JP2017518868A - 汚染土壌の浄化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、石油製品および芳香族炭化水素からなる群から選択される汚染物質で汚染された土壌を処理する方法であって、前記土壌に、過酸化水素と水酸化物源とを組み合わせた水溶液を接触させる工程を含む方法を提供する。【選択図】図7

Description

有機化学物質による土壌および地下水の汚染は、数十年におよぶ研究がなされた後でも、世界的に重要な問題となっている。ヨーロッパ連合国内だけでも、350万の場所で汚染の可能性が推定されている。もっとも一般的な土壌汚染物質は、ポリ塩化炭化水素(PCHs)、多環芳香族炭化水素(PAHs)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)、塩化溶剤、石油製品、および薬品の残留物である。PAHs、PCHsおよび石油製品などの残留有機汚染物質(POPs)による土壌および堆積物の汚染は、動物および人間の両方に対するその高い慢性毒性、および、土壌および堆積物へのその持続的な吸着により、環境問題となっている。
過去数十年の間、土壌から効果的に汚染を除去する、いくつかの新しい革新的な解決方法が研究されてきた。実験施設内での(ex situ)技術としては、土壌を掘り返してその後埋め立てる方法、加熱脱着、加熱破壊(焼却)、土壌洗浄、生物学的浄化、および真空抽出が挙げられる。しかしながら、実験施設内での(ex situ)方法は、通常、効果が低く、長時間の工程を要し、またコストが高い。さらに、それらの方法の中には、汚染物質を分解できないものもあり、また二次汚染の原因になる場合もある。現場での(in−situ)技術としては、化学的酸化またはその他の化学的処理(たとえば溶媒抽出)、光触媒反応、および電気化学的処理が挙げられる。
有機汚染物質を減らすための光触媒方法では、半導体と太陽光エネルギーとの両方を用いることが提案されていた。たとえば、純粋な二酸化チタンに基づく光触媒方法は、油で汚染された土壌を浄化するのに用いられた。しかしながら、これらの方法は、低効率で時間がかかるという特徴を有し、土壌の最表面層に対してのみ有用である。
動電学的な(EK)および電気化学的な浄化とは、低電位または直流を土壌中に差し込んだ電極に印加することであり、間隙流の電気浸透流動、および反対電荷の電極に対する荷電イオンのエレクトロマイグレーションを誘発するものである。この方法は、現場での(in situ)化学的酸化のような技術と組み合わせられることもある。この方法の限界は、浄化時間が長いことであり、数日間から数年かかることもある。
現場での(in situ)化学的酸化には、従来の処理技術よりも有利な点もあり、それは、たとえば、見込のコストが低い、環境破壊が少ない、危険な物質に暴露される労働者が少ないことである。さらに、この技術は、処理しなければならないゴミを多量に発生しない。これに加え、この技術は、非常に短時間で実施される。その反応はほとんど即時的であるため、そのような処理は生物学的技術よりもずっと迅速であり、加熱によるまたは蒸気による浄化技術よりも速くすることができる。現場での(in situ)技術において使われるもっとも一般的な酸化剤は、数ある中でも、オゾンおよびフェントン試薬である。しかしながら、現在までに知られている現場での(in situ)酸化技術において、pH調整が必要であるというような欠陥があり、また、現場での熱およびガスの発生の調整が困難である。さらに、酸化には数日から数週間要することがあり、依然として時間がかかり得る。
周囲の環境条件で水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを過酸化水素と反応させることによる、水中で顕著に安定したスーパーオキシドアニオンを現場で(in situ)発生させる新規の方法が、最近報告された(WO 2013/093903; Stoin, U. et al. ChemPhysChem, 2013, 14, 4158)。スーパーオキシドラジカルアニオン(O2−・)は、アニオン性とフリーラジカル特性との両方を有する活性酸素類である。上述の公知文献で示されているように、この試薬は超酸化(スーパーオキシド)剤の特性を示す。その水性試薬は、土壌に含まれる、四塩化炭素、および他の塩化メタンや塩化エタンの化合物の大部分を分解するのに有用である(WO 2013/093903)。
しかしながら、最も重要なことは、ハロゲン有機汚染以外のより複合的な土壌汚染、たとえば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素など、特に、多様で多量の汚染物質を含む非常に複合的なディーゼル油および原油を分解するための、処理方法を見つけることである。
本発明者らは、超酸化物(スーパーオキシド)が、土壌中のさまざまな炭化水素および他の有機汚染物質と、他にはない迅速な反応をすることを説明する。原料の高度な酸化能力に加えて、本発明の試薬は、極めて効力のある求核試薬であり、周囲の環境下で迅速に(数分から数時間以内に)石油製品とも反応することがわかった。したがって、幅広い範囲の芳香族、および石油および石油製品をも含む、土壌中のさまざまな汚染物質は、迅速に酸化され、全体として無機化される。
本発明は、石油製品のような複合的な汚染物質によって汚染された土壌を処理する新規の方法、およびWO2013/093903に開示されたハロゲン化炭化水素またはハロゲン化溶剤よりもさらにより複合的な汚染物質の処理を可能とする方法に関する。
