制御モードが、自然吸気制御モード、予回転制御モード、及び自然吸気移行モードのうちの何れかである場合には、ECUは、エンジンの運転状態によらず、吸気バイパス弁の開度が全開になるように吸気バイパス弁を駆動する。また現在選択されている制御モードが、過給移行モード又は過給制御モードである場合には、ECUは、エンジンの運転状態によらず、吸気バイパス弁の開度が全閉になるように吸気バイパス弁を駆動する。
S10では、ECUは、現在選択されている制御モードは自然吸気制御モードであるか否かを判定する。S10の判定がYESである場合、すなわち、上述のようにSCクラッチがONになっており、コンプレッサが回転不可能状態である場合には、ECUは、VTC制御(S11参照)及びスロットル弁開度制御(S12参照)を実行し、この処理を終了する。より具体的には、S11のVTC制御では、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによって吸気行程における吸気バルブの閉弁タイミングに相当するIVC角度の目標を設定し、この目標が実現されるようにIN側VTCを操作する。またS12のスロットル弁開度制御では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによってスロットル弁の開度の目標を設定し、この目標が実現されるようにスロットル弁を駆動する。以上のように自然吸気制御モード時は、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいてスロットル弁、IN側VTCを操作することにより、エンジンの各気筒内に要求トルクTRQ_Eに応じた量の吸気を導入し、要求トルクTRQ_Eに応じたトルクを発生させる。
S10の判定がNOである場合、すなわち、自然吸気制御モード以外の制御モードであることにより、上述のSC回転数制御系81又は過給圧制御系83(図7参照)によってSCモータのモータトルクが制御されている場合には、ECUは、IN側VTC及びスロットル弁を用いたトルクアシスト協調制御を実行する。
図11は、トルクアシスト協調制御の具体的な手順を示すフローチャートである。
S31では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによって基準IVC角度θIVC_bsを算出する。この基準IVC角度θIVC_bsは、目標IVC角度θIVC_refに対する基準に相当する。S32では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによって基準スロットル開度θTH_bsを算出する。この基準スロットル開度θTH_bsは、目標スロットル開度θTH_refに対する基準に相当する。
S31では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによって基準IVC角度θIVC_bsを算出する。この基準IVC角度θIVC_bsは、目標IVC角度θIVC_refに対する基準に相当する。S32では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて予め定められたマップを検索することによって基準スロットル開度θTH_bsを算出する。この基準スロットル開度θTH_bsは、目標スロットル開度θTH_refに対する基準に相当する。
S33では、ECUは、SCモータで発生するモータトルクの推定値に相当する推定モータトルクTRQ_MOTを取得する。この推定モータトルクTRQ_MOTは、例えば、上述のS8における過給時SCモータ駆動制御(図7参照)によって算出されるモータトルク指令信号の値が用いられる。
S34では、ECUは、S33で取得した推定モータトルクTRQ_MOTと、遊星歯車機構のプラネタリギヤ比λpと、エンジン動力伝達機構のプーリ比λengと、モータギヤとリングギヤの外歯車とのギヤ比RG1と、を用いることによって、エンジンの出力軸に作用する負荷トルクのうち、SCモータで推定モータトルクに相当するトルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分dTRQ_SCを算出する。
