JP2017502009A - シロドシン及びその中間体の製造方法 - Google Patents

シロドシン及びその中間体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明はシロドシンの製造方法を提供する。本発明は更に、新規な重要中間体である、3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)の有機酸塩、並びに3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)及びその塩の製造方法を提供する。前記方法は、原料が低価で入手しやすく、操作ステップがシンプルで、中間体及び生成物の精製が容易であり、且つ収率が高く、工業生産に好適するという利点を有する。【選択図】なし

Description

本発明は薬物化学分野に関し、具体的には前立腺肥大症を治療する薬物であるシロドシン(silodosin)を合成する製造方法に関する。本発明は更にシロドシンを合成するための重要中間体である3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)の有機酸塩、及び3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)及びその塩、並びにこの二種の中間体の製造方法に関する。
シロドシン(silodosin)は、尿道平滑筋収縮に対して選択的抑制作用を有し、また、尿道内圧を低下させながら、血圧に大きな影響を与えず、良性前立腺肥大症の治療に応用されている。
シロドシンを効果的に生産する方法として、特許CN101993406において以下のような経路が開示されている:
Figure 2017502009
該経路は主に以下の欠点がある:1、ステップcの収率が低く(33.4%)、ee値が高くない(93.9%)。2、ステップdの収率が低く、且つ、その副生物の化合物(8)が精製過程において除去されにくい。
Figure 2017502009
シロドシンを効果的に生産するその他の方法については、特許WO2012062229において以下のような経路が開示されている:
Figure 2017502009
該経路は主に以下の欠点が存在する:1、反応経路が長い。2、ステップa反応の収率が低く(44.8%)、且つ、カラムクロマトグラフィーで精製することが必要である。
従来技術によるシロドシンの製造プロセスに存在する、ステップが煩雑で収率が低い等の欠点を克服するために、本発明を提出する。本発明は主にシロドシンを合成する経路を提供する。そして、本発明は更にシロドシンを合成するための二種の新規な中間体化合物及びその塩、並びにそれらの製造方法を提供する。
本発明の第一形態は、シロドシンを製造するための二種の新規な中間体化合物(I)と化合物(II)に関する。
具体的には、本発明が提供する前記中間体化合物(I)と化合物(II)は以下のものを含む。
構造式(I)で示される化合物である3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)−プロピルアルコール(エステル又はエーテル)及びその薬学的に許容可能な塩。
Figure 2017502009
(ここで、Rは水素、ホルミル基、脂肪族アシル基、置換又は未置換芳香族ホルミル基、テトラヒドロピラニル基又はトリアルキルシリル基等である。好ましくは、前記Rは4−フルオロベンゾイル基である。)
式(II)構造式は以下のとおりである。
Figure 2017502009
(ここで、Rは水素、ホルミル基、脂肪族アシル基、置換又は未置換芳香族ホルミル基、テトラヒドロピラニル基又はトリアルキルシリル基等であり、4−フルオロベンゾイル基が好ましい。有機酸はL−ジベンゾイル酒石酸、L−乳酸、L−リンゴ酸、R−カンファースルホン酸、S−マンデル酸、N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン、L−酒石酸等から選ばれ、R−カンファースルホン酸又はL−酒石酸が好ましい。)
本発明の第二形態により、化合物(I)及び化合物(II)並びにその塩の製造方法が提供される。
Figure 2017502009
該方法としては、具体的には、特許CN101993406の製造方法を参照して、先ず化合物(VII)を1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリメチルクロロシラン及び過酸化水素水に反応させて化合物(VIII)を生成し、更に化合物(VIII)をR−(+)−α−フェネチルアミンに還元的アミノ化反応させて化合物(III)を生成する。
続いて、化合物(III)を有機酸に反応させて化合物(II)を生成する。その中で、有機酸はL−ジベンゾイル酒石酸、L−乳酸、L−リンゴ酸、R−カンファースルホン酸、S−マンデル酸、N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン、L−酒石酸等から選ばれ、好ましくはR−カンファースルホン酸又はL−酒石酸であり、化合物(IV):有機酸のモル比は1:(0.8〜2.0)、好ましくは1:(1.0〜1.1)であり、反応溶剤はジクロロメタン、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエーテル等から選ばれる単一有機溶剤であり、アセトン又はブタノンが好ましく、反応温度は0〜80℃である。