したがって、本発明では、石油製品および芳香族炭化水素からなる群から選択される汚染物質で汚染された土壌を処理する方法を主な目的としており、上記土壌に、過酸化水素と水酸化物源とを組み合わせた(超酸化物(スーパーオキシド)を発生できる条件下で)液体を接触させる工程を含む。
本発明は、特に、現場での(in situ)浄化方法に関するものであり、水酸化アルカリおよび過酸化水素を汚染土壌中の液体に混合させる工程を含み、たとえば、汚染土壌の中に水性の水酸化アルカリ水溶液の流れおよび水性の過酸化水素水溶液の流れまたはこれらを組み合わせた流れを注入し、過酸化水素と水酸化物イオンとの間のモル比が、好ましくは1.1:1超であり、より好ましくは1.2:1超であり、たとえば、1.2:1〜1.8:1の範囲であり、また、少なくとも1.4:1の比であり、たとえば、1.4:1〜1.6:1の範囲であり、特に好ましくは1.5:1である。注入溶液における水酸化アルカリおよび過酸化水素の濃度は、それぞれ、少なくとも1.5M、2.25Mである。過酸化水素および水酸化物イオン(以後、この組み合わせを「水性試薬」と称することがある。)は、処理すべき地域全体に運ばれ散布される。
水酸化アルカリ溶液および過酸化水素溶液は、所望の方法で(最初に水酸化アルカリ溶液を流し、その後過酸化水素溶液を流す、またはその逆の順番で)2つが別々に流れるように汚染土壌に連続的に注入される。連続的に注入される流れは、基本的にただちに次から次へと、または、いくらか遅れを取って、たとえば、土壌の性質により、1分以上、または5分以上、ときには10分または30分以上、互いに間をおいて、送り込まれる。好ましくは、水酸化アルカリ溶液を最初に土壌に導入し、地面に浸み込ませ、続いて過酸化水素溶液を加える。したがって、本発明は、水酸化アルカリ溶液を土壌に導入し、続いて過酸化水素溶液を加える方法も提供する。
もしくは、2つの別々の流れを同時に、または、互いの注入時間が部分的に重なるような時間間隔で、注入してもよい。流れは、通常は継続的に注入されるが、間欠的に追加するやり方を採用してもよい。
過酸化水素と水酸化アルカリとは、毒性の残留有機廃棄物を現場で(in situ)化学酸化するために組み合わせて導入されるが、汚染除去効果を増大するために注入圧力および注入深さを調整しながら、たとえば図1に示すように、H源(1)およびNaOH源(2)を、ポンプ(3、4)を用いて、注入管を通って、汚染土壌の中に注入する適切な注入システムによって達成できる。
水酸化アルカリ溶液および過酸化水素溶液を土壌中に2つの別々の流れで注入すれば、非常に良い結果を達成できることを示したが、以下に述べるとおり、水酸化アルカリと過酸化水素とを汚染土壌中の水溶液中で混合させる、他の方法もある。たとえば、本発明の別の実施形態によれば、土壌は2つの水溶液で水浸しになり得るが、次第に地面に浸み込んでいく。本発明のまた別の実施形態によれば、水酸化アルカリは、固形(顆粒状、粉末状)で土壌中に導入され、過酸化水素水溶液は、その固形分を溶解するように注入され、地面に浸み込み、溶解したアルカリと反応する。
以下の処理において、土壌のpHはアルカリであることに留意すべきである。土壌のpHは、硝酸およびリン酸などの1以上の酸を添加することで、農業的な実用性で許容される範囲に容易に戻る。このような添加により、土壌のpHが低くまたは中和されるだけでなく、土壌に有用な肥料が豊富になる。本発明による土壌の浄化では、石油系の汚染物質などのさまざまな複合的な汚染物質を無機化し、危険のない物質だけにし、または、少なくとも、汚染物質を、短期間でより安全な物質に転換する。
現場での(in situ)浄化技術における主な問題のひとつは、この技術は、たとえば管などの地中のインフラを含む土壌中で実行され得ることである。結果として、商業的な許可を得るには、土壌中に酸化剤を注入する工程を含む土壌浄化方法は、金属表面を腐食しやすくするような、深刻な腐食損傷の原因となってはならない。下記の実験の結果では、本発明の水性試薬を金属管に暴露しても、ごくわずかな腐食が生じただけだったことが示されている。非常に多量の、たとえば通常の反応条件の4倍の量の、本発明の強い酸化剤(水酸化ナトリウムおよび過酸化水素)存在下で、炭素鋼管の耐腐食性を試験した。長い暴露期間、通常の反応条件の5倍の時間によって、本発明の浄化方法を原因として生じた腐食は100時間で0.012%であり、ほとんど無視できる。したがって、本発明の浄化方法は、地下に存在するインフラに対して無害である。
したがって、本発明の他の好ましい実施形態によれば、ここで述べる方法、すなわち、金属表面が、処理されるべき土壌と接触している場合の方法が提供される(たとえば、炭素鋼管のような、腐食されやすい金属製の設備)。以下の方法では、炭素鋼管(炭素鋼1010)について、本発明の試薬に100時間暴露させたところ、重量測定で0.1%未満の腐食が計測された。
本発明の水性試薬が存在することで、土壌中で分解され完全に無機化される汚染物質には、石油、ガソリン、原油、ディーゼル燃料、ディーゼル油、航空燃料、重油、ジェット燃料、ケロシン、液化石油ガス、天然ガス液、石油化学原料、およびこれらの混合物からなる群から選択される石油製品が含まれる。より好ましくは、石油製品は、ディーゼル油および/または原油から選択される。
処理される土壌は、芳香族有機化合物および脂肪族有機化合物、たとえば、非ハロゲン化芳香族炭化水素化合物で汚染されていることがある。芳香環はヘテロ原子を含むことができ、また、たとえば、アルキル(たとえばC1〜C5のアルキル)、ハロゲン(たとえば、塩素または臭素)、水酸基、およびカルボン酸から選択される1以上の官能基で置換され得る。特に、処理される土壌は、石油製品の成分として発見されることのある、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、フェノール、およびハロゲン置換ベンゼンからなる群から選択される1以上の芳香族化合物で汚染されていることがある。
