以下、添付の図面を参考にして、本発明の各実施例に対して本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する各実施例に限定されるものではない。本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付することにする。
まず、本発明の新規の多官能基溶媒を用いて有機フッ化脂肪族化合物の製造方法、及び前記製造された有機フッ化脂肪族化合物のSPEを用いた精製方法に対して詳細に説明する。
本発明は、フッ化塩を、下記化学式1で表示される多官能基溶媒を用いて離脱基を有する脂肪族化合物と反応させ、前記離脱基の代わりに、[18F]フッ化物が標識された脂肪族化合物の獲得段階を含む有機フッ化脂肪族化合物の製造方法を提供する:
(前記化学式1において、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素、C1〜C10アルキル基又はX1と同一の官能基で、Lnは、C1〜C10アルキル基又はCH2(OCH2CH2)nにおいて、n=1〜10の整数であるポリエチレングリコールで、X1は、極性グループとして、アルコキシ基(OR3)、ニトリル基(CN)及びハロゲン化物から選ばれるいずれか一つで、R3は、C1〜C10アルキル基である。)
前記フッ化塩は、[18F]フッ化物の供給源として使用されるものであって、フッ素−18を含む化合物である。前記フッ化塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムで構成される群から選ばれたアルカリ金属を含んで構成されたアルカリ金属フッ化物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムで構成される群から選ばれたアルカリ土金属を含んで構成されたアルカリ土金属フッ化物;及びフッ化アンモニウムから選ばれてよく、フッ化カリウム又はフッ化アンモニウムであることがより好ましい。前記カリウムを含むアルカリ金属フッ化物又はフッ化テトラアルキルアンモニウムは、セライト(Celite)、分子篩(Molecular Seive)、アルミナ及びシリカゲルから選ばれたいずれか一つの支持体によって吸着したものであるが好ましい。前記フッ化アンモニウムは、フッ化テトラブチルアンモニウム及びフッ化ベンジルトリメチルアンモニウムを含む4次フッ化アンモニウム;フッ化トリエチルアンモニウム及びフッ化トリブチルアンモニウムを含む3次フッ化アンモニウム;フッ化ジブチルアンモニウム及びフッ化ジヘキシルアンモニウムを含む2次フッ化アンモニウム;フッ化ブチルアンモニウム及びフッ化ヘキシルアンモニウムを含む1次フッ化アンモニウムで構成される群から選ばれてよく、フッ化テトラブチルアンモニウムであることがより好ましい。
本発明によって、前記離脱基を有する脂肪族化合物は、ハロゲン化アルキルグループ又はスルホン酸アルキルグループを有する脂肪族化合物であって、前記ハロゲン化物グループ又はスルホン酸グループが離脱基になる。又は、前記ハロゲン化物グループ又はスルホン酸グループが1次離脱基又は2次離脱基になってよい。前記ハロゲン化物グループは、Cl、Br及びIで構成された群から選ばれるいずれか一つを含み、前記スルホン酸グループは、−SO3R12(R12は、C1〜C12アルキル基、ハロC1〜C12アルキル基、フェニル基、C1〜C4のアルキルフェニル基、ハロフェニル基、C1〜C4のアルコキシフェニル基、及びニトロフェニル基で構成される群から選ばれるいずれか一つ)である。前記スルホン酸アルキルグループ(R12がC1〜C12アルキル基、ハロC1〜C12アルキル基)の例示は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、又はクロロエタンスルホン酸などを含んでよい。前記アリルスルホン酸グループ(R12がフェニル基、C1〜C4のアルキルフェニル基、ハロフェニル基、C1〜C4のアルコキシフェニル基、又はニトロフェニル基)の例示は、メチルフェニルスルホン酸、エチルフェニルスルホン酸、クロロフェニルスルホン酸、ブロモフェニルスルホン酸、メトキシフェニルスルホン酸又はニトロフェニルスルホニルなどを含んでよい。
又は、他の一実施例において、本発明に係る前記離脱基を有する脂肪族化合物は、N−(CH2)n−X2又はO−(CH2)n−X2(X2は、離脱基で、n=1〜1−10の整数)を有する脂肪族化合物を含んでよい。
前記X2は、ハロゲン化物グループ又はスルホン酸グループを含み、前記ハロゲン化物グループは、Cl、Br及びIで構成された群から選ばれるいずれか一つを含み、前記スルホン酸グループは、−SO3R12(R12は、C1〜C12アルキル基、ハロC1〜C12アルキル基、フェニル基、C1〜C4のアルキルフェニル基、ハロフェニル基、C1〜C4のアルコキシフェニル基、及びニトロフェニル基で構成される群から選ばれるいずれか一つ)である。前記スルホン酸アルキルグループ(R12がC1〜C12アルキル基、ハロC1〜C12アルキル基)の例示は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、又はクロロエタンスルホン酸などを含んでよい。前記アリルスルホン酸グループ(R12がフェニル基、C1〜C4のアルキルフェニル基、ハロフェニル基、C1〜C4のアルコキシフェニル基、又はニトロフェニル基)の例示は、メチルフェニルスルホン酸、エチルフェニルスルホン酸、クロロフェニルスルホン酸、ブロモフェニルスルホン酸、メトキシフェニルスルホン酸又はニトロフェニルスルホニルなどを含んでよい。
ロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−toluenesulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)、OMsを1次離脱基として有する有機化合物である(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)、OTsを2次離脱基として有する有機化合物である3−(2−ニトロイミダゾール−1−イル)−2−O−テトラヒドロピラニル−1−O−トルエンスルホニルプロパンジオール(3−(2−nitroimidazol−1−yl)−2−O−tetrahydropyranyl−1−O−toluenesulfonylpropanediol)、ONsを2次離脱基として有する有機化合物である5'−O−DMTr−2'−デオキシ−3'−O−ノシル−b−D−トレオ−ペントフラノシル)−3−N−BOC−チミン(5'−O−DMTr−2'−deoxy−3'−O−nosyl−b−D−threo−pentofuranosyl)−3−N−BOC−thymine)、OTfを2次離脱基として有する有機化合物であるマンノーストリフレート(mannose triflate、1,3,4,6−tetra−O−acetyl−2−O−trifluoro−methanesulfonyl−beta−D−mannopyranose)、Clを1次離脱基として有する有機化合物である((E)−4−クロロブタ−2−エニル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((E)−4−chlorobut−2−enyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)などを含んでよい。
本発明に係る有機フッ化脂肪族化合物の製造方法によって製造された有機フッ化脂肪族化合物は、放射性医薬品も含んでよい。前記放射性医薬品は、次のうち少なくともいずれか一つを含んでよい:
本発明に係る多官能基溶媒は、放射性同位元素の標識効率を向上させる官能基であって、アルコール基(化学式1のアルコール基)と、精製効率を向上させる官能基(化学式1のX1)と、最適反応温度の設定が可能なリンカー(化学式1のLn)とを含む。
[18F]フッ化物を、求核性置換反応を通じて標識する場合、必ず一定量の塩基を使用しなければならなく、代表的に、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムなどが使用される。これらの塩基は、前駆体と副反応を起こし、前駆体の消耗をもたらし、[18F]フッ化物の標識効率を低下させるようになる。しかし、本発明に係る多官能基溶媒に含まれるアルコール基は、このような塩基による前駆体の副反応を抑制し、反応に参加する前駆体の量を保存することによって高収率の放射性医薬品の製造を可能にするという効果を有することができる。
また、本発明に係る多官能基溶媒に含まれるX1グループ(化学式1のX1グループ)によって極性度が増加するので、本発明に係る多官能基溶媒は、水に対する溶解度が増加するようになり、これによって、多様な精製方法、例えば、固相抽出(SPE)カートリッジを使用して簡単に精製する方法及びHPLC精製法などの適用が可能であり、高純度の放射性医薬薬品の製造が可能であり、従来の水に対する溶解度が良くない反応溶媒の場合、必ず反応溶媒の除去のために必要な乾燥段階が省略可能であるので、反応時間が短縮されるという効果を有することができる。
また、本発明に係る多官能基溶媒に含まれるリンカー(化学式1のLn)の場合、沸点を上昇させるので、最適な反応温度の設定が可能であることから、高収率で放射性医薬品を製造できるようにするという効果を有することができる。
また、本発明に係る有機フッ化脂肪族化合物の製造方法は、少なくとも一つのイオン交換SPEカートリッジを用いて前記獲得された[18F]フッ化物が標識された脂肪族化合物の精製段階をさらに含んでよい。
