JP2021047021A - アルデヒド検知センサ、および、それを用いたシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブランク気体を準備しなくても、電気信号の変化としてアルデヒドを検知するアルデヒド検知センサおよびそれを用いたシステムを提供すること。【解決手段】 本発明によるアルデヒド検知センサは、サンプリング気体中のアルデヒドと反応し、酸の蒸気を発生させる反応部と、反応部で発生した酸によって電気信号の変化を生じ、反応部と離隔して位置する応答部と、反応部と応答部との離隔状態を切り替える切替機構とを備え、切替機構は、反応部で発生した酸が、応答部に到達しない待機状態と、反応部で発生した酸が、応答部に到達する作動状態とを切り替える。【選択図】 図1

Description

本発明は、電気信号の変化を利用したアルデヒド検知センサ、および、それを用いたシステムに関する。
ホルムアルデヒドは、揮発性有機化合物(VOC)の1つであり、一定量を超えると人体に有害であることが知られている。ホルムアルデヒドは、例えば、合板、ラッカー、建材などに含有され、室内において大気中に放出されて、シックハウス症候群、がんなどの病気を引き起こし得る。世界保健機構(WHO)によれば、室内におけるホルムアルデヒド濃度基準は、0.08ppm以下とされている。
近年、ヒドロキシルアミン塩類を用いたホルムアルデヒドセンサが開発された(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、ホルムアルデヒドとヒドロキシルアミン塩類を反応させて発生する酸の蒸気を、カーボンナノチューブ等の炭素材料の電気抵抗値の変化として検出することにより、ホルムアルデヒドを常時モニタリングするセンサ及びそれを用いたシステムが報告されている。当該センサは高感度かつ、選択性に優れ、大気中で繰り返し利用が可能であることが報告されている。さらには、電気抵抗値の変化量は、ホルムアルデヒド濃度と相関があることも示さており、検量線に基づいた定量も可能である。
しかしながら、上述のような電気抵抗値の変化量として検出することを原理とする場合、センサへと導入する気体を、少なくとも検出対象(特許文献1および本明細書においては、ホルムアルデヒド又はアルデヒド)を含まないことが保証された気体(本明細書において、以後、ブランク気体と称する)から検出対象を含有する気体(本明細書において、以後、サンプリング気体と称する)へと切り替えて、ブランク気体とサンプリング気体下における電気抵抗値の差分をとることが常道である。そのため、実際の測定においては、何らかの方法によって、ブランク気体を準備する必要がある。
ブランク気体を準備する方法としては、清浄気体が充填された高圧ボンベが考えられ、特許文献1もこの方法を採用しているが、持ち運びタイプの小型センサに高圧ボンベを搭載することは困難である。また、センサが相対湿度の変化にも応答する場合には、ブランク気体とサンプリング気体の相対湿度を一致させることが望ましいが、加湿または除湿によって相対湿度を調整するためには煩雑な装置が必要である。
その他の方法として、サンプリング気体を吸着剤や触媒と接触させることにより、ホルムアルデヒドを除去したり、他の化学物質に変換して不活性化したりすることにより、ブランク気体として用いることが考えられるが、吸着剤や触媒の定期交換やメンテナンス、センサの大型化・高コスト化につながる虞がある。
また、センサがホルムアルデヒドを含む雰囲気に長時間保管されていた場合、センサの応答は飽和しており、ブランク気体を十分長い時間流してセンサの電気抵抗値をブランク気体下の状態に戻す必要がある。さもなければ、サンプリング気体を導入しても電気抵抗値の変化はほとんど観測されない。したがって、電気抵抗変化型のセンサはブランク気体中で保管することが望ましいと考えられる。
したがって、ブランク気体が準備できない状況においても、電気抵抗値の変化としてホルムアルデヒドを検知することを可能とする技術の開発が望まれる。
国際公開第2019/049693号
以上から、本発明の課題は、ブランク気体を準備しなくても、電気信号の変化としてアルデヒドを検知するアルデヒド検知センサおよびそれを用いたシステムを提供することである。
特許文献1に示されるような、反応部と応答部とが離隔しつつも常に一体化した電気抵抗変化型のセンサでは、電気抵抗変化量を得るためブランク気体が必要である。本願発明者は、実験室での試験的測定においてはブランク気体を用意することは容易である一方で、持ち運びタイプの小型センサにおいてブランク気体を用意することはセンサの大型化や高コスト化が生じ、重大な技術課題と成り得ると着想し、解決手段である本発明へと想到した。
本発明によるアルデヒド検知センサは、サンプリング気体中のアルデヒドと反応し、酸の蒸気を発生させる反応部と、前記反応部で発生した酸によって電気信号の変化を生じ、前記反応部と離隔して位置する応答部と、前記反応部と前記応答部との離隔状態を切り替える切替機構とを備え、前記切替機構は、前記反応部で発生した酸が、前記応答部に到達しない待機状態と、前記反応部で発生した酸が、前記応答部に到達する作動状態とを切り替え、これにより上記課題を解決する。
前記応答部が、前記酸による前記電気信号の変化として、電気抵抗値が変化する半導体材料を担持した電極を備えてもよい。
前記アルデヒドが、ホルムアルデヒドであってもよい。
前記反応部は、少なくとも、ヒドロキシルアミン塩類を含有してもよい。
前記ヒドロキシルアミン塩類は、ヒドロキシルアミン(NH2OH)またはNH2OR(Rは、芳香族、環式または非環式の炭素化合物、または、それらの誘導体である)のハロゲン酸塩、硝酸塩、および、トリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される中和塩であってもよい。
前記ヒドロキシルアミン塩類は、多孔質材料に担持されてもよい。
前記ヒドロキシルアミン塩類は、結晶または粉末状態であり、前記ヒドロキシルアミン塩類は、通気性を有する多孔質フィルターにより内包されてもよい。
前記多孔質フィルターは、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、多孔質ガラス、多孔質炭素材料および多孔質酸化物からなる群から選択されてもよい。
前記疎水性ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。
前記半導体材料は、炭素材料または導電性高分子であってもよい。
前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、フラーレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される炭素材料であってもよい。
前記導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される導電性高分子であってもよい。
前記反応部と前記応答部との間にスペーサを有してもよい。
前記切替機構は、前記反応部および/または前記応答部を移動させ、前記待機状態と前記作動状態とを切り替えてもよい。
前記切替機構は、前記反応部と前記応答部との間に挿入される遮蔽壁であり、前記遮蔽壁の挿入の有無によって前記待機状態と前記作動状態とを切り替えてもよい。
前記切替機構は、前記サンプリング気体の流路方向を切り替え、前記応答部を上流とするか、または、前記反応部を上流とするかによって前記待機状態と前記作動状態とを切り替えてもよい。
本発明によるアルデヒド検知システムは、アルデヒド検知センサと検出手段とを備え、前記アルデヒド検知センサは上記アルデヒド検知センサであり、前記検出手段は、前記アルデヒド検知センサで生じる電気信号の変化を検出し、これにより上記課題を解決する。
前記アルデヒド検知センサは、電源に接続されており、前記検出手段は、電流計または電圧計であってもよい。
