JP2017531163A - 薄膜抵抗式センサ - Google Patents
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Abstract
Description
(関連出願)
本願は、2014年7月22日提出の出願番号62/027,753、ULTRAFAST HUMIDITY DETECTOR FOR USE IN SPEECH AND HEALTH ANALYZERS(音声およびヘルスアナライザー用超高速湿度検出器)と題した米国仮出願、および2015年6月8日提出の出願番号62/172,546、THIN−FILM RESISTIVE−BASED SENSOR(薄膜抵抗式センサ)と題した米国仮出願の優先権の利益を主張するものであり、それぞれの出願全体を参照により本明細書中に含める。
本発明は、広くは、薄膜抵抗式センサに関する。
環境の変化を感知することができるセンサは、数多くの用途において求められている。温度、圧力、あるいはセンサと接触する様々な分析物(空気中の水分またはガス等を含む)の変化を検出することは、室内および屋外の気候検出および制御、プロセス制御、生物測定学、医学的利用等の用途にとって望ましい。しかしながら、種々の用途のためのこれらのセンサの有用性は、正確かつ精密に刺激を測定するそれらの能力だけでなく、短期的および長期的にその刺激を検出して測定するそれらの能力によっても制限される。呼吸センサ等のように、即座の検出が必須となる用途において、湿度を測定することを試みる場合に、応答時間および整定時間は、非常に重要な仕様である。センサの応答時間は、センサが負荷のない状態から負荷のステップ変化に応答するまでに要する時間のことである。整定時間は、センサが一度オンになってから安定した出力に達するのに要する時間のことである。センサはまた、長期の安定性および測定を維持することができなければならず、また、低ヒステリシスを示すべきである。
より詳しく言えば、図1を参照すると、本発明によるトランスデューサの第1実施形態が示される。トランスデューサ10は、第1の側14と第2の側16とを有するバリア層12を有する。さらに、トランスデューサ10は、バリア層12に隣接する誘電体層18を有する。誘電体層18は、第1の側20と第2の側22とを有する。図示されるように、誘電体層18の第1の側20は、バリア層12の第2の側16に対向するのが好ましい。
図示されるバリア層12は、分離層として機能する。バリア層12は、存在するかもしれない任意の基板(以下を参照)の化学的特性および物理的特性からアクティブ(つまり、センシング)層30を分離するように設計され、かつ、環境の刺激によるアクティブセンシング層30への影響を回避するように設計されている。バリア層12の材料および特性は、作製されるトランスデューサの種類に依存する。バリア層12は、金属、セラミック、ポリマー、複合材、あるいはこれらの混合物であってもよいが、これらに限らない。バリア層12は、導電性または電気絶縁性であってもよい。さらに、バリア層12は、スクリーン印刷、スプレーコーティング、エアロゾル・ジェット(米国登録商標)印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、リソグラフィック技術、スピンコーティング、蒸着、スパッタリング、積層、ALD、CVD、およびPECVDから成る群から選択されるものを含む任意の好適な技術により堆積されてもよい。バリア層12の平均厚さは、好ましくは約50nm〜約50μm、より好ましくは約100nm〜約4μm、さらにより好ましくは約100nm〜約2μmである。
図に示すように、誘電体層18は、信号増強層として機能し、トランスデューサの電極24a、24bとバリア層12との間に配置される。誘電体層18を形成する材料を変更することで、トランスデューサ10からの出力信号の信号対雑音比を大幅に増加させることが可能である。誘電体層18は、好ましくは約10−11S/m未満、より好ましくは約10−21S/m未満、さらにより好ましくは約10−25S/m〜約10−23S/mの導電率を有する。誘電体層18のシート抵抗は、少なくとも約1016Ω/□、好ましくは少なくとも約1026Ω/□、より好ましくは約1029Ω/□〜約1031Ω/□となるべきである。誘電体層18は、スクリーン印刷、スプレーコーティング、エアロゾル・ジェット(米国登録商標)印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ドローバーコーティング、ディップコーティング、リソグラフィック技術、スピンコーティング、蒸着、スパッタリング、積層、ALD、CVD、およびPECVDから成る群から選択されるものを含む任意の好適な技術により堆積されてもよい。
