JP2017503980A - 遊星ギヤセットを有するモータ減速機、ドラムブレーキ、ディスクブレーキ、およびこれらを備えるブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、特に自動車のディスクブレーキまたはドラムブレーキのアクチュエータに電力を供給する、例えば「デュアルモード」ドラムブレーキにおける、モータ減速機に関する。本発明はまた、ドラムブレーキ、およびこれを備えるブレーキ装置に関する。モータ減速機は、電動モータ、減速ギヤ、および減速ギヤを介して電動モータに連結された回転出力を含む。通常、モータ減速機は、モータを収容するハウジングをさらに含む。減速ギヤは、遊星ギヤセットを有し、少なくとも１つの内歯ギヤリングを含み、これはハウジングに固定され、ハウジングと一体化して形成される。

Description

本発明は、特に、自動車のディスクブレーキまたはドラムブレーキのアクチュエータを、例えば「デュアルモード」型のドラムブレーキで駆動させるための、ギヤードモータに関する。本発明はまた、ドラムブレーキ、およびこれを備えるブレーキ装置に関する。

ギヤードモータは通常、電動モータから構成され、その出力軸は、減速を生成しトルクを増加させるギヤセットに結合されており、これは非常に多くの場合に、電動駆動部品を作成するのに好適である。ほとんどの場合、ギヤードモータは、縦続して配置された外歯ピニオンを備える。

従来のドラムブレーキは、一般にホイールと同軸のドラムを備え、これは、制動される部分にしっかりと固定された中空のシリンダからなる。制動中は、ブレーキシューのライニングが、ドラムの内面を摩擦する。これを行うために、作動手段により、２つのシューのそれぞれの端部のうちの１つを、軸線から離れるように動かす。反対側の端部は、回転に対して不動のバッキングプレートにしっかりと固定された停止板を回転の接線方向に押圧する。シューがドラムの制動面に押圧されると、ホイールの回転運動または回転力がシューに回転トルクを与え、シューはこの停止板を介して、これをバッキングプレートに伝える。一般に、２つのシューは、通常は二重ピストン油圧アクチュエータによって、「単動」として知られている動作モードで、同じ側の２つの端部で作動される。

ドラム・ブレーキ・シューの電動による作動もまた知られている。米国特許第８０１１４８２号明細書では、ねじナットシステムによって変位されるロッドで、シューが作動される機構が説明されており、ねじナットシステムは、ギヤを介して、モータによって回転するように作動される。欧州特許出願公開第２１９５２１９号明細書では、ホイールを介して変位するねじ付き部品によって、シューが作動される駐車ブレーキシステムが提示されており、ホイールは、電動モータの出力軸に、回転するようにしっかりと固定されたウォームによって駆動される。

独国特許出願公開第１９８５１６７０号明細書、独国特許出願公開第１０２００５０４８３３９号明細書、および米国特許出願公開第２０１０／０９６２２４号明細書では、減速ギヤを備えるブレーキ装置が説明されている。

本発明の目的は、特に、小型で、頑丈で、費用対効果が高く、エネルギー効率の良い、ドラムブレーキアクチュエータに適したギヤードモータを提供することである。

本発明の第１の態様によれば、ギヤードモータは、電動モータ、減速ギヤ、および減速ギヤを介して電動モータに連結された回転出力を含み、モータが固定されたハウジングをさらに含み、減速ギヤは、遊星ギヤセットを有し、少なくとも１つの内歯リングギヤを含み、これはハウジングと一体化してハウジングの材料で形成されていることを特徴とする。