前記アルデヒドがホルムアルデヒドであってもよい。
本発明のアルデヒド検知センサは、上記反応部と上記応答部との離隔状態を切り替える切替機構を備えており、切替機構が、反応部で発生した酸が、応答部に到達しない状態(以降、待機状態と称する)と、反応部で発生した酸が、応答部に到達する状態(以降、作動状態と称する)とを切り替えるので、ブランク気体を準備することなく、電気信号の変化としてアルデヒドを検出できる。この結果、センサの小型化および低コスト化を実現できる。本発明のセンサを各種検出装置と組み合わせれば、アルデヒド検知システムを提供できる。
本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図 別の本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図 さらに別の本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図 本発明のアルデヒド検知システムを示す模式図 実施例1によるアルデヒド検知センサを備えたシステムを示す図 実施例1によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図 実施例2によるセンサのブランク気体に対する応答特性を示す図 実施例2によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図 実施例3による反応部を製造するプロシージャを示す図 実施例3によるアルデヒド検知センサを備えたシステムを示す図 実施例3によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図 実施例4によるセンサのアセトアルデヒドに対する応答特性を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明のアルデヒド検知センサについて説明する。
図1は、本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図である。
本発明のアルデヒド検知センサ100(以降では単に本発明のセンサと称する場合がある)は、検知すべきアルデヒドとの反応によって酸を生じる反応部120と、反応部120で発生した酸によって電気信号の変化を生じる応答部150とを備える。さらに、本発明のセンサ100では、反応部120と応答部150とが離隔しており、機械的動作などによって、反応部120で発生した酸の蒸気が応答部150に到達しない待機状態と、反応部120で発生した酸の蒸気が到達する作動状態とを任意のタイミングで切り替える切替機構180をさらに備える。切替機構180により、ブランク気体を準備することなく、サンプリング気体のみを用いて、待機状態から作動状態への切り替え時に起こる電気信号の変化によってアルデヒドを検出することができる。
本願明細書において、離隔とは、物理的に混合されていない状態を意図する。待機状態と作動状態とを区別する離隔条件は、反応部120と応答部150の離隔距離に加えて、サンプリング気体に含まれるアルデヒドの濃度や、試料ガスの流量や方向、センサの内部空間容量、反応部と応答部の間に挿入された遮蔽物、反応部に含有される、例えばヒドロキシルアミン塩類の担持量などによって変化するため、規定することは困難であるが、あるアルデヒド濃度において待機状態と作動状態のどちらかであるかは、センサへと導入する気体を、ブランク気体からアルデヒドを含むサンプリング気体に切り替えた際に、アルデヒドへの応答が検出されるか否かで判定でき、この判定方法に基づいてセンサを設計、構築することができる。このように、センサの設計はブランク気体を用いて行うことが望ましいが、実際の測定においてはブランク気体は必要としないことに留意されたい。
ここで、本発明のセンサ100の動作原理を説明する。本発明のセンサは、電源起動前または電源起動後の測定開始前においては、切替機構180は本発明のセンサ100を前述の待機状態とし、反応部120で酸の蒸気が発生しているか否かに関わらず、応答部150は酸を検出しない。待機状態における応答部150の電気信号、例えば電気抵抗値は、R0として記録される。なお、応答部150に一定電圧を印加している場合には、オームの法則により、電気信号として電気抵抗値の代わりに電流値I0を代わりに用いることができる。
測定開始のタイミングで、切替機構180は本発明のセンサ100を作動状態へと切り替え、アルデヒドとの反応によって反応部120で発生した揮発性の酸(例えば、塩酸)が応答部150に拡散する。
なお、待機状態から作動状態への切り替えにおいて、反応部120が応答部150に接近するなどの環境変化によって、応答部150に電気信号の増減が見られる可能性があるが、この疑似的なシグナルは、ブランク気体を用いて予め見積もっておき、測定値から毎回差し引くことで対処できる。
ここでは、反応部120が、アルデヒドの中でもホルムアルデヒドと反応し、酸の蒸気を発生するヒドロキシルアミン塩類110を含有するものとして説明する。簡単のため、ヒドロキシルアミン塩類110としてヒドロキシルアミン塩酸塩の場合を説明するが、他のヒドロキシアミン塩類110であっても、同様の縮合反応によって酸を発生する。
HCHO+NH2OH・HCl→H2C=NOH+H2O+HCl
また、アルデヒドと反応して酸の蒸気を発生する反応部120は、ヒドロキシルアミン塩類110を含有する以外にも、ヒドラジン塩、アミン塩等を含有してもよい。メチル化やアセチル化されたヒドロキシルアミン塩類を用いてもよい。以降では簡単のため、反応部120はヒドロキシルアミン塩類110を含有する場合について説明する。
なお、アルデヒドは、ホルムアルデヒドに限らず、アセトアルデヒドやベンズアルデヒドであっても同様に反応部120は反応し、酸を発生するが、好ましくは、ホルムアルデヒドである。
応答部150が、後述する、酸によって電気信号の変化を生じる半導体材料130を備えている場合、半導体材料130の電気抵抗値は、p型の場合、酸が吸着することによって、正孔注入されて、下降することが多い。作動状態としてから一定時間経過後における応答部150の電気抵抗値Rt(または電流値It)を測定し、電気抵抗値の変化が生じれば、サンプリング気体がアルデヒドを含有すると判定できる。さらに、下記の式で表される電気抵抗値の相対変化量とアルデヒド濃度の相関関係(別途作成した検量線)とから、アルデヒドの濃度を換算できる。
電気抵抗値の相対変化量(%)=(Rt−R0)/R0× 100
測定終了後、切替機構180は本発明のセンサ100を再度待機状態へと切り替えることで、サンプリング気体下、アルデヒドの有無に関わらず、半導体材料130に吸着した酸分子が平衡脱離することで一定時間後には電気信号(電気抵抗値)が測定開始前の状態へと回復し、繰り返し測定を行うことができる。
このような仕組みを採用すれば、ブランク気体を準備することなく、アルデヒドを含む気体によるパージであってもセンサ100の電気信号(電気抵抗値)を元に戻し、サンプリング気体にアルデヒドが含有されるか否かを検出でき、アルデヒドが検出された際にはその濃度を繰り返し定量することができる。なお、本発明のアルデヒド検知センサが検知対象とするアルデヒドは、大気中に含まれるアルデヒドに限定されず、燃焼など有機物の酸化や還元によって発生したアルデヒドであってもよい。
以降では本発明のセンサ100の各構成要素について詳述する。
ヒドロキシルアミン塩類110は、ヒドロキシルアミン(NH2OH)を揮発性の強酸で中和して得られる、例示的には、ハロゲン酸塩、硝酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される中和塩である。なお、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩など不揮発性の酸からなる中和塩に、NaClなどの揮発性の強酸からなる塩を混合したものも、前述のハロゲン酸塩、硝酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩に含まれる。