電極24a、24bは、好ましくは平板電極であるが、互いに組み合わされる電極とすることも可能である。好ましくは、電極24a、24bは、高い電子移動度または正孔移動度および大きなキャリア濃度を有する。電極24a、24bを形成するのに好適な材料は、銀、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、金、高度にドープされたシリコン、導電性カーボンナノチューブ(CNTs)、グラフェンインク、パラジウム、銅、アルミニウム、任意の導電性ポリマー、およびCNT/グラフェン−導電性ポリマー複合材から成る群から選択されるものを含む。これらの好ましい材料は、アクティブセンシング層30に対して、低いショットキーバリアおよび低い接触抵抗を有する。
アクティブセンシング層30は、環境の変化に対して比例的に変化する電子抵抗信号を提供する。目的の環境の変化に対して、その電子抵抗の変化により応答する任意の材料が、アクティブセンシング層30に使用されてもよい。この電子抵抗の変化は、その電子構造の変化、欠陥状態の変化、あるいは電子キャリア密度の変化の結果であってもよい。好ましくは、アクティブセンシング層30の抵抗は、約5kΩ〜約10MΩであり、より好ましくは約100kΩ〜約5MΩ、さらにより好ましくは約500kΩ〜約2MΩである。環境の刺激に曝される場合に、アクティブセンシング層30の抵抗は、環境の刺激の変化に対して比例的に変化するべきである。抵抗の変化は、(温度トランスデューサおよび相対湿度トランスデューサについて、それぞれ)好ましくは1℃または相対湿度1%変化当たり少なくとも約0.1%、より好ましくは1℃または相対湿度1%変化当たり少なくとも約0.5%の出力信号変化となるべきである。
誘電体層18とアクティブセンシング層30との間の界面36は、「チョーク領域」と考えられる。界面36は、別材料または個別の層ではないが、界面36の特性は、界面36の性質を変えることで変更することができる。いくつかの実施形態において、チョーク領域/界面36は、入ってくる環境信号の一部をアクティブセンシング層30に戻すように反射するように作用する。その他の実施形態において、アクティブセンシング層30の第1の側32および誘電体層18の第2の側22の一方または両方を、熱処理、放射、フッ素化、UV硬化、あるいはイオン注入等によって処理することで、界面36を変質させてもよい。
本実施形態およびそれ以降の実施形態は、追加の層が存在する状況を提供している。これらの層は、図1または図2のいずれかの実施形態に加えることが可能であるが、簡潔にするために、これらの層は、図2の実施形態と共に記載されている。図1および図2の実施形態に類似する番号は、類似の部分を示しており、各実施形態を繰り返すのではなく、上の記載を参照するものとする。
図4を参照すると、さらなる実施形態は、トランスデューサ10cの形式で示される。トランスデューサ10cは、信号増強層40をさらに含む点を除いて、図2に示されるものに類似している。信号増強層40は、第1の側42と第2の側44とを有する。信号増強層40の第1の側42は、アクティブセンシング層30の全てまたは一部に隣接しており、アクティブセンシング層30の第2の側34に対向しているのが好ましい。
図5を参照すると、トランスデューサ10dが示される。トランスデューサ10dは、フィルタ層46をさらに含んでいる点以外は、図4のトランスデューサ10cに類似している。フィルタ層46は、第1の側48と第2の側50とを有し、信号増強層40に隣接して配置され、好ましくは、第1の側48は、信号増強層40の第2の側44に対向している。
都合のよいことに、本発明のトランスデューサの製造は、電子回路印刷技術によって達成され得る。センサを製造するために印刷技術を使用することは、低コスト、高速、基板の多様性、および形状要因の理由により、望ましいものである。しかしながら、センサの材料および寸法が適切に選択される場合、センサは、標準的なフォトリソグラフィ技術および材料を用いて製造され得ることが予測されるであろう。
湿度、ガス、あるいはVOCセンサとして、本発明のトランスデューサを利用する場合、アクティブセンシング層の抵抗は、若干温度にもまた依存するものである。任意的に、より精度が高くなるように、密封されている温度センサを、湿度、ガス、あるいはVOCセンサと一体化して、温度補償器素子として用いることが可能である。この温度補償器素子は、装置構造体の上あるいは個別の構造体内に直接組み込まれることが可能である。この補償器素子は密閉されているので、補償器素子は、温度に感応するだけであり、湿気、ガス、あるいはVOCセンサ信号全体における温度の影響をなくすために、減算モードにおいて用いられることが可能である。
