JP2018003042A - 溶鋼の脱硫方法 - Google Patents

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【課題】脱硫時間を長くすることなく、添加したフラックスを効率的に活用することが可能な溶鋼の脱硫方法を提供する。【解決手段】取鍋内の溶鋼の上部にCaOを含むフラックスを配置して、電極をフラックスに浸漬させて通電することにより溶鋼の脱硫処理を行う、取鍋精錬による溶鋼の脱硫方法であって、取鍋内の溶鋼の上部に配置されるフラックスの厚さを100mm以上200mm以下とし、フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAl2O3の含有量(質量%)との比であるCaO(質量%)/Al2O3(質量%)を1.5以上2.5以下とし、脱硫処理時に添加されるCaO量(kg)を、脱硫処理対象の溶鋼単位量(t)当たりの値で5(kg/t)以上15(kg/t)以下とする。【選択図】図2

Description

本発明は、取鍋中の溶鋼の上層にフラックスに通電し、溶鋼の脱硫処理を行う溶鋼の脱硫方法に関する。
転炉(一次精錬)で吹酸脱炭して溶製した溶鋼は、用途に応じて二次精錬される。二次精錬においては、製品成分に応じて、成分添加処理、更なる脱炭処理、不純物となる硫黄(以下、「S」とも記載する。)を除去する脱硫処理等が行われる。溶鋼の脱硫処理は、例えば、取鍋中の溶鋼の上層に脱硫フラックス(以下、単に「フラックス」とする。)を配置し、当該フラックスに通電電極を浸漬させて通電しながら溶鋼を撹拌することで行われる。これにより、溶鋼の脱硫を進行させることができる。製品(用途)によっては、Sの含有量を目標値以下に低減する必要があるため脱硫処理は重要であり、脱硫処理の効率化が求められている。なお、Sの含有量の目標値は、例えば15ppm以上100ppm以下の範囲内で設定される。
例えば特許文献1には、通電加熱型精錬取鍋において、溶鋼に適正な混合撹拌を付与して脱硫時間を短縮することを課題とし、撹拌ガス吹込み用プラグの取鍋底部の位置や電極との相対位置を規定する技術が開示されている。また、特許文献2には、溶鋼表面層の乱れを最小限に抑制しながら溶鋼の混合撹拌力を強化して脱硫時間を短縮することを課題とし、取鍋形状(鋼浴高さと内径の関係)を特定する技術が開示されている。
特開2001−040411号公報 特開2008−173675号公報
しかし、上記特許文献1、2に記載の方法では、脱硫時間の短縮は可能であるが、フラックスの使用量に応じて脱硫効果が低くなる場合があり、溶鋼に添加したフラックスが十分に活用されない場合があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、脱硫時間を長くすることなく、添加したフラックスを効率的に活用することが可能な、新規かつ改良された溶鋼の脱硫方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、取鍋内の溶鋼の上部にCaOを含むフラックスを配置して、電極をフラックスに浸漬させて通電することにより溶鋼の脱硫処理を行う、取鍋精錬による溶鋼の脱硫方法であって、取鍋内の溶鋼の上部に配置されるフラックスの厚さを100mm以上200mm以下とし、フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比であるCaO(質量%)/Al(質量%)を1.5以上2.5以下とし、脱硫処理時に添加されるCaO量(kg)を、脱硫処理対象の溶鋼単位量(t)当たりの値で5(kg/t)以上15(kg/t)以下とする、溶鋼の脱硫方法が提供される。
また、脱硫処理時に溶鋼を攪拌する攪拌ガスの撹拌動力密度は、20W/t以上90W/t以下とする。より好ましくは、当該撹拌動力密度を30W/t以上80W/t以下とする。
以上説明したように本発明によれば、脱硫時間を長くすることなく、添加したフラックスを効率的に活用することが可能となる。
通電加熱型の溶鋼脱硫処理において添加されるCaO量と脱硫結果との一関係を表すグラフである。 通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行う精錬設備の概要を示す説明図である。 電極とガス吹き込みプラグとの配置を説明するための、取鍋を平面視した部分平面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.概要>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る溶鋼の脱硫方法の概要について説明する。なお、図1は、通電加熱型の溶鋼脱硫処理において添加されるCaO量と脱硫結果との一関係を表すグラフである。図1では、溶鋼上に配置するフラックスの厚さが90mm、150mmの2つの場合について、それぞれ添加するフラックスに含まれるCaO量を変化させ、脱硫処理開始から所定の処理時間経過後の溶鋼のSの含有量を調べた。本調査では、溶鋼のSの初期含有量は100ppmとし、脱硫処理開始から35分経過後の溶鋼のSの含有量を調べた。脱硫処理中の溶鋼の攪拌動力密度は60W/tとした。