これらのヒドロキシルアミン塩類110は、容易に入手または合成可能である。中でも、アルデヒドと反応した際に揮発性の高い強酸が発生するものが、半導体材料130を強く正孔ドープし、アルデヒドの高感度検出には好ましく、例示的には、ヒドロキシルアミンのハロゲン酸塩(NH2OH・HCl、NH2OH・HBr)やトリフルオロ酢酸塩(NH2OH・CF3COOH)である。
あるいは、ヒドロキシルアミン塩類110は、ヒドロキシルアミン誘導体であるNH2OR(Rは、芳香族、環式または非環式の炭化水素化合物、または、それらの誘導体である)のハロゲン酸塩、硝酸塩、トリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される有機化合物の中和塩である。中でも、Rが芳香族のベンゼン環、ベンジル基、または、4−ニトロベンジル基であるハロゲン酸塩(NH2OR・HCl、NH2OR・HBr)、トリフルオロ酢酸塩(NH2OR・CF3COOH)等であり、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩などが例示される。なお、本明細書において、「誘導体」とは、官能基の導入、酸化、還元、原子の置換などを行っても元の構造や性質が大幅に変化しない程度に改変された化合物等を意図する。
あるいは、ヒドロキシルアミン塩類110は、ヒドロキシルアミンが、高分子や無機化合物の表面に坦治された固体材料NH2OQ(Qは、高分子、ポリマービーズ、シリカゲルなど)であって、ハロゲン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸処理によって中和されたものであってもよい。
応答部150は酸によって電気信号の変化が生じる限りその構成に特に制限はないが、好ましくは、酸の吸着によって電気抵抗値(または電流値)に変化が生じる半導体材料130を備える。半導体材料130は、例えば、電極に担持されていてもよい。これにより電気信号の変化の検出が容易となる。このような半導体材料130には、炭素材料、導電性高分子、無機半導体などがある。酸の吸着によって、電気抵抗値が増えるか減るかは、半導体材料の性質に依存するが、どちらの性質のものでも用いることができる。正孔ドープによって電気抵抗値が減少するp型半導体では、酸の吸着によって電気抵抗値が減少するものが多く、本明細書で用いているカーボンナノチューブはp型半導体であり、酸との接触によって電気抵抗値が減少することが知られている。
炭素材料は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択される材料である。これらは、酸の吸着によって電気抵抗値が変化することが知られている。中でも、カーボンナノチューブは入手が容易であるとともに、優れた電気物性と安定性を有しており、好ましい。誘導体としては、表面にアミン、カルボン酸等の官能基を有するものや、表面を分散剤等により被覆したものを意図する。
また、カーボンナノチューブは、グラフェンの重なりの層数によって、単層、二層、多層カーボンナノチューブと分けられるが、本発明ではいずれも採用できる。中でも、単層カーボンナノチューブ(SWCNT:Single−walled carbon nanotube)の一部は、半導体性を有しており、酸に対して電気抵抗値の変化を生じやすいため好ましい。また、SWCNTの表面は疎水的で安定なグラフェンシートであり、湿度変化に対する応答が小さく、酸によって変性しにくいことからも好ましい。
SWCNTが半導体となるか金属体となるかは、グラフェンシートの巻き方のキラリティーによって決定され、合成されたSWCNTは、半導体と金属体を2:1の割合で含む混合物である。酸の蒸気に対するSWCNTの応答感度、すなわち電気抵抗値の変化量を増大させる目的で、半導体SWCNTを分離精製し、半導体SWCNTを半導体130として供することもできる。半導体を分離精製する方法は、特許文献1に記載のカラム分離法などが採用できる。
また、通常、強いπ−π相互作用によってバンドル構造を形成しているSWCNTを1本ずつに分散させてから電極上に塗布することで、酸蒸気と接触できるSWCNTの表面積が増すので、酸蒸気への応答感度が増大し、それにより、アルデヒドの検出感度を増大させることができる。SWCNTを分散させる方法としては、溶媒中での超音波処理に加えて、分散剤による分散処理を併用することが採用できる。分散剤としては、特許文献1に記載の超分子ポリマーの他、ポリフルオレンなどのπ共役高分子や、ドデシル硫酸ナトリウムなどの両親媒性界面活性剤が採用できる。溶媒としては、有機溶媒と水が採用できる。有機溶媒の中でも、オルトジクロロベンゼンはSWCNTの分散性が高いことが知れており、好ましい。
半導体材料130として用いられる導電性高分子は、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される導電性高分子である。これらの導電性高分子であれば、酸の蒸気に接触することによって電気抵抗値が変化するので、応答部150中の半導体材料130として採用できる。
例えば、p型半導体であるポリチオフェンの場合には、広く実用化されているPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリ(4−スチレンスルホン酸))のように、酸によって正孔ドープされることにより、導電性が上昇する。また、ポリアニリン、ポリピロールなどの塩基性官能基を含有した導電性高分子は、酸分子との親和性が高く、酸分子の吸着によるバンドギャップの変化に伴って電気抵抗値が変化するため、より好ましい。
無機半導体は、例えば、SnO2(酸化スズ)、In23(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、Fe23(酸化鉄)などガスセンサとして実績のある無機酸化物半導体が採用できる。
半導体材料130は、酸が吸着しやすいよう、内部空間を有しながら重なりあって、高い比表面積を有していることが望ましく、多孔体や網目構造体(ネットワーク)を形成してもよい。
半導体材料130は、好ましくは、通常使用される電極材料からなる電極140上に担持されるが、電極140は、例示的には、Au、Pt、Agおよびこれらの合金、またはグラッシーカーボンなどの導電性炭素材料からなる群から選択される材料からなる。電極140の形状は、電気抵抗値の変化を検出する方法によって異なるが、例示的には、櫛形電極(例えば図1)等である。このため、図1では電極140は、基板160上に位置する。
ヒドロキシルアミン塩類110が結晶または粉末状態の場合には、図1に示すように、多孔質材料に担持されていてもよいし、図9に示すように、通気性のある多孔質フィルターで包装してもよい。これにより、反応部120の取り扱いが簡便になるとともに、反応部120と半導体材料130との離隔状態を変化させることによる、待機状態と作動状態との切り替えを容易にする。
このような多孔質材料は、ヒドロキシルアミン塩類110との反応性がなく、ヒドロキシルアミン塩類110が担持可能な細孔を有する材料からなればよい。例示的には、ろ紙等に代表される紙、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、ポリマーフィルター、多孔質ガラス、多孔質炭素材料および多孔質酸化物からなる群から選択される材料である。これらは、市販品を容易に入手できる多孔質材料である。