図8は、増加した相対湿度(RH)の1秒パルスに曝された場合の特定の基本センサの挙動を示す。トランスデューサは、100ms以内で、素早く反応し回復する。これらの速度において、CNT式アクティブセンシング層とPET信号増強層との間の界面において形成されるチョーク領域が優位を占める。これらの湿度トランスデューサは、10ms未満の超高速の応答時間および約40msの回復時間を有する。アルコールおよびケトンを含むその他の構成の高速パルスに対して、非常に似たような挙動が観察され、それらの主な違いは、正確な応答時間および回復時間にあるが、それらは全て250ms以内であった。
1つの環境の刺激が強まり、下がる時、トランスデューサから出力される電流は、一定の印加電圧で記録される。電流出力値は、次の式を用いて抵抗値に変換される。
抵抗=(印加電圧)/(電流出力)
Xcal=((R−c))/m
この式において、「R」は抵抗出力、「c」は最良適合線のy切片、「m」は最良適合線の傾き、「Xcal」は、算出値である。実際の記録された各データ点において、正方向サイクル中の実際のデータ点から算出される値と、逆方向サイクル中の実際のデータ点から算出される値との違いが算出される。正方向サイクルおよび逆方向サイクル中の記録された各データ点における違いが追加される。これは、各データ点で行われる。全体の範囲において実際値から算出される値の最大偏差が、装置のヒステリシスとして得られる。
トランスデューサの精度を算出するために、所定の刺激のサイクルに対して、実際値と、上記で算出するような算出値との違いが求められる。トランスデューサの精度は、そのトランスデューサにおける算出値と実際値との最も大きな違いとして算出される。
以下の実施例により、本発明による好適な方法を説明する。ただし、これらの実施例は例示のために記載するものであり、そのいかなる内容も、本発明の範囲全体を限定するものとして解釈してはならない。
カーボンナノチューブインク1の調製
CNTインク用のソースとして、Brewer Science(米国登録商標)CNTRENE(米国登録商標)1020材料が、用いられた。印刷を容易にするために、ジメチルホルムアミド(DMF)(シグマ―アルドリッチ社製、Part#D158550−4L)と脱イオンした(DI)水との比率が1:1である溶液を用いて、元のCNTインク(24の光学密度に相当)をこのDMFとDI水との溶液により約1:12に薄めて、約30秒間振り動かすことで、装置上に噴霧するためにインクを2.0の光学密度に薄めた。
カーボンナノチューブインク2の調製
CNTインク用のソースとして、Brewer Science(米国登録商標)CNTRENE(米国登録商標)1020材料が、用いられた。印刷を容易にするために、脱イオンした(DI)水を用いて、元のCNTインク(24の光学密度に相当)をDI水により薄めて、約30秒間振り動かすことで、装置上に噴霧するためにインクを2.0の光学密度に薄めた。
PET上の集積型温度/分析物トランスデューサの作製
この実施例において、32個の集積型温度/分析物トランスデューサが可撓性Melinex(米国登録商標)ST730 PET基板(テクラ社(Tekra,Inc.) 53151ウィスコンシン州、ニューベルリン、ウエストリンカーンアベニュー16700)上に作製された。このトランスデューサの構造は、図11に示される。まず、基板は、130℃で10’’/分の速度のコンベアオーブン内で焼成された。次に、下部金属層、つまり、AG−800銀導電性インク(Conductive Compounds社、ニューハンプシャー州ハドソン)は、以下のパラメータを用いて、AT−60PDスクリーンプリンタを用いて基板上にスクリーン印刷された。スクリーン:ポリエステル、230スレッド/インチ、フラッド/スキージ速度:225mm/s、フラッドバー圧力:10psi、スキージ圧力:25psi。基板は、その後、130℃で10’’/分の速度のコンベアオーブン内で硬化された。硬化された銀フィルムは、5μmの厚さを有した。下部絶縁層、つまり、ブルーワーサイエンス社(Brewer Science,Inc.)製の実験用のシクロオレフィンポリマーは、金属層と同じパラメータを用いて、金属層の上部にスクリーン印刷され、130℃で10’’/分の速度のコンベアオーブン内で硬化された。このフィルムの厚さは、約8μmであった。その後、銀電極は、金属層と同じスクリーン印刷および硬化パラメータを用いて、下部絶縁層の上部にスクリーン印刷された。実施例1の材料は、その後、135℃のプラテン温度、走査幅2mm、フローレート10ml/hr、走査速度60mm/s、およびSono−Tekモデル048−00214スプレーヘッドにより、Sono−Tekスプレーヘッドを有するカスタムメイドのスプレーコーターを用いて、電極領域にわたってスプレーコートされた。