上述したように、本発明に係る多官能基溶媒を用いて有機フッ化脂肪族化合物を製造すると、合成された有機フッ化脂肪族化合物は、HPLC又はSPEの全てを用いて精製できるが、HPLCの場合は、SPEに比べて精製過程で放射能損失が発生するおそれがあり、大量生産の場合、放射能による分解産物が発生する可能性が存在する。これは、特に、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造するときに該当する。前記放射能分解産物の場合、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと類似する滞留時間を有することによって、放射化学的純度が低下するという問題が発生する。また、HPLC精製の場合、作業者や研究者の熟練度によってその結果物に差が発生し得るので、安定的な高品質の放射性医薬品の提供が難しいこともある。このような問題点を解決するために、一般に製剤化に広く使用される逆相SPEカートリッジを用いて精製することができる。しかし、逆相SPEカートリッジを使用する場合、放射化学的純度はHPLCより優れるとしても、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと類似する極性度を有する不純物([18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパン合成のために使用される前駆体のうち、フッ化物反応後に残留する、フッ化物反応に参加できず、化学構造が変化した中間体化合物)が精製されにくいことがある。すなわち、これらの不純物が合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと存在比率に差があり得るが、前記各不純物は、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと親脂質性がほぼ同一であり、逆相基盤のSPEカートリッジを使用して精製する場合、前駆体基盤の有機不純物がほとんど除去されないことを下記実施例を通じて確認した。
しかし、本発明に係るイオン交換SPE精製法を用いる場合、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと類似する極性度を有する有機不純物から高効率で[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製できるようになる。
本発明に係るイオン交換SPE精製法は、イオン交換SPEカートリッジを用いるが、イオン交換SPEカートリッジは、陽イオン交換SPEカートリッジ及び陰イオン交換SPEカートリッジのうち少なくともいずれか一つを含んでよい。前記イオン交換SPEカートリッジは、フェニル基及び炭化水素C1−20で構成されたポリマー又はシリカからなる固体支持体からなってよい。このとき、前記陽イオン交換SPEカートリッジは、SCX(シリカ基盤の強い陽イオン交換)SPEカートリッジ、MCX(ポリマー基盤の強い陽イオン交換)SPEカートリッジ、及びWCX((ポリマー基盤の弱い陽イオン交換)SPEカートリッジのうち少なくともいずれか一つを含んでよく、前記陰イオン交換SPEカートリッジは、SAX(シリカ基盤の強い陰イオン交換)SPEカートリッジ、MAX((ポリマー基盤の強い陰イオン交換)SPEカートリッジ、及びWAX((ポリマー基盤の弱い陰イオン交換)SPEカートリッジのうち少なくともいずれか一つを含んでよい。
上述したように、本発明によると、多官能基反応溶媒を用いて離脱基を有する脂肪族化合物の有機フッ化を通じて、有機フッ化脂肪族化合物が高収率、高効率、高純度で製造可能になる。また、本発明に係る多官能基反応溶媒は、水に対する親和性が高いので、別途の溶媒乾燥過程が必要でなく、有機フッ化脂肪族化合物の精製が可能になる。また、本発明に係る有機フッ化脂肪族化合物は、HPLC又はSPEの全てが精製可能であるが、本発明に係るイオン交換SPE精製方法を用いて精製する場合、フッ化物反応後に存在する残余不純物の除去効率まで向上するという効果を達成することができる。
以下、本発明を下記実施例によってより詳細に説明することにする。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲が下記実施例のみに限定されることはなく、当業界の通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に対して多様な変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
実施例1.反応溶媒1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールの利用
実施例1−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に1−フェニル−4−(3−トシルプロピル)−フェニルピペラジンを溶かしたアセトニトリル0.1mL及び本発明に係る多官能基反応溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
実施例1−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例1と同一の方法を用い、前記反応容器に2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(OMsを1次離脱基として有する脂肪族化合物)及び2−(2−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(OMsを2次離脱基として有する脂肪族化合物)をそれぞれ溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
比較例1.反応溶媒アセトニトリルの利用
比較例1−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例1−1と同一の材料及び方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリルを用いて1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
比較例1−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例1−1と同一の材料及び方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリルを用いて2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン及び2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを製造した。
比較例2.反応溶媒t−アミルアルコールの利用
比較例2−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例1−1と同一の材料及び方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコールを用いて1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
比較例2−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例1−1と同一の材料及び方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコールを用いて2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン及び2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを製造した。
前記実験結果は、下記の表1に示す通りである。
前記表1に示すように、本発明に係る多官能基溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物を製造した結果、標識効率が約90%以上を示し、合成収率は61%以上を示し、高収率、高純度、高効率で有機フッ化脂肪族化合物を製造できることを確認できた。その一方、従来の反応溶媒であるt−アミルアルコール(比較例2)を使用した場合、OMs離脱基を有するO−アルキル脂肪族化合物に対する有機フッ化脂肪族化合物の標識効率は90%以上を示し、合成収率が10%水準と示され、有機フッ化脂肪族化合物を効率的に製造できなく、OTs離脱基を有するN−アルキル脂肪族化合物に対する有機フッ化脂肪族化合物の標識効率は52.4%と低く、合成収率も12.4%と低いことを確認した。また、従来の反応溶媒であるアセトニトリル(比較例1)の場合、OTs離脱基を有するN−アルキル脂肪族化合物に対する有機フッ化脂肪族化合物の標識効率は9.1%と極めて低く、合成収率も6.2%と非常に低く、OMs離脱基を有するO−アルキル脂肪族化合物に対する有機フッ化脂肪族化合物の標識効率は56.5%、43.7%を示してそれほど高くなく、合成収率もそれぞれ31.1%、20.4%を示して非常に低いので、有機フッ化脂肪族化合物を効率的に製造できないことを確認した。
実施例2.反応溶媒1−クロロ−2−メチル−2−プロパノールの利用
実施例2−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に1−フェニル−4−(3−トシルプロピル)−フェニルピペラジンを溶かしたアセトニトリル0.1mL及び本発明に係る多官能基反応溶媒である1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させ、1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
実施例2−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に2−(3−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(OMsを1次離脱基として有する脂肪族化合物)又は2−(2−メタンスルホニルオキシプロポキシ)ナフタレン(OMsを2次離脱基として有する脂肪族化合物)を溶かしたアセトニトリル0.1mL及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
前記表2に示すように、実施例2は、本発明に係る多官能基溶媒として1−クロロ−2−メチル−2−プロパノールを使用して有機フッ化脂肪族化合物を製造した場合であって、実施例2−1の場合、標識効率と合成収率がそれぞれ58.2%と42.3%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルに比べて約6倍〜7倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約3倍ほど高いことが確認された。
