JP4722772B2 - 高清浄度鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高清浄度鋼の製造方法に関するものである。
従来より、優れた疲労寿命や静粛性が求められる機械部品(例えば、ベアリング)などの元となる鋼材は、Al23に代表されるような非金属介在物の低減を極力行った清浄度の高い鋼であることが重要である。
このような清浄度の高い鋼(高清浄度鋼)は、一般的に、転炉にて溶鋼の脱炭処理を行った後、二次精錬装置にて溶鋼における化学成分の微調整や溶鋼に含まれる非金属介在物の低減を行い、連続鋳造装置にて鋳造することで製造される。
高清浄度鋼の製造では、鋼の品質を向上させるため、二次精錬の際に非金属介在物の低減を可及的に行うことが求められており、非金属介在物の低減する技術としては特許文献1、2に示されているものがある。
特許文献1では、RH装置で溶鋼を精錬する際、未脱酸溶鋼を用いた処理(以降、リムド処理ということがある)を連続して2回行うか、又は、10分以上継続するリムド処理を少なくとも1回以上行い、これによって、RH装置の脱ガス槽内に付着した地金を除去し、その後に、高清浄度鋼の製造を行っている。
即ち、特許文献1によれば、高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する前に、別の溶鋼を用いてRH装置でリムド処理を行うことでRH装置の脱ガス槽内における地金量を減らしている。
こうすることで、高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する際に、脱ガス槽内の地金が高清浄度鋼向けの溶鋼に混入しないようにしている。RH装置での精錬の際に、高清浄度鋼向けの溶鋼に脱ガス槽内の地金が混入しないので、溶鋼中の非金属介在物が増加しない。
特許文献2では、未脱酸状態(以下、リムド状態ということがある)の溶鋼をRH装置で精錬すると共に、脱ガス槽内に酸素吹きランスを装入して酸素ガスを吹き込むことで脱ガス槽内における地金を溶解している。
したがって、特許文献2でも高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する前に、RH装置の脱ガス槽内の地金を減らしている。
特開2003−171716号公報 特開2005−272958号公報
従来の方法では、高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する前にRH装置の脱ガス槽内の地金を減らす技術が開示されているが、RH装置の脱ガス槽内の地金を減らす時期や地金を減らす目的で用いる溶鋼の温度や酸素濃度などが詳細に開示されておらず、従来の方法を用いても十分に非金属介在物の低減ができない。
そこで、本発明は、非金属介在物の低減を十分に行うことができる高清浄度鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明は、転炉又は電気炉から高清浄度鋼向けの溶鋼を取鍋に出鋼し、当該取鍋
を取鍋精錬装置に搬送して精錬を行い、取鍋精錬装置で精錬された高清浄度鋼用の溶鋼をRH装置で精錬することで高清浄度鋼を製造する高清浄度鋼の製造方法において、前記高清浄度鋼向けの溶鋼を転炉又は電気炉から取鍋に装入する直前に、当該高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に対して他の溶鋼を装入して取鍋精錬装置でCaO/SiO2≧4.
5の高塩基度スラグを用いて精錬を行っておき、前記高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する直前に、当該RH装置に対してフリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上である他の溶鋼を用いて精錬を行い、その際に式(1)で求めた還流時間だけ溶鋼還流しておき、その後、前記高清浄度鋼用の溶鋼に対し、取鍋精錬装置及びRH装置で精錬する点にある。
Figure 0004722772
発明者は、上述したように、非金属介在物の低減を十分に行うことができる方法を様々角度から検証した。発明者は、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に多量に地金が付着している場合、当該取鍋に高清浄度鋼向けの溶鋼を装入して取鍋精錬装置(LF装置)やRH装置で処理を行っても地金が高清浄度鋼向けの溶鋼に溶け込み溶鋼の酸素濃度を上昇させてしまい、その結果、非金属介在物が増加してしまう点に着目した。
これを回避するために、様々な検証を行った結果、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に対しても地金の除去が必要であり、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に対して溶鋼を装入して取鍋精錬装置でCaO/SiO2≧4.5の高塩基度スラグを用いて精錬を
