JP6780958B2 - 結晶構造を有する1−(3−カルボキシピリジル−2−)−2−フェニル−4−メチルピペラジン及びその製造方法 - Google Patents
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下記式(6)
下記式(1)
本発明の結晶化合物である、下記式(1)
次に、II型結晶ピリジンカルボン酸の製造方法について説明する。
上記II型結晶ピリジンカルボン酸は、特に制限されるものではないが、以下の方法で製造することが好ましい。具体的には、酢酸エステル系溶媒およびメタノールを含む混合溶媒中で、前記式(1)で表わされるピリジンカルボン酸化合物を結晶化させることが好ましい。
該混合溶媒中で一旦溶解させるピリジンカルボン酸化合物は、特に制限されるものではないが、I型結晶ピリジンカルボン酸、II型結晶ピリジンカルボン酸の何れであってもよい。また、純度の高い精製物、不純物を含むもの、前記シアノピリジン化合物をアルカリ等の存在下で反応させて得られる反応溶液に含まれるものを対象とすることもできる。中でも、前記混合溶媒中で結晶化させることにより、高純度化することも可能であることから、不純物を含むもの、前記反応溶液に含まれるものを対象とすることが好ましい。
本発明において、対象となるピリジンカルボン酸化合物は、酢酸エステル系溶媒およびメタノールを含む混合溶媒中で溶解し、その後、該混合溶媒中で結晶化させることにより、製造できる。
シアノピリジン化合物のシアノ基をカルボン酸へ変換する方法は、公知の方法、例えば、特許文献1に記載された方法を採用できる。なお、シアノピリジン化合物は特開2009−167166号公報に記載の方法により製造できる。
前記水溶液に含まれるピリジンカルボン酸化合物は以下の手法により、混合溶媒中で溶解させることができる。前記方法で得られた水溶液に、前記酢酸エステル系溶媒を加えて、ピリジンカルボン酸化合物を抽出する。この酢酸エステル系溶媒中に抽出されたピリジンカルボン酸化合物とメタノールとを混合して、混合溶媒中に溶解したピリジンカルボン酸化合物の混合溶液を準備することができる。ただし、酢酸エステル系溶媒の濃縮を行い、一旦、ピリジンカルボン酸化合物の固体を得、この固体を混合溶媒に溶解させることもできる。
混合溶媒中でピリジンカルボン酸化合物を溶解させる際の温度(溶解温度)は、混合溶媒の使用量、混合比によって最適温度が変わるため、一概に限定できるものではない。ただし、操作性を向上し、純度の高いII型結晶ピリジンカルボン酸を得るためには、該溶解温度は、23℃以上混合溶媒の沸点以下であることが好ましく、40℃以上60℃以下とすることがより好ましい。
本発明においては、混合溶媒中でピリジンカルボン酸化合物を溶解した後、得られた混合溶液を冷却し、II型結晶ピリジンカルボン酸が結晶化したスラリー液とすることが好ましい。次いで、このスラリー液を特定の温度(熟成温度)として、II型結晶ピリジンカルボン酸を十分な量、結晶化させることが好ましい。この熟成温度は、得られるII型結晶ピリジンカルボン酸の収率、および純度を考慮すると、−15℃以上溶解温度以下とすることが好ましく、−15℃以上、溶解温度よりも低く30℃以下とすることがより好ましく、−10℃以上20℃以下とすることがさらに好ましく、−5℃以上10℃以下とすることが特に好ましい。
熟成温度で放置したスラリー液は、次いで、濾過してII型結晶ピリジンカルボン酸を取り出す。濾過する際の温度は、特に制限されるものではないが、−15℃以上30℃以下であることが好ましく、−10℃以上20℃以下であることがより好ましく、−5℃以上10℃以下であることが特に好ましい。
本発明においては、前記方法により得られたII型結晶ピリジンカルボン酸を使用して、前記式(3)で示されるピリジンメタノール化合物を製造する。該ピリジンメタノール化合物を製造する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。すなわち、I型結晶ピリジンカルボン酸を使用した場合と同じ条件を採用することもできる。つまり、特許文献1に記載の方法を採用することもできる。
前記方法で得られたピリジンメタノール化合物を、特許文献1に記載の方法により、ミルタザピンとすることができる。具体的には、前記ピリジンメタノール化合物を濃硫酸に徐々に加え、数時間撹拌する。反応終了後、水を加え、濃アンモニア水を加えて、反応混合物をアルカリ性とした後、反応混合物にクロロホルムを加え、抽出する。クロロホルム抽出物を濃縮し、これにジエチルエーテルを加えて結晶化させ、得られた結晶を石油エーテルにて再結晶することにより、精製されたミルタザピンとすることができる。なお、前記方法は、特許文献1に記載の方法と同じであるが、例えば、精製時の再結晶溶媒などを変更することもできる。具体的には、イソプロパノール及び水の混合溶媒を使用することもできる。
(1)I型及びII型結晶のピリジンカルボン酸化合物の溶解性評価
100mgのI型及びII型結晶のピリジンカルボン酸化合物の結晶をナスフラスコに入れ、室温下、THFを適量加えた後、攪拌を行った。目視にて全量が溶解した時のTHF量を簡易的な溶解度の指標とした。