ここで、負荷トルク増加分dTRQ_SCを算出する具体的な手順の一例について、図12の共線図を参照しながら説明する。遊星歯車機構のプラネタリギヤが等速で自転及び公転する状態では、サンギヤからプラネタリギヤに作用するトルクTsと、リングギヤからプラネタリギヤに作用するトルクTrと、及びキャリアからプラネタリギヤに作用するトルクTcとの間には、下記式(1)によって示される関係式が成立する。すなわち、これらトルクTc,Ts,Trは、これらのうち何れか1つが定まると、他の2つも定まる。また、キャリアのトルクTcは、サンギヤのトルクTs及びリングギヤのトルクTrと逆向きである。ここでプラネタリギヤ比λpは、サンギヤの歯数をZsとし、リングギヤの歯数をZrとすると、これらの比によって表される(λp=Zr/Zs)。
Tc=−(1+λp)Ts=−(1+λp)/λp・Tr (1)
Tc=−(1+λp)Ts=−(1+λp)/λp・Tr (1)
上記式(1)において、サンギヤのトルクTsは、コンプレッサの回転抵抗と釣り合っている。リングギヤのトルクTrは、SCモータからモータギヤを介してリングギヤに伝達されるトルクと等しい。すなわち、リングギヤのトルクTrは、推定モータトルクTRQ_MOT及びモータギヤのギヤ比RG1を用いると、下記式(2)で表される。また、キャリアのトルクTcは、エンジンからエンジン動力伝達機構を介してキャリアに伝達されるトルクと等しい。すなわち、キャリアのトルクTcは、エンジンの出力トルクをTengとすると、エンジン動力伝達機構のプーリ比λengを用いて下記式(3)で表される。また、これら式(1)〜(3)を用いると、上述のようにプラネタリギヤに作用するトルクが上述のように釣り合っている状態では、エンジンの出力トルクTengは、下記式(4)によって表される。
Tr=TRQ_MOT・RG1 (2)
Tc=Teng・λeng (3)
Teng=−(1+λp)/(λp・λeng)・TRQ_MOT・RG1 (4)
Tr=TRQ_MOT・RG1 (2)
Tc=Teng・λeng (3)
Teng=−(1+λp)/(λp・λeng)・TRQ_MOT・RG1 (4)
S34では、下記式(5)に示すように、以上のようにして算出されるエンジンの出力トルクTengから要求トルクTRQ_Eを減算したものを負荷トルク増加分dTRQ_SCとする。
dTRQ_SC=Teng−TRQ_E (5)
dTRQ_SC=Teng−TRQ_E (5)
図11に戻りS35では、ECUは、エンジン要求トルクTRQ_Eに基づいて、IVC角度の上記基準目標角度θIVC_bsから進角側への補正量の上限に相当する許容補正量dθIVC_maxを算出する。S36では、ECUは、基準IVC角度θIVC_bs及び許容補正量dθIVC_maxに基づいて予め定められたマップを検索することによってVTC増加トルクdTRQ_VTC_maxを算出する。このVTC増加トルクdTRQ_VTC_maxは、基準目標角度θIVC_bsに許容補正量dθIVC_maxを加えたものを目標IVC角度θIVC_refとした場合におけるエンジン発生トルクとエンジン要求トルクTRQ_Eとの差に相当する。換言すれば、このVTC増加トルクdTRQ_VTC_maxは、IVC角度を基準目標角度θIVC_bsから進角させることによるエンジン発生トルクの増加分に相当する。
S37では、VTC増加トルクdTRQ_IVC_maxが負荷トルク増加分dTRQ_SCより大きいか否かを判定する。これは、IN側VTCのみで負荷トルク増加分dTQR_SCを補償できるか否かの判断に相当する。
S37の判定がYESである場合、ECUは、IN側VTCのみで負荷トルク増加分dTRQ_SCを補償できると判断し、負荷トルク増加分ΔTRQ_SCを用いて予め定められたマップを検索することにより、基準IVC角度θIVC_bsから進角側への補正量dθIVCを算出し、基準IVC角度θIVC_bsに補正量dθIVCを加えたものを目標IVC角度θIVC_refとする(S38参照)。S39では、ECUは、S32で算出した基準スロットル開度θTH_bsを目標スロットル開度θTH_refとする。
S37の判定がNOである場合、ECUは、基準IVC角度θIVC_bsに許容補正量dθIVC_maxを加えたものを目標IVC角度θIVC_refとする(S40参照)。S41では、ECUは、負荷トルク増加分dTRQ_SCからVTC増加トルクdTRQ_VTC_maxを減算することによってスロットル補償トルクdTRQ_THを算出し、このスロットル補償トルクdTRQ_THに基づいて予め定められたマップを検索することにより、基準スロットル開度θTH_bsから開き側への補正量dθTHを算出する。S42では、ECUは、S32で算出した基準スロットル開度θTH_bsに補正量dθTHを加えたものを目標スロットル開度θTH_refとする。