汚染物質は、現場で(in situ)処理され、無害で天然由来の化合物(たとえば、HO、CO、NaC0、O、ハロゲン化物イオン)に転換される。現場で汚染物質に作用することで、試薬は、垂直方向の注入自体による作用の結果である場合を除き、他の浄化技術においてしばしば懸念されるような、汚染物質が上下移動する可能性を排除できる。付帯的に有利な点として、土壌中に存在する天然酸化鉄無機物(赤鉄鉱、針鉄鉱、磁鉄鉱、および水酸化鉄)は、副産物としてフェントン試薬製品による有機化合物の分解を、妨げないだけでなく触媒することができる。別の付帯的に有利な点として、汚染物質の嫌気性生物分解では、多量の試薬を適用する必要がある場合に、H分解の間に放出される酸素の存在を利点とし得る。
実施例1に示すように、超酸化(スーパーオキシド)剤は、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素のような土壌汚染物質を効果的に抽出し酸化する。これら汚染物質の典型例は、四塩化炭素(CTC、ハロゲン化有機化合物)およびキシレン(芳香族化合物)であり、いずれも毒性があり、化学産業、燃料産業および軍事産業における生物的耐性廃棄物の中に存在することが知られている。本発明の条件下では、これらの汚染物質は、式1および式2で示すような化学量論により、数分で全体的に迅速に無機化される。
CCl+6NaOH+9H→NaCO+4NaCl+4.5O+12H
式1:CTC無機化
10+16NaOH+24H→8NaCO+37HO+1.5O
式2:キシレン無機化
図2に示すように、水酸化ナトリウムまたは過酸化水素のいずれか一方によるCTCおよびキシレンの分解は無視できる。一方、NaOHおよび過酸化水素を適切なモル比で混合した物を用いた場合には、CTCおよびキシレンの迅速な分解が観察された。
過酸化水素は、好ましくは2.0M以上、より好ましくは2.25M以上または3.0M以上、さらに好ましくは10M以上、たとえば2.0M〜20Mの間の濃度で、水溶液の形態で本発明の方法の中で適用される。適切な水酸化物源は、水酸化アルカリであり、たとえば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムであるが、最も好ましいのは水酸化ナトリウムである。過酸化水素および水酸化物源は、処理する区域のその現場で(in situ)組み合わされるので、結果物である超酸化物(スーパーオキシド)含有水溶液は、ほとんど即座に、たとえば、好ましくは1分以内、より好ましくは5秒以内、たとえば、1秒以内に、溶液の形態となって、用いることができる。
いずれの場合も、2つの試薬の濃度および含有比は適性に調整されるので、反応は、以下の連続式のように、スーパーオキシドラジカルアニオンO ・という現場での(in situ)形態となる。
(I)2MOH+H→M+2H
(II)M+2H→2MO+2H
ここで、Mはアルカリ金属を示し、たとえば、ナトリウムまたはカリウムのいずれかである。これを達成するために、水酸化物源および過酸化水素は、土壌中の水溶液中で組み合わされる。すでに説明したように、塩基は、好ましくは水溶液の形態で注入され、注入溶液における水酸化物の濃度は1.5M以上であり、好ましくは1.9M以上、たとえば2.25〜20.0Mの範囲であり、より好ましくは3.0〜9.0Mの範囲である。土壌中で結合する過酸化水素と水酸化物イオンとのモル比は、上述のとおりであり、つまり、1.2:1超、たとえば1.2:1〜2.1の範囲であり、少なくも1.4:1、たとえば1.4:1〜1.6:1の範囲であり、特におよそ1.5:1が好ましい。このような条件下で、形成された水溶液のpHは、10.0超、好ましくは11.0超、より好ましくは12.0超、さらに好ましくは13.0以上、たとえば12.0〜14.0であり、活性過酸化種の作用し得る量が溶液中で形成されるので、水性試薬は、汚染土壌の中で汚染物質(石油製品、芳香族化合物)を酸化することができる。
溶液中での超酸化物(スーパーオキシド)の形成は、赤外分光法で確認することができる。O の特徴的なIR伸縮振動は、およそ波長1108cm−1におけるものである(L. Andrews," Infrared Spectrum, Structure , Vibrational Potential Function , and Bonding in the Lithium Superoxide Molecule L1O2", Journal of Chemical Physics, 1969 Volume 50, Number 10; Lester Andrews, " Infrared Spectra and Bonding in the Sodium Superoxid and Sodium Peroxide Molecules", The Journal of Physical Chemistry, 1969, Volume 78, Number 11 を参照のこと)。超酸化物(スーパーオキシド)を同定するための別の方法は、ラマン分光分析法および電子スピン共鳴法(EPR)に基づく。