電動駆動部品は、高速の回転速度をもたらす場合が多く、十分な力で小さい変位を得るために、大幅なギヤ減速をもたらすことが必要になる。これは、固定されたリングギヤと共に遊星ギヤセットを有する、少なくとも１つの減速ギヤによって可能になる。また、このような駆動部品の環境が、塵や埃にさらされているときは、ギヤードモータ機構は、特にドラムブレーキのアクチュエータの駆動部品の場合は、この環境に対して保護され、比較的密封されていなければならない。本発明によるギヤードモータ機構は、遊星ギヤセット用の内歯リングギヤが形成されたハウジングの中に収容され、このような要件の全てまたは一部を満たすことができる。ハウジングは回転に対して不動であるため、遊星ギヤセットの動作に必要な反応トルクをリングギヤに供給する。また、これは製造が容易で費用対効果が高い。本発明は、特に、駆動部品からのエネルギー伝達効率の改善を達成し、これにより、より大きい力を得るかまたはより高い作動速度を得ること、より動力の小さい駆動部品を用いること、もしくはこれらの性能間で、より良い妥協点に達することを可能にする。本発明は、車両または車両サブアセンブリ設計者の要件および制約への適合を、例えば、既存の車両または車両サブアセンブリに適合させるため、または設計段階で車両または車両サブアセンブリに組み込むために、容易かつ柔軟にすることができる。特に、本発明は、特に電気的に動作する駐車ブレーキの場合の、自動車部品の制御方法における技術開発と両立する。また、同一のアクチュエータモデルで、複数の駆動性能レベルを実現することも可能になる。

本発明の任意の改善によれば：
減速ギヤは、機械的に直列に取り付けられた２つの遊星ギヤセットを含み、その結果、第１のギヤセットの出力が、ある角度位置で第２のギヤセットの入力にしっかりと固定され、少なくとも１つのリングギヤが、２つのギヤセットのうちの１つの、一部をそれぞれ形成する２つのリングギヤを含む；
２つのリングギヤは、モータの軸方向延長部で、ハウジングに順に取り付けられた２つのギヤセットの軸方向寸法に対応する、軸方向寸法を有する、１つの組の歯部によって形成される；
ハウジングは、モータと減速ギヤとを隔てるカラーを備え、減速ギヤは、駆動遊星ギヤ、従動遊星キャリヤ、ならびにカラーとこのような従動遊星キャリヤとの間で、この従動遊星キャリヤのピンに回転自在に、かつこのようなピンに軸線方向に移動自在に取り付けられたピニオンギヤを備える；
２つの遊星ギヤセットがある場合は、第２のギヤセットは、第１のギヤセットの遊星キャリヤに、回転するようにしっかりと固定された駆動遊星ギヤ、従動遊星ギヤ、および従動遊星キャリヤと第１のギヤセットの遊星キャリヤとの間で、この従動遊星キャリヤのピンに回転自在に、かつこれらのピンに移動自在に取り付けられたピニオンギヤを備える；
回転出力は、リングギヤの第１の端部で、ハウジングの材料に形成された溝に係合するスナップリングによって、軸線方向に保持された従動遊星キャリヤにしっかりと固定され、減速ギヤの全ての移動可能部品が、リングギヤの第２の端部で、スナップリングと、ハウジングの内部に形成された肩部との間に、軸線方向に互いに対して自在に配置される；
リングギヤおよびモータは、同軸に取り付けられる。

これらの改善により、このようなギヤードモータの製造が、組み立ておよび保守と共に非常に容易になり、このような作業によって発生する費用を削減する。

説明するギヤードモータは、様々なドラムブレーキおよびブレーキ機能に適合させることができる。

ドラムブレーキは、通常、以下の３つのタイプのブレーキ機能を実施するために、自動車に用いられる：
通常はブレーキペダルを介して、車両の速度を落とし、かつ／あるいは車両を不動にすることからなる、常用ブレーキ機能；
通常はハンドブレーキを介して、静止している車両を不動にするために用いられる、駐車ブレーキ機能；
常用ブレーキ機能が故障した場合に、車両の速度を落とし、かつ／あるいは車両を不動にすることからなり、通常は駐車ブレーキ機能と同一の装置によって提供される、緊急ブレーキ機能。

ドラムブレーキを装備したほとんどの車両で、これら３つのタイプのブレーキ機能は、同一のドラムブレーキによって実行される。具体的には、かつ一般的には、駐車ブレーキ機能は、車室に位置するハンドブレーキ制御をレバーにリンクするケーブルによってもたらされ、レバーは、第１のブレーキシューの移動端の周囲をドラム内で枢動し、反応ロッドを介して第２のブレーキシューを離間させる。