S43では、ECUは、目標IVC角度θIVC_refが実現されるようにIN側VTCを操作し、また目標スロットル開度θTH_refが実現されるようにスロットル弁を操作する。
図13は、以上のような吸気制御処理によって実現される過給圧、吸気バイパス弁の開度、コンプレッサ回転数、SCクラッチ、SCモータにおけるモータトルク、IVC角度、スロットル弁の開度、駆動輪の伝達トルクの変化を示すタイムチャートの一例である。図13には、車両の加速時における過給圧等の変化を示す。より具体的には、時刻t0ではエンジンの運転状態が自然吸気領域内にあった状態から、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれることにより、その後時刻t2においてエンジンの運転状態が過給領域内に移行した場合を示す。また図13には、参考のため、従来の過給システムによって実現される過給圧等の変化を破線で示す。ここで従来の過給システムとは、図11を参照して説明したトルクアシスト協調制御を実行しない点において本実施形態の過給システムと異なる。
先ず、時刻t0〜t1の間では、エンジンの運転状態は自然吸気領域内であるから、制御モードは自然吸気制御モードが選択される(図5のS4参照)。このため時刻t0〜t1の間では、SCクラッチはONにされ、したがってコンプレッサは回転不可能状態に維持される(図5のS5参照)。
その後時刻t1では、目標圧力比PR_refが予回転開始閾値PR_TR_sを超えたことに応じて、制御モードは、自然吸気制御モードから予回転制御モードへ移行する(図6参照)。これにより時刻t1では、SCクラッチはOFFにされるとともに(図5のS5参照)、SC回転数制御系81によってSCモータでモータトルクを発生させることにより、コンプレッサ回転数NSCを目標回転数NSC_refまで上昇させるコンプレッサの予回転が開始する(図7参照)。
図13に示すように、時刻t1以降においてコンプレッサの回転数を上昇させるため、SC回転数制御系81は、SCモータにおいてコンプレッサの回転数を上昇させる向き(すなわち、図4Aに示すように、正転しているリングギヤを減速させるマイナストルク)のモータトルクを発生させる。ここで、図11のトルクアシスト協調制御を実行しない従来の過給システムでは、SCモータでモータトルクを発生させることによって、エンジンの出力軸に作用する負荷トルクが増加し、駆動輪への伝達トルクが減少してしまう。これに対し本実施形態の過給システムでは、図11のトルクアシスト協調制御を実行することにより、SCモータでモータトルクを発生させることによる負荷トルク増加分dTRQ_SCを補償するようにIN側VTC及びスロットル弁が操作される。より具体的には、エンジン要求トルクTRQ_Eによって定まる量よりも多くの吸気が気筒内に導入され、負荷トルク増加分dTRQ_SCが補償されるよう、IVC角度は基準IVC角度θIVC_bsに対して進角側に補正され、またスロットル弁の開度は基準スロットル開度θTH_bsに対して開き側に補正される。これにより、本実施形態の過給システムによれば、従来の過給システムと比較して駆動輪への伝達トルクの落ち込みが抑制される。
その後、時刻t2では、予回転制御モードから過給制御モードへの移行条件が満たされたことに応じて、制御モードは、予回転制御モードから、過給制御モードへ移行する(図6参照)。したがって時刻t2以降では、過給圧制御系83によってSCモータでモータトルクを発生させることにより、コンプレッサの回転数をさらに上昇させ、圧力比PRを目標圧力比PR_refへ向けて制御する過給圧制御が開始する(図7参照)。このため、図13に示すように、時刻t2以降においてもコンプレッサの回転数をさらに上昇させるため、SCモータでは大きなマイナストルクが発生する。これに対し、本実施形態の過給システムでは、図11のトルクアシスト協調制御を実行することにより、時刻t1〜t2と同様に負荷トルク増加分dTRQ_SCが補償されるように、IVC角度は基準IVC角度θIVC_bsに対して進角側に補正され、またスロットル弁の開度は基準スロットル開度θTH_bsに対して開き側に補正される。これにより、時刻t1〜t2と同様に、駆動輪への伝達トルクの落ち込みが抑制される。
本実施形態の過給システムSによれば、以下の効果を奏する。