CNTフィルム厚さは、およそ20nmであった。上部絶縁層、つまり、下部絶縁層と同じ材料は、同じスクリーン印刷のパラメータを用いて、温度トランスデューサ領域上のCNT上にスクリーン印刷され、130℃で10’’/分の速度のコンベアオーブン内で硬化され、さらに、Fusion UV Systems,Inc.製のLC−6Bベンチトップコンベアを用いて、52’’/分のコンベア速度で紫外線硬化された。最後に、上部金属層、つまりAG−800銀導電性インクは、下部金属層と同じスクリーン印刷パラメータを用いて温度トランスデューサ上にスクリーン印刷され、130℃で10’’/分の速度のコンベアオーブン内で硬化された。これらの上部層の膜厚およびスクリーン印刷パラメータは、各下部層と同じであった。
ポリイミド上の集積型温度/分析物トランスデューサの作製
集積型温度/分析物トランスデューサのシートは、ポリイミドシート(デュポン(Dupont)、アメリカ合衆国)を、基板として使用した以外は、実施例3と同じ条件で作製された。図12は、生成されたトランスデューサのシートを示す。
比較用の集積型温度および湿度トランスデューサの作製
集積型温度および湿度トランスデューサは、電子回路印刷技術を用いて、比較的大きいトランスデューサ(約1.5cm2)として合成された。電極は、ナノ銀導電性インク(Conductive Compounds社のAG−800)を用いてテクラ社のポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にスクリーン印刷され、コンベアベルトオーブン内において110℃で10分間硬化された。使用されるセンシング素子は、実施例2の材料を使用して被覆され、2つの電極にわたってスプレーコーティングすることで、電極間に50nmの厚さで堆積された。最後に、デュポン製の5036ポリマー封止材料は、温度電極上のCNTセンシング素子の上部にスクリーン印刷された。
個別温度トランスデューサの作製
個別温度トランスデューサは、実施例3と同じ印刷パラメータを用いて作製された。この設計において、2つの電極のみが印刷され、湿度電極は存在しなかった。図13にトランスデューサの構造が示される。図14は、生成されたトランスデューサのシートを示す。
トランスデューサ試験装置の構成
トランスデューサは、カスタムメイドのスキャナシステムを用いて、環境チャンバ(エスペック製BTL−433モデル)の内部において制御された相対湿度および温度下で試験された。試験下にある32個の集積型トランスデューサを電圧供給および電流/電圧出力測定用のシステムの電子回路に電気的に接続するために、スキャナボードシステムは、96個のばね付勢ポゴピンを備えたスキャナボード、およびクランプシステムを含んだ。スキャナはまた、環境チャンバ内の相対湿度および温度を測定するための4つの較正された標準センサ(2つのハネウェル社製のNIH−400湿度センサおよび2つのテキサスインスツルメンツ社製のLM335温度センサ)を含んだ。この電子システムは、標準センサおよびDUTに電圧を供給し、DUTから出力される電流を測定するために、ケースレー社製の617電位計を用いた。ケースレー社製の195Aデジタルマルチメータは、標準センサから出力された電圧を測定するのに用いられた。スキャナボックスは、32個の集積型温度/分析物トランスデューサを同時に試験するために、スキャナリレーボード、スキャナコントローラ、およびマルチプレクサを利用した。この試験のために、各DUTは、正方向にバイアスされ、その一方で、その他の全ての装置は、漏れ電流をなくすために強制的にゼロとした。1つのDUTへの印加電圧により電流を測定するアレイ動作を示す回路部分の概略図を、図15に示す。データ取得は、Lab View2011プログラムを用いて行われた。スキャナシステムは、1度に1つのDUTに電圧を供給した。データを取得するための整定時間は、1秒に設定され、その一方で、データ取得周期は、15分の長さであった。
カーボンナノチューブ式温度トランスデューサの温度ヒステリシスおよび精度
実施例3および5で作製されたトランスデューサのヒステリシス試験は、実施例7に記載された試験装置にトランスデューサを配置することで行われた。温度は、実施例7に記載されるように、20℃〜90℃〜20℃のサイクルで行われ、センサから出力される電流は、一定の印加電圧0.5Vで記録された。抵抗出力−温度のグラフがプロットされ、最良適合線が引かれている。最良適合線の傾きおよびy切片値を用いて、較正された温度センサによって記録された各温度における各抵抗値を、算出された温度値に変換した。正方向および逆方向の温度サイクル中の実際の温度からの各算出された温度の偏差が算出され、正方向および逆方向の温度サイクルについて記録された温度毎の温度の違いも共に加えられた。全ての範囲における実際の温度からの算出された温度の最大偏差が、その装置のヒステリシス値となる。信号増強層または分離層を使用していない実施例5のトランスデューサのヒステリシスは、およそ16℃であり、図17に示されている。実施例3からのトランスデューサのヒステリシスは、分離層およびフィルタ層を加えることで、大幅に向上し、図18に示すように、約2℃であった。