ドラムブレーキは、このようにして作動され、上述した単動モードで制動トルクを供給するが、駐車ブレーキ機能、および特に緊急ブレーキ機能を提供するには不十分な場合がある。

ドラムブレーキは、「デュオサーボ」モードで動作するものが開発されており、これは、浮動するロッドが、１つのシューからもう１つのシューへと力を伝達かつ増幅する。特に、アクチュエータが、第１のシューの１つの端部を離間させてこれがドラムを押す一方で、もう１つの端部が、浮動するロッドを介して、同様に浮動する第２のシューの反対側の端部を押す。したがって、第２のシューの反対側の端部が、唯一停止板を押す。このタイプのブレーキは、作動力を大幅に増幅するが、調整がより困難であり、ライニングの不均一な摩耗を引き起こす。

デュオサーボドラムブレーキは、例えば、常用ディスクブレーキのディスクの中央ハットをドラムとして用いる、「ドラムインハット」として知られ、欧州特許出願公開第０４１６７６０号明細書で説明されている組み合わせによって、単に駐車および緊急ブレーキとして用いられることが多い。

別のタイプのブレーキは、常用ブレーキ用の単動モードと、駐車および緊急ブレーキ用のデュオサーボモードとを組み合わせている。この精神において、仏国特許出願公開第２６９７５９９号明細書は、停止板の近くに機械式アクチュエータを追加することを提案している。このアクチュエータの片側は、第１のシューの１つの端部を押し、もう一方の側は、もう１つのシューに作用する、追加されたレバーの端部を押す。

このような様々なブレーキおよび／またはブレーキ機能に適合される可能性において、本発明の第２の態様は、さらに好適な特徴を有し、これによれば、本発明は、バッキングプレートに２つのシューが取り付けられたドラムブレーキからなっていてもよく、これにより２つのシューは、ドラムの内側によって支持された制動面を押圧するために互いに離間させることができ、ドラムはバッキングプレートに対して回転移動可能であり、アクチュエータは、向かい合った２つの第１の端部によって、２つのシューを離間させるために配置されるリニアアクチュエータの形態で作られる。

このようなブレーキでは、ある特徴によれば、２つのシューは、バッキングプレートに対して移動可能であり、第１の端部の反対側の、第２の端部の近くで２つのシューを互いに結合するロッドにヒンジで連結され、ロッドは、このもう１つのシューをバッキングプレートに対して固定されたアンカーに押圧する力を、１つのシューからもう１つのシューに伝達することができる。

別の特徴によれば、ブレーキは、第２のブレーキ機能、特に常用ブレーキ機能を提供する第２のアクチュエータをさらに備え、この第２のアクチュエータは、第１の端部がバッキングプレートに当接している間に、２つのシューの第２の端部を互いに離すために配置される。

最後に、別の好適な特徴によれば、本発明は、車両または車両サブアセンブリ用の、特に特に道路車両用の「ドラムインハット」として知られているブレーキ装置からなり、これは、第２のブレーキ機能、特に常用ブレーキ機能を実行するために、ブレーキパッドと相互作用するブレーキディスクを備え、この装置は、第１のブレーキ機能、特に駐車および／または緊急ブレーキ機能を提供するために配置されたブレーキを備え、ドラムは、ブレーキディスクにしっかりと固定され、かつこれと同軸にされる。

本明細書で説明されるギヤードモータは、ディスクブレーキ等の他のタイプのブレーキにも適合させることができる。

このような様々なタイプのブレーキおよび／またはブレーキ機能に適合される可能性において、本発明の別の態様は、ハーフアクスルアセンブリ、例えばハブキャリヤの周囲で回転移動可能なホイールに、しっかりと固定されたブレーキディスクの外周をまたいで取り付けられたキャリパを備える、ディスクブレーキに関する。このキャリパは、ハブキャリヤに対して回転するようにしっかりと固定され、ホイール軸と平行に変位するブレーキピストンによって、少なくとも２つの摩擦ライニング同士の間に、少なくとも１つのライニングに印加されたクランプ力の効果で、ディスクの２つの面を固定する。本発明によれば、このブレーキディスクは、本明細書で説明されるように、ギヤードモータを備え、これはピストンを作動させるためにキャリパに取り付けられる。このギヤードモータは、例えば、キャリパに固定され、リニアアクチュエータを形成するねじナット機構を駆動させ、リニアアクチュエータは、ブレーキピストンと同軸であり、その回転によって、ライニングをディスクに印加するためにピストンを変位させる。