CaOを用いた脱硫処理は、CaOとSとの反応によって行われるため、溶鋼に添加するCaO量は重要である。理論上は、図1に示すように、添加するCaOの原単位が大きくなる程、所定時間経過後に溶鋼から除かれるSの量は増加する。しかし、実際には、図1に示すように理論値とは異なる傾向を示すことが分かった。すなわち、添加CaO原単位が増加するとある程度までは溶鋼中のSの量は減少するが、ある値を超えてさらに添加CaO原単位を増加させると、溶鋼中のSの量は反って低減されない。また、例えばフラックスの厚さが90mmの場合の実績値のように、理論値と一致する区間が少なく、理論値から大きく外れることもある。
そこで、本願発明者はフラックス層におけるフラックスの対流に着目し、フラックス層全体に対流を起こさせることで脱硫を促進し、脱硫処理における添加CaO原単位を向上させる溶鋼の脱硫方法を想到した。かかる方法により、例えば図1のフラックスの厚さが150mmの場合のように、脱硫処理後の溶鋼中のSの量が減少傾向にある区間において理論値に略一致するようになり、脱硫処理における添加CaO原単位が向上する。以下、本実施形態に係る溶鋼の脱硫方法について、詳細に説明していく。
<2.溶鋼の脱硫方法>
[2−1.精錬設備]
まず、図2に基づいて、本実施形態に係る溶鋼の脱硫方法を適用する精錬設備の概要を説明する。なお、図2は、通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行う精錬設備の概要を示す説明図である。
本実施形態に係る溶鋼の脱硫方法は、通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行う精錬設備にて実施される。かかる精錬設備は、図2に示すように、溶鋼5を収容する取鍋10と、溶鋼5の上部に配置されたフラックス7に浸漬された状態で通電する電極20と、取鍋10内の溶鋼5に対して当該溶鋼5を攪拌するための攪拌ガス3を吹き込むガス吹き込みプラグ30とを備える。電極20は、例えば3本の棒状の通電用加熱電極21、23、25からなり、取鍋10の上蓋12を貫通して設けられている。ガス吹き込みプラグ30は、取鍋10の底部に設けられている。
取鍋10に収容された溶鋼5の上部に、フラックス7が配置されると、取鍋10の開口を覆うように上蓋12が配置され、溶鋼5及びフラックス7は無酸化雰囲気に置かれる。上蓋12に貫通して設けられている通電用加熱電極21、23、25の先端は、フラックス7に浸漬される。そして、通電用加熱電極21、23、25への通電と、ガス吹き込みプラグ30からの攪拌ガス3の吹き込みを開始し、溶鋼5の脱硫処理が開始する。脱硫処理時には、さらにCaO(CaOが含まれるフラックス)が溶鋼5に添加される。
[2−2.脱硫条件]
本実施形態では、以下の条件で溶鋼の脱硫処理を行う。これにより、フラックス層全体の対流を促進させることができ、脱硫処理時に添加したCaOを無駄なく脱硫に活用できる。
(A)フラックスの厚さ
まず、取鍋内の溶鋼の上部に配置するフラックスの厚さを、100mm以上200mm以下とする。フラックスの厚さは、脱硫処理中に測定することは困難である。このため、ここで規定するフラックスの厚さは、脱硫処理後であって、溶鋼の撹拌を停止して溶鋼を静置した状態におけるフラックスの厚さとする。このフラックスの厚さは、例えば取鍋内に鋼製棒を挿入し、その後取鍋から引き抜いた当該製鋼棒に付着したフラックスの付着厚さを測定することで取得できる。なお、脱硫処理が行われても、フラックスの厚さに実質的な変化はない。
フラックスの厚さが100mm未満であると、フラックス層で対流が起こりにくく、脱硫の進行が遅くなる。したがって、フラックスの厚さは100mm以上必要である。一方、フラックスの厚さが200mm超では、脱硫処理時のフラックス層表層に未滓化(未溶融)の部分が目立つようになる。仮に滓化していても温度低下による高粘性化が懸念され、フラックス層全体のフラックス対流が起こりにくいと考えられ、この結果、CaO原単位が悪化する。したがって、フラックスの厚さは200mm以下とする必要がある。なお、フラックス層表層の未滓化あるいは高粘性化を抑制するには、フラックスの厚さを150mm以下とすることが望ましい。