行うことで、取鍋の地金を除去することが必要であることを突き止めた。
これに加え、発明者は、RH装置の脱ガス槽内の地金を減らすことについて様々検証を行った。その結果、高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する直前に、当該RH装置に対してフリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上である他の溶鋼を用いて精錬を行い、その際に式(1)で求めた還流時間だけ溶鋼を還流することによって、RH装置の脱ガス槽内の地金を減らし、このように地金を減らしたRH装置で高清浄度鋼向けの溶鋼を精錬することで、非金属介在物の低減を可及的に行うことを突き止めた。
本発明における高清浄度鋼の製造方法よれば、非金属介在物の低減を十分に行うことができる。
本発明の高清浄度鋼の製造方法について説明する。
以下、本発明の高清浄度鋼の製造方法は、図1に示すように、転炉1から高清浄度鋼向けの溶鋼を取鍋2に出鋼し、この取鍋2を二次精錬装置3に搬送して当該二次精錬装置3で精錬することで、高清浄度鋼の製造をするものである。二次精錬装置3で処理された高清浄度鋼向けの溶鋼は連続鋳造装置で鋳造されることとなる。なお、高清浄度鋼向けの溶鋼は電気炉から出鋼したものであってもよい。
二次精錬装置3は、取鍋精錬装置(LF装置)5と、RH装置6とを有するもので、高
清浄度鋼向けの溶鋼は取鍋精錬装置5で精錬され、その後、RH装置6で精錬されるようになっている。
取鍋精錬装置5は、電極加熱式の精錬装置であって、溶鋼が装入された取鍋2と、取鍋2の溶鋼内にガスを吹き込む吹き込み装置7と、溶鋼を加熱する電極式加熱装置8と、フラックス等を投入するための供給装置9とを有している。
吹き込み装置7は、取鍋2の底部に設けられてその底部からガスを吹き込むポーラス吹込口15と、取鍋2の上部からガスを吹き込むランス16とを備えている。ランス16の先端には溶鋼内にガスを吹き込むノズルが設けられている。なお、吹き込み装置7は、ポーラス吹込口15のみを有するものであっても、ランス16のみを有するものであってもよい。
以上の取鍋精錬装置5では、電極式加熱装置8で溶鋼を所定温度まで上げて、吹き込み装置7からガスを吹き込んで溶鋼を攪拌することによって、化学成分の微調整を行うと共に、溶鋼2内に含まれる非金属介在物の低減を行うことができる。
RH装置6は、溶鋼の脱ガスを行うものであって、溶鋼が装入された取鍋2と、真空状態となって溶鋼内の脱ガスを行う脱ガス槽10とを有している。取鍋2は、取鍋精錬装置5で用いられた取鍋2と同一のものであって、脱ガス槽10の直下に配置されるようになっている。
脱ガス槽10の下部には取鍋2内の溶鋼に浸漬させる2本の浸漬管11,11が設けられており、この浸漬管11,11の一方にはArガス等の不活性ガスを吹き込む吹き込み口(図示省略)が設けられている。脱ガス槽10の上部には、脱ガス槽10のガスを排気する排気口13が設けられている。
以上のRH装置6では、浸漬管11,11を取鍋2内の溶鋼に浸漬し、吹き込み口から不活性ガスを吹き込むと共に、排気口13から脱ガス槽10のガスを排気して脱ガス槽10内を略真空状態して溶鋼を脱ガス槽10と取鍋2との間で循環させることで、溶鋼内に存在する水素等のガス成分を除去することができる。
以下、本発明の高清浄度鋼の製造方法について詳しく説明する。図1は、本発明の高清浄度鋼の製造方法の過程を示したものである。
図1の枠Aに示すように、高清浄度鋼の製造方法では、転炉1から高清浄度鋼向けの溶鋼を取鍋2に出鋼し、当該取鍋2を取鍋精錬装置5に搬送して精錬を行い、取鍋精錬装置5で精錬された高清浄度鋼用の溶鋼をRH装置6で精錬するが、本発明の高清浄度鋼の製造方法では、高清浄度鋼向けの溶鋼を転炉1から取鍋2に装入する直前に、この取鍋2に対して溶鋼を装入して取鍋精錬装置5でCaO/SiO2≧4.5の高塩基度スラグを用
いて精錬を行う。
具体的には、高清浄度鋼向けの溶鋼が装入される取鍋2(高清浄度鋼用取鍋2aということがある)について着目すると、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する1ヒート前において、前記取鍋2aに高清浄度鋼向けの溶鋼とは異なる溶鋼を転炉1から装入して取鍋精錬装置5に搬送し、当該取鍋a2を用いて取鍋精錬装置5で精錬処理を行う。なお、説明の便宜上、高清浄度鋼向けの溶鋼を処理する1ヒート前に取鍋精錬装置5で処理することを取鍋前処理ということがある。
取鍋前処理の際は、溶鋼上のスラグの組成がSiO2の質量に対してCaOの質量が4
.5以上となるように、加熱温度を調整したり副原料(フラックス)の投入量を調整する。
取鍋前処理の際は、溶鋼の温度が1580℃以上となっている状態で溶鋼の攪拌を20分以上攪拌することが好ましい。また、溶鋼温度が1580℃以上の溶鋼を20分以上攪