本発明の他の利点および特徴は、決して限定的ではない実施形態の詳細な説明、および添付の図を考察することによって明らかになるであろう。
本発明の実施形態による、ギヤードモータの分解図である。 図１のギヤードモータの断面図である。 本発明の実施形態による、図１のギヤードモータを備える、駐車または緊急ブレーキアクチュエータの部分切り欠き斜視図である。 ギヤードモータを除いた、図３のアクチュエータの分解図である。 図３のアクチュエータの分解図である。 本発明の実施形態による、図３のアクチュエータ、およびドラムブレーキのバッキングプレートの分解図である。 車両が不動の状態のときの、駐車ブレーキ適用時の「デュアルモード」型ドラムブレーキ機構の動作の前面図である。 本発明の実施形態による、図３のアクチュエータを備える、「デュアルモード」型ドラムブレーキの斜視図である。

図１の実施形態では、ギヤードモータ５は、ほぼ円筒形の直流モータ等の電動モータ５２を備える。このモータは、ほぼ円筒形のハウジング５１に囲まれており、ハウジング５１は密封状態で後部カバー５４に組み付けられ、後部カバー５４には、モータの給電および／または制御用の電線５２９が、密封状態で通っている。

好適には、ハウジング５１は、様々な電力値のギヤードモータ５を同一のハウジングモデルで製造することができるように、様々な直径、例えば３４ｍｍまでのモータを受けられるように直径が十分に大きい、円筒形の内側凹部を有する。

モータをハウジングにうまく配置および保持するために、モータの直径にかかわらず、モータは、管状の支持部５３にはめ込まれ、支持部５３の厚さは、モータ５２の半径と、ハウジング５１の内側凹部の半径との間の差異に相当する。直径が異なる所定の範囲のモータの場合は、内径が対応する、ある範囲の支持部のみを製造すればよく、寸法が異なるハウジングを製造するよりも容易で費用対効果が高い。

あるいは、管状の支持部５３は、後部カバー５４にしっかりと固定されるか、あるいはこれに形成される。変形例では、このカバーは、モータ５２全体の長さを覆うように、示されているよりも細長い形状を有する。この場合、同一のハウジング５１に対する、モータの幅の相違は、好適にはカバーの幅の相違に対応する。

また、管状の支持部５３、またはカバー５４が支持部に置き換わった場合も、電磁干渉に対するシールドを形成するか、かつ／あるいはモータによって生成された熱の放熱器として作用する材料で作られる。

ハウジング５１は、モータ軸の側に、減速ギヤを囲む円筒形の出力開口部５１０を備え、減速ギヤは、モータ５２によって入力側で駆動され、出力側で、ギヤードモータ５の出力軸５５７を駆動させる。図２に示すように、モータ５２および減速ギヤ５５は、カラー５７によって隔てられ、これはハウジングの一体部分を形成しており、ハウジングの内面から径方向内側に突出している。

モータ５２の場合は、モータ５２をハウジング５１内の回転に対して不動にするために、カバー５４内で、キャビティ５４３に軸線方向にはめ込まれる、少なくとも１つの偏心した歯部５２８を有する。