実施例2−2の場合、標識効率はそれぞれ87.1%、85.4%と高く示され、合成収率はそれぞれ51.9%、53.1%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルの合成収率に比べて約2倍〜3倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約5倍ほど高いことが確認された。
実施例3.反応溶媒1−ニトリル−2−メチル−2−プロパノールの利用
実施例3−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−1と同一の材料及び同一の方法を用いてOTsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−ニトリル−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
実施例3−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−2と同一の材料及び同一の方法を用いてOMsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−ニトリル−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
前記表3に示すように、前記実施例3は、本発明に係る多官能基溶媒として1−ニトリル−2−メチル−2−プロパノールを使用して有機フッ化脂肪族化合物を製造した場合であって、実施例2−1の場合、標識効率と合成収率がそれぞれ42.8%と30.2%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルに比べて約5倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約2倍ほど高いことが確認された。
実施例3−2の場合、標識効率はそれぞれ81.3%、83.8%と高く示され、合成収率はそれぞれ49.4%、50.3%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルの合成収率に比べて約2倍〜3倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約4倍〜5倍ほど高いことが確認された。
実施例4.反応溶媒3−(メトキシメチル)−3−ペンタノールの利用
実施例4−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−1と同一の材料及び同一の方法を用いてOTsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として3−(メトキシメチル)−3−ペンタノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
実施例4−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−2と同一の材料及び同一の方法を用いてOMsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として3−(メトキシメチル)−3−ペンタノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
前記表4に示すように、実施例4は、本発明に係る多官能基反応溶媒として3−(メトキシメチル)−3−ペンタノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物を製造した場合であって、実施例4−1の場合、標識効率と合成収率がそれぞれ64.7%と43.8%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルに比べて約7倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約4倍ほど高いことが確認された。
実施例4−2の場合、標識効率はそれぞれ84.3%、83.4%であって、合成収率もそれぞれ54.9%、51.7%と示され、これによって、比較例1−2(アセトニトリル利用)及び比較例2−2(t−アミルアルコール利用)の場合に比べて標識効率及び合成収率の側面で全て高く示されることを確認できた。
実施例5.反応溶媒1−(2−メトキシエトキシ)2−メチル−2−プロパノールの利用
実施例5−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−1と同一の材料及び同一の方法を用いてOTsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−(2−メトキシエトキシ)2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
実施例5−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−2と同一の材料及び同一の方法を用いてOMsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−(2−メトキシエトキシ)2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
前記表5に示すように、実施例5は、本発明に係る多官能基反応溶媒として1−(2−メトキシエトキシ)2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物を製造した場合であって、実施例5−1の場合、標識効率と合成収率がそれぞれ58.7%と47.0%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルに比べて約8倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約4倍ほど高いことが確認された。
実施例5−2の場合、標識効率はそれぞれ85.3%、81.8%と高く示され、合成収率もそれぞれ52.1%、50.3%と高く確認されたが、これによって、比較例1−2(アセトニトリル利用)及び比較例2−2(t−アミルアルコール利用)の場合に比べて標識効率及び合成収率の側面で全て高く示されることを確認できた。
実施例6.反応溶媒1−エトキシ−2−メチル−2−プロパノールの利用
実施例6−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−1と同一の材料及び同一の方法を用いてOTsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−エトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物1−(3−[18F]フルオロプロピル)−4−フェニルピペラジンを製造した。
実施例6−2.OMsを1次又は2次離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化
前記実施例2−2と同一の材料及び同一の方法を用いてOMsを離脱基として有する脂肪族化合物の有機フッ化を行い、反応溶媒として1−エトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物2−(3−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレン又は2−(2−[18F]フルオロプロポキシ)ナフタレンを合成した。
前記表6に示すように、実施例6は、本発明に係る多官能基反応溶媒として1−エトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いて有機フッ化脂肪族化合物を製造した場合であって、実施例6−1の場合、標識効率と合成収率がそれぞれ50.1%と39.8%であって、従来の反応溶媒である前記表1の比較例1−2のアセトニトリルに比べて約6倍ほど高く、従来の反応溶媒である前記表1の比較例2−2のt−アミルアルコールの合成収率に比べて約3倍ほど高いことが確認された。
実施例6−2の場合、標識効率はそれぞれ87.3%、80.1%と高く示され、合成収率もそれぞれ55.2%、53.2%と高く確認されたが、これによって、比較例1−2(アセトニトリル利用)及び比較例2−2(t−アミルアルコール利用)の場合に比べて標識効率及び合成収率の側面で全て高く示されることを確認できた。
実施例7.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの製造
実施例7−1.OTsを1次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として利用
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に前駆体としてOTs離脱基を有する脂肪族化合物である(3−トルエンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−toluenesulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
実施例7−2.OMsを1次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として利用
前記実施例3と同一の方法で製造し、OMsを離脱基として有する脂肪族化合物である(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を前駆体として用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例4.反応溶媒アセトニトリルの利用
比較例4−1.
前記実施例7−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例4−2.
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例5.反応溶媒t−アミルアルコールの利用
比較例5−1.
前記実施例7−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例5−2.