拌する際は、攪拌動力密度を50W/t以上とすることが好ましい。
以上のことにより、本発明の高清浄度鋼の製造方法では、高清浄度鋼向けの溶鋼を高清浄度鋼用取鍋2aに装入する前に、当該高清浄度鋼用取鍋2aに別の溶鋼を装入して取鍋精錬装置5で精錬を行うこととしている。高清浄度鋼向けの溶鋼を高清浄度鋼用取鍋2aに装入する前に、高清浄度鋼用取鍋2aに別の溶鋼を装入して取鍋精錬装置5で精錬を行うことによって、詳しくは後述するが、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した地金を予め除去することができる。
また、本発明の高清浄度鋼の製造方法では、高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置6で精錬する直前に、当該RH装置6に対してフリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上である他の溶鋼を用いて精錬を行い、その際に式(1)で求めた還流時間だけ溶鋼を還流しながら精錬を行う。
Figure 0004722772
具体的には、RH装置6に着目すると、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する1ヒート前(1チャージ前)において、当該RH装置6に高清浄度鋼向けの溶鋼とは別の溶鋼が装入された取鍋2bを搬入し、当該RH装置6で精錬処理を行う。なお、説明の便宜上、高清浄度鋼向けの溶鋼を処理する1ヒート前にRH装置6で処理することをRH前処理ということがある。
RH前処理の際は、フリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上となっている溶鋼に対して精錬処理行う。RH前処理の際は、溶鋼がリムド状態であることから、処理の際に、溶鋼内の酸素成分と炭素成分とが反応してCOガスが発生し易く、このCOガスによって処理中の溶鋼の湯面は脱ガス槽10内で上方に大きく盛り上がることとなる。
脱ガス槽10内での溶鋼の盛り上がりによって、脱ガス槽10の内面上側に付着した地金を溶鋼によって溶かすことができ、脱ガス槽10の内面上側に付着した地金を除去することができる。
さて、本発明の高清浄度鋼の製造方法では、RH前処理の際に、リムド状態で還流する時間を式(1)で求める時間とすることで、溶鋼によって地金を除去できる時間を十分に確保している。この式(1)は、様々な実験等により求められたものである。
実験の結果、脱ガス槽10内の地金を溶鋼で溶かして除去するためには、溶鋼が1580℃の場合には、溶鋼をリムド状態に保った状態で15分還流すれば十分であることが分かった。ゆえに、地金を除去するために還流しなければならない時間である15分を基準とし、この数値を式(1)の右辺の1項目の係数「15」として表している。
しかしながら、溶鋼温度を1580℃以上にしたり、溶鋼還流量を増加させた場合、当然に脱ガス槽10内の地金が溶けるのが速くなることから、溶鋼温度や溶鋼還流量によって溶鋼をリムド状態に保った状態で還流する時間を15分よりも小さくすることが可能である。
そこで、式(1)に示すように、真空脱ガス時間の効率化を図るために、溶鋼温度、溶鋼還流量の2つのファクターを用いて、脱ガス槽10内の地金を溶鋼で溶かすための最少の還流時間を修正している。
詳しくは、溶鋼温度が1580℃以上であれば、溶鋼の熱によって地金は良く溶け、溶鋼温度が1580℃以下になると溶鋼によって地金を溶かす能力が極端に低下するので、式(1)に示すように、実際の溶鋼温度から基準となる温度(1580℃)との差(T−1580)をとり、この温度差に溶鋼還流量Qをかけて、短縮できる時間を求めるものとした。なお、前記T−1500に溶鋼還流量Qをかけた値は最大で9000の値となるが、係数αをかけることにより最適化を図った。係数αを様々に変化させた値とリムド状態の還元時間と品質の良否を比べ、品質良好な全ての条件でt≧15−α[(T−1580
)×Qを満足させる最大の係数αを求めたところ、α=1/1000であった。また、溶鋼還流量Qは、式(2)により算出している。
Figure 0004722772
式(1)で求めた還流時間の経過後は、成分調整等を実施後、RH前処理を終了する。
次に、取鍋前処理が終了すると、高清浄度鋼用取鍋2aを連続鋳造装置(CC装置)に搬送する。鋳造が完了して溶鋼が空になった高清浄度鋼用取鍋2aを転炉1に移送して、この取鍋2に高清浄度鋼用の溶鋼を装入する。
転炉1から高清浄度鋼向けの溶鋼が高清浄度鋼用取鍋2aに装入されると、その高清浄度鋼用取鍋2aを取鍋精錬装置5に搬送して精錬処理後、高清浄度鋼用取鍋2aをRH前処理後のRH装置6に搬送して、RH装置6で精錬を行う。
表1は、本発明の高清浄度鋼の製造方法を実施した実施例と、本発明の高清浄度鋼の製造方法を実施しなかった比較例とを示したものである。