カーボンナノチューブ式湿度トランスデューサの湿度ヒステリシスおよび精度
実施例3および5において作製されたトランスデューサのヒステリシス試験は、実施例7の試験装置にトランスデューサを配置することで行われた。実施例7に示されるように、一定の温度(25℃)において、チャンバ内の相対湿度を25%から80%につり上げて、その後25%に戻し、センサから出力される電流は、一定の印加電圧0.5Vにおいて記録された。抵抗出力−相対湿度のグラフがプロットされ、最良適合線が引かれた。最良適合線の傾きおよびy切片値を用いることで、較正された湿度センサによって記録された各湿度点における各抵抗値は、算出された湿度値に変換された。正方向および逆方向の湿度サイクル中の実際の相対湿度からの各算出された相対湿度の偏差が算出され、正方向および逆方向の湿度サイクルにおいて記録された湿度毎の湿度差も共に加えられた。全範囲における実際の湿度からの算出された湿度の最大偏差が、その装置のヒステリシス値となった。信号増強層または分離層を使用しなかった実施例5のトランスデューサのヒステリシスは、図21に示される。実施例3のトランスデューサのヒステリシスは、図22に示される。
時間に対する装置安定性
実施例5の温度トランスデューサは、時間に対する装置安定性を試験するために、長期にわたって、一定の温度および相対湿度(25℃/50%RH)で、環境チャンバ内で試験された。図24は、72時間の期間にわたって、環境チャンバ内で8個の代表的な温度トランスデューサの出力電流を示す。図25は、60日間周囲室温条件において、デジタルマルチメータによって測定した場合の、8個の温度トランスデューサの抵抗出力を示す。図示されるように、装置は、時間に対して極端に安定した性能を示す。
集積型温度および分析物トランスデューサの速度測定
実施例5において作製されたトランスデューサは、多湿空気の導入に対する応答および回復時間について試験された。応答時間および回復時間を測定するための実験装置を図28に示す。ソレノイドバルブ(Ingersoll−Rand P251SS120−A−G)を用いて、トランスデューサに対して、乾燥および多湿(30%相対湿度)空気を1秒パルスとして導入した。多湿空気を導入した場合のトランスデューサの応答時間(1/e)、および1秒後に多湿空気が乾燥空気と入れ替わる場合の回復時間を図8に示す。応答時間は、<10ミリ秒となり、回復時間は、約40ミリ秒となった。
集積型温度トランスデューサの速度測定
熱変化に対する実施例5のトランスデューサの感度および速度を評価するために、指でトランスデューサに触れて、その後離して、ケースレー社製の4200−SCS半導体分析器を用いて、リアルタイムで電流出力データを記録した。人間の指からの熱に対するトランスデューサの応答は、図29に示される。図示されるように、温度トランスデューサは、触れたときに、指からの非常に小さな熱に対してさえ、非常に素早く応答しており、離したときに、非常に素早く回復している。温度トランスデューサは、<50ミリ秒の応答時間および<150ミリ秒の回復時間を有する。
有機ポリマーを用いた比較の薄膜温度トランスデューサ
薄膜温度トランスデューサは、アクティブセンシング層として、CNTインクの代わりに、10nmの層の導電性ポリマー、つまり、PEDOT:PSS(シグマ―アルドリッチ社製、製品番号655201)を利用したことを除いて、実施例5と同様に作製された。図30は、実施例7の環境チャンバ内の正方向および逆方向の温度サイクル中の4つの代表的なPEDOT:PSS式温度トランスデューサの応答を示す。これらのトランスデューサは、4℃未満のヒステリシスを有する。これらのトランスデューサはまた、50ミリ秒未満の超高速な応答時間を有する。図31は、「ハロー、ワン、ツー、スリー」と発する人から1.5インチを保っているときの、熱変動に対するポリマーベースの温度トランスデューサの応答を示す。
有機ポリマーを用いた薄膜温度トランスデューサ
薄膜温度トランスデューサは、アクティブセンシング層として、CNTインクの代わりに、10nmの層の導電性ポリマー、つまり、PEDOT:PSS(シグマ―アルドリッチ社製、製品番号655201)を利用したことを除いて、実施例3と同様に作製された。図32は、実施例7の環境チャンバ内の正方向および逆方向の温度サイクル中の4つの代表的なPEDOT:PSS式温度トランスデューサの応答を示す。