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
前記実験結果は、下記の表7に示す通りである。
前記実験の結果、従来の反応溶媒であるアセトニトリルを使用した場合(比較例4−1〜比較例4−2)は、合成収率は5%〜7%程度と非常に低く、標識効率も約6%〜約12%と非常に低く、従来の反応溶媒であるt−アミルアルコールを使用した場合(比較例5−1〜比較例5−2)、標識効率は約40%程度を示したが、合成収率が2〜3%と極めて低く、有機フッ化脂肪族化合物の製造に適していないことを確認できた。その一方、前記実施例7−1〜実施例7−2の場合、本発明に係る多官能基溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを使用した結果として、合成収率が74.2%、65.7%と各比較例に比べて相当高く、標識効率もそれぞれ92.7%、77.4%と各比較例に比べて相当高く、純度も100%であることを確認できた。よって、本発明に係る多官能基溶媒を用いる場合、高効率、高純度、高収率で有機フッ化脂肪族化合物の製造が可能であることを確認できた。
実施例8.[18F]LBT999の製造
本実施例では、Clを1次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として用いて[18F]LBT999を合成した。
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に前駆体としてClを1次離脱基として有する脂肪族化合物である((E)−4−クロロブタ−2−エニル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((E)−4−chlorobut−2−enyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]LBT999を合成した。
標識効率は、ラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。この結果は、下記表8に示す通りである。
実施例9.[18F]フルオロミソニダゾールの製造
本実施例では、OTsを2次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として用いて[18F]フルオロミソニダゾールを合成した。
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に前駆体としてOTsを2次離脱基として有する脂肪族化合物である3−(2−ニトロイミダゾール−1−イル)−2−O−テトラヒドロピラニル−1−O−トルエンスルホニルプロパンジオール(3−(2−nitroimidazol−1−yl)−2−O−tetrahydropyranyl−1−O−toluenesulfonylpropanediol)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フッ化物を標識し、標識効率はラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、1Mの塩酸を入れて100℃で5分間加水分解し、2Mの水酸化ナトリウムを入れて中和させた後、水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。この結果は、下記表8に示す通りである。
実施例10.[18F]フルオロチミジンの合成
本実施例では、ONsを2次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として用いて[18F]フルオロチミジンを合成した。
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に前駆体としてONsを2次離脱基として有する脂肪族化合物である5'−O−DMTr−2'−デオキシ−3'−O−ノシル−b−D−トレオ−ペントフラノシル)−3−N−BOC−チミン(5'−O−DMTr−2'−deoxy−3'−O−nosyl−b−D−threo−pentofuranosyl)−3−N−BOC−thymine)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フッ化物を標識し、標識効率はラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、1Mの塩酸を入れて100℃で5分間加水分解し、2Mの水酸化ナトリウムを入れて中和させた後、水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。この結果は、下記の表8に示す通りである。
実施例11.[18F]フルオロデオキシグルコースの合成
本実施例では、OTfを2次離脱基として有する脂肪族化合物を前駆体として用いて[18F]フルオロデオキシグルコースを合成した。
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に前駆体としてOTfを2次離脱基として有する脂肪族化合物であるマンノーストリフレート(mannose triflate、1,3,4,6−tetra−O−acetyl−2−O−trifluoro−methanesulfonyl−beta−D−mannopyranose)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フッ化物を標識し、標識効率はラジオ薄膜クロマトグラフィーで確認した。反応後、1M塩酸を入れて100℃で5分間加水分解し、2Mの水酸化ナトリウムを入れて中和させた後、水で希釈し、固相抽出法を使用して精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
前記実施例8〜11は、多様な放射性医薬品を本発明に係る多官能基溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを使用して製造したものであって、これらの標識効率、精製方法、精製時間、合成収率及び純度は、下記の表8に示す通りである。
前記実施例8の[18F]LBT999、実施例9の[18F]フルオロミソニダゾール、実施例10の[18F]フルオロチミジン、及び実施例11の[18F]フルオロデオキシグルコースの場合、現在、韓国内外で臨床で使用されている多様な放射性医薬品であって、本発明に係る多官能基溶媒である1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いて製造した結果、前記表3に示すように、製造された放射性医薬品の純度は全て100%で、標識効率はそれぞれ97.4%、95.7%、90.5%、93.7%と非常に高く、合成収率もそれぞれ65.1%、63.4%、61.7%、66.4%と高いことが確認され、本発明に係る多官能基溶媒を用いて高収率、高純度、高効率で放射性医薬品の製造が可能であることを確認できた。
実施例12.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの精製
実施例12−1.固相抽出(SPE)を用いた精製
実施例7−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(実施例12−1−1)し、実施例7−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(実施例12−1−2)するために、前記実施例7−1及び7−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、逆相固相抽出(SPE)法を用いて精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
実施例12−2.高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた精製
実施例7−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(実施例12−2−1)し、実施例7−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(実施例12−2−2)するために、前記実施例7−1及び7−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく高性能液体クロマトグラフィーで精製し、精製を行った後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
実施例12の結果は、下記の表9に示す通りである。
比較例6.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの精製
比較例6−1.固相抽出(SPE)を用いた精製
比較例4−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例6−1−1)し、比較例4−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例6−1−2)するために、前記比較例4−1及び4−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、逆相固相抽出(SPE)法を用いて精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
比較例6−2.高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた精製
比較例4−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例6−2−1)し、比較例4−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例6−2−2)するために、前記比較例4−1及び4−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく高性能液体クロマトグラフィーで精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
比較例6の結果は、下記の表9に示す通りである。
比較例7.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの精製
比較例7−1.固相抽出(SPE)を用いた精製
比較例5−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例7−1−1)し、比較例5−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例7−1−2)するために、前記比較例5−1及び5−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく水で希釈し、逆相固相抽出(SPE)法を用いて精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
比較例7−2.高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた精製