前述の多孔質フィルターは、通気性があり、内包されたヒドロキシルアミン塩類110の粉末がアルデヒドと反応することを可能とするとともに、発生した揮発性の酸が半導体材料130に到達することも可能とする材料からなればよい。例示的には、ろ紙等に代表される紙、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、多孔質ガラス、多孔質炭素材料および多孔質酸化物からなる群から選択されるフィルター材料である。水による濡れを防ぐ目的では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの疎水性ポリマーからなる多孔性フィルターが好ましい。
好ましくは、多孔質材料は、10m2/g以上5000m2/g以下の範囲の比表面積を有し、10nm以上100μm以下の範囲の細孔径を有し、0.05 cm3/g以上0.90cm3/g以下の細孔容積を有する。これにより、反応に必要かつ将来的な交換を不要とするだけのヒドロキシルアミン塩類110を担持できる。
図1に示すように、本発明のセンサ100において、反応部120と応答部150との間にスペーサ170が位置していてもよく、スペーサ170の材料は特に制限されるものではない。
切替機構180は、待機状態と作動状態とを切り替え可能であれば制限はないが、図1に示すように、反応部120を移動させ、待機状態と作動状態とを切り替えるようにしてもよい。図1では、反応部120と応答部150とがスペーサを介して離隔状態を維持しており、さらに、ヒンジ部で構成される切替機構180により反応部120が可動になっている。作動状態では、反応部120と応答部150とが向かい合い近接して離隔され、待機状態では、反応部120が応答部150から離れて隔離される。待機状態において、反応部120で酸の蒸気が発生したとしても、応答部150に拡散で到達するまでには十分に希釈され、応答部150では検出されない。なお、応答部150で発生した酸が、反応部120に到達することを抑制する目的で、酸を吸着する固体塩基(例えば、ポリビニルピリジン)をセンサ室内に配置してもよい。
図1では反応部120が可動となる構成を示すが、応答部150を動かしてもよいし、反応部120と応答部150の両方を動かしてもよい。また、離隔状態を変化させる切替機構180としては、モーター、ギヤ、静電アクチュエーター、電磁弁等の電気的に作動する装置を採用してもよいし、スイッチなどによる手動の装置を採用してもよい。反応部120及び/又は応答部150の動かし方は特に制限されず、直線運動であってもよいし、回転運動であってもよい。
なお、センサ100は、加熱装置(図示せず)を備え、反応部120及び/又は応答部150を、室温以上に加熱し、定温状態となるようにしてもよい。室温以上とは例示的には、40℃以上、100℃以下である。反応部120及び/又は応答部150を、室温以上の恒温状態とすることで、環境中の温度変化の影響の排除、反応部120における反応速度の増加、応答部150に吸着した酸の脱離速度の増加などが期待できる。
図2は、別の本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図である。
図2のアルデヒド検知センサ200は、切替機構が遮蔽壁210である以外は、図1と同様である。遮蔽壁210は、反応部120と応答部150との間に挿入され、酸蒸気を遮蔽する。遮蔽壁210を、スライドまたは開閉などさせることで、遮蔽壁210が反応部120と応答部150との間で酸蒸気を遮蔽する待機状態と、酸蒸気を遮蔽しない作動状態とを切り替えることができる。
ここでも遮蔽壁210は、モーター、ギヤ、静電アクチュエーター、電磁弁、シャッター等の電気的に作動する装置を採用してもよいし、スイッチなどによる手動の装置を採用してもよい。
図3は、さらに別の本発明の例示的なアルデヒド検知センサを示す模式図である。
図3のアルデヒド検知センサ300は、切替機構310がサンプリング気体の流路方向を切り替え、反応部120と応答部150がセンサ室320の中に設置されている以外は、図1と同様である。流路下において反応部120が応答部150よりも風下にある待機状態から、反応部120が応答部150よりも風上にある作動状態へと切り替えることにより、酸蒸気の拡散方向が制御される。流路下において反応部120が応答部150よりも風下(下流)にある場合、反応部120で発生した酸の蒸気は、応答部150へと拡散できず、待機状態となる。また、流路下において反応部120が応答部150よりも風上(上流)にある場合、反応部で発生した酸の蒸気は、応答部150へと拡散できるので、作動状態となる。
図3ではセンサ室320内に反応部120および応答部150を収容するが、センサ室320は必須ではないが、センサ室320に反応部120および応答部150を収容すれば、酸蒸気の拡散方向の制御を効率的にする点から好ましい。
次に、本発明のアルデヒド検知センサ100の例示的な製造工程を説明する。
まず、電極140を有する基板160を用意する。半導体材料130を溶媒に分散させる。溶媒は、揮発性であれば特に制限はないが、例示的には、o−ジクロロベンゼンである。次いで、電極140上にこの分散または懸濁液をドロップキャストする。溶媒の乾燥後、応答部150が得られる。
次いで、ヒドロキシルアミン塩類110をメタノール等の溶媒に添加し、この溶液を、多孔質材料等にドロップキャスト、または、浸漬する。溶媒を乾燥除去することによって、反応部120が得られる。応答部150にスペーサ170を設置し、その上を反応部120で覆えば作動状態となり、反応部120と応答部150を十分に離隔させれば待機状態となる。切替機構180を用いて、反応部120を可動性とすることで、任意のタイミングで作動状態と待機状態を切り替え可能な本発明のセンサ100が得られる。
図1〜図3を参照して、応答部150は、酸によって電気信号の変化を生じる半導体材料130を備えた電極を用いるものとして説明してきたがこれに限らない。応答部150は、酸に応答して電気信号の変化を生じる任意の素子を採用でき、例えば、静電容量の変化を生じる素子、共鳴周波数の変化を生じる素子(例えば、水晶振動子マイクロバランス)、機械的変位を生じる素子(例えば、カンチレバー)等がある。これらを反応部120および切替機構180と組み合わせることにより、ブランク気体を用いずとも、アルデヒドを検出することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明のホルムアルデヒド検知センサを用いたシステムについて説明する。
図4は、本発明のホルムアルデヒド検知システムを示す模式図である。
本発明のホルムアルデヒド検知システム400(以降では単に本発明のシステムと称する場合がある)は、本発明のホルムアルデヒド検知センサ100(図1)と、センサ100からの電気信号の変化を検出する検出手段410とを備える。図4では、本発明のシステム400は、電源420に接続されている。電源420は固定の電源であってもよいが、電池等であってもよい。電源420として電池を採用すれば、ポータブルな小型のシステム400を提供できる。
検出手段410は、電気信号の変化を検出できれば特に制限はないが、例示的には、電気信号が電気抵抗値または電流値である場合には、電流計または電圧計が採用される。電流計であれば、電源420の電圧が既知であれば、電流の大きさを測定することによって半導体材料130の電気抵抗値の変化を検出できる。電圧は直流でも交流でもよい。検出手段410は、センサ100が、作動状態にある場合の電気抵抗値と、待機状態にある場合の電気抵抗値との変化を検出する。検出手段410は、電源420とは別の電源によって駆動してもよい。
あるいは、システム400は、温度や湿度に基づく誤応答のデータを予めデータベースに格納した制御部(図示せず)を備えており、制御部が、検出手段410が検出した本発明のセンサ100における応答部150の電気信号の変化と、制御部のデータベースに格納されたデータとを比較し、正応答と誤応答とを区別や、濃度補正をするようにしてもよい。