集積型トランスデューサの低電力動作
集積型温度/分析物トランスデューサは、非常に低い電力(数pW)で動作することが可能であるので、低電池消耗動作および長期間処理/環境監視用途に適している。ケースレー社製のSCS4200半導体分析器を用いた、−2.5mV、+2.5mVの温度範囲において実施例5で作製された温度/分析物トランスデューサのI−V挙動を、図33に示す。図示されるように、それらは、非常に低い電圧に線形的に挙動が落ちることを実証している。図34は、人間の呼吸に対して、1μVで動作される、温度/分析物トランスデューサの応答を示す。トランスデューサは、この呼吸監視動作中に<30pWの電力を消費する。
揮発性有機化合物(VOC)蒸気検出トランスデューサ
集積型温度/分析物トランスデューサは、実施例5と同様に作製された。応答時間および回復時間を測定する実験装置を図28に示すが、ここでは、湿気の代わりに、溶媒のプール上に乾燥空気を吹き付けることで、溶媒蒸気が空気流に導入された。この溶媒を含む空気は、トランスデューサに到達する前にガラスフリットを通り抜けた。応答時間および回復時間の試験のために、センサは、乾燥空気で1分間パージされ、その後、ラインは、溶媒を含む空気で5秒間パージされ、その後、ソレノイド(Ingersoll−Rand P251SS120−A−G)を用いて、溶媒を含む空気の1秒パルスをトランスデューサに導入した。応答時間は、パルスの立上り縁と、応答がベースライン信号と信号最大値との間の期間の63.2%に到達した点との間の時間として算出された。同様に、回復時間は、パルスの立下り縁と、応答が初期のベースラインの63.2%に到達した点との間の時間としてとられた。電圧出力が指数関数的に変化するので、最大出力の63.2%に到達する時間は、応答時間を算出するための工業規格として使用される。これらのトランスデューサは、湿度に感応するだけでなく、図35および表1に示されるように、複数の類の極性揮発性有機物に対しても、非常に速い応答時間および回復時間で感応する。
湿度トランスデューサによる音声認識
実施例5の集積型温度/湿度トランスデューサは、口とセンサとの間の距離を変えること、並びに、室内および室外で試験することにより、音声により生成される相対湿度(RH)信号の取得の有効性について試験された。室内において、センサは、トランスデューサから20cmの距離で、「1−2−3」と発している人からの明瞭なRH信号を与えた(研究室温度=23℃、RH=55%)。音声認識用のセンサ装置がより長い距離であっても使用できるように、信号は、適切な電子回路および増幅器を用いることで増幅することができる。
カーボンナノチューブ式温度トランスデューサの温度ヒステリシスおよび精度
温度トランスデューサは、アクティブ層が、光学密度が2の日本ゼオン株式会社製のCNTを含んだインクを用いたことを除いて、実施例6と同様に作製された。アクティブ層は、3つの層にスプレーコートすることで形成された。温度トランスデューサは、実施例7と同様に試験された。
半導電性カーボンナノチューブインク3の調製
この手順において、20ミリグラムのSWeNT社製SG65原料のCNT材料は、脱イオンした水において200ミリリットルの0.5%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)(重量)と混合された。スラリーは、微細流動装置(型式:M10Y、カラムサイズ:87μm)を用いて20分間分散された。生成された分散物は、22.5rpmで30分間遠心された。完成したインクの光学密度は、1.90であった。
半導電性カーボンナノチューブ式温度トランスデューサの温度ヒステリシスおよび精度
温度トランスデューサは、アクティブ層に実施例19のインクを用いたこと以外は、実施例6と同様に作製された。アクティブ層は、トランスデューサ上にスプレーコートされ、表面活性剤は、イソプロパノールによる浸漬洗浄、および、それに続く脱イオンした水による浸漬洗浄により、アクティブ層から取り除かれた。温度トランスデューサは、実施例7と同様に試験された。
Claims (28)
- バリア層と、
少なくとも2つの電極と接触するアクティブセンシング層と、
前記アクティブセンシング層と前記バリア層との間に配置され、かつ、第1の側と第2の側とを有する誘電体層とを有し、
前記少なくとも2つの電極は、両方とも、前記誘電体層の前記第2の側に隣接する、