比較例5−1で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例7−2−1)し、比較例5−2で合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製(比較例7−2−2)するために、前記比較例5−1及び5−2で前駆体及び反応溶媒を添加し、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンで合成反応が完了すると、乾燥過程を経ることなく高性能液体クロマトグラフィーで精製し、精製後、高性能液体クロマトグラフィーで純度確認を行った。
比較例7の結果は、下記の表9に示す通りである。
比較例8.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの精製
比較例8−1.固相抽出(SPE)を用いた精製
前記比較例7−1−1及び比較例7−1−2と全て同一の材料及び方法をそれぞれ用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、乾燥過程を経た後、精製して合成収率及び放射化学的純度を確認した。
比較例8−2.高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた精製
前記比較例7−2−1及び比較例7−2−2と全て同一の材料及び方法をそれぞれ用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、乾燥過程を経た後、精製して合成収率及び放射化学的純度を確認した。
比較例8の結果は、下記の表9に示す通りである。
前記表9に示すように、本発明の多官能基溶媒を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを用いて製造した場合、その後の精製過程でSPE(実施例12−1)及びHPLC(実施例12−2)を用いるとしても、その標識効率、合成収率及び放射化学的純度は、従来の反応溶媒であるアセトニトリル(比較例6)及びt−アミルアルコール(比較例7)を用いて製造した場合に比べて遥かに効果が良いことを確認できた。
但し、本発明の多官能基溶媒を用いるとしても、HPLC(実施例12−2)よりはSPE(実施例12−1)を用いて精製する場合、合成収率の側面でやや良い効果を示すことを確認できた。
一方、実施例12、比較例6及び比較例7の場合、それぞれの精製過程を行うとき、乾燥過程を経ることなくそれぞれの精製方法によって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製し、比較例8は、乾燥過程を経た後、それぞれの精製方法によって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製したものである。その結果は、乾燥過程をさらに行うので、乾燥過程を経ない場合に比べて合成収率がやや増加したが、乾燥過程によって全体の合成時間が約15分増加し、乾燥過程中に消失する放射能により、合成収率は実施例12に比べて約50%以下に減少することを確認できた。
実施例13.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの逆相精製方法
前記実施例12−1に使用された逆相SPE方法を用いて精製する場合、放射化学的純度が高く、標識効率及び合成収率が高い[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの製造が可能であるが、合成後、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンと類似する極性度を有する不純物が存在するようになり、逆相精製方法を通じてこのような不純物の精製が可能であるか否かを確認した。
実施例13−1.逆相基盤の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、70%のメタノール8mLを用いて希釈した。希釈された反応混合物を、C18カラムを用いたHPLC方法を用いて精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能及び精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例13−2.シリカ基盤の逆相基盤の固相抽出カートリッジ(SPE)を用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、C18 SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがC18 SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために、5mL以上の水を用いてC18 SPEカートリッジを洗う。最終的に、C18 SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例13−3.ポリマー基盤の逆相基盤の固相抽出カートリッジ(SPE)を用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した後、前記13−2と同一の材料及び同一の方法を用い、HLB SPEカートリッジを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した。
実施例13の結果は、下記の表10に示す通りである。
前記表10に示すように、実施例13−1のシリカ基盤の逆相HPLCを用いて精製する場合は、前駆体基盤の有機不純物除去率が相当高かったが、精製後の放射能回収率が過度に低いので、放射性医薬品への活用性が非常に低いことを確認した。一方、実施例13−2及び実施例13−3の場合は、放射能回収率は非常に良かったが、前駆体基盤の有機不純物除去率が過度に低いという問題点を発見した。
実施例14.シリカ基盤の陽イオン交換SPEを用いた精製
実施例14−1.シリカ基盤の陽イオン交換CM SPEカートリッジを用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、CM SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがCM SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いてCM SPEカートリッジを洗う。最終的に、CM SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例14−2.シリカ基盤の陽イオン交換SCX SPEカートリッジ用いた精製
前記実施例14−1と同一の材料及び同一の方法を用い、精製カートリッジとしてSCX SPEカートリッジを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した。
実施例14−3.シリカ基盤の陽イオン交換WCX SPEカートリッジ用いた精製
前記実施例14−1と同一の材料及び同一の方法を用い、精製カートリッジとしてWCX SPEカートリッジを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した。
実施例14の結果は、下記の表11に示す通りである。
実施例15.ポリマー基盤の陽イオン交換SPEを用いた精製
実施例15−1.ポリマー基盤の陽イオン交換MCX SPEカートリッジを用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、MCX SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがMCX SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いてMCX SPEカートリッジを洗う。最終的に、MCX SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例15−2.ポリマー基盤の陽イオン交換WCX SPEカートリッジを用いた精製
前記実施例15−1と同一の材料及び同一の方法を用い、精製カートリッジとしてWCX SPEカートリッジを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した。
実施例15の結果は、下記の表11に示す通りである。
前記表11に示すように、シリカ基盤及びポリマー基盤の陽イオン交換樹脂を使用したとき、前駆体基盤の有機不純物除去率が全て96%以上と示され、前記実施例13の表10と比較したとき、逆相SPEカートリッジを用いることよりも陽イオン交換SPEカートリッジを用いることが、前駆体基盤の有機不純物の除去に効果的であることを確認できた。また、陽イオン交換SPEカートリッジを使用して精製する場合、放射能の回収率も、シリカ基盤のSPEは95%以上の回収率を示し、ポリマー−基盤のSPEは70%以上の回収率を示すので、全てが放射性医薬品として活用可能であることを確認できた。
実施例16.シリカ基盤の陰イオン交換SPEを用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、SAX SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがSAX SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いてSAX SPEカートリッジを洗う。最終的に、SAX SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例16の結果は、下記の表12に示す通りである。
実施例17.ポリマー基盤の陰イオンSPEを用いた精製
実施例17−1.ポリマー基盤の陰イオンMAX SPEカートリッジを用いた精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、MAX SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがMAX SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いてMAX SPEカートリッジを洗う。最終的に、MAX SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例17−2.ポリマー基盤の陰イオンWAX SPEカートリッジを用いた精製
前記実施例17−1と同一の材料及び同一の方法を用い、精製カートリッジとしてWAX SPEカートリッジを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した。
実施例17の結果は、下記の表12に示す通りである。
前記表12に示すように、陰イオン交換樹脂を使用したとき、前記実施例14及び15の陽イオン交換樹脂(表11参照)よりはやや低い87%以上の除去率で前駆体基盤の有機不純物が除去されることを確認し、放射能の回収率は、前記実施例14及び15の陽イオン交換樹脂と類似する形に、最高98%、最低70%の回収率を示した。
実施例18.陽イオン及び陰イオン交換を全て活用したSPE精製
実施例18−1.シリカ基盤の陽イオン及び陰イオン交換を全て活用したSPE精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、SCX+SAX SPEカートリッジ(2個を連結して使用)を通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンが連結されたSPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いて連結されたSPEカートリッジを洗う。最終的に、連結されたSPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例18−2.ポリマー基盤の陽イオン及び陰イオン交換を全て活用したSPE精製