次に、化合物(II)と化合物(IV)を反応させて化合物(I)を生成する。化合物(IV)におけるXはCl、Br、I及びOSO2Me等から選ばれ、そのうちBrが好ましく、前記相間移動触媒は、第四級アンモニウム塩又はクラウンエーテルから選ばれ、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、18−クラウン−6、15−クラウン−5等が挙げられ、テトラブチルアンモニウムブロミド又は18−クラウン−6が好ましい。このような相間移動触媒はいずれも本分野の通常の相間移動触媒の種類であり、同類の相間移動触媒は、構造も反応メカニズムもほぼ同じであり、本発明は実施例において上記タイプにおける最も一般的な相間移動触媒を挙げ、当業者にとっては、本発明に基づいて、本分野の公知常識を活用して、その他の相間移動触媒も同様に本発明の技術案を実現して、期待される技術効果を実現することができることが容易に予想できる。該ステップに使用されるアルカリは無機アルカリ又は有機アルカリであり、無機アルカリは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等から選ばれ、その中で、炭酸ナトリウムが好ましく、有機アルカリはジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジン等から選ばれ、ジイソプロピルエチルアミンが好ましく、化合物(II):化合物(IV):相間移動触媒:アルカリのモル比は1:(1.0〜5.0):(0.1〜2.0):(1.0〜20.0)であり、1:(1.5〜2.5):(0.8〜1.5):(3.0〜5.0)が好ましく、反応は有機溶剤の存在下で行ってもよく、有機溶剤は、アセトニトリル、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等から選ばれ、N−メチルピロリドンが好ましい。また、本発明は有機溶剤が存在しない条件下で反応してもよい。反応温度は25〜150℃であり、100〜130℃が好ましい。
本発明の第三形態により、構造式(I)で示される化合物を中間体としてシロドシンを製造する方法が提供され、該方法は下記2つのステップを含む。
Figure 2017502009
(ここで、R基は水素、アルキル基で置換されたホルミル基、置換又は未置換ベンゾイル、ピラニル基又はアルキルシリル基等であり、4−フルオロベンゾイル基が好ましい。)
化合物(I)からシロドシンを製造する方法は、下記の通りである。
1)式(I)化合物をパラジウム炭素の触媒で水素化して脱ベンジル化し、マレイン酸と塩を形成して化合物(V)を生成し、
2)化合物(V)を加水分解してシロドシンに変換する。
本発明は下記利点を有する:
(1)本発明に提供される中間体としてのシロドシン中間体化合物(II)である3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)の有機酸塩は高いDe値を有し、且つその合成方法の収率が高く、操作を簡素化させ、コストを低下させる。
(2)本発明に提供されるシロドシン中間体化合物(I)である3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(エステル又はエーテル)及びその塩の合成方法は収率が高く、且つ分離が困難である従来技術の生成副生物が回避され、操作を簡素化させ、コストを低下させ、工業生産に好適される。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。下記実施例は本発明の実施形態に含まれるが、本発明の保護範囲を制限するものではない。
実施例1:3−(7−シアノ−5−(2−オキソプロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエート(化合物VIII、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
3−(7−シアノ−5−(2−ニトロプロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエート(化合物VII、Rは4−フルオロベンゾイル基である)150グラム(0.365モル)を750mミリリットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0〜5℃で、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン88.7グラム(0.583モル)を添加し、次にトリメチルクロロシラン118.8グラム(1.094モル)を−15〜−10℃で滴下し、滴下終了後、−15〜−10℃で2時間反応させ、次に30%過酸化水素水66.1グラム(0.383モル)を滴下し、滴下終了後、1時間反応させた。反応液を分液漏斗に投入し、上澄液を除去した。更に反応液を10℃程度で1500ミリリットルの1%亜硫酸ナトリウム溶液に添加し、1500ミリリットルのメチルtert−ブチルエーテルで抽出し、水相を更に750ミリリットルで抽出し、合併した有機相を750ミリリットルの1モル/リットル塩酸、750ミリリットルの飽和炭酸水素ナトリウム、750ミリリットルの水、750ミリリットルの飽和食塩水の順で一回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後に濃縮させて油状物を137.6グラム得た。該油状物のマススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は381、HPLC純度は89.0%であった。
実施例2:3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピル−4−フルオロベンゾエート(化合物III、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