<ピリジンカルボン酸化合物の結晶形の測定>
装置:X線回折装置(XRD)。
機種:SmartLab(株式会社リガク製)。
測定方法:ASC6 BB Dtex。
X 線出力:40kV−30mA。
波長:CuKa/1.541858Å。
試料量:0.5g
<ピリジンカルボン酸化合物の融点の測定>
装置:示差走査熱量計(DSC)。
機種:DSC6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)。
昇温条件:10℃/分。(30℃〜200℃まで昇温)
ガス:窒素。
製造したピリジンメタノール化合物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。HPLC測定に使用した装置、測定の条件は、下記の装置、条件を採用した。
装置:ウォーターズ社製2695(HPLC)
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ2489)
検出波長:240nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリカゲルが充填されたもの。
移動相及び送液方法:以下に示す移動相A及びBを用い、試料注入後の経過時間に従い、両者の混合比を下記表1に示す様に制御し、送液した。
移動相A:ペンタンスルホン酸ナトリウム3gを水3000mLに溶解し、トリエチルアミン9mLを加えた後、リン酸を加えてpH2.5とした。
移動相B:ペンタンスルホン酸ナトリウム3gを水900mLに溶解し、トリエチルアミン9mLを加えた後、リン酸を加えてpH2.5とした。これにアセトニトリル1050mL及びメタノール1050mLを加えた。
流量:毎分1.5mL。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
(シアノピリジン化合物の製造方法)
1−メチル−3−フェニルピぺラジン5.5g(31.3mmol)、2−クロロ−3−シアノピリジン4.5g(31.3mmol)、トリエチルアミン4.1g(31.3mmol)及びヨウ化カリウム5.2g(31.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミドに加え、窒素雰囲気下、130℃で24時間撹拌した。反応終了後、減圧下、N,N−ジメチルホルムアミド及びトリエチルアミンを反応液より留去した後、水20mLと酢酸エチル25mLを加え、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜9に調製した。分液後、水層を酢酸エチル30mLで2回抽出し、合わせた有機層を5%重層水で洗浄した。有機層を濃縮し、残渣を石油エーテルから結晶化し、シアノピリジン化合物3.1gを収率36%で得た。
(II型結晶ピリジンカルボン酸の製造方法)
シアノピリジン化合物19.5g(70.1mmol)を25%水酸化カリウム含有エタノールに加えて、撹拌しながら100℃で約20時間撹拌した。反応終了後、水390mLを加え、減圧下エタノールを留去し、水層をジクロロメタン100mLで2回抽出した。水層に2M塩酸を滴下し、pHを6〜7に中和し、水層を酢酸エチル100mLで2回抽出した。減圧下、酢酸エチルを留去したのち、アモルファス状物質を得た。HPLCによりピリジンカルボン酸化合物の純度を確認し、このアモルファス状物質に含まれるピリジンカルボン酸化合物は18.4gであることを確認した。
この結晶を試料としてXRDを測定すると、この結晶は2θ=10.1°、10.8°、11.4°、12.9°、13.9°、16.3°、17.1°、18.3°、19.9°、20.4°、22.5°、24.6°、26.8°、27.3°にピークを与える結晶構造を有する化合物であることが分かった。この結果から、この結晶はII型結晶ピリジンカルボン酸であることを確認した。
159.2℃(DSC吸熱ピークのピークトップを融点とした。)であった。
得られた結晶のTHFへの溶解性を上記方法で確認したところ、該結晶100mgは、THF2.4mLで溶解させることが可能であった。また、THFへの溶解性を前記(2)の方法で確認したところ、該結晶100mgは、THF2.4mLで溶解させることが可能であった。また、ジオキサンに対して、該結晶100mgは、ジオキサン2.1mLで溶解させることが可能であった。
(II型結晶ピリジンカルボン酸の製造方法)
酢酸エステル系溶媒の種類とメタノールとの混合比率を表2に示す様に変更した混合溶媒を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ピリジンカルボン酸化合物の結晶を得た。
酢酸エチルとメタノールの混合溶媒を用いての結晶化操作において、II型結晶ピリジンカルボン酸の熟成温度を10℃とした以外は実施例1と同様の操作を行い、ピリジンカルボン酸化合物の結晶14.3gを収率69%で得た(HPLC純度98.7%)。
(II型結晶ピリジンカルボン酸を用いてのピリジンメタノール化合物の製造)