土壌に注入する水酸化アルカリおよび過酸化水素の量は、さまざまな要因、たとえば、存在する汚染物質の種類および総量、要求される浄化の水準、および処理する土壌の量により決定される。一般的に、2つの試薬は、最も好ましいモル比で組み合わされると考えられるが(たとえば、モル比1:1.5)、以下のモル範囲では、多種類の汚染物質を、特に汚染物質が一定区域内にある場合に、かなり良い程度にまで浄化するのに役に立つことが示されている (汚染物質:MOH:2H):1:0.8:1.2〜1:20:30。土壌中の汚染物質の正確な場所が分からない場合には、もしくは、汚染物質が処理すべき土壌の中で均一に分布していない場合には、より多量の水性試薬を用いることができる。
浄化工程における土壌温度の影響について、土壌の初期温度は、本発明の土壌浄化工程において、あまり重要なパラメータではないので、本発明の方法は、幅広い温度範囲で採用できることがわかった。超酸化物(スーパーオキシド)生成反応は、発熱反応である。したがって、試薬が初期に凍結していない限り、一度反応が開始すると、土壌の温度は上昇し、無機化反応が開始される。しかしながら、土壌の初期温度が非常に低いと(−13℃)、転換反応は、土壌の種類(土壌の断熱性)によって、最大でおよそ5%降下する。低温では、超酸化(スーパーオキシド)剤は、15〜25℃の場合よりもゆっくりと形成されると考えられる。一方で、土壌の初期温度が非常に高いと、過酸化水素の自然蒸発が増加する。このような蒸発により、以下に示すとおり、本発明の主となる試薬の初期量が減少し、無機化工程における転換作用が低減する。初期の土壌温度が+37℃である場合、転換反応は、土壌の種類によって、最大でおよそ3%減少する。したがって、本発明の方法は、幅広い温度範囲で適用できる(たとえば、−13℃〜+40℃)。ただし、処理すべきさまざまな種類の土壌に関して、最も効果的に土壌浄化を達成させるための、土壌の好ましい初期温度は、0〜35℃、たとえば10〜30℃であることがわかった。
上述のとおり、本発明は、特に、汚染物質が石油製品である、汚染土壌の浄化を目的とする。石油は、自然発生的な、地表の下の地質構造で発見される黄色から黒色の液体であり、一般に、さまざまな種類の燃料に精製される。石油は、さまざまな分子量の炭化水素およびほかの液体有機化合物からなる。石油という名称は、自然発生的な未処理の原油、および原油を精製して製造された石油製品の両方を含む。
「石油」の用語は、原油中に存在する、全ての液体、揮発性有機化学物質、および半凝固炭化水素を含む。石油混合物中の軽質炭化水素の含有割合は、油田により大きく異なり、より軽質な油で97重量%もの量から、より重質な油およびビチューメンで50重量%ほどの量の範囲である。原油中の炭化水素は、ほとんどがアルカン、シクロアルカンおよびさまざまな芳香族炭化水素であり、その他の有機化合物は、窒素、酸素および硫黄であり、また、鉄、ニッケル、銅およびバナジウム等の微量の金属を含む。正確な分子組成は、構成物によって大きく異なる。4つの異なる種類の炭化水素分子が、原油中に存在する。それぞれの含有比率は油によって異なり、それぞれの油について特性が決定される。それらは、原油の15%〜60%含まれるアルカン(パラフィン)、原油の30%〜60%含まれるナフテン、原油の3%〜30%含まれる芳香族、および原油の残部に含まれるアスファルトである。
石油製品汚染における典型的な例の1つは、ディーゼルまたは油の残留物で汚染された土壌の処理である。ディーゼルおよび油の派生物質は、環境に対して最も危険な化合物の群に区別される。
石油製品の例は、本発明によれば、残留燃料油、バンカー重油、ディーゼル燃料のような精製した製品だけでなく原油、および塗料用シンナー、ガソリン等のような他の炭化水素の液体の両方を含むが、これらに限定されない。
特に、「石油製品」の用語は、いかなる種類またはいかなる形態の油、ガソリン、ディーゼル燃料、航空燃料、燃料油、ケロシン、原油を精製または加工して得られる製品、液化石油ガス、天然ガス液体、石油化学原料、コンデンセート、そのようないかなる油製品をも含む廃棄物の混合物、および他の液体炭化水素化合物およびその混合物を含む。
本明細書では、「油」および「燃料」の用語は、同じ意味で用いられることに留意すべきである。したがって、本発明は、いかなる油、たとえば植物油の処理も包含する。
以降の実施例が教示するように、90%以上の高い転換は、20分、40分、および2時間以内という非常にわずかな接触時間で得られる。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも90%の汚染物質の転換を達成するための接触時間は、数分から数日の範囲、たとえば10分〜10日、より好ましくは10分〜72時間である。さらに好ましくは、処理時間は、10分〜24時間、またはそれより少なく、たとえば5時間以内、ときには2時間以内の範囲である。
下記の実施例で示すように、本発明の方法での高い転換率(90%超)は、1サイクルの処理で得られる。「1サイクルの処理」とは、水性試薬を土壌に添加して、5時間以内、たとえば2時間以内の期間待つことを意味する。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、1サイクルの処理で実施される。さらに下記の実施例で示すように、転換率は、1または2サイクルの処理で、100%にまで上昇できる。したがって、本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の方法では、結果として汚染物質を100%転換できる。
本発明を支持して実施した実験的な作業では、1以上の有機添加剤を水性試薬とともに汚染土壌に注入することによって、土壌浄化のプロセスが促進され、汚染物質の転換量がより速い反応速度で増加することがわかった。反応を促進させることを示した有機添加剤の3つの群は、界面活性剤、水非混和性有機溶剤、および相間移動触媒である。