実施例1で得た油状物137.6グラムを1280ミリリットルのテトラヒドロフランに溶解し、R−(+)−α−フェネチルアミン 44.2グラム(0.365モル)、酸化白金1.376グラム、酢酸21.9グラム(0.365モル)を添加し、水素化釜に移し、反応温度を55℃、水素圧力を8気圧にした。27時間反応後に反応を停止し、酸化白金を濾別し、減圧濃縮し、1リットルの酢酸エチル、1リットルの飽和食塩水を添加し、炭酸ナトリウムでpH値を7〜8に調整し、分液して、水相を500ミリリットルの酢酸エチルで一回抽出し、有機相を1リットルの飽和食塩水で一回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、濃縮して油状物を169.6グラム得た。該油状物のマススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は486、HPLC純度は82.1%であった。
実施例3:3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピル−4−フルオロベンゾエートL−酒石酸塩(化合物II、Rは4−フルオロベンゾイル基、有機酸はL−酒石酸である)の製造
実施例2で得られた油状物84.8グラムを、424ミリリットルのアセトンに溶解し、撹拌しながら21.9グラムのL−酒石酸(0.150モル)を添加し、加熱還流して2時間反応させて、室温に冷却して2時間結晶化し、濾過して、80ミリリットルのアセトンで洗浄して、真空乾燥させ、白色固体を64.5グラム得た。マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は486、化合物VIIIから計算すると、三つのステップの収率は55.6%、HPLC純度は99.0%、(R,R)立体配置と(R,S)立体配置のde値は99.1%であった。
1H NMRスペクトル(DMSO−d6):δ ppm 1.0(3H,s)、 1.5(3H,s)、 2.0(2H, s)、 2.7−3.1(4H, m)、 3.4−3.7 (4H, m)、 3.9−4.5 (5H, m)、 6.7−6.8 (2H, m)、 7.1−7.7 (7H, m)、 7.9−8.1(2H, m)。
実施例4:3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピル−4−フルオロベンゾエートR−カンファースルホン酸(化合物II、Rは4−フルオロベンゾイル基、有機酸はR−カンファースルホン酸である)の製造
実施例2で得られた油状物84.8グラムを、424ミリリットルのジクロロメタンに溶解し、撹拌しながら34.8グラムのR−カンファースルホン酸(0.150モル)を添加し、加熱還流して2時間反応させて、室温に冷却して2時間結晶化し、濾過して、80ミリリットルのジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥して、白色固体を67.7グラム得た。マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は486、化合物VIIIから計算すると、三つのステップの収率は51.7%、HPLC純度は98.5%、(R,R)立体配置と(R,S)立体配置のde値は96.1%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 1.0 (6H, s)、 1.1(3H, s)、 1.4(3H, s)、 1.6.1−1.9(5H, s)、 2.1−2.4 (4H, m)、 2.8−3.1(4H, m)、 3.4−3.8 (4H, m)、 3.9−4.4 (5H, m)、 6.7−6.8 (2H, m)、 7.1−7.7 (7H, m)、 7.9−8.1 (2H, m)。
実施例5:3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエート(化合物I、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
実施例3で得られた白色固体20.0グラム(0.031モル)を100ミリリットルのメタノールに溶解し、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加してpHを9〜10に調整し、更に100ミリリットルの酢酸エチルで三回抽出し、有機相を100ミリリットルの水、100ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮して油状物を得た。該油状物を反応器に添加し、撹拌しながら化合物(IV)18.5グラム(0.062モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド10.0グラム(0.031モル)、ジイソプロピルエチルアミン12.0グラム(0.093モル)、N−メチルピロリドン20ミリリットルを添加し、120℃に加熱して30時間反応させ、温度を100℃に下げた後に40ミリリットルのトルエン、100ミリリットルの水を添加し、10分間撹拌し、分液して、水相を更に40ミリリットルのトルエンで二回抽出し、有機相を合併し、順に40ミリリットルの1N塩酸、40ミリリットルの飽和炭酸水素ナトリウム、40ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)を行って18.1グラム得て、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は704、収率は83.2%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 0.8 (3H, s)、 1.2 (3H, m)、 2.0 (2H, m)、 2.1−2.3 (1H, m)、 2.7−3.0(4H, m)、 3.3 (2H, s)、 3.4−3.5 (2H, m)、 3.5−3.6 (2H, s)、 3.8−4.1 (3H, m)、 4.3 (2H, s)、 4.5−4.7 (2H, m)、 6.7 (2H, s)、 6.8−6.9 (2H, m)、 6.9−7.0(1H, m)、 7.0−7.1(1H, m)、 7.1−7.3 (7H, m)、 7.9−8.1(2H, s)。