(B)CaO(質量%)/Al(質量%)
フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比であるCaO(質量%)/Al(質量%)は、1.5以上2.5以下とする。本実施形態のようにCaOを用いた脱硫は、CaOとSの反応によって生じるため、フラックスに含まれるCaO量は重要である。本実施形態では、CaO(質量%)/Al(質量%)を1.5以上2.5以下とすることで、上記フラックスの厚さのフラックス層内全体で対流が発生し、脱硫処理を促進させることができる。より好ましくは、CaO(質量%)/Al(質量%)を1.8以上2.4以下とする。
CaO(質量%)/Al(質量%)が1.5未満の場合は、Alに対するCaOの相対濃度が低すぎるため、脱流速度が顕著に低下する。このため、一定時間内に脱硫処理を完了させるには、多量のフラックスを添加する必要があり、その結果フラックス層も厚くなるため、添加CaO原単位が悪化する。一方、CaO(質量%)/Al(質量%)が2.5超の場合は、フラックスの溶解速度が低下し、フラックス層の有効な対流が確保できない。また、フラックスの溶解温度が上がることにより、未滓化を招く場合もある。以上より、フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比(CaO(質量%)/Al(質量%))は、1.5以上2.5以下とする。
(C)添加CaO量
脱硫処理時に添加するCaO量(kg)は、処理する溶鋼単位量(t)当たり5(kg/t)以上15(kg/t)以下とする。なお、添加するCaOの供給源として、例えば生石灰を用いることができる。生石灰は、CaOが90質量%以上含まれるものが多く、約100質量%のものもある。また他のCaO供給源として、カルシウムアルミネート、軽焼ドロマイト、造塊スラグ等のCaOを含むものを用いてもよい。これらを用いる場合、含有されるCaOの質量割合を用いて添加するCaO量を計算するとよい。
脱硫処理時に添加するCaOが、溶鋼単位量(t)当たり5(kg/t)未満の場合、脱硫処理対象の溶鋼量に比べてCaO量が少ないため、脱硫処理後の溶鋼中のS量が低減しない。したがって、添加するCaO量は5.0(kg/t)以上とするのがよい。一方、脱硫処理時に添加するCaOが、溶鋼単位量(t)当たり15.0(kg/t)超の場合、溶鋼の上部のフラックスの厚さが上記を満たし、常用される取鍋寸法(溶鋼深さ、取鍋内径)であれば、フラックス中のCaO濃度が高くなり、フラックスの粘性が悪化する。このフラックスの粘性悪化(著しい場合には滓化不良)によりフラックス層の対流が起こりにくくなり、脱硫進行が遅くなる。したがって、添加するCaO量は15.0(kg/t)以下とするのがよい。
(D)攪拌ガスの攪拌動力密度
脱硫処理時に溶鋼を攪拌する攪拌ガスの撹拌動力密度は、20W/t以上90W/t以下とする。
取鍋底部から不活性ガスあるいは窒素ガス等の攪拌ガスをガス吹き込みプラグから吹き込み、溶鋼を撹拌することは、脱硫処理にとって重要である。しかし、溶鋼の攪拌は、溶鋼量や取鍋形状に応じて適切に行う必要がある。溶鋼の撹拌が強すぎると、電極の浸漬部位におけるフラックスの厚さが極端に薄くなり、対流するフラックスの温度上昇効果が低下する。一方、溶鋼の撹拌が弱すぎると、溶鋼流のせん断力によって発生するフラックス層の対流が弱くなり、効率的な脱硫が行われない。そこで、本実施形態では、撹拌ガスの撹拌動力密度を20(W/t)以上90(W/t)以下と規定した。より好ましくは、撹拌ガスの撹拌動力密度は30(W/t)以上80(W/t)以下とする。
なお、撹拌動力密度は、例えば、特開2013−023739号公報に記載の、下記式(1)に基づき算出することができる。ここで、εは撹拌動力密度(W/t)、Qは攪拌ガス流量(Nm/sec)、Tは溶鋼温度(K)、Tは攪拌ガス温度(K)、Pは雰囲気圧力(Pa)、Wは溶鋼の質量(t)、ρは比重(t/m)、hは攪拌ガス吹き込み深さ(m)である。
Figure 2018003042
(E)電極及びプラグの位置
上述のフラックスの厚さ、攪拌ガスの撹拌動力密度とする場合、取鍋を平面視して、電極位置とプラグ位置とが近すぎると、電極位置でのフラックスの厚さが薄くなり、加熱したフラックスの対流が促進できず、脱硫の促進が困難となる。したがって、取鍋を平面視して、電極位置とプラグ位置とは、少なくとも同一位置ではなく、適切な距離で離間させる必要がある。