抵抗性トランスデューサであるトランスデューサ。 - 前記バリア層は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有する請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記アクティブセンシング層は、約1000nm未満の厚さを有する請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記アクティブセンシング層は、炭素質材料である請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記アクティブセンシング層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ織物、アモルファスカーボンフィルム、グラファイト、グラフェン、熱分解カーボン、カーボンファイバ、カーボンブラック、シリコン、導電性ポリマー、フラーレンカーボン煤、ならびにこれらの複合材および混合物から成る群から選択される請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記誘電体層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有する請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記アクティブセンシング層は、第1の側と第2の側とを有し、前記アクティブセンシング層の前記第1の側は、前記誘電体層の前記第2の側に対向している請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記バリア層は、第1の側と第2の側とを有し、前記誘電体層は、前記バリア層の前記第2の側に隣接し、さらに、前記バリア層の前記第1の側に対向する基板を有する請求項1に記載のトランスデューサ。
- 前記基板は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、紙、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される請求項8に記載のトランスデューサ。
- さらに、前記アクティブセンシング層の前記第2の側に対向する信号増強層を有する請求項6に記載のトランスデューサ。
- 前記信号増強層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有する請求項10に記載のトランスデューサ。
- さらに、前記信号増強層に隣接するフィルタ層を有する請求項10に記載のトランスデューサ。
- 前記フィルタ層は、金属フィルム、高分子フィルム、セラミックフィルム、単結晶フィルム、イオン選択性フィルム、化学的選択性フィルム、生物学的選択性フィルム、金属酸化物フィルム、金属窒化物フィルム、有機金属フィルム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項12に記載のトランスデューサ。
- 前記バリア層は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記アクティブセンシング層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ織物、アモルファスカーボンフィルム、グラファイト、熱分解カーボン、グラフェン、カーボンファイバ、カーボンブラック、シリコン、導電性ポリマー、フラーレンカーボン煤、ならびにこれらの複合材および混合物から成る群から選択され、
前記誘電体層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびそれらの混合物から成る群から選択される材料を有する請求項1に記載のトランスデューサ。 - 前記アクティブセンシング層は、第1の側と第2の側とを有し、前記アクティブセンシング層の前記第1の側は、前記誘電体層の前記第2の側に対向し、
さらに、前記アクティブセンシング層の前記第2の側に対向する信号増強層と、
前記信号増強層に隣接するフィルタ層とを有する請求項1に記載のトランスデューサ。 - 前記バリア層は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記アクティブセンシング層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ織物、アモルファスカーボンフィルム、グラファイト、グラフェン、熱分解カーボン、カーボンファイバ、カーボンブラック、シリコン、導電性ポリマー、フラーレンカーボン煤、ならびにこれらの複合材および混合物から成る群から選択され、