実施例6:3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエート(化合物I、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
実施例3で得られた白色固体20.0グラム(0.031モル)を100ミリリットルのメタノールに溶解し、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加してpHを9〜10に調整し、更に100ミリリットルの酢酸エチルで3回抽出し、有機相を100ミリリットルの水、100ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮して油状物を得た。該油状物を反応器に添加し、撹拌しながら化合物(IV)18.5グラム(0.062モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド10.0グラム(0.031モル)、ジイソプロピルエチルアミン12.0グラム(0.093モル)を添加し、無溶剤の条件下で120℃に加熱して24時間反応させ、温度を100℃に下げた後に40ミリリットルのトルエン、100ミリリットルの水を添加し、10分間撹拌して、分液し、水相を更に40ミリリットルのトルエンで二回抽出し、有機相を合併し、順に40ミリリットルの1N塩酸、40ミリリットルの飽和炭酸水素ナトリウム、40ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮させて32.3グラムの油状物を得て、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は704、HPLC純度は79.1%であった。
実施例7:3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエート(化合物I、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
実施例3で得られた白色固体20.0グラム(0.031モル)を100ミリリットルのメタノールに溶解し、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加してpHを9〜10に調整し、更に100ミリリットルの酢酸エチルで3回抽出し、有機相を100ミリリットルの水、100ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮して油状物を得た。該油状物を反応器に添加して、撹拌しながら化合物(IV)18.5グラム(0.062モル)、18−クラウン−6 8.2グラム(0.031モル)、炭酸ナトリウム16.4グラム(0.155モル)、N−メチルピロリドン15ミリリットルを添加し、120℃に加熱して24時間反応させ、温度を100℃に下げた後に40ミリリットルのトルエン、100ミリリットルの水を添加し、10分間撹拌し、分液して、水相を更に40ミリリットルのトルエンで二回抽出し、有機相を合併して、順に40ミリリットルの1N塩酸、40ミリリットルの飽和炭酸水素ナトリウム、40ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮して31.5グラムの油状物を得て、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は704、HPLC純度は79.5%であった。
実施例8:3−(7−シアノ−5−((R)−2−(((R)−1−フェネチル)(2−(2−(トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(化合物I、Rは水素である)の製造
実施例4で得られた白色固体20.0グラム(0.028モル)を100ミリリットルのメタノールに溶解し、水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを13に調整し、半時間反応させ、更に100ミリリットルの酢酸エチルで3回抽出し、有機相を100ミリリットルの水、100ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮して油状物9.8グラム、即ち3−(7−シアノ−5−((R)−2−((R)−1−フェニルエチルアミノ)プロピル)−1−ヒドロ−インドリル)プロピルアルコール(化合物II、Rは水素である)を得た。該油状物を反応器に添加して、撹拌しながら化合物(IV)16.7グラム(0.056モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド9.0グラム(0.028モル)、ジイソプロピルエチルアミン10.8グラム(0.084モル)、N−メチルピロリドン15ミリリットルを添加し、120℃に加熱して40時間反応させ、温度を100℃に下げた後に40ミリリットルのトルエン、100ミリリットルの水を添加し、10分間撹拌して、分液し、水相を更に40ミリリットルのトルエンで二回抽出し、有機相を合併し、順に40ミリリットルの1N塩酸、40ミリリットルの飽和炭酸水素ナトリウム、40ミリリットルの飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮してカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)を行って12.2グラム得て、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は582、収率は75.2%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 