具体的には、図3に示すように、取鍋10を平面視し、電極20(ここでは、通電用加熱電極21、23、25のいずれか1つを指す。)の直径(以下、「電極直径」ともいう。)をD、ガス吹き込みプラグ30の直径(以下、「プラグ直径」ともいう。)をdとする。このとき、電極20の中心とガス吹き込みプラグ30の中心との距離Lが下記式(2)を満たすように、電極20及びガス吹き込みプラグ30の位置を決定する。
L≧1.7×(D/2)+(d/2) ・・・(2)
なお、例えば多角形等のように、電極20の断面が円ではない場合、電極直径Dとして、例えば断面積が等価な円の直径を用いてもよく、電極20の中心として、例えば幾何学的な重心を用いてもよい。また、プラグ直径は、例えばガス吹き込みプラグ30の孔部に外接する円の直径を用いてもよい。このとき、ガス吹き込みプラグ30の中心は、当該外接円の中心としてもよい。
<3.まとめ>
以上、本発明の一実施形態に係る溶鋼の脱硫方法について説明した。本実施形態によれば、取鍋内の溶鋼の上部にCaOを含むフラックスを配置して、電極をフラックスに浸漬させて通電することにより溶鋼の脱硫処理を行う際、フラックスの厚さを100mm以上200mm以下とし、フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比を1.5以上2.5以下とし、脱硫処理時に添加されるCaO量(kg)を、処理する溶鋼単位量(t)当たり5(kg/t)以上15(kg/t)以下とする。
これにより、フラックス層中に生じるフラックスの対流を全体的に促進され、溶鋼中のSが効率よくフラックス中のCaOと反応してフラックス中に分配され、その結果、溶鋼のS量を下げることができる。このように、添加したCaOを有効に脱硫に利用することができる。脱硫能力を向上することで、脱硫に寄与しないCaOを削減することができるので、CaO使用量を削減できる。また、本実施形態に係る溶鋼の脱硫方法は、特に、フラックス温度が最も高くなる電極位置のフラックス層を極力厚くすることができるため、フラックスの厚さが薄くなりすぎてフラックスの対流が促進されず、脱硫が促進されないということがなくなる。
以下、本発明の取鍋精錬による溶鋼の脱硫方法の有効性について検証した結果を示す。本実施例では、図2に示した精錬設備を用いて、通電加熱型の溶鋼脱硫処理を行った。脱硫処理対象として50〜70tの粗溶鋼を取鍋に収容し、粗溶鋼の上部にフラックスを投入した。その後、電極をフラックスに浸漬させて通電を開始するとともに、取鍋の底部のガス吹き込みプラグから攪拌ガスを吹き込む底吹き撹拌を開始し、脱硫処理を開始した。脱硫処理は35分実施した。なお、精錬設備の電極及びガス吹き込みプラグは、電極中心とガス吹き込みプラグのプラグ中心との距離Lが上記式(2)を満たすように配置されている。
下記表1に示す実施例及び比較例について、上記の脱硫条件にて溶鋼の脱硫を行い、CaO単位量当たりの脱硫量(ppm/CaO量kg)に基づき、CaO使用量が削減されたか否かを評価した。かかる評価は、比較例2を基準として、脱硫量が12%以上多くなった場合には◎、脱硫量が5%以上12%未満の場合には○、脱硫量が比較例2と同等(±5%未満)あるいは悪化した場合には×と評価した。
Figure 2018003042
表1に示すように、実施例1、2では、フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比であるCaO(質量%)/Al(質量%)を2.3、脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量(kg)を8.0(kg/t)、撹拌動力密度を63W/tとして、溶鋼の脱硫処理を行った。実施例1では、フラックスの厚さを100mmとしたところ、CaO単位量当たりの脱硫量は良好であった。また、実施例2では、フラックスの厚さを200mmとしたところ、CaO単位量当たりの脱硫量は、実施例1よりは劣るものの、評価の基準とした比較例2より改善された。
実施例3〜6では、フラックスの厚さを150mm、脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量(kg)を8.0(kg/t)、撹拌動力密度を63W/tとして、溶鋼の脱硫処理を行った。CaO(質量%)/Al(質量%)の値は実施例3〜6で異なる値とした。表1より、CaO単位量当たりの脱硫量は、CaO(質量%)/Al(質量%)を1.5とした実施例3、及び、2.5とした実施例6では、評価の基準とした比較例2より改善され、CaO(質量%)/Al(質量%)を1.8とした実施例4、及び、2.4とした実施例5では、実施例3、6よりもさらに改善される結果となった。