(1)過給システムSでは、車両の加速時には、SCモータ6でコンプレッサ4の回転数が上昇する向きのトルクを発生させることによってコンプレッサ4の回転数を上昇させる。またこの際、過給システムSでは、コンプレッサ4の回転数を上昇させるためにSCモータ6で発生させるモータトルクの推定値である推定モータトルクTRQ_MOTを算出し、さらにこれを用いることによってエンジン1の出力軸1aに作用する負荷トルクのうち加速時にSCモータ6で上記のような推定モータトルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分dTRQ_SCを算出し、加速時にはエンジン1の発生トルクをエンジン要求トルクTRQ_Eから上記負荷トルク増加分dTRQ_SCだけ増加させる。これにより車両の加速時には、コンプレッサ4の回転数を上昇させることによって負荷トルクが増加する分をキャンセルするようにエンジン1の発生トルクを増加させることができるため、駆動輪には要求トルクTRQ_Eに応じた大きさのトルクを伝達できる。以上より過給システムSによれば、車両の加速時にはその動力性能を悪化させることなくコンプレッサ4の過給を開始できる。
(1)過給システムSでは、車両の加速時には、SCモータ6でコンプレッサ4の回転数が上昇する向きのトルクを発生させることによってコンプレッサ4の回転数を上昇させる。またこの際、過給システムSでは、コンプレッサ4の回転数を上昇させるためにSCモータ6で発生させるモータトルクの推定値である推定モータトルクTRQ_MOTを算出し、さらにこれを用いることによってエンジン1の出力軸1aに作用する負荷トルクのうち加速時にSCモータ6で上記のような推定モータトルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分dTRQ_SCを算出し、加速時にはエンジン1の発生トルクをエンジン要求トルクTRQ_Eから上記負荷トルク増加分dTRQ_SCだけ増加させる。これにより車両の加速時には、コンプレッサ4の回転数を上昇させることによって負荷トルクが増加する分をキャンセルするようにエンジン1の発生トルクを増加させることができるため、駆動輪には要求トルクTRQ_Eに応じた大きさのトルクを伝達できる。以上より過給システムSによれば、車両の加速時にはその動力性能を悪化させることなくコンプレッサ4の過給を開始できる。
(2)過給システムSでは、車両の加速時には、吸気バルブ13の開閉タイミングを可変設定するIN側VTC15を操作することによって、負荷トルクの増加を補うため発生トルクを増加させる。これにより車両の加速時には、コンプレッサ4による過給を開始するタイミングに対して遅れることなく発生トルクを増加させることができるので、加速時における動力性能の低下を極力抑制できる。
(3)過給システムSでは、上記のように算出された負荷トルク増加分dTRQ_SCがIN側VTC15を操作することで増加できる分であるVTC増加トルクdTRQ_VTC_maxより大きい場合には、IN側VTC15とスロットル弁23との両方を用いることによって発生トルクを増加させる。これにより、負荷トルクが大きく増加した場合であっても駆動輪に伝達するトルクの落ち込みを極力抑制できる。また過給システムSでは、負荷トルク増加分dTRQ_SCがVTC増加トルクdTRQ_VTC_max以下である場合には、スロットル弁23よりも応答性の高いIN側VTC15を操作することによって発生トルクを増加させる。すなわち過給システムSでは、負荷トルク増加分dTRQ_SCが左程大きくない場合には、スロットル弁23よりも応答性の高いIN側VTC15を優先して操作することにより、コンプレッサ4による過給を開始するタイミングに対して遅れることなく発生トルクを増加させ、加速時における動力性能の低下を極力抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば上記実施形態では、遊星歯車機構5のサンギヤ51にコンプレッサ4を接続し、キャリア53にエンジン1の出力軸6aを接続し、リングギヤ54にSCモータ6の出力軸6aを接続したが、本発明はこの組み合わせに限らず、他の組み合わせとしてもよい。
S…過給システム
1…エンジン(内燃機関)
1a…出力軸
15…IN側VTC(吸気側可変動弁機構)
2…吸気管(吸気通路)
23…スロットル弁
3…スーパチャージャ
4…コンプレッサ
51…サンギヤ(第1回転要素)
53…キャリア(第2回転要素)