Figure 0004722772
実施例や比較例では、還元処理後の溶鋼に対して非金属介在物の低減度合いを評価するためにアルミナ系介在物個数を測定した。
アルミナ系介在物個数はEPMA(電子プローブ・マイクロアナライザー)で計測した。使用したEPMAは日本電子社製「JXA−8000」シリーズで、測定条件は加速電圧20kv、X線種はK線、ビーム径は2μmとし、EDS検出器を使用した。
EPMAで観測された介在物の短径が5μm以上の介在物で、CaO−Al23−SiO2−MgOの4元系換算でAl23を50%以上且つCaOを5%以下含有するものを
アルミナ系介在物とし、その個数を計測した。計測では、信頼性を確保するために3000mm2以上観測した。
以下、実施例及び比較例について詳しく説明する。
表1に示すように、比較例1〜3では、RH前処理の際に、当該RH前処理直前の溶鋼のフリー酸素が300ppm以下であるからRH前処理の際に溶鋼の湯面が脱ガス槽10内で十分に上方に上がらなかったため、上部側に付着した地金を溶鋼の熱によって溶かして除去することが十分にできなかった。その結果、除去されなかった地金が高清浄度鋼の処理の際に溶鋼内に溶け込んでしまい高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物が増加した。アルミナ系介在物の個数を調べると、4.0個/cm2よりも多くなった(評価
「×」)。
比較例4〜6では、処理開始からリムド状態で還流する還流時間が式(1)を満たさず式(1)の右辺よりも小さかったことから溶鋼によって地金を除去する時間が短かったため、
脱ガス槽10内の地金を溶鋼によってあまり除去することができず、その結果、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物が増加した。アルミナ系介在物の個数を調べると、4.0個/cm2よりも多くなった(評価「×」)。
比較例7〜9では、RH前処理の際に、当該RH前処理直前の溶鋼温度が1580℃以下であり温度が低いのでRH前処理の際に溶鋼によって地金を十分に溶かして除去することができなかった。その結果、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は4.0個/cm2よりも多くなった(評価「×」)。
比較例10、11では、高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する1ヒート前に、高清浄度鋼用取鍋2aを取鍋精錬装置5に搬送して取鍋前処理を行わなかったため、高清浄度鋼用取鍋2aに高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する前に、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した地金が十分に除去されないこととなる。その結果、高清浄度鋼用取鍋2aに地金が多く付着した状態で高清浄度鋼向けの溶鋼を転炉1から装入することとなるので、付着した地金が高清浄度鋼向けの溶鋼と混ざり合い高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は4.0個/cm2よりも多くなった(評価「×」)。
比較例12、13では、取鍋前処理の際に、CaO/SiO2≧4.5の高塩基度スラ
グを用いて精錬を行っていないので、取鍋前処理の際に高清浄度鋼用取鍋2aに低塩基度スラグが付着した。その結果、高清浄度鋼向けの溶鋼を取鍋精錬装置5で処理する際に、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した低塩基度スラグが溶け出し、SiO2がAlと反応して
Al23が生成され、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物が多くなる。高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は4.0個/cm2よりも多くなった(評価「×
」)。
実施例14〜17では、取鍋前処理の際に、高清浄度鋼用取鍋2aを当該取鍋精錬装置5に搬送し、CaO/SiO2≧4.5の高塩基度スラグを用いて精錬を行い、RH前処
理の際には、フリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上である溶鋼を用
いて精錬を行う際に、リムド状態で還流する還流時間を式(1)で求めた時間としているので、取鍋前処理の際に、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した地金を十分に除去でき、RH前処理の際に、溶鋼の湯面が脱ガス槽10内で上方に十分に膨れあがるので脱ガス槽10内で上部側の地金を十分に除去することができた。