前記実施例7−2と同一の材料及び同一の方法を用い、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、MCX+MAX SPEカートリッジ(2個を連結して使用)を通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンが連結されたSPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いて連結されたSPEカートリッジを洗う。最終的に、連結されたSPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出して精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの放射能を測定し、放射能回収率を確認した。また、精製後、高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例18の結果は、下記の表13に示す通りである。
前記表13に示すように、[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの[18F]フッ化物標識条件(塩基及び反応溶媒)に従って、生成される前駆体基盤の有機不純物の種類及び量はそれぞれ変わり得る。また、同一の条件であるとしても、放射性医薬品の特性上、有機不純物の種類及び量が変わり得る。したがって、陽イオンと陰イオン交換カートリッジを混合して使用することによって、生成される有機不純物をより安定的に除去できることを確認できた。
実施例19.シリカ基盤のイオン交換SPEカートリッジを用いた精製
実施例19−1.反応溶媒1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いた合成後の精製
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、SCX+SAX SPEカートリッジ(2個を連結して使用)を通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンが連結されたSPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いて連結されたSPEカートリッジを洗う。最終的に、連結されたSPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出し、生理食塩水で希釈して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例19−2.反応溶媒アセトニトリルを用いた合成後の精製
前記実施例19−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
実施例19−3.反応溶媒t−アミルアルコールを用いた合成後の精製
前記実施例19−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
実施例19の結果は、下記の表14に示す通りである。
実施例20.ポリマー基盤のイオン交換SPEカートリッジを用いた精製
実施例20−1.反応溶媒1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いた合成後の精製
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、MCX+MAX SPEカートリッジ(2個を連結して使用)を通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンが連結されたSPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いて連結されたSPEカートリッジを洗う。最終的に、連結されたSPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出し、生理食塩水で希釈して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
実施例20−2.反応溶媒アセトニトリルを用いた合成後の精製
前記実施例20−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
実施例20−3.反応溶媒t−アミルアルコールを用いた合成後の精製
前記実施例20−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
実施例20の結果は、下記の表14に示す通りである。
比較例9.逆相基盤のHPLCを用いた精製
比較例9−1.反応溶媒1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いた合成後の精製
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、70%のメタノール8mLを用いて希釈する。希釈された反応混合物を、C18カラムを用いたHPLC方法を用いて精製し、精製前の反応混合物の標識効率及び放射能と精製後の20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された精製混合物は、C18 SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがC18 SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒を除去するために5mL以上の水を用いてC18 SPEカートリッジを洗う。最終的に、C18 SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出し、生理食塩水で希釈して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
比較例9−2.反応溶媒アセトニトリルを用いた合成後の精製
前記比較例9−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例9−3.反応溶媒t−アミルアルコールを用いた合成後の精製
前記比較例9−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例9の結果は、下記の表14に示す通りである。
比較例10.逆相基盤のSPEカートリッジを用いた精製
比較例10−1.反応溶媒1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールを用いた合成後の精製
4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を反応容器に溶離させた。溶離後、溶離液は、100℃で窒素ガスを注入しながら共沸混合蒸留を用いて完璧に除去した。
前記反応容器に(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び本発明に係る多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成後、20mL以上の水を用いて希釈する。希釈された反応混合物は、C18 SPEカートリッジを通過して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンがC18 SPEカートリッジに留まるようにする。残留有機溶媒及び極性不純物を除去するために5mL以上の水を用いてC18 SPEカートリッジを洗う。最終的に、C18 SPEカートリッジに留まっている[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを2mL以上のエタノールを用いて溶出し、生理食塩水で希釈して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。高性能液体クロマトグラフィーを用いて放射化学的純度及び前駆体基盤の有機不純物の除去率を確認した。
比較例10−2.反応溶媒アセトニトリルを用いた合成後の精製
前記比較例10−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてアセトニトリル1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例10−3.反応溶媒t−アミルアルコールを用いた合成後の精製
前記比較例10−1と同一の材料及び同一の方法を用い、反応溶媒としてt−アミルアルコール1mLを用いて[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
比較例10の結果は、下記の表14に示す通りである。
前記表14に示すように、HPLCを用いて合成された[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを精製した場合、最も高い有機不純物除去率を示した。しかし、HPLC精製の場合、分離開始時点及び分離終了時点が作業者によって決定され、HPLCカラムの使用回数又は移動相の調剤正確度によってその結果は変わり得る。すなわち、HPLCは、作業者の熟練度によってその結果が異なる可能性が大きい。しかし、SPE精製の場合、装備によって一括的に適用されることによって作業者が介入することなく、作業者の熟練度に影響を受けなく、常に一定の結果を導出できるという長所を有するので、放射性医薬品の製造にさらに適した精製方法であると言える。一方、一般に使用される逆相基盤のC18 SPEの場合、高い合成収率及び放射化学的純度は示されるが、前駆体基盤の有機不純物除去率がイオン交換SPE精製に比べて著しく低いので、高い非放射能(mCi/umol)を要求する[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンには適用しにくいことを確認できた。これに比べて、陽イオン及び陰イオン交換SPEカートリッジを用いる場合、イオン性を帯びるほとんどの有機不純物を除去できることによって、ほとんどの前駆体基盤の有機不純物が除去されることを確認できた。
一方、本発明の逆流防止反応容器を含むカセットを用いた放射性医薬品の製造方法に対して、下記で詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る逆流防止反応容器を含むカセットを用いた放射性医薬品の製造工程の概略図である。
本発明の一実施例に係る逆流防止反応容器10は、放射性医薬品の合成に用いられる試薬が供給される第1ライン11と、前記逆流防止反応容器10内の真空状態を提供する第2ライン13とを含み、前記第1ライン11は、放射性医薬品の合成に用いられる試薬、例えば、[18F]フッ化物提供溶液、放射性医薬品の前駆体、[18F]フッ化物を前記前駆体に標識させるのに用いられる反応溶媒などのそれぞれの試薬を供給する供給部及び窒素又は空気供給部とマニホールド形態で連結されることによって一つのカセットを形成する。したがって、カセットは、単一のマニホールド又は複数のマニホールドで構成されてよく、放射性医薬品のカセットの構成は、放射性医薬品の反応容器が本発明に係る逆流防止反応容器10であることを除いた残りの構成が従来の公知の各構成要素を含んでよい。