前記誘電体層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記信号増強層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記フィルタ層は、金属フィルム、高分子フィルム、セラミックフィルム、単結晶フィルム、イオン選択性フィルム、化学的選択性フィルム、生物学的選択性フィルム、金属酸化物フィルム、金属窒化物フィルム、有機金属フィルム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項15に記載のトランスデューサ。 - 大気条件下で、約50msec未満の応答時間および約100msec未満の立下り時間を有する請求項1に記載のトランスデューサ。
- 請求項1に記載のトランスデューサを有するセンサ。
- さらに、前記トランスデューサに動作可能に連結される制御部を有する請求項18に記載のセンサ。
- 分析物に曝された時に前記トランスデューサによって生じる抵抗の変化を、前記制御部が検出し、分析することが可能となるように、前記制御部は、前記トランスデューサに動作可能に連結される請求項18に記載のセンサ。
- 前記バリア層は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記アクティブセンシング層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ織物、アモルファスカーボンフィルム、グラファイト、グラフェン、熱分解カーボン、カーボンファイバ、カーボンブラック、シリコン、導電性ポリマー、フラーレンカーボン煤、ならびにこれらの複合材および混合物から成る群から選択され、
前記誘電体層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有する請求項19に記載のセンサ。 - 前記アクティブセンシング層は、第1の側と第2の側とを有し、前記アクティブセンシング層の前記第1の側は、前記誘電体層の前記第2の側に対向し、
前記トランスデューサは、さらに、
前記アクティブセンシング層の前記第2の側に対向する信号増強層と、
前記信号増強層に隣接するフィルタ層とを有する請求項18に記載のセンサ。 - 前記バリア層は、金属、金属酸化物、金属窒化物、半導体、ガラス、有機ポリマー、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記アクティブセンシング層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ織物、アモルファスカーボンフィルム、グラファイト、グラフェン、熱分解カーボン、カーボンファイバ、カーボンブラック、シリコン、導電性ポリマー、フラーレンカーボン煤、ならびにこれらの複合材および混合物から成る群から選択され、
前記誘電体層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記信号増強層は、非導電性ポリマー、非導電性フォトレジスト、非導電性セラミック、非導電性金属窒化物、非導電性金属酸化物、非導電性金属複合材、およびこれらの混合物から成る群から選択される材料を有し、
前記フィルタ層は、金属フィルム、高分子フィルム、セラミックフィルム、単結晶フィルム、イオン選択性フィルム、化学的選択性フィルム、生物学的選択性フィルム、金属酸化物フィルム、金属窒化物フィルム、有機金属フィルム、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項22に記載のセンサ。 - 前記トランスデューサは、大気条件下で、約50msec未満の応答時間および約100msec未満の立下り時間を有する請求項18に記載のセンサ。
- 状態の存在を検出する方法であって、
分析物が存在するかもしれない環境にトランスデューサを導入する工程と、
前記トランスデューサが前記状態の前記存在を示すかどうかを観察する工程とを有し、
前記トランスデューサは、
バリア層と、
少なくとも2つの電極と接触するアクティブセンシング層と、
前記アクティブセンシング層と前記バリア層との間に配置され、かつ、第1の側と第2の側とを有する誘電体層とを有し、
前記少なくとも2つの電極は、両方とも、前記誘電体層の前記第2の側に隣接し、
前記存在は、抵抗の変化によって示される方法。 - 前記状態は、分析物の存在、温度の変化、あるいはその両方から成る群から選択されるものである請求項25に記載の方法。
- 前記分析物は、湿気、ガス、気流、VOC、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項26に記載の方法。
- 前記トランスデューサは、大気条件下で、約50msec未満の応答時間および約100msec未満の立下り時間を有する請求項25に記載の方法。
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