あるいは、制御部(図示せず)が、待機状態と作動状態との切り替えや電気抵抗値または電流値の測定のタイミング等を含む測定プログラムを備えていてもよく、測定プログラムに基づいて、センサ100の切替機構180が自動で待機状態と作動状態とを切り替えるようにしてもよい。
システム400の動作について説明する。本発明のセンサ100には電源420から例えば一定電圧が印加される。手動または制御部(図示せず)によって待機状態とされたセンサ100にサンプリング気体が供給され、その際のセンサ100の電気信号の値(例えば、電気抵抗値)を検出手段410が検出する。次いで、サンプリング気体を供給したまま、センサ100を作動状態とし、その際のセンサ100の電気信号の値を検出手段410が検出する。検出手段410は、各状態における電気信号の値が安定してから測定するようにしてもよい。センサ100を待機状態とし、サンプリング気体を供給すれば、センサ100の電気信号の値は元に戻る。
待機状態における電気信号の値と作動状態における電気信号の値とを比較し、電気信号の変化が見られた際に、サンプリング気体がアルデヒドを含有すると判定できる。また、その際の電気信号の変化の大きさは、アルデヒドの濃度と相関があるため、濃度を算出することもできる。検出手段410で検出された電気信号の値は、制御部が有するメモリ等に記録され、待機状態の電気信号の値と、作動状態における電気信号の値とを比較するようにしてもよい。
図4では、アルデヒド検知センサ100を備えたシステム400を説明したが、センサ100に代えて、アルデヒド検知センサ200(図2)、アルデヒド検知センサ300(図3)を、同様に用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
[試薬および材料]
以降の実施例で用いた試薬および材料について説明する。すべての試薬は、精製することなく、そのまま使用した。ヒドロキシルアミン塩類として次式に示す2種を用い、東京化成工業株式会社から購入した。
Figure 2021047021
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、米国NanoC社のPurified SWCNT(PT200)を購入して使用した。電極には、シリコン基板上に形成されたAuからなる櫛形電極(BVT Technologies製、No.CC1.W1)を用いた。電極間距離は200μmのものを用いた。
ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)は、E.E.Nesterovら,Macromolecules,2014,Vol.47,p.506−516にしたがって合成したシス−(2,2’−ビチオフェン)−5−イルブロモ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、および、A.Staubitzら,Organic Letters,2013,Vol.15,p.4666−4669にしたがって合成した2−ブロモ−3−ヘキシル−5−ヨードチオフェンを用いて合成した。
詳細に説明する。マグネット撹拌子を入れたシュレンク管を真空下で加熱乾燥し、真空ラインを用いてアルゴン雰囲気下とした。2−ブロモ−3−ヘキシル−5−ヨードチオフェン99mgと溶媒精製装置(ニッコーハンセン社製)で処理した脱水テトラヒドロフラン2.5mLを加え、−20℃に冷却した。この溶液に1.3mol/Lのイソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(アルドリッチ社製)214μLを−20℃で滴下して加え、20分間撹拌したのち、室温で70分間撹拌した。
反応混合物にシス−(2,2’−ビチオフェン)−5−イルブロモ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)5.4mgの脱水テトラヒドロフラン溶液0.2mLを加え、室温で22時間反応させた。反応終了後、反応混合物に3mol/Lの塩酸1mLを加え、30分間撹拌し、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過で乾燥剤を除去し、溶媒を減圧下で留去した。
得られた粗生成物を2.5mLのテトラヒドロフランに溶解し、20mLのメタノール中に滴下し、生じた分散質を遠心機で沈殿させた。上澄みのデカンテーションと沈殿物のメタノールでの洗浄を3回繰り返したのち、減圧下で乾燥させ、深赤色の固体35mgを得た。
この固体をゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により分子量を測定した。分子量は、Mw=25100g/mol、Mn=21200g/mol、Mw/Mn=1.17であり、重合体であるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)が合成されていることを確認した。また、得られた固体のテトラヒドロフラン溶液は、オレンジ〜赤色を呈しており、ポリチオフェンに特徴的な吸収波長を有していた。
[実施例1]
実施例1では、ヒドロキシルアミン塩類110(図1)としてO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩と、半導体材料130(図1)としてNanoC社製のSWCNTとを用い、直流モーターである切替機構180(図1)を備えたアルデヒド検知センサを製造した。
図5は、実施例1によるアルデヒド検知センサを備えたシステムを示す図である。
SWCNT(21.9mg)を、o−ジクロロベンゼン(o−DCB)29.1mLに懸濁させた。懸濁液を、室温下で、30分間超音波処理した。得られた懸濁液(約0.5mL)を、o−DCBで10倍に希釈して、室温下でさらに30分間超音波処理し、0.1mg/mLのSWCNTを含むo−DCBを得た。SWCNTは分散され、目視によるSWCNTの凝集体は見られなかった。櫛形電極上に約1マイクロリットルをドロップキャストし、乾燥によりo−DCBを除去した。6個センサを作製し、電気抵抗値を電気抵抗計によって測定したところ、30−80kΩの範囲内であった。電極部を綿棒で擦り、SWCNTを一部除去することで、電気抵抗値が300kΩ程度となるように調整し、センサの抵抗値を統一した。このようにして、センサの応答部150(図1および図5)を製造した。次いで、厚さ0.2mmであり、ビニルテープ材料からなるスペーサ170(図1および図5)を応答部上に配置した。
O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩を飽和するまでメタノールに添加した。上澄み溶液を、PTFEメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製Omnipore、孔径0.2μm、JGWP04700)に一滴ドロップキャストした。メタノールを大気中で乾燥させ、ハサミで横幅6mm、縦幅3mmの長方形の小片を切り出し、反応部120(図1および図5)を製造した。反応部に担持されたO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩は約0.2mgと見積もられた。なお、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩はホルムアルデヒドとの反応によって消費されるが、0.2mgという量は、大気中にppmオーダで存在するホルムアルデヒド(HCHO)に比べて、十分に過剰である。
反応部120を、図5に示すように、直流モーターの回転軸に設置された金属片先端に固定した。直流モーターの回転方向によって、反応部120が応答部150に0.2mm程まで近接した作動状態と、反応部120が応答部150から4cmほど離隔した待機状態とを切り替えられる切替機構180を構築した。直流モーターの回転方向は、直流電圧の印加方向によって任意に切り替えることができ、切り替え時にのみ電圧を印加すればよい。直流電源としては、1.5Vの単2乾電池を用い、印加方向の切り替えは手動で行った。