前記第1ライン11のエンドポイントEは、前記逆流防止反応容器10の下面から一定間隔の高さに位置しているが、前記第1ライン11のエンドポイントEは、前記逆流防止反応容器10内に供給される物質の表面から一定間隔の高さhに位置することが好ましく、前記第1ライン11のエンドポイントEと前記逆流防止反応容器10内に供給される全ての放射性医薬品の合成に用いられる試薬の表面との間の距離が最大5cmであることがさらに好ましい。すなわち、前記第1ライン11のエンドポイントEは、前記逆流防止反応容器10内に供給される全ての放射性医薬品の合成に用いられる試薬の表面から最小0cm〜最大5cmだけ高い位置に位置してよい。
図1を参照すると、第1ライン11のエンドポイントEが逆流防止反応容器10の下面から一定間隔の高さに位置しており、このような第1ライン11を通じてF−18溶液20が供給されるが(図1の(A))、第1ライン11のエンドポイントEが逆流防止反応容器10の下面から一定間隔だけ高い位置に位置しているので、F−18溶液20が飛散することなく安定的に供給され(図1の(B))、前記溶液が逆流防止反応容器10の底に安定的に供給されるようになる(図1の(C))。前記供給されるF−18溶液を乾燥させるために前記第1ライン11を通じて窒素又は空気を提供するとしても(図1の(D))、前記第1ライン11のエンドポイントEが逆流防止反応容器10の下面から一定間隔だけ高い位置に位置しており、F−18溶液20が、前記提供される窒素又は空気によってバブルが形成されることなく、逆流防止反応容器10の器壁に飛散する現象が防止され得る(図1の(E))。前記F−18溶液20が乾燥した後、放射性医薬品の前駆体30が第1ライン11を通じて供給されるが、同様に、器壁に飛散することなく安定的に前記F−18溶液20上に放射性医薬品の前駆体30が供給される(図1の(F)及び(G))。その後、前記第1ライン11を通じて反応溶媒40を供給し、前記F−18を前記放射性医薬品の前駆体に標識させる反応を行うようになるが、この場合、第1ライン11のエンドポイントEが逆流防止反応容器10内に供給された全ての試薬の表面から一定間隔だけ高い位置hに位置しており、前記標識反応のために100℃〜140℃に温度を高めるとしても、前記反応溶媒40が前記第1ライン11に逆流しないので、供給される量だけ安定的に前記逆流防止反応容器10内で前記標識反応にほとんど参加することができ、安定的に放射性医薬品を製造することができ、放射性医薬品の合成収率が向上するという効果を有することができる。また、反応溶媒40が第1ライン11を通じて逆流しないので、第1ライン11のエンドポイントEが設けられていない他端の場合、カセットと連結されているが、反応溶媒40が前記カセットに逆流しないので、カセット破損などの問題も起こらなくなる。
本発明と比較するために、従来の反応容器を含むカセットを用いて放射性医薬品を製造する場合を図2を参照して説明する。図2は、従来の反応容器を含むカセットを用いた放射性医薬品の製造工程の概略図である。図2を参照すると、試薬の供給及び回収のために設けられ、回収率を高めるために試薬供給ライン11aのエンドポイントEaが反応容器10aの底面に接するように設けられている(図2の(A))。したがって、前記試薬供給ライン11aを通じてF−18溶液20aを供給するとき、F−18溶液が反応容器10aの器壁に飛散するようになり(図2の(B))、所定の量のF−18溶液20aが反応容器10aの器壁に付くようになる(図2の(C))。また、前記供給されたF−18溶液20aを乾燥させるために前記試薬供給ライン11aを通じて窒素又は空気を供給すると、窒素又は空気が前記F−18溶液20a内に供給されるので、気泡22が発生するようになり(図2の(D))、これによって、より多量のF−18溶液が反応容器10aの器壁に飛散するようになる(図2の(E))。その後、放射性医薬品の前駆体が前記試薬供給ライン11aを通じて供給され(図2の(F))、F−18溶液20aと同様に、前記放射性医薬品の前駆体30aも反応容器10aの器壁に飛散するようになり(図2の(G))、所定量の放射性医薬品の前駆体も器壁に水滴状に残存するようになる(図2の(H))。その理由は、試薬供給ライン11aが反応容器10aの底面に当接して位置するためである。その後、前記放射性医薬品の前駆体にF−18を標識させるために反応溶媒40aを、試薬供給ライン11aを通じて注入するようになるが、このような標識反応は、一般に100℃〜140℃で行われ、注入された反応溶媒40aの沸点を超えるようになり、これによって、反応溶媒40aの気化が起こり、陽圧がかかるようになる。また、このような陽圧によって反応溶媒40aが前記試薬供給ライン11aに逆流し、前記標識反応に参加できなくなる(図2の(I))。これによって、前記試薬供給ライン11aのエンドポイントEaが設けられていない他端はカセットと連結されており、前記使用される反応溶媒40aの物質の種類に応じてカセットの抵抗性がない場合、本過程でカセット破損の問題が発生し得るので、反応物質の回収が不可能であり、放射性医薬品の製造に失敗し得るという問題点が発生し得る。
したがって、本発明に係る逆流防止反応容器10を含むカセットを用いて放射性医薬品を製造する場合、標識反応時、反応溶媒が第1ライン11に逆流しないので、逆流によるカセット破損の問題点が解消されるので、反応溶媒抵抗性を有するカセットの材質開発が必要になり、その結果、製造単価を低下させることができる。また、供給された反応溶媒40が標識反応にほとんど参加することができ、放射性医薬品の合成収率が向上するという効果を有することができ、GMP(優秀医薬品製造管理制度)に適した放射性医薬品の製造が可能になる。
再び図1を参照すると、本発明に係る逆流防止反応容器10を含むカセットを用いる放射性医薬品の製造方法で用いられる反応溶媒は、非プロトン性溶媒、プロトン性溶媒及び多官能基溶媒のうちいずれか一つを含んでよい。
前記非プロトン性溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、及びジメニルスルホキシドから選ばれるいずれか一つを含んでよい。
前記プロトン性溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプタノール、n−オクタノールを含む1次アルコールと、イソプロパノール、イソブタノール、イソアミルアルコール、3−ペンタノールを含む2次アルコールと、t−ブタノール、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−シクロプロピル−2−プロパノール、2−シクロプロピル−2−ブタノール、2−シクロプロピル−3−メチル−2−ブタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、1−エチルシクロヘキサノール、及び1−メチルシクロヘプタノールを含む3次アルコールとからなる群から選ばれるいずれか一つを含んでよい。
前記多官能基溶媒は、下記の化学式1で表示される化合物である:
(前記化学式1において、
R1及びR2は、それぞれ独立的に水素、C1〜C10アルキル基又はX1と同一の官能基で、
Lnは、C1〜C10アルキル基又はCH2(OCH2CH2)nにおいて、n=1〜10の整数であるポリエチレングリコールで、
X1は、極性グループとして、アルコキシ基(OR3)、ニトリル基(CN)及びハロゲン化物から選ばれるいずれか一つで、
R3は、好ましくは、C1〜C10アルキル基である。)
ここで、前記Lnは、C1〜C3アルキル基又はCH2(OCH2CH2)nにおいて、n=1〜3の整数であるポリエチレングリコールであることが好ましい。
ここで、前記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びt−ブトキシから選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
ここで、前記ハロゲン化物は、塩化物(Cl)、臭化物(Br)及びヨウ化物(I)から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
ここで、前記R1及びR2は、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
ここで、前記化学式1の多官能基溶媒は、1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、1−エトキシ−2−メチル−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−メチル−2−プロパノール、1−イソプロポキシ−2−メチル−2−プロパノール、1−t−ブトキシ−2−メチル−2−プロパノール、1−ニトリル−2−メチル−2−プロパノール、1−クロロ−2メチル−2−プロパノール、1−ブロモ−2−メチル−2−プロパノール、1−ヨード−2−メチル−2−プロパノール、1−(2−メトキシエトキシ)2−メチル−2−プロパノール及び3−(メトキシメチル)−3−ペンタノールからなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
これによって、本発明に係る逆流防止反応容器10を含むカセットを用いる放射性医薬品の製造方法は、逆流防止反応容器10に[18F]フッ化物を溶離させる段階(図1の(A)〜(C))と;前記逆流防止反応容器内の前記溶離液を乾燥させる段階(図1の(D)〜(E))と;前記逆流防止反応容器内に放射性医薬品の前駆体及び反応溶媒を供給し、前記反応溶媒の下で前記乾燥した[18F]フッ化物と前記放射性医薬品の前駆体を反応させる段階(図1の(F)〜(H))と;を含む。前記溶離段階は、例えば、4次アンモニウム塩支持体(Chromafix又はQMA)に[18F]フッ化物を通過させ、陰イオンを交換する方法で[18F]フッ化物を吸着させ、水素イオン濃度が調節されたKOMs混合溶液で4次アンモニウム支持体に吸着している[18F]フッ化物を逆流防止反応容器10に溶離させる段階である。前記乾燥段階は、前記第1ライン11を通じて窒素又は空気を所定温度、例えば、100℃〜140℃の温度にして溶離液を乾燥させる段階である。前記反応段階は、前記放射性医薬品の前駆体及び反応溶媒を前記第1ライン11に注入して約100℃〜140℃で反応させ、F−18が前記放射性医薬品の前駆体に標識され、放射性医薬品が合成される段階である。前記合成段階後、水に溶解して固相抽出(SPE)法又はHPLC精製法などを用いて精製する段階をさらに含んでよい。前記固相抽出(SPE)法又はHPLC法の場合、本発明の実施例12〜19に係る方法を用いてよい。また、本発明に係る前記溶離段階、乾燥段階、合成段階及び精製段階は、放射性医薬品の製造で一般的に用いられる方法を活用できることは当然である。
このような本発明に係る逆流防止反応容器10を含むカセットを用いる放射性医薬品の製造方法は、前記記載した反応溶媒の下で所定の種類のF−18が標識された有機化合物の合成に用いられてよい。
したがって、本発明の方法に用いられるF−18フッ化物の供給源であるフッ化塩は、フッ素−18を含む化合物を含むことが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムで構成される群から選ばれたアルカリ金属を含んで構成されたアルカリ金属フッ化物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムで構成される群から選ばれたアルカリ土金属を含んで構成されたアルカリ土金属フッ化物;及びフッ化アンモニウムから選ばれてよいが、フッ化カリウム又はフッ化アンモニウムであることがより好ましい。前記カリウムを含むアルカリ金属フッ化物又はフッ化テトラアルキルアンモニウムは、セライト、分子篩、アルミナ及びシリカゲルから選ばれたいずれか一つの支持体によって吸着したものであることが好ましい。前記フッ化アンモニウムは、フッ化テトラブチルアンモニウム及びフッ化ベンジルトリメチルアンモニウムを含む4次フッ化アンモニウムと;フッ化トリエチルアンモニウム、フッ化トリブチルアンモニウムを含む3次フッ化アンモニウムと;フッ化ジブチルアンモニウム、フッ化ジヘキシルアンモニウムを含む2次フッ化アンモニウムと;フッ化ブチルアンモニウム、フッ化ヘキシルアンモニウムを含む1次フッ化アンモニウムとで構成される群から選ばれてよいが、フッ化テトラブチルアンモニウムであることがより好ましい。前記フッ化塩は、下記記載した放射性医薬品の前駆体1mgに対して1pg〜100ngの[18F]フッ化物として使用されてよい。