モータ軸は、カラー５７、およびカラーに接している密封フランジ５６１を貫通する。密封フランジ５６１は、これにしっかりと固定されたピニオン５５１を支持して、第１の遊星ギヤセット５５Ａの駆動遊星ギヤを形成し、第１のピニオンギヤ５５２は、この遊星ギヤ、および第１のピニオンギヤ５５２を囲む第１の内歯リングギヤ５５９と噛み合う。第１の遊星ピニオン５５２は、第１の遊星キャリヤ５５３の偏心ピンに回転自在に取り付けられ、カラー５７と第１の遊星キャリヤ５５３との間で、軸線方向に移動自在にピンに取り付けられる。第１の遊星キャリヤは、第１の遊星ギヤセット５５Ａの出力を構成して遊星ピニオン５５４を保持し、回転するようにしっかりと遊星ピニオン５５４に固定されて、第２の遊星ギヤセット５５Ｂの入力を形成し、第２の遊星ギヤセット５５Ｂは、遊星ギヤ５５４、および第２のピニオンギヤ５５５を囲む第２の内歯リングギヤと噛み合う第２のピニオンギヤ５５５を含む。第２の遊星ピニオン５５５は、第１の遊星キャリヤ５５３と、第２の遊星キャリヤ５５６との間で、第２の遊星キャリヤ５５６のピンに回転自在に取り付けられ、かつこれらのピンに軸線方向に移動自在に取り付けられる。この第２の遊星キャリヤは、第２の遊星ギヤセット５５Ｂの出力を構成して、ギヤードモータ５の出力軸５５７を保持し、第２の遊星キャリヤは、出力軸５５７にしっかりと固定される。第２の遊星キャリヤ５５６は、「Ｃｉｒｃｌｉｐｓ（登録商標）」等のスナップリング５６３によって、適切な作動クリアランスで、開口部５１０内で軸線方向位置に保持され、ハウジング５１の内部の材料に形成された溝に係合する。

この実施形態では、２つのギヤセット５５Ａ、５５Ｂは、モータ５２の軸線方向延長部で、順にハウジング５１に取り付けられる。減速ギヤ５５の移動可能部品は全て、スナップリング５６３と、ハウジング５１の内部、特にカラー５７に形成された肩部５８との間で、適切な作動クリアランスを得るために、互いに対して自在に配置される。

第１および第２のリングギヤは、モータ５２と同軸である。２つのギヤセットは、補正されたヘリカル歯からなることが好ましい。

２つの内歯リングギヤは、開口部５１０の内面で、ハウジング５１の材料に形成される。ハウジングは、鋳造可能な材料で作られ、２つのリングギヤは、ハウジングと一体的に成形されることが好ましい。さらに、２つのリングギヤは、直径および歯部の寸法が同じであることが好ましい（第２のギヤセットは、第１のギヤセットの減速比を乗じた力を受けるため、必要に応じて歯部の軸線方向長さを除く）。図２に示すように、２つのリングギヤは、１つの組の歯部で作られ、その軸線方向寸法は、両方の遊星ギヤセットの部分を同時に形成するのに十分であることが特に好ましい。

ギヤードモータのハウジング５１およびカバー５４は、鋳物、またはガラス繊維を充填したポリマー等で製造される。ピニオンギヤ５５２、５５５は、ポリオキシメチレン等で製造される。遊星キャリヤ５５３、５５６、および出力駆動形状を有するその出力軸５５４、５５７は、機械加工またはレーザー焼結された鋼等で製造される。

ある実施形態では、ギヤードモータ５の歯部および寸法は、０．８５〜０．９２の間の効率に対して、２３．０４：１の減速比を生成するために決定される。

図３〜図８の実施形態では、ギヤードモータ５の回転は、平行な複数の軸線を有するギヤを備えた伝達装置４によって、駐車または緊急ブレーキのリニア・アクチュエータ・アセンブリ３に伝達され、ギヤは互いに噛み合って、駆動部品の回転運動をリニア・アクチュエータ・アセンブリの部品の１つに伝達するために取り付けられる。これらのギヤの軸線もまた、ギヤードモータ５の回転軸、および得られた直動の方向Ｄ２と平行である。

リニア・アクチュエータ・アセンブリ３は、主ハウジングとしても知られている、ハウジング２１に取り付けられる。ハウジング２１は、図６に示すように、ドラムブレーキのバッキングプレート１０にリニアアクチュエータ２を固定するのに役立つ。ハウジング２１は、例えば鋳造アルミニウム等の金属で作られる。第２のハウジング２３は、ドラムの内部にあるこの主ハウジングに組み付けられ、その結果、これらの間に伝達装置４を、（少なくとも塵から）密封された状態で囲み、伝達装置４は、いくつかの外歯ギヤ、ここでは３つの補正されたヘリカルギヤを含む。