反応部120、応答部150、スペーサ170および切替機構180を備えるアルデヒド検知センサ500は、容量150mLのプラスチック製の市販容器内に収容され、両面テープで固定された。応答部150の電極に接続された2本の電気配線は、プラスチック容器に開けられた横穴を通じて、プラスチック容器外に出ており、検出手段410として電流計および電源420に接続し、アルデヒド検知システムとした。
また、切替機構180である直流モーターの2つの電気配線も、プラスチック容器に開けられた横穴を通じて、プラスチック容器外に出ており、これに直流電圧を印加することにより直流モーターの回転方向を制御し、待機状態と作動状態を切り替えることができるようにした。
アルデヒド濃度の測定時においては、前述のプラスチック製の容器には蓋が供され、外気の影響が排除される。蓋に開けられた2つの穴を通じてサンプリング気体を300mL/mLの一定流量で容器内に供給し、切替機構180を用いて、待機状態と作動状態とを切り替えた。
サンプリング気体として、相対湿度50%、ホルムアルデヒド濃度2.3ppmを含む大気を供給した。本願明細書の実施例では、センサの応答として、電流値の変化を{(I(t)−I0)/I0}×100(%)で正規化した値を用いた。ここで、I0は、待機状態における電流値であり、I(t)は作動状態としてからt秒後の電流値である。応答部150への印加電圧は0.1Vである。結果を図6に示す。tとして1000秒を用いた。
図6は、実施例1によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図である。
先ず、センサ500を待機状態としておき、湿度50%を含む大気(ブランク気体)を前述のセンサ500を含むプラスチック容器内に、300mL/minの流速で導入した。検出される電流値は約0.28μAと一定値を示し、安定していた。図6に示すように、開始から6600秒後、作動状態へと切り替え、7600秒まで作動状態を維持したが1%を上回る有意な応答は見られなかった。7600秒において待機状態へと戻し、8600秒まで維持したが、この場合も有意な応答は見られなかった。以上の結果から、ホルムアルデヒドが存在しない大気下においては、待機状態と作動状態を切り替えても、応答部150はほとんど応答しないことが明らかとなった。
次に、図6の8600秒の時点において、センサ500へ導入する気体をブランク気体から、ホルムアルデヒドを2.3ppm含有する湿度50%の大気(サンプリング気体)へと切り替え、9600秒まで維持したが、センサ500は待機状態であるため、電流値の上昇は見られなかった。9600秒において、待機状態から作動状態へと切り替え、10600秒まで維持したところ、電流値の上昇がみられ、応答部に有意な応答が見られた。サンプリング気体を導入したまま、10600秒において待機状態へと切り替え、16000秒まで維持したところ、電流値の減少が見られホルムアルデヒドへ応答した応答部150が元の状態へとリカバリーしていることが分かった。
16000秒において、待機状態から作動状態へと切り替え、17000秒まで維持したところ、ホルムアルデヒドへの応答にともなう電流値の上昇が再現された。サンプリング気体を導入したまま、17000秒において待機状態へと切り替え、24000秒まで維持したところ、電流値の減少が見られホルムアルデヒドへ応答したセンサ500が元の状態へとリカバリーしていることが分かった。
24000秒において、待機状態から作動状態へと切り替え、25000秒まで維持したところ、ホルムアルデヒドへの応答にともなう電流値の上昇が再現された。サンプリング気体を導入したまま、25000秒において待機状態へと切り替え、30000秒まで維持したところ、電流値の減少が見られホルムアルデヒドへ応答したセンサ500が元の状態へとリカバリーしていることが分かった。
以上の結果より、待機状態と作動状態とを切り替える切替機構を備えた本発明のセンサは、ブランク気体を用いることなく、サンプリング気体のみを用いて、電気抵抗値の変化量として、ホルムアルデヒドを検知できることが示された。待機状態においてはホルムアルデヒド存在下であってもセンサ応答はリカバリーして応答前の状態に戻るため、センサは繰り返し利用可能であり、応答強度の再現性も示された。
[実施例2]
実施例2では、ヒドロキシルアミン塩類110(図1)としてヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)と、半導体材料130(図1)として導電性高分子であるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)とを用い、直流モーターである切替機構180(図1)を備えたアルデヒド検知センサを製造した。
実施例2によるアルデヒド検知センサを備えたシステムを示す図は、実施例1にて示した図5と同様であり、ヒドロキシルアミン塩類110としてヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)を用いた点と、半導体材料130として導電性高分子であるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)を用いた点が、実施例1との相違点である。
ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)0.45mgにテトラヒドロフラン0.6mLを加え、超音波処理ならびに約50℃への加熱によって、完全に溶解させた。得られた溶液を、櫛形電極上に約0.5マイクロリットルドロップキャストし、乾燥によりテトラヒドロフランを除去した。6個センサを作製し、電気抵抗値を電気抵抗計によって測定したところ、15−30MΩの範囲内であった。このようにして、センサの応答部150(図1)を製造した。次いで、高さ0.2mmであり、ビニルテープ材料からなるスペーサ170(図1)を応答部上に配置した。
ヒドロキシルアミン塩酸塩を飽和するまでメタノールに添加した。上澄み溶液を、親水性のPTFEメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製Omnipore、孔径0.2μm、JGWP04700)に一滴ドロップキャストした。メタノールを大気中で乾燥させ、ハサミで横幅6mm、縦幅3mmの長方形の小片を切り出し、反応部120(図1)を製造した。反応部に担持されたヒドロキシルアミン塩酸塩は約0.5mgと見積もられた。
実施例2では、ヒドロキシルアミン塩類120および半導体材料130の材料を変更した以外は実施例1と同様であるため、待機状態と作動状態との切替機構ならびにアルデヒド検知システムの構築方法の説明は省略する。
サンプリング気体として、湿度50%を含む大気(ブランク気体)、または、相対湿度50%、ホルムアルデヒド濃度2.3ppmを含む大気を流速300mLで供給した。応答部150への印加電圧は1.0Vである。結果を図7および図8に示す。tとして300秒を用いた。
図7は、実施例2によるセンサのブランク気体に対する応答特性を示す図である。
図8は、実施例2によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図である。
先ず、センサを待機状態としておき、湿度50%を含む大気(ブランク気体)を前述のセンサを含むプラスチック容器内に、300mL/minの流速で導入した。図7に示すように、開始から900秒後、作動状態へと切り替え、1200秒まで作動状態を維持した場合、電流値の減少(抵抗値の上昇)が見られた。これは、反応部120が応答部150に接近したことによる効果であり、ホルムアルデヒドへの応答とは異なり、また、応答方向(電流値の増減)もホルムアルデヒドによるものと逆であるため、区別が容易である。