撹拌翼、温度計を取り付けた1Lの三口フラスコ中で、実施例1で得られたII型結晶ピリジンカルボン酸20.3g、(68.3mmol)を無水テトラヒドロフラン100mLに溶解し、溶液を5℃に冷却した後、窒素気流下にて、THF80mlで希釈した水素化リチウムアルミニウム7.8g(205.5mmol)の懸濁液を徐々に加え、加熱還流下で3時間反応した。反応終了後、0℃まで冷却し、蒸留水82mLを序々に滴下した後、室温にて1時間撹拌し、析出した無機塩をろ過により分離した。ろ過物を減圧下、濃縮し、18.2gのピリジンメタノール化合物の粗体を得た(粗収率99%、過剰還元体 0.2%)。
(II型結晶ピリジンカルボン酸を用いてのピリジンメタノール化合物の製造)
撹拌翼、温度計を取り付けた1Lの三口フラスコ中で、実施例1で得られたII型結晶ピリジンカルボン酸20.3g、(68.3mmol)を無水テトラヒドロフラン100mLに溶解し、溶液を5℃に冷却した後、窒素気流下にて、70質量%ソジウムジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート含有トルエン溶液81.2g(238.9mmol)を徐々に加え、45℃で3時間反応した。反応終了後、0℃まで冷却し、蒸留水82mLを序々に滴下した後、室温にて1時間撹拌し、析出した無機塩をろ過により分離した。ろ過物を減圧下、濃縮し、18.2gのピリジンメタノール化合物の粗体を得た(粗収率99%、過剰還元体 0.1%)。該粗体に、ジエチルエーテル400mLを加えて、40℃に加熱した後、5℃まで冷却して再結晶をおこない、ピリジンメタノール化合物14.3g(50.4mmol)を得た(収率75%、HPLC純度98.9%、過剰還元体 0.1°%、)。
(ミルタザピンの製造方法)
撹拌翼、温度計を取り付けた100mLの四口フラスコに、窒素雰囲気下、濃硫酸17.6g(176.4mmol)を入れ、15℃付近に冷却した。次いで、実施例15で得られたピリジンメタノール化合物5.0g(17.64mmol)を、35℃以下で20分間かけて少量ずつ加えた。得られた混合物を35℃に加温し、9時間反応させた。
(特許文献1に記載の方法によるI型結晶の製造)
シアノピリジン化合物19.5g(70.1mmol)に25%水酸化カリウム含有エタノールを加えて、撹拌しながら100℃で約20時間撹拌した。反応終了後、減圧下、エタノールを留去し、水層をジクロロメタン100mLで2回抽出した。水層に2M塩酸を滴下し、pHを6〜7に中和し、水層をクロロホルム100mLで2回抽出した。減圧下、クロロホルムを留去したのち、オイル状物質を得た。このオイル状物質にエタノール68.3mLを加えて、60℃に加熱後、20℃/時間の冷却スピードで5℃に冷却し、スラリー溶液とした後、5℃で約4時間撹拌した。結晶をろ過し、5℃に冷却したエタノール19.5mLで2回結晶を洗浄し、ピリジンカルボン酸化合物 14.3gを収率69%で得た(HPLC純度98.3%)。
この結晶を試料としてXRDを測定すると、この結晶は2θ=7.6°、10.6°、13.4°、15.8°、16.7°、17.8°、18.3°、20.1°、22.7°、25.7°、28.4°、29.4°特徴的なピークを与える結晶構造を有する化合物であることが分かった。この結果から、この結晶はI型結晶のピリジンカルボン酸であることを確認した。
162.7℃(DSC吸熱ピークのピークトップを融点)であった。
得られた結晶のTHFへの溶解性を上記方法で確認したところ、該結晶100mgは、THF12.5mLで溶解させることが可能であった。また、ジオキサンに対して、該結晶100mgは、ジオキサン10.4mLで溶解させることが可能であった。
(I型結晶ピリジンカルボン酸を用いてのピリジンメタノール化合物の製造)
撹拌翼、温度計を取り付けた1Lの三口フラスコ中で、比較例1で得られたI型結晶ピリジンカルボン酸20.3g、(68.3mmol)を無水テトラヒドロフラン300mLに縣濁し、窒素気流下にて、水素化リチウムアルミニウム20.4g(537.5mol)を含有したTHF600mL縣濁溶液に1時間かけて徐々に加えた。この溶液を加熱還流下、4時間反応した。反応終了後、氷浴で冷却し、蒸留水82mLを序々に滴下した後、室温にて1時間撹拌し、析出した無機塩をろ過により分離した。ろ過物を減圧下、濃縮し、18.2gのピリジンメタノール化合物の粗体を得た(粗収率99%、過剰還元体 0.9%)。
Claims (7)
- 前記混合溶媒を100体積%としたとき、酢酸エステル系溶媒50体積%以上90体積%以下、メタノール10体積%以上50体積%以下である請求項1又は2記載のピリジンカルボン酸化合物の製造方法。
- さらに、Cu−Kα線を用いるX線回折により、2θが少なくとも11.4°±0.2°、12.9°±0.2°、16.3°±0.2°、17.1°±0.2°、19.9°±0.2°、20.4°±0.2°、24.6°±0.2°、26.8°±0.2°、27.3°±0.2°にピークを有する化合物である、請求項4に記載のピリジンカルボン酸化合物。
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