この実施形態では、伝達装置４の入力ギヤ４１は、ここでは、駆動形状（図示せず）を有する軸穴に、ギヤードモータ５の出力軸５５７が有する相補的な駆動形状（図示せず）をはめ込むことによって、ギヤードモータ５に回転結合される。これら２つの相補的な駆動形状の幾何学的形状は、好適には、伝達される動力の障害や効率の損失がほとんどないかあるいは皆無の状態で、これらの間にある程度の遊びができるタイプから選択される。ここでは、この幾何学的形状は多葉型であり、例えば、ＩＳＯ１０６６４規格で規定された６つの点すなわちヘクサロビュラ、または５点型、もしくはＴｅｘｔｒｏｎ社から「Ｔｏｒｘ（登録商標）」の名称で提案されている型のうちの１つである。

図４に示すように、第２のハウジング２３は、ギヤードモータ５の出力軸５５７を受ける凹部２５を有し、ハウジング５１が、減速ギヤを囲む部分によって、そこに密封状態ではめ込まれる。伝達装置４が第２のハウジングの凹部２４に収まると、ハウジング５１が凹部２５内で軸線方向に動いてはめ込まれるときに、入力ギヤ４１が凹部２５に収まって、ギヤードモータの出力軸５５７と自動的に連結する。次にねじ２３３が、ギヤードモータのハウジング５１を第２のハウジング２３に固定するために、所定の位置に挿入され、このようにして、ハウジング５１が、リングギヤ５５９に加わる反応トルクと関係なく、軸線の周囲で回転するのを防止する。

図６に示すように、リニアアクチュエータ２は、バッキングプレート１０の内面に取り付けられて固定され、ほぼ密封状態でバッキングプレート１０の開口部１００と係合し、その結果、第２のハウジング２３は、ドラムの外側に延びる。次にギヤードモータ５は、シューの反対側、すなわちバッキングプレートの「背面」側で、バッキングプレートを越えて延びている第２のハウジングに、上述したように組み付けられる。したがって、ギヤードモータ５およびリニア・アクチュエータ・アセンブリ３は、ほぼ平行な軸線を有し、バッキングプレート１０の互いに対向する２つの側に配置される。

図６に見られるように、ギヤードモータ５および第２のハウジング２３は、バッキングプレート１０の背面に延びる、リニアアクチュエータ２の唯一の部分である。したがって、電動駆動部品に関する追加の所要空間は限定され、例えば後部ハーフアクスルのトレーリングアームで、バッキングプレート１０の取付具の小さい切り欠きに収容することができる。

図８は、本発明の実施形態における「デュアルモード」のドラムブレーキ機構を示す。この実施形態は、常用ブレーキモード用の様々なタイプのアクチュエータで実現することができる。

リニアアクチュエータ２（図７も参照）は、駐車または緊急ブレーキモードを作動させる。リニア・アクチュエータ・アセンブリ３は、シュー１２、１３の第１の端部１２２、１３２を互いに離間するように押して、ブレーキのドラム１５の制動面にシューを押圧する。アイドル位置から、または常用ブレーキ位置から、リニアアクチュエータ２は、このようにしてブレーキを駐車ブレーキ位置にし、ブレーキは、例えば、２つのシューを結合し、かつ互いに向かって付勢する戻りばねによって、アイドル位置に戻される。ブレーキが駐車または緊急ブレーキ位置にあるときは、このアセンブリは、第２の端部の近くでロッド１４によって、かつ第１の端部１２２、１３２の近くでリニア・アクチュエータ・アセンブリ３によって互いに結合された２つのシューで形成され、ドラムと共に回転駆動される傾向がある。この動きは、ハウジング２１の対応する面に当接している、（回転の方向に応じて）リニア・アクチュエータ・アセンブリ３の２つの肩部３２９、３３９のうちの１つによって妨げられる。

上述したこの実施形態は、決して限定的なものではない。特に、駐車または緊急ブレーキのアクチュエータ２に特有の部品は、任意のタイプのドラムブレーキ、特にデュオサーボ型またはドラムインハット型のデュアルモード・ドラム・ブレーキに組み込むことができる。