1200秒において待機状態へと戻し、1500秒まで維持したが、有意な応答は見られなかった。以上の結果から、ホルムアルデヒドが存在しない大気下においては、待機状態と作動状態を切り替えても、応答部150における電流値の上昇は見られないことが明らかとなった。
次に、待機状態にて、2.3ppmのホルムアルデヒドを含有する湿度50%の大気(サンプリング気体)雰囲気下におかれた実施例2によるセンサの電流値の変化を図8の0〜600秒に示すが、電流値は安定していた。一方、図8の600秒の時点において、待機状態から作動状態へと切り替え、900秒まで維持したところ、顕著な電流値の上昇がみられ、ホルムアルデヒドへの応答が見られた。サンプリング気体を導入したまま、900秒において待機状態へと切り替え、2900秒まで維持したところ、切り替え直後から電流値の上昇は停止し、わずかに電流値の減少(リカバリー)が見られた。十分に長い時間、待機状態とすることで応答部150が元の状態へとリカバリーすると期待できる。
2900秒において、待機状態から作動状態へと切り替え、3200秒まで維持したところ、ホルムアルデヒドへの応答にともなう電流値の上昇が再現された。サンプリング気体を導入したまま、3200秒において待機状態へと切り替え、4000秒まで維持したところ、切り替え直後から電流値の上昇は停止した。
以上の結果より、本発明のアルデヒド検知センサ100を構成する反応部120および応答部150には、幅広いヒドロキシルアミン塩類と半導体材料とが採用できることが示された。
[実施例3]
実施例3では、ヒドロキシルアミン塩類110(図2)としてO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩と、半導体材料130(図2)としてNanoC社製のSWCNTとを用い、遮蔽壁である切替機構210(図2)を備えたアルデヒド検知センサを製造した。応答部150は実施例1と同じものを用いた。
図9は、実施例3による反応部を製造するプロシージャを示す図である。
反応部120は、図9に示すようにして、ヒドロキシルアミン塩類110としてO−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(東京化成製)を用い、多孔質フィルターにヒドロキシルアミン塩類110の固体粉末を挟み込むタイプを採用した。
図9に示すように、厚さ2mmの塩化ビニル製のビニルテープ(Scotch社製)に、皮ポンチを用いて直径4mmの円形の穴をあけ、粘着面側に直径6mmにくり抜いたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の疎水性メンブレンフィルタ(Advantec社製、孔径0.2マイクロメートル、T020A047A)を付着させ、ビニルテープの穴を隙間なく埋めた。このビニルテープと疎水性メンブレンフィルタからなる構成体を2セット準備し、一方の疎水性メンブレンフィルタ部位の上(ビニルテープの粘着面がない側)に、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩の粉末を約2mg載せ、もう一方の構成体を、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩が2枚のメンブレンフィルタで挟まれるように被せて、2枚の構成体を接着させた。これにより、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩の固体は、多孔質フィルターによって挟まれて保持された状態となり、ホルムアルデヒドとの反応によって発生した酸の蒸気は多孔質フィルターを通過して、作動状態においては応答部150に到達できる。
図10は、実施例3によるアルデヒド検知センサを備えたシステムを示す図である。
反応部120を、厚さ0.2mmであり、ビニルテープ材料からなるスペーサ170を介して応答部150の上に設置した(図2、図10)。実施例3においては、反応部120および応答部150は可動しない。
さらに、反応部120と応答部150との間に、反応部120で発生する酸蒸気の遮蔽壁として機能するガスバリア性フィルム(セイニチ社製、ラミジップ、AL−D)の長方形小片(横幅1.6cm、縦幅8.5cm)を挟み込み、このガスバリア性フィルムの小片を、図2に示すように抜き差しすることで待機状態と作動状態とを切り替える切替機構210(図2)とした。
アルデヒド検知センサは、容量150mLのプラスチック製の市販容器内に収容され、両面テープで固定された。応答部150の電極に接続された2本の電気配線は、プラスチック容器に開けられた横穴を通じて、プラスチック容器外に出ており、検出手段410として電流計および電源420に接続し、アルデヒド検知システム1000とした。
また、切替機構210であるガスバリア性フィルムは、プラスチック容器に開けられた穴(横幅約2.5cm、縦幅約2mm)を通じて、プラスチック容器外に一部が出ており、これを手動で前後することで、待機状態と作動状態を切り替えることができるようにした(図2、図10)。
アルデヒド濃度の測定時においては、実施例1と同様に、前述のプラスチック製の容器には蓋が供され、外気の影響が排除される。蓋に開けられた2つの穴を通じてサンプリング気体を300mL/mLの一定流量で容器内に供給し、切替機構210を用いて、待機状態と作動状態とを切り替えた。
サンプリング気体として、相対湿度50%、ホルムアルデヒド濃度0.17ppmまたは2.3ppmを含む大気を供給した。センサの応答として、電流値の変化を{(I(t)−I0)/I0}×100(%)で正規化した値を用いた。ここで、I0は、待機状態における電流値であり、I(t)は作動状態としてからt秒後の電流値である。応答部150への印加電圧は1.0Vである。結果を図11に示す。tとして100秒を用いた。
図11は、実施例3によるセンサのホルムアルデヒドに対する応答特性を示す図である。
先ず、センサにおいて、遮蔽板(遮蔽壁)である切替機構210が、反応部120と応答部150の間に挿入された状態である待機状態としておき、湿度50%およびホルムアルデヒド0.17ppmを含む大気(サンプリング気体)を前述のセンサを含むプラスチック容器内に、300mL/minの流速で導入した。検出される電流値はほぼ一定値を示し、安定していた。
図11に示すように、開始から1300秒後、作動状態へと切り替え、1400秒まで作動状態を維持したところ、電流値が増大し、環境基準(0.08ppm)の約2倍という低濃度のホルムアルデヒドに対して、十分な応答が100秒以内で得られた。1400秒において待機状態へと戻し、2300秒まで維持したところ、徐々にセンサ応答がリカバリーする様子が見られた。さらに、2300秒において、センサを作動状態とし、2400秒まで維持したところ、ホルムアルデヒドに対する応答が再現された。
図11の2400秒にて、待機状態へと戻した。さらに、3300秒において、待機状態を維持したまま、湿度50%のブランク気体へと切り替えた。この切替に伴う応答は見られたなかった。続いて、4300秒において、作動状態へと切り替えたところ、僅かながら、電流値の上昇が観測された。これは、プラスチック容器内部の気体の置換が十分に行われていなかったためと考えられる。4400秒にて待機状態へと切り替え、さらにブランク気体でのパージを継続した。5700秒にて作動状態へと切り替え、5800秒まで維持したところ、応答は無視できるレベルであった。5800秒にて待機状態へと切り替え、ブランク気体によるパージを継続した。