実施例7、8では、フラックスの厚さを150mm、CaO(質量%)/Al(質量%)を2.3、撹拌動力密度を63W/tとして、溶鋼の脱硫処理を行った。実施例7では、脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量(kg)を5.0(kg/t)とし、実施例8では15.0(kg/t)としたところ、CaO単位量当たりの脱硫量は良好であった。
実施例9〜12では、フラックスの厚さを150mm、CaO(質量%)/Al(質量%)を2.3、脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量(kg)を8.0(kg/t)として、溶鋼の脱硫処理を行った。撹拌動力密度は、実施例9〜12で異なる値とした。表1より、撹拌動力密度を20W/tとした実施例9、及び、90W/tとした実施例10では、評価の基準とした比較例2より改善され、撹拌動力密度を30W/tとした実施例11、及び、80W/tとした実施例12では、実施例9、10よりもさらに改善される結果となった。
一方、比較例1は、実施例2よりさらにフラックスの厚さを大きくした場合であり、比較例2は、実施例1よりさらにフラックスの厚さを小さくした場合である。いずれの場合にも、CaO単位量当たりの脱硫量の改善は見受けられなかった。比較例1では表層のフラックスが未滓化の状態、あるいは低温となるため高粘性となり、フラックス層全体の対流が起こらず、比較例2では、フラックスの厚さが薄すぎて有効なフラックスの対流が起こりにくかったためと考える。
比較例3は、実施例3よりさらにCaO(質量%)/Al(質量%)の値を小さくした場合であり、比較例4は、実施例6よりさらにCaO(質量%)/Al(質量%)の値を大きくした場合である。いずれの場合にも、CaO単位量当たりの脱硫量の改善は見受けられなかった。比較例3ではCaOの相対濃度が低すぎて、脱硫速度が顕著に低下し、実施例4では、フラックスの流動性が悪く、フラックス層の有効な対流が確保できなかったためと考える。
比較例5は、実施例7よりさらに脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量を小さくした場合であり、比較例6は、実施例8よりさらに脱硫処理時に添加される溶鋼単位量(t)当たりのCaO量を大きくした場合である。いずれの場合にも、CaO単位量当たりの脱硫量の改善は見受けられなかった。比較例5では、脱硫処理後の溶鋼のS量が多く、脱硫処理対象の溶鋼量に比べてCaO量が少ないため、比較例6では、フラックス中のCaO濃度が高くなり、フラックスの粘性が悪化し、フラックス層の対流が起こりにくくなったためと考える。
比較例7は、実施例9よりさらに撹拌ガスの撹拌動力密度を小さくした場合であり、比較例8は、実施例10よりさらに撹拌ガスの撹拌動力密度を大きくした場合である。いずれの場合にも、CaO単位量当たりの脱硫量の改善は見受けられなかった。比較例7では、溶鋼の撹拌が弱すぎて、溶鋼流のせん断力によって発生するフラックス層の対流が弱くなり、効率的な脱硫が行われず、比較例8では、溶鋼の撹拌が強すぎて、電極の浸漬部位におけるフラックスの厚さが極端に薄くなり、対流するフラックスの温度上昇効果が低下したためと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
3 攪拌ガス
5 溶鋼
7 フラックス
10 取鍋
12 上蓋
20 電極
21、23、25 通電用加熱電極
30 ガス吹き込みプラグ

Claims (3)

  1. 取鍋内の溶鋼の上部にCaOを含むフラックスを配置して、電極を前記フラックスに浸漬させて通電することにより前記溶鋼の脱硫処理を行う、取鍋精錬による溶鋼の脱硫方法であって、
    前記取鍋内の前記溶鋼の上部に配置される前記フラックスの厚さを100mm以上200mm以下とし、
    前記フラックスに含まれるCaOの含有量(質量%)とAlの含有量(質量%)との比であるCaO(質量%)/Al(質量%)を1.5以上2.5以下とし、
    前記脱硫処理時に添加されるCaO量(kg)を、脱硫処理対象の溶鋼単位量(t)当たりの値で5(kg/t)以上15(kg/t)以下とする、溶鋼の脱硫方法。
  2. 前記脱硫処理時に前記溶鋼を攪拌する攪拌ガスの撹拌動力密度は、20W/t以上90W/t以下とする、請求項1に記載の溶鋼の脱硫方法。
  3. 前記脱硫処理時に前記溶鋼を攪拌する攪拌ガスの撹拌動力密度は、30W/t以上80W/t以下とする、請求項2に記載の溶鋼の脱硫方法。
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