１ ドラムブレーキ
１０ バッキングプレート
１００ バッキングプレート開口部
１１ 第２のアクチュエータ−常用ブレーキ
１２，１３ ブレーキシュー
１２２，１３２ シューの第１の端部
１４ スペーサ部品−調整ロッド
１５ ホイールドラム
２ リニアアクチュエータ−駐車または緊急ブレーキ
２１ 主ハウジング
２３ 第２のハウジング
２３３ 第２のハウジングをギヤード・モータ・ハウジングに締結するためのねじ
２４ 第２のハウジングの伝達装置用の凹部
２５ 第２のハウジングのギヤードモータ用の凹部
３ リニア・アクチュエータ・アセンブリ
３１ ねじナットシステムのナット
３２ ねじナットシステムのねじ
３２９ ねじの当接肩部−制動トルクの伝達装置
３３ リニア弾性ピストン−スプリングパッケージ
３３９ 弾性ピストンの当接肩部−制動トルクの伝達装置
４ 伝達装置
４１ ギヤ−入力ギヤ
５ ギヤードモータ
５１ ギヤード・モータ・ハウジング
５１０ 円筒形の出力開口部−遊星ギヤセット凹部
５２ 電動モータ
５２８ 歯部
５２９ モータの電源供給
５３ 電磁シールドおよび放熱器を形成する、筒状のシム支持部
５４ 後部モータカバー
５４３ キャビティ
５５ 遊星減速ギヤ機構
５５Ａ 第１の遊星ギヤセット
５５１ 第１の遊星ギヤセット遊星ピニオン−入力ピニオン
５５２ 第１の遊星ギヤセットのピニオンギヤ
５５３ 第１の遊星ギヤセットの遊星キャリヤ
５５Ｂ 第２の遊星ギヤセット
５５４ 第２の遊星ギヤセットの遊星ピニオン
５５５ 第２の遊星ギヤセットのピニオンギヤ
５５６ 第２の遊星ギヤセットの遊星キャリヤ
５５７ 出力軸
５５９ 遊星ギヤセットのリングギヤ
５６１ 密封フランジ
５６３ スナップリング
５７ モータと減速ギヤ機構とを分離するカラー
５８ 減速ギヤ側の肩部

Claims (12)