また、本発明に用いられる放射性医薬品の前駆体は、ハロゲン化アルキル又はスルホン酸アルキルであり、前記ハロゲン化アルキル又はスルホン酸アルキルにおいて、ハロゲン化物は、Fを除いたCl、Br、Iで構成された群から選ばれたものであり、スルホン酸は−SO3R12で、R12はアルキル基又はアリル基である。より具体的に、アルキル基は、C1〜C12スルホン酸アルキル又はハロC1〜C12アルキル基であることが好ましく、その一例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びクロロエタンスルホン酸で構成された群から選ばれるものである。また、アリル基は、フェニル基、C1〜C4のアルキルフェニル基、ハロフェニル基、C1〜C4のアルコキシフェニル基、又はニトロフェニル基から選ばれるものであることが好ましく、その好ましい一例は、メチルフェニルスルホン酸、エチルフェニルスルホン酸、クロロフェニルスルホン酸、ブロモフェニルスルホン酸、メトキシフェニルスルホン酸又はニトロフェニルスルホニルである。また、本発明に用いられる放射性医薬品の前駆体は、本発明の実施例1〜11を用いて説明した有機フッ化脂肪族化合物の製造方法で用いられる離脱基を有する脂肪族化合物を含み得ることは当然である。
例えば、本発明の反応容器10を含むカセットを用いる放射性医薬品の製造方法によって製造できる放射性医薬品は、次に構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つを含んでよい:
−[
18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパン、
−[
18F]フルテメタモール([
18F]Flutemetamol)
以下、本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例のみに限定されることはなく、当業界の通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に対して多様な変形及び変更を行うことができ、これも本発明の範囲に属することは当然である。
実施例21と実施例22.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
4mgの(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)又は(3−トルエンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−toluenesulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及び多官能基反応溶媒として1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール1.0mLを入れて120℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
実施例23と実施例24.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
4mgの(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)又は(3−トルエンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−toluenesulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル0.1mL、及びプロトン性溶媒としてt−アミルアルコール1.0mLを入れて120℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
実施例25と実施例26.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを製造した。
4mgの(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−methansulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)又は(3−トルエンスルホニルオキシプロピル)−2β−カルボメトキシ−3−β−(4−ヨードフェニル)トロパン((3−toluenesulfonyloxipropyl)−2β−carbomethoxy−3−β−(4−iodophenyl)tropane)を溶かしたアセトニトリル1.1mLを入れて120℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
比較例11〜16.[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンの合成
図2の反応容器10aを含む既存のTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)とTRACERlab MX自動化合成装置を使用して実施例21〜26と同一の試薬及び条件で[18F]フルオロプロピルカルボメトキシトロパンを合成した。
前記実施例21〜26と比較例11〜16の放射性医薬品の合成収率及びカセット破損の有無に対する結果は、下記の表15に示す通りである。
前記表1に示すように、本発明に係る逆流防止反応容器を用いて放射性医薬品を製造する場合(実施例21〜26)、カセットが破損することなく高い収率で安定的に放射性医薬品が合成され、特に、アセトニトリルを使用するとしても(実施例25、26)、10%程度の収率で製造可能であることを確認した。t−アミルアルコールの場合(実施例23、24)、20%〜23%の収率でFP−CITが製造されることを確認できた。また、1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノールの場合(実施例21、22)、製造時間の短縮により、10%ほど収率が上昇した31%〜33%の高い収率を確認できた。
その一方、既存の反応容器をそのまま適用して放射性医薬品を製造する場合(比較例11〜16)、1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール及びt−アミルアルコールに対して抵抗性がない一般的な材質のカセットの場合、反応の途中で反応溶媒の逆流によってカセットが破損するという問題によって放射性医薬品の合成に失敗し、カセットに適用可能な反応溶媒であるアセトニトリルを使用するとしても、反応試薬が全部反応に参加できないという問題により、1%〜2%程度の低い製造収率を示し、臨床適用が不可能であることを確認できた。
実施例27.[18F]フルオロチミジンの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロチミジンを製造した。
5mgの5'−O−DMTr−2'−デオキシ−3'−O−ノシル−b−D−トレオ−ペントフラノシル)−3−N−BOC−チミン(5'−O−DMTr−2'−deoxy−3'−O−nosyl−b−D−threo−pentofuranosyl)−3−N−BOC−thymine)を溶かしたアセトニトリル1.1mLを入れて120℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロチミジンを合成した。
比較例17.[18F]フルオロチミジンの合成
図2の反応容器10aを含むTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)とTRACERlab MX自動化合成装置を使用して実施例27と同一の試薬及び条件で[18F]フルオロチミジンを合成した。
実施例28.[18F]フルオロミソニダゾールの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロミソニダゾールを製造した。
1mg〜2mgの3−(2−ニトロイミダゾール−1−イル)−2−O−テトラヒドロピラニル−1−O−トルエンスルホニルプロパンジオール(3−(2−nitroimidazol−1−yl)−2−O−tetrahydropyranyl−1−O−toluenesulfonylpropanediol)を溶かしたアセトニトリル1.1mLを入れて100℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロミソニダゾールを合成した。
比較例18.[18F]フルオロミソニダゾールの合成
図2の反応容器10aを含む既存のTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)とTRACERlab MX自動化合成装置を使用して実施例28と同一の試薬及び条件で[18F]フルオロミソニダゾールを合成した。
実施例29.[18F]フルオロエストラジオールの合成
図1の逆流防止反応容器10をTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)に適用し、自動化合成装置としてはTRACERlab MXを使用して[18F]フルオロエストラジオールを製造した。
0.5mg〜1mgの3−(メトキシメトキシ)−1,3,5(10)−ゴナトリエン−16ベータ、17ベータジオール−16,17−サイクリックスルフェート(3−(Methoxymethoxy)−1,3,5(10)−gonatriene−16beta,17beta diol−16,17−cyclic sulfate)を溶かしたアセトニトリル1.1mLを入れて100℃で10分〜20分間反応させることによって[18F]フルオロエストラジオールを合成した。
比較例19.[18F]フルオロエストラジオールの合成
図2の反応容器10aを含む既存のTRACERlab MXFDGカセット(GEヘルスケア)とTRACERlab MX自動化合成装置を使用して実施例29と同一の試薬及び条件で[18F]フルオロエストラジオールを合成した。
前記実施例27〜29及び比較例17〜19の放射性医薬品の合成収率に対する結果は、下記の表16に示す通りである。
前記表16に示すように、比較例17〜19のように、0.5mg〜5mgの少量の前駆体を使用する場合、全ての試薬が反応に参加しないので、1%〜3%内外の非常に低い合成収率を示すようになる。しかし、実施例27〜29の場合、全ての試薬が反応に参加するようになり、比較例17〜19と比較して、最小5倍〜最大30倍程度の放射性医薬品の製造収率上昇を確認できた。
以上では、本発明のいくつかの実施例を図示して説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する当業者であれば、本発明の原則や精神から逸脱しない範囲で本実施例を変形可能であることが分かるだろう。発明の範囲は、添付の請求請求の範囲及びその均等物によって定められるだろう。