0.8 (3H, s)、 1.2−1.3 (3H, m)、 2.0−2.1 (2H, m)、 2.2−2.3 (2H, m)、 2.8−3.0 (4H, m)、 3.3 (2H, s)、 3.4−3.6 (2H, m)、 3.6−3.7 (2H, s)、 3.9−4.1 (3H, m)、 4.3 (2H, s)、 4.5−4.6 (2H, m)、 6.7 (2H, s)、 6.9−7.1 (1H, m)、 7.1−7.2 (1H, m)、 7.2−7.4 (7H, m)。
実施例9:3−(5−((R)−2−(2−(2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ)エチルアミノ)プロピル)−7−シアノ−1−インドリル)プロピル4−フルオロベンゾエートマレイン酸塩(化合物V、Rは4−フルオロベンゾイル基である)の製造
実施例6で得られた油状物32.3グラムを320ミリリットルのメタノールに溶解し、6.5gのパラジウム炭素を添加し、1気圧のH2で、65℃で4時間反応させた。濾過、濃縮をして、100ミリリットルの水を添加し、更に100ミリリットルの酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併した後に飽和食塩水100ミリリットルで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮した。続いて60ミリリットルのテトラヒドロフランに溶解し、120ミリリットルのイソプロピルエーテル、3.16グラムのマレイン酸(0.027モル)を添加し、加熱還流を10分間行い、室温まで自然冷却し、0〜10℃に冷却して結晶化し、更に180ミリリットルのイソプロピルエーテルを添加し、更に2時間結晶化し、濾過して、乾燥させて白色固体を16.0グラム得た。化合物IIから計算すると、二つのステップの収率は71.9%であり、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は600、HPLC純度は98.0%、ee値は99.5%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 1.1−1.2 (3H, d)、 2.0−2.1(2H, m)、 2.5−2.6 (1H, dd)、 2.8−2.9 (2H, t)、 2.96−3.0 (1H, dd)、 3.3−3.5 (3H, m)、 3.5−3.7(4H, m)、4.2−4.3 (2H, t)、 4.3−4.4 (2H, t)、 4.6−4.7 (2H, m)、 4.8−5.2 (1H, m)、 6.9−7.2 (6H, m)、 7.3−7.4 (2H, m)、 8.0−8.1 (2H, m)。
実施例10:化合物(VI)の製造
実施例9で得た固体16.0グラム(0.0244モル)を、DMSO 200ミリリットルで溶解し、5モル/リットル水酸化ナトリウム24.0ミリリットルを添加し、18〜20℃で30%過酸化水素水14.0グラムを緩やかに滴下し、次に25〜30℃で4時間反応させた。200ミリリットルの水、100ミリリットルの酢酸エチルを添加して3回抽出し、有機相を合併して、60ミリリットルの2モル/リットル塩酸を添加し、15分間撹拌して、有機相を分液した後に30ミリリットルの2モル/リットル塩酸で二回抽出し、水相を合併して、炭酸ナトリウム飽和溶液を添加してpH値を9〜10に調整し、100ミリリットルの酢酸エチルで三回抽出し、有機相を合併して30ミリリットルの飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮後に酢酸エチルで溶解し、自然冷却して結晶化し、濾過して、乾燥させて白色固体10.0グラムを得て、マススペクトルにより、分子イオンピーク[M+1]は496、収率は82.8%、HPLC純度は99.0%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 0.9−1.0 (3H, d)、 1.5−1.6 (1H, s)、 1.6−1.7 (2H, m)、 2.3−2.4 (1H, t)、 2.6−2.7 (1H, dd)、 2.8−3.0 (5H, m)、 3.2−3.2 (2H, m)、 3.3−3.4 (2H, m)、 3.4−3.5 (2H, t)、 4.0−4.1 (2H, t)、 4.2−4.3 (1H, brs)、 4.6−4.8 (2H, t)、 6.9−7.15 (6H, m)、 7.2−7.3 (1H, brs)、 7.5−7.6 (1H, s)。
比較実例:特許CN101993406の経路による化合物(4)の製造
実施例2の化合物(III)82.0グラムを、メタノール600ミリリットルで溶解し、撹拌しながら3モル/リットルのHCl 56ミリリットルを添加し、均一まで撹拌した後にパラジウム炭素14.0グラム(7.0%)を添加して2〜10気圧、40〜80℃で反応させた。反応終了後、濾過してパラジウム炭素を除去し、濃縮後にジクロロメタン300ミリリットルを添加して溶解し、水を添加して抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過後に濃縮して65グラムの油状物を得る。この油状物を180ミリリットルのアセトンで加熱して溶解し、40℃でL−酒石酸水溶液[25.3グラム+90グラム水]を添加し、滴下終了後、加熱還流して溶解し、15℃に自然冷却して、2時間撹拌し、濾過して固体を得る;固体をアセトン/水=170ミリリットル:170ミリリットルで還流溶解し、30℃まで冷却して結晶化を3時間行い、固体を濾別し、更にアセトン/水=140ミリリットル:140ミリリットルで還流溶解し、30℃まで冷却して結晶化を3時間行い、固体を濾別し、更に、アセトン/水=140ミリリットル:140ミリリットルで還流溶解し、30℃まで冷却して結晶化を3時間行い、固体を濾別し、乾燥させての固体30.0グラム(33.4%)を得て、ee値は93.9%であった。