界面活性剤からなる有機添加剤の第1群において、特にアニオン性界面活性および非イオン性界面活性剤は、本発明の土壌浄化プロセスを促進するのに役立つことを示したことに留意すべきである。好ましいアニオン性界面活性剤には、長鎖カルボン酸の塩、たとえばC10〜C20鎖を有するもので、特に、上記酸のナトリウム塩またはカリウム塩であり、特には、脂肪酸の塩、つまり、せっけんである。せっけん溶液は、特に好ましい添加剤である。アニオン性界面活性剤には、たとえば、アルキル硫酸塩のような硫酸塩が含まれる(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム)。好ましい非イオン性界面活性剤には、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物、特に、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ツイーン(登録商標)80)およびポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ツイーン(登録商標)60)のようなポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセロールエステル、非イオン性せっけんおよびグルコシドが含まれる。
水非混和性有機溶剤からなる有機添加剤の第2群において、好ましい溶媒の選択肢として、かなりの揮発性を有する溶媒、たとえば、沸点が100℃未満、および80℃未満であり、処理すべき汚染物質を溶解することができるものが挙げられる。ハロゲン化および非ハロゲン化脂肪族炭化水素と、ハロゲン化および非ハロゲン化芳香族炭化水素とからなる群から選択される1以上の溶媒、たとえば、ジクロロメタン、ヘキサン、およびそれらの混合物等が、使用に適している。最終的に、これらの溶媒も、本発明の水性試薬によって分解される。
相間移動触媒からなる有機添加剤の第3群において、窒素含有カチオンを有する塩、たとえば、第4級アンモニウムカチオン、つまり、Nであり、ここで、R、R、R、およびRは、それぞれ独立してC1〜C18のアルキル基(好ましくはC1〜C12のアルキルであり、直鎖型または分岐型であり、好ましくは直鎖型である)、および対アニオン、たとえば、塩化物または臭化物のようなハロゲン化物アニオンがある。特に好ましくは、化学式NCH[(CHCHHal−で表される第4級アンモニウム塩であり、ここで、kは少なくとも5であり、たとえば5〜9であり、Halは塩化物または臭化物である。第4級アンモニウム塩の好ましい派生物の例として、メチルトリオクチルアンモニウムハライドを挙げることができ(k=7)、これはAliquat336として塩化物塩の形態で商業的に入手可能である。他の例には、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、およびテトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)が含まれる。
有機添加剤は、アルカリ水酸化物の流れを注入する前、同時、または後に、および過酸化水素の流れを添加する前、同時、または後に、別の流れを注入することによって土壌中に導入される。もしくは、有機添加剤は、塩基性溶液および/または過酸化水素溶液に前もって混合させて、前述の通りに注入することができる。一般に、アルカリ水酸化物および過酸化水素は、最も好ましいモル比で組み合わさり(たとえば、モル比1:1.5)、有機添加剤の量は、好ましくは、0.01:1〜1:1の範囲、好ましくは0.1:1〜1:1(添加剤:汚染物質)に調整されると考えられる。
有機添加剤、特にアニオン性界面活性剤の助けにより、本願発明の方法は、5分〜1時間で好ましく実施されて、汚染物質の転換が95%以上達成され、任意で、1回を超えて処理を繰り返して、たとえば2回以上の繰り返し処理サイクルを適用すれば、97%または99%以上達成される。
図1は、土壌浄化プロセスを実施するのに適した注入システムを示す図である。 図2は、水酸化ナトリウムと過酸化水素とのモル比の、さまざまな種類の土壌におけるキシレンの転換反応に対する効果を示す棒グラフである。 図3は、さまざまな汚染レベル(2〜30重量%)のCTCおよびキシレンで汚染された土壌中で達成された転換の程度を示す棒グラフである。 図4は、土壌温度および土壌の種類を因子とする、キシレンの浄化を示す棒グラフである。 図5は、さまざまな土壌における、水性試薬による芳香族炭化水素の分解を示す棒グラフである。 図6は、本発明の水性試薬によるディーゼル油および原油の分解を示す棒グラフである。 図7は、さまざまな土壌浄化プロセスにおける、浄化反応の程度を反応時間に対してプロットしたグラフである。 図8は、本発明の試薬に暴露した時の、管の腐食性の重量測定を示したものである。 図9は、カザフスタンの汚染土壌サンプルに、さまざまな有機添加剤とともに本発明の水性試薬を適用したときに、達成された汚染物質の転換および対応する反応時間をそれぞれ示す棒グラフである。 図10は、カザフスタンの汚染土壌サンプルに、さまざまな有機添加剤とともに本発明の水性試薬を適用したときに、達成された汚染物質の転換および対応する反応時間をそれぞれ示す棒グラフである。 図11は、中国の汚染土壌サンプルに、さまざまな有機添加剤とともに本願発明の水性試薬を適用したときに達成された汚染物質の転換を示す棒グラフである。 図12は、異なる種類のディーゼルおよび油を分解するときの、アニオン性界面活性剤と本願発明の水性試薬とを組み合わせた効果を示す棒グラフである。
実施例
試薬および原料:
30%過酸化水素水溶液は、BioLab株式会社(イスラエル)から購入した。
ディーゼルおよび油は、Paz株式会社(イスラエル)から購入した。
特にことわりがない場合は、その他の原料および溶剤は、シグマアルドリッヒ株式会社から購入し、さらに精製することなく用いた。
測定
有機混合物を、GC(FID検出器)、カラム30m、0.32mmID、0.25μm Resteck Famewax(登録商標)によって分析した。ピーク面積を、ジクロロメタン中で調製したそれぞれの炭化水素の標準曲線と比較した。
液相中の塩化物アニオンを、AgNO、0.1N(5w/w%KCrOを標準試薬として用いた)の定量滴定によって評価した。固形の最終生成物は濾過により分離され、FTIRおよびXRDによって分析された。
FTIRの研究は、Metler株式会社製造のReactIR4000を用いて実施した。XRDの研究は、X線回析装置、範囲:1100(2θ) 1680、Bruker AXSのD8advanceを用いて実施した。
TOCの研究は、TOC分析装置 N/C UV HS、Analytic−Jena、ドイツ株式会社を用いて実施した。
実施例1〜5で述べる一連の実験では、現場で(in situ)形成されるNaOによる、土壌中の芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素の無機化が説明される。実験は、研究室での規模で、−13℃から+37℃の範囲の温度において、人工的にスパイクで掘り返した土壌サンプルで実施された。実験は、土壌A、B、C、およびDがそれぞれ60g入った耐熱ガラス製反応器(500mL)の中で実施された。試験した土壌サンプルの組成およびpHを、表1に示す。
Figure 2017518868
土壌は、予め100℃で乾燥させ、汚染物質を添加して汚染物質とともに人工的にスパイクで掘り返した。少なくとも4回の反復試験では、汚染物質の初期濃度はそれぞれ異なっていた。土壌中のさまざまな汚染物質の初期濃度を、下表2に示す。未処理の土壌のpHは、それぞれ8.4、7.9、5.5、7.4であった。2つの別個の注射器(それぞれ50mL)を、土壌中に試薬を注入するために使用した。水酸化ナトリウム溶液が適量入った一方の注射器、および過酸化水素溶液(30%)が適量入った他方の注射器を注入して、以下の実施例で調製した試薬における所望のモル量で供給した。反応は、特に明記しない限り、室温で20分間続いた。処理後、試料の水相および有機相は、分離され、20mLのジクロロメタンで抽出された。有機相は、混合して分析した。その有機溶液は、GC−FID分析およびTOC分析で測定された。固相は、洗浄し、濾過し、乾燥して、XRDおよびFTIRを用いて分析した。
Figure 2017518868
実施例1
ナトリウム超酸化物(スーパーオキシド)による汚染物質の無機化
実施例では、ハロゲン化脂肪酸炭化水素および非ハロゲン化芳香族化合物に対する効果的な土壌浄化のためのISCO剤としての超酸化物(スーパーオキシド)試薬の効果を説明する。上述のプロトコルを採用し、2つの汚染物質、四塩化炭素(CTC)およびキシレンを、別々に処理し、それらの濃度をGC分析およびTOC分析で測定した。
反応生成物(処理後の土壌)のGC分析およびTOC分析では、CTCおよびキシレンのいずれの痕跡もないことがわかった。唯一の固形生成物が、予想どおり、炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムであった(CTCの場合)。表3に示すように、四塩化炭素およびキシレンは、迅速に<95%無機化された。表3は超酸化物(スーパーオキシド)試薬によるCTCおよびキシレンの分解を示しており、反応条件は以下のとおりである。土壌Aにおいて、水酸化ナトリウム0.25mol、過酸化水素0.37mol、およびCTCまたはキシレン2,000mg/kg(0.013mol)。
Figure 2017518868
実施例2
水酸化ナトリウム:過酸化水素のモル比の、浄化プロセスへの効果
ハロゲン化溶剤(CTC)および芳香族炭化水素(キシレン)の無機化の動力学を、異なる土壌サンプルで、水酸化ナトリウム:過酸化水素のモル比、および汚染物質:土壌のw/w比を変化させて、試験した。
そのために、上述の実験的プロトコルを採用した。反応条件は以下のとおりである。
水酸化ナトリウム0−0.2mol、過酸化水素0−0.3mol、CTC0.1molまたはキシレン0.02mol、および土壌A、B、CおよびD50g。反応時間は20分間とした。
結果を図2および図3に示す。結果は、超酸化物(スーパーオキシド)が生成される条件(過酸化水素および水酸化ナトリウムがモル比1.5:1で供給された場合)では、試験したすべての土壌サンプルにおいて、四塩化炭素およびキシレンの完全な分解が達成されることを示している(図2では、それぞれの棒は、左から右に土壌A〜Dを示している)。さらに、図3に示すとおり、汚染物質の完全な分解は、土壌中の汚染物質の幅広い濃度において達成される(土壌A)。
実施例3
浄化プロセスにおける土壌温度の影響
浄化処理における土壌温度の影響を試験するために、上述の実験的プロトコルを採用した。反応条件は:土壌A、B、CおよびDにおいて、水酸化ナトリウム0.25mol、過酸化水素0.37mol、およびキシレン6,150mg/kgで、土壌温度−13℃および+37℃(左から右に、−13℃、0℃、25℃、および37℃)。反応は20分間とした。
結果は、棒グラフの図4に示すとおりであり、試験したすべての範囲の土壌温度において達成された浄化(汚染物質の90%超の転換)の高い効果が示されている。完全な転換は、試験した土壌のすべての種類において、25℃で測定された。