しかも、実施例14〜17では、RH前処理の際に溶鋼温度が1580℃以上であるため脱ガス槽10内の地金を溶かすのに十分な温度であり、リムド状態で還流する還流時間を還流時間を式(1)を満たすようにしているので、地金を溶かす時間を十分に確保することができた。その結果、実施例14〜17では、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は3.0個/cm2程度であった(評価「△」)。
実施例18では、実施例14〜17における精錬条件に加え、RH前処理の際に溶鋼温度が1580℃以上のときの溶鋼攪拌時間を20分以上とし、溶鋼温度及び溶鋼攪拌時間を長くしているので、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した地金を実施例14〜17に比べより多く除去でき、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は2.7個/cm2であ
った(評価「○」)。なお、実施例18では、溶鋼の攪拌動力密度を50W/t以下である。
実施例19では、実施例14〜17における精錬条件に加え、RH前処理の際に、溶鋼の攪拌動力密度を50W/t以上とし攪拌力が大きいので、高清浄度鋼用取鍋2aに付着した地金を実施例14〜17に比べより多く除去でき、高清浄度鋼の溶鋼に含まれるアルミナ系介在物は2.5個/cm2であった(評価「○」)。なお、実施例19では、溶鋼
温度が1580℃以上のときの溶鋼攪拌時間は20分以下である。
実施例20〜24では、実施例14〜17における精錬条件に加え、RH前処理の際に溶鋼温度が1580℃以上のときの溶鋼攪拌時間を20分以上とし、且つ、このときの攪拌動力密度は50W/t以上である。その結果、アルミナ系介在物個数を2.0個/cm2以下に抑えることができた(評価「◎」)。
図2は、鋼材(溶鋼2)に含まれるアルミナ系介在物個数と、鋼材を元にして製造したベアリングでの転動寿命との関係をまとめたものである。
図2に示すように、アルミナ系介在物個数が少なくなる程、ベアリングが破壊に至るまでの転動回数が増加していて転動寿命は長い。一方で、アルミナ系介在物個数が多くなる程、転動寿命となるベアリングの転動回数が減少していて転動寿命は短い。
特に、アルミナ系介在物個数が4.0個/cm2よりも小さい鋼材で製造したベアリン
グの転動寿命は50×106以上で長寿命あるのに対し、アルミナ系介在物個数が3.0
個/cm2よりも大きい鋼材で製造したベアリングの転動寿命は50×106未満で短寿命である。
したがって、高清浄度鋼を製造するにあたり、本発明の高清浄度鋼の製造方法を採用すれば、当該高清浄度鋼で製造した機械部品(例えば、ベアリング)の疲労寿命(転動寿命)を優れたものにすることが可能となる。
高清浄度鋼の製造の工程を示した図である。 アルミナ系介在物個数とベアリングの転動寿命(転動疲労寿命)との関係図である。
符号の説明
1 転炉
2 取鍋
3 二次精錬装置
5 取鍋精錬装置
6 RH装置

Claims (2)

  1. 転炉又は電気炉から高清浄度鋼向けの溶鋼を取鍋に出鋼し、当該取鍋を取鍋精錬装置に搬送して精錬を行い、取鍋精錬装置で精錬された高清浄度鋼用の溶鋼をRH装置で精錬することで高清浄度鋼を製造する高清浄度鋼の製造方法において、
    前記高清浄度鋼向けの溶鋼を転炉又は電気炉から取鍋に装入する直前に、当該高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に対して他の溶鋼を装入して取鍋精錬装置でCaO/SiO2≧4.5の高塩基度スラグを用いて精錬を行っておき、
    前記高清浄度鋼向けの溶鋼をRH装置で精錬する直前に、当該RH装置に対してフリー酸素が300ppm以上で且つ温度が1580℃以上である他の溶鋼を用いて精錬を行い、その際に式(1)で求めた還流時間だけ溶鋼を還流しておき、
    その後、前記高清浄度鋼用の溶鋼に対し、取鍋精錬装置及びRH装置で精錬するこを特徴とする高清浄度鋼の製造方法。
    Figure 0004722772
  2. 前記高清浄度鋼向けの溶鋼を転炉又は電気炉から取鍋に装入する直前に、当該高清浄度鋼向けの溶鋼を装入する取鍋に対して溶鋼を装入して取鍋精錬装置で精錬する際、温度が1580℃以上の溶鋼に対して溶鋼の攪拌時間を20分以上とすると共に、攪拌動力密度を50W/t以上とすることを特徴とする請求項1に記載の高清浄度鋼の製造方法。
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CN102329919A (zh) * 2011-09-01 2012-01-25 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 控制钢中非金属夹杂物形态的方法
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