54…リングギヤ(第3回転要素)
6…SCモータ(電動発電機)
6a…出力軸
8…ECU(内燃機関トルク制御手段、電動発電機制御手段)
1…エンジン(内燃機関)
1a…出力軸
15…IN側VTC(吸気側可変動弁機構)
2…吸気管(吸気通路)
23…スロットル弁
3…スーパチャージャ
4…コンプレッサ
51…サンギヤ(第1回転要素)
53…キャリア(第2回転要素)
54…リングギヤ(第3回転要素)
6…SCモータ(電動発電機)
6a…出力軸
8…ECU(内燃機関トルク制御手段、電動発電機制御手段)
Claims (3)
- 内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサに接続された第1回転要素と、前記内燃機関の出力軸に接続された第2回転要素と、電動発電機の出力軸に接続された第3回転要素と、を備え、前記第1、第2、及び第3回転要素の各々の回転数が共線関係を有するように構成されたスーパチャージャを備える内燃機関の過給システムであって、
所定の要求に基づいて前記内燃機関の発生トルクを制御する内燃機関トルク制御手段と、
前記内燃機関の加速時には前記電動発電機で前記コンプレッサの回転数が上昇する向きのトルクを発生させることにより前記コンプレッサの回転数を上昇させる電動発電機制御手段と、
前記加速時に前記電動発電機で発生させる電動発電機トルクを取得し、当該電動発電機トルクを用いることにより、前記内燃機関の出力軸に作用する負荷トルクのうち前記電動発電機制御手段で前記電動発電機トルクを発生させることによって増加する分である負荷トルク増加分を算出する負荷トルク増加分算出手段と、を備え、
前記内燃機関トルク制御手段は、前記加速時には、前記発生トルクを前記要求に応じた基準トルクから前記負荷トルク増加分だけ増加させることを特徴とする内燃機関の過給システム。 - 前記内燃機関の吸気バルブの開閉タイミングを可変設定する吸気側可変動弁機構をさらに備え、
前記内燃機関トルク制御手段は、前記吸気側可変動弁機構を操作することによって前記発生トルクを増加させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の過給システム。 - 前記吸気通路のうち前記コンプレッサより下流側に設けられた吸気スロットル弁をさらに備え、
前記内燃機関トルク制御手段は、前記負荷トルク増加分が前記吸気側可変動弁機構を操作することで増加できる分以下である場合には、前記吸気側可変動弁機構を操作することによって前記発生トルクを増加させ、前記負荷トルク増加分が前記吸気側可変動弁機構を操作することで増加できる分より大きい場合には、前記吸気側可変動弁機構及び前記吸気スロットル弁の両方を操作することによって前記発生トルクを増加させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の過給システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016142530A JP2018013073A (ja) | 2016-07-20 | 2016-07-20 | 内燃機関の過給システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016142530A JP2018013073A (ja) | 2016-07-20 | 2016-07-20 | 内燃機関の過給システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018013073A true JP2018013073A (ja) | 2018-01-25 |
Family
ID=61019973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016142530A Pending JP2018013073A (ja) | 2016-07-20 | 2016-07-20 | 内燃機関の過給システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018013073A (ja) |
-
2016
- 2016-07-20 JP JP2016142530A patent/JP2018013073A/ja active Pending
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