実施例4
浄化プロセスにおける汚染物質の影響
土壌中の幅広い範囲の芳香族炭化水素の浄化における、本発明の水性試薬の適用性を説明するために、以下に例示する汚染物質を分解するための上述の一般的な手順が採用された:フェノール、トルエン、キシレン、クロロベンゼンおよびブロモベンゼン。反応条件は、土壌A、B、およびCにおいて、水酸化ナトリウム0.25mol、過酸化水素0.36mol、芳香族炭化水素汚染物質0.03molであった。反応時間は20分間とした。
図5に示す結果によれば、幅広い範囲の芳香族化合物(アルカリ−置換芳香族化合物、ハロゲン−置換芳香族化合物、および水酸基−置換芳香族化合物)を、異なる種類の土壌において、本発明の水性試薬を用いて分解することができたことがわかる(それぞれの棒グラフにおいて左から右に土壌A、B、Cである)。
実施例5
ディーゼル油および原油の除去
ディーゼル油および原油の浄化における、本発明の水性試薬の適用性を説明するために、下記の条件での上述の一般的な手順が採用された:土壌Aにおいて、水酸化ナトリウム0.25mol、過酸化水素0.36mol、10wt%の汚染物質(ディーゼル油または原油汚染物質)。反応時間は20分とした。
室温および標準圧力において、ディーゼル油および原油は、図6に示すように、1サイクルの処理で90%歩留り以上が迅速に無機化され、2サイクルの処理で完全に無機化された。この浄化プロセスの最終生成物は、XRD分析が示すように、炭酸ナトリウムであった。
実施例6
現地での(in−situ)土壌浄化達成における本発明の超酸化物(スーパーオキシド)試薬と他の試薬との比較
本発明の超酸化物(スーパーオキシド)試薬は、上述の手順に従って採用した。0.25molの水酸化ナトリウムおよび0.37mol過酸化水素(30%)を、10,000mg/kgのキシレンで汚染した50gの土壌Aで予め満たした反応器に添加した。浄化プロセスは2サイクルで構成した:第1反応は20分間であり、別の試薬を注入して、20分間の第2反応となる(合計反応時間は40分間である)。
第1比較試薬として、フェントン試薬を試験した。0.37molの過酸化水素(30%水溶液)、酸化鉄(汚染物質に対して10重量%)、および5mLのHSOを、10,000mg/kgのキシレンで汚染した50gの土壌Aで予め満たした反応器に添加した。反応時間は1時間とした。
第2比較試薬として、過硫酸ナトリウムを試験した。0.37molの過硫酸ナトリウムおよび5mLのHSOを、10,000mg/kgのキシレンで汚染した50gの土壌Aで予め満たした反応器に添加した。反応時間は1時間とした。
結果を、3つの実験それぞれにおいて、キシレン転換が反応時間に対してプロットされている図7のグラフに示す。ひし形マークおよび×マークの曲線は、水酸化ナトリウム/過酸化水素試薬で達成された浄化に対応する(それぞれ、第1サイクルおよび第2サイクルの処理である)。比較試薬、すなわち、フェントン試薬および過硫酸について得られた結果を、それぞれ、四角マークおよび△マークで示す。現場での(in situ)土壌浄化に対する本発明により提供される動的および転換の優位性が、明確に示された。水酸化ナトリウム/過酸化水素試薬は、1サイクルの処理(20分間)で90%以上、2サイクルの処理(さらに20分間)で100%の土壌浄化を達成する。
実施例7
管の腐食
厳しい反応条件下での、本発明の酸化試薬の存在による金属管の腐食を試験した。
反応条件は、1molの水酸化ナトリウム、2molの過酸化水素、金属試験の種類CS1010、60gの土壌A、反応時間100時間とした。
図8に示す結果では、本発明の浄化方法における水性試薬に管が暴露されたことに起因する管の腐食は、100時間後で0.012%(重量測定)であったことが示されている。
次の、実施例8〜21で述べる実験では、さまざまな国から集めた、多量の原油汚染を含む物質土壌サンプル(1kgの土壌に対しおよそ100,000mgの油)の浄化を説明する。浄化は、本発明の水性試薬(超酸化物(スーパーオキシド)を発生する条件下でのHおよびMOH)を、さまざまな有機添加剤と組み合わせて用いて達成した。実験装置は、前出の実施例を参照して、上述の実験装置と同様とした。有機添加剤は、第3の注射器を用いて、または、塩基溶液またはH溶液と混合して注入した。
実施例8〜12
土壌1kgあたりおよそ100,000mgの原油汚染物質を含む、カザフスタンからの製油所の汚泥を、上述の一般的な手順により、耐熱ガラス反応器中で浄化処理した。濃度5Mの水酸化ナトリウム水溶液および濃度6Mの過酸化水素水溶液を土壌に注入し、さまざまな有機添加剤も反応器に添加して、浄化プロセスを促進する能力を試験した。試験した添加剤は:
第4級アンモニウム塩Aliquat336(相間転動移触媒)
グリセロール(非イオン性界面活性剤と同様の添加剤として)
せっけん溶液(イスラエルのShahafから購入できる、アニオン性のせっけん)
ジクロロメタンとヘキサンとの混合物(有機溶剤)
実験の詳細(試薬の量)および結果(すなわち、達成された転換の程度、および汚染物質を浄化するのに要した時間)を表4に示す。
Figure 2017518868
結果は、達成された転換およびそれに対応する反応時間をそれぞれ示す棒グラフで図9、10にも図示した(左端の棒グラフは、“クリーン”であり、過酸化水素および水酸化ナトリウムのみからなる添加剤のない水性試薬を示す。)結果では、界面活性剤、特にせっけんを用いることにより、より速い反応速度でより高い程度の転換が達成されることが明らかにわかる。
実施例13−16