1H NMR スペクトル(DMSO−d6):δ ppm 1.0−1.2 (3H, d)、 2.0−2.2 (2H, m)、 2.6−2.8 (2H, m)、 2.9−3.0 (3H, m)、 3.2−3.4 (2H, m)、 3.4−3.5(1H, m)、 3.5−3.6 (2H, t)、 3.6−3.7 (2H, m)、 3.9−4.0 (2H, t)、 4.3−4.4 (2H, t)、 6.9−7.1 (2H, m)、 7.2−7.4 (2H, m)、 7.9−8.1 (2H, m)。

Claims (11)

  1. 式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 2017502009
    (ここで、Rは水素、ホルミル基、脂肪族アシル基、置換又は未置換芳香族ホルミル基、テトラヒドロピラニル基又はトリアルキルシリル基である。)
  2. Rは4−フルオロベンゾイル基である請求項1に記載の化合物。
  3. 構造式が式(II)で示される、請求項1に記載の化合物(I)を合成するための中間体化合物。
    Figure 2017502009
    (ここで、Rは水素、ホルミル基、脂肪族アシル基、置換又は未置換芳香族ホルミル基、テトラヒドロピラニル基又はトリアルキルシリル基であり、前記有機酸はL−ジベンゾイル酒石酸、L−乳酸、L−リンゴ酸、R−カンファースルホン酸、S−マンデル酸、N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン、L−酒石酸であり、好ましくはR−カンファースルホン酸又はL−酒石酸である。)
  4. 請求項1に記載の式(I)化合物及びその塩を製造する方法であって、
    a)化合物(III)と有機酸を有機溶剤中において反応させて化合物(II)を生成し、
    b)式(II)と式(IV)より、相間移動触媒及びアルカリ、有機溶剤(又は無溶剤)の存在下で、式(I)を生成することを特徴とする方法。
    Figure 2017502009
  5. ステップa)の前記有機酸はL−ジベンゾイル酒石酸、L−乳酸、L−リンゴ酸、R−カンファースルホン酸、S−マンデル酸、N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン、L−酒石酸であり、好ましくはR−カンファースルホン酸又はL−酒石酸であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. ステップa)の前記有機溶剤即ち反応溶剤は、ジクロロメタン、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエーテルから選ばれる単一の有機溶剤であり、好ましくはアセトン又はブタノンであり、反応温度は0〜80℃であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. ステップb)の前記有機溶剤はアセトニトリル、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンから選ばれ、その中で、N−メチルピロリドン又は無溶剤が好ましいことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  8. ステップb)の前記相間移動触媒は第四級アンモニウム塩又はクラウンエーテルから選ばれ、触媒の使用量は、それと反応する化合物(II)のモル量の0.1−2.0倍であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  9. ステップb)の前記相間移動触媒はテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、18−クラウン−6、15−クラウン−5から選ばれ、テトラブチルアンモニウムブロミド又は18−クラウン−6が好ましいことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. ステップb)の前記アルカリは無機アルカリ又は有機アルカリであり、無機アルカリは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムから選ばれ、炭酸ナトリウムが好ましく、有機アルカリはジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピリジンから選ばれ、ジイソプロピルエチルアミンが好ましいことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の式(I)化合物でシロドシン即ち化合物(VI)を製造する方法であって、
    1)式(I)化合物をパラジウム炭素の触媒で水素化して脱ベンジル化し、マレイン酸と塩を形成して化合物(V)を生成するステップと、
    2)化合物(V)を加水分解して化合物(VI)に変換するステップとを含むことを特徴とする方法。
    Figure 2017502009
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