1. 電動モータ（５２）、減速ギヤおよび前記減速ギヤを介して前記電動モータに連結された回転出力（５５７）、ならびに前記モータが固定されたハウジング（５１）を含む、ギヤードモータ（５）であって、前記減速ギヤは、遊星ギヤセットを有し、前記減速ギヤが、前記ハウジング（５１）と一体化し、前記ハウジングの材料で形成された少なくとも１つの内歯リングギヤ（５５９）を含むことを特徴とする、ギヤードモータ（５）。
2. 前記減速ギヤ（５５）が、機械的に直列に取り付けられた２つの遊星ギヤセット（５５Ａ、５５Ｂ）を含み、その結果、前記第１のギヤセット（５５Ａ）の出力（５５３）が、ある角度位置で前記第２のギヤセット（５５Ｂ）の入力（５５４）にしっかりと固定され、前記少なくとも１つのリングギヤ（５５９）が、前記２つのギヤセットのうちの１つの、一部をそれぞれ形成する、２つのリングギヤを含むことを特徴とする、先行する請求項に記載のギヤードモータ。
3. 前記２つのリングギヤが、軸方向寸法を有する１つの組の歯部によって形成され、前記軸方向寸法は、前記モータ（５２）の軸線方向延長部で前記ハウジング（５１）に順に取り付けられた、前記２つのギヤセット（５５Ａ、５５Ｂ）の前記軸方向寸法に対応することを特徴とする、先行する請求項に記載のギヤードモータ。
4. 前記ハウジング（５１）が、前記モータ（５２）と前記減速ギヤ（５５）とを隔てるカラー（５７）を備えることを特徴とし、前記減速ギヤ（５５）は、駆動遊星ギヤ（５５１）、従動遊星キャリヤ（５５３）、ならびに前記駆動遊星ギヤおよび前記リングギヤと噛み合い、前記カラーと前記従動遊星キャリヤとの間で、前記従動遊星キャリヤのピンに回転自在に、かつ前記ピンに軸線方向に移動自在に取り付けられたピニオンギヤ（５５２）を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載のギヤードモータ。
5. 前記第２のギヤセット（５５Ｂ）が、前記第１のギヤセット（５５Ａ）の遊星キャリヤ（５５３）に、回転するようにしっかりと固定された駆動遊星ギヤ（５５４）、従動遊星キャリヤ（５５６）、ならびに前記第２のギヤセットの前記駆動遊星ギヤ、および前記第２のギヤセットの前記リングギヤと噛み合い、前記第１のギヤセットの前記従動遊星キャリヤ（５５６）と前記遊星キャリヤ（５５３）との間で、前記従動遊星キャリヤのピンに回転自在に、かつ前記ピンに軸線方向に移動自在に取り付けられたピニオンギヤ（５５５）を備えることを特徴とする、請求項２または３に記載のギヤードモータ。
6. 前記回転出力（５５７）が、前記リングギヤ（５５９）の第１の端部で、前記ハウジング（５１）の前記材料に形成された溝に係合するスナップリング（５６３）によって、軸線方向に保持された遊星キャリヤ（５５６）にしっかりと固定され、前記減速ギヤ（５５）の全ての前記移動可能部品が、前記リングギヤの第２の端部で、前記スナップリングと、前記ハウジングの内部に形成された肩部（５８）との間に、軸線方向に互いに対して自在に配置されることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載のギヤードモータ。
7. 前記リングギヤ（５５９）およびモータ（５２）が、同軸であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載のギヤードモータ。
8. バッキングプレート（１０）に対して回転移動可能なドラムの内側によって支持された制動面を押すために、互いに離間することができるように前記バッキングプレートに取り付けられた、２つのシュー（１２、１３）を備えるドラムブレーキ（１）であって、先行する請求項のいずれか一項に記載のギヤードモータによって駆動されるリニアアクチュエータ（２）を備え、前記リニアアクチュエータは、互いに向かい合った前記シューの２つの第１の端部（１２２、１３２）を離間させるために配置されることを特徴とする、ドラムブレーキ（１）。
9. 前記２つのシュー（１２、１３）が、前記バッキングプレートに対して移動可能であり、前記第１の端部の反対側の前記第２の端部の近くで前記２つのシューを互いに結合するロッド（１４）にヒンジで連結され、前記ロッドは、１つの前記シュー（１２）からもう１つの前記シュー（１３）に、もう１つの前記シュー（１３）を、前記バッキングプレート（１０）に対して固定されたアンカー（２１）に押圧する力を伝達できることを特徴とする、先行する請求項に記載のブレーキ。
10. 第２のブレーキ機能、特に常用ブレーキ機能（１１）を提供する、第２のアクチュエータをさらに備え、前記第２のアクチュエータが、前記第１の端部（１２２、１３２）が前記バッキングプレート（１０）に当接している間に、前記２つのシュー（１２、１３）の前記第２の端部を互いに離間させるために配置されることを特徴とする、請求項８または９に記載のブレーキ。
11. 第２のブレーキ機能、特に常用ブレーキ機能を提供するために、ブレーキパッドと相互作用するブレーキディスクを備える、車両または車両サブアセンブリ用の、特に道路車両のブレーキ装置であって、第１のブレーキ機能、特に駐車および／または緊急ブレーキ機能を提供するために配置され、前記ドラムが、前記ブレーキディスクにしっかりと固定され、かつ前記ブレーキディスクと同軸である、請求項８または９によるドラムブレーキを備えることを特徴とするブレーキ装置。
12. ハブキャリヤの周囲で回転移動可能なホイールにしっかりと固定された、ブレーキディスクの外周をまたいで取り付けられたキャリパを備えるディスクブレーキであって、前記キャリパは、前記ハブキャリヤに回転するようにしっかりと固定され、ホイール軸と平行に変位するブレーキピストンによって、少なくとも２つの摩擦ライニング同士の間に、少なくとも１つの前記ライニングに印加されたクランプ力の効果で、前記ディスクの２つの面を固定し、前記キャリパに取り付けられ、前記ピストンを作動させるために配置された、先行する請求項のいずれか一項に記載のギヤードモータを備えることを特徴とする、ディスクブレーキ。

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