1kgの土壌あたりおよそ100,000mgの原油で汚染されている、中国で収集した汚染土壌サンプルを用いた以外は、実施例8〜12で述べた実験手順を繰り返した。濃度5Mの水酸化ナトリウム水溶液、および濃度6Mの過酸化水素水溶液を土壌に注入し、いくつかの添加剤を試験した(上記同様、第4級アンモニウム塩、ジクロロメタンおよびヘキサンからなる有機溶剤の混合物、およびせっけん溶液)。それぞれの場合において、浄化反応は60分間として転換の程度を測定した。
実験の詳細および達成された転換の程度を表5に示す。
Figure 2017518868
図11に図示した結果からは、溶剤混合液またはアニオン性界面活性剤の添加により、汚染物質の転換が増大し、特にせっけん溶液を用いると、ほぼ100%の転換が達成されることがわかる(左端の棒グラフは、“クリーン”であり、過酸化水素および水酸化ナトリウムのみからなる添加剤のない水性試薬を示す。)。
実施例17−21
実施例8〜16で報告した研究において、浄化プロセスを促進させる効果的な添加剤として用いたせっけん溶液を、本発明の試薬とともに試験し、土壌中の異なる種類のディーゼル油および原油の汚染物質を処理した。添加剤の効果を説明するために、水性試薬は単独で(実施例17A、18A、19A、20Aおよび21Aを参照)、またはせっけん溶液と組み合わせて(実施例17B、18B、19B、20Bおよび21Bを参照)、試験された。実験の詳細(汚染物質の種類、試薬の量、反応時間)およびその結果(達成された転換の程度)を表6に示す。
Figure 2017518868
結果は、図12にも図示したが、せっけん溶液を添加すると、達成される浄化の程度が一貫して増加することがわかる(隣接する一組の棒グラフにおいて、左側の棒グラフは水性試薬単独で適用した場合であり、右の棒グラフは水性試薬およびせっけん溶液を組み合わせた場合である。)

Claims (18)

  1. 石油製品および芳香族炭化水素からなる群から選択される汚染物質で汚染された土壌を処理する方法であって、前記土壌に、過酸化水素と水酸化物源とを組み合わせた水溶液を接触させる工程を含む方法。
  2. 水酸化アルカリおよび過酸化水素を、液状で汚染土壌に混合する工程を含む、現場での浄化方法である請求項1に記載の方法。
  3. 過酸化水素と水酸化アルカリとのモル比が1.2:1〜1.8:1となるように、水酸化アルカリ水溶液の流れおよび過酸化水素水溶液の流れを、またはこれらの水溶液を組み合わせた流れを汚染土壌に注入する工程を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 土壌が、石油、ガソリン、原油、ディーゼル燃料、ディーゼル油、航空燃料、重油、ジェット燃料、ケロシン、液化石油ガス、天然ガス液、石油化学原料、およびこれらの混合物からなる群から選択される石油製品で汚染されている、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記石油製品がディーゼル油、原油、またはその両方である、請求項4に記載の方法。
  6. 土壌が、1以上の非ハロゲン化芳香族炭化水素化合物で汚染されている、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  7. 土壌が、1以上の以下の官能基:アルキル、ハロゲン、水酸基およびカルボン酸で置換された1以上の芳香環を有する芳香族炭化水素で汚染されている、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  8. 芳香族化合物が、トルエン、キシレン、フェノール、ハロゲン置換ベンゼン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. (i)界面活性剤、(ii)水非混和性有機溶剤、および(iii)相間移動触媒からなる群から選択される少なくとも1つの有機添加剤を土壌に導入する工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 添加剤が界面活性剤であって、前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤である、請求項9に記載の方法。
  11. アニオン性界面活性剤が、長鎖(C10−C20)カルボン酸の塩からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. アニオン性界面活性剤が、脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項10に記載の方法。
  13. アニオン性界面活性剤がせっけん溶液である、請求項10に記載の方法。
  14. 添加物が水非混和性有機溶剤またはそのような溶剤の混合物である、請求項9に記載の方法。
  15. 土壌に過酸化水素溶液を添加した後に、水酸化アルカリ溶液を導入する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 10分〜72時間実施して、汚染物質の少なくとも90%を転換する、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 10分〜2時間実施して、汚染物質の少なくとも95%の転換を達成する、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
  18. 金属表面を処理する土壌と接触させる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
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