7800秒にて、相対湿度50%、ホルムアルデヒド0.17ppmを含むサンプリング気体へと切り替えた。8200秒にて、作動状態へと切り替え、8300秒まで維持したところ、ホルムアルデヒドに対する応答が得られた。8300秒にて待機状態へと切り替えた。8700秒にて、サンプリング気体を、相対湿度50%、ホルムアルデヒド2.3ppmを含む高濃度のサンプリング気体へと切り替えた。電流値の減少がみられるが、これは、一般的な有機溶媒蒸気にもみられるSWCNTへの吸着に伴う現象によるものである。
9200秒にて、作動状態へと切り替え、9300秒まで維持したところ、先ほどの0.17ppmのホルムアルデヒドの場合よりも大きな電流値の上昇が得られ、応答強度にホルムアルデヒド濃度依存性があることが示された。9300秒にて待機状態としたところ、急激な電流値の減少も観測された。切替操作に伴う特徴的な応答パターンは、濃度や化学種の解析に利用できる可能性がある。
以上の結果より、待機状態と作動状態とを切り替える切替機構には、様々な原理が採用できること、反応部120には粉末状態のヒドロキシルアミン塩類が採用できること、応答強度とホルムアルデヒド濃度とに相関があること、が示された。
[実施例4]
実施例4では、実施例3で用いたアルデヒド検知センサを用いて、アセトアルデヒドへの応答を調べた。
サンプリング気体として、相対湿度70%、アセトアルデヒド濃度10ppmを含む大気を、流速100mL/minで供給した。応答部150への印加電圧は1.0Vである。結果を図12に示す。アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド(シグマアルドリッチ製)の飽和蒸気をシリンジで採取し、5Lのガス捕集バック内の大気と混合することにより調整した。濃度は、検知管(ガステック社製、92M)によって確認した。
図12は、実施例4によるセンサのアセトアルデヒドに対する応答特性を示す図である。
実施例3と同様に、先ず、センサにおいて、遮蔽板である切替機構210が、反応部120と応答部150の間に挿入されたを待機状態としておき、湿度70%およびアセトアルデヒド10ppmを含む大気(サンプリング気体)を前述のセンサを含むプラスチック容器内に、100mL/minの流速で導入した。待機状態であるため、電流値はほぼ一定値を示し、安定していた。
図12に示すように、開始から1000秒後、作動状態へと切り替え、1200秒まで作動状態を維持したところ、電流値が増大し、アセトアルデヒドへ応答することが示された。1200秒において待機状態へと戻し、3000秒まで維持したところ、徐々にセンサ応答がリカバリーする様子が見られた。
以上の結果より、本発明によるアルデヒド検知センサ、および、それを用いたシステムは、ホルムアルデヒドだけでなく、他のアルデヒド類にも適用できることが明らかとなった。
本発明のアルデヒド検知センサは、ブランク気体を準備することなく、電気信号の変化によってアルデヒドを検出することができる。本発明のアルデヒド検知センサは、常にアルデヒドをモニタリングすることができるので、警報型の検知センサとして機能する。ブランク気体を準備する必要がない分、装置の小型化や低コスト化が期待できる。
100、200、300、500 アルデヒド検知センサ
110 ヒドロキシルアミン塩類
120 反応部
130 半導体材料
140 電極
150 応答部
160 基板
170 スペーサ
180、210、310 切替機構
320 センサ室
400、1000 アルデヒド検知システム
410 検出手段
420 電源

Claims (19)

  1. サンプリング気体中のアルデヒドと反応し、酸の蒸気を発生させる反応部と、
    前記反応部で発生した酸によって電気信号の変化を生じ、前記反応部と離隔して位置する応答部と、
    前記反応部と前記応答部との離隔状態を切り替える切替機構と
    を備え、
    前記切替機構は、前記反応部で発生した酸が、前記応答部に到達しない待機状態と、前記反応部で発生した酸が、前記応答部に到達する作動状態とを切り替える、アルデヒド検知センサ。
  2. 前記応答部が、前記酸による前記電気信号の変化として、電気抵抗値が変化する半導体材料を担持した電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記アルデヒドが、ホルムアルデヒドである、請求項1または2に記載のセンサ。
  4. 前記反応部は、少なくとも、ヒドロキシルアミン塩類を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のセンサ。
  5. 前記ヒドロキシルアミン塩類は、ヒドロキシルアミン(NH2OH)またはNH2OR(Rは、芳香族、環式または非環式の炭素化合物、または、それらの誘導体である)のハロゲン酸塩、硝酸塩、および、トリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される中和塩である、請求項4に記載のセンサ。
  6. 前記ヒドロキシルアミン塩類は、多孔質材料に担持されている、請求項4または5に記載のセンサ。
  7. 前記ヒドロキシルアミン塩類は、結晶または粉末状態であり、
    前記ヒドロキシルアミン塩類は、通気性を有する多孔質フィルターにより内包されている、請求項4または5のいずれかに記載のセンサ。
  8. 前記多孔質フィルターは、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、多孔質ガラス、多孔質炭素材料および多孔質酸化物からなる群から選択される、請求項7に記載のセンサ。
  9. 前記疎水性ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項8に記載のセンサ。
  10. 前記半導体材料は、炭素材料または導電性高分子である、請求項2〜9のいずれかに記載のセンサ。
  11. 前記炭素材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、フラーレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される炭素材料である、請求項10に記載のセンサ。
  12. 前記導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリパラフェニレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される導電性高分子である、請求項10に記載のセンサ。
  13. 前記反応部と前記応答部との間にスペーサを有する、請求項1〜12のいずれかに記載のセンサ。
  14. 前記切替機構は、前記反応部および/または前記応答部を移動させ、前記待機状態と前記作動状態とを切り替える、請求項1〜13のいずれかに記載のセンサ。
  15. 前記切替機構は、前記反応部と前記応答部との間に挿入される遮蔽壁であり、前記遮蔽壁の挿入の有無によって前記待機状態と前記作動状態とを切り替える、請求項1〜13のいずれかに記載のセンサ。
  16. 前記切替機構は、前記サンプリング気体の流路方向を切り替え、前記応答部を上流とするか、または、前記反応部を上流とするかによって前記待機状態と前記作動状態とを切り替える、請求項1〜13のいずれかに記載のセンサ。
  17. アルデヒド検知センサと検出手段とを備えるアルデヒド検知システムであって、
    前記アルデヒド検知センサは、請求項1〜16のいずれかに記載のアルデヒド検知センサであり、
    前記検出手段は、前記アルデヒド検知センサで生じる電気信号の変化を検出する、システム。
  18. 前記アルデヒド検知センサは、電源に接続されており、前記検出手段は、電流計または電圧計である、請求項17に記載のシステム。
  19. 前記アルデヒドがホルムアルデヒドである、請求項17または18に記載のシステム。
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